説明

スチレン−(メタ)アクリル系樹脂及びその成形品

【課題】成形品の曲げエネルギーに優れるスチレン‐(メタ)アクリル系樹脂組成物およびその成形品を提供する。
【解決手段】分岐末端に重合性二重結合を有する多分岐状マクロモノマーと、スチレン系単量体と、(メタ)アクリル系単量体とを共重合した樹脂であり、前記スチレン系単量体と前記(メタ)アクリル系単量体の重合比率(質量基準)が、スチレン系単量体/(メタ)アクリル系単量体=85/15〜70/30であり、GPC-MALLS(多角度光散乱検出器)により求められる重量平均分子量が60万〜100万であり、GPC-MALLS(多角度光散乱検出器)による慣性半径(R.M.S Radius)とMolar massの両対数の傾きが、0.15〜0.40の範囲(Molar massが50万から500万の範囲)であるスチレン系樹脂。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分岐末端に重合性二重結合を有する多分岐マクロモノマーとスチレン系単量体及び(メタ)アクリル系単量体との共重合体及びそれを用いた成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
スチレン-(メタ)アクリル系共重合体を押出加工することにより、板、シート、フィルムなどの押出成形体にすることが広く行われている。しかしながら、現在、スチレン-(メタ)アクリル系共重合体は、十分に要求を満たしたバランスの優れた成形材料ではなく、さまざまな性能向上が求められている。例えば、プロジェクションテレビなどの画面用部材では、成形品の変形(反り・たわみ)の一因である吸湿性を抑制するために、スチレンの割合が高い共重合体を使用することで対応しているが、成形品の強度低下が生じてしまうため、十分満足がいくレベルに達していないのが現状である(例えば、特許文献1)。
最近、これらの分野において成形品が薄肉化、大型化の傾向があり、従来以上に耐衝撃性や曲げエネルギーといった実用強度と成形加工性とのバランス改良が要求されている。 ところで、特定構造を有する多分岐状マクロモノマーを添加することにより重合時のゲル化を抑制しつつ分岐構造を導入したスチレン系樹脂として、20万〜35万の重量平均分子量を有する線状ポリスチレンと、100万〜1000万の重量平均分子量を有する多分岐状ポリスチレンを混合し、全体として25万〜70万の重量平均分子量を有し、かつメルトマスフローレイト(MFR)およびメルトテンション(MT)が特定の値であるスチレン樹脂が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、当該技術は上記の曲げエネルギーの向上について検討されたものではない。
また、線状ポリスチレンと多分岐状ポリスチレンとを含有してなるスチレン系樹脂組成物であって、(1)そのGPC−MALLS法により求められる重量平均分子量が25万〜75万であり、(2)該重量平均分子量を横軸とし、又GPC−MALLSにより求められる該樹脂組成物の慣性半径を縦軸とした対数グラフに於ける傾きが0.35〜0.45であるスチレン系樹脂が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、当該技術においても上記の曲げエネルギーの向上については何ら検討されていない。
【0003】
【特許文献1】特開2005−300967号公報
【特許文献2】特開2003−292707号公報
【特許文献3】特開2005−281405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、成形品の曲げエネルギーに優れるスチレン‐(メタ)アクリル系樹脂組成物およびその成形品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、多分岐状マクロモノマーとスチレン系単量体及び(メタ)アクリル系単量体を重合することにより得られる多分岐状スチレン-(メタ)アクリル系共重合体が、従来のスチレン-(メタ)アクリル系共重合体と比較して飛躍的に高い曲げエネルギーが得られる事を見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、分岐末端に重合性二重結合を有する多分岐状マクロモノマーと、スチレン系単量体と、(メタ)アクリル系単量体とを共重合した樹脂であり、
前記スチレン系単量体と前記(メタ)アクリル系単量体の重合比率(質量基準)が、スチレン系単量体/(メタ)アクリル系単量体=85/15〜70/30であり、
GPC-MALLS(多角度光散乱検出器)により求められる重量平均分子量が60万〜100万であり、
GPC-MALLS(多角度光散乱検出器)による慣性半径(R.M.S Radius)とMolar massの両対数の傾きが、0.15〜0.40の範囲(Molar massが50万から500万の範囲)であるスチレン系樹脂を提供するものである。
また、本発明は、上記のスチレン系樹脂を用いたプラスチック板を提供するものである。また、本発明は、上記のスチレン系樹脂を用いたシートを提供するものである。また、本発明は、上記のスチレン系樹脂を用いたフィルムを提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、成形加工品として高い重量平均分子量を持ちながら、従来のスチレン-(メタ)アクリル系樹脂よりも高い曲げエネルギーを有し、割れにくいスチレン-(メタ)アクリル系樹脂およびその成形品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明のスチレン-(メタ)アクリル系樹脂は、分子末端に複数の重合性二重結合を有する多分岐状マクロモノマーとスチレン系単量体、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルとを重合させることにより得られる多分岐状共重合体である。
【0009】
本発明において使用することができるスチレン系単量体は、スチレンの他にα-メチルスチレン、α-メチル-p-メチルスチレンなどのα-アルキル置換スチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、m-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,5-ジメチルスチレン、m-ビニルフェノール、p-メトキシスチレンなどの核置換スチレンなどが挙げられ、これらは1種類のみであっても2種類以上用いても構わない。これらの中でも、スチレンを使用することが好ましい。
【0010】
一方、本発明に使用することができるアクリル酸エステル系(メタクリル酸エステル系)構成単位を形成する単量体とは、アルキル基の炭素数が1〜20のものであり、これらは1種類のみであっても2種類以上用いても構わない。これらの中でも、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルを使用することが好ましい。
【0011】
本発明のスチレン-(メタ)アクリル系樹脂に含まれる多分岐状共重合体の分岐構造には、特に制限はないが、電子吸引基と、該電子吸引基に結合する結合手以外の3つの結合手すべてが炭素原子に結合している飽和炭素原子とからなる分岐構造を含有するもの、及びエーテル結合、エステル結合及びアミド結合から選ばれる繰り返し構造単位からなる分岐構造を含有するものが好ましい。
【0012】
多分岐状共重合体の分岐構造は基本的には、スチレン、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルと共重合させる多分岐状マクロモノマーに由来するものである。本発明のスチレン-(メタ)アクリル系樹脂に含まれる多分岐状共重合体の分岐構造の電子吸引基含有量は多分岐状ポリスチレン1g当たり2.5×10−4ミリモル〜5.0×10−1ミリモル、好ましくは5.0×10−4ミリモル〜5.0×10−2ミリモルであることが好ましい。
【0013】
本発明において使用する多分岐状マクロモノマーには、多分岐鎖を有するモノマーであること以外には特に限定はないが、その好ましいものの一つとして1分子中に電子吸引基と、該電子吸引基に結合する結合手以外の3つの結合手すべてが炭素原子に結合している飽和炭素原子とから成る分岐構造と、芳香環に直接結合した重合性二重結合とを含有する多分岐状マクロモノマーがある。この多分岐状マクロモノマーは、AB型モノマーから誘導されるハイパーブランチマクロモノマーであり、図5に模式的に示すような分岐構造を有する。
【0014】
このような分岐構造は、電子吸引基が結合した活性メチレン基の求核置換反応によって容易に得られる。電子吸引基としては、例えば、−CN、−NO、−CONH、−CON(R)、−SOCH、−P(=O)(OR)、などがあげられ、これらの電子吸引基が結合したメチレン基が芳香環またはカルボニル基に直接結合している場合は、メチレン基の活性はさらに高いものとなる。
【0015】
本発明に用いる多分岐状マクロモノマーの1つとしては、例えば、下記の一般式(1)で表される繰り返し単位を含有する分岐鎖を有する多分岐状マクロモノマーが挙げられる。
一般式(1)
【0016】
【化1】

【0017】
[式中、Yは−CN、−NO、−CONH、−CON(R)、−SOCH、−P(=O)(OR)(ここでRはアルキル基またはアリール基を表す)から成る群から選ばれる電子吸引基であり、Yはアリーレン基、−O−CO−または−NH−CO−であり、Zは−(CHO−、−(CHCHO)−、−(CHCHCHO)−から成る群から選ばれる基であり、かつYが−O−CO−または−NH−CO−である場合はZは−(CH−、−(CHAr−、−(CHO−Ar−、−(CHCHO)−Ar−、または−(CHCHCHO)−Ar−(ここでArはアリール基である)を表す]
ここで、Yは例えば、
【0018】
【化2】

から成る群から選ばれるアリーレン基である。なかでもYは−CN、Yはフェニレン基が好適である。Yがフェニレン基である場合は、Zの結合位置はo−位、m−位又はp−位のいずれであってもよく特に制限されるものではないが、p−位が好ましい。またZの繰り返し数nは特に制限されるものではないが、スチレンへの溶解性の点から1〜12が好ましく、更に好ましくは2〜10が好ましい。
【0019】
上記分岐構造を有する多分岐状マクロモノマーは、塩基性化合物の存在下で、(1)1分子中に活性メチレン基と、活性メチレン基の求核置換反応における脱離基とを有するAB型モノマーを求核置換反応させて得られる多分岐状の自己縮合型重縮合体を前駆体として、
(2)該重縮合体中に残存する未反応の活性メチレン基またはメチン基を、1分子中に芳香環に直接結合した重合性二重結合と活性メチレン基の求核置換反応における脱離基とを有する化合物と求核置換反応させることによって得られる。
【0020】
ここで、活性メチレン基の求核置換反応における脱離基とは、いずれも飽和炭素原子に結合したハロゲン、−OS(=O)R(Rはアルキル基またはアリール基を表す)などであり、具体的には、臭素、塩素、メチルスルホニルオキシ基、トシルオキシ基などが挙げられる。
塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの強アルカリが好適であり、反応に際しては水溶液として使用する。
【0021】
1分子中に活性メチレン基と活性メチレン基の求核置換反応における脱離基とを有するAB型モノマーとしては、たとえばブロモエトキシ−フェニルアセトニトリル、クロロメチルベンジルオキシ−フェニルアセトニトリルなどのハロゲン化アルコキシ−フェニルアセトニトリル類、トシルオキシ−(エチレンオキシ)−フェニルアセトニトリル、トシルオキシ−ジ(エチレンオキシ)−フェニルアセトニトリルなどのトシルオキシ基を有するフェニルアセトニトリル類が挙げられる。
【0022】
1分子中に芳香環に直接結合した重合性二重結合と、活性メチレン基の求核置換反応における脱離基とを有する代表的な化合物としては、たとえば、クロロメチルスチレン、ブロモメチルスチレンなどが挙げられる。
【0023】
上記(1)は前駆体としての重縮合体を合成する反応であり、(2)は前駆体に芳香環に直接結合した重合性二重結合を導入して多分岐状マクロモノマーを合成する反応である。(1)の反応と(2)の反応は、それぞれの反応を逐次的に行うことができるが、同一の反応系で同時に行うこともできる。多分岐状マクロモノマーの分子量は、単量体と塩基性化合物との配合比を変えることによって制御することができる。
【0024】
本発明において使用する多分岐状マクロモノマーの好ましいものの他のものとして、好ましくはエステル結合、エーテル結合及びアミド結合から選ばれる繰り返し構造単位からなる分岐構造と、分岐末端のエチレン性重合性二重結合とを含有する多分岐状マクロモノマーを挙げることができる。
【0025】
エステル結合を繰り返し構造単位として有する多分岐状マクロモノマーは、分子鎖を形成するエステル結合のカルボニル基に隣接する炭素原子が飽和炭素原子であり、かつ該炭素原子上の水素原子がすべて置換されている分子鎖からなる多分岐ポリエステルポリオールに、ビニル基またはイソプロペニル基などのエチレン性重合性二重結合を導入したものである。多分岐ポリエステルポリオールにエチレン性重合性二重結合を導入する場合、エステル化反応や付加反応によって行なうことができる。
尚、上記多分岐ポリエステルポリオールとして、Perstorp社製「Boltorn H20、H30、H40」が市販されている。
【0026】
上記多分岐ポリエステルポリオールは、そのヒドロキシル基の一部にあらかじめエーテル結合やその他の結合によって置換基が導入されていてもよいし、また、そのヒドロキシル基の一部が酸化反応やその他の反応で変性されていてもよい。
また、多分岐ポリエステルポリオールは、そのヒドロキシル基の一部が、あらかじめエステル化されていてもよい。
【0027】
かかる多分岐状マクロモノマーの代表的なものとしては、例えば水酸基を1個以上有する化合物に、カルボキシル基に隣接する炭素原子が飽和炭素原子であり、かつ該炭素原子上の水素原子がすべて置換され、且つ水酸基を2個以上有するモノカルボン酸を反応することにより多分岐状ポリマーとし、次いで該ポリマーの末端基である水酸基にアクリル酸やメタクリル酸などの不飽和酸、イソシアネート基含有アクリル系化合物などを反応させて得られるものが挙げられる。尚、エステル結合を繰り返し構造単位として有する多分岐状ポリマーについては、タマリア(Tamalia)氏等による「Angew.Chem.Int.Ed.Engl.29」p138〜177(1990)にも記載されている。
【0028】
上記水酸基を1個以上有する化合物としては、a)脂肪族ジオール、脂環式ジオール、又は芳香族ジオール、b)トリオール、c)テトラオール、d)ソルビトール及びマンニトール等の糖アルコール、e)アンヒドロエンネア−ヘプチトール又はジペンタエリトリトール、f)α−メチルグリコシド等のα−アルキルグルコシド、g)エタノール、ヘキサノールなどの一官能性アルコール、h)分子量が多くとも8000であり、かつ、アルキレンオキシド或いはその誘導体と、上記a)〜g)のいずれかから選択されたアルコールの1種以上のヒドロキシル基とを反応させることにより生成された水酸基含有ポリマーなどを挙げることができる。
【0029】
脂肪族ジオール、脂環式ジオール及び芳香族ジオールとしては、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリテトラヒドロフラン、ジメチロールプロパン、ネオペンチルプロパン、2−プロピル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール;シクロヘキサンジメタノール、1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール;1,4−キシリレンジメタノール、1−フェニル−1,2−エタンジオールなどが挙げられる。
トリオールとしては、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールブタン、グリセロール、1,2,5−ヘキサントリオールなどが挙げられる。
テトラオールとしては、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジグリセロール、ジトリメチロールエタンなどを挙げることができる。
芳香環に結合した水酸基を2個以上有する芳香族化合物としては、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、1,4−キシリレンジメタノール、1−フェニル−1,2−エタンジオールなどを挙げることができる。
カルボキシル基に隣接する炭素原子が飽和炭素原子であり、かつ該炭素原子上の水素原子がすべて置換され、且つ水酸基を2個以上有するモノカルボン酸としては、ジメチロールプロピオン酸、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、α,α,α−トリス(ヒドロキシメチル)酢酸、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)吉草酸、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸などがある。かかるモノカルボン酸を使用することにより、エステル分解反応が抑制され、多分岐ポリエステルポリオールを形成することができる。
また、かかる多分岐状ポリマーを製造する際に、触媒を使用するのが好ましく、かかる触媒としては、例えばジアルキルスズオキシド、ハロゲン化ジアルキルスズ、ジアルキルスズビスカルボキシレート、あるいはスタノキサンなどの有機錫化合物、テトラブチルチタネートなどのチタネート、ルイス酸、パラトルエンスルホン酸などの有機スルホン酸などが挙げられる。
【0030】
エーテル結合を繰り返し構造単位として有する多分岐状マクロモノマーは、例えば水酸基を1個以上有する化合物に水酸基を1個以上有する環状エーテル化合物を反応することにより多分岐状ポリマーとし、次いで該ポリマーの末端基である水酸基にアクリル酸やメタクリル酸などの不飽和酸、イソシアネート基含有アクリル系化合物、4−クロロメチルスチレンなどのハロゲン化メチルスチレンを反応させて得られるものが挙げられる。また、多分岐状ポリマーの製法としては、Williamsonのエーテル合成法に基づいて、水酸基を1個以上有する化合物と、2個以上の水酸基とハロゲン原子、−OSO−OCH又は−OSOCHを含有する化合物とを反応する方法も有用である。
【0031】
水酸基を1個以上有する化合物としては、前記するものが使用することができる。
水酸基を1個以上有する環状エーテル化合物としては、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、2,3−エポキシ−1−プロパノール、2,3−エポキシ−1−ブタノール、3,4−エポキシ−1−ブタノールなどが挙げられる。
Williamsonのエーテル合成法に於いて使用される水酸基を1個以上有する化合物としては、前記したものでよいが、芳香環に結合した水酸基を2個以上有する芳香族化合物が好ましい。かかる化合物の代表的なものとしては、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、1,4−キシリレンジメタノール、1−フェニル−1,2−エタンジオールなどが挙げられる。
また、2個以上の水酸基とハロゲン原子、−OSO−OCH又は−OSOCHを含有する化合物としては、5−(ブロモメチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2−エチル−2−(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオール、2−(ブロモメチル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
なお、上記多分岐状ポリマーを製造する際には、通常触媒を使用するのが好ましく、かかる触媒としては例えばBFジエチルエーテル、FSOH、ClSOH、HClOなどを挙げることができる。
【0032】
また、アミド結合を繰り返し構造単位として有する多分岐状マクロモノマーとしては、例えば分子中にアミド結合を窒素原子を介して繰り返し構造となったものがあり、Dentoritech社製のゼネレーション2.0(PAMAMデントリマー)が代表的なものである。
【0033】
多分岐状マクロモノマーに導入される、末端反応性重合性二重結合の数が多いほど、スチレン、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルとの共重合体である多分岐状スチレン-(メタ)アクリル系共重合体の分岐度が高くなる。本発明に用いる多分岐状マクロモノマーの分岐度(DB)は、下記の式3により定義され、分岐度(DB)の範囲は0.3〜1.0が好ましい。
【0034】
DB=(D+T)/(D+T+L) (式3)
(式中、Dはデンドリックユニットの数、Lは線状ユニットの数、Tは末端ユニットの数を表す)
【0035】
本発明において使用する多分岐状マクロモノマーの重量平均分子量は、多分岐状スチレン-(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量を1000万以下に制御するために、1000〜15000であることが好ましく、2000〜5000であることがより好ましい。
【0036】
多分岐状マクロモノマーに導入される重合性二重結合の含有量は、多分岐状マクロモノマー1g当たり0.1ミリモル〜5.5ミリモルであることが好ましく、0.5ミリモル〜3.5ミリモルがなお好ましい。0.1ミリモルより少ない場合は、高分子量の多分岐状スチレン-(メタ)アクリル系共重合体が得られにくく、5.5ミリモルを超える場合は、多分岐状スチレン-(メタ)アクリル系共重合体の分子量が過度に増大する。
【0037】
前記多分岐状マクロモノマーとスチレン系単量体、(メタ)アクリル系単量体とを重合させることにより、多分岐状マクロモノマーとスチレン、(メタ)アクリル系単量体との共重合体である多分岐状スチレン-(メタ)アクリル系共重合体が得られる。
【0038】
スチレン系単量体/(メタ)アクリル系単量体の質量比は85/15〜70/30である。また、85/15〜78/22であることがより好ましい。
【0039】
また、さらに好ましいのは、スチレン系単量体、メタクリル系単量体、アクリル系単量体の比率としては、スチレン系単量体78〜85質量%、メタクリル系単量体3〜21質量%、アクリル系単量体1〜19質量%である。
【0040】
モノマー(スチレン系単量体及び(メタ)アクリル単量体)に対する多分岐状マクロモノマーの配合率は、0.01〜1質量%が好ましく、0.01〜0.2質量%がより好ましい。多分岐状マクロモノマーの配合率が0.01質量%より少ない場合は、本発明の十分な効果が得られにくい。
【0041】
本発明に用いるスチレン-(メタ)アクリル系樹脂組成物をMALLS(多角度光散乱検出器)-GPCで分子量測定を行うと、直接的に分子量を測定することが可能である。以下に記す重量平均分子量はMALLS-GPCで測定した値である。また、MALLS-GPCでは、重量平均分子量と慣性半径の関係も求めることも可能である。かかる慣性半径の算出については、例えば高分子、微粒子のキャラクタリゼーション(昭光通商(株))などに記載されている。
【0042】
本発明のスチレン-(メタ)アクリル系樹脂のMALLS-GPCから求められる重量平均分子量は60万〜100万であり、好ましくは70万〜100万である。更に好ましくは、重量平均分子量が75万を超えて、100万以下である。かかる重量平均分子量が45万よりも小さいと成形品の曲げエネルギーが小さくなり多分岐状マクロモノマーの効果が得られない。また100万を越えると流動性が低下して成形ができなくなったり、生産性が落ちてしまうので好ましくない。
【0043】
また、該重量平均分子量を横軸とし、MALLS-GPCから求められる該樹脂組成物の慣性半径を縦軸とした両対数グラフにおける傾きが0.15〜0.40である。かかる傾きが0.40よりも大きくなると、多分岐状マクロモノマーを含まないスチレン-(メタ)アクリル系共重合体により近い物性となり、逆に0.15よりも小さくなると、流動性が低下するため、押出成形などする上では好ましくない。
【0044】
重合反応には公知慣用のスチレン-(メタ)アクリル系共重合体の重合方法を使用することができる。重合方式には特に限定はないが、塊状重合、懸濁重合、あるいは溶液重合が好ましい。重合開始剤を使用せずに熱重合させることもできるが、慣用のラジカル重合開始剤を使用するのが好ましい。また、重合に必要な懸濁剤や乳化剤などのような重合助剤は、通常のスチレン-(メタ)アクリル系共重合体の製造に使用される慣用のものを使用できる。
【0045】
さらに連続塊状重合を用いることも可能であり、多分岐状スチレン-(メタ)アクリル系樹脂を製造する方法については、特に限定されるものではないが、一個以上の攪拌式反応器(反応槽)と可動部分の無い複数のミキシングエレメントが内部に固定されている反応槽、即ち管状反応器(静的ミキシングエレメントを有する管状反応器)を組み込んだ連続塊状重合ライン中で、該管状反応器による静的な混合を行いながら連続的に塊状重合を行うことにより、ポリマー分子量の均一性を保つことが可能なことから好ましい。
【0046】
上記管状反応器の内部に固定されている複数のミキシングエレメントとしては、例えば管内に流入した重合液の流れの分割と流れの方向を変え、分割と合流を繰り返すことにより、重合液を混合するものが挙げられ、このような管状反応器としては、例としてSMX型、SMR型のスルザー式の管状ミキサー、ケニックス式のスタティクミキサー、東レ式の管状ミキサーなどが挙げられるが、特にSMX型、SMR型のスルザー式の管状ミキサーが好ましい。
【0047】
この様な連続塊状重合ラインを用いて多分岐状部位を含有するスチレン-(メタ)アクリル系樹脂を製造する際、一個以上の攪拌式反応器からなる非循環重合ライン(II)に流出せずに、管状反応器からなる循環重合ライン(I)内を還流する混合溶液の流量をF1(リットル/時間)とし、循環重合ライン(I)から非循環重合ライン(II)に流出する混合溶液の流量F2(リットル/時間)とした場合の、還流比(R = F1/F2)は3〜15の範囲が好ましい。
【0048】
次ぎに、上記連続塊状重合ラインを用いたスチレン-(メタ)アクリル系樹脂の重合方法を、図1の工程図により説明する。
プランジャーポンプ(1)によってスチレンモノマーと(メタ)アクリルモノマーと多分岐状マクロモノマーとを含んでなる混合物などは、まず攪拌式反応器(2)へ送られ、攪拌下で初期重合させた後、ギアポンプ(3)により、静的ミキシングエレメントを有する管状反応器(4),(5)および(6)とギアポンプ(7)とを有する循環重合ライン(I)に送られる。
攪拌式反応器(2)での初期重合は、全モノマーの合計の重合転化率が、該反応器(2)の出口において10〜40重量%、好ましくは14〜30重量%となる迄実施することが好ましい。また、攪拌式反応器(2)としては、例えば攪拌式槽型反応器、攪拌式塔型反応器等が挙げられ、攪拌翼としては、例えばアンカー型、タービン型、スクリュー型、ダブルヘリカル型、ログボーン型等の攪拌翼が挙げられる。
次に、循環重合ライン(I)内で、重合液は循環しながら重合が進み、その一部の重合液は、次の非循環重合ライン(II)へ送られる。ここで、循環重合ライン(I)内を循環する重合液の流量と、非循環重合ライン(II)へ流出する重合液の流量との比、還流比Rは、非循環重合ライン(II)に流出せずに循環重合ライン(I)内を還流する混合溶液の流量をF1 (リットル /時間)とし、循環重合ライン(I)から非循環重合ライン(II)に流出する混合溶液の流量F2 (リットル/時間)とした場合、通常R=F1 /F2 が3〜15の範囲であることが好ましい。
【0049】
また、該循環重合ライン(I)での重合は、該循環重合ライン(I)出口での全モノマーの合計の重合転化率が、通常30〜70質量%、好ましくは35〜65質量%になる様に重合させる。重合温度としては120〜140℃が適している。
非循環重合ライン(II)での重合温度は、通常140〜160℃の重合温度であり、重合転化率60〜90質量%となるまで連続的に重合される。
次に、この混合溶液はギアポンプ(11)により予熱器、次いで脱揮発槽に送られ、減圧下にて未反応単量体および溶剤を除去した後、ペレット化することにより目的とする組成物が得られる。
【0050】
塊状重合や溶液重合などの重合反応では、反応物の粘性を低下させるために、反応系に有機溶剤を添加することが可能であり、その有機溶剤は、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、アセトニトリル、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、シアノベンゼン、ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン等が挙げられる。
【0051】
特に多分岐状マクロモノマーの添加量を多くしたい場合には、ゲル化を抑制する観点からも有機溶剤を使用することが好ましい。これにより、先に示した多分岐状マクロモノマーの添加量を飛躍的に増量させることができ、ゲル化が生じにくくする効果がある。
【0052】
用いるラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、公知慣用の例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール類、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド、ジシナモイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシイシプロピルモノカーボネート等のパーオキシエステル類、N,N’−アゾビスイソブチルニトリル、N,N’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、N,N’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、N,N’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、N,N’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等が挙げられ、これらの1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0053】
更にスチレン‐(メタ)アクリル系樹脂の分子量が過度に大きくなりすぎないように連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、連鎖移動基を1つ有する単官能連鎖移動剤でも連鎖移動剤を複数有する多官能連鎖移動剤を使用できる。単官能連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類、チオグリコール酸エステル類等が挙げられる。
【0054】
多官能連鎖移動剤としては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール水酸基をチオグリコール酸または3−メルカプトプロピオン酸でエステル化したものが挙げられる。
【0055】
本発明のスチレン-(メタ)アクリル系樹脂を製造するには、上述のように多分岐状マクロモノマーとスチレン系単量体、(メタ)アクリル系単量体とを上記の1段で重合させる方法の他に、予め別々に多分岐状スチレン-(メタ)アクリル系共重合体と多分岐状マクロモノマーを含んでいないスチレン‐(メタ)アクリル系共重合体とを混合し任意の混合比を有する分岐状スチレン-(メタ)アクリル系樹脂を製造してもよい。
【0056】
本発明のスチレン-(メタ)アクリル系樹脂には、超高分子量の多分岐状スチレン-(メタ)アクリル系共重合体を含むが、本発明の樹脂は、このような超高分子量成分を含んでいても、ゲル化が実質的に生じないために、有機溶媒に容易に溶解する。
【0057】
本発明の多分岐状スチレン-(メタ)アクリル系共重合体は、高分子量でありながら、メルトマスフローレイトが高く、スチレン-(メタ)アクリル系樹脂の製造時ならびに成形加工時の流動性に優れ、優れた生産性ならびに加工性が有する。このため、射出成形、押出成形、真空成形、圧空成形、押出発泡成形、カレンダー成形、ブロー成形などの成形方法による各種成形品として従来よりも広い用途に使用することができる。
【実施例】
【0058】
以下に実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。本発明はもとより、これらの実施例の範囲に限定されるべきものではない。次に用いた測定方法について説明する。
【0059】
(多分岐状マクロモノマーのGPCによる測定条件)
高速液体クロマトグラフィー(東ソー株式会社製HLC−8220GPC)、RI検出器、TSKgel G6000H×1+G5000H×1+G4000H×l+G3000H×l+TSKguard column、溶媒THF、流速1.0ml/分、温度40℃にて測定した。
【0060】
(スチレン系樹脂のMALLS-GPC測定条件)
Shodex HPLC(昭和電工(株)製GPC測定装置)、検出器Wyatt Technology DAWN EOS(Wyatt Technology社製)、Shodex RI-101(昭和電工(株)製)、カラム(東ソー株式会社製)TSKgel G6000H×1+G5000H×1+G4000H×l+G3000H×l+TSKguard column、溶媒THF、流量1.0ml/minにて測定した。また、MALLS-GPCの測定の解析は、Wyatt社の解析ソフトASTRAにより求めた。
【0061】
実施例8及び9、比較例1のMALLS-GPCから求められる重量平均分子量(Molar Mass)―慣性半径(RMS Radius)の両対数グラフを図2に示した。
【0062】
(NMR測定法)
核磁気共鳴分光法(H−NMR)により多分岐状マクロモノマーのエチレン性重合性二重結合の量を求め、試料質量当たりのモル数で示した。
【0063】
(試験片(ダンベル成形))
住友重機械工業(株)製 射出成形機MINIMAT 14/7B を使用し、180〜220℃で樹脂を溶解し、横65mm×縦13mm×厚さ3mmのダンベル片を作製した。
【0064】
(曲げエネルギー測定)
TOYO BALDWIN社のTENSION装置(SS−207−AP)を使用し、50mmの幅にダンベルを均等に置き、ロードセル500kg、押しこみスピード5mm/min.で曲げエネルギーを測定した。測定で得られたデータは、X軸を時間(チャートスピード50mm/min.)、Y軸を応力(チャート6cmで10kg)となり、グラフから得られる面積を普通コピー紙で重量換算し、曲げエネルギーの値(g)とした。(図3と図4参照)
【0065】
(参考例1)多分岐状マクロモノマー(M−m1)の合成
撹拌装置、滴下ロート、温度計、窒素導入装置およびバブラーを備えた1000mlの茄子型フラスコに、4−ブロモジ(エチレンオキシ)フェニルアセトニトリル35gを窒素雰囲気下にて800mlジメチルスルフォキシド(DMSO)に溶解した。水浴にて内温を30℃とした後、44mlの50%水酸化ナトリウム水溶液を3分間かけて滴下した。30℃に保持したまま2時間撹拌し多分岐状マクロモノマーの前駆体を得た。更に該反応物に50.0gの4−クロロメチルスチレンを滴下し2時間撹拌することにより、多分岐状マクロモノマー溶液を得た。
【0066】
得られた溶液を濾過して固形分を除き、この濾液を225mlの5モル/L塩酸水溶液を含むメタノール5L中に投入し多分岐状マクロモノマーを沈殿させた。沈殿した多分岐状マクロモノマーを吸引ろ過し、蒸留水、メタノールの順で3回繰り返し洗浄した。得られた多分岐状マクロモノマーを24時間減圧下で乾燥し、多分岐状マクロモノマー(M−m1)20gを得た。
【0067】
得られた多分岐状マクロモノマー(M−m1)をGPCにより測定した結果、重量平均分子量(Mw)は6,000であった。またH−NMRの測定結果から、芳香環に直接結合した重合性二重結合導入量は2.70ミリモル/gであることが確認された。
【0068】
(参考例2)多分岐状マクロモノマー(M−m2)の合成
参考例1における4−ブロモジ(エチレンオキシ)フェニルアセトニトリルの代わりに4−トシルオキシジ(エチレンオキシ)フェニルアセトニトリルを用いた以外は、参考例1と同様にして、21gの多分岐状マクロモノマー(M−m2)を得た。得られた多分岐状マクロモノマー(M−m2)の重量平均分子量(Mw)は3,100であった。またH−NMRの測定結果から芳香環に直接結合した重合性二重結合導入量は2.50ミリモル/gであった。
【0069】
(参考例3)多分岐状マクロモノマー(M−m3)の合成
撹拌装置、滴下ロート、温度計、窒素導入装置およびバブラーを備えた1000mlの茄子型フラスコに、窒素雰囲気下にてフェニルアセト二トリル0.8gを800mlジメチルスルフォキシド(DMSO)に溶解した。水浴にて内温を30℃とした後、44mlの50%水酸化ナトリウム水溶液をかけて加えた。その後に、4−トシルオキシモノ(エチレンオキシ)フェニルアセトニトリル40gを3分間かけて加え、30℃に保持したまま20分間撹拌し多分岐状マクロモノマーの前駆体を得た。更に該反応物に50.0gの4−クロロメチルスチレンを滴下し3時間撹拌することにより、多分岐状マクロモノマー溶液を得た。
【0070】
得られた溶液を濾過して固形分を除き、この濾液を225mlの5モル/L塩酸水溶液を含むメタノール5L中に投入し多分岐状マクロモノマーを沈殿させた。沈殿した多分岐状マクロモノマーを吸引ろ過し、蒸留水、メタノールの順で3回繰り返し洗浄した。得られた多分岐状マクロモノマーを24時間減圧下で乾燥し、多分岐状マクロモノマー(M−m3)20.5gを得た。
【0071】
得られた多分岐状マクロモノマー(M−m3)をGPCにより測定した結果、重量平均分子量(Mw)は2,400であった。またH−NMRの測定結果から、芳香環に直接結合した重合性二重結合導入量は4.30ミリモル/gであることが確認された。
【0072】
(参考例4)多分岐状マクロモノマー(M−m4)の合成
<多分岐ポリエーテルポリオール1の合成>
攪拌機、温度計、滴下ロート及びコンデンサーを備えた2リットルフラスコに、室温下、エトキシ化ペンタエリスリトール(5モル−エチレンオキシド付加ペンタエリスリトール)50.5g、BF3ジエチルエーテル溶液(50パーセント)1gを加え、110℃に加熱した。これに3―エチルー3―(ヒドロキシメチル)オキセタン 450gを、反応による発熱を制御しつつ、25分間でゆっくり加えた。発熱が収まったところで、反応混合物をさらに120℃で3時間撹拌し、その後、室温に冷却した。
得られた多分岐ポリエーテルポリオールの重量平均分子量は3,000、水酸基価は530であった。
【0073】
<メタアクリロイル基及びアセチル基を有する多分岐ポリエーテル1の合成>
攪拌機、温度計、コンデンサーを備えたディーンスタークデカンター及び気体導入管を備えた反応器に、上述の<多分岐ポリエーテルポリオール1の合成>で得られた多分岐ポリエーテルポリオール50g、メタアクリル酸13.8g、トルエン 150g、ヒドロキノン 0.06g、パラトルエンスルホン酸 1gを加え、混合溶液中に3ミリリットル/分の速度で7%酸素含有窒素を吹き込みながら、常圧下で撹拌し、加熱した。デカンターへの留出液量が1時間あたり30gになるように加熱量を調節し、脱水量が2.9gに到達するまで加熱を続けた。
反応終了後、一度冷却し、無水酢酸 36g、スルファミン酸 5.7gを加え、60℃で10時間撹拌した。その後、残っている酢酸及びヒドロキノンを除去する為に5%水酸化ナトリウム水溶液50gで4回洗浄し、さらに1%硫酸水溶液50gで1回、水50gで2回洗浄した。得られた有機層にメトキノン0.02gを加え、減圧下、7%酸素を導入しながら溶媒を留去し、イソプロペニル基およびアセチル基を有する多分岐ポリエーテル60gを得た。得られた多分岐ポリエーテルの重量平均分子量は3900であり、多分岐ポリエーテルポリオールへのイソプロペニル基およびアセチル基導入率は、それぞれ30%および62%であった。
【0074】
(参考例5)多分岐状マクロモノマー(M−m5)の合成
<スチリル基及びアセチル基を有する多分岐ポリエーテル1の合成>
攪拌機、乾燥管を備えたコンデンサー、滴下ロート及び温度計を備えた反応器に、上述の<多分岐ポリエーテルポリオール1の合成>で得られた多分岐ポリエーテルポリオール50g、テトラヒドロフラン 100g及び水素化ナトリウム 4.3gを加え、室温下、撹拌した。これに4−クロロメチルスチレン 26.7gを1時間かけて滴下し、得られた反応混合物を50℃でさらに4時間撹拌した。
反応終了後、一度冷却し、無水酢酸 34g、スルファミン酸 5.4gを加え、60℃で10時間撹拌した。その後、減圧下でテトラヒドロフランを留去し、得られた混合物をトルエン150gで溶解させ、残っている酢酸を除去する為に5%水酸化ナトリウム水溶液50gで4回洗浄し、さらに1%硫酸水溶液50gで1回、水50gで2回洗浄した。得られた有機層から減圧下で溶媒を留去し、スチリル基およびアセチル基を有する多分岐ポリエーテル70gを得た。得られた多分岐ポリエーテルの重量平均分子量は4800であり、多分岐ポリエーテルポリオールへのスチリル基およびアセチル基導入率は、それぞれ38%および57%であった。
【0075】
(参考例6)多分岐状マクロモノマー(M−m6)の合成
<スチリル基を有するPAMAMデンドリマーの合成>
攪拌機、乾燥管を備えたコンデンサー、滴下ロート及び温度計を備えた反応器にPAMAMデンドリマー(ゼネレーション2.0:Dentritech社製)のメタノール溶液(20重量パーセント) 50gを加え、減圧下、撹拌しながらメタノールを留去した。続いて、テトラヒドロフラン 50g及び微粉化した水酸化カリウム 3.0gを加え、室温下、撹拌した。これに4−クロロメチルスチレン 7.0gを10分間かけて滴下し、得られた反応混合物を50℃でさらに3時間撹拌した。
反応終了後、冷却し、固体を濾過した後に、テトラヒドロフランを減圧下、留去し、スチリル基を有するPAMAMデンドリマー 13gを得た。得られたデンドリマーのスチリル基含有量は2.7ミリモル/グラムであった。
【0076】
(参考例7)多分岐状マクロモノマー(M−m7)の合成
<スチリル基及びアセチル基を有する多分岐ポリエーテルポリオール2>
攪拌機、コンデンサー、遮光性滴下ロート及び温度計を備え、窒素シールが可能な遮光性反応容器に、窒素気流下、無水1,3,5−トリヒドロキシベンゼン 0.5g、炭酸カリウム 29g、18−クラウン−6 2.7g及びアセトン 180gを加え、撹拌しながら、5−(ブロモメチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼン 21.7gとアセトン 180gからなる溶液を2時間かけて滴下、加えた。その後、5−(ブロモメチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼンが消失するまで、撹拌下、加熱、還流させた。
その後、4−クロロメチルスチレン 9.0gを加え、これが消失するまで、さらに撹拌下、加熱、還流させた。その後、反応混合物に無水酢酸 4g、スルファミン酸 0.6gを加え、室温下、一晩撹拌した。冷却後、反応混合物中の固体を濾過で除き、溶媒を減圧下で留去した。得られた混合物をジクロロメタンに溶解し、水で3回洗浄した後、ジクロロメタン溶液をヘキサンに滴下し、多分岐ポリエーテルを沈殿させた。これを濾過し、乾燥させて、スチリル基及びアセチル基を有する多分岐ポリエーテルポリオール
12gを得た。重量平均分子量は3200で、スチリル基の含有量は3.5ミリモル/グラムであった。
【0077】
(参考例8)多分岐状マクロモノマー(M−m8)の合成
<メタクリロイル基及びアセチル基を有する多分岐ポリエステルポリオールの合成>
7%酸素導入管、温度計、コンデンサーを備えたディーンスタークデカンター、および攪拌機を備えた反応容器に、「Boltorn H20」10g、ジブチル錫オキシド1.25g、官能基(B)としてイソプロペニル基を有するメチルメタクリレート100g、およびヒドロキノン0.05gを加え、混合溶液中に3ml/分の速度で7%酸素を吹き込みながら、撹拌下に加熱した。デカンターへの留出液量が1時間あたり15〜20gになるように加熱量を調節し、1時間ごとにデカンター内の留出液を取り出し、これに相当する量のメチルメタクリレートを加えながら4時間反応させた。
反応終了後、メチルメタクリレートを減圧下で留去し、残っているヒドロキシル基をキャッピングするために無水酢酸10g、スルファミン酸2gを加えて室温下、10時間撹拌した。濾過でスルファミン酸を除去し、減圧下で無水酢酸および酢酸を留去した後に、残留物を酢酸エチル70gに溶解し、ヒドロキノンを除去する為に5%水酸化ナトリウム水溶液20gで4回洗浄した。さらに7%硫酸水溶液20gで2回、水20gで2回洗浄した。得られた有機層にメトキノン0.0045gを加え、減圧下、7%酸素を導入しながら溶媒を留去し、イソプロペニル基およびアセチル基を有する多分岐ポリエステル11gを得た。得られた多分岐ポリエステルの重量平均分子量は3000、数平均分子量は2100であり、多分岐ポリエステルポリオール(A)へのイソプロペニル基およびアセチル基導入率は、それぞれ55%および36%であった。
【0078】
(実施例1)
スチレン82部、メタクリル酸メチル16.8部、アクリル酸ブチル1.2部、参考例1の多分岐状マクロモノマーをスチレンに対し700ppm、及びトルエン5部からなる混合溶液を調整し、更に、有機過酸化物としてモノマーに対し100ppmのt-ブチルパーオキシベンゾエートを加え、図1に示す装置を用いて下記条件で、連続的に塊状重合させた。
【0079】
混合溶液の供給量:9リットル/時間
攪拌式反応器(2)での反応温度:115℃
循環重合ライン(I)での反応温度:120℃
非循環重合ライン(II)での反応温度:125〜160℃
還流比:R= F1/F2 = 6
【0080】
重合させて得られた混合溶液を熱交換器で240℃まで加熱し、50mmHgの減圧下で揮発性成分を除去した後、ペレット化して本発明のスチレン-(メタ)アクリル系樹脂を得た。
【0081】
(実施例2)
実施例1における多分岐状マクロモノマー(M−m1)の代わりに多分岐状マクロモノマー(M−m2)を用いた以外は、実施例1と同様にしてスチレン-(メタ)アクリル系樹脂を得た。
【0082】
(実施例3)
実施例1における多分岐状マクロモノマー(M−m1)の代わりに多分岐状マクロモノマー(M−m3)を用いた以外は、実施例1と同様にしてスチレン-(メタ)アクリル系樹脂を得た。
【0083】
(実施例4)
実施例1における多分岐状マクロモノマー(M−m1)の代わりに多分岐状マクロモノマー(M−m4)を用いた以外は、実施例1と同様にしてスチレン-(メタ)アクリル系樹脂を得た。
【0084】
(実施例5)
実施例1における多分岐状マクロモノマー(M−m1)の代わりに多分岐状マクロモノマー(M−m5)を用いた以外は、実施例1と同様にしてスチレン-(メタ)アクリル系樹脂を得た。
【0085】
(実施例6)
実施例1における多分岐状マクロモノマー(M−m1)の代わりに多分岐状マクロモノマー(M−m6)を用いた以外は、実施例1と同様にしてスチレン-(メタ)アクリル系樹脂を得た。
【0086】
(実施例7)
実施例1における多分岐状マクロモノマー(M−m1)の代わりに多分岐状マクロモノマー(M−m7)を用いた以外は、実施例1と同様にしてスチレン-(メタ)アクリル系樹脂を得た。
【0087】
(実施例8)
実施例1における多分岐状マクロモノマー(M−m1)の代わりに多分岐状マクロモノマー(M−m8)を用いた以外は、実施例1と同様にしてスチレン-(メタ)アクリル系樹脂を得た。
【0088】
(比較例1)
実施例1における多分岐状マクロモノマー(M−m1)の代わりに多分岐状マクロモノマー(M−m4)を用い、マクロモノマーの添加量を350ppmにした以外は、実施例1と同様にしてスチレン-(メタ)アクリル系樹脂を得た。
【0089】
(比較例2)
実施例1における多分岐状マクロモノマーを0ppm(無添加)、100ppmのt-ブチルパーオキシベンゾエートの代わりに、150ppmの2,2ビス(4,4ジ,ターシャリブチルぺルオキシシクロヘキシル)プロパンにした以外は、実施例1と同様にしてスチレン-(メタ)アクリル系樹脂を得た。
【0090】
(比較例3)(高(メタ)アクリル酸エステル含有重合物)
スチレン45部、メタクリル酸メチル44部、アクリル酸ブチル2.5部、トルエン9部からなる混合溶液を調整し、更に、有機過酸化物としてモノマーに対し300ppmの2,2ビス(4,4ジ,ターシャリブチルぺルオキシシクロヘキシル)プロパンを加え、図1に示す装置を用いてスチレン-(メタ)アクリル系樹脂を得た。
【0091】
混合溶液の供給量:9リットル/時間
攪拌式反応器(2)での反応温度:132℃
循環重合ライン(I)での反応温度:138℃
非循環重合ライン(II)での反応温度:140〜160℃
還流比:R= F1/F2 = 6
【0092】
(比較例4)
スチレン90部、参考例8の多分岐状マクロモノマーをスチレンに対し700ppm、及びトルエン8部からなる混合溶液を調整し、更に、有機過酸化物としてスチレンに対し150ppmのt-ブチルパーオキシベンゾエートを加え、図4に示す装置を用いて下記条件で、連続的に塊状重合させた。
【0093】
混合溶液の供給量:9リットル/時間
攪拌式反応器(2)での反応温度:115℃
循環重合ライン(I)での反応温度:134℃
非循環重合ライン(II)での反応温度:140〜160℃
還流比:R= F1/F2 = 6
【0094】
重合させて得られた混合溶液を熱交換器で220℃まで加熱し、50mmHgの減圧下で揮発性成分を除去した後、ペレット化してスチレン系樹脂組成物を得た。得られたスチレン系樹脂組成物を得た。
【0095】
(比較例5)
比較例3における多分岐状マクロモノマーを無添加(0ppm)した以外は、比較例3と同様にしてスチレン系樹脂を得た。
【0096】
得られた重合物において、住友重機械工業(株)製 射出成形機MINIMAT 14/7B を使用し、180〜220℃で樹脂を溶解し、横65mm×縦13mm×厚さ3mmのダンベル片を作製した。
【0097】
さらにダンベル片をTOYO BALDWIN社のTENSION装置(SS−207−AP)を使用し、ロードセル500kg、押しこみスピード5mm/min.、ダンベル 測定で得られたデータについて、X軸を時間(チャートスピード50mm/min.)、Y軸を応力(チャート6cmで10kg)としたグラフから得られる面積を普通コピー紙で重量換算し、曲げエネルギーの値(g)とした。(図3と図4参照)
【0098】
得られた結果を表1から表2に示す。
【0099】
【表1】

【0100】
【表2】

【0101】
表1、及び表2から明らかなように、多分岐状スチレン-(メタ)アクリル系共重合体を含む本発明のスチレン-(メタ)アクリル系樹脂は、超高重量平均分子量(Mw)でありながら、重量平均分子量(Mw)が30万程度の比較例の樹脂と同様に成形が可能である。また、比較例3の樹脂のように、(メタ)アクリル酸エステル成分の量が多い(高分子量化するとゲル化もしくは成形不良を生じるため成形材料としては使用できないモノマー組成)スチレン-(メタ)アクリル系共重合体よりも高曲げエネルギーが得られる。
なお、比較例3の樹脂の単量体組成において、更に高分子量化(重量平均分子量(Mw)が60万以上)を試みたが、そのような超高分子量タイプの直鎖状の樹脂は製造できなかった。また、ジビニルベンゼンのような従来の架橋剤を用いて高分子量化を試みたが、ゲル化が発生して製造できず、或いは成形不良が生じてしまい成形材料としては不適であった。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】静的ミキシングエレメントを有する管状反応器を組み込んだ連続塊状重合ラインの1例を示す工程図である。
【図2】実施例8、比較例1及び比較例2についてのMALLS-GPCにより求められるMolar Mass(g/mol)-慣性半径(RMS Radius /nm)の両対数グラフである。
【図3】ダンベルの曲げエネルギー測定方法の図を示す。
【図4】図3の曲げエネルギー測定から得られるグラフを示す。
【図5】AB型モノマーから誘導される多分岐状マクロモノマーの分岐構造を示す模式図である。
【符号の説明】
【0103】
(1):プラジャーポンプ
(2):攪拌式反応器
(3):ギヤポンプ
(4):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器
(5):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器
(6):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器
(7):ギヤポンプ
(8):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器
(9):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器
(10):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器
(I):循環重合ライン
(II):非循環重合ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分岐末端に重合性二重結合を有する多分岐状マクロモノマーと、スチレン系単量体と、(メタ)アクリル系単量体とを共重合した樹脂であり、
前記スチレン系単量体と前記(メタ)アクリル系単量体の重合比率(質量基準)が、スチレン系単量体/(メタ)アクリル系単量体=85/15〜70/30であり、
GPC-MALLS(多角度光散乱検出器)により求められる重量平均分子量が60万〜100万であり、
GPC-MALLS(多角度光散乱検出器)による慣性半径(R.M.S Radius)とMolar massの両対数の傾きが、0.15〜0.40の範囲(Molar massが50万から500万の範囲)であるスチレン系樹脂。
【請求項2】
前記GPC-MALLS(多角度光散乱検出器)により求められる重量平均分子量が70万〜100万である請求項1記載のスチレン系樹脂。
【請求項3】
前記GPC-MALLS(多角度光散乱検出器)により求められる重量平均分子量が75万を超えて、100万以下である請求項1記載のスチレン系樹脂。
【請求項4】
前記スチレン系単量体と前記(メタ)アクリル系単量体の重合比率(重量基準)が、スチレン系単量体(A)78〜85質量%、アクリル系単量体(B)6〜21質量%、メタクリル系単量体(C)1〜16質量%である請求項1乃至3のいずれかに記載のスチレン系樹脂。
【請求項5】
前記分岐末端に重合性二重結合を有する多分岐状マクロモノマーが、エステル結合、エーテル結合及びアミド結合から選ばれる繰り返し構造単位からなる分岐構造を有する化合物である請求項1乃至4のいずれかに記載のスチレン系樹脂。
【請求項6】
前記分岐末端に重合性二重結合を有する多分岐状マクロモノマーが、
(1)電子吸引基と、該電子吸引基に結合する結合手以外の3つの結合手すべてが炭素原子に結合している飽和炭素原子とからなる分岐構造と、
(2)芳香環に直接結合した重合性二重結合を、
有する化合物である請求項1乃至5のいずれかに記載のスチレン系樹脂。
【請求項7】
前記多分岐状マクロモノマー1g当たりの前記重合性二重結合の含有量が0.1ミリモル〜5.5ミリモルである請求項1乃至4のいずれかに記載のスチレン系樹脂。
【請求項8】
請求項1乃至5のいずれかに記載のスチレン系樹脂を用いたプラスチック板。
【請求項9】
請求項1乃至5のいずれかに記載のスチレン系樹脂を用いたシート。
【請求項10】
請求項1乃至5のいずれかに記載のスチレン系樹脂を用いたフィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−284591(P2007−284591A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−114396(P2006−114396)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】