説明

スチームアイロン

【課題】スチーム噴射の集中・分散が簡単に切替えられるスチームアイロン
【解決手段】水をスチーム化する気化室5から導出されたスチーム通路に設けられたスチーム噴射口3a,3bを有するアイロンベース2と、アイロンベース2の上方に配置されたタンク内の水を気化室へ供給する操作部を有するアイロン本体と、を備えたスチームアイロンにおいて、スチーム通路は、第1スチーム通路d1、第2スチーム通路d2に分断されて気化室から導出された第3スチーム通路D1に接続され、第1、第2及び第3スチーム通路d1、d2,D1の接続箇所に、第1スチーム通路d1の入口を開放し一方で第2スチーム通路d2の入口を閉塞し、また第1、第2スチーム通路の入口を開放する弁機構9a、9bを設け、弁機構9a、9bは回動可能な操作棒9aを介してアイロン本体上の切替えダイヤルに連結される

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチームアイロンに係り、ドライとスチームの切替ボタン及びショットスチームボタンとは別に、スチームが分散噴射又は集中噴射となるようにアイロンのスチーム噴射範囲を切替えることができる独立した機構を設けたスチームアイロンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
アイロン掛けする衣類等のしわの程度、或いは衣類等の材質や種類によりスチーム量とスチーム噴出方法を可変できるようにしたスチームアイロンは、知られている。
【0003】
このようなスチームアイロンのスチーム量とスチーム噴出方法の変更は、スチーム噴射面積を可変する方法、或いはスチーム孔数を選択的に切替えると共に気化室へ供給する水の給水量を変える方法で行われている。
【0004】
このうち、前者のスチーム噴射面積を可変する方法は、例えば下記特許文献1に開示されたスチームアイロンで採用されている。このアイロンは、図8に示すように、操作棒113に水の滴下量の調整機能とベース面から噴射するスチームの調節機能を付加し、ベース側に設けた集中用蒸気噴射口105に通じる第1蒸気室101を常に開口しておき、後側に設けた分散用蒸気噴射口(図示省略)に通じる第2蒸気室102の開口面積を任意に調整できるようにしたものである。なお、タンク109から気化室112に滴下する滴下口111の開閉用操作棒113に回動機能を加えつまみ130又はレバーを回して伝動歯車122を介して回動杆121を回転させるため上下動と回動機能が必要で機構が複雑になる。
【0005】
また、後者の給水量を変更すると共にスチーム孔数を切替える方法は、例えば下記特許文献2に開示されたスチームアイロンで採用されている。このアイロンは、図9に示すように、タンク211からベース201に形成した気化室204への給水量を切替える水量切換え手段236,238と、このベースに形成された多数のスチーム孔232の孔数を切替えるスチーム孔数切換え手段とを備え、スチーム孔数の切換え手段と水量切換え手段とを連動させ、スチーム孔数切換え手段は、水量切換え手段が水量増加側へ切換わると、スチーム孔の孔数が少なくなり、また水量切換え手段にはベースの加熱量を制御する制御手段254を有し、この制御手段254により、水量切換え手段が水量増加側に切換わると、ベース201の加熱量を増加させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公昭51−46559号公報
【特許文献2】特開平4−84999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1、2に記載されたスチームアイロンは、いずれもスチームの分散噴射と集中噴射を切替えてアイロン掛けができるものであるが、これらのスチームアイロンは、アイロン掛けする衣類等をアイロン台に載置し、アイロンを水平状態にしてスチームの分散又は集中噴射の切替えを行うものである。これらのスチームアイロンは、分散・集中噴射の切替えを手動操作による押しボタン式の複雑な切替え機構によって行うようになっているので、操作が面倒であるばかりか、切替え機構が高価になると共に故障が増加する原因になる。
【0008】
近年、このようなスチームアイロンにおいて、アイロン掛けする衣類等の広い範囲にスチームを当て広範囲のアイロン掛けを効率的に行なったり、スチームを集中させスチーム噴射口の1つ当たりから噴出するスチーム量を増大させて、衣類等の狭い範囲に集中的にスチームを当て局所的な頑固なしわを伸ばすようにしたりすることができるように、分散噴射と集中噴射を簡単に切替えできるスチームアイロンが使用者から要望されている。
【0009】
本発明は、このような使用者の要望に応えることができるように改良したもので、本発明の目的は、アイロンのスチームの集中・分散噴射を使用者が用途に合わせて簡単に切替えられるスチームアイロンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本願の請求項1に記載のスチームアイロンは、供給された水をスチーム化する気化室と、該気化室から導出されたスチーム通路と、該スチーム通路に設けられたスチームを噴射するスチーム噴射口とを有するアイロンベースと、前記アイロンベースの上方に配置されたタンク及び該タンク内の水を前記気化室へ供給する操作部を有するアイロン本体を備えたスチームアイロンにおいて、前記スチーム通路は、第1、第2スチーム通路に分断されてそれぞれが前記気化室から導出された第3スチーム通路に接続され、これら第1、第2及び第3スチーム通路の接続箇所に、前記第1スチーム通路の入口を開放し、一方で前記第2スチーム通路の入口を閉塞し、また前記第1、第2スチーム通路の入口を開放する弁機構を設け、該弁機構は前記タンク内の水を前記気化室へ供給する操作部とは独立に操作可能になされていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスチームアイロンにおいて、前記弁機構は板状片が回動可能な操作棒を介してアイロン本体上の切替えダイヤルに連結されていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のスチームアイロンにおいて、前記弁機構は、前記第2スチーム通路の入口を塞ぐ大きさの金属製の板状片を備え、該板状片が前記接続箇所に形成された空所において前記操作棒に軸支され回動自在に収容されて、前記アイロン本体上の切替えダイヤルの操作に従い前記第2スチーム通路の入口を開閉するように形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上記構成を備えることにより、以下に示すような優れた効果を奏する。
【0014】
請求項1の発明によれば、従来技術のように複雑なドライ/スチーム切替え機構を備えた装置が不要になり、アイロン本体の構造が簡単になる。
【0015】
また、タンク内の水を気化室へ供給する操作部は、弁機構とは独立に操作可能になされているので、タンク内に貯えられた水は操作部を操作することにより気化室へ供給され、弁機構の操作によりスチーム範囲を可変できるアイロン掛けが可能になる。すなわち、操作部を操作することより、タンク内の水を気化室へ連続的或いは間歇的に供給してスチーム量を可変するとともに弁機構により分散噴射と集中噴射を選んで噴射させることができる。また、ドライ/スチーム切替えボタン(第1操作部)とショットスチームボタン(第2操作部)の双方を同時に操作することにより、増量したスチームを間歇的に噴射させることができる。
【0016】
したがって、衣類等のしわの状態或いは衣類等の素材に応じて分散噴射と集中噴射を選択することにより、スチーム範囲を可変して適切なアイロン掛けを行うことができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、スチーム通路は、第1、第2スチーム通路に分断されて気化室から導出された第3スチーム通路に接続され、これら第1、第2及び第3スチーム通路の接続箇所に、第1スチーム通路の入口を開放し一方で第2スチーム通路の入口を閉塞し、また第1、第2スチーム通路の入口を開放する弁機構を設ける。弁機構は板状片が回動可能な操作棒を介してアイロン本体上の切替えダイヤルに連結されており、切替えダイヤルの操作により第2スチーム通路の入口が弁機構により閉塞又は開放されるので、アイロン本体を立てた状態でも或いは水平状態でも、アイロンの使用状態に応じてスチーム噴射口からのスチームを分散噴射或いは集中噴射させることができる。
【0018】
すなわち、第1、第2スチーム通路の入口がいずれも開放されると、全てのスチーム噴射口からスチームを噴射する、いわゆる分散噴射となり広い範囲にスチームを当てることができる。一方、第2スチーム通路の入口が閉塞され、第1スチーム通路の入口のみが開放されると、第1スチーム通路内のスチーム噴射口からスチームを集中して噴射させることができる。すなわち、1つ当たりのスチーム噴射口から噴出するスチーム量を増大させて衣類等の特定部分に集中的に当てることができる。
【0019】
請求項2の発明によれば、弁機構は簡単な構造であるので故障の発生を抑制することができる。
【0020】
請求項3の発明によれば、請求項2の効果に加え、従来技術のように複雑な切替え機構を備えた装置が不要になり、アイロン本体の構造が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は本発明の実施例に係るスチームアイロンの斜視図である。
【図2】図2はスチームアイロンの内部要所を示す、図1のA−A線の断面図である。
【図3】図3はスチームアイロンの操作部の詳細断面図を示す、図1のA−A線に沿った一部拡大断面図である。
【図4】図4はアイロンベースの斜視図であり、集中噴射状態のスチームの流れを説明するものである。
【図5】図5はアイロンベースの平面図であり、集中噴射状態のスチームの流れを説明するものである。
【図6】図6はアイロンベースの斜視図であり、分散噴射状態のスチームの流れを説明するものである。
【図7】図7はアイロンベースの平面図であり、分散噴射状態のスチームの流れを説明するものである。
【図8】図8は従来のスチームアイロンの断面図である。
【図9】図9は従来のスチームアイロンの他の例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのスチームアイロンを例示するものであって、本発明をこのスチームアイロンに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
【実施例】
【0023】
図1は本発明の実施例に係るスチームアイロンの斜視図である。図2は図1のA−A線の断面図であり、スチームアイロンの内部構造の要部を示すものである。図3はスチームアイロンの操作部詳細を示す、図1のA−A線に沿った一部拡大断面図である。図4はアイロンベースの斜視図であり、スチームの集中噴射状態のときの弁機構の状態を説明するものである。図5はアイロンベースの平面図であり、図4の状態の平面図である。図6はアイロンベースの斜視図であり、スチームの分散噴射状態のときの弁機構の状態を説明するものである。図7はアイロンベースの平面図であり、図6の状態の平面図である。
【0024】
本実施例に係るスチームアイロン1は、図1〜図3に示すように、ヒータ7が埋設され且つスチームを発生させる気化室5が形成されたアイロンベース(以下、ベースという)2と、気化室5に水を供給するタンク20と、タンク20内に貯留された水の気化室5への供給・停止をコントロールする操作部40と、タンク20の上方にあってスチームアイロン1を操作するハンドル15等で構成されている。なおタンク20、操作部40及びハンドル15等はアイロン本体10の一部を構成している。
【0025】
ベース2の上方にはアイロンカバー11が固定され、このアイロンカバー11の上部にアイロン本体10が固定されている。アイロン本体10のハンドル15は握り部を有している。ハンドル15の前側上面には表示部17が設けられ、ハンドル15の内部にはヒータ等を制御する制御基板16が収容されている。アイロンカバー11はその上部にタンク20が着脱自在に取付けられており、このタンク20は、両側の袖部20a、20bが貯水部となっている。タンク20の前側には注水口56及びこの注水口56を覆う蓋18、上側にはドライ/スチーム切替ボタン50とショットスチームボタン41からなる操作部40が設けられている。
【0026】
ベース2は、図4〜図7に示したように、頂部が切除された所定長の底辺を有するほぼ三角形状の板状体である。所定の肉厚を有する熱伝導性のよいアルミ等の金属材料で形成されている。このベース2は、表面のほぼ中央部に所定大きさの開口及び深さを有する凹状穴からなる気化室5が形成され、その周囲を取り囲むようにヒータ7が埋設されている。ベース2の底面には、外周縁に複数個のスチーム噴射口3が設けられており、この複数個のスチーム噴射口3のうち、前方に位置するスチーム噴射口3aと後方に位置するスチーム噴射口3bはそれぞれ異なるスチーム通路d1、d2に連結されている。このうち第1スチーム通路d1に連結された第1スチーム噴射口3aは集中噴射用、第2スチーム通路d2に連結される第2スチーム噴射口3bは分散噴射用に用いられる。
【0027】
第1スチーム通路d1、第2スチーム通路d2は、気化室5から導出された第3スチーム通路D1に連結しており、その連結部分には弁部材Vが収容される小部屋6が形成されている。この小部屋6は、弁部材Vの板状弁9bが水平方向に回動できる幅を有し、板状弁9bが第1スチーム通路d1の入口6aを閉塞しないようにかつ第2スチーム通路d2の入口6bを閉塞できるような位置関係において構成されている(図5参照)。すなわち、第2スチーム通路d2の第3スチーム通路D1からの入口6bに、その中央部に支点を有し回転可能なように板状弁9bが装着されている。すなわち、弁部材Vは、図5に示すように、小部屋6内に、第2スチーム通路d2の入口6bに取付けられた板状弁9bと回動可能な操作棒9aで構成されており、板状弁9bに取り付けた回動可能な操作棒9aを介してダイヤル9c(図1参照)で操作され、第2スチーム通路d2の入口を板状弁9bで開閉するものである。
【0028】
スチームアイロン1は、ダイヤル9cを回して集中噴射を選択した場合、図4、図5に示すように、板状弁9bを回転させて第2スチーム通路d2の開口を閉塞する。これにより気化室5で生成されたスチームは、第3スチーム通路D1から第1スチーム通路d1のみへ送られて、スチーム噴射口3aから噴射されることになり集中噴射を行う。図5の矢印は、この場合のスチームの流れを示す。
【0029】
一方、図6、図7に示すように、ダイヤル9cを回して分散噴射を選択した場合、この弁部材Vの板状弁9bが、第1スチーム通路d1の入口6a及び第2スチーム通路d2の入口6bを開放すると、気化室5で発生したスチームは、気化室5から第3スチーム通路D1を経て小部屋6で分岐されて第1、第2スチーム通路d1、d2へ送られ、全てのスチーム噴射口3a、3bから噴射されることになりスチームの分散噴射を行う。図7の矢印は、この場合のスチームの流れを示す。
【0030】
気化室5及びスチーム通路d1、d2、D1等は、その上方の開口が蓋体12によって閉塞される。この蓋体12は、ベース2に設けたねじ穴とねじによってベース2に固定されている。また、ヒータの近傍には、反転バイメタル8a及びこのバイメタル8aによって作動する応動バルブ8bが配設されている。ヒータにより加熱されたベース2が所定温度に達すると、反転バイメタル8aが反転して応動バルブ8bが開いて、気化室5へ水が滴下し、生成されたスチームがスチーム通路D1、d1、d2等を経てスチーム噴射口3から噴射される。このとき、弁部材Vにより、スチームの分散、集中噴射がダイヤル9cの操作によって自由に切換えられる。
【0031】
タンク20は、図1〜図3に示すように、平面形状ではほぼU字形をしたタンク底板21と、このタンク底板21の上に取付け固定されて内部に水を貯留できる空洞を有するタンク上部55と、このタンク上部55に装着されタンク底板21に装着されたバルブ33a、33bを開閉操作する一対のドライ/スチーム切替ボタン50とショットスチームボタン41を備えた操作部40とで構成されている。すなわち、タンク底板21の外周囲には、凹状溝が形成され、タンク上部55と嵌合されて液密に固着されている。タンク20は、合成樹脂材で形成され、アイロン本体10の前側先端部に位置する頭部20cと、この頭部から離れた位置で所定幅の溝で分岐された袖部20a、20bとからなり、平面視でほぼU字形をなしている。タンク底板21のタンク頭部20cに近い位置には、所定大きさの2個の貫通孔26a、26bが形成されている。これらの貫通孔26a、26bはそれぞれバルブ33a、33bが装着されるバルブ装着孔26a、26bとなっている。
【0032】
タンク底板21には、図2、図3に示すように、各バルブ装着孔26a、26bを底面側から覆い、これらの装着孔から流出する水を気化室5へ導出する流出ガイド部材35が装着される。流出ガイド部材35は、各バルブ装着孔26a、26bから流出した水を案内する図示しない凹状溝と、その水を気化室5へ流出させる流出口とを有する板状体からなり、合成樹脂材で形成されている。この流出ガイド部材35の外周囲には、突条35aが形成されており、タンク底板21の背面に設けた溝に嵌入させて固定される。タンク底板21のバルブ装着孔26a、26bに取付けられるバルブ33a、33bは、上面にすり鉢状の窪みが形成された円盤状の板状体からなり、底部中央に開閉桿51の先端が嵌り込む細穴が設けられている。各バルブ33a、33bのタンク底板21への取付けは、バルブを装着孔26a、26bの底面から嵌め込み、流出ガイド部材35で覆うことで固定される。このような構成により、各バルブ33a、33bから流出する水は、流出ガイド部材35の凹状溝を通って流出口から気化室5へ流出させられる。
【0033】
タンク上部55は、タンク底板21の形状と同じ形状の開口からなる底部と、この底部から上方へ大きく膨らみアイロンの外郭を形成する膨出部とからなり、この膨出部が空洞となっている。すなわち、この膨出部はタンク底板21の袖部20a、20bに対応する部分であって2つに分岐された空洞となり、この空洞の奥部が閉鎖されている。また、膨出部はタンク底板21の頭部に対応する部分に凹み部57が形成され、この凹み部57の底部にドライ/スチームボタン(第1操作部)50の開閉桿51が挿通される穴が形成されている。
【0034】
タンク20には、操作部40が設けられる。操作部40は、スチーム噴出とスチーム停止とを切換えるドライ/スチーム切替ボタン(第1操作部)50と、スチーム量を増大させ或いはスチーマーとして使用する際に操作されるショットスチームボタン(第2操作部)41とからなる。これらはタンク20の頭部に並設されている。
【0035】
ドライ/スチーム切替ボタン(第1操作部)50は、押しボタン型の切替え釦54と、この切替え釦54の押下げにより回転する回転子52と、一端がバルブ33aに対峙し他端が回転子52に結合された開閉桿51と、回転子52を押し上げるスプリング58と開閉桿51を押し下げるスプリング59とで構成されている。この構成により、切替え釦54をスプリング58の反発力に抗して押下げると、開閉桿51によりバルブ33aが閉じてドライアイロンとして使用でき、またここで、切替え釦54を再度押し下げると、開閉桿51が押し上げられてバルブ33aが開き、タンク20内の水が気化室5に流入してスチームとなりスチームアイロンとして使用できる。
【0036】
また、ショットスチームボタン(第2操作部)41は、図2の凹み部57に設けた押し釦46と、押し釦46の押圧に伴って上下する開閉桿47と、開閉桿47と凹み部57間に設置したスプリング45と、開閉桿47にスプリング45を介して設置されていて凹み部57の貫通孔に設けたボールバルブ48を備えている。そして、このショットスチームボタン(第2操作部)41の押しボタンを押下げている間、ボールバルブ48が開きタンク20からバルブ33bを通して気化室5へ水が連続して供給され、スチーム噴射口3から連続したスチームが噴射される。
【0037】
次に、このスチームアイロンの使用方法を説明する。
【0038】
アイロン掛けは、ドライ/スチーム切替ボタン(第1操作部)50の切替え釦54を上下動させてスチーム或いはドライを選択して行う。この使用法は、これまでのスチームアイロンと同じである。集中・分散切替えダイヤルが、分散噴射を選択している場合、第1スチーム通路d1の入口6a及び第2スチーム通路d2の入口6bが開放され、気化室5で発生したスチームは第3スチーム通路D1を経て小部屋6で分岐されて第1、第2スチーム通路d1、d2へ送られ、全てのスチーム噴射口3a、3bから分散噴射される。この使用状態において、衣類等のシワがきつく、多量のスチームが必要なときは、ショットスチームボタン(第2操作部)41を操作する。すなわち、押し釦46を押下して開閉桿47を作動させボールバルブ48とバルブ33bを開放して、タンク20内の水を気化室5へ供給する。ドライ/スチーム切替ボタン(第1操作部)50の操作によりバルブ33aが開放された状態でショットスチームボタン(第2操作部)を操作すると、気化室5へは両バルブ33a、33bから給水されて、スチーム噴射口3から増量されたスチームが噴射されるので、きついしわでも簡単にしわ伸ばしができる。また、しわの状態に応じて第1、第2操作部50、41のいずれかを選択して最適なスチームを噴射させることができる。
【0039】
また、集中・分散ダイヤル9が、集中噴射を選択している場合、第1スチーム通路d1の入口6aが開放され、第2スチーム通路d2の入口6bが閉鎖される。気化室5で発生したスチームは第3スチーム通路D1を経て小部屋6で第1スチーム通路d1へ送られ、アイロン前方のスチーム噴射口3aから集中噴射される。スチーマーとしての使用は、ショットスチームボタン(第2操作部)41の押し釦46を押し続けると、ボールバルブ48とバルブ33bが開放されて、タンク20に貯留された水が気化室5へ流出され、第3スチーム通路D1を経て第1スチーム通路d1へ送られて、前方に位置するスチーム噴射口3aのみから集中噴射が行われる。また、連続スチームが不要な場合は、ショットスチームボタン(第2操作部)41の押し釦46を上下動させて間歇給水により間歇的にスチームを噴射できる。
【0040】
以上説明したように、本発明のスチームアイロンによれば、スチームアイロンの使用状態が連続的噴射、間歇的噴射にかかわらず、スチ−ムが噴射されるスチーム噴射口の範囲を自由に切り替えることができ、スチームアイロンの分散噴射、集中噴射を選択することができるので、対象に応じた適切なスチーム噴射を行うことが可能なスチームアイロンを提供することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 スチームアイロン
2 アイロンベース
3、3a、3b スチーム噴射口
5 気化室
6 小部屋
6a、6b (第1、第2スチーム通路の)入口
7 ヒータ
9 弁機構(9a 操作棒、9b 板状弁、9c 切替えダイヤル)
10 アイロン本体
11 アイロンカバー
15 ハンドル
20 タンク
20a、20b タンク袖部
33a、33b バルブ
40 操作部
41 ショットスチームボタン(第2操作部)
50 ドライ/スチーム切替ボタン(第1操作部)
d1 第1スチーム通路
d2 第2スチーム通路
D1 第3スチーム通路
V 弁部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された水をスチーム化する気化室と、該気化室から導出されたスチーム通路と、該スチーム通路に設けられたスチームを噴射するスチーム噴射口とを有するアイロンベースと、前記アイロンベースの上方に配置されたタンク及び該タンク内の水を前記気化室へ供給する操作部を有するアイロン本体を備えたスチームアイロンにおいて、前記スチーム通路は、第1、第2スチーム通路に分断されてそれぞれが前記気化室から導出された第3スチーム通路に接続され、これら第1、第2及び第3スチーム通路の接続箇所に、前記第1スチーム通路の入口を開放し、一方で前記第2スチーム通路の入口を閉塞し、また前記第1、第2スチーム通路の入口を開放する弁機構を設け、該弁機構は前記タンク内の水を前記気化室へ供給する操作部とは独立に操作可能になされていることを特徴とするスチームアイロン。
【請求項2】
前記弁機構は板状片が回動可能な操作棒を介してアイロン本体上の切替えダイヤルに連結されていることを特徴とする請求項1に記載のスチームアイロン。
【請求項3】
前記弁機構は、前記第2スチーム通路の入口を塞ぐ大きさの金属製の板状片を備え、該板状片が前記接続箇所に形成された空所において前記操作棒に軸支され回動自在に収容されて、前記アイロン本体上の切替えダイヤルの操作に従い前記第2スチーム通路の入口を開閉するように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスチームアイロン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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