説明

スチームアイロン

【課題】 ノズルからの水滴が的確に気化室に滴下し、アイロンの外部表示と適合した機能状態を発揮するスチームアイロンを提供すること。
【解決手段】 アイロンベース2と、アイロンベース2を蓋体4で覆うことにより形成された気化室3と、ノズル10を備えるタンク9と、ノズル10に連通する筒状パッキン7と、水の気化室3への供給を制御するスチームボタン12と、を備え、スチームボタン12を操作することにより、タンク9内の水をノズル10と筒状パッキン7とを介して気化室3に送って気化させてスチームを生成し、スチームをスチーム噴出口6から噴射するスチームアイロンにおいて、気化室3には、一端が気化室3の内底部に載置され、他端が筒状パッキン7の内部に位置し、ノズル10から供給される水を気化室3内に案内する案内手段としての第2のコイルスプリング22が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等に蒸気を吹付けながらプレスできるスチーム噴出機能を有するスチームアイロンに係り、特にアイロン本体が蒸気を発生するためにアイロンベースに水を滴下するためのノズルを有するものにおいて、アイロンベースに水を円滑に供給し安定した蒸気の噴出ができる構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
衣類等をアイロン掛けする際に、しわを伸ばし形を整えるのを容易にするため、蒸気を吹付けて能率よくプレスできるように、スチーム機能を備えたいわゆるスチームアイロンがある。
【0003】
スチームアイロンを使用して、衣類等に蒸気を噴出してプレスをするときに、アイロンのタンクからノズルを介してアイロンベースに供給する水がスムーズに滴下供給されなければ、蒸気の発生がうまく行かない。
【0004】
図5は従来のスチームアイロンの平面図であり、図6は図5のY−Y線で切断した側断面図である。
【0005】
従来、この種のアイロンは、図5及び図6に示すような構成になっている。すなわち、ヒータ1を有するアイロンベース2に気化室3が形成してあり、この気化室は蓋体4で覆われている。気化室3で発生した蒸気は蒸気通路5を経てスチーム噴出口6から外部に噴出する。
【0006】
タンク9は、アイロン本体B内のアイロンベースカバー8の上方に着脱自在に設けてあり、アイロン本体Bに装着したとき、タンク9の底部に設けたノズル10が弾性筒状パッキン7と流出ガイド部材の給水路15で結合される。そして、注水口11からタンク9内に入れられた水は、ノズル10から給水路15を経て弾性筒状パッキン7の孔16を通って気化室3に供給される。また、ノズル10はスチームボタン12によって駆動される開閉レバー13の操作で開閉され、気化室3への水の供給が制御される。
【0007】
弾性筒状パッキン7は、シリコンゴム等の耐熱性でかつ熱絶縁性の良い材料により形成されており、アイロンベース2の上面を覆う気化室3の蓋体4とアイロンベースカバー8の間に取り付けられ、その上端フランジの下面と気化室3の底面間にコイルスプリング14が介挿され、上方に付勢するように固定されている。
【0008】
このような従来のスチームアイロンでは、着脱自在なタンク9と気化室3との密接な結合のためにタンク9を装着したときには給水路15の開口部に対して弾性筒状パッキン7が圧接した状態に保持されるため、長期間の使用により弾性筒状パッキン7が劣化して変形する。そこで、このような変形により弾性力が低下して密接な結合が困難になるのを補い、弾性筒状パッキン7の給水路15の開口部との結合を確実に行うために、弾性筒状パッキン7をタンク9側に付勢するコイルスプリング14を設けてアイロンベースカバー8に押し付けていた。
【特許文献1】特許第3125583号公報(図4、段落〔0005〕〜〔0010〕)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そして、従来のスチームアイロンでは、ノズル10から滴下した水滴は弾性筒状パッキン7の孔16に表面張力によって球状に垂れ下がり、給水路15側の水圧と気化室3の蒸気圧のバランスによって滴下する。しかしながら、このような構造では加熱により気化室3の内圧が高くなると、弾性筒状パッキン7の孔16からの水滴が的確に滴下しなくなってしまう。給水路15に通じる弾性筒状パッキン7の孔16は約1mm程度であるが、ノズル10が全開でも水が出にくくなり、水が滴下しない。したがって、アイロンの外部表示がスチームの表示であるのにスチームが噴出せず、表示と異なる機能状態におかれることになる。
【0010】
また、このコイルスプリング14の下端は、ヒータ1に近接している気化室3の底面3aで支持していたために、アイロンベース2の熱がコイルスプリング14を通して弾性筒状パッキン7に伝達され、加熱されることにより、この熱によって弾性筒状パッキン7の劣化が促進されるという問題があった。
【0011】
さらに、コイルスプリング14は、気化室3内に配設されているため、水垢等の蒸発残留物が付着し、硬化することによって弾性特性が変化させられるので、密封作用が低下し、タンク9と気化室3の結合状態を長期にわたり一定に保持することが困難であるという問題があった。
【0012】
さらにまた、弾性筒状パッキン7は、コイルスプリング14で支持された不安定な状態でアイロンベースカバー8に対し押圧固定する構成であるため、蓋体4の上に設置された弾性筒状パッキン7をアイロンベースカバー8で上方から覆い装着する際には、コイルスプリング14の上方への付勢力が正しく弾性筒状パッキン7に作用するように、注意深く作業しなければならなかった。
【0013】
本願の発明者は、上記の問題点を解決すべく種々検討を行った結果、ノズルから滴下し給水路を通って弾性筒状パッキンの孔から押し出された水滴を円滑に気化室へ滴下させるために、弾性筒状パッキンと気化室内底部とを結ぶ、滴下する水を導く案内手段を設けることにより、スチームボタンで意図したとおり速やかに水滴を気化室内底部に導いて気化させることができることを見出し、本発明のスチームアイロンを完成するに至ったものである。
【0014】
すなわち、本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、ノズルからの水滴が的確に気化室に滴下し、安定してスチームを発生させることができ、アイロンの機能表示と適合した機能状態を発揮できるスチームアイロンを提供することを目的とする。
【0015】
また、本発明の他の目的は、熱による筒状パッキンの劣化を防止しつつ、タンクと気化室を確実に密封結合することが可能で、かつスチーム発生が円滑なスチームアイロンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
蒸気目的を達成するために、本願のスチームアイロンの発明は、ヒータとスチーム噴出口を有するアイロンベースと、該アイロンベースを蓋体で覆うことにより形成された気化室と、底部にノズルを備え、前記気化室の上方に位置して水を貯留するタンクと、前記蓋体に設けられ前記ノズルに連通する筒状パッキンと、該タンク内の水の前記気化室への供給を制御するスチームボタンと、を備え、前記スチームボタンを操作することにより、前記タンク内の水を前記ノズル及び前記筒状パッキンを介して前記気化室に送り、該気化室において水を気化させてスチームを生成し、該スチームを前記スチーム噴出口から噴射するスチームアイロンにおいて、前記気化室には、一端が該気化室の内底部に載置され、他端が前記筒状パッキンの内部に位置し、前記ノズルから供給される水を前記気化室内に案内する案内手段が設けられていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の好適な態様においては、前記蓋体の上部を被覆するアイロンベースカバーを更に有し、前記タンクは前記アイロンベースカバー上に着脱自在に取り付けられるカセット式タンクから形成されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の好適な態様においては、前記筒状パッキンは弾性部材から形成されているとともに、前記アイロンベースカバーの上部からその上端部が突出するように上方に向かって付勢手段により付勢されており、前記付勢手段は一端が前記筒状パッキン内に、他端が前記気化室の内底部にそれぞれ付勢接触しており、前記タンクが装着された際には、前記筒状パッキンが前記ノズルに付勢されることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の好適な態様においては、前記筒状パッキンは弾性部材から形成されているとともに、前記アイロンベースカバーの上部からその上端部が突出するように上方に向かって付勢手段により付勢されており、前記付勢手段は一端が前記筒状パッキン内に、他端が前記蓋体にそれぞれ付勢接触しており、前記タンクが装着された際には、前記筒状パッキンが前記ノズルに付勢されることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の好適な態様においては、前記案内手段は、前記付勢手段により付勢された筒状パッキンの移動に追従して移動する弾性部材から形成されていることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の好適な態様においては、前記付勢手段は、所定の付勢力を有する第1のコイルスプリングからなり、前記弾性部材からなる案内手段は、前記第1のコイルスプリングの付勢力に比してその付勢力が小さい第2のコイルスプリングからなることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の好適な態様においては、前記タンクはアイロン本体に着脱不可能な固定タンクから形成されていることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の好適な態様においては、前記案内部材は、前記気化室の内底部から所定高さ立設された突起、もしくは一端が前記気化室の内底部に当接し、他端が前記筒状パッキンの内壁面に当接したコイルスプリングからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明は上記構成を備えることにより、以下に示すような優れた効果を奏する。すなわち、本発明によれば、筒状パッキンの内部と気化室内底部とに接触してノズルから滴下する水を気化室内底部に案内する案内手段を備えているので、気化室に入った水が気化する際に発生する圧力により気化室の内圧が高くなっても、ノズルから供給される水滴が案内手段を伝って的確に滴下し気化する。したがって、アイロンの外部表示と異なる機能状態におかれることなく、スチームを円滑に安定して供給できる。
【0025】
また、本発明の好ましい態様によれば、アイロンベースカバーを更に有し、このアイロンベースカバー上に着脱自在のカセット式タンクを使用することが可能であるので、タンク内に水を貯留する際の作業性が向上する。
【0026】
また、本発明の好ましい態様によれば、蓋体及び弾性を有する筒状パッキンに付勢接触されアイロンベースカバー方向に筒状パッキンを付勢する付勢手段と、筒状パッキン内と気化室内底部とに当接する案内手段を備えているので、熱による弾性筒状パッキンの劣化変形にかかわらず、密封状態を維持しながら、タンクから気化室への水滴の供給を円滑に行うことが可能なスチームアイロンを提供することができる。
【0027】
また、本発明の好ましい態様によれば、蓋体及び弾性を有する筒状パッキンに付勢接触されアイロンベースカバー方向に筒状パッキンを付勢する付勢手段と、筒状パッキン内と気化室内底部とに当接する案内手段を備えているので、熱による弾性筒状パッキンの劣化変形にかかわらず、密封状態を維持しながら、タンクから気化室への水滴の供給を円滑に行うことが可能なスチームアイロンを提供することができる。また、付勢手段は蓋体と筒状パッキンとに付勢接触しているため、付勢手段が気化室内に配設されることが無く、付勢手段の疲労劣化や水垢の付着による劣化を防止することができ、付勢手段を長持ちさせることができる。
【0028】
また、本発明の好ましい態様によれば、案内手段を筒状パッキンの移動に追従して移動する弾性部材、例えばコイルスプリング等で形成されるので、筒状パッキンが移動しても案内手段が外部に露出することがなく、また、筒状パッキンがどの位置にあってもノズルから供給される水滴を円滑に気化室内に供給することができる。
【0029】
また、本発明の好ましい態様によれば、付勢手段を第1のコイルスプリングとし、案内手段を第1のコイルスプリングの付勢力に比して小さな付勢力を有する第2のコイルスプリングとすれば、第1コイルスプリングによる筒状パッキンの付勢を補完する形で第2のコイルスプリングを使用することができるとともに、ノズルから供給される水滴の気化室への案内も円滑に行うことが可能となる。
【0030】
また、本発明の好ましい態様によれば、タンクにアイロン本体に対して着脱不可能な固定カセットを採用することも可能であるので、カセット式タンクであっても、固定式タンクであっても本発明の構成を備えるスチームアイロンを製造することが可能となる。
【0031】
また、本発明の好ましい態様によれば、タンクが固定式タンクである場合には、筒状パッキン等が移動することがないので、気化室内底部から立設した突起であっても、気化室内底部と筒状パッキン内に端部が当接したコイルスプリングであっても、上述した効果を奏するスチームアイロンを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのスチームアイロンを例示するものであって、本発明をこのスチームアイロンに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
【実施例1】
【0033】
以下、本発明の1実施例を、図面について説明する。なお、図1は本発明の実施例1に係るスチームアイロンの平面図であり、図2は図1のX−X線で切断した同スチームアイロンの側断面図である。
【0034】
本実施例1に係るスチームアイロンは、図1及び図2に示すように、ヒータ1が埋設され且つスチームを発生させる気化室3が形成されたアイロンベース(以下、ベースという)2と、ベース2を蓋体4で覆って形成された気化室3と、気化室3の上方に位置して気化室3へ水を供給するタンク9と、このタンク9内に貯留された水の気化室3への供給・停止をコントロールするスチームボタン12と、タンク9の上方にあってスチームアイロンを操作するハンドル17等で構成されている。なお、スチームボタン12及びハンドル17等はアイロン本体A1の一部を構成し、タンク9はアイロン本体A1に対して着脱自在に固定されるカセット式タンクである。
【0035】
ベース2の上方にはアイロンベースカバー8が固定され、このアイロンベースカバー8の上部にアイロン本体A1が固定されている。アイロン本体A1のハンドル17は握り部を有しており、その内部にヒータ等を制御する制御基板(図示せず)が収容されている。なお、この制御基板はアイロン本体A1の後部に設けられた接続端子に接続された電源コード18を介して供給される電源によって駆動される。ハンドル17の前方にはショットスチームボタン23とスプレーボタン19が並べて設けられている。また、アイロンベースカバー8の上部にはタンク9が着脱自在に取付けられており、このタンク9は、その両側の袖部9a、9bが貯水部となっている。そして、タンク9の前側には注水口11及びこの注水口11を塞ぐ蓋20が、それらの下側前面にはスプレー噴射口21が、また上側にはスチームボタン12がそれぞれ設けられている。
【0036】
ベース2は、図2に示すように、所定長の底辺を有し、前側先端部に尖った頂部を有し、所定の肉厚を有するほぼ三角形状の板状体からなり、アルミ等の熱伝導性の高い金属材料で形成されている。このベース2は、表面のほぼ中央部には気化室3の一部となる所定大きさの開口及び深さを有する凹状穴が形成され、その周囲にはヒータ1が埋設されている。また、ベース2の外周囲縁の近傍には、蒸気通路5が形成され、この蒸気通路5は気化室3に繋がっている。この蒸気通路5は、所定幅及び深さを有する凹状溝で形成され、この凹状溝内に複数個の噴出口6が所定間隔で設けられている。これらの噴出口6は、蒸気通路5からベース2の底面へ貫通している。気化室3及び蒸気通路5等は、その上方の開口が蓋体4によって閉塞されている。蓋体4は、ベース2に設けたねじ穴とねじによってベース2に固定されている。
【0037】
また、タンク9は、アイロンベースカバー8の上に着脱自在に取付けられ、内部に水を貯留できる空洞を有する。タンク9は、スチーム操作機構などを設けた操作部9eとタンクの頭部9cから離れた位置で所定幅の溝9dで分岐された袖部9a、9bとからなり、平面視ではほぼ馬蹄形(図1参照)をしていて、合成樹脂材で成形されている。タンク上部は、タンク底板9fからなる底部と、この底部から上方へ大きく膨らんだ膨出部とからなり、この膨出部によって空洞が形成されている。すなわち、この膨出部はタンク9の袖部9a、9bに対応する部分であって2つに分岐された空洞を形成している。操作部9eには、タンク底板9fに装着されたノズル10を開閉操作するノズル開閉レバー13を備え、また、ショットスチームポンプやスプレーポンプを備えている。
【0038】
スチームの噴出と停止とを切換えるスチーム開閉機構30は、図2に示すように、操作部9eのタンク頭部9cに対応する部分に形成された凹み部31に設けられ、この凹み部31の底部に挿通孔32が形成されてスチーム開閉機構30の開閉レバー13が挿通されている。タンク底板9fのタンク頭部9cに近接した位置には、所定の大きさの貫通孔9gが形成されていて、この貫通孔9gはノズル10が装着されるノズル装着孔となっている。このノズル装着孔9gに取付けられるノズル10は、上面にすり鉢状の窪みが形成された円盤状の板状体からなり、底部中央にスチーム開閉機構30の開閉レバー13の先端が嵌り込む細穴が設けられている。ノズル10のタンク底板9fへの取付けは、ノズル10をノズル装着孔9gの底面から嵌め込み、流出ガイド部材33で覆うことで固定される。この構成により、ノズル10から流出する水は、流出ガイド部材33を通って流出口から気化室3へ流出される。
【0039】
スチーム開閉機構30は、レバー型のスチームボタン12と、一端がノズル10に対峙し他端がスチームボタン12に結合された開閉レバー13と、開閉レバー13を押し上げるスプリングと開閉レバー13を押し下げるスプリングで構成されている。この構成により、スチームボタン12を回すと、開閉レバー13によりノズル10が閉じてドライアイロンとして使用でき、またここで、スチームボタン12を反対方向に回すと、開閉レバー13が押し上げられてノズル10が開き、タンク9内の水が気化室3に流入してスチームとなりスチームアイロンとして使用できる。
【0040】
本発明は、このようなスチームアイロンにおいて、スチーム発生に必要な水滴をタンクから気化室内底面に円滑に流す案内手段を設けたものである。
【0041】
すなわち、本実施例のスチームアイロンは、筒状パッキン7と気化室内底部3aとに密接して筒状パッキンの上部の孔16から滴下する水を気化室内底部3aに導く案内手段を設けたものである。なお、図1及び図2に示す実施例1では案内手段としてコイルスプリング22を用いている。
【0042】
すなわち、このスチームアイロンは、アイロンベースカバー8に弾性を有する筒状パッキン7を密接させるように付勢する付勢手段としての第1のコイルスプリング14が、気化室3の内底から弾性筒状パッキン7のつば部分を上側に押し上げるように設けられている。さらに、第1のコイルスプリング14の他に弾性筒状パッキン7の筒内にあって弾性筒状パッキン7の天井面と気化室内底部3aとに密接する第2のコイルスプリング22を備えている。第2のコイルスプリング22は、気化室3の内底部に設けた突起3bにその下端を係合し保持されている。
【0043】
この案内手段は、上記実施例においてはコイルスプリング22として形成したが、金属、セラミックまたはプラスチックなどの材質により形成される上下間の接続具であれば良く、その形態は棒状、スタンド形、円錐形、コイル状など、いずれであっても弾性筒状パッキン7の天井面と気化室3内底部とに密接して、ノズル10に連通する孔16から滴下する水を気化室3内底部に導くことができればよい。ただし、金属製のコイルスプリングであれば、弾性筒状パッキン7の上下方向への移動に追従して移動でき、組み立て時に気化室3の底部に設けた突起3bにその下端を係合し保持して自立させることができるので都合がよい。さらに接続具には水垢防止剤を施してあっても良い。
【0044】
また、上記実施例1では、アイロンベースカバー8を用いたものを説明したが、アイロンベースカバー8は必ずしも必要でなく、蓋体4が高い遮熱性を備えていれば、タンク9を蓋体4上に直接配設しても良い。
【実施例2】
【0045】
次に図3を参照して本発明の実施例2にかかるスチームアイロンを説明する。なお、図3は本発明の実施例2に係るスチームアイロンの側断面図であり、図2に対応する断面で切断したものである。この図3に示すスチームアイロンにおいて、実施例1と同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
実施例2のスチームアイロンのアイロン本体A2は、ヒータ1とスチーム噴出口6を有するアイロンベース2、アイロンベース2を蓋体4で覆って形成された気化室3、アイロンベースカバー8、アイロンベースカバー8の上方に位置して水を貯留するタンク9及びタンク9内の水の気化室3への供給を制御するスチームボタン12を備え、スチームボタン12を操作することによりタンク9内の水をタンク9底面のノズル10と蓋体4の弾性筒状パッキン7とを介して気化室3に滴下し、アイロンベース2で気化させてスチーム噴出口6からスチームを供給するものであることは実施例1のスチームアイロンと同じである。なお、本実施例においてもタンク9はアイロン本体A2に対して着脱自在なカセット式タンクであると好ましい。
【0047】
このスチームアイロンの蓋体4とアイロンベースカバー8との間におかれた弾性筒状パッキン7は、加熱の影響を軽減するため、流出ガイド部材33の給水路15の出口の孔とアイロンベースカバー8に密接させるように付勢する第1のコイルスプリング14’を有する。この第1コイルスプリング14’は、弾性筒状パッキン7と蓋体3の間に配置している。また、弾性筒状パッキン7内にあって弾性筒状パッキン7の天井と気化室3の内底部3aとに密接する第2のコイルスプリング22が設けられている。この構成により、弾性筒状パッキン7は第1のコイルスプリング14’によって上方に付勢されてアイロンベースカバー8に押し付けられるとともに、タンク9の底部に設けたノズル10と弾性筒状パッキン7を結ぶ流出ガイド部材33の給水路15の端部に密接に結合する。そして、タンク9の水は、ノズル10から流出ガイド部材33の給水路15を経て弾性筒状パッキン7の孔16を通って気化室3に供給される。このとき、第2のコイルスプリング22は、弾性筒状パッキン7の天井の穴16から内部に滴下する水を速やかに気化室内底部3aに流す作用をする。これによってスチームボタン12の操作によるスチームの供給が途切れることなく、円滑に行われる。
【0048】
上記の実施例2は、タンク9の底部に設けたノズル10と弾性筒状パッキン7が、流出ガイド部材33で連結されているものであるが、流出ガイド部材33を備えることなくノズル10に直接弾性筒状パッキン7を密接させた構造としてもよいことは当然である。
【0049】
以上の実施例1及び2で説明した第2のコイルスプリング22は、水滴流下の案内を目的とするものであるので、弾性筒状パッキン7の天井と気化室内底部3aとに接触を保つものであればよく、当然ながら、弾性筒状パッキン7の付勢を目的として設けられた第1のコイルスプリング14’よりも付勢力が弱いものでよい。むしろ、付勢力が弱いことによって、弾性筒状パッキンの不必要な変形を防ぐことができる。ただし、第2のコイルスプリング22にも所定の付勢力を付与しておけば、万一第1のコイルスプリング14’が経年劣化によってその付勢力の低下が生じた場合にも弾性筒状パッキン7の付勢を補完することができ好ましい。
【実施例3】
【0050】
次に図4を参照して本発明の実施例3を説明する。なお、図4は実施例3にかかるスチームアイロンの側断面図であり、図2に対応する断面で切断したものである。図4においても、実施例1と同様の構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0051】
実施例3のスチームアイロンのアイロン本体A3は、ヒータ1とスチーム噴出口6を有するアイロンベース2、アイロンベース2を蓋体4で覆って形成された気化室3、気化室の上方に位置して水を貯留するタンク9及びタンク9内の水の気化室3への供給を制御する押しボタン型のスチームボタン12を備え、スチームボタン12を操作することによりタンク9内の水をタンク9底面のノズル10とノズル10に密着させた蓋体4の弾性筒状パッキン7を介して気化室3に滴下し気化させてスチームを生成し、スチーム噴出口6からこのスチームを噴出するものである。なお、タンク9は固定式タンクでありアイロン本体A3に作り付けになっており、ノズル10と弾性筒状パッキン7もノズル10の突出部を弾性筒状パッキン7に嵌め込んで直接結合されている。弾性筒状パッキン7は、アイロンベースカバー8の保持部8aと蓋体4の孔4aとの間に位置し、ノズル10に密封連結するように固定されている。このスチームアイロンは、弾性筒状パッキン7の内面の下端と気化室内底部3aとに密接する第2のコイルスプリング22を備えている。そして、タンク9の水は、ノズル10から弾性筒状パッキン7の孔16を通って気化室3に供給される。第2のコイルスプリング22は、弾性筒状パッキン7の下面の孔16から気化室3内部に滴下する水を、速やかに気化室内底部3aに流す作用をする。これによって、スチームの供給が途切れることなく円滑に行われる。なお、図4ではスチームボタン12に連動してノズルを開閉する開閉レバー等は図示を省略してあり、また、本実施例のスチームアイロンにおける弾性筒状パッキン7は、タンク9が固定式であるため弾性を有する必要は必ずしもなく、弾性を有さない金属材等からなる筒状パッキンを使用してもよい。さらにまた、本実施例のスチームアイロンはタンク9が固定式タンクであるため、上記実施例1及び2で示した弾性筒状パッキン7を付勢する第1のコイルスプリングは設けられていない。
【0052】
次に、このスチームアイロンの使用方法は、操作部のスチームボタン12を上下動させてスチーム或いはドライを選択してアイロン掛けを行うが、この使用法は上記実施例1及び2で述べたスチームアイロンと同じである。操作部のスチームボタン12をスチーム状態にし、開閉レバー13を動かし、ノズル10を開けてタンク9から気化室3への給水を行う。タンク9内の水はノズル10を通って弾性筒状パッキン7に流れる。次いで、水は弾性筒状パッキン7の孔16を通りコイルスプリング22を伝って気化室底部3aで蒸発しスチームとなって、スチーム噴出口6から衣類等に向かって噴出し、散布された衣類等のしわ伸しを行なう。
【0053】
なお、本実施例3においても案内手段としてコイルスプリング22を用いたが、この形状に限定される必要はなく、例えば気化室内底部3aから立設するように設けられた突起状の部材で形成することもできる。また、その材質も合成樹脂や金属、セラミック等の材料から適宜選択して形成すると良い。
【0054】
以上説明したように、本発明のスチームアイロンによれば、簡単な機構を用いて、タンク底面のノズルと弾性筒状パッキンを介して供給されるスチームの発生に必要な水滴の気化室底面に対する安定した供給を行なうことができるので、使いやすいスチームアイロンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は本発明の実施例1に係るスチームアイロンの平面図である・
【図2】図2は図1のX−X線で切断した側断面図である。
【図3】図3は本発明の実施例2に係るスチームアイロンの側断面図である。
【図4】図4は本発明の実施例3に係るスチームアイロンの側断面図である。
【図5】図5は従来のスチームアイロンの平面図である。
【図6】図6は図5のY−Y線で切断した側断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 ヒータ
2 アイロンベース
3 気化室
3a 気化室内底部
3b 突起
4 蓋体
6 スチーム噴出口
7 (弾性)筒状パッキン
8 アイロンベースカバー
9 タンク
10 ノズル
11 注水口
12 スチームボタン
13 (ノズル)開閉レバー
14、14’ (第1の)コイルスプリング
15 給水路
16 弾性筒状パッキン天井の孔
17 ハンドル
18 電源コード
19 スプレーボタン
20 注水口を塞ぐ蓋
21 スプレー噴射口
22 (第2の)コイルスプリング
A1〜A3、B アイロン本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータとスチーム噴出口を有するアイロンベースと、該アイロンベースを蓋体で覆うことにより形成された気化室と、底部にノズルを備え、前記気化室の上方に位置して水を貯留するタンクと、前記蓋体に設けられ前記ノズルに連通する筒状パッキンと、該タンク内の水の前記気化室への供給を制御するスチームボタンと、を備え、前記スチームボタンを操作することにより、前記タンク内の水を前記ノズル及び前記筒状パッキンを介して前記気化室に送り、該気化室において水を気化させてスチームを生成し、該スチームを前記スチーム噴出口から噴射するスチームアイロンにおいて、前記気化室には、一端が該気化室の内底部に載置され、他端が前記筒状パッキンの内部に位置し、前記ノズルから供給される水を前記気化室内に案内する案内手段が設けられていることを特徴とするスチームアイロン。
【請求項2】
前記蓋体の上部を被覆するアイロンベースカバーを更に有し、前記タンクは前記アイロンベースカバー上に着脱自在に取り付けられるカセット式タンクから形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスチームアイロン。
【請求項3】
前記筒状パッキンは弾性部材から形成されているとともに、前記アイロンベースカバーの上部からその上端部が突出するように上方に向かって付勢手段により付勢されており、前記付勢手段は一端が前記筒状パッキン内に、他端が前記気化室の内底部にそれぞれ付勢接触しており、前記タンクが装着された際には、前記筒状パッキンが前記ノズルに付勢されることを特徴とする請求項2に記載のスチームアイロン。
【請求項4】
前記筒状パッキンは弾性部材から形成されているとともに、前記アイロンベースカバーの上部からその上端部が突出するように上方に向かって付勢手段により付勢されており、前記付勢手段は一端が前記筒状パッキン内に、他端が前記蓋体にそれぞれ付勢接触しており、前記タンクが装着された際には、前記筒状パッキンが前記ノズルに付勢されることを特徴とする請求項2に記載のスチームアイロン。
【請求項5】
前記案内手段は、前記付勢手段により付勢された筒状パッキンの移動に追従して移動する弾性部材から形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のスチームアイロン。
【請求項6】
前記付勢手段は、所定の付勢力を有する第1のコイルスプリングからなり、前記弾性部材からなる案内手段は、前記第1のコイルスプリングの付勢力に比してその付勢力が小さい第2のコイルスプリングからなることを特徴とする請求項5に記載のスチームアイロン。
【請求項7】
前記タンクはアイロン本体に着脱不可能な固定タンクから形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスチームアイロン。
【請求項8】
前記案内部材は、前記気化室の内底部から所定高さ立設された突起、もしくは一端が前記気化室の内底部に当接し、他端が前記筒状パッキンの内壁面に当接したコイルスプリングからなることを特徴とする請求項7に記載のスチームアイロン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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