説明

スタートレバー

【課題】開始機能を含む2以上の機能を有するスタートレバーを提供する。
【解決手段】スタートレバーにおいて、レバー軸3の前端に操作部2が形成され、該レバー軸3の全周方向に傾動可能なレバー部1と、後端側に固定された複数のセンサ15a、15bと、後方に押圧されて各センサの検知部a、bにそれぞれ到達する、前方に付勢されている複数のセンサドグ12a、12bと、前記レバー部1の傾動を、傾動方向に対応するセンサドグに対する押圧力に変換する変換手段(9、41a、41b)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタートレバー、特にスロットマシン等の遊技機に適用して好適な、スタートレバーに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、図1に外観を示すようなスロットマシン等の遊技機100においては、外周面に図柄が描かれた3つのリール151a〜151cと、コインを賭けるラインを決定するベットボタン62、64と、遊技を開始させるスタートレバー65と、各々のリールを停止させる停止ボタン110a〜110cと、これらを収納する筐体102等を備えた構造を有している。
【0003】
一般的にスタートレバーは、ばねの復元力によって水平位置に保持されており、操作時には操作端が上下もしくは上下左右斜め、または前後のいずれかの方向に移動することにより、遮断されていた光センサの発光素子によって発せられた光が、該光センサの受光素子によって受光される、もしくはこの逆の作用によって、遊技の開始を検知させる検知信号が生成される。
【0004】
例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3にそれぞれ開示されるスタートレバーによれば、具体的には、スタートレバーの把持部を操作すると(例えば、レバー軸の通常の位置に対して、レバー軸そのものを傾動させると)、把持部とは逆方向のレバー軸の端部に設けられている押圧部材がスライド部材を押圧することにより、押圧方向とは逆方向にスプリングにより付勢されているスライド部材が、円筒状のケース内部を、把持部とは反対の軸方向に移動し(スライド部材の押圧方向に移動し)、スライド部材に設けられている被センサ部を押圧方向に押し出す。そして、センサ部が、この被センサ部の位置の変化を検出することにより、オン・オフ(スタートレバーが操作されたか否か)を検出する。
【0005】
前記特許文献1〜3に開示されているいずれのスタートレバーにおいても、レバー軸に対し軸回りいずれかの方向の傾動操作を行った場合、その傾動操作が方向に関係なく被センサ部(センサドグ)の軸方向移動として伝達されて非接触型センサからオン・オフ切替信号が出力されるようになっている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−000625号公報
【特許文献2】特開2003−010379号公報
【特許文献3】特開2006−296548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1〜3に開示されている従来のスタートレバーでは、複数の方向に傾動するように構成されてはいるが、いずれの方向に変位させてもその傾動操作が被センサ部の軸方向移動として伝達されて、非接触型センサからオン・オフ切替信号が出力されて、遊技を開始させるだけの単機能しかなった。
【0008】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、いずれの方向に変位させてもその傾動操作が被センサ部(センサドグ)の軸方向移動として伝達され、非接触型センサによって傾動操作を検出することができるスタートレバーを有効に活用し、スタートレバーに遊技開始の機能に加え、他の遊技上の機能(例えば、図1に示した液晶画面143上に表示されているキャラクタを選択したり、変更したりする演出等で利用できる)を持たせることにより、今までにない新たな遊技興趣を創出することを可能とする多機能のスタートレバーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、レバー軸の前端に操作部が形成され、該レバー軸の全周方向に傾動可能なレバー部と、後端側に固定された複数のセンサと、後方に押圧されて各センサの検知部にそれぞれ到達する、前方に付勢されている複数のセンサドグと、前記レバー部の傾動を、傾動方向に対応するセンサドグに対する押圧力に変換する変換手段とを備えたことにより、前記課題を解決したものである。
【0010】
本発明においては、前記変換手段が、レバー部の傾動方向によって、いずれか1つのセンサドグのみを押圧する場合と、もしくは2つ以上のセンサドグを同時に押圧する場合とが、可能であるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、スタートレバーを、複数のセンサと、各センサに対応する複数のセンサドグを備え、レバー部の傾動方向に応じて、それぞれ対応するセンサドグをセンサの検知部に到達できるようにしたので、該スタートレバーに2以上の機能を付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
図2は、本発明に係る一実施形態のスタートレバーを構成する部材の特徴を示す分解斜視図である。図3(A)は、レバー軸が中立位置にある場合のスタートレバーの外観斜視図、図3(B)は、その軸中心を通る水平断面図(上から見た状態)である。図4(A)は、レバー部を下側に押圧して傾動操作をした場合のスタートレバーの外観斜視図、図4(B)は、その同水平断面図である。図5(A)は、レバー部を左側に押圧して傾動操作をした場合のスタートレバーの外観斜視図、図5(B)は、その同水平断面図である。
【0014】
さらに、図6は、1つのスライドドグの拡大斜視図、図7(A)は、ケース部を正面方向から見た拡大斜視図、図7(B)は、ケース部を背面方向から見た拡大斜視図、図8は、スタートレバーの後端部に取付けられるセンサカバーの拡大斜視図である。
【0015】
本実施形態のスタートレバーは、図2、図3を中心に参照して説明すると、前端部に位置する把持球(操作部)2とレバー軸3が一体形成されたレバー部1と、常時にはレバー部1を中立状態となるように付勢するレバーばね5を内蔵し、且つ傾動方向の押圧操作もしくは軸心方向に押し込み操作可能にレバー部1を支持するレバーベース8と、レバー部1の傾動に連動して軸心方向に動作する2つのスライドドグ(センサドグ)12a、12bを内蔵し、且つケース部材14に収納され、レバー部1の傾動に連動して動作するスライドドグ12a、12bの動作を検知する、対応する2つのセンサ15a、15bと、ケース部材14に収納されたセンサ15a、15bを後端側で固定するセンサカバー16と、によって概ね構成されている。
【0016】
レバーベース8の内部は、内空領域21及び内空領域22が貫通孔23で軸方向に繋がっており、その内部を一体形成されたレバー部1のレバー軸3が貫通して配置される。レバーベース8の内空領域21には、レバー部1を常時に中立状態となるように付勢するレバーばね5を内蔵しており、レバーばね5はレバー軸3が嵌挿されているレバーストッパ4及びスラストコマ6に挟まれるように配されている。
【0017】
その他、内空領域21の底面にはスラストコマ保護座金7が配されている。レバーベース8の内空領域22には、周面に内接するように前端部周囲がR形状に形成されたスリーブ9が配置されている。スリーブ9の配されたレバー部1のレバー軸3の後端付近にはEリング11が嵌合しており、Eリング11及びスリーブ保護座金10、スリーブ9がばね5の付勢力に抗してレバー部1が前端部方向に抜けるのを防いでいる。
【0018】
レバーベース8の後端部には、ケース部材14が配されており、レバーベース8の後端部に設けられた雄ねじ部25と、ケース部材14の雌ねじ部51とで結合される。ケース部材14の中央底面53には摺動穴52a、52bが形成されており(図7(A)参照)、スライドドグ12a、12bに形成されたガイド軸部42(図6参照)が摺動可能に支持される。
【0019】
ガイド軸部42にはスライドドグばね13がそれぞれ配置され、常時には、スリーブ9の後端面とスライドドグ12の前方に延びたリブ41が当接し、スライドドグばね13により該スライドドグ12に前方への付勢力が与えられた状態となる。また、ガイド軸部42は摺動穴52a、52bを通ってフォトインタラプタからなる2つのセンサ15a、15bに向かってそれぞれ伸びているが、常時には図3(B)のように両センサ15a、15bの光軸a、bを遮光しない位置となるように配置されている。
【0020】
スライドドグ12a、12bは、リブ41が円筒部を周方向に略2分割した形状からなる同一部品であり、それぞれの側壁44と支持片43が当接することにより、円周方向に回転するのを防いでいる。ケース部材14の後端側壁に沿って形成された空間にはセンサ収納部54a、54bが形成されており、ケース部材14の後端にセンサカバー16がねじ17で結合されることにより、センサ15a、15bは固定される。
【0021】
センサカバー16の中央にはハーネス経路61が形成されており、ハーネス通し穴62a、62bへと続いている(図8参照)。ケース部材14とセンサカバー16の結合時には、ケース部材14の後端面に形成されたハーネス経路塞ぎ片55及び56がハーネス経路61にはまり、ハーネス通し穴62a、62bからハーネス経路61へとハーネスが抜けることを防いでいる(図7(B)参照)。
【0022】
なお、前記図2において、レバーベース8の周囲に形成されている符号24は、スタートレバーを遊技機本体に取付けるためのねじ部である。
【0023】
以上の構成からなる本実施形態のスタートレバーの作用を以下に詳述する。
【0024】
本実施形態において、レバー部1がいずれかの方向に傾動操作されると、傾動方向と反対側の内空領域22に内接するスリーブ9の前端部周囲のR形状部31が点接触状態となってレバー部1が傾動する(図5(B)参照)。すなわち、レバー部1はスリーブ9のR形状部31の点接触部が支点となって傾動する。また、スラストコマ6は、傾動方向の底面外周部(後端部)が支点となって、レバー軸3に沿ってレバーばね5を押し縮める方向に摺動する。
【0025】
その結果、レバーストッパ4及びスラストコマ6に挟まれるように配されたレバーばね5は圧縮され、レバー部1を中立状態へ復帰させる付勢力を蓄える。このとき、レバーストッパ4は傾動方向の外周部がレバーベース8の内周部に当接するためレバー部1の傾動角度を規制する。
【0026】
さらに、レバー部1は軸心方向に押し込み操作も可能で、レバーストッパ4後端面とスラストコマ6前端面が当節する位置までレバー部1を軸心方向に押し込み操作することが可能である。
【0027】
図4には下方向に、図5には左方向に、それぞれ傾動した状態を例として示すように、レバー部1が上下左右のいずれかの方向に傾動操作された場合、レバーベース8の内空領域22の内壁にスリーブ9のR形状部31が点接触状態となり、点接触部を支点にレバー部1は傾動する。このときスリーブ9も一体となって傾動し、点接触部とは逆側のスリーブ9の後端面がスライドドグ12(12a、12b)のリブ41に接触し、スリーブ9は後方に位置するスライドドグばね13の前方への付勢力に抗して押圧し、スライドドグ12を後方に摺動させる。これによって、スライドドグ12に形成されたガイド軸部42は、センサ15の光軸a及びbの少なくとも一方を遮り、センサ15によってレバー部1がいずれかの方向に傾動操作されたことを検出する。
【0028】
即ち、本実施形態では、スリーブ9とスライドドグのリブ41等により、レバー部1の傾動をセンサドグに対する押圧力に変換する変換手段が構成されている。
【0029】
図4に示すように、レバー部1が下方向に傾動操作された場合、スリーブ9の点接触部とは逆側の後端面が、下方向に位置するスライドドグ12a及び12bの両リブ41a、42bと同時接触するために、スライドドグ12a、12bが共に後方へと摺動し、同図(B)に示すようにセンサ15a、15bの光軸a、bをそれぞれ同時に遮る。
【0030】
また、図示は省略するが、図4とは逆方向、すなわちレバー部1が上方向に傾動操作された場合においても、スライドドグ12a及び12bは図4に示す例と同様に後方へ同時に摺動し、センサ15a、15bの光軸a、bをそれぞれ同時に遮る。
【0031】
図5に示すように、レバー部1が左方向に傾動操作された場合、スリーブ9の点接触部31とは逆側の後端面32がスライドドグ12aのリブ41aと接触するために、スライドドグ12aのみが後方へと摺動し、センサ15aの光軸aのみを遮る。このとき、スリーブ9の点接触部31と近い側のスライドドグ12bはわずかしか摺動しないため、センサ15bの光軸bを遮ることはない。
【0032】
また、図示は省略するが、図5とは逆方向、すなわちレバー部1が右側に傾動操作された場合には、図5に示す例とは逆に、スライドドグ12bのみが後方へと摺動し、センサ15bの光軸bのみを遮る。このとき、スリーブ9の点接触部と近い側のスライドドグ12aはわずかしか摺動しないため、センサ15aの光軸aを遮ることはない。
【0033】
以上詳述した本発明によれば、スリーブ9と共に変換手段を構成するリブ41a、41bは、円周方向に略2分割した形状からなるため、各センサドグ12a、12bを個別又は同時に押圧する傾動方向には可成の幅があり、およそ上下方向にレバー部1を傾動操作した場合はセンサ15a、15bの両方によってレバー部1の傾動操作を検出し、およそ左右方向にレバー部1を傾動操作した場合はセンサ15aもしくは15bのどちらかによってレバー部1の一方の傾動操作を検出することができる。
【0034】
従って、例えばセンサ15a、15bの両方がレバー部1の傾動操作を検出した場合には遊技を開始する機能とし、センサ15aもしくは15bのいずれか一方がレバー部1の傾動操作を検出した場合には、その他の機能(例えば前記図1に示した液晶画面143に表示されているキャラクタを選択したり、変更したりする演出等で利用する)とすることができ、今までにない新たな遊技興趣を創出することが可能となる。
【0035】
以上詳述した本実施形態においては、上下左右の各方向の傾動操作が可能なレバー部1について、下方向と左方向を具体例に説明したが、センサ15a、15bの配置角度を変更することで、どの方向に傾動操作を行った場合に、センサ15a、15bがそれぞれ検出する、検出しないといった調整も可能である。具体的には、傾動操作方向において、センサ15aだけ検出する傾動方向、センサ15bだけ検出する傾動方向、センサ15a、15bの両方とも検出する傾動方向を、センサ15a、15bと対応するスライドドグ12a、12b等の配置角度を変更することで、作り出すことが可能である。
【0036】
又、本発明はとくに図示はしないが、傾動操作を検出するセンサ、及び、それぞれのセンサの光軸を遮光する遮光片(スライドドグ)は2つに限定されるものではなく、3つ以上の傾動操作を検出するセンサを持ち、それぞれの検出センサの光軸を遮光する遮光部(片)がそれぞれ独立して動作するものを含んでもよい。
【0037】
また、前記実施形態においては、検出センサが光軸を遮ることで動作を検出する光センサ(フォトインタラプタ)であるとして説明してきたが、これに限定されず、例えばマイクロスイッチや、反射式センサ、静電容量センサといったその他の検出手段であってもよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】遊技機の外観を示す概略斜視図
【図2】本発明に係る一実施形態のスタートレバーの構成部材を示す分解斜視図
【図3(A)】中立位置にある本実施形態のスタートレバーの外観斜視図
【図3(B)】図3(A)に示したスタートレバーの水平方向断面図
【図4(A)】下側傾動位置にある本実施形態のスタートレバーの外観斜視図
【図4(B)】図4(A)に示したスタートレバーの水平方向断面図
【図5(A)】左側傾動位置にある本実施形態のスタートレバーの外観斜視図
【図5(B)】図5(A)に示したスタートレバーの水平方向断面図
【図6】本実施形態に適用される1つのスライドドグを示す拡大斜視図
【図7】スタートレバーの本体を構成するケース部を前方と後方からそれぞれ見た状態を示す拡大斜視図
【図8】スライドドグの後端部を構成するセンサカバーの拡大斜視図
【符号の説明】
【0039】
1…レバー部
2…把持球(操作部)
3…レバー軸
9…スリーブ
12a、12b…スライドドグ
13…スライドドグばね
15a、15b…センサ
41…リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レバー軸の前端に操作部が形成され、該レバー軸の全周方向に傾動可能なレバー部と、
後端側に固定された複数のセンサと、
後方に押圧されて各センサの検知部にそれぞれ到達する、前方に付勢されている複数のセンサドグと、
前記レバー部の傾動を、傾動方向に対応するセンサドグに対する押圧力に変換する変換手段とを備えたことを特徴とするスタートレバー。
【請求項2】
前記変換手段が、レバー部の傾動方向によって、いずれか1つのセンサドグのみを押圧する場合と、もしくは2つ以上のセンサドグを同時に押圧する場合とが、可能であることを特徴とする請求項1に記載のスタートレバー。

【図1】
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【図2】
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【図3(A)】
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【図3(B)】
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【図4(A)】
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【図4(B)】
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【図5(A)】
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【図5(B)】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−119761(P2010−119761A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298110(P2008−298110)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】