スクープ式堆肥攪拌機、堆肥原料用スクレーパ装置及びその制御方法
【課題】発酵処理中に崩落した団結塊状汚泥の負荷によって攪拌機が機能停止状態に陥るのを回避できるようにしたスクープ式堆肥攪拌機、堆肥原料用スクレーパ装置及びその制御方法を提供。
【解決手段】堆肥発酵槽に架装された支持架構が、軌条に沿って発酵槽後方の堆肥排出口側から前方の原料投入口側へ前進させられると共に、当該支持架構に軸支され攪拌羽根で堆肥原料を切返すようにした堆肥攪拌機において、前記攪拌羽根の回動機に流れる電流値及び当該攪拌機の移動機に対する後退距離の設定部F1と、前記回動機に流れる電流の検出部D1と、前記設定部の電流値と検出部の電流値を比較し演算する比較演算部C11と、演算部から検出電流値が設定電流値を超えた旨の出力を受けて当該回動機を停めると共に前記移動機に設定距離の後退指令を出力し当該攪拌機を後退させてからその移動機に前進再開指令を出力する出力制御部を有する駆動制御部C1を具備した。
【解決手段】堆肥発酵槽に架装された支持架構が、軌条に沿って発酵槽後方の堆肥排出口側から前方の原料投入口側へ前進させられると共に、当該支持架構に軸支され攪拌羽根で堆肥原料を切返すようにした堆肥攪拌機において、前記攪拌羽根の回動機に流れる電流値及び当該攪拌機の移動機に対する後退距離の設定部F1と、前記回動機に流れる電流の検出部D1と、前記設定部の電流値と検出部の電流値を比較し演算する比較演算部C11と、演算部から検出電流値が設定電流値を超えた旨の出力を受けて当該回動機を停めると共に前記移動機に設定距離の後退指令を出力し当該攪拌機を後退させてからその移動機に前進再開指令を出力する出力制御部を有する駆動制御部C1を具備した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は堆肥発酵設備で使用するスクープ式堆肥攪拌機及び堆肥原料用スクレーパ装置に関し、特に、堆肥発酵槽内への原料の投入量を増すと共に、スクープ方式の攪拌機が堆肥原料の崩落によってその機能を停止することがないようにしたスクープ式堆肥攪拌機、堆肥原料用スクレーパ装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
堆肥製造の一般的な工程は、畜産排泄物や生ゴミ或は下水処理により生じた有機廃棄物汚泥などからなる堆肥原料を加圧混練して、発酵槽内で発酵処理した後に所定時間寝かせることによって行われる。このうち、発酵処理の工程に関しては、品質、衛生、或は環境の面において有効なものとして、スクープ式の堆肥攪拌機を用いた処理方法が提案されている。
【0003】
スクープ式の堆肥発酵処理法とは、回動しながら堆肥原料を掬い揚げる攪拌羽根を備えた堆肥攪拌機が、発酵槽上端部に架設されたレール上を堆肥排出口側から原料投入口側へと自走することにより、堆肥原料を後方へと移送しながら、これに空気を含ませて堆肥の好気的発酵を促進させる処理方法である。
【0004】
ところが、発酵槽内に堆積した堆肥原料は高さ約1メートルから数メートル程度の山ともなり、攪拌羽根が原料を掬い出して推進する際、足元を失った汚泥の山が攪拌羽根上へ一時に崩落することがある。このとき、攪拌羽根を回動させる電動機(以下、単に回動機ともいう)のモータは崩落した堆肥原料の重みに耐え切れず、過負荷状態となって回動機能を停止してしまう。これにより発酵処理作業は中断を強いられるばかりか、この中断が長時間に及んだ場合には発酵中の堆肥が酸素不足から嫌気的発酵を起こして、堆肥としての品質も低下するという問題がある。
【0005】
かかる問題に対しては、堆肥攪拌機が過負荷状態とならないよう回動機の基本出力を予め高く設定して対応するのが一般的であるが、平常の運転時における過剰な電力供給は重機械ゆえに大きな経済的損失となることが懸念される。
【0006】
一方、回動する攪拌羽根によって堆肥原料のある特定箇所が絶えず捏和される状況は、原料の粘性を増加させて団結塊を発生させやすい。一旦、団結塊化すると汚泥は表面から乾いて硬くなるために粉砕され難くなり、上述の崩落を起こし回動機のオーバーロードの原因となると共に、塊内部の水分が減少せず嫌気発酵を引き起こして悪臭発生の原因ともなる。
【0007】
団結塊については、従来から攪拌羽根の先端部に鉤爪状の突起物を取り付けることにより対処がなされている。すなわち、攪拌羽根と一体に回動する鉤爪が発酵槽内の汚泥を粉砕して団結塊化するのを阻止できるからである。
【0008】
しかし、上記従来の鉤爪状突起は全ての攪拌羽根に対して一様に配列されており、突起の回動経路から外れる団結塊については鉤爪が当たらずに粉砕されないため、未だ解決すべき問題を残している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、堆肥発酵処理設備が有する上記の問題に鑑み、発酵処理中に崩落した団結塊状汚泥の負荷によって攪拌機が機能停止状態に陥るのを回避できるようにしたスクープ式堆肥攪拌機、堆肥原料用スクレーパ装置及びその制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決することを目的としてなされた本発明スクープ式堆肥攪拌機の構成は、堆肥発酵槽の上端部に架設した移動用軌条に架装された支持架構が、前記軌条に沿って発酵槽後方の堆肥排出口側から前方の原料投入口側へ移動用電動機(以下、単に移動機ともいう)によって前進させられると共に、当該支持架構に軸支され上下に揺同可能な架台に支えられた攪拌羽根を回動機により回動させて堆肥原料を切返すようにした堆肥攪拌機において、前記攪拌羽根の回動機に流れる電流値及び当該攪拌機の移動機に対する後退距離の設定部と、前記回動機に流れる電流の検出部と、前記設定部の電流値と検出部の電流値を比較し設定電流値を超えたか否かを適宜サンプリングタイムで演算する比較演算部と、演算部から検出電流値が設定電流値を超えた旨の出力を受けて当該回動機を停めると共に前記移動機に設定距離の後退指令を出力し当該攪拌機を後退させてからその移動機に前進再開指令を出力する出力制御部を有する駆動制御部を具備したことを特徴とするものである。
【0011】
本発明スクープ式堆肥攪拌機は、回動する各攪拌羽根の先端部に長さが不揃いの鉤爪状突起を不規則的に配置する構成とし、或は、回動する各攪拌羽根の左右端部に鉤爪状突起を配設する構成としてもよい。また、発酵槽内に投入された堆肥原料を均す堆肥原料用のスクレーパ装置を堆肥攪拌機の前方に一体として備える構成としてもよい。
【0012】
上記の課題を解決することを目的としてなされた本発明堆肥原料用スクレーパ装置の構成は、支持架構に備えられた駆動用電動機(以下、単に駆動機ともいう)により堆肥発酵槽の上端部に架設した移動用軌条に沿って前後に自走しながら発酵槽内の堆肥原料を均す堆肥原料用スクレーパ装置において、堆肥発酵槽に配備された自走式の堆肥攪拌機からの信号により当該攪拌機が稼働中であるか否かを適宜サンプリングタイムで判断する検出部と、攪拌機の稼働時にはスクレーパ装置を発酵槽の前端部乃至後端部に待機させるよう前記駆動機に出力する出力制御部を有する駆動制御部を具備したことを特徴とするものである。
【0013】
本発明堆肥原料用スクレーパ装置は、支持架構に備えられた駆動機により堆肥発酵槽の上端部に架設した移動用軌条に沿って前後に自走しながら発酵槽内の堆肥原料を均す堆肥原料用スクレーパ装置において、対象物距離測定装置と、その測定値を検出する検出部と、このスクレーパ装置から自走式堆肥攪拌機までの距離の設定部と、前記検出部の測定値と設定部の設定値を比較し設定値を下回ったか否かを適宜サンプリングタイムで演算する比較演算部と、演算部から測定値が前記設定値を下回った旨の出力を受けて前記駆動機に前進乃至後退指令を出力し、測定値が前記設定値を上回ることが確認されたときに当該駆動機に運転再開指令を出力する出力制御部を有する駆動制御部を具備したことを特徴とする構成としてもよい。また、掻き落としアングルは前後双方向に備えられ、或は、その上端部において擁壁を有し、さらに、傾斜角度を適宜変更できるよう可動式に構成することは任意である。
【0014】
上記の課題を解決することを目的としてなされた本発明堆肥攪拌機の制御方法の構成は、堆肥発酵槽の上端部に架設した移動用軌条に沿って発酵槽後方の堆肥排出口側から前方の原料投入口側へ移動機によって前進しながら、支持架構に軸支され上下に揺動可能な架台に備えられた攪拌羽根を回動機により回動させて堆肥原料を切返す堆肥攪拌機の制御方法において、前記回動機に流れる検出電流値が設定電流値を上回ったときは、当該回動機及び移動機のモータの運転を一旦停止して、移動機により当該攪拌機を適宜距離後退させた後に、前記回動機のモータの運転を再開し、当該回動機に流れる検出電流値が設定電流値を下回ることが確認されたときに前記移動機によって当該攪拌機の前進を再開させるよう制御することを特徴とするものである。
【0015】
本発明堆肥攪拌機の制御方法は、前記堆肥攪拌機を適宜距離後退させながら、或は、後退させた後に回動機のモータの運転を再開させるまでの間に、攪拌羽根が逆方向に回動するように前記回動機のモータの運転を制御する構成としてもよい。
【0016】
上記の課題を解決することを目的としてなされた本発明堆肥原料用スクレーパ装置の制御方法の構成は、堆肥発酵槽の上端部に架設した移動用軌条に沿って駆動機により前進乃至後退しながら掻き落としアングルによって発酵槽内の堆肥原料を均す堆肥原料用スクレーパ装置の制御方法において、前記発酵槽に配備された自走式の堆肥攪拌機が稼働中であるか否かの信号を検出する検出部によって当該攪拌機の稼働状況を判断し、攪拌機の稼働時にはスクレーパ装置を発酵槽の前端部乃至は後端部に待機させるよう制御することを、或は、対象物距離測定装置による測定値が設定値を下回るときは、前記駆動機によりスクレーパ装置を堆肥発酵槽の前端部まで前進乃至は後端部まで後退させるよう制御することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、堆肥発酵設備での発酵処理工程において、堆肥原料の山が攪拌羽根上に崩落して回動機に流れる電流値が事前の設定電流値を超えたときに、堆肥攪拌機の前進と攪拌羽根の回動を停止し、一度この攪拌機を後退させることによって堆肥原料を攪拌羽根上から振り落とし、当該攪拌機が過負荷状態から機能を停止してしまうことを回避できる。また、各攪拌羽根の先端部或は左右端部に配置した長さの不揃いな鉤爪状突起は汚泥の団結塊化を阻止でき、さらに、スクレーパ装置は堆積した原料の山を低く均して上記崩落の危険性を回避し、かつ、一回の処理工程における発酵槽への原料投入量も増すことができる。この結果、堆肥の製造能率は向上し、また、処理工程が長時間に亘って中断されるということはなくなるので、酸素不足による嫌気的発酵から悪臭や品質の低下を生ずるといった事態についても完全に防止できるという効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態例を図により説明する。図1は堆肥発酵槽におけるスクープ式堆肥攪拌機の通常運転の状態を模式的に例示した側断面図、図2-(a)は、図1の攪拌機において攪拌羽根上に汚泥が崩落した状態の一例を模式化した側断面図、図2-(b)は本発明の制御方法により堆肥攪拌機が後退して団結塊汚泥を滑落させる様子を模式化した側断面図、図2-(c)は本発明の制御方法により作業を再開した堆肥攪拌機を模式化した側断面図、図3は本発明スクープ式堆肥攪拌機のシステムブロック構成図、図4は本発明スクープ式堆肥攪拌機の駆動制御部の動作を説明するフローチャート図、図5はスクープ式堆肥攪拌機の一例の側断面図、図6は長さの不揃いな鉤爪状突起を配設した攪拌羽根の一例の側断面図、図7は図6の平面図、図8は従来の攪拌羽根を例示した側断面図、図9は堆肥原料用スクレーパ装置の一例の平面図、図10は図9の縦断面図、図11は掻き落としアングルを前後双方向に配設したスクレーパ装置の一例の平面図、図12は掻き落としアングルの側断面図、図13は上端部に擁壁を有する掻き落としアングルの側断面図、図14は本発明堆肥原料用スクレーパ装置の一例のシステムブロック構成図、図15は本発明堆肥原料用スクレーパ装置の駆動制御部の動作の一例を説明するフローチャート図、図16は本発明堆肥原料用スクレーパ装置の他の一例のシステムブロック構成図、図17は本発明堆肥原料用スクレーパ装置の駆動制御部の動作の他の一例を説明するフローチャート図である。
【0019】
本発明の実施形態例の説明に先立ち、図5により、堆肥発酵槽で一般的に使用されるスクープ式堆肥攪拌機(以下、単に攪拌機Mという)について説明する。図5において、1は堆肥原料4a、4bを貯蔵して発酵させる堆肥発酵槽、2はこの堆肥発酵槽1上端部の長手方向に架設された移動用軌条であって、攪拌機Mが前後に移動するためのレールである。3は攪拌機Mを支持する台車たる支持架構、m2は支持架構3の前部分に備えられて前後方向の推進力を供給するモータ式の移動機である。6は堆肥原料4aを掬い揚げる攪拌羽根であり、実施例では金属製或は合成樹脂製などの硬質素材からなる巾3メートル程度のアングル状部材により形成される。この攪拌羽根6は、支持架台63に設けられたモータによる回動機m1より動力を得る駆動輪W1と対応する従動輪W2に掛け回されて無限軌道を循環する鎖5付きの柔軟輸送帯62にボルト及びナット等の固着手段により固着され、各構成部材5,6,62が一体となって前記支持架台63に沿って回動しながら堆肥原料4aを切返して行く。以下、鎖5、攪拌羽根6、輸送帯62、支持架台63を合わせて切返し装置60ともいう。
【0020】
また、攪拌羽根6や輸送帯62などを支持する支持架台63は、揺動軸61(図5においては紙面に対し垂直方向の軸)によって支持架構3に軸支されており、水平位置から俯角90度までの一定範囲で上下に揺動可能である(なお、本実施例においては約50度を設計値として選択する)。これにより、作業後の復路やライン変更時は切返し装置60を持ち上げて横にした状態で行うことができる。
【0021】
ここで「切返し」とは、図5において実線で示した切返し装置60を仮想線で示した傾斜角に設定して、攪拌機Mを前進させながら、回動する攪拌羽根6が発酵槽1内に投入された堆肥原料4aを切返し装置60における回動下端域6bにおいて掬い揚げ、回動上端域6tまで揚送して落下させる一連の動作をいう。これは、発酵槽1内に堆積して相当程度の高さに達した堆肥原料4aの山を攪拌羽根6により少量ずつ掬い出して、満遍無く外気と接触させ十分な酸素を供給して攪拌後の原料4bの好気的発酵を促すことを目的とする。
【0022】
一方、上記切返し作業は、切返し装置60が攪拌機Mの前進方向に対して斜め下方へ稍俯いた状態で行われるため、発酵槽1内にある堆肥原料4aは攪拌羽根6によって槽底部側から徐々に削られ切返されていくこととなり、図1において仮想線で示すような緩やかな傾斜面をもって攪拌羽根6と接するのが通常の態様となる。
【0023】
しかし、堆肥原料4aはその組成によって、或は、場所によっては含水率が大きく異なるため、粘度において差が生じ易い。この結果、図1において実線で示すように、堆積した汚泥が急斜面を形成し、これが図2-(a)に見られるように攪拌羽根6上に一時に崩落すると堆肥原料4aの重量が回動機m1に対して過負荷となって、これにより不具合の生じていたことは先に述べた通りである。
【0024】
そこで本発明スクープ式堆肥攪拌機Mは、汚泥の崩落に際しても当該攪拌機Mの動作をこれに備えられた駆動制御部C1(以下、単に制御部C1ともいう)が制御することによって上述の不都合を解消したので、この点について、図1〜図8を参照しつつ以下に説明する。
【0025】
図1おいて、本発明に係る攪拌機Mは支持架構3の前部に制御部C1を備えており、移動機m2はこの制御部C1によって前進、停止、後退を管理される。この制御部C1は、図3に例示するように、電流計A、回動機m1の電流値並びに移動機m2の後退距離の設定部F1と検出部D1、及び、比較演算部c11と出力制御部c12とによって構成され、比較演算部c11が適宜サンプリングタイムで演算処理を行い、その結果を受けて出力制御部c12は回動機m1と移動機m2のモータの運転を制御管理する。ここで、回動機m1には、これに流れる電流値iを測定するための電流計Aが接続されており、検出部D1により測定検出される電流値iは検出部D1から比較演算部c11へと出力されて、攪拌機Mが通常の切返しを行うに支障のない程度の電流値として予め設定部F1において設定した設定電流値i1と大小比較される。
【0026】
出力制御部c12は、前記電流値iが設定電流値i1を下回るときは回動機m1の回動運転と移動機m2の前進運転とを維持し、切返し作業を続行する。一方、検出電流値iが設定電流値i1を上回ったときには、回動機m1の回動運転及び移動機m2の前進運転を停止する。そして、移動機m2に対して設定した後退距離の指令に基づき、攪拌機Mを一旦後退させる。その後、検出電流値iが設定電流値i1を下回ることが比較演算部c11により確認されると、出力制御部c12は回動機m1の回動運転と移動機m2の前進運転の指令を出力し、攪拌機Mの切返し運転を再開する。
【0027】
すなわち、切返し作業において原料4aが攪拌羽根6上に崩落するとその重みによって回動機m1に対する負荷と供給電流値iが増加するところ、これを演算処理して判別した比較演算部c11の出力を受けた出力制御部c12によって、回動機m1が過負荷によって機能を停止してしまう前に攪拌羽根6の回動と攪拌機Mの前進を停止し、その後移動機m2を後退させて攪拌羽根6上の堆肥原料4aを滑落させることにより、崩落前に近い状況を取り戻すのである。なお、本発明においては、堆肥原料4aをより確実に滑落させるために、堆肥攪拌機Mを後退させながら、或は、後退させて回動機m1のモータの運転を再開するまでの間において、攪拌羽根6を逆回転させるように制御することは任意である。
【0028】
制御部C1の動作を説明するフローチャートは、図4に示すとおりである。すなわち、スタートして、まず回動機m1に流れて検出される電流値iと設定電流値i1との大小が演算部c11で比較判断される。次に、検出電流値iが設定電流値i1よりも大きな値であることを条件として、回動機m1及び移動機m2の動作を停止する。検出電流値iが設定電流値i1よりも小さな数値であればスタートに戻る。回動機m1及び移動機m2の動作停止の後、移動機m2による適宜距離の後退指令が出される。移動機m2による適宜距離の後退の後には、まず回動機m1の回動運転が再開され、ここで再び検出電流値iと設定電流値i1との大小比較がなされる。検出電流値iが設定電流値i1よりも小さな値であるときには、移動機m2の運転も再開され、通常の運転状態としてスタートに戻る。検出電流値iが設定電流値i1よりも大きな値であるときには、移動機m2による設定距離の後退へ戻る。
【0029】
本発明に係る攪拌機Mの攪拌羽根6の先端部には、短い鉤爪状突起h1と長い鉤爪状突起h2とをランダムに配置する構成としてもよく、これによって堆肥原料4a、4bの団結塊状化を回避できることは、先に述べた通りである(図6、図7参照)。この短い鉤爪状突起h1、長い鉤爪状突起h2は、汚泥を掻き砕くことができるよう、金属製或は合成樹脂製などの硬質素材により形成されるのが望ましい。なお、本実施例においては長短2種類の鉤爪状突起h1、h2により構成されているが、更に多くの種類の鉤爪状突起によって構成することは任意である。
【0030】
本発明は、攪拌羽根6の左右端部に上記同様の鉤爪状突起h3を配設する構成としてもよい。この鉤爪状突起h3は、攪拌羽根6と共に一体となって回動することにより発酵槽1の側擁壁面に乾燥粘着している汚泥を剥落させ、上記鉤爪h1、h2と同様に、悪臭発生の防止や堆肥としての品質の向上に資する。
【0031】
汚泥の崩落に際し、攪拌機Mの動作を制御してオーバーロードを回避する方法についての説明は上述の通りであるが、一方、発酵槽1内において汚泥が山形状に高く堆積しなければ、そもそも崩落に遭うことはなく、攪拌機Mの継続的な切返し運転を行うことが可能である。
【0032】
そこで本発明堆肥原料用スクレーパ装置Sは、このスクレーパ装置Sが自走しながら、或は、自走式の攪拌機Mの前部に一体として備えられて、発酵槽1内に山積した堆肥原料4aを掻き落とし低く均して行くことによって上述の不都合を解消したので、この点について図9〜図11を参照しつつ、以下に説明する。
【0033】
図9及び図10において、堆肥原料用スクレーパ装置Sは、前記移動用軌条2に沿って移動可能な支持架構64と、支持架構64に支持部材66によって支持された掻き落としアングル65とから構成される。この支持架構64は駆動機m3を一体に備え、これによりスクレーパ装置Sは移動用軌条2に沿って前後に移動可能である。なお、スクレーパ装置Sの移動する軌条は前記移動用軌条2に限るものではなく、発酵槽1に別途のレールを配設してなすことは任意である。また、自走式の攪拌機Mの前部に一体として配設されるスクレーパ装置Sにおいては、駆動機m3を備えることを要しない。
【0034】
掻き落としアングル65は、水平面に対して適宜角度の傾斜をなしており、最も小さな抵抗で効率よく汚泥を掻き落とすことができるよう設計される。なお、掻き落としアングル65は、原料組成物の特性に応じてその傾斜角度を適宜変更できるよう、傾斜面を可動式に設計することは任意である。また、堆肥原料4aの山を確実に掻き落とせるよう、傾斜面の上端部には汚泥が後方に流れていくのを阻止するための擁壁を設けるのが好ましい。さらに、掻き落としアングル65を前後双方向に向けて配設し、復路においても汚泥の掻き落とし効果を得られるよう構成することは任意である(図11を参照)。
【0035】
本実施例における堆肥原料用スクレーパ装置Sは、前述の通り、駆動機m3によって自走可能である。したがって、スクレーパ装置Sの動作が、切返し運転を行いながら移動用軌条2に沿って自走する堆肥攪拌機Mの動作と干渉して衝突することのないよう、これを制御する必要があるので、その制御方法について以下に説明する。
【0036】
図12〜図13は、自走式の攪拌機Mが稼働中であるか否かを当該攪拌機Mからの信号に基づいて判断し、攪拌機Mの稼働時にはスクレーパ装置Sが発酵槽1の前端部まで前進して待機することによって当該攪拌機Mとの衝突を回避するよう制御する堆肥原料用スクレーパ装置Sについて表示している。
【0037】
このスクレーパ装置Sに備えられた駆動制御部C2(以下、単に制御部C2ともいう)は、堆肥攪拌機Mの稼働状況を知らせる信号を検出する検出部D2と、駆動機m3の運転を制御する出力制御部c21とからなっている。検出部D2は、攪拌機Mから送られた信号によって当該攪拌機Mが稼動中であるか否かを判断し、その結果を出力制御部c21に出力する。攪拌機Mを稼動中と判断すると、出力制御部c21は駆動機m3のモータの運転を停止して、スクレーパ装置Sを発酵槽1の前端部まで前進させ、一時待機状態とさせる。これによって、スクレーパ装置Sと攪拌機Mの挙動が干渉することはなく、衝突を回避できる。また、攪拌機Mを稼働中でないと判断した場合、スクレーパ装置Sによる汚泥の均し運転を継続させるよう制御することも任意である。なお、スクレーパ装置Sが堆肥攪拌機Mの後方で作業を行うときは、発酵槽1の後端部まで後退して待機するようスクレーパ装置Sを制御する。
【0038】
図14〜図15は、対象物距離測定装置Eによりスクレーパ装置Sの後方を自走する堆肥攪拌機Mまでの距離を測定することによって、当該攪拌機Mとの衝突を回避するように駆動制御部C3(以下、単に制御部C3ともいう)により制御される堆肥原料用スクレーパ装置Sについて表示している。
【0039】
スクレーパ装置Sに備えられた制御部C3は、対象までの距離を測る対象物距離測定装置E及びその測定値dを検出する検出部D3、比較演算の基準とする設定距離の設定部F3、比較演算部c31及び出力制御部c32とから構成される。制御部C3に備えられた対象物距離測定装置Eは後方を自走する堆肥攪拌機Mまでの距離を測定し、測定検出された測定値dは検出部D3から比較演算部c31へと出力されて、スクレーパ装置Sが攪拌機Mと干渉、衝突することのない最小限度の間隔を表わす数値として予め設定部F3において設定した設定値d1と大小比較される。比較演算部c31は、適宜サンプリングタイムで比較演算処理を実行し、その結果を受けた出力制御部c32が駆動機m3のモータの運転を制御管理する。
【0040】
出力制御部C3は、測定値dが前記設定値d1を上回るときは、駆動機m3の前進運転を維持してスクレーパ装置Sによる汚泥の掻き落とし作業を続行する。一方、測定値dが設定値d1を下回ったときには、駆動機m3の運転を一旦停止した後、スクレーパ装置Sを発酵槽前端部まで前進させる。これによって、スクレーパ装置Sと攪拌機Mの挙動が干渉することはなく、衝突を回避できる。その後、比較演算部c31によって設定値d1と現在の測定距離dとの間で大小比較が行われ、測定値dが設定値d1を上回ることが確認されると、制御部c31は駆動機m3の運転再開の指令を出力して、スクレーパ装置Sによる汚泥の掻き落とし作業を再開させるよう制御することは任意である。
【0041】
上記実施例は、いずれも軌条を自走する攪拌機Mの前方で作業を行うスクレーパ装置Sについての記述であるが、攪拌機Mの後方で作業を行う場合においては、発酵槽1後端部における待機、或は、前進運転の再開に関し制御されるよう構成することも任意である。
【0042】
この結果、発酵槽1内において堆積した堆肥原料4aは低く掻き落とされて、団結塊状化した汚泥が攪拌羽根6へ崩落するのを回避できる。また、スクレーパ装置Sが汚泥の高さを均すことによって、一度の発酵処理工程で貯蔵できる堆肥原料4aの投入量を増すことも可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は以上の通りであって、堆肥発酵設備での発酵処理工程において、堆積した汚泥の山が堆肥攪拌機の攪拌羽根上に崩落して回動機に流れる電流値が予め設定した値を超えたときに、攪拌機の前進と攪拌羽根の回動とを停止し、一旦攪拌機を適宜距離後退させることによって原料を攪拌羽根上から滑落させ、攪拌機が過負荷状態から機能を停止してしまうことを回避できるのみならず、各攪拌羽根の先端部に不規則的に配設した長さの不揃いな鉤爪状突起は堆肥原料を満遍無く掻き砕き、汚泥が団結塊となるのを阻止できるため、発酵処理工程が中断されることはなくなり、かつ、一回の発酵処理工程における原料投入量を増加できることから堆肥製造の能率が向上し、また、酸素不足による嫌気的発酵が悪臭や品質低下を招来するといった事態についても完全に防止できるという効果があるから、スクープ式堆肥攪拌機、堆肥原料用スクレーパ装置に適用してきわめて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】堆肥発酵槽におけるスクープ式堆肥攪拌機の通常運転の状態を模式的に例示した側断面図
【図2】本発明に係る堆肥攪拌機の動作において、(a)は攪拌羽根上に堆肥原料が崩落した状態の一例を模式化した側断面図、(b)は堆肥攪拌機が後退して原料を滑落させる様子を模式化した側断面図、(c)は作業を再開した堆肥攪拌機を模式化した側断面図
【図3】本発明に係る堆肥攪拌機のシステムブロックの構成図
【図4】本発明に係る駆動制御部の動作を説明するフローチャート図
【図5】スクープ式堆肥攪拌機の一例の側断面図
【図6】長さの不揃いな鉤爪状突起を配設した攪拌羽根の一例の側断面図
【図7】図6の攪拌羽根の平面図
【図8】従来の攪拌羽根を例示した側断面図
【図9】堆肥原料用スクレーパ装置の一例の平面図
【図10】図9の縦断面図
【図11】掻き落としアングルを前後双方向に配設したスクレーパ装置の一例の平面図
【図12】本発明堆肥原料用スクレーパ装置の一例のシステムブロック構成図
【図13】本発明堆肥原料用スクレーパ装置の駆動制御部の動作の一例を説明するフローチャート図
【図14】本発明堆肥原料用スクレーパ装置の他の一例のシステムブロック構成図
【図15】本発明堆肥原料用スクレーパ装置の駆動制御部の動作の他の一例を説明するフローチャート図
【符号の説明】
【0045】
1 堆肥発酵槽
2 移動用軌条
3 架構
4a 攪拌前の堆肥原料
4b 攪拌後の堆肥原料
5 鎖
6 攪拌羽根
6t 回動上端
6b 回動下端
60 切り返し装置
61 揺動支点
62 輸送帯
63 架台
64 支持架構
65 掻き落としアングル
66 支持部材
M 堆肥攪拌機
S スクレーパ装置
m1 回動用電動機
m2 移動用電動機
m3 駆動用電動機
W1 駆動輪
W2 従動輪
C1、C2、C3 駆動制御部
c11、c31 比較演算部
c12、c22、c32 出力制御部
F1、F3 設定部
D1、D2、D3 検出部
A 電流計
i 検出電流値
i1 設定電流値
d 測定値
d1 設定値
h1 短い鉤爪状突起
h2 長い鉤爪状突起
h3 左右端部の鉤爪状突起
【技術分野】
【0001】
本発明は堆肥発酵設備で使用するスクープ式堆肥攪拌機及び堆肥原料用スクレーパ装置に関し、特に、堆肥発酵槽内への原料の投入量を増すと共に、スクープ方式の攪拌機が堆肥原料の崩落によってその機能を停止することがないようにしたスクープ式堆肥攪拌機、堆肥原料用スクレーパ装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
堆肥製造の一般的な工程は、畜産排泄物や生ゴミ或は下水処理により生じた有機廃棄物汚泥などからなる堆肥原料を加圧混練して、発酵槽内で発酵処理した後に所定時間寝かせることによって行われる。このうち、発酵処理の工程に関しては、品質、衛生、或は環境の面において有効なものとして、スクープ式の堆肥攪拌機を用いた処理方法が提案されている。
【0003】
スクープ式の堆肥発酵処理法とは、回動しながら堆肥原料を掬い揚げる攪拌羽根を備えた堆肥攪拌機が、発酵槽上端部に架設されたレール上を堆肥排出口側から原料投入口側へと自走することにより、堆肥原料を後方へと移送しながら、これに空気を含ませて堆肥の好気的発酵を促進させる処理方法である。
【0004】
ところが、発酵槽内に堆積した堆肥原料は高さ約1メートルから数メートル程度の山ともなり、攪拌羽根が原料を掬い出して推進する際、足元を失った汚泥の山が攪拌羽根上へ一時に崩落することがある。このとき、攪拌羽根を回動させる電動機(以下、単に回動機ともいう)のモータは崩落した堆肥原料の重みに耐え切れず、過負荷状態となって回動機能を停止してしまう。これにより発酵処理作業は中断を強いられるばかりか、この中断が長時間に及んだ場合には発酵中の堆肥が酸素不足から嫌気的発酵を起こして、堆肥としての品質も低下するという問題がある。
【0005】
かかる問題に対しては、堆肥攪拌機が過負荷状態とならないよう回動機の基本出力を予め高く設定して対応するのが一般的であるが、平常の運転時における過剰な電力供給は重機械ゆえに大きな経済的損失となることが懸念される。
【0006】
一方、回動する攪拌羽根によって堆肥原料のある特定箇所が絶えず捏和される状況は、原料の粘性を増加させて団結塊を発生させやすい。一旦、団結塊化すると汚泥は表面から乾いて硬くなるために粉砕され難くなり、上述の崩落を起こし回動機のオーバーロードの原因となると共に、塊内部の水分が減少せず嫌気発酵を引き起こして悪臭発生の原因ともなる。
【0007】
団結塊については、従来から攪拌羽根の先端部に鉤爪状の突起物を取り付けることにより対処がなされている。すなわち、攪拌羽根と一体に回動する鉤爪が発酵槽内の汚泥を粉砕して団結塊化するのを阻止できるからである。
【0008】
しかし、上記従来の鉤爪状突起は全ての攪拌羽根に対して一様に配列されており、突起の回動経路から外れる団結塊については鉤爪が当たらずに粉砕されないため、未だ解決すべき問題を残している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、堆肥発酵処理設備が有する上記の問題に鑑み、発酵処理中に崩落した団結塊状汚泥の負荷によって攪拌機が機能停止状態に陥るのを回避できるようにしたスクープ式堆肥攪拌機、堆肥原料用スクレーパ装置及びその制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決することを目的としてなされた本発明スクープ式堆肥攪拌機の構成は、堆肥発酵槽の上端部に架設した移動用軌条に架装された支持架構が、前記軌条に沿って発酵槽後方の堆肥排出口側から前方の原料投入口側へ移動用電動機(以下、単に移動機ともいう)によって前進させられると共に、当該支持架構に軸支され上下に揺同可能な架台に支えられた攪拌羽根を回動機により回動させて堆肥原料を切返すようにした堆肥攪拌機において、前記攪拌羽根の回動機に流れる電流値及び当該攪拌機の移動機に対する後退距離の設定部と、前記回動機に流れる電流の検出部と、前記設定部の電流値と検出部の電流値を比較し設定電流値を超えたか否かを適宜サンプリングタイムで演算する比較演算部と、演算部から検出電流値が設定電流値を超えた旨の出力を受けて当該回動機を停めると共に前記移動機に設定距離の後退指令を出力し当該攪拌機を後退させてからその移動機に前進再開指令を出力する出力制御部を有する駆動制御部を具備したことを特徴とするものである。
【0011】
本発明スクープ式堆肥攪拌機は、回動する各攪拌羽根の先端部に長さが不揃いの鉤爪状突起を不規則的に配置する構成とし、或は、回動する各攪拌羽根の左右端部に鉤爪状突起を配設する構成としてもよい。また、発酵槽内に投入された堆肥原料を均す堆肥原料用のスクレーパ装置を堆肥攪拌機の前方に一体として備える構成としてもよい。
【0012】
上記の課題を解決することを目的としてなされた本発明堆肥原料用スクレーパ装置の構成は、支持架構に備えられた駆動用電動機(以下、単に駆動機ともいう)により堆肥発酵槽の上端部に架設した移動用軌条に沿って前後に自走しながら発酵槽内の堆肥原料を均す堆肥原料用スクレーパ装置において、堆肥発酵槽に配備された自走式の堆肥攪拌機からの信号により当該攪拌機が稼働中であるか否かを適宜サンプリングタイムで判断する検出部と、攪拌機の稼働時にはスクレーパ装置を発酵槽の前端部乃至後端部に待機させるよう前記駆動機に出力する出力制御部を有する駆動制御部を具備したことを特徴とするものである。
【0013】
本発明堆肥原料用スクレーパ装置は、支持架構に備えられた駆動機により堆肥発酵槽の上端部に架設した移動用軌条に沿って前後に自走しながら発酵槽内の堆肥原料を均す堆肥原料用スクレーパ装置において、対象物距離測定装置と、その測定値を検出する検出部と、このスクレーパ装置から自走式堆肥攪拌機までの距離の設定部と、前記検出部の測定値と設定部の設定値を比較し設定値を下回ったか否かを適宜サンプリングタイムで演算する比較演算部と、演算部から測定値が前記設定値を下回った旨の出力を受けて前記駆動機に前進乃至後退指令を出力し、測定値が前記設定値を上回ることが確認されたときに当該駆動機に運転再開指令を出力する出力制御部を有する駆動制御部を具備したことを特徴とする構成としてもよい。また、掻き落としアングルは前後双方向に備えられ、或は、その上端部において擁壁を有し、さらに、傾斜角度を適宜変更できるよう可動式に構成することは任意である。
【0014】
上記の課題を解決することを目的としてなされた本発明堆肥攪拌機の制御方法の構成は、堆肥発酵槽の上端部に架設した移動用軌条に沿って発酵槽後方の堆肥排出口側から前方の原料投入口側へ移動機によって前進しながら、支持架構に軸支され上下に揺動可能な架台に備えられた攪拌羽根を回動機により回動させて堆肥原料を切返す堆肥攪拌機の制御方法において、前記回動機に流れる検出電流値が設定電流値を上回ったときは、当該回動機及び移動機のモータの運転を一旦停止して、移動機により当該攪拌機を適宜距離後退させた後に、前記回動機のモータの運転を再開し、当該回動機に流れる検出電流値が設定電流値を下回ることが確認されたときに前記移動機によって当該攪拌機の前進を再開させるよう制御することを特徴とするものである。
【0015】
本発明堆肥攪拌機の制御方法は、前記堆肥攪拌機を適宜距離後退させながら、或は、後退させた後に回動機のモータの運転を再開させるまでの間に、攪拌羽根が逆方向に回動するように前記回動機のモータの運転を制御する構成としてもよい。
【0016】
上記の課題を解決することを目的としてなされた本発明堆肥原料用スクレーパ装置の制御方法の構成は、堆肥発酵槽の上端部に架設した移動用軌条に沿って駆動機により前進乃至後退しながら掻き落としアングルによって発酵槽内の堆肥原料を均す堆肥原料用スクレーパ装置の制御方法において、前記発酵槽に配備された自走式の堆肥攪拌機が稼働中であるか否かの信号を検出する検出部によって当該攪拌機の稼働状況を判断し、攪拌機の稼働時にはスクレーパ装置を発酵槽の前端部乃至は後端部に待機させるよう制御することを、或は、対象物距離測定装置による測定値が設定値を下回るときは、前記駆動機によりスクレーパ装置を堆肥発酵槽の前端部まで前進乃至は後端部まで後退させるよう制御することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、堆肥発酵設備での発酵処理工程において、堆肥原料の山が攪拌羽根上に崩落して回動機に流れる電流値が事前の設定電流値を超えたときに、堆肥攪拌機の前進と攪拌羽根の回動を停止し、一度この攪拌機を後退させることによって堆肥原料を攪拌羽根上から振り落とし、当該攪拌機が過負荷状態から機能を停止してしまうことを回避できる。また、各攪拌羽根の先端部或は左右端部に配置した長さの不揃いな鉤爪状突起は汚泥の団結塊化を阻止でき、さらに、スクレーパ装置は堆積した原料の山を低く均して上記崩落の危険性を回避し、かつ、一回の処理工程における発酵槽への原料投入量も増すことができる。この結果、堆肥の製造能率は向上し、また、処理工程が長時間に亘って中断されるということはなくなるので、酸素不足による嫌気的発酵から悪臭や品質の低下を生ずるといった事態についても完全に防止できるという効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態例を図により説明する。図1は堆肥発酵槽におけるスクープ式堆肥攪拌機の通常運転の状態を模式的に例示した側断面図、図2-(a)は、図1の攪拌機において攪拌羽根上に汚泥が崩落した状態の一例を模式化した側断面図、図2-(b)は本発明の制御方法により堆肥攪拌機が後退して団結塊汚泥を滑落させる様子を模式化した側断面図、図2-(c)は本発明の制御方法により作業を再開した堆肥攪拌機を模式化した側断面図、図3は本発明スクープ式堆肥攪拌機のシステムブロック構成図、図4は本発明スクープ式堆肥攪拌機の駆動制御部の動作を説明するフローチャート図、図5はスクープ式堆肥攪拌機の一例の側断面図、図6は長さの不揃いな鉤爪状突起を配設した攪拌羽根の一例の側断面図、図7は図6の平面図、図8は従来の攪拌羽根を例示した側断面図、図9は堆肥原料用スクレーパ装置の一例の平面図、図10は図9の縦断面図、図11は掻き落としアングルを前後双方向に配設したスクレーパ装置の一例の平面図、図12は掻き落としアングルの側断面図、図13は上端部に擁壁を有する掻き落としアングルの側断面図、図14は本発明堆肥原料用スクレーパ装置の一例のシステムブロック構成図、図15は本発明堆肥原料用スクレーパ装置の駆動制御部の動作の一例を説明するフローチャート図、図16は本発明堆肥原料用スクレーパ装置の他の一例のシステムブロック構成図、図17は本発明堆肥原料用スクレーパ装置の駆動制御部の動作の他の一例を説明するフローチャート図である。
【0019】
本発明の実施形態例の説明に先立ち、図5により、堆肥発酵槽で一般的に使用されるスクープ式堆肥攪拌機(以下、単に攪拌機Mという)について説明する。図5において、1は堆肥原料4a、4bを貯蔵して発酵させる堆肥発酵槽、2はこの堆肥発酵槽1上端部の長手方向に架設された移動用軌条であって、攪拌機Mが前後に移動するためのレールである。3は攪拌機Mを支持する台車たる支持架構、m2は支持架構3の前部分に備えられて前後方向の推進力を供給するモータ式の移動機である。6は堆肥原料4aを掬い揚げる攪拌羽根であり、実施例では金属製或は合成樹脂製などの硬質素材からなる巾3メートル程度のアングル状部材により形成される。この攪拌羽根6は、支持架台63に設けられたモータによる回動機m1より動力を得る駆動輪W1と対応する従動輪W2に掛け回されて無限軌道を循環する鎖5付きの柔軟輸送帯62にボルト及びナット等の固着手段により固着され、各構成部材5,6,62が一体となって前記支持架台63に沿って回動しながら堆肥原料4aを切返して行く。以下、鎖5、攪拌羽根6、輸送帯62、支持架台63を合わせて切返し装置60ともいう。
【0020】
また、攪拌羽根6や輸送帯62などを支持する支持架台63は、揺動軸61(図5においては紙面に対し垂直方向の軸)によって支持架構3に軸支されており、水平位置から俯角90度までの一定範囲で上下に揺動可能である(なお、本実施例においては約50度を設計値として選択する)。これにより、作業後の復路やライン変更時は切返し装置60を持ち上げて横にした状態で行うことができる。
【0021】
ここで「切返し」とは、図5において実線で示した切返し装置60を仮想線で示した傾斜角に設定して、攪拌機Mを前進させながら、回動する攪拌羽根6が発酵槽1内に投入された堆肥原料4aを切返し装置60における回動下端域6bにおいて掬い揚げ、回動上端域6tまで揚送して落下させる一連の動作をいう。これは、発酵槽1内に堆積して相当程度の高さに達した堆肥原料4aの山を攪拌羽根6により少量ずつ掬い出して、満遍無く外気と接触させ十分な酸素を供給して攪拌後の原料4bの好気的発酵を促すことを目的とする。
【0022】
一方、上記切返し作業は、切返し装置60が攪拌機Mの前進方向に対して斜め下方へ稍俯いた状態で行われるため、発酵槽1内にある堆肥原料4aは攪拌羽根6によって槽底部側から徐々に削られ切返されていくこととなり、図1において仮想線で示すような緩やかな傾斜面をもって攪拌羽根6と接するのが通常の態様となる。
【0023】
しかし、堆肥原料4aはその組成によって、或は、場所によっては含水率が大きく異なるため、粘度において差が生じ易い。この結果、図1において実線で示すように、堆積した汚泥が急斜面を形成し、これが図2-(a)に見られるように攪拌羽根6上に一時に崩落すると堆肥原料4aの重量が回動機m1に対して過負荷となって、これにより不具合の生じていたことは先に述べた通りである。
【0024】
そこで本発明スクープ式堆肥攪拌機Mは、汚泥の崩落に際しても当該攪拌機Mの動作をこれに備えられた駆動制御部C1(以下、単に制御部C1ともいう)が制御することによって上述の不都合を解消したので、この点について、図1〜図8を参照しつつ以下に説明する。
【0025】
図1おいて、本発明に係る攪拌機Mは支持架構3の前部に制御部C1を備えており、移動機m2はこの制御部C1によって前進、停止、後退を管理される。この制御部C1は、図3に例示するように、電流計A、回動機m1の電流値並びに移動機m2の後退距離の設定部F1と検出部D1、及び、比較演算部c11と出力制御部c12とによって構成され、比較演算部c11が適宜サンプリングタイムで演算処理を行い、その結果を受けて出力制御部c12は回動機m1と移動機m2のモータの運転を制御管理する。ここで、回動機m1には、これに流れる電流値iを測定するための電流計Aが接続されており、検出部D1により測定検出される電流値iは検出部D1から比較演算部c11へと出力されて、攪拌機Mが通常の切返しを行うに支障のない程度の電流値として予め設定部F1において設定した設定電流値i1と大小比較される。
【0026】
出力制御部c12は、前記電流値iが設定電流値i1を下回るときは回動機m1の回動運転と移動機m2の前進運転とを維持し、切返し作業を続行する。一方、検出電流値iが設定電流値i1を上回ったときには、回動機m1の回動運転及び移動機m2の前進運転を停止する。そして、移動機m2に対して設定した後退距離の指令に基づき、攪拌機Mを一旦後退させる。その後、検出電流値iが設定電流値i1を下回ることが比較演算部c11により確認されると、出力制御部c12は回動機m1の回動運転と移動機m2の前進運転の指令を出力し、攪拌機Mの切返し運転を再開する。
【0027】
すなわち、切返し作業において原料4aが攪拌羽根6上に崩落するとその重みによって回動機m1に対する負荷と供給電流値iが増加するところ、これを演算処理して判別した比較演算部c11の出力を受けた出力制御部c12によって、回動機m1が過負荷によって機能を停止してしまう前に攪拌羽根6の回動と攪拌機Mの前進を停止し、その後移動機m2を後退させて攪拌羽根6上の堆肥原料4aを滑落させることにより、崩落前に近い状況を取り戻すのである。なお、本発明においては、堆肥原料4aをより確実に滑落させるために、堆肥攪拌機Mを後退させながら、或は、後退させて回動機m1のモータの運転を再開するまでの間において、攪拌羽根6を逆回転させるように制御することは任意である。
【0028】
制御部C1の動作を説明するフローチャートは、図4に示すとおりである。すなわち、スタートして、まず回動機m1に流れて検出される電流値iと設定電流値i1との大小が演算部c11で比較判断される。次に、検出電流値iが設定電流値i1よりも大きな値であることを条件として、回動機m1及び移動機m2の動作を停止する。検出電流値iが設定電流値i1よりも小さな数値であればスタートに戻る。回動機m1及び移動機m2の動作停止の後、移動機m2による適宜距離の後退指令が出される。移動機m2による適宜距離の後退の後には、まず回動機m1の回動運転が再開され、ここで再び検出電流値iと設定電流値i1との大小比較がなされる。検出電流値iが設定電流値i1よりも小さな値であるときには、移動機m2の運転も再開され、通常の運転状態としてスタートに戻る。検出電流値iが設定電流値i1よりも大きな値であるときには、移動機m2による設定距離の後退へ戻る。
【0029】
本発明に係る攪拌機Mの攪拌羽根6の先端部には、短い鉤爪状突起h1と長い鉤爪状突起h2とをランダムに配置する構成としてもよく、これによって堆肥原料4a、4bの団結塊状化を回避できることは、先に述べた通りである(図6、図7参照)。この短い鉤爪状突起h1、長い鉤爪状突起h2は、汚泥を掻き砕くことができるよう、金属製或は合成樹脂製などの硬質素材により形成されるのが望ましい。なお、本実施例においては長短2種類の鉤爪状突起h1、h2により構成されているが、更に多くの種類の鉤爪状突起によって構成することは任意である。
【0030】
本発明は、攪拌羽根6の左右端部に上記同様の鉤爪状突起h3を配設する構成としてもよい。この鉤爪状突起h3は、攪拌羽根6と共に一体となって回動することにより発酵槽1の側擁壁面に乾燥粘着している汚泥を剥落させ、上記鉤爪h1、h2と同様に、悪臭発生の防止や堆肥としての品質の向上に資する。
【0031】
汚泥の崩落に際し、攪拌機Mの動作を制御してオーバーロードを回避する方法についての説明は上述の通りであるが、一方、発酵槽1内において汚泥が山形状に高く堆積しなければ、そもそも崩落に遭うことはなく、攪拌機Mの継続的な切返し運転を行うことが可能である。
【0032】
そこで本発明堆肥原料用スクレーパ装置Sは、このスクレーパ装置Sが自走しながら、或は、自走式の攪拌機Mの前部に一体として備えられて、発酵槽1内に山積した堆肥原料4aを掻き落とし低く均して行くことによって上述の不都合を解消したので、この点について図9〜図11を参照しつつ、以下に説明する。
【0033】
図9及び図10において、堆肥原料用スクレーパ装置Sは、前記移動用軌条2に沿って移動可能な支持架構64と、支持架構64に支持部材66によって支持された掻き落としアングル65とから構成される。この支持架構64は駆動機m3を一体に備え、これによりスクレーパ装置Sは移動用軌条2に沿って前後に移動可能である。なお、スクレーパ装置Sの移動する軌条は前記移動用軌条2に限るものではなく、発酵槽1に別途のレールを配設してなすことは任意である。また、自走式の攪拌機Mの前部に一体として配設されるスクレーパ装置Sにおいては、駆動機m3を備えることを要しない。
【0034】
掻き落としアングル65は、水平面に対して適宜角度の傾斜をなしており、最も小さな抵抗で効率よく汚泥を掻き落とすことができるよう設計される。なお、掻き落としアングル65は、原料組成物の特性に応じてその傾斜角度を適宜変更できるよう、傾斜面を可動式に設計することは任意である。また、堆肥原料4aの山を確実に掻き落とせるよう、傾斜面の上端部には汚泥が後方に流れていくのを阻止するための擁壁を設けるのが好ましい。さらに、掻き落としアングル65を前後双方向に向けて配設し、復路においても汚泥の掻き落とし効果を得られるよう構成することは任意である(図11を参照)。
【0035】
本実施例における堆肥原料用スクレーパ装置Sは、前述の通り、駆動機m3によって自走可能である。したがって、スクレーパ装置Sの動作が、切返し運転を行いながら移動用軌条2に沿って自走する堆肥攪拌機Mの動作と干渉して衝突することのないよう、これを制御する必要があるので、その制御方法について以下に説明する。
【0036】
図12〜図13は、自走式の攪拌機Mが稼働中であるか否かを当該攪拌機Mからの信号に基づいて判断し、攪拌機Mの稼働時にはスクレーパ装置Sが発酵槽1の前端部まで前進して待機することによって当該攪拌機Mとの衝突を回避するよう制御する堆肥原料用スクレーパ装置Sについて表示している。
【0037】
このスクレーパ装置Sに備えられた駆動制御部C2(以下、単に制御部C2ともいう)は、堆肥攪拌機Mの稼働状況を知らせる信号を検出する検出部D2と、駆動機m3の運転を制御する出力制御部c21とからなっている。検出部D2は、攪拌機Mから送られた信号によって当該攪拌機Mが稼動中であるか否かを判断し、その結果を出力制御部c21に出力する。攪拌機Mを稼動中と判断すると、出力制御部c21は駆動機m3のモータの運転を停止して、スクレーパ装置Sを発酵槽1の前端部まで前進させ、一時待機状態とさせる。これによって、スクレーパ装置Sと攪拌機Mの挙動が干渉することはなく、衝突を回避できる。また、攪拌機Mを稼働中でないと判断した場合、スクレーパ装置Sによる汚泥の均し運転を継続させるよう制御することも任意である。なお、スクレーパ装置Sが堆肥攪拌機Mの後方で作業を行うときは、発酵槽1の後端部まで後退して待機するようスクレーパ装置Sを制御する。
【0038】
図14〜図15は、対象物距離測定装置Eによりスクレーパ装置Sの後方を自走する堆肥攪拌機Mまでの距離を測定することによって、当該攪拌機Mとの衝突を回避するように駆動制御部C3(以下、単に制御部C3ともいう)により制御される堆肥原料用スクレーパ装置Sについて表示している。
【0039】
スクレーパ装置Sに備えられた制御部C3は、対象までの距離を測る対象物距離測定装置E及びその測定値dを検出する検出部D3、比較演算の基準とする設定距離の設定部F3、比較演算部c31及び出力制御部c32とから構成される。制御部C3に備えられた対象物距離測定装置Eは後方を自走する堆肥攪拌機Mまでの距離を測定し、測定検出された測定値dは検出部D3から比較演算部c31へと出力されて、スクレーパ装置Sが攪拌機Mと干渉、衝突することのない最小限度の間隔を表わす数値として予め設定部F3において設定した設定値d1と大小比較される。比較演算部c31は、適宜サンプリングタイムで比較演算処理を実行し、その結果を受けた出力制御部c32が駆動機m3のモータの運転を制御管理する。
【0040】
出力制御部C3は、測定値dが前記設定値d1を上回るときは、駆動機m3の前進運転を維持してスクレーパ装置Sによる汚泥の掻き落とし作業を続行する。一方、測定値dが設定値d1を下回ったときには、駆動機m3の運転を一旦停止した後、スクレーパ装置Sを発酵槽前端部まで前進させる。これによって、スクレーパ装置Sと攪拌機Mの挙動が干渉することはなく、衝突を回避できる。その後、比較演算部c31によって設定値d1と現在の測定距離dとの間で大小比較が行われ、測定値dが設定値d1を上回ることが確認されると、制御部c31は駆動機m3の運転再開の指令を出力して、スクレーパ装置Sによる汚泥の掻き落とし作業を再開させるよう制御することは任意である。
【0041】
上記実施例は、いずれも軌条を自走する攪拌機Mの前方で作業を行うスクレーパ装置Sについての記述であるが、攪拌機Mの後方で作業を行う場合においては、発酵槽1後端部における待機、或は、前進運転の再開に関し制御されるよう構成することも任意である。
【0042】
この結果、発酵槽1内において堆積した堆肥原料4aは低く掻き落とされて、団結塊状化した汚泥が攪拌羽根6へ崩落するのを回避できる。また、スクレーパ装置Sが汚泥の高さを均すことによって、一度の発酵処理工程で貯蔵できる堆肥原料4aの投入量を増すことも可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は以上の通りであって、堆肥発酵設備での発酵処理工程において、堆積した汚泥の山が堆肥攪拌機の攪拌羽根上に崩落して回動機に流れる電流値が予め設定した値を超えたときに、攪拌機の前進と攪拌羽根の回動とを停止し、一旦攪拌機を適宜距離後退させることによって原料を攪拌羽根上から滑落させ、攪拌機が過負荷状態から機能を停止してしまうことを回避できるのみならず、各攪拌羽根の先端部に不規則的に配設した長さの不揃いな鉤爪状突起は堆肥原料を満遍無く掻き砕き、汚泥が団結塊となるのを阻止できるため、発酵処理工程が中断されることはなくなり、かつ、一回の発酵処理工程における原料投入量を増加できることから堆肥製造の能率が向上し、また、酸素不足による嫌気的発酵が悪臭や品質低下を招来するといった事態についても完全に防止できるという効果があるから、スクープ式堆肥攪拌機、堆肥原料用スクレーパ装置に適用してきわめて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】堆肥発酵槽におけるスクープ式堆肥攪拌機の通常運転の状態を模式的に例示した側断面図
【図2】本発明に係る堆肥攪拌機の動作において、(a)は攪拌羽根上に堆肥原料が崩落した状態の一例を模式化した側断面図、(b)は堆肥攪拌機が後退して原料を滑落させる様子を模式化した側断面図、(c)は作業を再開した堆肥攪拌機を模式化した側断面図
【図3】本発明に係る堆肥攪拌機のシステムブロックの構成図
【図4】本発明に係る駆動制御部の動作を説明するフローチャート図
【図5】スクープ式堆肥攪拌機の一例の側断面図
【図6】長さの不揃いな鉤爪状突起を配設した攪拌羽根の一例の側断面図
【図7】図6の攪拌羽根の平面図
【図8】従来の攪拌羽根を例示した側断面図
【図9】堆肥原料用スクレーパ装置の一例の平面図
【図10】図9の縦断面図
【図11】掻き落としアングルを前後双方向に配設したスクレーパ装置の一例の平面図
【図12】本発明堆肥原料用スクレーパ装置の一例のシステムブロック構成図
【図13】本発明堆肥原料用スクレーパ装置の駆動制御部の動作の一例を説明するフローチャート図
【図14】本発明堆肥原料用スクレーパ装置の他の一例のシステムブロック構成図
【図15】本発明堆肥原料用スクレーパ装置の駆動制御部の動作の他の一例を説明するフローチャート図
【符号の説明】
【0045】
1 堆肥発酵槽
2 移動用軌条
3 架構
4a 攪拌前の堆肥原料
4b 攪拌後の堆肥原料
5 鎖
6 攪拌羽根
6t 回動上端
6b 回動下端
60 切り返し装置
61 揺動支点
62 輸送帯
63 架台
64 支持架構
65 掻き落としアングル
66 支持部材
M 堆肥攪拌機
S スクレーパ装置
m1 回動用電動機
m2 移動用電動機
m3 駆動用電動機
W1 駆動輪
W2 従動輪
C1、C2、C3 駆動制御部
c11、c31 比較演算部
c12、c22、c32 出力制御部
F1、F3 設定部
D1、D2、D3 検出部
A 電流計
i 検出電流値
i1 設定電流値
d 測定値
d1 設定値
h1 短い鉤爪状突起
h2 長い鉤爪状突起
h3 左右端部の鉤爪状突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
堆肥発酵槽の上端部に架設した移動用軌条に架装された支持架構が、前記軌条に沿って発酵槽後方の堆肥排出口側から前方の原料投入口側へ移動機によって前進させられると共に、当該支持架構に軸支され上下に揺同可能な架台に支えられた攪拌羽根を回動機により回動させて堆肥原料を切返すようにした堆肥攪拌機において、前記攪拌羽根の回動機に流れる電流値及び当該攪拌機の移動機に対する後退距離の設定部と、前記回動機に流れる電流の検出部と、前記設定部の電流値と検出部の電流値を比較し設定電流値を超えたか否かを適宜サンプリングタイムで演算する比較演算部と、演算部から検出電流値が設定電流値を超えた旨の出力を受けて当該回動機を停めると共に前記移動機に設定距離の後退指令を出力し当該攪拌機を後退させてからその移動機に前進再開指令を出力する出力制御部を有する駆動制御部を具備したことを特徴とする堆肥攪拌機。
【請求項2】
攪拌羽根には、その先端部に長さが不揃いな鉤爪状突起を不規則的に配設した請求項1の堆肥攪拌機。
【請求項3】
攪拌羽根は、その左右端部に鉤爪状突起を有する請求項1又は2の堆肥攪拌機。
【請求項4】
発酵槽内に投入された堆肥原料を均す堆肥原料用スクレーパ装置を前記堆肥攪拌機の前方に一体として備える請求項1〜3のいずれかの堆肥攪拌機。
【請求項5】
支持架構に備えられた駆動機により堆肥発酵槽の上端部に架設した移動用軌条に沿って前後に自走しながら発酵槽内の堆肥原料を均す堆肥原料用スクレーパ装置において、堆肥発酵槽に配備された自走式の堆肥攪拌機からの信号により当該攪拌機が稼働中であるか否かを適宜サンプリングタイムで判断する検出部と、攪拌機の稼働時にはスクレーパ装置を発酵槽の前端部乃至は後端部に待機させるよう前記駆動機に出力する出力制御部を有する駆動制御部を具備したことを特徴とする堆肥原料用スクレーパ装置。
【請求項6】
支持架構に備えられた駆動機により堆肥発酵槽の上端部に架設した移動用軌条に沿って前後に自走しながら発酵槽内の堆肥原料を均す堆肥原料用スクレーパ装置において、対象物距離測定装置と、その測定値を検出する検出部と、このスクレーパ装置から自走式堆肥攪拌機までの距離の設定部と、前記検出部の測定値と設定部の設定値を比較し設定値を下回ったか否かを適宜サンプリングタイムで演算する比較演算部と、演算部から測定値が前記設定値を下回った旨の出力を受けて前記駆動機に前進乃至後退指令を出力し、測定値が前記設定値を上回ることが確認されたときに当該駆動機に運転再開指令を出力する出力制御部を有する駆動制御部を具備したことを特徴とする堆肥原料用スクレーパ装置。
【請求項7】
掻き落としアングルを前後双方向に配設した請求項5又は6の堆肥原料用スクレーパ装置。
【請求項8】
堆肥発酵槽の上端部に架設した移動用軌条に沿って発酵槽後方の堆肥排出口側から前方の原料投入口側へ移動機によって前進しながら、支持架構に軸支され上下に揺動可能な架台に備えられた攪拌羽根を回動機により回動させて堆肥原料を切返す堆肥攪拌機の制御方法において、前記回動機に流れる検出電流値が設定電流値を上回ったときは、当該回動機及び移動機のモータの運転を一旦停止して、移動機により当該攪拌機を適宜距離後退させた後に、前記回動機のモータの運転を再開し、当該回動機に流れる検出電流値が設定電流値を下回ることが確認されたときに前記移動機によって当該攪拌機の前進を再開させるよう制御することを特徴とする堆肥攪拌機の制御方法。
【請求項9】
前記堆肥攪拌機を適宜距離後退させながら、或は、後退させてから回動機のモータの運転を再開させるまでの間に、攪拌羽根が逆方向に回動するよう前記回動機のモータの運転を制御する請求項8の堆肥攪拌機の制御方法。
【請求項10】
堆肥発酵槽の上端部に架設した移動用軌条に沿って駆動機により前進乃至は後退しながら掻き落としアングルによって発酵槽内の堆肥原料を均す堆肥原料用スクレーパ装置の制御方法において、前記発酵槽に配備された自走式の堆肥攪拌機が稼働中であるか否かを検出して当該攪拌機の稼働状況を判断し、攪拌機の稼働時にはスクレーパ装置を発酵槽の前端部乃至は後端部に待機させるよう制御することを特徴とする堆肥原料用スクレーパ装置の制御方法。
【請求項11】
堆肥発酵槽の上端部に架設した移動用軌条に沿って駆動機により前進乃至は後退しながら掻き落としアングルによって発酵槽内の堆肥原料を均す堆肥原料用スクレーパ装置の制御方法において、対象物距離測定装置による測定値が設定値を下回るときは、前記駆動機によりスクレーパ装置を堆肥発酵槽の前端部まで前進乃至は後端部まで後退させるよう制御することを特徴とする堆肥原料用スクレーパ装置の制御方法。
【請求項1】
堆肥発酵槽の上端部に架設した移動用軌条に架装された支持架構が、前記軌条に沿って発酵槽後方の堆肥排出口側から前方の原料投入口側へ移動機によって前進させられると共に、当該支持架構に軸支され上下に揺同可能な架台に支えられた攪拌羽根を回動機により回動させて堆肥原料を切返すようにした堆肥攪拌機において、前記攪拌羽根の回動機に流れる電流値及び当該攪拌機の移動機に対する後退距離の設定部と、前記回動機に流れる電流の検出部と、前記設定部の電流値と検出部の電流値を比較し設定電流値を超えたか否かを適宜サンプリングタイムで演算する比較演算部と、演算部から検出電流値が設定電流値を超えた旨の出力を受けて当該回動機を停めると共に前記移動機に設定距離の後退指令を出力し当該攪拌機を後退させてからその移動機に前進再開指令を出力する出力制御部を有する駆動制御部を具備したことを特徴とする堆肥攪拌機。
【請求項2】
攪拌羽根には、その先端部に長さが不揃いな鉤爪状突起を不規則的に配設した請求項1の堆肥攪拌機。
【請求項3】
攪拌羽根は、その左右端部に鉤爪状突起を有する請求項1又は2の堆肥攪拌機。
【請求項4】
発酵槽内に投入された堆肥原料を均す堆肥原料用スクレーパ装置を前記堆肥攪拌機の前方に一体として備える請求項1〜3のいずれかの堆肥攪拌機。
【請求項5】
支持架構に備えられた駆動機により堆肥発酵槽の上端部に架設した移動用軌条に沿って前後に自走しながら発酵槽内の堆肥原料を均す堆肥原料用スクレーパ装置において、堆肥発酵槽に配備された自走式の堆肥攪拌機からの信号により当該攪拌機が稼働中であるか否かを適宜サンプリングタイムで判断する検出部と、攪拌機の稼働時にはスクレーパ装置を発酵槽の前端部乃至は後端部に待機させるよう前記駆動機に出力する出力制御部を有する駆動制御部を具備したことを特徴とする堆肥原料用スクレーパ装置。
【請求項6】
支持架構に備えられた駆動機により堆肥発酵槽の上端部に架設した移動用軌条に沿って前後に自走しながら発酵槽内の堆肥原料を均す堆肥原料用スクレーパ装置において、対象物距離測定装置と、その測定値を検出する検出部と、このスクレーパ装置から自走式堆肥攪拌機までの距離の設定部と、前記検出部の測定値と設定部の設定値を比較し設定値を下回ったか否かを適宜サンプリングタイムで演算する比較演算部と、演算部から測定値が前記設定値を下回った旨の出力を受けて前記駆動機に前進乃至後退指令を出力し、測定値が前記設定値を上回ることが確認されたときに当該駆動機に運転再開指令を出力する出力制御部を有する駆動制御部を具備したことを特徴とする堆肥原料用スクレーパ装置。
【請求項7】
掻き落としアングルを前後双方向に配設した請求項5又は6の堆肥原料用スクレーパ装置。
【請求項8】
堆肥発酵槽の上端部に架設した移動用軌条に沿って発酵槽後方の堆肥排出口側から前方の原料投入口側へ移動機によって前進しながら、支持架構に軸支され上下に揺動可能な架台に備えられた攪拌羽根を回動機により回動させて堆肥原料を切返す堆肥攪拌機の制御方法において、前記回動機に流れる検出電流値が設定電流値を上回ったときは、当該回動機及び移動機のモータの運転を一旦停止して、移動機により当該攪拌機を適宜距離後退させた後に、前記回動機のモータの運転を再開し、当該回動機に流れる検出電流値が設定電流値を下回ることが確認されたときに前記移動機によって当該攪拌機の前進を再開させるよう制御することを特徴とする堆肥攪拌機の制御方法。
【請求項9】
前記堆肥攪拌機を適宜距離後退させながら、或は、後退させてから回動機のモータの運転を再開させるまでの間に、攪拌羽根が逆方向に回動するよう前記回動機のモータの運転を制御する請求項8の堆肥攪拌機の制御方法。
【請求項10】
堆肥発酵槽の上端部に架設した移動用軌条に沿って駆動機により前進乃至は後退しながら掻き落としアングルによって発酵槽内の堆肥原料を均す堆肥原料用スクレーパ装置の制御方法において、前記発酵槽に配備された自走式の堆肥攪拌機が稼働中であるか否かを検出して当該攪拌機の稼働状況を判断し、攪拌機の稼働時にはスクレーパ装置を発酵槽の前端部乃至は後端部に待機させるよう制御することを特徴とする堆肥原料用スクレーパ装置の制御方法。
【請求項11】
堆肥発酵槽の上端部に架設した移動用軌条に沿って駆動機により前進乃至は後退しながら掻き落としアングルによって発酵槽内の堆肥原料を均す堆肥原料用スクレーパ装置の制御方法において、対象物距離測定装置による測定値が設定値を下回るときは、前記駆動機によりスクレーパ装置を堆肥発酵槽の前端部まで前進乃至は後端部まで後退させるよう制御することを特徴とする堆肥原料用スクレーパ装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−141978(P2008−141978A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−330511(P2006−330511)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(501436746)株式会社エス・サイエンス (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(501436746)株式会社エス・サイエンス (7)
【Fターム(参考)】
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