説明

スタイリング用コポリマー、スタイリング用組成物及びそれらの作製方法

本発明は、スタイリング用コポリマー、前記コポリマーのスタイリング用組成物、その作製方法及びヘアスタイリングの目的におけるその使用を開示する。前記コポリマーは、コロイドシリカと、少なくとも一つの水溶性モノオレフィンモノマーA及び少なくとも一つのモノオレフィンシランモノマーBの共重合モノマー部分とを含み、モノマーBの重量部分は、モノマー部分の総重量の1%未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コロイドシリカを含むスタイリング用コポリマー、前記コポリマーのスタイリング用組成物、その作製方法及びヘアスタイリングの目的におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
幾つかの異なる水溶性又は水分散性コポリマーが、クリーム、ボディローション、ヘアスプレー、ヘアゲル、コンディショナー、シャンプー及びスタイリングフュームなどのスタイリング用組成物に使用されることは知られている。スタイリング用コポリマーは、一方では、皮膚又はスタイリングした毛髪(dressed hair)の形状を維持するために特定の剛性を有する必要がある。しかし、他方では、そのようなポリマーは、トリートメントした皮膚又は毛髪が乾燥したときにスタイリング用ポリマーの一種の析出挙動をもたらすので、脆すぎてはいけない。上記記述の要件を満たすように、コポリマー又はスタイリング用組成物を正確に適合させる様々な試みが、従来技術において示されている。
【0003】
WO 2005/082 322 A1は、少なくとも二つの成分を使用する手法を提供し、そのうちの一方はコポリマー、すなわちビニルピロリドン、メタクリルアミド及びビニルイミダゾールを含むターポリマーである。他方は、賦形剤、添加剤及び/又は活性成分である。そのような添加剤の一つは、0.01〜15重量%の量で使用されるケイ素化合物であり、前記ケイ素化合物は、揮発性又は非揮発性及び可溶性又は不溶性のケイ素化合物から選択される。前記ケイ素化合物は、高分子量及び25℃で測定したとき1000〜2 Mio. cStの範囲の粘度を有することができる。
【0004】
粒子の形状を有する化合物も添加剤として使用することができる。前記顆粒化合物は、特に、シリカ及びアルカリ塩を含み、好ましくは溶媒に分散されており、いったん溶媒が蒸発すると、固体形態で析出する。前記添加剤の安定した分散体は、調製される反応混合物に流量限界でそれらを添加することによって得られる。
【0005】
また、WO 2005/082 322 A1の実施例は、液体ゲル、スプレーゲル、多様なムース又はヘアスプレーを得るために、コポリマー、例えばLuviset(登録商標)Clear及び別の化合物の同時使用を反映している。
【0006】
このことは、添加剤のような追加の物質が、使用されるコポリマーの物理化学的特性を微調整するために必要であることを意味する。これらの追加の物質は、コポリマーに物理的に結合しておらず、化学的に連結もしていない。これらは単に微細に分散されており、すなわち、これらはおよそ均質で安定した分散体を提供するために、コポリマーと正確に混合されなければならない。このことは困難であり、多くの時間を必要とし、費用がかかる。追加の物質はコポリマーに対して常に同じ間隔にあるとは限らず、したがってコポリマーとのあらゆる一定の又は正確な相互作用を阻害するので、偏析が例えば温度変化によっていつでも発生する可能性があり、このことは、例えば温度により変わる特性を有するコポリマーを生じる。しかし、高度に安定したヘアスタイル又は良好な皮膚のトリートメントは、気候条件によって変わることのない特性を示すコポリマーを含む組成物を必要とする。これは、そのような種類のコポリマーでは容易に達成することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO 2005/082 322 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、従来技術の前述の欠点を克服すること、並びに使用者が毛髪及び裸の両方ともに、特に毛髪のある皮膚に容易に適用することができる改善されたコポリマーとより簡単なヘアスタイリング用組成物を提供することが、本発明の目的である。組成物とコポリマーの両方とも、ぬれた毛髪の粘着特性を増強するべきであるが、乾燥毛髪では粘着性のままであるべきではない。いったん形成されたら髪型を維持する能力を提供するべきであり、特に厳しい気候条件下であってもカールの保持を増加させるべきであり、このことは毛髪の固定及び凝固特性の増加に寄与する。しかし、本発明のコポリマー及び組成物は、また、形成されたヘアスタイルからの析出を回避するために、挙動が非常に繊細で滑らかでなければならない。これらは、湿った皮膚、特に頭皮により十分に支持されるべきであり、水に可溶性又は分散性であるべきである。前記コポリマー及び組成物は、安価な製造方法により高い品質、純度及び多様な量で容易に得られるべきであり、前記方法は、本発明の別の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の主な特徴は、請求項1、13、14及び26から集めることができ、一方、更なる実施形態は、請求項2〜12及び15〜25に開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のコポリマーは、コロイドシリカと、少なくとも一つの水溶性モノオレフィンモノマーA及び少なくとも一つのモノオレフィンシランモノマーBの共重合モノマー部分とを含み、前記モノマーBの重量部分は、モノマー部分の総重量の1%未満である。
【0011】
本発明のそのようなコポリマーは、毛髪固定特性を増加させる。換言すると、前記コポリマーは、凝固効果、感覚的粘着性及びKempfによる粘着性によって測定されるように、スタイリングしたぬれた毛髪が乾燥したときでもその形状を維持することができる。激しく変化する気候条件であっても、本発明のポリマーにより得られる髪型を乱す、更には壊すことがない。特に、カール保持及び凝固効果は、気候条件に応じてかなり長時間、すなわち数日間維持される。本発明の前記コポリマー又はヘアスタイリング用組成物の別の利点は、ぬれた毛髪をより粘着性にして、より安定した、より素速い方法で整えられる髪型を生じることである。しかし、所定の濃度のモノオレフィンモノマーA、モノオレフィンシランモノマーBと、コロイドシリカとの組み合わせは、依然として、水において可溶性又は少なくとも分散性のままであるコポリマーを生じ、したがって、毛髪を薄めた洗剤水溶液で単に洗浄することによって容易に除去することができる。前記の可溶性又は分散性は、本発明のコポリマーが乾燥したときでも保存される。
【0012】
本発明のコポリマー及びヘアスタイリング用組成物におけるコロイドシリカ粒子の存在は、ヘアスタイルの感覚的凝固に優れ、トリートメントされた毛髪のカール保持を保存する。ぬれた毛髪及びその乾燥過程において粘着性を提供し、前記粘着性はヘアスタイリングを容易にする。いったん乾燥した毛髪の外観は、ヘアスタイルの乾燥が完了すると本発明のコポリマー又はヘアスタイリング用組成物の粘着特性は消滅するので、トリートメントされていない毛髪とほとんど変わらない。
【0013】
本発明のコポリマー及び対応するヘアスタイリング用組成物の有利な特性は、コロイドシリカ粒子が、ビニル反応性シランモノマーBの存在下でのモノマーAの重合の前又は間に添加される場合に得ることができる。代表的なモノマーBと反応させて表面処理シリカ粒子を調製すること、及びこの反応が完全に完了したら、前記シラン化粒子を本発明の水溶性モノオレフィンモノマーAと反応させることは、本発明のコポリマー及びヘアスタイリング用組成物の特性を有するコポリマーを与えないことが見出された。このことは未だに正確に理解されていないが、本発明に開示されているモノマーA及びモノマーBによるシリカ粒子の同時又は重複処理と比較して、別々の工程において実施されたモノマーBによるシリカ粒子の異なる遮蔽に起因する場合がある。
【0014】
モノマー部分は、モノマーAを30〜99.9重量%の間、好ましくは60〜99.2重量%の間、極めて好ましい実施形態において80〜99.1重量%の間で含む。そのような多量のモノマーAは、容易に実施され経費が節減される溶液中のラジカル重合により容易に得ることができる、本発明のコポリマーをもたらす。複雑な処理の必要がなく、これらの量のモノマーAにより得られる本発明のコポリマーは、水に可溶性であるか又は少なくとも水分散性である。
【0015】
異なる化合物及び化合物混合物、並びにモノマーAについて理解すべき特徴を説明する前に、多様な定義がなされる。
【0016】
明細書及び請求項において使用されるw%又は重量%又は重量率という用語は、同じ又は別の化合物又は混合物の総重量に対する化合物又は混合物の重量を意味する。
【0017】
アルキルという用語は、単鎖及び分岐鎖アルキル基を含む。短炭素鎖を有する適切なアルキル基は、C1〜C8アルキル、優先的にはC1〜C6アルキル、なおより好ましい実施形態においてC1〜C4アルキルの種類の直鎖又は分岐鎖アルキル基である。前記基内の候補化合物は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、2-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1,2-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、2-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1-エチル-2-メチルプロピル、n-ヘプチル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、2-エチルペンチル、1-プロピルブチル、オクチルなどである。
【0018】
より長鎖の適切なアルキル基は、直鎖又は分岐鎖の性質のC8〜C30アルキル及びC8〜C30アルケニル部分を含み、それらの代表的な例は、n-ヘキシル(エン)、n-ヘプチル(エン)、n-オクチル(エン)、n-ノニル(エン)、n-デシル(エン)、n-ウンデシル(エン)、n-ドデシル(エン)、n-トリデシル(エン)、n-テトラデシル(エン)、n-ペンタデシル(エン)、n-ヘキサデシル(エン)、n-ヘプタデシル(エン)、n-オクタデシル(エン)及びn-ノナデシル(エン)であり、ここで語句(エン)は、任意であり、一つ又は複数の二重結合が前述のより長鎖のアルキル部分の任意の位置に位置し得ることを意味する。
【0019】
アルキルは、一つから五つの置換基を含む炭化水素主鎖も意味し、前記置換基は、シクロアルキル、アリール、ヘタリール、アシル、COOH、カルボキシレート、非置換アミド、N-モノ-(C1〜C16)-アルキルアミド、N-ジ-(C1〜C16)-アルキルアミド、-SO3H、スルホネート及びアルキルアミノカルボニルの群から選択される。前記置換基は、炭化水素主鎖に連結する場合があるのみならず、そのままアルキル基を形成する場合もある。
【0020】
シクロアルキルという用語は、3〜8個の炭素原子を有する炭化水素環構造を含み、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチルである。シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルのようなシクロアルキル基は、置換基を有さないか、好ましくは一つ、二つ又は三つの置換基を有し、更により好ましい実施形態において、シクロアルキル環に連結している唯一の置換基を含む。
【0021】
アルキル基は、また、ヘテロシクロアルキル環、すなわち、4〜7個の環原子、好ましくは5〜6個の環原子を有する複素環を含み、前記環原子の1又は2個はCと異なり、例えばO、N及び/又はSの群から選択される。そのようなヘテロシクロ脂肪族基の例は、ピロリジニル、ピペリジニル、2,2,6-テトラメチルピペリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、N-ピロリドニル、N-カプロラクタミル及びジオキサニルである。これらの基のうち、N-ピロリドニルは、美容目的に特に良好に適合することが見出された。
【0022】
前に記述されているように、アルキルという用語は、異なるアリール部分も含む。前記アリール部分には、フェニル、ベンジル、トルイル、キシリル、メシチル、ナフチル、フルオレニル、アントラセニル、フェナントレニル又はナフタセニル部分が含まれ、これらは置換されているか又は非置換である。最も好ましいアリール部分は、フェニル及びナフチルである。
【0023】
アルキルという用語の一部にもなっているヘタリール部分は、ピリジル、キノリニル、アクリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、1,2,3-トリアゾリル及びカルバゾリルなどの非置換及び置換ヘテロシクロ芳香族基を含む。
【0024】
本発明の極めて好ましいヘタリール部分は、イミダゾイル部分であり、それは、一方で特定の剛性を示し、他方では、本発明のコポリマーの柔軟性を妨げないようにそれほど大きなサイズではないからである。
【0025】
水溶性モノオレフィンモノマーA及びモノオレフィンシランモノマーBは、一緒に本発明のモノマー部分を構成し、それぞれの重量率の値を合計すると100になる。異なる種類のモノマーが、水溶性モノオレフィンモノマーAとして適しており、これも、図1に示されているように、モノマーAと呼ばれる。
【化1】

【0026】
モノマーAは、R1、R2、R3及びR4が水素又はアルキルであり、アルキルが前記に記述された部分に相当する、(1)ビニル、(2)アクリル、(3)メタクリル、(4)アクリルアミド又は(5)メタクリルアミドの主鎖からなる群より選択されることが理解される。
【0027】
R1では、N-ピロリドニル、N-カプロラクタミル、N-ピペリドニル、更なるN-イミダゾリル、N-ピリジニル及びカルボキシアミジルなどのラクタムが極めて好ましく、それは、前記アルキル基を有するモノマー又はモノマー混合物から作製されるポリマー又はコポリマーは、生理学的に許容され、水と接触しても二相系をもたらさないからである。
【0028】
R2、R3及びR4は、好ましくは、形成されるコポリマーが硬すぎ、それによって脆くなることを回避するために、H又は脂肪族の性質を有するアルキルから選択される。
【0029】
モノマー部分のモノマーAは単一の実体であることができる。しかし、モノマー部分が二つから五つの間の異なるモノマーAを含む場合に、本発明のコポリマーの柔軟性と安定性の両方についてより良好な結果が得られた。このことは、嵩高と嵩高の低いモノマーAの釣り合いをとることによって、コポリマーの特性を調整する機会を与える。事実、モノマー部分が三つの異なるモノマーAを含み、そのうち二つが嵩高であり、一つが嵩高ではない場合に非常に良好な結果が得られる。
【0030】
一つ又は複数のモノマーAは、前記一つ又は複数のモノマーAがN-ビニルピロリドン、1-ビニルイミダゾール及び軟質モノマーからなる場合、本発明の安定したコポリマーを形成することに寄与することが見出された。N-ビニルピロリドン及び1-ビニルイミダゾールは、過剰量で存在する。N-ビニルピロリドン及び1-ビニルイミダゾールは、両方とも嵩高の環構造を有するが、これは極性であり、したがって水に可溶性である。この1-ビニルイミダゾールとN-ビニル-2-ピロリドンの同時使用は、本発明のコポリマーに、十分な剛性及び水溶性又は分散性を付与する。したがって、極めて望ましくない気候条件下でも毛髪にとどまるが、洗剤添加水ですすぐと容易に洗い流される。
【0031】
本発明の極めて好ましい実施形態において、一つ又は複数のモノマーAは、N-ビニルピロリドン、1-ビニルイミダゾール及び軟質モノマーからなり、N-ビニルピロリドン及び1-ビニルイミダゾールは、一緒に、モノマー部分の75〜85重量%の間、好ましくは78〜81重量%の間を占める。この高い嵩高モノマーの比率は、本発明のコポリマーの毛髪におけるより顕著な固定をもたらすが、他方では、より扱いにくいモノマーのN-ビニルピロリドンと1-ビニルイミダゾールの間にヒンジのように作用するより軟質モノマーの追加的な存在に起因して、剥離現象をもたらすことがない。
【0032】
したがって、本発明の好ましい実施形態において、モノマー部分は、(2)アクリレート、(3)メタクリレート、(4)アクリルアミド及び(5)メタクリルアミドからなる群より選択される軟質モノマーも含み、ここで、R2=H、1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖の非環式アルキルであり、R3、R4=H、1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖非環式アルキルである。環状又は芳香族構造は、軟質モノマーの残基R1、R2、R3、R4の範囲内にはない。
【0033】
モノマーAの範囲内の軟質モノマーが極めて不十分な剛性を提供する場合、軟質モノマーがH又はメチルのような小さい残基R2、R3及びR4のみを有するのであれば、このことは本発明のコポリマー安定性を損なうことがある。したがって、反対に立体的に結合回転の傾向が少ない軟質モノマーにとって、小さい実体を使用することは特に有用である。したがって、極めて適合した軟質モノマー候補は、R3、R4=Hのメタクリルアミド又はR2=Hのメタクリル酸であり、それは、小さい実体であり、アルファ位のメチル基及びアミド又はカルボキシ基によって結合回転が制限されているからである。最良の結果は、R3、R4=Hのメタクリルアミドによって得られ、それは、嵩高モノマーにとって適したヒンジであり、一方では望ましい剛性を保持するからである。
【0034】
モノマーAは、15〜25重量%の間、より好ましくは19〜21重量%の間の軟質モノマーを含む。この量は、髪型を維持する能力を弱めることなく、乾燥毛髪から剥離するのを回避するために、本発明のコポリマーを十分に柔軟にするのに十分である。
【0035】
本発明の好ましい実施形態において、モノマーAは、100g/lを超える水溶性を有する。水において可溶性になる前記の高い傾向は、本発明のコポリマーが、薄めた洗剤によりぬらした毛髪から直ぐに洗い流される又は湿らせた皮膚から除去されるようにする。
【0036】
しかし、モノマーAそれ自体の成分を重合することは、ヘアスタイルを十分に形作り維持するように、湿潤状態におけるコポリマーに十分な粘着性をもたらさない。前記コポリマーは、互いに十分に結合することができず、髪型の長期維持の原因となる連結構造を形成することができない。
【0037】
したがって、本発明は、モノマーBを更に必要とし、その重量部分は、モノマー部分の総重量の0.01〜0.99%、好ましくは0.1〜0.9%、最も好ましい実施形態において0.2〜0.8%の範囲である。モノマーBは、コロイドシリカの一種の下塗り(primer)の役割を果たし、すなわち、コロイドシリカとモノマーAの間により強力な化学的及び物理的相互作用を生じる。小さい濃度を選択すると所望の下塗り効果は得られないが、前記モノマーBの濃度が高い場合、重合過程の際の反応混合物におけるコロイドシリカの量及び希釈の程度を注意深く調整し、十分にモニターする必要がある。そうでなければ、大量のモノマーBを含有する反応混合物が正確に希釈及び調整されない場合、本発明の成分(モノマーA、モノマーB、コロイドシリカ)の広範囲な架橋が発生し、水性溶媒に容易に可溶化又は分散することができず、且つヘアスタイリング用組成物に配合することができない粘性の高いコポリマーを生じることを意味する。
【0038】
モノマーBの別の利点は、本発明のコポリマーを更により弾性にすることであり、これは、コロイドシリカが、相殺されるべき補強効果(下記を参照すること)を有するので必要である。毛髪を著しく伸ばし曲げる荒れた天候でも、したがって本発明のコポリマーは、本発明のコポリマーの持続性、すなわち破断しない構造によって、ヘアスタイルを壊す可能性はない。
【0039】
前記モノマーBは、ビニル反応性シランモノマーである場合、良好な下塗りである。反応性とは、モノマーBがラジカル重合により重合されることを意味する。ビニルという用語は、二重結合を有する全ての構造を含む。前記モノマーBが二つの異なる反応性部位を有し、そのうちの一方は、ラジカル重合性ビニル部分であり、他方は、別のアルキル化及び/又はアルコキシル化されているシリル基であることが分かる。したがって、重合は、高度に分岐されている主鎖を有するコポリマーを形成するように実施することができ、互いに絡まっている構造をもたらす。
【0040】
下塗りモノマーBは、モノマー(複数又は単数)Aとコロイドシリカの間のヒンジとして作用する。これは、シリカ粒子がモノマーAと適切な間隔にあるように配置され、すなわち、モノマーA、モノマーB及びコロイドシリカがコポリマーを形成するように設計され、ここでシリカ粒子は、真珠ネックレスのように整列され、シリカ粒子は、共有結合及び物理的相互作用の両方によって結合している。
【0041】
モノマーBは、本発明のコポリマーに前述のネックレス様構造をもたらすために、R5=アクリロイルオキシ-、メタクリロイルオキシ-、ビニルオキシ-、ビニル-であり、n=0〜10であり、R6=-O-(CH2)m-CH3(ここで、m=0〜4)、イソプロピル-、イソプロピルオキシ-、tert-ブチル、tert-ブチルオキシ-、sec-ブチル、sec-ブチルオキシ-であり、R7=R6、-H、-CH3、-CH2CH3である一般式:R5-(CH2)n-Si(R6)2R7を有することが求められる。前記構造は本発明のコポリマーにねじれを誘導し、非ねじれの、すなわちシリカ無含有のコポリマーと比較して、互いにより高い固定強度を与える。前記のより高い相互固定強度は、その一方で、コポリマーの柔軟性を低減しない。
【0042】
良好な結果は、R5=アクリロイルオキシ-、メタクリロイルオキシ-、ビニルオキシ-及びビニル-によって得られた。前記実体は、前述のモノマーとのラジカル重合により容易に反応することができ、それはこれらがサイズが極めて小さいからであり、そのことは迅速で経済的なコポリマー形成に寄与する。これらは、0〜10のメチレン基((CH2)n、ここでn=0〜10)からなるリンカーに連結している。nが10を超えると、シリカ粒子は、コポリマー主鎖からかなり離れて位置するモノマーBのシリル基と相互作用し、そのことは、シリカ粒子が自由に動けるようにする。そうであるならば、互いに会合するのを避けることができ、このように形成されるコポリマーの異なる束間の摩擦が低減され、前記コポリマーの固定強度の望ましくない低下をもたらす。
【0043】
モノマーBのシリル基は、リンカーの末端位置に連結しており、R6及びR7は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、イソプロピル-、イソピロピルオキシ-、tert-ブチル-、tert-ブチルオキシ-、sec-ブチル、sec-ブチルオキシ-の群から選択される異なるアルコキシ残基、並びに水素、メチル又はエチルを含む。前記の残基R6及びR7は、共重合過程の際に部分的に加水分解され、本発明のコポリマーの疎水性と親水性の部分の平衡を保ち、したがって、本発明のコポリマーに、負に帯電された毛髪と連結し、同時に洗剤含有水ですすぎ落とされる適切な能力を与える。
【0044】
モノマーBの一つの好ましい候補は、前述のアルコキシ基から選択されるR6、及びH、メチル又はエチルであるR7を含む。このことは、Si原子と連結した部分の間の反応性に差をもたらし、そのことはシリカ粒子の化学的及び物理的連結に影響を与える。特に、共重合の際に、モノマー部分に結合した、とりわけ、モノマーBに結合したシリカ粒子の量に対して、したがって、形成されたコポリマーの固定強度に対して影響を及ぼす。R6及びR7が同一実体であるように選択すると、二つの例外を除いて反応性に前記の差をもたらすことができない。
【0045】
一つは、構造:H2C=C(CH3)CO2(CH2)3Si(OCH3)3を有する(3-メタクリロイルオキシ)-プロピルトリメトキシシラン(MEMO)、すなわち、シリル部分に三つのメトキシ基を含むモノマーをモノマーBとして提供することである。モノマーBとしての(MEMO)により得られる本発明のコポリマーは、適当な量のコロイドシリカを結合し、したがって、三つの残基R6及びR7がメトキシであっても、適切な共重合体固定強度を保持することが見出された。
【0046】
匹敵する結果をもたらす第二のモノマーBの候補は、構造:H2C=CH-Si(OCH3)3を有するビニルトリメトキシシラン(VTMOS)であり、これもシリル部分に三つのメトキシ基を含む。
【0047】
本発明の一つの実施形態において、モノマーBは、(3-メタクリロイルオキシ)-プロピルトリメトキシシラン(MEMO)及びビニルトリメトキシシラン(VTMOS)の混合物である。3-メタクリロイルオキシ)-プロピルトリメトキシシラン(MEMO)とビニルトリメトキシシラン(VTMOS)の前記混合物における重量比は、1対9から9対1の範囲である。
【0048】
本発明の別の重要な実施形態において、共重合モノマー部分は、オレフィンモノマーCを更に含む。前記オレフィンモノマーCは、100g/l以下の水溶性を有する。本発明のそれぞれのコポリマーにとってモノマーCを含むことは必須ではないが、大部分のものにおいて強く推奨される。特に、モノマーAが100g/lを超える水溶性を有する場合には必要である。
【0049】
最終段落に開示される実施形態において、モノマーA、モノマーB及びモノマーCは、一緒にモノマー部分を構成し、すなわち、それぞれの比率の値を合計すると100%になる。
【0050】
モノマーCは、100g/l以下の水溶性を有するモノマーの群から選択される。モノマーCは、必ずしもモノマーを一つだけ含む必要はない。特定の実施形態において、異なるC型モノマー、すなわち、100g/l以下の水溶性を有するモノマーを含有する。
【0051】
本発明の実施形態を得る別の重要な化合物は、コロイドシリカである。モノマー部分の100重量部あたり、本発明のコポリマーは、0.01〜50重量部の間、好ましくは0.1〜30重量部の間、なおより好ましい実施形態において0.2〜20重量部の間の前記コロイドシリカを含む。
【0052】
コロイドシリカを含む本発明のコポリマーは、極めて弾性であり、トリートメントされた毛髪が十分に曲げられる又はねじられる場合でも、分解又は分断されない。これは、モノマー部分の主鎖に起因するのみならず、存在するコロイドシリカ粒子の量によってももたらされる。これらの粒子は、発生状態の(in status nascendi)、すなわち、重合過程の際のコポリマーに少なくとも部分的に結合し、既に記述された真珠ネックレス様構造を有する本発明の混ざり合ったコポリマー繊維をもたらす。前記シリカ粒子は、重合モノマー部分と部分的に共有結合し、水素結合又は他の物理的な引力相互作用により部分的に相互作用している。
【0053】
このことによって、本発明のコポリマーが、へら又はガラスロッドにより長く薄い繊維の形態で容器、例えばビーカー、反応器又はフラスコから容易に取り出されるが、これはモノマー部分のみにより得られるコポリマーでは不可能である。
【0054】
したがってコロイドシリカは、本発明のコポリマーに、柔軟性のみならず剛性の側面も付与し、すなわち、前記コポリマーは、顕著な分子間及び分子内固定強度を有する。前記固定強度は、前記述のへら試験によって決定される。長い繊維は、高い固定強度を有し、一方、より短いものは、小さい固定強度を有する又は固定強度を全く有さないと考えられる。高い固定強度を有するコポリマーは、厳しい気候条件下でも長い繊維形状を維持する。前記固定強度は、前記コポリマーを含むヘアスタイリング用組成物に保存され、下記に説明される凝固効果により定量化される。本発明のヘアスタイリング用組成物のために得られる大きな凝固効果は、いったん形成されたヘアスタイルを維持するための前提条件である。
【0055】
モノマー部分100重量部あたり、50重量部までのコロイドシリカが使用される。より多い量は、いったん乾燥すると毛髪における本発明のコポリマーの崩壊をもたらし、髪型からの白色粒子の剥離として観察される。
【0056】
30〜50重量部の間の高い重量のコロイドシリカ粒子は、粒径が非常に小さく、すなわち、5〜15nmの中間粒径の範囲であり、コロイドシリカの溶液に十分に分布している場合にのみ、使用することができる。しかし、そのような小さい粒子を有するコロイドシリカ溶液の保存寿命及び安定性について、注意が必要である。これらは凝集する傾向があり、そのことはより大きな粒子をもたらし、したがって粒子が乾燥毛髪から落下する。
【0057】
モノマー部分の100重量部あたり30重量部までのコロイドシリカの重量では、5nm〜75nmの中間粒径の範囲のより大きな粒子が、スタイリングした毛髪から粒子が析出するのを観察することなく使用される。
【0058】
本発明の極めて好ましい実施形態において、コポリマーは、モノマー部分の100重量部あたり0.2〜20重量部の間のコロイドシリカを含む。前記量のシリカは、このように合成されたコポリマーの所望のスタイリング効果を依然としてもたらし、共重合法において容易に取り扱うことができる。より多い量を用いると、混合及び撹拌にはより強力な撹拌手段が必要となり、このことは本発明のコポリマーの製造をより費用のかかるものにする。
【0059】
より容易な加工は、また、モノマー部分の100重量部あたり0.2〜20重量部の間のコロイドシリカを使用して達成され、前記シリカは中間粒径の15〜55nmを有し、それは、より小さい粒子は重合過程の際に、混合されるときにより少ないエネルギーを必要とするからである。
【0060】
使用されるコロイドシリカの最低量は、形成されるコポリマーの固定強度に影響を及ぼし、したがって、コポリマー又はヘアスタイリング用組成物のスタイリング性能と直接的な相関関係がある。スタイリングゲル又はヘアスプレーの場合のように、広範囲なスタイリング性能を有するコポリマー又はヘアスタイリング用組成物が望ましい場合、優先的には、モノマー部分の100重量部あたり少なくとも0.2重量部のコロイドシリカが、合成されるコポリマーに使用される。しかし、ヘアコンディショナー又はシャンプーでは、より低いスタイリング性能が求められ、これは、モノマー部分の100重量部あたり少なくとも0.01又は0.1重量部のコロイドシリカである、より少量のコロイドシリカによって既に達成されている。
【0061】
50〜500m2/g、より好ましくは100〜350m2/g、更により好ましくは200m2/g〜300m2/gの範囲、最も好ましくは200m2/gの比表面積を有するコロイドシリカ粒子は、モノマー部分、すなわちモノマーBとの多くの連結部位を提供するので、特定の量がモノマー部分と共有結合することが更に検出された。このことは、本発明のコポリマーをより安定にするので好ましい。500m2/gの比表面積を有するコロイドシリカ粒子は、この点に関して最も適しているはずであるが、350m2/g、300m2/g又は200m2/gの比表面積を有するコロイドシリカ粒子が示すように、広範囲のpHにわたって安定性を示さない。したがって、後者の使用がより好ましく、それは反応加工においてより多くの選択肢を残すからである。特に適しているものは、300m2/g〜200m2/gの範囲の比表面積を有するコロイドシリカ粒子であり、それは、これらが大きなpH範囲のpH安定性及びモノマーBにおける多くの連結部位の両方を一体化し、したがって、異なるpH値で製造されたとしても良好な固定強度を提供する本発明のコポリマーをもたらすからである。
【0062】
200m2/g及び300m2/g並びにより低い程度ではあるが350m2/gの前述の表面積を有するコロイドシリカも、低い凝集傾向を示し、したがって有利により高い保存寿命を有することが見出された。
【0063】
本発明のコポリマーの調製に使用されるコロイドシリカは、異なる形態の固体シリカから又は溶液系(solution-born)シリカから得られるゲル又はゾルである。使用されるシリカゲル又はシリカゾルの重量に基づいて、15〜50重量%、好ましくは25〜40重量%、最も好ましい実施形態において30〜40重量%の範囲の固形物の濃度を有する。
【0064】
熱分解コロイドシリカ、化学的及び物理的蒸着技術により得られるコロイドシリカ、並びにシリカゾルとして存在するコロイドシリカなどの異なる種類のコロイドシリカが、コポリマー形成法において分析された。後者は、溶液系コロイドシリカである。シリカゾルにおいて見出される形態構造を有するコロイドシリカ、すなわち、分子的に溶解されたケイ酸から生成されたコロイドシリカは、固定強度の増加を示す本発明のコポリマーをもたらすことが見出された。このことは、シリカゾルにおける小さいサイズの粒子、モノマー部分への大量の粒子の連結をもたらす非常に微細で均質な粒子分配及び主に、いったんケイ酸から生成されたゾル粒子が、不動態化する重合の前に完全には乾燥されず、したがってモノマー部分における利用可能性が低くなるという事実に起因する。シリカゾルは、液体形態であるので取扱いが容易であり、ポリマー部分のように、いかなる粉塵形成も伴うことなく反応容器に容易に供給することができる。前記種類のシリカの析出は、重合法において高温によっても発生しない。
【0065】
より多くのコロイドシリカ粒子が小さいサイズであり、均質に配列されると、本発明のコポリマーにおけるより多くの量のコロイドシリカは、前記コポリマー又はそのヘアスタイリング用組成物でトリートメントされた毛髪において、剥離又は析出の現象を観察することのないものになり得ると言うことができる。より多くの量のコロイドシリカは、固定強度、すなわち本発明のコポリマーの強度特性も改善する。これらは全て、シリカゾルを本発明のコポリマーに最適なシリカ供給源にする。前記コポリマー及びそのヘアスタイリング用組成物は、ぬれた毛髪の粘着特性を特に増強するが、乾燥毛髪では粘着性ではない。これらは、いったん形成された髪型を維持する能力を提供し、毛髪固定特性、特にカール保持を増加させる。
【0066】
小さいサイズを有するシリカ粒子は、モノマー部分における大量(extended amount)のモノマー、特にモノマーBに物理的及び/又は化学的に連結する能力を有する。換言すると、本発明のコポリマーと同等の固定強度は、より大きな粒径のコロイドシリカと比較して、小さい中間粒径及び高い表面積を有するより少量のコロイドシリカにより達成することができる。このことは、製造費用を低減する。
【0067】
本発明の極めて好ましいコロイドシリカは、30〜40重量%の重量濃度範囲のコロイドシリカを有するシリカゾルであり(すなわち、100gのゾルが30〜40gのコロイドシリカを含有する)、酸化二ナトリウム含有量(Na2O)は、100gのゾルあたり0.17〜0.2gの範囲であり、密度は1.205〜1.295g/cm3である。好ましくは、最大粘度の5〜20mPa s、比表面積の200m2/g及び平均粒径の15nmも示す。pH値は、9〜9.5の範囲であり、保存安定性は18か月である。前記シリカは、本発明のモノマーA、Bに対して高い適合性があり、高い柔軟性及び密接性の両方である、すなわち高い固定強度を有するコポリマーを生じることが分かった。
【0068】
本発明の別の重要な主題は、本発明のコポリマーにおけるコロイドシリカとモノマーBとの間の重量比、すなわち、固体強度を与える部分とリンカー様特性を有する実体との間の関係に注目する。コロイドシリカとモノマーBとの間の前記重量比は、4:1以下、好ましくは2:1以下であり、極めて好ましい実施形態において、1:1未満、1:1に等しい又は僅かに1:1を超える。本発明のコポリマーの固定特性は、コロイドシリカ及びモノマーBが組み合わせて提供されたときにのみ増加させることができる。最良の結果は、0.7:1〜1.3:1の範囲のコロイドシリカとモノマーBの重量比によって得られる。これは、前記比によって、モノマー部分に共有結合で連結しているコロイドシリカの量が最高になり、したがって、非常に密接な安定したコポリマーをもたらすからである。
【0069】
本発明のコポリマーは、それらの長期間にわたる高いスタイリング性能を顕著な安定性、すなわち、モノマー部分とコロイドシリカの密接な結合又は連結に負っている。少なくとも10重量%、好ましくは50重量%、より好ましくは80重量%の前記コロイドシリカが、共重合モノマー部分の少なくとも一つのモノマーBに共有結合している。このことは、既に説明したように、形成されたコポリマー繊維を互いに張り付かせ又は絡ませ、繊維構造をもたらし、これはシリカ粒子なしでは得られない。前記繊維構造は、コロイドシリカ粒子の形態でかかり(barb)を有するとみなすことができ、これは機械的に毛髪に引っかかり、したがってスタイリング効果の一部をもたらす。しかし、モノマー部分と化学結合を形成するのは、用いられるコロイドシリカの一部のみであるので、繊維は織り合わされすぎることはなく、したがって長くなることはなく、したがって、依然として、薄めた洗剤溶液により毛髪から容易に除去することができる。
【0070】
比較研究において、シリカ粒子を(3-メタクリロイルオキシ)-プロピルトリメトキシシラン(MEMO)で処理し、その後、前記MEMO-遮蔽粒子を異なるモノマーAとのラジカル重合に付した。この手順に従って、6重量%の遮蔽粒子のみが重合モノマーと共有結合で連結していることが見出された。前記コポリマーは、ガラスロッド又はへらにより引き裂くと、同じ長さ及び機械的品質の容易に形成された繊維には見えなかった。全ての試料が繊維を提供する傾向を示したのではなく、繊維は、本発明のコポリマーと比較するとより短く、より不安定であった。
【0071】
したがって、下記に更に詳述されるように、一つのみの反応によって合成されることが本発明のコポリマーの有利な特徴である。本発明のコポリマーは、ワンポット法により得られ、且つ使用されるコロイドシリカの少なくとも10重量%が共重合モノマー部分の少なくとも一つのモノマーBと共有結合しているとき、顕著な固定強度を示す。
【0072】
結合シリカ粒子は、コポリマー鎖間の摩擦を増加させる。反応混合物又は溶媒中のシリカ濃度が高いほど、形成された個々のコポリマー束間の摩擦効果が高く、得られたコポリマーの多くが、スタイリング効果、すなわち凝固効果を有するように適合される。前記コポリマーは、溶媒が完全に除去されたとき、最大の安定性及びスタイリング性能に達する。本発明の前記コポリマーは十分な安定性を示し、このことは、毛髪の顕著な曲げに対して分断されないことを意味する。
【0073】
上記に示されたように、異なる種類のコロイドシリカが異なるモノマーB化合物と反応した。極めて好ましいコポリマー、すなわち、毛髪固定特性を顕著に増加させた試験片は、コロイドシリカがシリカゾルであり、モノマーBが(3-メタクリロイルオキシ)-プロピルトリメトキシシラン(MEMO)及び/又はビニル-トリメトキシシラン(VTMOS)である場合に得られる。そのようなコポリマーは、スタイリングしたぬれた毛髪が乾燥したときでもその形状を維持することを可能にする。また、激しく変化する気候条件であっても、本発明のコポリマーにより得られる髪型を乱す、更には壊すことがない。特に、凝固効果、Kempfによる粘着性、感覚的粘着性及びカール保持は、かなり長時間、すなわち気候条件に応じて数日間維持される。本発明の前記コポリマー又はヘアスタイリング用組成物の別の利点は、ぬれた毛髪をより粘着性にして、より安定した、より素速い方法で整えられる髪型を生じることである。
【0074】
独立した保護が要求される本発明の別の主題は、1〜4、好ましくは2〜4、最も好ましい実施形態において3〜4の範囲の20℃及び相対湿度80%でのKempfによる粘着性を有するコポリマーを含むヘアスタイリング用組成物である。前記ヘアスタイリング用組成物は、優先的には、75〜95重量%の間の脱イオン水を含むヘアゲルであるか又はヘアスプレーである。ヘアスタイリング用組成物のKempfの粘着性は、下記に開示されるヘアゲルを使用して決定した。前記の粘着性は、過剰溶媒を含有しないヘアスタイリング用組成物が、接触した物質、例えば粒子に結合したままである能力を反映する。これは、前記粘着性が指で毛髪を触れて実感する感覚的なものではなく、純粋に、無生物固体物質に結合する組成物の能力に関することを意味する。粘着値が高いほど、例えば毛髪に結合したヘアスタイリング用組成物が効率的であり、したがって、前記組成物のスタイリング効果が良好である。
【0075】
本発明のコポリマーを含むヘアスタイリング用組成物は、24,000〜45,300mPA、好ましくは26,900〜39,100mPA、最も好ましい実施形態において27,300mPA〜29,050mPAの範囲の粘度を有する。45,300mPAの値を超えるヘアスタイリング用組成物は、もはや容易に適用されず、ぬれた毛髪に分布させることができないことが見出された。しかし、24,000mPA未満の粘度を有する組成物は、ぬれた毛髪から流れ出す傾向を有する非常に薄い流体をもたらした。
【0076】
粘度範囲が26,900〜39,100mPAになるように調製される場合、広範囲のコロイドシリカ及びモノマーBが、ヘアスタイリング用組成物に組み込まれることを示した。しかし、凝固効果の最高値は、27,300mPA〜29,050mPAの粘度範囲を有するヘアスタイリング用組成物により得られる。
【0077】
本発明の別の態様は、本発明のコポリマー又はコポリマーの混合物を含む繊維である。そのような繊維は、食物若しくは飼料生成物又は乾燥状態での保存を必要とする他の製品を包装する容器の製造に適している。包装と反応するあらゆる湿度は、包装された製品を攻撃する前に、包装を崩壊させる。前記コポリマー繊維により作製される容器は、生物学的適合性が高く、栄養製品を劣化させない。
【0078】
本発明は、また、本発明のコポリマーを作製する方法を含む。独立した保護が求められる前記方法は、水又は水性混合物を容器に入れること、まだ重合していないモノマー部分又はそのアリコートIIを容器に投入すること及び少なくとも一つの開始剤を添加して共重合を開始することを含む。本発明の前記モノマー部分又はそのアリコートIIは、少なくとも一つの水溶性モノオレフィンモノマーA、少なくとも一つのモノオレフィンシランモノマーBを含み、前記モノマーBの重量部分は、モノマー部分の総重量の1%未満であり、前記モノマー部分とコロイドシリカは、共重合の前及び/又は間に接触させる。
【0079】
モノマー部分は、モノマーA及びモノマーBを両方とも含む。コロイドシリカと接触すると、両方の化合物は前記コロイドシリカと相互作用し、こうして本発明のコポリマーを生じるようにその粒子を修飾する。換言すると、コロイドシリカ、モノマーA及びモノマーBは、所望の固定強度を有するコポリマーをもたらすため、したがってそれから調製される、所望の凝固効果を有するヘアスタイリング用組成物をもたらすために、重合過程の間に接触する必要がある。言い換えると、本発明のコポリマー及びそのヘアスタイリング用組成物の利点は、コロイドシリカ粒子が、少なくとも一つのビニル反応性シランモノマーの存在下で重合の前又は間に添加される場合にのみ得られる。
【0080】
直前の段落で示されたコロイドシリカの添加は、ヘアスタイリング用組成物の一部も髪型のカール保持を顕著に保存している、本発明のコポリマーをもたらす。重合過程の前又は間のシリカの前記添加は、更に、ヘアスタイリング用組成物としてぬれた毛髪に適用されたとき、毛髪の乾燥過程の際でも粘着性にするコポリマーをもたらす。このことは、ヘアスタイリングを大きく簡素化する。更に、毛髪、したがってヘアスタイリング用組成物が完全に乾燥すると、コポリマーの粘着性は消滅し、したがって毛髪に快い感触をもたらす。コポリマー製造の前記方法を使用することによって、シリカ粒子又はコポリマーの全成分の剥離が、コポリマー又はヘアスタイリング用組成物において観察される可能性はない。
【0081】
しかし、下記に示されるように、コロイドシリカが、既に完全に共重合されたモノマー部分に添加される場合、へら試験により得られる著しく低減された固定強度を有するコポリマーを得ることになり、したがってそれによりもたらされるヘアスタイリング用組成物は、大きく低減された凝固効果を示す。したがって共重合過程は、決して、コロイドシリカがモノマー部分と接触する前に終了するべきではない。
【0082】
第一工程においてコロイドシリカをモノオレフィンシランモノマーBの総量と接触させ、この反応が終了したときに、モノマーAの総量と接触させると、本発明の方法と比較して異なる結果を与えることも見出された(上記を参照すること)。そのような方法を実施する方法及びコロイドシリカの量と使用されるポリマー部分のモノマーの量は、本発明の方法に匹敵する結果を得るために別途調整される必要性があり得る。
【0083】
本発明の範囲内のアリコートI及びアリコートIIは、それぞれ、モノマー部分の特定の部分を意味し、一方、モノマー部分は、上記に定義されたモノマーA及びモノマーBを含む。上記に示された特定の条件下では、モノマー部分は、モノマーCも含む。アリコートIを反応容器の中に入れ、次に特定の方法により、例えば加熱により処理し、その後、アリコートIIと呼ばれる残りのモノマー部分を添加する。換言すると、アリコートI及びアリコートIIは、一緒になってモノマー部分をもたらす。しかし、モノマーA及びモノマーB(必要な場合は、モノマーC)のアリコートIへの分配は、アリコートIIと同じである必要はない。それぞれのモノマーの濃度をモノマー部分全体に必要なものにするために、アリコートIIはモノマーBが豊富であることができ、一方、アリコートIは、少ない量の前記モノマーBを含有する、又はその逆であることができる。
【0084】
本発明のコポリマーを作製する方法は、アリコートIIがモノマー部分に存在するモノマーAの総重量の5重量%〜95重量%の間及びモノマー部分に存在するモノマーBの総重量の5重量%〜95重量%の間を含むように実施される。したがって、両方のアリコートにモノマーA又はモノマーBが完全に涸渇していない限り、それぞれのアリコートにおけるそれぞれのモノマー濃度にかかわらず、所望の固定強度を有する本発明のコポリマーを得ることが可能である。
【0085】
本発明の広範囲な実施形態において、ヘアスタイリング用組成物の増加された凝固効果と言い換えられる増加された固定強度を有するコポリマーは、アリコートIIが、モノマー部分に使用されるモノマーBの95重量%まで及びモノマー部分に使用されるモノマーAの5重量%までを含む本発明の方法により得られる。換言すると、アリコートIIにおける少ない量のモノマーA及び前記アリコートIIにおける大量のモノマーBが、前記アリコートII及び前記シリカを水性混合物に添加し、本発明の共重合法を実施する前に、両方とも既にコロイドシリカと接触していることでも、顕著な固定強度を有する本発明のコポリマーをもたらす。
【0086】
本発明の方法の範囲内で使用される開始剤は、過酸化物及び/又はアゾ開始剤の群から選択される。
【0087】
有機及び無機の両方の過酸化物を含む過酸化物は、ジベンゾイルペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、スクシニルペルオキシド、tert-ブチルペルピバレート、tert-ブチル2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルペルマレエート、ビス-(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、tert-ブチルペルアセテート、2,2-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-アミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、p-メタンヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、過酸化水素、過硫酸ナトリウム及び前記開始剤の混合物である。前記開始剤を、アスコルビン酸などのレドックス成分と組み合わせて使用することもできる。特に適した過酸化物開始剤は、tert-ブチルペルネオデカノエート、tert-ブチルペルピバレート又はtert-ブチル2-エチルヘキサノエートである。
【0088】
好ましくは、フリーラジカル開始剤はアゾ開始剤である。適切なアゾ開始剤は、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2'-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2'-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}二塩酸塩、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2'-アゾビス(1-イミノ-1-ピロリジノ-2-エチルプロパン)二塩酸塩、2,2'-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド、2,2'-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]である。
【0089】
本発明の好ましい実施形態において、添加される開始剤は、過酸化物開始剤とアゾ開始剤を含む一対の開始剤である。これは、過酸化物が高温でのみ開始剤として作用し、一方、アゾ開始剤はより低温で既に作用するので、多様な温度で本発明の方法を実施する機会を与える。
【0090】
極めて好ましい実施形態において、添加される開始剤は、過酸化物開始剤、アゾ開始剤及び二亜硫酸ナトリウムを含み、それは前記二亜硫酸塩が過酸化物をアゾ化合物に必要なものよりも低い温度でも開始剤として既に作用するようにするからである。より低温での前記活性は、前記二亜硫酸塩が過酸化物を還元し、したがって、中間体としてラジカルを生成する能力に起因する。前記二亜硫酸ナトリウムは、依然として存在するあらゆるラジカルを還元するために、本発明の方法の終了時においても使用される。
【0091】
本発明の方法の範囲内の水は、通常の水道水と蒸留又は脱イオン水を含む。本発明の好ましい実施形態において、使用される水は、水道水をイオン交換樹脂ユニットに通過させて得られる脱イオン水である。イオン涸渇水は本発明の方法に全く影響を及ぼさないので好都合である。
【0092】
本発明の方法において求められる水性混合物は、とりわけ水を含有する異なる溶媒の混合物である。好ましい実施形態において、水性混合物は、水、並びにメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エタンジオール及びグリセロールを含む可溶性又は水分散性溶媒からなる群より選択される混合物である。
【0093】
本発明の特別の実施形態において、水性混合物は、微量の水を含有する。これらは、例えばメタノール又はエタノールにおいて存在する。このことは、共重合過程の前にモノマーBの加水分解の増加が生じるのを避けるために、モノマー部分の大量のアリコートIが水性混合物に入れられる場合に必要である。同じことが、モノマーBの群に属する大量のモノマーを含有するアリコートIにおいても当てはまる。
【0094】
本発明の特定のコポリマーでは、共重合法は、コロイドシリカの存在下で全てのモノマー部分により実施することができず(バッチ方法)、それは、前記部分及びコロイドシリカが容易に溶解しない又は重合法が開始しない又は十分に撹拌しても不均質である又は最終的に早すぎて制御できないからである。これを克服するために、水又は水性混合物は、少なくとも一つの水溶性モノオレフィンモノマーAを含有する。これは、モノマーA又はモノマーAの範囲内に含まれるモノマーの一つを、モノマー部分のアリコートIIを添加する前に、反応容器に入れることを意味する。これは半バッチ又は供給法であり、アルコートIIは、連続的に計量されること(供給)又は別個の工程(半バッチ)に適している。
【0095】
更に特定の実施形態において、水又は水性混合物中の少なくとも一つの水溶性モノオレフィンモノマーAは、N-ビニルピロリドンを含み、その量は、使用されるN-ビニルピロリドンの総量の12〜18重量%、好ましくは14〜16重量%の範囲である。N-ビニルピロリドンは、モノマーAの範囲内のモノマーの主要な部分を占めるので、本発明の均質なコポリマーを費用効果の高い方法で得るため、本発明のコポリマーに十分に分布されることが重要である。このため、示された量は、モノマー部分と別に、水性混合物に入れられる。
【0096】
本発明の別の実施形態において、モノマーAのみならず、モノマーAから選択されるモノマーメンバーの幾つかも容器に入れられる。モノマー部分のアリコートIを含有する水又は水性混合物の代わりに、モノマー部分の総重量の4〜25重量%、好ましくは6〜18重量%、より好ましくは8〜14重量%、特に好ましい実施形態において10〜12重量%を占める前記アリコートIがこのために使用される。そのような種類の手段は、加工費用を増加させることになる、可溶化、重合の遅い開始又は不均質又は早期重合の欠点を克服するために、濃縮溶液により処理する場合に必要である。8〜14重量%の間のモノマー部分を水性混合物に入れると、重合速度が増加し、撹拌手段により必要とされるエネルギーも低減することが見出された。アリコートIを水性混合物に入れることは、少量により重合過程を開始するためにも役立ち、その上、この過程は連続的に進行する。このことは、費用効果の高い方法で本発明の非常に均質のコポリマーをもたらす。
【0097】
直前の段落に記述されたなお広範囲型の本発明の実施形態は、水又は水性混合物がアリコートSを含有することを提供し、前記アリコートSは、使用されるコロイドシリカゾルの総重量の2〜8重量%の間、好ましくは5重量%を占める。この方法は、極めて均質に形成され、混ざり合った本発明のコポリマーをもたらすので重要である。
【0098】
本発明の更により展開された実施形態は、最後の二つの段落に記述された特徴に加えて、水又は水性混合物がプロトン供与体のアリコートPを含有することを含み、前記アリコートPは、使用されるプロトン供与体の総重量の2〜8重量%の範囲、好ましくは5重量%である。前記プロトン供与体は、優先的にはリン酸である。そのようにするために、コロイドシリカのアリコートS及びモノマー部分のモノマーBのアリコートIの縮合は、モノマー部分のアリコートIの共重合過程の前又は開始時に実施され、コロイドシリカに顕著に架橋された本発明の原料コポリマーをもたらす。前記コポリマーは、ぬれた毛髪に適用されたヘアスタイリング用組成物の広範囲な固化性能をもたらす。
【0099】
更により詳述される本発明の実施形態は、直前の三つの段落の特徴に加えて、水又は水性混合物がアリコートAを含有することを含み、前記アリコートAは、アゾ開始剤のアリコートであり、前記アリコートAは、使用されるアゾ開始剤の総重量の2〜10重量%の間、より好ましくは5〜6重量%の間を占める。前記は、モノマーBとコロイドシリカの縮合及びモノマー部分の共重合の両方が、容器中の水又は水性混合物において既に同時に発生し、本発明のコポリマーを作製する方法を円滑に開始することを助けることを意味する。
【0100】
本発明の均質コポリマーを素速くもたらし、したがって本発明の方法をより直接的で費用効果の高いものにする別の特徴は、少なくとも一つの水溶性モノオレフィンモノマーAを希釈形態で使用することである。前記モノマーAはメタクリルアミドである。前記メタクリルアミドは、10〜20重量%の範囲、好ましくは15重量%の濃度を有する水溶液として使用される。
【0101】
しかし、モノマーA及びモノマーB(また、存在する場合はモノマーC)は、モノマー部分としてアリコートIに同じ量で割り当てられる必要はない。例えば、モノマーB又はその代表的な分子は、モノマー部分全体よりも高い濃度でアリコートIに存在する傾向がある。
【0102】
本発明の別の実施形態において、まだ重合されていないモノマー部分又はそのアリコートIIは、プロトン供与体を含む。好ましい実施形態において、前記プロトン供与体はリン酸である。三つまでの前記プロトン遊離酸の存在は、モノマーBをケイ酸の類似体により容易に加水分解させ、前記ケイ酸はコロイドシリカと部分的に化学的に連結しており、前記縮合法は水の形成により作動される。このことは、上記に説明された高い固定強度を提供する本発明のコポリマーをもたらす。少ないプロトンを遊離するプロトン供与は、あまり好ましくない。
【0103】
前記プロトン供与体及び前記リン酸は、本発明の方法のそれぞれの実施形態の範囲内で、そのようなそれぞれの実施形態において明確に開示されていない場合でも使用するのに適していることを理解するべきである。本発明の方法のそれぞれの実施形態は、プロトン供与体、好ましくはリン酸を用いる又はプロトン供与体を用いない、のいずれかで読み解かれるべきである。
【0104】
本発明の標準的方法において、プロトン供与体及び少なくとも一つの開始剤は、コロイドシリカ、まだ重合されていないモノマー部分又はそのアリコートII及び水又は水性混合物と同時に反応する。そうすることにおいて、モノマーA又はモノマーA及びCとモノマーBとの共重合、並びにモノマーBのシリル有機部分の加水分解、続くコロイドシリカへの部分縮合が同時に発生する。
【0105】
しかし、本発明の方法の変更された実施形態において、水又は水性混合物、まだ重合されていないモノマー部分又はそのアリコートII及びコロイドシリカは、プロトン供与体と反応し、少なくとも一つの開始剤を添加する前に一定時間インキュベートされる。前記一定時間は、5分から120分の範囲である。この方法は、共重合を開始する前に、モノマーBの加水分解過程を更に進行させるために行われ、モノマーBと共有結合するコロイドシリカの比率をより高くする。したがって、コロイドシリカが接触する一定時間を調整することによって、モノマー部分、水性混合物及びリン酸と、少なくとも一つの開始剤は、構造に対して影響を及ぼし、したがって本発明のコポリマーの固定強度に対して影響を及ぼす。上記に記述されたモノマーBの加水分解過程の期間の前に、少なくとも一つの開始剤を添加することに注意するべきである。
【0106】
本発明の方法の極めて好ましい実施形態において、使用されるコロイドシリカの重量は、モノオレフィンシランモノマーBの重量の四倍から一倍、好ましくはモノオレフィンシランモノマーBの重量の二倍から一倍の範囲であり、最も好ましい実施形態において、用いられるモノオレフィンシランモノマーBの重量に等しい。シリカとモノマーBのこれらの比は、高い固定強度を有する本発明のコポリマーをもたらす。
【0107】
シリカの存在下でのモノマー部分の素速い共重合は、水又は水性混合物が、不活性雰囲気下で60〜80℃まで、好ましくは70℃まで加熱されたときに観察された。前記不活性雰囲気下での処理は、共重合過程の前又は間の酸化副産物の形成を低減し、ほぼ完全に回避する。不活性雰囲気は、窒素、アルゴン、キセノン、ヘリウム又はこれらの混合物からなる群より選択されるガスを含む。不活性雰囲気は、少なくとも50重量%の窒素量を有する空気/窒素混合物も含む。しかし、そのような空気含有混合物は、希釈モノマー部分と共に優先的に使用され、濃縮されたものにはあまり適合しない。
【0108】
本発明の最も均質なコポリマーは、モノマー部分又はそのアリコートIIが3時間から5時間の範囲、好ましくは4時間の時間、水又は水性混合物に投入されたときに得られた。この供給方法は、モノマーA(提供される場合は、モノマーC)のモノマー、モノマーBのモノマー及びコロイドシリカの円滑で規則的な反応を確実にするので、使用されるシリカ及びモノマー部分の量(下記の実施例を参照すること)が高く推奨される。
【0109】
本発明の方法の一つの特定の態様は、モノマー部分の量の0.01〜10重量%、好ましくは0.3〜5重量%の量で開始剤を使用することである。このことは、共重合反応を十分に素速くし、また他方では、一つ又は複数の開始剤の量が増加すると生じる、短い鎖を有し、したがってコポリマーの固定強度を低減する多くのコポリマーももたらさない。
【0110】
開始剤は、70℃〜80℃の範囲の容器温度で添加される。前記温度での処理は、アゾ活性剤を直ぐに活性化して、ラジカルを形成し、過酸化物をゆっくりとシフトして、ラジカルを形成させ、したがって、共重合過程に伴ってラジカル開始剤のほぼ均質の分配をもたらす。このことは、並はずれた前記固定強度を有する本発明の極めて均質なコポリマーをもたらす。
【0111】
また、少なくとも一つの開始剤を、まだ重合していないモノマー部分を投入する時間の1倍から1.3倍の間の時間かけて容器に添加することが、本発明の方法にとって重要である。例えば、前記モノマー部分を容器に添加するのに4時間かかる場合、少なくとも一つの開始剤は、4時間30分かけて添加される。この方法によって、ほぼ全体の共重合を達成することができ、得られたコポリマーの更なる加工をより容易にし、したがってより費用効果が高くなる。
【0112】
本発明の方法を実施することは、使用されるコロイドシリカがシリカゾルである場合、ほぼ簡素化され、経費節減になる。これは、シリカゾルを、いかなる有害な粉塵も形成することなく又は他の形態のシリカで生じ得るシリカ凝集を形成することなく、溶媒のように容器に容易に添加することができるからである。
【0113】
本発明の方法の本質的な特徴は、モノマー部分及びコロイドシリカを第一入口から供給すること及びフリーラジカル開始剤を前記第一入口と異なる少なくとも一つの入口から反応容器に添加することである。このことは、必要であれば、モノマーA(又はモノマーA及びC)とモノマーBの共重合反応を、モノマーBとコロイドシリカの加水分解及び縮合反応から物理的に分離する機会も与える。前記選択肢を有することは、実施者が、必要なコポリマーの量又はモノマー部分の性質にかかわりなく同じ品質の本発明のコポリマーを常に得る立場にする。
【0114】
標準的な目的において、本発明の方法は、モノマー部分、コロイドシリカ及び少なくとも一つの開始剤が、好ましくは酸性条件下での供給により一緒に混合されることを必要とする。そのような供給は、コロイドシリカ、モノマー部分及び少なくとも一つの開始剤の容器への添加の開始が同時に実施されることを意味する。これによって、モノマー部分、コロイドシリカ及び少なくとも一つの開始剤が異なる入口から供給される場合であっても、コロイドシリカとモノマーBの共重合過程と縮合過程の両方が同時に発生する。そのようなプロトコールは、時間の節約をもたらし、ゆえに無駄のない(lean)、したがって費用効果の高い本発明の方法をもたらす。
【0115】
モノマー部分及びコロイドシリカを第一入口から供給するのに必要な時間の1〜1.25倍、好ましくは1〜1.125倍の時間内で、第一入口と異なる少なくとも一つの入口からフリーラジカル開始剤を有利に添加して、重合を開始する。換言すると、フリーラジカル開始剤は、モノマー部分及びコロイドシリカの供給が停止された後でも、モノマー部分及びコロイドシリカに伴って容器に連続的に供給される。前記の方法により、すなわち、開始剤の過剰の添加により、コロイドシリカの存在下でモノマー部分の完全な共重合が確実になる。未反応モノマーA、モノマーB及び存在する場合はモノマーCの痕跡は残らず、ボディケアの分野、特にヘアスタイリング目的に使用される本発明のコポリマーを妨げない。したがって、得られた粗コポリマーからのモノマーの更なる困難で費用のかかる除去、例えば、蒸留、ストリッピングなどが必要ではない。
【0116】
しかし、大量の一つのモノマー/複数のモノマーA及び一つのモノマー/複数のモノマーB及びコロイドシリカが反応する場合又は本発明のコポリマーが極めて小さい範囲の分子量を有することが求められる場合又は狭い濃度範囲のコロイドシリカがモノマー部分と共有結合することが求められる場合、異なる供給プロトコールが費用効果の高い共重合のために求められる。それゆえ本発明は、モノマー部分及びコロイドシリカが第一入口から供給され、フリーラジカル開始剤が、10重量%〜100重量%のモノマー部分及びコロイドシリカが既に容器に投入されたときに、第一入口と異なる少なくとも一つの入口から反応容器に添加される方法を提供する。本発明の方法のなお別の有利な実施形態は、モノマー部分及びコロイドシリカが第一入口から供給され、フリーラジカル開始剤が、モノマー部分及びコロイドシリカが容器に完全に投入された5〜10分後に、第一入口と異なる少なくとも一つの入口から反応容器に添加されることを記載する。モノマーA及びモノマーB及び存在する場合はモノマーCの共重合過程が開始される前に、モノマーB及びコロイドシリカの大部分を反応させるため、モノマー部分及びコロイドシリカを含有する反応混合物にフリーラジカル開始剤を遅延添加する後者の方法が選択される。この方法は、コロイドシリカと容易に相互作用しない不十分な反応型のモノマーBの場合にも使用される。ラジカル開始剤の遅れた添加なしに、同様の費用効果の高い方法で反応性が不十分なモノオレフィンシランモノマーBから本発明のコポリマーを得ることは、ほとんど可能性がない。
【0117】
本発明の方法を室温で実施することは、かなり時間がかかり、したがって高価になる。したがって、共重合は、50℃〜220℃、好ましくは50℃〜100℃の範囲の温度で実施される。100℃までだけで処理することは、特別に適合させない、したがって安価な容器を使用する機会が与えられる。
【0118】
本発明の方法の別の実施形態は、共重合が圧力下、95℃〜220℃までの温度で実施されることを求める。圧力を適用する前記の特徴は、少量の溶媒に可溶性である又は可溶性が全くないモノマー部分により処理する場合に求められる。そのような少量の溶媒を記載されるより高温で用いると、水性混合物、コロイドシリカの水相及びモノマー部分の溶媒は蒸発する傾向があり、これは圧力を適用することによってのみ回避することができる。
【0119】
本発明の方法の別の本質的な特徴は、溶液中のラジカル重合によりコポリマーを合成することである。そのような顕著な固定強度を有するコポリマーは、溶液系から得た。分散体での共重合によって同等の結果を得ることはできなかった。このことは、おそらく、モノマー部分、コロイドシリカ及び少なくとも一つの開始剤の混合の程度がより低く、したがって前記成分の間にあまり広くない範囲の接触をもたらしたことに起因する。
【0120】
本発明は、美容目的、特にヘアスタイリング目的のための、コロイドシリカと、少なくとも一つの水溶性モノオレフィンモノマーA及び少なくとも一つのモノオレフィンシランモノマーBの共重合モノマー部分とを含むコポリマーの使用を更に含む。そのようなコポリマーは、現在までヘアスタイリング手段として使用される可能性はなかった。
【0121】
本発明の更なる特徴、詳細及び利点は、本発明の請求項の語句、並びに実施形態及び実施例に開示されている以下の記載によって生じる。前記記載は、本発明のコポリマーを得る一般的な方法も開示し、その後に詳細な方法の実施例が続く。更なる主題は、ヘアスタイリング用組成物及びその調製における前記コポリマーの性能を扱う。
【0122】
モノマーA又はモノマーAとして理解されるモノマー、モノマーB又はモノマーBとして理解されるモノマー、また最後にモノマーC又はモノマーCとして理解されるモノマー及びコロイドシリカが、開始剤と一緒に、重合温度で撹拌反応器又は容器に導入される。開始剤は、容器又は反応器に導入される前に、適切な溶媒で可溶化される。モノマーA及びモノマーB、すなわちモノマー部分、コロイドシリカ、プロトン供与体を含有する適切な溶媒及び可溶化された開始剤の導入は、供給プロセスによって実施される。換言すると、異なる成分が、水又は水性混合物、まだ重合されていないモノマー部分及び少なくとも一つの開始剤について異なる一定時間にわたって投与される。
【0123】
モノマー部分のアリコートI、水、コロイドシリカのアリコートS、プロトン供与体のアリコートP及びアゾ開始剤のアリコートAが、数バールまで内圧を支持するように適合された反応器である容器の中に投入される。アリコートの前記調製物は、以降、原料混合物と定義される。前記原料混合物は、アリコートS、アリコートP及びアリコートAを添加した水性混合物として理解することもできる。
【0124】
モノマー部分のアリコートIは、メタクリルアミド、1-ビニルイミダゾール、N-ビニルピロリドン及びメタクリロイルオキシ)-プロピルトリメトキシシラン(MEMO)を含む。モノマー部分の10〜12重量%を占める。しかし、前記モノマーA及び前記モノマーBの重量分布は、モノマー部分全体における前記モノマーの全体的な重量分布と同一ではない。モノマー部分のアリコートIの量率は、下記の実施例に提示されているデータに従って計算される。水、ラジカル開始剤及び二亜硫酸ナトリウムを除いた、本発明の方法に存在する全ての成分の総重量が決定される。次に、モノマー部分の総重量が決定され、総重量から推定される。残りの部分が総重量の特定の比率となる。次に、水涸渇供給1(供給1の定義は下記を参照すること)の総重量の5重量%になる値が計算される。前記値に上記に記述された特定の比率を掛けて、モノマー部分に属さない前記値内の部分を得る。供給1の総重量の5重量%になる値から前記部分を推定し、供給1のモノマー部分のアリコートIの量を得る。供給1の前記アリコートIの他に、一つ又は複数の更なるモノマーが原料混合物にある。供給1におけるこれらのモノマー及びアリコートIの合計が、原料混合物に存在するモノマー部分のアリコートIをもたらす。アリコートIの量をモノマー部分の重量との関係に置くと、モノマー部分の10〜12重量%の範囲のアリコートIの量率を得る。計算方法は、本発明の一つの実施形態として下記に例示される。
【0125】
アリコートSは、使用されるコロイドシリカゾルの重量のアリコートである。前記アリコートは、使用されるコロイドシリカゾルの総重量の2〜8重量%の間、好ましくは5重量%を占め、その計算は下記に示される。使用されるコロイドシリカは、粒径15nm及び比表面積200m2/gを有するシリカのシリカゾルである。密度1.295g/cm3及び最大粘度20mPa sを有する。水中濃度は40重量%であり、Na2O含有量は0.2重量%である。
【0126】
アリコートPは、反応容器の中に投入されるプロトン供与体の量を意味する。前記アリコートPは、使用されるプロトン供与体の総重量の2〜8重量%の間の範囲、好ましくは5重量%であり、その量は例として下記に計算される。使用される好ましいプロトン供与体は、濃度85重量%のリン酸である。
【0127】
アリコートAはアゾ開始剤のアリコートであり、幾つかの場合では、Wako V 50としても知られている2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩である。前記アリコートは、アゾ開始剤の総重量の5〜6重量%の間を占め、下記に例示される。
【0128】
上記に開示された原料混合物を、好ましくは窒素である不活性雰囲気下で、70℃まで加熱する。このことは、原料混合物の成分を部分的に共重合させ、使用されるモノマーAの一つの成分、すなわちN-ビニルピロリドンを、形成される本発明のコポリマー内に均質に大量に分散させる。原料混合物におけるN-ビニルピロリドンの量は、モノマー部分に使用されるN-ビニルピロリドンの総量の14〜16重量%の範囲であり、前記値の計算は下記に例示される。
【0129】
次に前記加熱原料混合物に、供給1の残りの部分(まだアリコートI、アリコートS及びアリコートPの部分ではない)及び供給2の残りの部分(まだアリコートAの部分ではない)を同時に添加する。
【0130】
供給1は、コロイドシリカ、プロトン供与体、脱イオン水及びモノマー部分のアリコートIIを含み、モノマー部分は、メタクリルアミド、1-ビニルイミダゾール、N-ビニルピロリドン及びメタクリロイルオキシ)-プロピルトリメトキシシラン(MEMO)からなる。本発明の全ての実施形態では、アリコートIIにおけるモノマーAのモノマーN-ビニルピロリドンの重量部分は、モノマー部分合計におけるものよりも少ない。供給1は、本発明の全ての実施形態において4時間かけて容器に投与される。
【0131】
供給2は、脱イオン水中のアゾ開始剤2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩を含む。供給2及びアリコートAの両方における脱イオン水中のアゾ開始剤の濃度は、同一であり、2〜4重量%の範囲である。供給2は、本発明の全ての実施形態において4時間30分かけて容器に投与される。換言すると、供給2のアゾ開始剤の投与は、供給1が終了した後に更に30分間続く。前記の進行方法によって、容器に残っているモノマーの量は顕著に低減されることができ、したがって本発明のコポリマーの更なる後処理をかなり容易にし、前記後処理は、ボディケア製品、特に毛髪用化粧品に対する要件に従うために必要である。
【0132】
得られる反応混合物を、反応を完了させるために70℃で更に2時間撹拌し、次に80℃で加熱する。前記温度で反応混合物に供給3を一度に添加し、更に10分間撹拌する。供給3は、ラジカル開始剤tert-ブチルヒドロペルオキシドの水溶液であり、その濃度は2〜3重量%の範囲である。この開始剤は、任意のまだ重合していないモノマーを変換する。
【0133】
次に、ラジカル開始剤及び依然として残留しているコポリマーラジカルの排除は、供給4により実施される。前記供給4は、30分間かけて容器に連続的に導入されるか又は4個の部分に分けて5分毎に導入される。供給4は、二亜硫酸ナトリウムの水溶液である。供給4における二亜硫酸ナトリウムの濃度は、10重量%〜12重量%の範囲である。更に2時間撹拌した後、反応混合物を120℃まで加熱し、水蒸気蒸留に約1時間付し、40℃に冷却する。
【0134】
このようにして得た本発明のコポリマーは、粘性の高い僅かに混濁した溶液の態様を有する。
【0135】
これらは、既に説明されているへら試験によって十分な固定強度を有することがモニターされる。しかし、それに加えて、ヘアスタイリング用組成物が調製され、前記ヘアスタイリング用組成物は、前記ヘアスタイリング用組成物でトリートメントされた毛髪の粘着性、感覚的粘着性、凝固効果、曲げ保持及びカール保持を改善する本発明のコポリマーの能力を実証するために、多様な物理的及び感覚的試験に付される。ヘアスタイリング用組成物の粘度及び本発明のコポリマーのK値などの物理化学的パラメーターも決定される。
【実施例】
【0136】
本発明のコポリマーのK値の決定:
K値は、N-メチオピロリドン(NMP溶液)の溶液中25℃で、Fikentscher, Cellulosechemie, 13巻, 58〜64頁(1932)に開示されたようにして決定した。前記K値は、本発明のコポリマーの分子量を決定する方法を提供する。本発明のコポリマーの乾燥固体の正確な1.000gの量を、100mlのメスフラスコに入れ、NMP溶液を添加して溶解し、振とうする。得られた溶液に、更なるNMP溶液をメスフラスコの目盛線まで添加する。前記溶液を、ウベローデの毛管粘度計に入れ、後者を、サーモスタットに取り付けた後、25℃で30分間インキュベートする。次に、粘度計の二つの目盛線の間の溶液のフロータイムを数回決定し、平均する。次に、得られた値を、粘度計により提供されるHagenbach-Couette係数により補正する。同じ測定を、純粋なNMP溶液で繰り返し、コポリマー添加NMP溶液のフロータイム値を純粋なNMP溶液のフロータイム値で割って、比ηrelを決定する。前記比ηrelから、例えばWilborn, Physikalische und Technische Prufverfahen fur Lacke und ihre Rohstoffe, Edition of 1953のハンドブックに開示された変換表によってK値を決定する。
【0137】
ゲル、すなわち本発明のコポリマーの一つのヘアスタイリング用組成物の調製:
1%のCarbopol(登録商標)940(CAS No. 9003-01-4アクリル酸ポリマー)を含有する水溶液を以下のように調製した:9880gの脱イオン水及び20gのEuxyl(登録商標)K 100(ベンジルアルコール、メチルクロロイソチアゾリノン及びメチルイソチアゾリノンを含み、およそ1.428の屈折率nd20及び20℃で1.07g/cm3の密度を有する抗菌調合剤)をベコ-ホモジナイザーに投入した。ホモジナイザーを始動し、調製物に漏斗が形成されるように調整した。100gのCarbopol(登録商標)940を調製物に素速く添加し、これらを最大10分間更に均質化した。次にホモジナイザーを密閉し、撹拌を開始した。撹拌は、全ての塊が消滅するまで実施した。
【0138】
6重量%の本発明の乾燥コポリマーを含有する水溶液(必要であれば、中和した)が調製され、ここでコポリマー溶液と呼ぶ。
【0139】
予め調製した98.66gのCarbopol(登録商標)940溶液をトリエタノールアミンで中和し、パドルミキサーにより80〜100RPMでおよそ30分間撹拌してゲルを形成した。次にコポリマー溶液を、一定に撹拌しながら、滴下漏斗により30分間かけて前記Carbopol(登録商標)940溶液に加え、少なくとも更に30分間更に撹拌した。このようにして形成されたゲルを遠心分離し、24時間後に評価した。
【0140】
本発明のヘアスタイリング用組成物の粘度の決定:
本発明のヘアスタイリング用組成物の粘度は、上記に示されたゲルを注入したBrookfield RVT粘度計を用いて室温でmPa sにより測定した。
【0141】
ヘアスタイリング用組成物でトリートメントした、すなわちゲルトリートメントした毛髪束の凝固効果の決定:
本発明のコポリマーを含むヘアスタイリング目的のゲルの調製は、「ゲル…の調製」において示されたように実施した。
【0142】
1gの前記ゲルを、およそ23cmの長さを有する毛髪束にへらにより適用し、指により毛髪束の方向に伸ばした。前記束を室温で一晩乾燥し、翌日、少なくとも二人により分析した。得られた結果は以下の範囲である:
+++ 極めて良好な凝固効果
++ 良好な凝固効果
+ 依然として良好な凝固効果
O 不十分な凝固効果
本発明のヘアスタイリング用組成物のKempfの粘着性:
分析されるゲル、すなわち本発明のコポリマーを含み、上記に示されたように調製されたゲルを、ガラスプレートに薄層として適用した。いったん層が乾燥して膜を形成すると、膜添加ガラスプレートを耐候試験機において20℃及び相対湿度80%で一晩保存した。次に前記プレートをKempf装置に設置した。ゲルから得た膜の5mm上方に、テープを装置に取り付けた。前記テープは50mmの幅を有するPelikan 2060型のプラスチック-カーボンテープである。円形ゴムスタンプ(直径400mm、Shore A硬度60±5)により、前記テープを膜に250±5 Nの力で10秒間押し付けた。粘着性である膜表面が大きいほど、より多くのプラスチック-カーボンテープの粒子が膜に残る。
【0143】
評価は0〜5の範囲であり、それぞれの値は以下のように理解されるべきである:
5 著しく粘着性がある
4 非常に粘着性がある
3 粘着性がある
2 粘着性が低い
1 ほとんど粘着性がない
0 全く粘着性がない
本発明のヘアスタイリング用組成物によりトリートメントされた毛髪束の感覚的粘着性の測定:
前記粘着性は湿らせた手によって決定した。上記の「ゲル…の調製」において示された本発明のゲルの1gを幅6cm及び長さ23cmを有する毛髪束のそれぞれの面に適用し、前記束を合わせた(したがって、合計2gのゲルが適用された)。束を少なくとも3時間乾燥し、その後、その粘着性を少なくとも二人により決定した。ぬらした窓ふき用布(window cloth)で手を10秒間湿らせ、その後、毛髪束を手で10秒間押さえた。手から前記束を取り外すとき、感覚的粘着性を評価した。比較のために、少なくとも一つの標準ゲルを使用した。
【0144】
評価は、以下のように0〜3の範囲で構成される:
0 全く粘着性がない
1 ほとんど粘着性がない
2 粘着性がある
3 著しく粘着性がある
本発明のヘアスタイリング用組成物によりトリートメントされた毛髪束の曲げ強さBtの決定:
上記に示された本発明のコポリマーのゲルを、ヘアスタイリング用組成物として調製した。50gの前記ゲルを脱イオン水に溶解して、220mlの溶液を得た。24cmの長さを有する乾燥毛髪束を計量した。その3gを、予め調製した溶液に浸漬し、それから取り出し、過剰溶液を取り除いた。毛髪束における溶液の均質な分配(reparation)を達成するために、浸漬、取り出し及び取り除きを三回実施した。
【0145】
過剰溶液の最後の取り除きは、親指と人差し指で行った。溶液の更なる除去は、毛髪束の重量が1〜1.4g(毛髪束の初期重量に対して)増加するように、毛髪束を濾紙の間で押すことにより実施した。このようにして得た束を、円形断面を有するように配列し、気候室に20℃及び相対湿度65%で一晩保存した。
【0146】
調製した束の分析は、引張及び圧縮分析機(Easytest 86 8002, Fa. Frank)により、前記に記述した気候条件を有する気候室において実施した。毛髪束を、試料ホルダーの二つの円筒ロールに対称的に設置した。前記ロールは、4mmの直径を有し、互いに9cmの間隔で離れている。束の上側から及び真ん中に近づける円形スタンプによって、束は40mm曲がり、束に得られたゲル膜の割れをもたらした。このために必要な力は、ロードセルを用いてNで決定した。
【0147】
本発明のヘアスタイリング用組成物によりトリートメントされた束のカール保持C.R.の決定:
本発明のコポリマーを含有する上記に示されたゲルを調製し、十分な量の前記ヘアスタイリング用組成物をガラスプレートに適用した。へらを用いて、ゲルを毛髪束にも、予め洗髪し乾燥した前記束をゲルで均一に飽和するように塗布した。過剰ゲルを絞り出し、櫛で梳き取った。次に15.5cmの長さLを有する束を、12mmの直径を有するTeflon(登録商標)ロッドに巻き取り、濾紙及びゴムひもで固定した。次に固定束を、60℃〜70℃の範囲の温度で一晩乾燥した。
【0148】
束添加ロッドを30分間冷まし、形成されたゲル膜が分断するのを回避するために、得られたカールを室温で注意深く取り外した。カールを吊り下げ、カール長さL0を測定した。その後、カールを、温度25℃及び相対湿度90%を有する気候室に入れた。カール長さLtを、前記気候室における15、30、60及び90分間後、並びに2、3、4、5及び24時間のインキュベーションの後で決定した。長さ測定は、5本の束でそれぞれ実施し、5時間後に得られた平均値Ltを使用し、以下の方程式を使用してカール保持を決定した:
カール保持C.R.(%)=(L-Lt)/(L-L0)×100
本発明のコポリマーの異なる特性及びこれらのそれぞれのゲルの挙動を示すために、幾つかのコポリマーを表1に示すように調製し、ヘアスタイリング用組成物に導入した。
【表1】

【0149】
表1から、凝固効果、感覚的粘着性及びKempf(すなわち、湿潤状態)の粘着性による全体的な効果は、コロイドシリカの存在下で重合するモノマー部分から得られるコポリマーを含む実施例1〜3のヘアスタイリング用組成物において非常に高いことが分かる。換言すると、モノマーA及びモノマーB(並びに、存在する場合はモノマーC)は、重合の前又は間にコロイドシリカと接触している必要がある。前記全体的な効果は、ヘアスタイリング用組成物の毛髪固定特性を強く増加し、すなわち、強力な固化性能を示すコポリマーを提供する。
【0150】
全体的な効果は、コロイドシリカを使用しないことにより又は重合が終了した後に添加することにより(実施例4、4aを参照すること)、有意に低減される。この効果は、モノマー部分がモノマーBも欠いた場合(実施例5、5aを参照すること)、更に悪化する。
【0151】
ヘアスタイリング用組成物の低減された全体的な効果は、モノマーBのみを欠いたコポリマーによっても得られ(実施例6a及び6bを参照すること)、前記欠点は、実施例7に示されているようなモノマーAのモノマー組成を単に変えることによってなくすことができない。
【0152】
モノマーB、すなわちMEMOとコロイドシリカの比が、形成されたコポリマーの固定強度に影響を及ぼし、したがって、前記コポリマーのヘアスタイリング用組成物の凝固効果に影響を及ぼすことに、更に留意するべきである。コロイドシリカとモノマーBとの間の前記重量比は、4:1以下、好ましくは2:1以下であり、極めて好ましい実施形態において、1:1未満、1:1に等しい又は僅かに1:1を超える。
【0153】
表1は、モノマーBがモノマー部分の総重量の1重量%未満であることも示す。
【0154】
モノマー部分の100重量部あたり、本発明のコポリマーは、1重量部以下、好ましくは少なくとも0.8重量部のコロイドシリカを含む。
【0155】
実施例1、2及び3は、N-ビニルピロリドンとも呼ばれるN-ビニル-2-ピロリドン、メタクリルアミド、1-ビニル-イミダゾール、3-メタクリロイルオキシ)-プロピルトリメトキシシラン(MEMO)及びコロイドシリカを含む本発明のコポリマーを示す。
【0156】
実施例1において、
脱イオン水:362.00g
N-ビニルピロリドン:17.5g
供給1の5重量%:25.95g
供給2の5重量%:2.73g
を含む原料混合物が、反応器である容器の中に投入される。
【0157】
供給1は、
メタクリルアミド(MAM)333.33g 15重量%のMAMを含有する水溶液と、
リン酸 1.25g 85重量%のリン酸を含有する水溶液と、
1-ビニルイミダゾール 15gと
N-ビニルピロリドン 165.5gと
3-メタクリロイルオキシ)-プロピルトリメトキシシラン(MEMO) 2gと
コロイドシリカ 2g 40重量%のコロイドシリカ粒子を含有する水溶液と
を含み、
コロイドシリカは、固体シリカが30〜40重量%の範囲の重量濃度及び200m2/gの比表面積を有するシリカゾルである。
【0158】
供給2は、
脱イオン水 52.5gと
Wako V 50 2gと
を含む。
【0159】
前記原料混合物は、モノマー部分のアリコートI、水、コロイドシリカのアリコートS、プロトン供与体のアリコートP及びアゾ開始剤のアリコートAを含む。アリコートP、アリコートS及びアリコートAを添加した水性混合物として理解することもできる。
【0160】
モノマー部分のアリコートIの量は、上記に説明されたように計算され、下記のように定量化される。
【0161】
(1)上記に定義された全ての成分の総重量:
17.5g + (333.33 * 0.15)g + 1.25g + 15g + 165.5g + 2g + 2g = 253.25g
(2)モノマー部分の総重量:
17.5g + (333.33 * 0.15)g + 15g + 165.5g + 2g = 250g
(3)モノマー部分ではない残部:
253.25g - 250g = 3.25g
(4)総重量の比率で表される残部:
3.25g = 1.28重量%
(5)脱イオン水を含まない供給1の総重量:
(333.33 * 0.15)g + 1.25g + 15g + 165.5g + 2g + 2g = 235.75g
(6)水涸渇供給1の総重量の5重量%:
11.7875g = (5)の5重量%
(7)(6)のモノマー部分ではない残部:
11.7875g * 1.28重量% = 0.1509g
(8)水涸渇供給1のモノマー部分のアリコートIの量:
11.7875g - 0.1509g = 11.6366g
(9)アリコートIの量:
11.6366g + 17.5g = 29.14g
(10)モノマー部分の量率に対応するアリコートI:
29.14g * (100/250g) = モノマー部分の11.66重量%
原料混合物におけるアリコートSの量は、以下のように計算される。
【0162】
原料混合物は、使用されるコロイドシリカゾルの総量の5重量%を含む供給1の量の5重量%を含有し、0.1gである。
【0163】
アリコートPの量は、下記に示されるように計算される。
【0164】
原料混合物は、使用されるリン酸の5重量%を含む供給1の量の5重量%を含有し、0.0625gである。
【0165】
アリコートAの量は、以下のように計算される。
【0166】
原料混合物は、使用されるWako V 50の総重量の5重量%を含む供給2の量の5重量%を含有し、0.1gである。
【0167】
原料混合物におけるN-ビニルピロリドンの量は、以下のように計算される。
【0168】
17.5g + (165.5g * 0.05) = 25.775g = モノマー部分におけるN-ビニルピロリドンの総量の14.09重量%。
【0169】
前記原料混合物を窒素下で70℃まで加熱し、供給1の残りの部分を4時間かけて、供給2の残りの部分を4時間30分間かけて添加する。次に反応混合物を70℃で更に2時間撹拌し、その後、80℃に加熱し、供給3を添加する。
【0170】
供給3は、
tert-ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)1.25g 70重量%のTBHPを含有する水溶液と、
脱イオン水 45gと
を含む。
【0171】
更に10分間撹拌した後、供給4を30分間かけて添加する。
【0172】
供給4は、
二亜硫酸ナトリウム 1gと
脱イオン水 7.5gと
を含む。
【0173】
更に2時間の撹拌を実施し、その後、水蒸気蒸留を120℃で実施し、その後、得られた生成物を40℃に冷却する。前記生成物は、大部分が撹拌するのが困難である粘性の高い溶液である。
【表2】

【0174】
実施例2〜7は、異なる試薬を示された量で使用して、実施例1と同様に実施した。
【0175】
例として、本発明のコポリマーを含む異なるヘアスタイリング用組成物、特にヘアスタイリング用ゲルが下記に示される。
【0176】
ヘアスタイリング用ゲル1:
A相
0.50g カーボマー又はアクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー
91.20g 脱イオン水
B相
0.90g テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン
C相
7.00g 本発明のコポリマー
0.20g 香油/揮発油
十分量 防腐剤
0.10g プロピレングリコール
ヘアスタイリング用ゲル2:[%]
A相
0.50g カーボマー又はアクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー
86.40g 脱イオン水
B相
0.70g トリエタノールアミン
C相
11.00g スタイリング用ポリマー又は例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニルコポリマー、ポリクオタニウム-4(PQ-4)、PQ-11、PQ-16、PQ-46、PQ-44、PQ-68、ビニルピロリドン/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマーなどの組み合わせ
0.20g ポリエチレングリコール-25-パラ-アミノ安息香酸
2.00g ポリウレタンPU.1
0.10g 香油/揮発油
十分量 ポリエチレングリコール-14ジメチコン
十分量 防腐剤
0.10g 酢酸トコフェリル
本発明は、コロイドシリカを含むスタイリング用コポリマー、前記コポリマーのスタイリング用組成物、その作製方法及びヘアスタイリングの目的におけるその使用を開示することが理解される。前記コポリマーは、コロイドシリカと、少なくとも一つの水溶性モノオレフィンモノマーA及び少なくとも一つのモノオレフィンシランモノマーBの共重合モノマー部分とを含み、モノマーBの重量部分は、モノマー部分の総重量の1%未満である。特定の実施形態における共重合モノマー部分は、モノマーCも含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コロイドシリカと、
-少なくとも一つの水溶性モノオレフィンモノマーA及び
-少なくとも一つのモノオレフィンシランモノマーB
の共重合モノマー部分とを含み、モノマーBの重量部分がモノマー部分の総重量の1%未満である、ヘアスタイリング目的のためのコポリマー。
【請求項2】
モノマー部分が、モノマーAを30〜99.9重量%、好ましくは60〜99.2重量%、最も好ましい実施形態において80〜99.1重量%の間で含む、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項3】
モノマーBの重量部分が、モノマー部分の総重量の0.01〜0.99%、好ましくは0.1〜0.9%、最も好ましい実施形態において0.2〜0.8%の範囲である、請求項1又は2に記載のコポリマー。
【請求項4】
モノマーBがビニル反応性シランモノマーである、請求項1から3のいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項5】
モノマーBが、一般式:
R5-(CH2)n-Si(R6)2R7
を有し、
-R5=アクリロイルオキシ-、メタクリロイルオキシ-、ビニルオキシ-、ビニル-であり、
-n=0〜10であり、
-R6=-O-(CH2)m-CH3(ここで、m=0〜4)、イソプロピル-、イソプロピルオキシ、tert-ブチル-、tert-ブチルオキシ-、sec-ブチル-、sec-ブチルオキシであり、
-R7=R6、-H、-CH3、-CH2CH3である、
請求項1から4のいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項6】
モノマーBが、(3-メタクリロイルオキシ)-プロピルトリメトキシシラン(MEMO)及び/又はビニルトリメトキシシラン(VTMOS)である、請求項1から5のいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項7】
モノマー部分の100重量部あたり、0.01〜50重量部の間、好ましくは0.1〜30重量部の間、なおより好ましい実施形態において0.2〜20重量部の間のコロイドシリカを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項8】
コロイドシリカが、5〜200nm、好ましくは5〜75nm、最も好ましい実施形態において15〜55nmの中間粒径を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項9】
コロイドシリカが、50〜500m2/g、より好ましくは100〜350m2/g、更により好ましくは200m2/g〜300m2/gの範囲、最も好ましくは200m2/gの比表面積を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項10】
コロイドシリカが、シリカゾルにおいて見出される形態構造を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項11】
少なくとも10重量%、好ましくは50重量%、より好ましくは80重量%のコロイドシリカが、共重合モノマー部分の少なくとも一つのモノマーBに共有結合している、請求項1から10のいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項12】
コロイドシリカがシリカゾルであり、モノマーBが、(3-メタクリロイルオキシ)-プロピルトリメトキシシラン(MEMO)及び/又はビニルトリメトキシシラン(VTMOS)である、請求項1から11のいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項13】
1〜4、好ましくは2〜4、最も好ましい実施形態において3〜4の範囲の20℃及び相対湿度80でのKempfによる粘着性を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載のコポリマーを含むヘアスタイリング用組成物。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載のコポリマーを作製する方法であって、
-水又は水性混合物を容器に入れること、
-まだ重合していないモノマー部分又はそのアリコートIIを容器に投入すること、
-少なくとも一つの開始剤を添加して、共重合を開始すること
(ここで、モノマー部分又はそのアリコートIIが、
-少なくとも一つの水溶性モノオレフィンモノマーA及び
-少なくとも一つのモノオレフィンシランモノマーB
を含み、
-モノマーBの重量部分がモノマー部分の総重量の1%未満である)、並びに
-前記モノマー部分をコロイドシリカと、共重合の前及び/又は間に接触させること
を含む方法。
【請求項15】
水又は水性混合物が少なくとも一つの水溶性モノオレフィンモノマーAを含有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
水又は水性混合物が、モノマー部分のアリコートIを含有し、前記アリコートIが、モノマー部分の総重量の4〜25重量%、好ましくは6〜18重量%、より好ましくは8〜14重量%、特に好ましい実施形態において10〜12重量%を占める、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
水又は水性混合物が、不活性雰囲気下で60〜80℃まで、好ましくは70℃まで加熱される、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
モノマー部分又はそのアリコートIIが、3時間から5時間の範囲、好ましくは4時間の時間、水又は水性混合物に投入される、請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
開始剤が、モノマー部分の量の0.01〜10重量%、好ましくは0.3〜5重量%の量で使用される、請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
開始剤が70℃〜80℃の範囲の容器温度で添加される、請求項14から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
使用されるコロイドシリカがシリカゾルである、請求項14から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
モノマー部分及びコロイドシリカが、第一入口から供給され、フリーラジカル開始剤が、第一入口と異なる少なくとも一つの入口から反応容器に添加される、請求項14から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
共重合が、50℃〜220℃、好ましくは50℃〜100℃の範囲の温度で実施される、請求項14から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
共重合が、圧力下、95℃〜220℃までの温度で実施される、請求項14から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
コポリマーが溶液中のラジカル重合により合成される、請求項14から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
コロイドシリカと、
-少なくとも一つの水溶性モノオレフィンモノマーA及び
-少なくとも一つのモノオレフィンシランモノマーB
の共重合モノマー部分とを含む、好ましくは請求項1から25のいずれか一項に記載のコポリマーの、美容目的、特にヘアスタイリング目的のための使用。

【公表番号】特表2012−514581(P2012−514581A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544016(P2011−544016)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067420
【国際公開番号】WO2010/076234
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】