説明

スケーリング決定装置及び方法

【課題】フェージング環境下で高い受信性能を実現する。
【解決手段】実施形態に係るスケーリング決定装置2は、第1の決定部81,82を含む。第1の決定部81は、複数の入力信号に基づいて、複数の入力信号の小さい側からK番目の信号、又は、複数の入力信号を大きさで区分けする複数の範囲のうち小さい側からK番目の信号の属する範囲、を決定する。第2の決定部82は、第1の決定部81の決定結果に基づいて、小さい側からK番目の信号が正規化によって量子化誤差に埋もれないスケーリング値を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、信号を正規化する場合に用いるスケーリング値を決定するスケーリング決定装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
誤り訂正技術は、本質的にフェージングによる通信信号の一部欠損が発生する無線通信において、通信性能に影響を与える。無線通信の誤り訂正復号器の一種に、受信性能を良くするため入力が複数のビット幅である軟判定復号器がある。誤り訂正復号器は、ビット幅を多くすると受信性能が向上するが、面積増大、消費電力増大、最大動作周波数の低下を招くというトレードオフ関係を持つ。このトレードオフ関係を緩和させるために、軟判定復号器の入力信号は、予め復号に適したスケールに正規化される。
【0003】
正規化処理の第1の例は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex:直交周波数分割多重)受信機において、各受信サブキャリアの振幅の最大値と最小値の差又は分散を、スケーリングの基準とする。
【0004】
正規化処理の第2の例は、誤り訂正復号器に入力される対数尤度比の最頻値を基準にスケーリングを行う。
【0005】
このような正規化処理の第1及び第2の例は、スケーリングをしない場合、又は、各サブキャリアの電力平均を基準とする単純なスケーリング方式と比べると、よい結果を得ることができる。しかしながら、マルチパスフェージングの状況によっては、正規化処理の第1及び第2の例を完全に適応させることが困難な場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3756122号公報
【特許文献2】特開2008−153751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施形態は、フェージング環境下で高い受信性能を実現するためのスケーリング決定装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、スケーリング決定装置は、第1の決定部と第2の決定部とを備える。第1の決定部は、複数の入力信号に基づいて、複数の入力信号の小さい側からK番目の信号、又は、複数の入力信号を大きさで区分けする複数の範囲のうち小さい側からK番目の信号の属する範囲、を決定する。第2の決定部は、第1の決定部の決定結果に基づいて、小さい側からK番目の信号が正規化によって量子化誤差に埋もれないスケーリング値を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る誤り訂正復号器の構成の一例を示すブロック図。
【図2】複数のカウンタによって出力される累積ヒストグラムの一例を示すグラフ。
【図3】第1の実施形態に係るスケーリング決定装置の処理の一例を示すフローチャート。
【図4】第2の実施形態に係る無線受信機の構成の一例を示すブロック。
【図5】第3の実施形態に係るスケーリング決定装置の構成の一例を示すブロック図。
【図6】第3の実施形態に係るスケーリング決定装置に備えられるテーブルの一例を示す図。
【図7】サブキャリア振幅と度数との関係の一例を示すグラフ。
【図8】第4の実施形態に係るスケーリング値と入力ビット幅との関係の一例を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の各実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、略または実質的に同一の機能および構成要素については、同一符号を付し、必要に応じて説明を行う。
【0011】
(第1の実施形態)
本実施形態においては、量子化誤差に埋もれるサブキャリアの数を制御するためのスケーリング決定装置について説明する。
【0012】
本実施形態においては、スケーリング決定装置が無線受信装置の誤り訂正復号器に備えられる場合を例として説明する。これにより、無線受信装置の回路面積を小さくし、消費電力を小さくし、フェージング環境下で高い受信性能が実現される。
【0013】
スケーリング決定装置によって決定されたスケーリング値は、誤り訂正復号器の対数尤度比入力の正規化に使用される。
【0014】
図1は、本実施形態に係る誤り訂正復号器の構成の一例を示すブロック図である。
【0015】
誤り訂正復号器1は、入力信号を受け、誤り訂正された訂正信号を出力する。誤り訂正復号器1は、スケーリング決定装置2、正規化部3、誤り訂正復号演算を行う訂正演算部4を具備する。
【0016】
スケーリング決定装置2は、入力信号に基づいて、正規化で用いられるスケーリング値を求め、スケーリング値を正規化部3に提供する。
【0017】
スケーリング決定装置2は、しきい値比較部51〜5n、カウンタ61〜6n、累積比較部71〜7nを備える第1の決定部81と、第2の決定部82とを備える。
【0018】
誤り訂正復号器1は、広いダイナミックレンジの信号を処理可能であり、第1のビット幅の入力信号を受ける。本実施形態においては、誤り訂正復号器1の入力信号を、例えば10ビットとする。
【0019】
これに対して、ハードウェア面積の増大及び消費電力の増大を避けるため、訂正演算部4の入力幅は、入力信号のビット幅より小さい第2のビット幅とする。本実施形態において、訂正演算部4の入力幅は、例えば5ビットとする。
【0020】
正規化部3は、10ビットの入力信号に対し適切な正規化演算し、5ビットに量子化し、正規化された信号を訂正演算部4へ提供する。この正規化部3の処理で使用される正規化パラメータを決定するのがスケーリング決定装置2である。
【0021】
スケーリング決定装置2は、入力信号のうち小さい方からK番目の値を求め、この値に基づいてスケーリング値を決定する。Kの値は、定性的には、量子化雑音によって失われることが許容される入力信号数として設定される。
【0022】
Kの値は入力信号数が大きいほど大きくなり、また同じ入力信号数ならば符号化率が高いほど小さい値であることが求められる。このKの値は、入力信号数・符号化率に基づいて、予め設定され、例えばROM(Read Only Memory)などのような不揮発性記憶装置に保持される
しきい値比較部51〜5nには、それぞれ、入力信号の累積ヒストグラムを生成するために用いられる入力信号強度の境界を示すしきい値Th1〜Thnが設定されている。しきい値Th1〜Thnは、Th1<Th2<…<Thn-1<Thnの関係を持つ。本実施形態においては、入力信号の強度がn個の範囲に分割された累積ヒストグラムが生成されるとする。
【0023】
しきい値比較部51〜5nは、スケーリング決定装置2に入力された入力信号が各しきい値Th1〜Thnより小さいか否か判断する。しきい値比較部51〜5nは、入力信号がそれぞれしきい値Th1〜Thnより小さいと判断した場合に、それぞれ、カウンタ61〜6nに、カウントアップ命令を提供する。
【0024】
カウンタ61〜6nは、カウントアップ命令を受けた場合に、カウント値をインクリメントし、カウント値を累積比較部71〜7nに提供する。これにより、それぞれのしきい値Th1〜Thnより小さい入力信号の累積度数が求められる。
【0025】
図2は、カウンタ61〜6nによって出力される累積ヒストグラムの一例を示すグラフである。この図2では、度数と累積度数とが、重ねて表示されている。
【0026】
入力信号が入力される前にリセットされ、一通り(ある程度の数の)入力信号が入力されると、カウンタ61〜6nの出力値は、累積ヒストグラムを表す。この図2では、入力信号が6つの信号強度範囲に区分けされ、累積ヒストグラムが生成されている。
【0027】
累積比較部71〜7nは、それぞれ、カウンタ61〜6nからのカウント値である累積度数とKを比較し、比較結果を第2の決定部82に提供する。
【0028】
上記のように、第1の決定部81は、小さい方からK番目の入力信号がどの信号強度範囲に属するかを示す信号を生成し、第2の決定部82は、この信号を得ることができる。
【0029】
図2の例では、累積比較部71,72の比較結果が偽を示し、累積比較部73〜7nの比較結果が真を示す。
【0030】
第2の決定部82は、小さい方からK番目の入力信号が、偽と真の変わり目である第3の信号強度範囲(Th2以上であり、Th3より小さい範囲)に属することを認識し、小さい方からK番目の入力信号が量子化によって失われないようにスケーリング値を決定する。
【0031】
例えば、訂正演算部4の入力幅が符号付き5ビットの場合、入力範囲は−16〜+15[LSB(Least significant Bit)]となる。Th2の値が1[LSB]以上の値、例えば2[LSB]に対応するようにスケーリングすれば小さい方からK番目のサブキャリアの情報は失われないことになる。第2の決定部82は、Th2の値が2[LSB]にスケーリングされるようなスケーリング値を求め、正規化部3へ出力する。
【0032】
正規化部3は、正規化される対象の入力信号に対し、スケーリング決定装置2からのスケーリング値を乗算又は除算することにより、各入力信号を適切なスケールに正規化する。
【0033】
さらに、正規化部3は、正規化された入力信号を誤り訂正復号演算用の訂正演算部4のビット幅に合わせ、丸め込み等の量子化処理を行う。
【0034】
訂正演算部4は、正規化部3によって量子化処理の実行された信号を受け、この信号に対して誤り訂正復号処理を行う。
【0035】
図3は、本実施形態に係るスケーリング決定装置2の処理の一例を示すフローチャートである。
【0036】
ステップS1において、カウンタ61〜6nのカウント値が初期化される。
【0037】
ステップS2において、しきい値比較部51〜5nは、入力信号と自己に設定されているしきい値Th1〜Thnとを比較し、入力信号がそれぞれのしきい値Th1〜Thnより小さい場合に、カウントアップ命令を、対応するカウンタ61〜6nに提供する。
【0038】
ステップS3において、カウンタ61〜6nは、対応するしきい値比較部51〜5nからカウントアップ命令を受けた場合に、カウント値を増加する。これにより、それぞれのしきい値Th1〜Thnに対して、そのしきい値Th1〜Thnより小さい入力信号の数が求められる。カウンタ61〜6nは、カウント値を累積比較部71〜7nに提供する。
【0039】
ステップS4において、累積比較部71〜7nは、対応するカウンタ61〜6nからのカウント値である累積度数とKを比較し、比較結果を第2の決定部82に提供する。
【0040】
ステップS5において、第2の決定部82は、小さい方からK番目の入力信号が属する信号強度範囲に基づいて、小さい方からK番目の入力信号が量子化によって失われないスケーリング値を決定し、スケーリング値を正規化部3に提供する。
【0041】
従来において、無線通信においてマルチパスフェージングが発生すると、受信サブキャリアの振幅について、振幅の小さいサブキャリアのばらつきが、振幅の大きいサブキャリアのばらつきよりも非常に大きくなる。このため、既存のスケーリング方法で正規化が行われると、フェージングの状況によっては、多くの受信サブキャリアの情報が正規化によって量子化誤差に埋もれてしまい、この結果、受信不能となる場合がある。この受信不能は、既存の方法では、スケーリングによって量子化誤差に埋もれるサブキャリアの数を制御できないことに原因がある。
【0042】
これに対して、本実施形態においては、誤り訂正復号器1の入力時の量子化処理によって失われる情報量を制御することができ、フェージング環境下で高精度に誤り訂正を行うことができる。本実施形態においては、誤り訂正能力を損なわない程度で訂正演算部4内の演算精度を削減することができ、回路面積を削減でき、消費電力を低下させることができ、最大動作周波数を上げることができる。
【0043】
(第2の実施形態)
上記の第1の実施形態に係るスケーリング決定装置2は、各入力信号に基づいてスケーリング値を算出する。
【0044】
本実施形態において、スケーリング決定装置2は、無線受信機に実装され、伝送路推定値に基づいてスケーリング値を決定する。
【0045】
図4は、本実施形態に係る無線受信機の構成の一例を示すブロック図である。
【0046】
無線受信機9は、OFDM受信装置に、スケーリング決定装置2が適用された構成を持つ。
【0047】
アンテナ10によって受信された無線信号は、高周波回路11によって無線周波数からベースバンド周波数にダウンコンバートされ、その後アナログ・デジタル変換回路12によってデジタル信号に変換される。この後、同期部13によって周波数同期・時間同期などの適切な同期処理がデジタル信号に実行され、FFT部14によってFFT(高速フーリエ)演算がOFDMシンボル毎に実行され、信号がサブキャリア別に取り出される。
【0048】
伝送路推定部15は、これらサブキャリア別信号のうち、既知信号成分に基づいて各サブキャリアの伝送路の値を推定する。
【0049】
伝送路等化部16は、サブキャリア別信号のうちデータの乗った信号成分を、伝送路推定結果で等化することにより、コンスタレーション信号を生成する。
【0050】
復調部17は、コンスタレーション信号に基づいて、各送信ビットの値が1である確率と0である確率の比の対数である対数尤度比(Log-Likelihood Ratio, LLR)を生成する。
【0051】
スケーリング決定装置2は、伝送路推定結果に基づいて、サブキャリアの伝送路推定値のうち、振幅の小さいほうからK番目の値を基準としたスケーリング値を決定し、このスケーリング値を正規化部18に与える。スケーリング決定装置2の動作は、上記の第1の実施形態と同様である。
【0052】
正規化部18は、復調部17から出力される対数尤度比を、スケーリング決定装置2からのスケーリング値に基づいて正規化及び量子化し、訂正演算部19にデータを提供する。
【0053】
誤り訂正復号器の入力は、OFDMシンボル毎に違う値になるのに対し、伝送路推定値は、OFDMの規格にもよるが、複数OFDMシンボル、又は同一無線フレームの間ずっと同じ値を使い続けるものが多い。このため、上記のような構成にすることでOFDMシンボル毎にスケーリング値を計算し直すことがなくなり、演算数を削減することによって消費電力を低減させることができる。
【0054】
以上説明した本実施形態に係る無線受信機9は、伝送路等化及び誤り訂正復号を行う。スケーリング決定装置2は、伝送路推定値のうちの小さい方から特定の数であるK番目の値を基準として、スケーリング値を決定する。正規化部18は、スケーリング決定装置2で生成されたスケーリング値に基づいて、受信信号の正規化及び量子化を行う。
【0055】
これにより、無線受信機9の回路面積を削減させることができ、消費電力を低下させることができ、最大動作周波数を向上させることができる。
【0056】
本実施形態においては、上記の第1の実施形態における誤り訂正復号器1の入力信号に代えて、伝送路推定値というある程度長い時間使用され続ける値に基づいてスケーリング値が決定される。これにより、スケーリング値の算出演算の頻度を減らすことができる。
【0057】
(第3の実施形態)
本実施形態においては、上記の第1及び第2の実施形態におけるKの変更について説明する。
【0058】
Kの値は、例えば、通信規格の種別、通信における空間多重数、無線変調方式の種別、誤り訂正復号器1の符号化率、MIMO(Multi-Input Multi-Output)通信における送受信アンテナ数、サブキャリア本数、入力信号の数などに応じて切り替えることができる。
【0059】
図5は、本実施形態に係るスケーリング決定装置2の構成の一例を示すブロック図である。この図5においては、図1のスケーリング決定装置2の構成のうち、累積比較部71〜7nのみを表し、他の構成要素については省略している。
【0060】
図6は、スケーリング決定装置2に備えられるテーブルの一例を示す図である。
【0061】
スケーリング決定装置2は、テーブル20を記憶する不揮発性記憶装置21、設定部22を備える。
【0062】
テーブル20では、入力信号数、誤り訂正復号器1の符号化率、無線変調方式の種別、MIMO通信における送受信アンテナ数、通信における空間多重数、通信規格の種別、サブキャリア本数などに対して、Kの値が関連付けられている。
【0063】
設定部22は、スケーリング決定装置2の用いられる状況(入力信号数、符号化率、変調方式、送受信アンテナ数、空間多重数、通信規格、サブキャリア本数)を特定する条件情報と、テーブル20に基づいて、Kの値を決定し、決定されたKの値を、累積比較部71〜7nに設定する。
【0064】
本実施形態においては、条件情報に応じて、適切なKが設定される。これにより、最適なスケーリング値を決定することができ、最適な誤り訂正結果、最適な受信性能を得ることができる。
【0065】
なお、本実施形態においては、テーブル20を用いてKの値を決定しているが、テーブル20に代えて、決定木を用いるなど他の方法でKの値が決定されるとしてもよい。
【0066】
(第4の実施形態)
本実施形態においては、上記の第1から第3の実施形態に係るスケーリング決定装置2によって決定されたスケーリング値を用いた正規化について説明する。
【0067】
誤り訂正復号器1の入力ビット幅は、通常5ビット程度とされる。5ビット程度より小さくすると訂正能力が低下する。5ビット程度より大きくすると、ハードウェアのサイズが大きくなり、動作周波数の低減を引き起こす。
【0068】
図7は、サブキャリア振幅と度数との関係の一例を示すグラフである。この図7では、横軸はサブキャリア振幅を示し、縦軸は度数を示す。
【0069】
精度のよい訂正を実現するためには、サブキャリア振幅の分布が、入力ビット幅に収まるように正規化を行うことが重要である。
【0070】
図8は、本実施形態に係るスケーリング値と入力ビット幅との関係の一例を示すグラフである。この図8では、横軸はサブキャリア振幅を示し、縦軸は度数を示す。
【0071】
本実施形態においては、下からK番目のサブキャリア振幅が決定され、この決定されたサブキャリア振幅が量子化によって失われない正規化が行われる。
【0072】
これにより、量子化による情報喪失が誤り訂正範囲であることを保障することができる。
【0073】
なお、符号化率が高いほど、小さいサブキャリアを基準とするように、Kは設定される。また、Kの値は、変調方式で切り換えられる。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
1…誤り訂正復号器、2…スケーリング決定装置、3…正規化部、4,19…訂正演算部、51〜5n…しきい値比較部、61〜6n…カウンタ、71〜7n…累積比較部、81…第1の決定部、82…第の決定部、9…無線受信機、10…アンテナ、11…高周波回路、12…アナログ・デジタル変換回路、13…同期部、14…FFT部、15…伝送路推定部、16…伝送路等化部、17…復調部、18…正規化部、20…テーブル、21…不揮発性記憶部、22…設定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の入力信号に基づいて、前記複数の入力信号の小さい側からK番目の信号、又は、前記複数の入力信号を大きさで区分けする複数の範囲のうち前記小さい側からK番目の信号の属する範囲、を決定する第1の決定部と、
前記第1の決定部の決定結果に基づいて、前記小さい側からK番目の信号が正規化によって量子化誤差に埋もれないスケーリング値を決定する第2の決定部と
を具備する、スケーリング決定装置。
【請求項2】
前記第1の決定部は、
それぞれが前記複数の範囲のいずれかに対応し、対応する前記範囲の上限を示すしきい値と、前記複数の入力信号とを比較する複数のしきい値比較部と、
それぞれが前記複数の範囲のいずれかに対応し、対応する前記しきい値より小さい入力信号の数をカウントする複数のカウンタと、
それぞれが前記複数の範囲のいずれかに対応し、対応する前記カウンタのカウント値と、設定されているK値とを比較する累積比較部と、
を具備し、
前記第2の決定部は、
前記K値以上のカウント値を持つ前記範囲が正規化によって量子化誤差に埋もれないスケーリング値を決定する、
ことを特徴とする請求項1記載のスケーリング決定装置。
【請求項3】
前記Kの値を、通信規格、空間多重数、変調方式、符号化率、アンテナ数、サブキャリア本数、入力信号数のうちの少なくとも1つに基づいて設定する設定部をさらに具備する、請求項1又は請求項2記載のスケーリング決定装置。
【請求項4】
前記複数の入力信号は、複数のサブキャリア振幅、又は、複数の伝送路推定値である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のスケーリング決定装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のスケーリング決定装置を備える誤り訂正復号器であって、
前記スケーリング決定装置によって決定されたスケーリング値に基づいて、正規化対象信号を正規化する正規化部と、
前記正規化部によって正規化された信号に対して誤り訂正復号演算を実行する訂正演算部と
をさらに具備する誤り訂正復号器。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のスケーリング決定装置を備える直交周波数分割多重の受信装置であって、
前記入力信号は、直交周波数分割多重における伝送路推定によって得られる複数のサブキャリアの伝送路推定値であり、
前記正規化対象信号は、前記直交周波数分割多重における復調によって得られる対数尤度比であり、
前記対数尤度比を、前記スケーリング決定装置からのスケーリング値に基づいて正規化する正規化部と、
前記正規化部によって正規化された信号に対して誤り訂正復号演算を実行する訂正演算部と
をさらに具備する受信装置。
【請求項7】
複数の入力信号に基づいて、前記複数の入力信号の小さい側からK番目の信号、又は、前記複数の入力信号を大きさで区分けする複数の範囲のうち前記小さい側からK番目の信号の属する範囲、を決定することと、
前記小さい側からK番目の信号が正規化によって量子化誤差に埋もれないスケーリング値を決定することと
を具備する、スケーリング決定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−115542(P2013−115542A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258691(P2011−258691)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】