説明

スチレン系樹脂組成物およびその押出成形品

【課題】 違和感のない木目模様を有する成形品が容易に得られる樹脂組成物の提供。
【解決手段】 芳香族ビニル単量体単位を含む(AI)共重合体、滑剤、着色剤からなる(I)スチレン系樹脂組成物と、芳香族ビニル単量体単位およびマレイミド系単量体単位を含む(DII)共重合体、芳香族ビニル単量体単位を含む(AII)共重合体、滑剤、着色剤からなる(II)熱可塑性樹脂組成物をドライブレンドし、成形することにより木目模様を有する成形品が得られる樹脂組成物であって、(I)スチレン系樹脂組成物の色調が下記(1)式を満し、(I)スチレン系樹脂組成物と(II)熱可塑性樹脂組成物との色調差が下記(2)式満すことを特徴とするスチレン系樹脂組成物。 25≦L/2+a≦47 ・・・ (1)式 1200/(|Δa×Δb|)≦|ΔL|≦15000/(|Δa×Δb|) ・・・ (2)式

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板目模様や柾目模様などに違和感のない木目模様の押出成形品および該押出成形品が得られるスチレン系樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
スチレン系樹脂は、耐衝撃性、剛性などの機械的特性や加工特性に優れていることから自動車、住宅建材、家庭電気製品などの様々な用途に使用されている。また、着色性、表面性に優れることから製品意匠部分に使用されることが多くなっている。しかしながら、近年では用途によっては、単色調ではなく、木目模様などの複雑な色調を要求されることが多くなってきた。そこで、特に押出成形などでは、成形された製品に木目模様を直接印刷する方法や製品に印刷されたフィルムを貼り付ける方法が採用されていた。
しかし、製品に直接木目模様を印刷する場合には単調な木目模様となり高級感がないという問題がある。また、フィルムを張り付ける方法では、フィルムが高価であることや接着工程を有することなどから、製品が高価になるという問題がある。
そこで、スチレン系樹脂に着色された他のスチレン系樹脂を混合し、成形することで木目模様を発現することが、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3に開示されているが、色調が特に制限されていないことから、天然木や印刷されたフィルムと比較すると、木目模様としては違和感がある場合がある。
【0003】
【特許文献1】特開平11−043582号公報
【特許文献2】特開2000−007863号公報
【特許文献3】特開2002−097327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、板目模様や柾目模様などの木目模様に違和感がない木目模様の押出成形品が容易に得られるスチレン系樹脂組成物とその組成物からの木目模様の押出成形品を提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、互いに着色され、且つ特定範囲の色調にある場合に限り、その目的に適合し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
即ち本発明は、芳香族ビニル単量体単位を含む(AI)共重合体、オレフィン系ワックス、脂肪酸金属塩および脂肪族エステルより選ばれる1種類以上の(BI)滑剤、および染料および顔料より選ばれる1種類以上の(CI)着色剤からなる(I)スチレン系樹脂組成物と、芳香族ビニル単量体単位およびマレイミド系単量体単位を含む(DII)共重合体、芳香族ビニル単量体単位を含む(AII)共重合体、オレフィン系ワックス、脂肪酸金属塩および脂肪酸エステルより選ばれる1種類以上の(BII)滑剤、および1種類以上の顔料からなる(CII)着色剤からなる(II)熱可塑性樹脂組成物をドライブレンドし、成形することにより木目模様を有する成形品が得られる樹脂組成物であって、(I)スチレン系樹脂組成物の色調が下記(1)式を満し、(I)スチレン系樹脂組成物と(II)熱可塑性樹脂組成物との色調差が下記(2)式を満すことを特徴とするスチレン系樹脂組成物、である。
25≦L/2+a≦47 ・・・ (1)式
1200/(|Δa×Δb|)≦|ΔL|≦15000/(|Δa×Δb|) ・・・ (2)式
【0006】
(I)スチレン系樹脂組成物100重量部に、(II)熱可塑性樹脂組成物1〜15重量部をドライブレンドする上記のスチレン系樹脂組成物であることが好ましい。
(I)スチレン系樹脂組成物が、(AI)共重合体100重量部、(BI)滑剤0.1〜10重量部、および(CI)着色剤0.1〜10重量部からなり、(II)熱可塑性樹脂組成物が、(DII)共重合体10〜40重量部、(AII)共重合体90〜60重量部〔但し、(DII)+(AII)=100重量部〕、(BII)滑剤0.1〜20重量部、および(CII)着色剤5〜80重量部からなる上記のスチレン系樹脂組成物であることが好ましい。
(AI)共重合体および(AII)共重合体が、ゴム状重合体に芳香族ビニル単量体を含む単量体がグラフト重合された(G)グラフト重合体が包含される上記のスチレン系樹脂組成物であることが好ましい。
また、本発明は上記のスチレン系樹脂組成物を押出成形してなる木目模様を有する押出成形品に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のスチレン系樹脂組成物は、板目模様や柾目模様などの木目模様に違和感がない押出成形品を容易に成形し得るという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下具体的に説明する。
本発明における(I)スチレン系樹脂組成物には、芳香族ビニル単量体単位を含む(AI)共重合体が含まれる。(AI)共重合体は、芳香族ビニル単量体単位に加えて、他の共重合可能な単量体単位を含むことができる。
他の共重合可能な単量体としては、不飽和ニトリル単量体、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体およびマレイミド系単量体が挙げられる。
(AI)共重合体中の芳香族ビニル単量体単位の割合は、特に制限はないが、(AI)共重合体をアセトンに溶解した可溶分中において、50〜90重量%が好ましく、更に60〜80重量%が好ましい。
【0009】
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン等が挙げられ、好ましくは、スチレンである。不飽和ニトリル単量体としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等が挙げられ、好ましくは、アクリロニトリルである。不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体としては、メチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メチルフェニルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート等のアルキルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレートが挙げられ、中でも、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく、ブチルアクリレート、メチルメタクリレートが更に好ましく、最も好ましくはn−ブチルアクリレートである。マレイミド系単量体としては、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド等が挙げられる。
【0010】
(AI)共重合体は、ゴム状重合体に芳香族ビニル単量体を含む単量体がグラフト重合された(G)グラフト重合体を包含することが好ましい。
(G)グラフト重合体は、芳香族ビニル単量体に加えて、他の共重合可能な単量体をグラフト重合することができる。他の共重合可能な単量体としては、不飽和ニトリル単量体、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体およびマレイミド系単量体が挙げられる。
(G)グラフト重合体におけるゴム状重合体としては、ガラス転移温度が0℃以下のものであれば如何なるゴム状重合体でも用いることができる。具体的には、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合ゴム等の共役ジエン系ゴム、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、エチレン−プロピレンゴム、シリコンゴム、シリコン−アクリル複合ゴムおよびそれらの水素添加物等を使用することができる。これらの中でも共役ジエン系重合体が好ましく、特にポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムが好ましい。
【0011】
本発明におけるガラス転移温度は、JIS−K−7121に準拠した示差熱分析(DTA)又は示差走査熱量測定(DSC)から求められる。示差走査熱量測定(DSC)では、サンプル約10mg、昇温速度20℃/min、冷却速度10℃/minおよび窒素ガス流量10ml/minの条件より求められることが好ましい。
グラフト重合体の製造方法としては、特に限定はされないが、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合、およびこれらの重合法の組み合わせ等の方法が挙げられる。具体的には、乳化重合で製造されたゴム状重合体ラテックスに芳香族ビニル単量体をグラフト重合させる乳化グラフト重合方式がある。また、連続式、バッチ式、セミバッチ式いずれの方法も可能である。グラフト重合体の製造過程で生成するゴム状重合体にグラフトした成分の割合は、好ましくは、ゴム状重合体を100重量部として、10〜150重量部であり、より好ましくは、20〜80重量部である。(G)グラフト重合体は、(AI)共重合体をアセトンに溶解した不溶分として得ることができ、グラフトした成分の割合は該不溶分からゴム状重合体の割合を差し引くことにより求めることができる。
【0012】
(AI)共重合体中のゴム状重合体の割合は、1〜60重量%の範囲で用いられるが、必要とする機械的強度、剛性、耐熱性に応じて決められる。好ましくは、5〜50重量%であり、より好ましくは10〜30重量%である。
(AI)共重合体の製造方法は特に限定されないが、(G)グラフト重合体と(H)共重合体を同時に製造する方法、(G)グラフト重合体と芳香族ビニル単量体を含む単量体混合物を共重合させて得られる芳香族ビニル共重合体からなるゴム状重合体の割合の高い混合物(以下、GRCと略することがある)を製造し、別に製造した芳香族ビニル単量体を含む単量体混合物を共重合してなる芳香族ビニル共重合体を混合する方法のいずれも可能である。具体的には、乳化重合により、グラフト重合体とグラフト重合しない芳香族ビニル共重合体を同時に作り、そのゴム強化ラテックスから凝固剤を用いて固形分を凝固させる方法、また乳化重合によりゴム状重合体の割合の高いGRCのラテックスを製造し、上記と同様に凝固剤を用いて固形分を凝固し、別に塊状重合、乳化重合や懸濁重合等で製造したビニル共重合体とともに配合して目的のゴム含有量にする方法等がある。
【0013】
(I)スチレン系樹脂組成物には、オレフィン系ワックス、脂肪酸金属塩および脂肪酸エステルより選ばれる1種類以上の(BI)滑剤が含まれることが好ましい。
オレフィン系ワックスとは、エチレン、プロピレン、α−オレフィンなどより選ばれる1種類以上から生成される組成物であり、該組成物を原料に誘導された組成物も含まれる。例えば、酸化型ポリオレフィンワックス、スチレン系樹脂をグラフトしたポリオレフィンであり、好ましくは、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、アクリロニトリル−スチレン共重合体グラフトポリプロピレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体グラフトポリエチレン、スチレン重合体グラフトポリプロピレン、およびスチレン重合体グラフトポリエチレンなどである。これらは、重量平均分子量が5万以下であることが好ましく、下限に特に制限はないが0.5万以上であることが好ましい。
【0014】
脂肪酸金属塩とは、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛より選ばれる1種類以上が含まれる金属と脂肪酸との塩である。好ましくは、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム(モノ、ジ、トリ)、ステアリン酸亜鉛、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ラウリン酸カルシウムであり、更に好ましくは、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛である。
脂肪酸エステルとは、エチレンビスステアリルアミド、モンタン酸またはモンタン酸から誘導されるワックスより選ばれる1種類以上である。モンタン酸から誘導されるワックスとしては、モンタン酸エステルワックス、モンタン酸部分ケン化エステルワックス、モンタン酸リチウム、モンタン酸亜鉛、およびこれらから選ばれるワックスとモンタン酸との混合物を示す。
(BI)滑剤は、(I)スチレン系樹脂組成物100重量部に対して、0.1〜10重量部配合されることが好ましく、更に好ましくは0.5〜7重量部であり、特に0.8〜5重量部が好ましい。(BI)滑剤が0.1重量部未満では木目模様が発現しにくく、10重量部を超えると押出成形が困難となる。
【0015】
(I)スチレン系樹脂組成物には、染料および顔料より選ばれる1種類以上の(CI)着色剤が含まれる。
染料とは、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、硫化染料、トリフェニルメタン染料、ピラゾロン染料、スチルベン染料、ジフェニルメタン染料、キサンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料、キノンイミン染料(アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料)、チアゾール染料、メチン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料等のことである。
顔料とは、有機系顔料と無機系顔料のことであり、有機系顔料とは、天然有機顔料と合成有機顔料のことである。天然有機顔料とは、植物性顔料、動物性顔料および鉱物性顔料のことであり、合成有機顔料とは、染付レーキ顔料、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾ錯塩顔料、フタロシアニン顔料、縮合多還顔料および蛍光顔料等のことである。無機系顔料とは、天然無機顔料および合成無機顔料のことであり、天然無機顔料とは土系顔料、焼成土、鉱物性顔料等のことである。合成無機顔料とは、酸化物顔料、水酸化物顔料、硫化物顔料、珪酸塩顔料、燐酸塩顔料、炭酸塩顔料、金属粉顔料および炭素顔料等のことである。これらのうち染料、合成有機顔料および合成無機顔料を組み合わせることが好ましい。
【0016】
(CI)着色剤は、(I)スチレン系樹脂組成物100重量部に対して、0.1〜10重量部含まれることが好ましく、更に好ましくは0.5〜8重量部であり、更に0.7〜5重量部が好ましい。(CI)着色剤が0.1重量部未満では、木目模様に違和感が生じ、10重量部を超えると木目模様が発現しにくい。
(I)スチレン系樹脂組成物の色調は、下記(1)式で表される。
25≦L/2+a≦47 ・・・ (1)式
本発明におけるL、a、bとは、JIS−Z−8722に準拠した測定で得られた三刺激値X、Y、ZからハンターLab表色系により算出する〔但し、標準の光C、CIE2°視野〕。ハンターLab表色系による三刺激値X、Y、ZとL、a、bの関係式は、下記(4)〜(6)式を使用した。
L=10×Y1/2 ・・・ (4)式
a=17.5×(1.02X−Y)/Y1/2 ・・・ (5)式
b=7.0×(Y−0.847Z)/Y1/2 ・・・ (6)式
L/2+aの値が25未満および47を超えると木目模様が発現しにくい。2色以上の(I)スチレン系樹脂組成物を配合する場合には、(I)スチレン系樹脂の50重量%以上の色調が(1)式を満たしていればよく、50重量%未満の色調に関しては、(1)式を満たさなくてもよい。
【0017】
(I)スチレン系樹脂組成物は、上述の範囲にある組成物および(1)式の範囲にある色調であれば、1種類以上を組み合わせることができる。好ましくは、同一組成で色調が(1)式の範囲にある(I)スチレン系樹脂を2種類組み合わせることである。
(II)熱可塑性樹脂組成物には、芳香族ビニル単量体単位およびマレイミド系単量体単位を含む(DII)共重合体が含まれる。(DII)共重合体は、芳香族ビニル単量体単位およびマレイミド系単量体単位に加えて、他の共重合可能な単量体単位を含むことができる。
【0018】
他の共重合可能な単量体としては、不飽和ニトリル単量体および不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体が挙げられる。(DII)共重合体は、(II)熱可塑性樹脂組成物中に10〜40重量部〔但し、(DII)+(AII)=100重量部〕含まれることが好ましく、更に好ましくは15〜38重量部であり、特に好ましく20〜35重量部である。10重量部未満では、木目模様が発現されにくく、40重量部を超えると成形品の物性低下や表面に未溶融物が発生する。
(DII)共重合体中の芳香族ビニル単量体単位の割合は、特に制限されないが10〜80重量%が好ましく、更に20〜60重量%が好ましい。(DII)共重合体中のマレイミド系単量体単位の割合は、特に制限されないが、(II)熱可塑性樹脂組成物中に5〜30重量%〔但し、(BII)滑剤、および(CII)着色剤を除く100重量部中〕に調整されることが好ましく、更に10〜25重量%が好ましい。(DII)共重合体は、(AI)共重合体と同様にゴム状重合体に芳香族ビニル単量体を含む単量体がグラフト重合された(G)グラフト重合体を包含することが可能であり、製造方法に関しても(AI)共重合体と同様の製造方法が適用できる。
【0019】
(II)熱可塑性樹脂組成物には、芳香族ビニル単量体単位を含む(AII)共重合体が含まれる。(AII)共重合体は、(AI)共重合体と同様に芳香族ビニル単量体単位に加えて、他の共重合可能な単量体単位を含むことができるが、マレイミド系単量体単位は含まれない。(AII)共重合体は、(G)グラフト重合体や芳香族ビニル単量体単位を含む共重合体であれば、1種類以上を組み合わせることもできる。これらの製造方法は(AI)共重合体と同様の製造方法が適用できる。(AII)共重合体は、(AI)共重合体と同じ組成物であっても異なる組成物であっても構わない。また、(AI)共重合体と(AII)共重合体に同じ組成物が含まれても構わない。好ましくは、同じ組成物が含まれないことである。(AII)共重合体は、(II)熱可塑性樹脂組成物に90〜60重量部〔但し、(DII)+(AII)=100重量部〕含まれるが、好ましくは83〜62重量部で更に80〜65重量部が好ましい。60重量部未満では、成形品の物性低下や表面に未溶融物が発生し、90重量部を超えると木目模様が発現されにくくなる。
【0020】
(II)熱可塑性樹脂組成物には、オレフィン系ワックス、脂肪酸金属塩および脂肪酸エステルより選ばれる1種類以上の(BII)滑剤が含まれ、(BI)滑剤と同様のものが使用できる。(BII)滑剤は、(II)熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、0.1〜20重量部配合されることが好ましく、更に好ましくは0.5〜7重量部であり、特に好ましくは0.8〜5重量部である。(BII)滑剤が0.1重量部未満では顔料の凝集が発生し、20重量部を超えるとペレットの製造が困難となる。
(II)熱可塑性樹脂組成物には、1種類以上の顔料からなる(CII)着色剤が含まれ、(CI)着色剤から染料を除く、同様の有機系顔料、および無機系顔料が使用できる。(CII)着色剤は、(II)熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、5〜80重量部含まれることが好ましく、更に好ましくは8〜60重量部であり、特に好ましく10〜50重量部である。(CII)着色剤が5重量部未満であると木目模様が発現しにくく、80重量部を超えると木目模様に色調ムラが生じる。
【0021】
(I)スチレン系樹脂組成物と(II)熱可塑性樹脂組成物との色調差が下記(2)式で表される。
1200/(|Δa×Δb|)≦|ΔL|≦15000/(|Δa×Δb|)
・・・(2)式
ΔL、Δa、Δbは、色調として算出されたL、a、bから、下記の(8)〜(10)式により求められる。
ΔL=L(I)−L(II) ・・・ (8)式
Δa=a(I)−a(II) ・・・ (9)式
Δb=b(I)−b(II) ・・・ (10)式
但し式中、L(I)、a(I)、およびb(I)は、(I)スチレン系樹脂組成物のL、a、およびbであり、L(II)、a(II)、およびb(II)は、(II)熱可塑性樹脂組成物のL、a、およびbである。
【0022】
|ΔL|が、1200/(|Δa×Δb|)未満であると木目模様が発現しにくく、15000/(|Δa×Δb|)を超えると木目模様に違和感が生じる。2色以上の(I)スチレン系樹脂組成物および(II)熱可塑性樹脂組成物を配合する場合には、(I)スチレン系樹脂組成物および(II)熱可塑性樹脂組成物のそれぞれ50重量%以上の色調が(2)式を満たしていればよく、50重量%未満の色調に関しては(2)式を満たさなくてもよい。
(I)スチレン系樹脂組成物100重量部に、(II)熱可塑性樹脂組成物1〜15重量部ドライブレンドされることが好ましい。更に好ましくは、2〜10重量部であり、更に3〜8重量部が好ましい。1重量部未満であると木目模様が発現されず、15重量部を超えると物性低下が生じる。
【0023】
本発明の(I)スチレン系樹脂組成物および(II)熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、耐光剤、発泡剤、繊維状、他の熱可塑性樹脂および粒状無機充填剤、あるいは熱可塑性樹脂組成物において一般的に用いられるその他の配合剤、添加剤を配合することも可能である。(I)スチレン系樹脂組成物および(II)熱可塑性樹脂組成物には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光剤、充填剤を配合することが好ましい。酸化防止剤としては、フェノール系、リン系およびイオウ系などその他熱可塑性樹脂に一般的に使用されるものが使用でき、これらのうちフェノール系、リン系が好ましい。これらは1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。添加量は(I)スチレン系樹脂組成物100重量部又は(II)熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましい。更に0.1〜5重量部が好ましい。
【0024】
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系、トリアジン系、オキザニリド系、ニッケル錯塩系、および無機紫外線吸収剤などその他熱可塑性樹脂に一般的に使用されるものが使用でき、これらのうちベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート系、トリアジン系が好ましく、さらにベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系が好ましい。これらは1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。添加量は、(I)スチレン系樹脂組成物又は(II)熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、0.05〜5重量部が好ましく、更に0.1〜3重量部が好ましい。
耐光剤としては、アミン系が好ましく、更にヒンダードアミンが好ましい。これらは1種又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。添加量は、(I)スチレン系樹脂組成物又は(II)熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、0.05〜10重量部が好ましい。更に0.1〜5重量部が好ましい。
【0025】
他の熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、PMMA、ポリエステルエラストマー、ポリカプロラクトン、芳香族ポリエステルエラストマー、ポリアミド系エラストマー、ASグラフトポリエチレン、ASグラフトポリプロピレン等が挙げられる。これらのうち、(II)熱可塑性樹脂組成物にポリカーボネート、PMMAを配合することが好ましく、更にPMMAを配合することが好ましい。
【0026】
充填剤としては、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属珪酸塩、炭素、セルロースを主体とする有機物が挙げられ、金属酸化物としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化スズ、珪藻土等が挙げられる。水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられ、金属炭酸塩としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ハイドロタルサイト等が挙げられる。金属硫酸塩としては、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。金属珪酸塩としては、珪酸カルシウム(ウォラストナイト、ゾノトライト)、タルク、マイカ、クレー、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサリト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、ガラスフレーク等が挙げられる。炭素としては、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末等が挙げられる。セルロースを主体とした有機物としては、木粉、パルプ、もみがら粉、クルミ粉、ペーパースラッジ等が挙げられる。好ましくは炭酸カルシウム、タルク、マイカ、ガラス繊維、木粉から選ばれる1種以上である。添加量は、(I)スチレン系樹脂組成物又は(II)熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、1〜55重量部が好ましく、更に3〜40重量部が好ましい。
【0027】
本発明における(I)スチレン系樹脂組成物および(II)熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、特に限定はないが、単軸もしくは2軸のベント付き押出機、プラストミル、ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダーなどの熱可塑性樹脂に一般的に用いられる各種混合装置を用いることができる。これらのうち2軸のベント付き押出機による製造が望ましい。
本発明のスチレン系樹脂組成物の成形方法は、特に限定されないが、射出成形、押出成形、シート成形、熱成形、ブローおよびカレンダー成形などの熱可塑性樹脂に一般的に用いられる成形方法を用いることができる。これらのうち押出成形、ブロー成形、シート成形およびカレンダー成形が望ましく、特に押出成形が望ましい。
本発明の押出成形品とは、押出成形により得られる成形品である。押出成形とは、一般的に公知の押出機等の成形装置を使用して成形する方法であり、特に制限はないが、押出成形機、ダイ、サイジングダイ、冷却槽、引き取り機、および巻取り機または切断機からなる一連の装置を用いた成形方法である。この他にも一般的に押出成形で使用されるロール転写装置等を付与することができる。押出成形に使用される押出成形機は、特に制限はないが、一般的な単軸もしくは2軸の押出機が使用でき、スクリュ直径(D)10m/mφ以上、スクリュネジ長さ/スクリュ直径(L/D)16以上であることが好ましい。また、スクリュデザインも特に制限はないが、一般的に使用されるスクリュデザインが使用でき、フルフライトタイプが好ましい。
【0028】
押出成形には発泡剤を添加する発泡押出成形も含まれており、発泡剤の使用方法としては、スチレン系樹脂組成物に配合する方法、成形時に混合する方法などが挙げられるが、どちらの方法でも良い。成形時に混合する方法としては、発泡剤を混合する方法、熱可塑性樹脂に発泡剤を配合した発泡剤配合品を混合する方法が挙げられるが、どちらの方法でも良い。発泡剤を混合する際に、場合によっては、添着剤として食物油、流動パラフィン、および脂肪酸などが使用できる。発泡剤の種類は、特に制限はないが、一般的に使用される発泡剤が使用でき、アゾ系化合物、ニトロソ系化合物、ヒドラジン系誘導体、および重炭酸塩系から選ばれる1種以上の組み合わせが好ましい。
【0029】
押出成形の成形条件としては、押出成形機の性能や成形体断面形状により異なるが、一般的に熱可塑性樹脂を押出成形する条件範囲が使用できる。樹脂温度としては、250℃以下が好ましく、更に好ましくは樹脂温度210℃以下である。下限温度としては、樹脂が溶融できる最低の温度が可能であり、130℃以上が好ましく、更に150℃以上が好ましい。
押出成形品としては、断面形状および製品に特に制限がないが、断面形状としては、異型形状からシート状、パイプ状、角状、およびチューブ状などが好ましく、製品としては、巾木、回り縁、戸当り、サッシ枠、敷居、鴨居、浴室ドア枠、浴室出窓枠、浴室壁材、手すり、デッキ材、フェンス、木口材および額縁などの住宅部材が好ましい。
【実施例】
【0030】
次に、実施例および参考例によって本発明を説明するが、下記の実施例および比較例は、本発明をさらに具体的に説明するためのものであり、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
尚、実施例中の評価、各種測定は以下の方法で行った。また、組成および配合は、特に記述がない限り重量単位を示す。
実施例および比較例に用いた成分を以下に説明する。
【0031】
1.原料
(AI)共重合体、(AII)共重合体
A−1 : ブタジエン系ゴム50重量%、ゴム重量平均粒子径0.2〜0.3μm、アクリロニトリル17重量%、スチレン33重量%、グラフト率45%、還元粘度0.3の共重合体
A−2 : ブタジエン系ゴム50重量%、ゴム重量平均粒子径0.2〜0.3μm、アクリロニトリル15重量%、スチレン35重量%、グラフト率55%、還元粘度0.26の共重合体
A−3 : ブタジエン系ゴム50重量%、ゴム重量平均粒子径0.2〜0.3μm、アクリロニトリル13.5重量%、スチレン36.5重量%、グラフト率47%、還元粘度0.33の共重合体
A−4 : アクリル系ゴム50重量%、ゴム重量平均粒子径0.3〜0.5μm、アクリロニトリル13.5重量%、スチレン36.5重量%、グラフト率50%、還元粘度0.72の共重合体
【0032】
A−5 : シリコンアクリル系ゴム50重量%、ゴム重量平均粒子径0.05〜0.1μm、アクリロニトリル13.5重量%、スチレン36.5重量%、グラフト率50%、還元粘度0.45の共重合体
A−6 : アクリロニトリル40重量%、スチレン60重量%、還元粘度0.58の共重合体
A−7 : アクリロニトリル40重量%、スチレン60重量%、還元粘度0.47の共重合体
A−8 : アクリロニトリル39重量%、スチレン51重量%、n−ブチルアクリレート10重量%、還元粘度0.42の共重合体
【0033】
A−9 : アクリロニトリル34重量%、スチレン66重量%、還元粘度0.91の共重合体
A−10 : アクリロニトリル30重量%、スチレン70重量%、還元粘度0.65の共重合体
A−11 : アクリロニトリル29重量%、スチレン71重量%、還元粘度0.73の共重合体
A−12 : アクリロニトリル27重量%、スチレン63重量%、n−ブチルアクリレート10重量%、還元粘度0.51の共重合体
A−13 : アクリロニトリル25重量%、スチレン75重量%、還元粘度0.46の共重合体
A−14 : アクリロニトリル20重量%、スチレン80重量%、還元粘度0.67の共重合体
【0034】
ここで言うグラフト率とは、ゴム状重合体にグラフト共重合した成分の、ゴム状重合体に対する重量割合として定義される。重合反応により生成した重合体をアセトンに溶解し、遠心分離器によりアセトン可溶分と不溶分とに分離する。この時、アセトンに溶解する成分は重合反応した共重合体のうちグラフト反応しなかった成分(非グラフト成分)であり、アセトン不溶分はゴム状重合体、及びゴム状重合体にグラフト反応した成分(グラフト成分)である。アセトン不溶分の重量からゴム状重合体の重量を差し引いた値がグラフト成分の重量として定義されるので、これらの値からグラフト率を求めることが出来る。
還元粘度とは、熱可塑性樹脂をアセトンに溶解し、これを遠心分離機によりアセトン可溶分、及びアセトン不溶分に分離する。熱可塑性樹脂におけるゴム状重合体にグラフトしていない成分(非グラフト成分)の還元比粘度は、アセトン可溶分0.25gを2−ブタノン50mlにて溶解した溶液を、30℃にてCannon−Fenske型毛細管中の流出時間を測定することにより得られる。
【0035】
(DII)共重合体
D−1 : スチレン48重量%、N−フェニルマレイミド51重量%、無水マレイン酸1重量%、メルトボリュームフローレイト(ISO1133に準拠した温度265℃、試験荷重10kgによる測定)2.0cm3/10min、ガラス転移温度203℃のマレイミド化合物共重合体。
D−2 : アクリロニトリル17重量%、スチレン50重量%、N−フェニルマレイミド33重量%、メルトボリュームフローレイト(ISO1133に準拠した温度220℃、試験荷重10kgによる測定)1.6cm3/10min、ガラス転移温度148℃のマレイミド化合物共重合体。
【0036】
(BI)滑剤、(BII)滑剤
B−1 : エチレンビスステアリン酸アマイド(花王株式会社製カオーワックス EB−FF)
B−2 : ステアリン酸カルシウム(大日化学工業株式会社製ダイワックスC)
B−3 : ステアリン酸マグネシウム(大日化学工業株式会社製ダイワックスM)
B−4 : ポリエチレンワックス(三洋化成工業株式会社製サンワックス161−P)
B−5 : 酸化型ポリエチレンワックス(ヤスハラケミカル株式会社製ネオワックスE−20)
【0037】
(CI)着色剤、(CII)着色剤
C−1 : 二酸化チタン(石原産業株式会社製タイペークCR97)
C−2 : カーボンブラック(三菱化学株式会社製カーボン#960)
C−3 : 複合チタン(東罐マテリアル・テクノロジー株式会社製42−118A) C−4 : 酸化鉄(戸田工業株式会社製KN−O)
C−5 : 有機系顔料(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製CROMOPHTAL RED2030)
C−6 : 有機系顔料(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製IRGAZIN 3RLTN)
【0038】
その他
X−1 : 2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(城北化学工業株式会社製JF−77)
X−2 : ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(城北化学工業株式会社製JF−90)
X−3 : タルク(松村産業株式会社製クラウンタルクPP)
X−4 : 炭酸カルシウム(同和カルファイン株式会社製ACE−35)
X−5 : 木粉(株式会社カジノ製100)
X−6 : メチルメタクリレート97.5重量%、メチルアクリレート2.5重量%、メルトフローレイト(ISO1133に準拠した温度230℃、試験荷重3.8kgによる測定)2.0g/10minのアクリル系共重合体
【0039】
2.事前混合
(1)造粒
表1のI−1〜10の組成物を、シリンダ温度240℃に設定された2軸押出機で造粒した〔但し、I−5、および8は、シリンダ温度190℃〕。
表2のII−1〜10の組成物は、シリンダ温度270℃に設定された2軸押出機で造粒した。使用する着色剤には○を表示し、使用した顔料添加量の合計を、少数点第一位を四捨五入し記載した。
(2)色調(L、a、b)
樹脂温度250℃、金型温度60℃の条件下で長さ90mm、巾50mm、厚み2.5mmの射出成形プレート片を射出成形にて作成し、コニカミノルタセンシング株式会社製CR−300を用い算出した〔但し、標準の光C、CIE2°視野〕。L、a、bの数値は、少数第一位を四捨五入し記載した。
なお、表1〜5に記載される配合数値は、重量部である。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
3.押出成形
表3〜5に示すの配合で押出成形を行った。押出機は、ノンベント式単軸フルフライトスクリュータイプを使用し、ダイ、およびサイジング形状が約2mm×42mm、シリンダ設定温度150〜200℃の条件にて、実施例1〜17、比較例1〜8に示す配合で押出成形を行い、得られた押出成形品の評価を行った。
4.測定項目
(1)表面外観性:目視により観察し、押出成形品の表面に荒れが生じていない場合を○、表面に荒れがわずかに生じている場合を△、表面に大きな荒れが生じている場合を×とした。
(2)木目模様:目視により観察し、押出成形品にはっきりとした木目模様が発現されている場合を○、わずかに木目模様が発現されている場合を△、まったく発現されていない場合を×とした。
(3)色調:目視により観察し、押出成形品の木目模様として高級感があり、色調に違和感がない場合を○、わずかに違和感がある場合を△、はっきりと違和感がある場合を×とした。
表5に示すように本発明に規定する条件を満たさない場合には、色調、および木目模様において違和感があるが、本発明の樹脂組成物は、違和感のない木目模様が得られていることがわかる。
表5に示すように本発明に規定する条件を満たさない場合には、色調、および木目模様において違和感があるが、本発明の樹脂組成物は、違和感のない木目模様が得られていることがわかる。
【0043】
【表3】

【0044】
【表4】

【0045】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、板目模様や柾目模様などの木目模様に違和感のない成形品が容易にできるスチレン系樹脂組成物であるため、天然木では腐食してしまうような水と接する製品の製造に最適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ビニル単量体単位を含む(AI)共重合体、オレフィン系ワックス、脂肪酸金属塩および脂肪族エステルより選ばれる1種類以上の(BI)滑剤、および染料および顔料より選ばれる1種類以上の(CI)着色剤からなる(I)スチレン系樹脂組成物と、芳香族ビニル単量体単位およびマレイミド系単量体単位を含む(DII)共重合体、芳香族ビニル単量体単位を含む(AII)共重合体、オレフィン系ワックス、脂肪酸金属塩および脂肪酸エステルより選ばれる1種類以上の(BII)滑剤、および1種類以上の顔料からなる(CII)着色剤からなる(II)熱可塑性樹脂組成物をドライブレンドし、成形することにより木目模様を有する成形品が得られる樹脂組成物であって、(I)スチレン系樹脂組成物の色調が下記(1)式を満し、(I)スチレン系樹脂組成物と(II)熱可塑性樹脂組成物との色調差が下記(2)式満すことを特徴とするスチレン系樹脂組成物。
25≦L/2+a≦47 ・・・ (1)式
1200/(|Δa×Δb|)≦|ΔL|≦15000/(|Δa×Δb|) ・・・ (2)式
【請求項2】
(I)スチレン系樹脂組成物100重量部に、(II)熱可塑性樹脂組成物1〜15重量部をドライブレンドすることを特徴とする請求項1記載のスチレン系樹脂組成物。
【請求項3】
(I)スチレン系樹脂組成物が、(AI)共重合体100重量部、(BI)滑剤0.1〜10重量部、および(CI)着色剤0.1〜10重量部からなり、(II)熱可塑性樹脂組成物が、(DII)共重合体10〜40重量部、(AII)共重合体90〜60重量部〔但し、(DII)+(AII)=100重量部〕、(BII)滑剤0.1〜20重量部、および(CII)着色剤5〜80重量部からなることを特徴とする請求項1または2に記載のスチレン系樹脂組成物。
【請求項4】
(AI)共重合体および(AII)共重合体が、ゴム状重合体に芳香族ビニル単量体を含む単量体がグラフト重合された(G)グラフト重合体が包含されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物を押出成形してなる木目模様を有する押出成形品。

【公開番号】特開2006−233112(P2006−233112A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−52634(P2005−52634)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】