説明

スタンド式の椅子、スタンド式の椅子の取り換え方法及び連結具

【課題】椅子の交換作業を施行する上でアンカーボルトの取り外し作業や取り付け作業無くして椅子の交換作業を行うことができる技術を提供すること。
【解決手段】設置面に固定されるベースシャフト305に嵌合される第1の嵌合部104bと、椅子の座部を支持する支持シャフト406と嵌合し、前記第1の嵌合部104bの反対側に位置する第2の嵌合部102と、この第2の嵌合部102及び前記第1の嵌合部104bを接続する接続部104aと、を備えるジョイントアダプタ100、を有する椅子であって、前記ジョイントアダプター100は、前記ベースシャフト305及び前記支持シャフト406に対して着脱自在であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタンド式の椅子、スタンド式の椅子の取り換え方法及び連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
図9(a)を用いて、第1の従来例を説明する。飲食店や、遊技機の設置されているパーラーには、飲食中又は遊技中に使用者が着座するためのスタンド式の椅子が設置されている。図9(a)は、そのようなスタンド式の椅子から当該椅子の利用者が座る座部を省略して示す一例300を示すものである。
【0003】
当該図9(a)には、例えば両端が開口した円筒形部材301と、その下端に取り付けられて、放射状に張出す張り出しフランジ302が示されている。張り出しフランジ302は、複数(本明細書では2つ)のアンカーボルト303により設置面に固定される。これにより、椅子の使用者が着座しても、椅子が倒れないようになっている。また、張り出しフランジ302には、アンカーボルト303が通される複数の通し孔(図示せず)が穿孔されている。そして、前記張り出しフランジ302の中心箇所には、前記円筒形部材301が固定される。当該固定にあたり、張り出しフランジ302と前記円筒形部材301とは溶着され両者が一体化される。当該一体化されたものをベースシャフトといい符号305で示す。
【0004】
ベースシャフト305のうち、前記円筒形部材301には、その上部開口301a(図6参照)には、スタンド式椅子の高さ寸法を定める円筒形状をしたオートリターンシャフト306が、幾分隙間嵌めの状態で内嵌されている。これによりオートリターンシャフト306が、円筒形部材301に対して回転自在な状態で一体化される。そして、スタンド式の椅子300の座部に使用者が着座したままの状態で、使用者は座部と共に水平面内で時計回りに又は反時計回りに回転することができる。
【0005】
当該回転をした後、座部が元の位置に自動的に戻れるようになっており、そのために、図示しないスプリング等の弾性部材が、オートリターンシャフト306に収納されている。当該弾性材の弾撥力が座部に作用すると、座部をこれに外力が掛かる前の位置に戻そうとする。
【0006】
したがって、使用者が座部から少し立ち上がっただけで、弾性部材の弾撥力により、座部はその回転前の元の位置にまで戻される。また、オートリターンシャフト306は、その下端部が、既述のように、前記円筒形部材301に内嵌されている。オートリターンシャフト306の上端部には、前記座部を固定できるようにするための、オートリターンシャフト306よりも細い径の座部固定用シャフト307を備えている(図9(a)参照)。さらに、この座部固定用シャフト307には、図示しない座部が、例えば、パチンコ台に対して前後方向にスライド可能になるように取着されている。このような第1の従来例300にあっては、下方から上方に向けて、ベースシャフト305−オートリターンシャフト306−座部固定用シャフト307の順でなる三段式の台座309を構築する。
【0007】
一方、図9(b)は、第2の従来例300Aを示す。第2の従来例300Aにあっても、第1の従来例300の場合と同様、スタンド式の椅子から座部を省略したものを示す。また第2の従来例300Aは、ガス圧を利用して椅子の高さ寸法を使用者の好みの高さに定めるスタンド式の椅子に適用される。そして、第1の従来例と同様、三段式の台座309Aを形成する。つまり、円筒形部材301A及び張り出しフランジ302とからなるベースシャフト305Aと、その上段の中間シャフト401と、最上段に位置するシャフト
であってかつ図示されない座部が取着される座部固定用シャフト404とを有する。また第2の従来例300Aに使用される座部においても、第1の従来例300Aと同様、例えば、パチンコ台に対して前後方向にスライド可能になるようになっている。なお、第2従来例にあっても、中間シャフト401に弾性材が組み込まれ、第1の従来例のオートリターンシャフト306と同様、水平面内で時計回りに又は反時計回りに回転する。そして、中間シャフト401と、座部固定用シャフト404とは一体化されている。当該一体化されたものを支持シャフトと呼称し、符号406で示す。
【0008】
第2の従来例300Aが、第1の従来例300と相違する点は、既述したガス圧を利用して椅子の高さ寸法を定めることができるようになっている以外に、シャフト各段の高さ寸法と太さにある。これは、第1の従来例300に係るスタンド式の椅子では、ガス圧を利用して椅子の高さ寸法を使用者の好みの高さに定めるという方式を採用していないことに起因する。なお、使用者が、椅子に取り付けられている図示しない操作バーを操作することで、中間シャフト401が、ベースシャフト305Aの円筒形部材301A内を上下動する。このように中間シャフト401を上下動させることができるのは、ベースシャフト305A内に注入されたガス圧を利用することに因る。なお、第2の従来例が第1の従来例と同等の箇所には同一符号を付して説明を省略する。
【0009】
いずれの従来例の場合も、径大な部材(シャフト)に嵌合されていた径小な部材(シャフト)を引き抜くことで径大な部材から径小な部材を取り外すことが可能である。反対に両者を組み付ける場合は、径大な部材に径小な部材を差し込むことで行う。なお、径大な部材と径小な部材は一体成形したものでもよい。
【0010】
また、いずれの従来例の場合も椅子を新しいものに取り替える場合は、ベースシャフト305、305Aから、それらの上部に位置する部材(シャフト)を引き抜き、その後、アンカーボルト303を設置面から取り外すことで行う。反対に、ベースシャフト305、305Aにそれらの上部に位置する部材(シャフト)を差し込む場合は、ベースシャフト305、305Aをアンカーボルト303で締め付けてから行う。
【0011】
ところで、このような第1の従来例300に係るスタンド式の椅子及び第2の従来例300Aに係るスタンド式の椅子のいずれも経年劣化等の損傷やガス漏れ等に起因する故障によって、新しい部品に交換を必要とする場合がある。例えば、第1の従来例300に係るスタンド式の椅子を第2の従来例300Aに係るガス圧による高さ調整可能なスタンド式の椅子に交換する場合、第1の従来例に係るベースシャフト305を含む構成部品の全てを第2の従来例300Aに係るスタンド式の椅子の構成部品の全てと交換しなければならなかった。これは、第1の従来例300に係るスタンド式の椅子の構成部品と第2の従来例300Aに係るスタンド式の椅子の構成部品とでは寸法が相違するため、第1の従来例に係るスタンド式の椅子の構成部品を第2の従来例に係るスタンド式の椅子の構成部品と組み替えることができなかったためである。換言すれば部品の共通化を図ることが、両者の間で実行することができなかったためである。
【0012】
したがって、従来においては、(1)椅子を交換するのに組み替え部品の費用が高額になる、(2)ベースシャフト305、305Aの設置面からの取り換えを行うにあたりアンカーボルト303の取り換えに起因して設置面に損傷を生じる、(3)まだ使用できるものまで処分の対象となり無駄である、(4)スタンド式の椅子の取り付け及び取り外し作業を行う上で、アンカーボルトの取り付け及び取り外し作業(アンカーボルトの打ち直し作業)を要する等の問題があった。
【0013】
そこで、スタンド式の椅子の交換作業を施行する上でアンカーボルトの取り外し作業や取り付け作業をせずともスタンド式の椅子の交換作業を行える技術が求められた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特表2008−571177号公報
【特許文献2】特開平09−140488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、椅子の交換作業を施行する上でアンカーボルトの取り外し作業や取り付け作業を無くして椅子の交換作業を行うことができる技術を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
すなわち、本発明のスタンド式の椅子は、設置面に固定されるベースシャフトと、このベースシャフトに対し、着脱自在に嵌合されるジョイントアダプターと、このジョイントアダプターに対して着脱自在に取り付けられるとともに、先端に座部が取り付けられる支持シャフトとを備えたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、設置面に固定されるベースシャフトに嵌合される第1の嵌合部と、椅子の座部を支持する支持シャフトと嵌合し、前記第1の嵌合部の反対側に位置する第2の嵌合部と、この第2の嵌合部及び前記第1の嵌合部を接続する接続部と、を備えるジョイントアダプタ、を有する椅子であって、前記ジョイントアダプターは、前記ベースシャフト及び前記支持シャフトに対して着脱自在であることを特徴とするスタンド式の椅子である。
【0018】
さらに本発明は、設置面に取り付けられるスタンド式の椅子の取り換え方法でもある。その特徴とするところは、設置面に取り付けられるスタンド式の椅子の取り換え方法であって、前記設置面に固定されている既存のベースシャフトから当該ベースシャフトに組み付けられている部材を取り外すステップと、当該部材が取り外された状態の前記ベースシャフトに連結具を組み込むステップと、この連結具に座部を含む部材を組み付けるステップとを有することにある。
【0019】
そして本発明は連結具でもある。その特徴とする点は、設置面に固定されるベースシャフトに嵌合される第1の嵌合部と、椅子の座部を支持する支持シャフトと嵌合し、前記第1の嵌合部の反対側に位置する第2の嵌合部と、この第2の嵌合部及び前記第1の嵌合部を接続する接続部と、を備えることにある。
【0020】
また、前記ベースシャフトは、上方に開口され、かつ内面にテーパが付けられた上部開口を有すると共に、この上部開口に嵌合される前記第1の嵌合部は、その外周面にテーパ部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、椅子の交換作業を施行する上でアンカーボルトの取り外し作業や取り付け作業をしないでも椅子の交換作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るスタンド式の椅子の全体斜視図である。
【図2】図1から座部を取り外した状態の正面図である。
【図3】ジョイントアダプターの正面図である。
【図4】ジョイントアダプターの平面図である。
【図5】ジョイントアダプターの底面図である。
【図6】スタンド式の椅子の取り換え手順を説明するための最初の図であり、図6(a)は交換前のスタンド式の椅子を示し、図6(b)は、図6(a)の状態からベースシャフト以外の部材を取り払った直後の状態を示す図である。
【図7】図6に連続する図であって、図7(a)は、図6(b)の状態からベースシャフトのみになった状態を示す図であり、図7(b)は、ベースシャフトにジョイントアダプターを取り付ける直前の状態を示す図であり、図7(c)は、ベースシャフトにジョイントアダプターを取り付けた状態を示す図である。
【図8】図8(a)は、図7(c)に連続する図であって、ジョイントアダプターの上部開口に、新品の又は、使用済みであるがまだ使用することができる、中間シャフト及び座部固定用シャフトを組み合わせて一体化したものをその中間シャフト側が下方になるようにしてジョイントアダプターに内嵌しようとしている状態を示す図であり、図8(b)は、図8(a)の状態から、ジョイントアダプターの上部開口に、新品の又は、使用済みであるがまだ使用することができる、中間シャフト及び座部固定用シャフトを組み合わせて一体化したものをジョイントアダプターに内嵌した状態を示す図である。
【図9】図9(a)は第1の従来例を示し、図9(b)は第2の従来例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明を実施するための形態(以下、実施形態)を実施例に基づいて例示的に説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状その相対配置などは、特に特定的に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらに限定する趣旨ではない。
【0024】
本願発明のスタンド式の椅子1は(図1参照)、当該椅子の基台となるベース部材としてのベースシャフト305と、このベースシャフト305の上位に位置するジョイントアダプター100と、このジョイントアダプター100よりも上位に位置する中間シャフト401と、中間シャフト401の上位に位置する座部固定用シャフト404と、座部固定用シャフト404に取着された座部11とを備える。
【0025】
以下これらの部材について詳述する。
ベースシャフト305は、少なくとも上端が開口した円筒形部材301の下端に取り付けられかつ放射状に張出す張り出しフランジ302を有する。そして、この張り出しフランジ302にアンカーボルト303を通すことで、設置面にベースシャフト305を固定する。
【0026】
ジョイントアダプター100は、前記ベースシャフト305における前記円筒形部材301の上部開口301a(図6、図7参照)に嵌合される嵌合部である。
また、中間シャフト401は、前記ジョイントアダプター100にその上端側で嵌合される。
【0027】
座部固定用シャフト404は、中間シャフト401と嵌合等によって一体に連結され、座部を取り除いた状態で最上段に位置する(図2参照)。そして、座部固定用シャフト404は、座部が、例えば、パーラーに設置されるパチンコ台に対して、前後方向にスライド可能になるように取着される部位である。
【0028】
このような、スタンド式の椅子1は、これを第2の従来例と比較すると、その主たる違いは、ジョイントアダプター100にある。よって、ジョイントアダプター100及びそれに関連する事項について詳述し、同一箇所には同一符号を付して説明を省略する。
【0029】
図3に示すように、ジョイントアダプター100は、既述のように、ベースシャフト305及び中間シャフト401の間に設置されて、両者を接続(連結)するためのものである。また、ジョイントアダプター100は、円筒管をプレス加工して形成したものである。当該ジョイントアダプター100は径の大きな径大部(第2の嵌合部に相当)102と径大部102に連続して形成されかつそれよりも径の小さな径小部104とに分けられる。
【0030】
径大部102は、ジョイントアダプター100におけるほぼ2/3の長さ寸法を占める中空の円筒形状をしている。また、径小部104は、残りのほぼ1/3の長さ寸法を占めている。
【0031】
径大部102は、中空の円筒形状をしている。これに対し、径小部104は、径大部102に連続しかつ切頭円錐形状をした切頭円錐部104aと、切頭円錐部104aに連続する筒状部104b(第1の嵌合部に相当)とからなる漏斗形状をしたものである。切頭円錐形部104aは、径大部102と、径小部104の筒状部104bとの間に位置し、かつ両者を接続する接続部として機能する。
【0032】
したがって、ジョイントアダプター100は、その全体形状として両端が開口されかつ牛乳瓶等の飲用瓶を倒立させた如き形状をしている。そして、径大部102は、ジョイントアダプター100をベースシャフト305に取り付けた時に上方を向く上部開口100aを有し(図3参照)、径小部104は、下方を向く下部開口100bを有する(図3参照)。なお、径大部102は、その内面軸方向においてテーパ103がつくようにプレス加工されている。
【0033】
また、径小部104の筒状部104bの外径は、ベースシャフト305の上部開口100aの内径よりも幾分小さく形成されている。つまり、ベースシャフト305の上部開口301aに筒状部104bを内嵌したときに(図7参照)、ベースシャフト305の上部開口100aにジョイントアダプター100の筒状部104bが丁度締まるように、それらの形状及び寸法が定められている。換言すれば、この実施例では、交換作業前の段階で、ベースシャフト305に嵌まっていた、例えば第1の従来例に係るオートリターンシャフト306の外径とほぼ同じ大きさになるように、ベースシャフト305の上部開口100aの内径が定められている(図6、7参照)。
【0034】
このような径小部104は、径大部102から連続しかつ切頭円錐状になるようにプレス加工される。当該プレス加工を施すことにより、縦断面で見て斜めに加工された切頭円錐部104aと、当該切頭円錐部104aに連続して形成され、かつ前記ベースシャフト305の前記円筒形部材301に内嵌される、径小部104の切頭円錐部104aよりも小径な円筒形状をした筒状部104bとを有するといえる。
【0035】
前記切頭円錐部104aは、その径が、いずれの箇所においてもベースシャフト305の上部開口100aの内径よりも大きくなるようにプレス加工されている。よって、切頭円錐部301aによって、下方に向けられたジョイントアダプター100のそれ以上の進行が阻止される。
【0036】
また、筒状部104bは、その外周面全体にテーパ108がプレス加工によってつけられている(図3参照)。さらに、ベースシャフト305の円筒形部材301の内周面にもテーパ308が付けられている(図6、図7参照)。テーパ108を径小部104の筒状部104bにつけ、テーパ308をベースシャフト305の円筒形部材301につけることにより、筒状部104bの前記ベースシャフト305に対しての脱着が容易になる。
【0037】
そして、ジョイントアダプター100をベースシャフト305に組み付けた状態において(図7参照)、ジョイントアダプター100の上部開口100a(図7参照)に中間シャフト401と、座部固定用シャフト404とが一体化されてなる支持シャフト406が内嵌される(図8参照)。そのために、ジョイントアダプター100の上部開口100aの内径よりも中間シャフト401の外径の方が若干小さく形成されている。
【0038】
一方、図3に示すように、径大部102にあっては、既述のように、その内面にテーパ103がプレス加工によってつけられている。つまり、ジョイントアダプター100の上部開口100aから、径小部104側に向けて、漸次、径大部102の肉厚が厚くなるようにテーパ103がプレス加工によってつけられている。これに対し、径大部102の内面軸方向につけられたテーパ103に合致するテーパが中間シャフト401の外周面につけられている(図示せず)。よって、当該テーパを介しての中間シャフト401を含む支持シャフト406のジョイントアダプター100に対する脱着が容易になる。
【0039】
次に図6〜図8を参照して、このような構成のジョイントアダプター100を用いて本発明に係るスタンド式の椅子の取り替え方法を述べる。なお、当該取り替えにあたっては、例えば、経年劣化等により取り替えを要することになったため、取り替えの対象として第1の従来例に係るスタンド式の椅子から座部を省略したもの300を示す。なお、当該取り替えにあたって説明上不要な座部等は省略してある。
【0040】
図6(a)は、交換前のスタンド式椅子から座部を省略して示す一例300を示す。そして、図6(a)の状態からベースシャフト305以外の部材を抜き取る(図6(b)参照)。また、図6(b)の状態からベースシャフト305のみになった状態を示すのが図7(a)である。当該状態のベースシャフト305にジョイントアダプター100のみを取り付ける(図7(b)及び図7(c)参照)。当該取り付けにあたり、ジョイントアダプター100の径小部104の側を下向きにする(図7(b)参照)。当該下向きの状態で、ベースシャフト305の上部開口301aに径小部104の筒状部104bを内嵌する(図7(c)参照)。
【0041】
次に、新品の又は、使用済みであるがまだ使用可能な、第2の従来例に係るスタンド式の椅子300Aの中間シャフト401及び座部固定用シャフト404を組み合わせて一体化した支持シャフト406を、中間シャフト401の側を下方にして、ジョイントアダプター100の上部開口100aに内嵌する(図8(a)、(b)参照)。その後、図示しない、ガス圧シリンダーが取り付けられた座部を、座部固定用シャフト404に取り付けることで、スタンド式の椅子1が組み付けられる(図1参照)。
【0042】
反対にこのようにして組み付けられたスタンド式の椅子1を取り外す場合は、上記組み立ての場合の逆の手順をふむ。つまり、図示を省略した座部を座部固定用シャフト404から取り外し、次に座部のついていない座部固定用シャフト404と、中間シャフト401とを組み合わせて一体化した支持シャフト406をジョイントアダプター100から抜き取る(図8(b)、図8(a)参照)。そして、最後にジョイントアダプター100をベースシャフト305から引き抜き、ベースシャフト305のみにする(図7(c)、図8(b)、図8(a)参照)。
【0043】
次に作用効果について述べる。
スタンド式の椅子1にあっては、経年劣化等の損傷やガス漏れ等に起因する故障によって、新しい部品や使用済みであるがまだ使用できる部品への交換をすることや、第1の従来例に係るスタンド式の椅子300を第2の従来例に係るスタンド式の椅子300Aに変更すること(以下、新品部品等の交換)を余儀なくされる場合がある。その場合において、ジョイントアダプター100を介在させることにより、既存のベースシャフト305を
残存させたまま、ジョイントアダプター100よりも上位に位置する部品であって、ベースシャフト305にこれまで使用されていた部品とは異なるシャフト径の新品部品等への交換が可能になる。
【0044】
また、スタンド式の椅子の交換作業を施行する上でアンカーボルトの取り外し作業や取り付け作業をせずともシャフト径の異なるスタンド式の椅子の交換作業を行える。
【0045】
なお、既存のベースシャフト305を残存させたまま、交換する部品を新品部品等にすることは、従来の技術でも可能であった。しかしながら、第1の従来例に係るスタンド式の椅子300を第2の従来例に係るスタンド式の椅子300Aに変更する場合のように、未だ使用が可能な異種類の部品からなる椅子の部品をベースシャフト305に組み付けることは、何らかの手当をしなければ不可能である。例えば、ベースシャフト305の開口部の内径に収まらない外径を有するシャフト401の椅子を組み合わせる場合である。そこで、本発明では、径を異にする径大部及び径小部104を有するジョイントアダプター100を利用することにより、部品の共通化を図ることを可能にし、もって異種類の椅子の構成部品を組み合わせることができるようにした。
【0046】
また、第1の従来例に係るスタンド式の椅子300を第2の従来例に係るスタンド式の椅子300Aに変更する場合のように、異種類の椅子間で新品部品等の交換をする場合、ジョイントアダプター100を利用することで、ベースシャフト305の交換が、不要になる。よって、スタンド式の椅子の交換作業を施行する上でアンカーボルトの取り外し作業や取り付け作業をせずともスタンド式の椅子の交換作業を行える。そして、当該ベースシャフト305の交換が不要になるので、それだけ手間を省くことができる。
【0047】
さらに、ベースシャフト305を残存させたままであるので、アンカーボルト304の取り外し作業に伴うスタンド式の椅子の設置面が損傷しにくくなる。このように、まだ使用できるものを再利用することが可能であるので無駄がなく経済的である。
【0048】
なお、嵌合部としてのジョイントアダプター100は、中間シャフト401及び座部固定用シャフト404を組み合わせて一体化した支持シャフト406と、ベースシャフト305とを着脱自在に連結するためのものであるため、連結具ということもできる。また、ジョイントアダプター100は、その筒状部104bの外周面にテーパがついており、テーパ308をベースシャフト305の円筒形部材301の内周面につけることにより、筒状部104bの前記ベースシャフト305に対しての脱着が容易になる。
【0049】
そして、ジョイントアダプター100は、その径大部102にあっては、その内面にテーパ103がつけられ(図3参照)、このテーパ103に合致する別のテーパが中間シャフト401の外周面につけられている(図示せず)。よって、これらのテーパを介しての中間シャフト401を含む支持シャフト406のジョイントアダプター100に対する脱着が容易になる。
【0050】
また切頭円錐形部104aは、下方にゆく程径小な切頭円錐形状をしているので、ベースシャフト305における円筒形部材301の上部開口300aに対してこれを脱着し易い。換言すれば、ジョイントアダプター100をベースシャフト305に対して、締めれば締めるほど締着力は強まり、緩めれば緩めるほど締着力は弱まる。このため、ベースシャフト305に対するジョイントアダプター100の脱着が容易かつ確実に実行できる。
【0051】
さらに、プレス加工を行う上で引っ張り応力を利用することで、ジョイントアダプター100を成型することも考えられる。
そして、本実施例では、下位にある部材がその上位にある部材を外嵌する場合を示した
。しかしながら、これに限定されるものではなく、逆に、上位の部材がその下位の部材を外嵌する場合にも適用できる。具体的には、支持シャフト406の中間シャフト401がその下位の部材であるジョイントアダプター100を外嵌し、ジョイントアダプター100が、その下位の部材であるベースシャフト305の円筒形部材301を外嵌するようにしてもよい。
【0052】
さらにまた、本実施例では、ジョイントアダプター100に関し、円筒管をプレス加工して径大部102及び径小部104とを有するものを開示したが、ジョイントアダプター100の外周面の全てを表面加工したものでもよい。
【0053】
加えて、本実施例では、ジョイントアダプター100をベースシャフト305に組み付けた際に、ジョイントアダプター100の径大部102が径小部104との位置関係で、上位に位置し、径小部104がその下位に位置するものを示した。しかしながら、径大部102が、径小部104との位置関係で、下位に位置し、径小部104がその上位に位置するように、既述したジョイントアダプター100におけるものと逆位置にあるようにしてもよい。その場合、径大部102の外径がベースシャフト305の外径よりも大きくなり、径小部104の外径が中間シャフト401の外径よりも小さくなる。
【符号の説明】
【0054】
1 椅子
11 座部
100 ジョイントアダプター(嵌合部、連結具)
100a 上部開口
100b 下部開口
102 径大部(第2の嵌合部)
103 テーパ
104 径小部
104a 切頭円錐部(接続部)
104b 筒状部(第1の嵌合部)
108 テーパ
300 第1の従来例であって、スタンド式椅子から座部を省略して示す一例
300A 第2の従来例であって、スタンド式椅子から座部を省略して示す一例
301 円筒形部材
301A 円筒形部材
301a 円筒形部材の上部開口
302 張り出しフランジ
303 アンカーボルト
305 ベースシャフト
305A ベースシャフト
306 オートリターンシャフト
307 座部固定用シャフト
308 ベースシャフトに付けられたテーパ
309 第1の従来例の三段式の台座
309A 第2の従来例の三段式の台座
401 中間シャフト
404 座部固定用シャフト
406 支持シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に固定されるベースシャフトと、
このベースシャフトに対し、着脱自在に嵌合されるジョイントアダプターと、
このジョイントアダプターに対して着脱自在に取り付けられるとともに、先端に座部が取り付けられる支持シャフトとを備えたスタンド式の椅子。
【請求項2】
設置面に固定されるベースシャフトに嵌合される第1の嵌合部と、
椅子の座部を支持する支持シャフトと嵌合し、前記第1の嵌合部の反対側に位置する第2の嵌合部と、
この第2の嵌合部及び前記第1の嵌合部を接続する接続部と、
を備えるジョイントアダプター、を有する椅子であって、
前記ジョイントアダプターは、前記ベースシャフト及び前記支持シャフトに対して着脱自在であることを特徴とするスタンド式の椅子。
【請求項3】
設置面に取り付けられるスタンド式の椅子の取り換え方法であって、
前記設置面に固定されている既存のベースシャフトから当該ベースシャフトに組み付けられている部材を取り外すステップと、
当該部材が取り外された状態の前記ベースシャフトに連結具を組み込むステップと、
この連結具に座部を含む部材を組み付けるステップとを有するスタンド式の椅子の取り換え方法。
【請求項4】
設置面に固定されるベースシャフトに嵌合される第1の嵌合部と、
椅子の座部を支持する支持シャフトと嵌合し、前記第1の嵌合部の反対側に位置する第2の嵌合部と、
この第2の嵌合部及び前記第1の嵌合部を接続する接続部と、を備える、椅子の連結具。
【請求項5】
前記ベースシャフトは、上方に開口され、かつ内面にテーパが付けられた上部開口を有すると共に、この上部開口に嵌合される前記第1の嵌合部は、その外周面にテーパ部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の連結具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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