説明

スティック付冷菓の製造法及びスティック付冷菓製造用成形容器

【課題】
小規模店舗でも量産可能で、自由な形状のスティック付冷菓を簡便で安価に製造するスティック付冷菓の製造法及びスティック付冷菓製造用成形容器を提
供する。
【解決手段】
スティック付冷菓製造用成形容器1に設けた貫通孔2にスティック4を密接状態で挿通し、該スティック4で該貫通孔2を密閉する栓とし、この状態で、
冷菓原料Mを該成形容器1内に注入し、次いで冷菓原料Mを冷却硬化せしめた後、該成形容器1からスティック付冷菓Sを取り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スティック付冷菓の製造法及びスティック付冷菓製造用成形容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スティック付冷菓を製造する発明として、実開平6―20346号公報には、モールドを多数個コンベア上に並べ、このコンベアラインをブライン

槽中に通して各モールド内に冷菓ミックスを充填し順次凍結させ、さらにその凍結の途中で上方からスティックを落下させて差し込み、全体が凍結した段階
で、モールドの外から温水を噴射し、冷菓表面を溶隔しスティックの突出部分を掴んで持ち上げることにより、モールドから取り出される方法が開示されて
いる。また、特開平9−224582号公報には家庭用のカップを使用した製造法が開示されている。更に詳細には、角錐台形や円錐形や円柱形状等のカッ
プに果汁等の液体を流し込んだ上で、持ち手用のスティックが中央に設けられている蓋をしてアイスキャンディーを成形するものや、冷菓材料注入口となる
切欠きを有する複数の分割型を、型締め具に分割型を合わせた状態で挿合し、冷菓の持ち手となるスティックを注入口に挿入する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6―20346号 公報
【特許文献2】特開平9−224582号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】

しかしながら、特許文献1のコンベアラインでスティック付冷菓を製造する方法ではコンベア、ブライン槽、原料が硬化するまでのスティック把持具等が
必要となり機器が大型化し、広い床面積と専門のメンテナンス技術が必要となるため、小規模店舗で製造販売するのは難しいという欠点があった。また、家
庭用のカップを使用した製造方法は、蓋に設けられた専用のスティックが必要となり量産には向いておらず、また、特許文献2の複数の分割型を合わせる製
造法では、液体冷菓原料を漏れ防止のため、成型容器の精度の高さが必要とされ、成型容器の作製費用も高価になり、製造工程も複雑になってしまうという
欠点があった。さらに、また、上記の特許文献1、2のいずれの製造法もスティック付冷菓をスティック方向に取り出すため、角錐台形や円錐形や円柱形状

等、上部ほど水平断面が大きなモールド、成形容器を使用せねばならず、スティック付冷菓の形状は限られてしまうという欠点があった。
そこで本発明はかかる従来の課題を解消し、スティック把持具等の機器を不要とし、小規模店舗でも量産可能で、自由な形状のスティック付冷菓を簡便で安

価に製造できる、スティック付冷菓の製造法及びスティック付冷菓製造用成形容器を提供することに在る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、請求項1に記載の通り、上面が開放し、且つ周壁に貫通孔を設けた成形容器の該貫通孔にスティックを密接状態で挿通して、その先端部を該成
形容器内に臨ませるとともに、該スティックで該貫通孔を密閉する栓とし、この状態で冷菓原料を該成形容器内に注入し、次いで、該冷菓原料を冷却硬化せ
しめた後、該成形容器からスティック付冷菓を取り出すことを特徴とするスティック付冷菓の製造法に存する。
【0006】
また、本発明は、請求項2に記載の通り、該成形容器として、その底壁面に環状の凹溝を設けた成形容器を用いたことを特徴とするスティック付冷菓の製
造法に存する。
【0007】

さらに、本発明は請求項3に記載の通り、冷菓原料を注入した該成形容器を複数個積み重ねた状態で、該冷菓原料を冷却硬化することを特徴とするスティ
ック付冷菓の製造法に存する。
【0008】
さらに、本発明は、請求項4に記載の通り、上部が開放した該成形容器の周壁にスティックを挿通する該貫通孔を設けたことを特徴とするスティック付冷

菓製造用成形容器を、スティック付冷菓製の製造法に使用することに存する。
【0009】
さらに、本発明は、請求項5に記載の通り、該成形容器の該周壁の一部を外方に突出する突出壁に形成すると共に、該突出壁に該貫通孔を設けたことを特

徴とするスティック付冷菓製造用成形容器に存する。
【0010】
さらに、本発明は、請求項6に記載の通り、該成形容器の底壁面に環状の凹溝を設けたことを特徴とするスティック付冷菓製造用成形容器に存する。
【0011】
さらに、本発明は、請求項7に記載の通り、該成形容器の該周壁の外周面に少なくとも1つの耐積み重ね荷重用支柱を1体に設けたことを特徴とするステ
ィック付冷菓製造用成形容器に存する。
【0012】

さらに、本発明は、請求項8に記載の通り、別部材として作製した該貫通孔のある突出壁と該周壁の一部に該貫通孔のある突出壁を液密に嵌着自在に取り

付けられる係止用嵌合凹部を形成した成形容器との組み合わせから成ることを特徴とするスティック付冷菓製造用成形容器に存する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載のスティック付冷菓の製造法によれば、スティックを成形容器自体で把持するため、スティック把持機器が必要なく、また、該スティック
で該貫通孔を密閉せしめた状態とするので、該成形容器内に冷菓原料を注入でき、注入後、一般的な冷凍庫で冷却硬化する簡便な手段でも製造でき、大型の
機器を使用できない小規模店舗でも製造し、販売が可能になる。
【0014】
請求項2に記載のスティック付冷菓の製造法によれば、該成形容器の底壁面に設けた環状の凹溝により、製造された冷菓の上面の周縁に、該環状の凹溝に
対応して環状の凸壁が形成され、該環状の凸壁で囲繞された平坦面に注入したトッピング材料の脱落防止壁となると共に、各種のトッピングを安定良好に載
せることができ、趣向に応じたトッピング冷菓を製造することが出来る。
【0015】
請求項3に記載のスティック付冷菓の製造法によれば、スティックが該成形容器の横方向に挿通されていることを利用し、各成形容器を複数個重ねた状態
で冷却硬化室に収容し、冷却中のスティック同士が接触することなく冷却硬化することができ、比較的小さな容積空間で高効率に冷菓を製造することができ
る。
【0016】
請求項4に記載の上記の本発明の冷菓製造法に用いるスティック付冷菓の製造用成形容器の発明によれば、該成形容器の周壁にスティックを成形容器自体
で把持し得られ、且つ、スティックを液密に挿通するに適した貫通孔を設けた構成としたので、スティックを挿通した後は、該成形容器内に冷菓原料を注入
し得られると共に、冷却硬化後にスティックの軸線方向に脱型し、スティック付冷菓を取り出すことができる。
【0017】
請求項5に記載のスティック付冷菓製造用成形容器の発明によれば、該貫通孔に挿通したスティックを、該突出壁で所定の位置に安定良好に保持すること
ができる。
【0018】
請求項6に記載のスティック付冷菓製造用成形容器の発明によれば、該成形容器の底面に環状の凹溝を設けたので、製造された冷菓に該凹溝に対応する環
状の凸壁が成形され、その環状の凸壁に囲繞された平坦面に、従来使用することができなかった流動性のトッピングを使用しても流れ落ちることなく使用で
き、またフルーツ等の固形トッピングを立体的に盛ることができる。
【0019】
請求項7に記載のスティック付冷菓製造用成形容器の発明によれば、耐積み重ね荷重用支柱を設けることで、多数のスティック付冷菓製造用成形容器を積
み重ねることが可能となり、小さい冷却硬化用空間容積で一度に多数の冷菓が得られ、より効率的な製造ができる。
【0020】
請求項8に記載のスティック付冷菓製造用成形容器の発明によれば、成形容器自体を硬質の合成樹脂や金属で成形でき、また、個別に設けた該貫通孔のあ
る突出壁を該成形容器に形成した嵌合凹部に嵌着した液密状態で冷菓の製造を行ない、冷菓を取り出すには、該貫通孔のある突出壁を該嵌合凹部から離脱さ
せることにより、スティック付冷菓を該成形容器から容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例のスティック付冷菓製造用成形容器の平面図。
【図2】同成形容器の正面図。
【図3】図1のA‐A線截断面図。
【図4】同成形容器にスティックを挿通した状態の平面図。
【図5】同成形容器からスティック付冷菓を取り出す状態を示す側面図。
【図6】同成形容器からスティック付冷菓を完全に取り出した状態の平面図。
【図7】本発明の他の実施例のスティック付冷菓製造用成形容器の平面図。
【図8】図7のB‐B線截断面図。
【図9】同成形容器で製造されたスティック付冷菓の斜視図。
【図10】トッピングを載置したスティック付冷菓の中央截断面図。
【図11】冷菓原料を注入した図1に示す成型容器の積み重ねた状態を示す側面図。
【図12】本発明の更に他の実施例のスティック付冷菓製造用成形容器の平面図。
【図13】同成形容器の正面図。
【図14】図12のC‐C線截断面図。
【図15】本発明の更に他の実施例のスティック付冷菓製造用成形容器の平面図。
【図16】図15のD‐D線截断面図。
【図17】同成型容器の積み重ね状態を示す側面図。
【図18】本発明の更に他の実施例のスティック付冷菓製造用成型容器の平面図。
【図19】本発明の更に他の実施例のスティック付冷菓製造用成型容器の平面図。
【図20】図19に示すスティック付冷菓製造用成形容器の一部である係止用嵌合凹部に嵌着する貫通孔のある突出壁の平面図。
【図21】図20のE‐E線截断面図。
【図22】図19に示すスティック付冷菓製造用成形用器の一部である係止用嵌合凹部を形成した成形容器の平面図。
【図23】図22のF‐F線截断面図。
【図24】図19に示すスティック付冷菓製造用成形容器から取り出したスティック付冷菓の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1乃至図3は本発明のスティック付冷菓を製造するに用いる実施の一例の軟質合成樹脂から成る成形容器1を示す。該成形容器1は上面が開放した円形
の周壁1aと平坦な底壁1bから成り、該周壁1aは該成形容器1内部空間3に冷菓原料を入れるに適した高さとする。本発明によれば、該成形容器1の該
周壁1aにスティックを密接挿通するに適した寸法と形状を有する貫通孔2を設けたことを特徴とする。
【0023】
而して、スティック付冷菓を製造するに当たり、該成形容器1の該貫通孔2に図4に示す通りスティック4を密接挿通し、該貫通孔2を該スティック4で
栓をした状態にすると共に該スティック4の先端を該成形容器1の内部空間3の中程まで挿入する。該貫通孔2の高さと横幅は、スティック4を挿通したと
き、互いに密接に接合し、該成形容器内に注入した冷菓原料の漏れを防止するため、スティック4の厚さと横幅より夫々0.1mm以上短く設定するのが好
ましい。また、該成形容器1が冷却され収縮し、スティック4が抜き出し時に抜けにくくなることも考慮し、適宜幅決定することが好ましい。
【0024】
図4に示すように、該成形容器1にスティック4を挿通した状態で該成形容器1内に冷菓原料を該周壁1aの高さ又はその近傍まで注入した後、冷凍庫内
に収容し、−18℃以下で冷却硬化した後、図5にしめすように、該成形容器1を撓ませ該スティック4の軸線方向に沿い、矢印方向に引き出し、図6に示
すようにスティック付冷菓Sを該成形容器1から取り出す。スティック付冷菓製造用成形容器は射出成型、真空成型、圧縮成型等、一体成型の場合の素材
は、該成形容器1を撓ませてスティック付冷菓Sを抜き出すため軟質合成樹脂の他、シリコーンゴム、プラスチックラバー等、合成ゴムのような可撓性、弾
性があるもので成形する。
【0025】
また、該成形容器1の形状は、円形に限定されるものではなく、三角、四角、楕円、ハート形、キャラクター形など任意であるが、冷菓を該成形容器1か
ら剥離する際に欠ける不都合を防ぐため、角のある形状のものはその角をなるべく丸くするのが好ましい。また、その角を鋭角にならないように留意して形
状を決定する。
【0026】

図7及び図8は本発明の他の実施例のスティック付冷菓製造用成形容器1Aを示す。該成形容器1Aは、その底壁面1bに、例えば、該周壁1aの内側面
に沿い環状の凹溝1cを設けたものである。この成形容器1Aを用い、上記の製造法によりスティック付冷菓を製造するときは、図9に示すスティック付冷
菓SAが得られる。該環状の凹溝1cは、図8に明示するようにその側面を、傾斜面1dに形成するときは、スティック付冷菓SAを該成形容器1Aから容
易に取り出すことができる。その傾斜角度は緩やかにするのが好ましい。また、環状の凹溝1cの平面形状は、円形の他、楕円形、菱型、三角形、四角形、
などの多角形などとしてもよい。
【0027】
図7の成形容器1Aで製造した該スティック付冷菓SAは、該環状の凹溝1cで成形された環状の堰P1、該環状の凹溝1cの一例の傾斜面1dに対応し
て成形された傾斜面P2を具備した形状となる。
【0028】
図10は図9に示すスティック付冷菓SAに成形した該環状の堰P1で囲繞された平坦な凹面PにトッピングTを載置した製品を示す。図面でトッピング
Tは、該平坦な凹面Pに流し込んだ流動性のあるトッピング材料T1、T2はクリーム状のトッピング材料、T3は、その上に載せたフルーツ等の固形トッ
ピング材料を示す。かくしてスティック付冷菓はその上面に該環状の堰P1を有するので、該流動性のトッピング材料T1は外部に流れ出すことなく、該平
坦な凹面P内に溜った状態で冷却凝固するので、安定良好なトッピングを載置したスティック付冷菓を製造することができる。
【0029】
このように本発明は、上記の実施形態例1、2から明らかなように、成形容器の周壁1aに貫通孔2を穿設し、該貫通孔2にスティック4を挿通したの
で、挿通されたスティック4は水平方向に設置されるので、該スティック4に邪魔されることなく、該成形容器の複数個を積み重ねることができる。従っ
て、図11に例示するように、該成形容器1に冷菓原料Mを注入したものを複数個積み重ねた状態で、冷凍庫内に収容し、一度に冷却硬化させ高能率にステ
ィック付冷菓を大量生産することができる。
【0030】
図12〜14は本発明の更に他のスティック付冷菓製造用成形容器1Bを示す。該成形容器1Bはその周壁1aから外方に突出する該周壁1aと一体の突
出壁5を設けると共に、該突出壁5に該成形容器1Bの内部空間3に連通する貫通孔2を穿設したもので、該貫通孔2に該スティック4を密接挿通するとき
は、該スティック4は、該突出壁5との接触面積が、増大せしめることにより、該スティック4が上下に動揺することなく、安定した状態でその位置に固定
保持することができるようにすると共に、冷菓原料の漏出を更に確実に防止でき、安定良好にスティック付冷菓を製造できるようにした。該突出壁5の長さ
は適宜決定する。尚、図13に明示するように該突出壁5の高さは該周壁1aの高さと同じにするのが好ましい。
【0031】
図15及び図16は本発明の更に他の実施例の成形容器を、極めて多数積み重ねるのに適したスティック付冷菓製造用成形容器1Cを示す。該成形容器1
Cは該周壁1aの外周面にこれと一体に成形された耐積み重ね荷重用支柱6を配設したもので、図示の例では4個等間隔に配設したものである。これにより
荷重に対し均等な負荷を受けることができ多数の成形容器1C、1C、・・・を積み重ねることができこの状態で一度に冷却硬化を行なうことができる。
尚、図示の例では各耐積み重ね荷重用支柱6は、その上面に係止用凸部6aと、その下面に係止用凹部6bを設けたもので、これにより図17に示すように
成形容器1Cを順次、積み重ねる時にこれらの対向する凸部6aと凹部6bとを互いに嵌合係止させるので、安定した積み重ね状態を保つことができ
【0032】
図18は、本発明の更に他の実施例のスティック付冷菓製造用成形容器1Dを示す。 該成形容器1Dは、環状の凹溝1c、貫通孔2のある突出壁5、
耐積み重ね荷重用支柱6を夫々具備したものに構成した。
【0033】
図19〜図23は本発明の更に他の実施例のスティック付冷菓製造用成形容器1Eを示す。該成形容器1Eは、前記の成形容器の周壁1aから外方に突出
する該周壁1aと一体の貫通孔2のある突出壁5´を別部材として作製し、この別部材として作製した貫通孔2のある突出壁5´を液密に嵌着自在に取り付
けられる係止用嵌合凹部7aを形成した成形容器7との組み合わせで構成したものである。更に詳述すれば、該貫通孔2のある突出壁5´は図20及び図
21に明示するように、その中間部の左右に縦溝5a、5aを形成すると共にその中間部から左右に延び、且つ、周壁部1a´に連接する翼形延長部5b、
5bを有し、更に該周壁部1a´の下端に係止用突起5cを設けた該貫通孔2のある突出壁5´に構成したものである。該成形容器7の係止用嵌合凹部7a
は、図22及び図23に明示するように成形容器7の底面に、前記の該貫通孔2のある突出壁5´の周壁部1a´の下端の係止用突起5cを液密に嵌入係合
せしめる円弧状の凹溝7a1と該突出壁5´の下端を載置する底面7a2と、周壁1aから外方に突出する左右一対の締め付け挟持部7a3、7a3から構
成されている。かくして、該貫通孔2のある突出壁5´の係止用突起5cを該成形容器7の該係止用嵌合凹部7aの該凹溝7a1に嵌入係合せしめるとき
は、冷菓原料のもれが防止された液密の嵌合係止が得られる。同時に、該貫通孔2のある突出壁5´の突出壁5はその左右の該係止用嵌合凹部7a側の左右
一対の締め付け挟持部7a3、7a3は該突出壁5´の左右の翼形延長部5b、5bを把持すると共に、その先端の一対の爪部7a4、7a4が該貫通孔2
のある突出壁5´の左右の縦溝5a、5a内に嵌入し、締め付け挟持した状態の液密に組み立てられたスティック付冷菓製造用成形容器1Eが構成される。
【0034】
而して、該貫通孔2のある突出壁5´は、可撓性や弾性のある合成樹脂、ゴムなど で成形し、該成形容器1Eは硬質合成樹脂、熱伝導効率の良い金属な
どで作製可能であり、その左右一対の締め付け挟持部7a3、7a3が、弾撥性を有する材料で作製するときに、該貫通孔2のある突出壁5´に対し液密に
圧接し、この圧接部からの冷菓原料の液漏れを更に強固に防止することができる。
【0035】
また、該成形容器7の係止用嵌合凹部7aの該円弧状凹溝7a1に嵌入される該貫通孔2のある突出壁5´の周壁部1a´の下端の係止用突起5cは、冷
菓原料の液漏れを防止するため、その厚み及び横幅を該円弧状凹溝7a1の縦幅及び横幅より夫々0.1mm以上大きくするのが好ましい。
【0036】
図19に示す成形容器1Eに、スティック4を該貫通孔2に仮想線示のように挿通した後、その容器の内部空間3内に適量の冷菓原料を注入し、次いで冷
却硬化せしめる。スティック付冷菓を該成形容器1Eから取り出すには、該スティック4を把持し上方に持ち上げることにより取り出すことができる。この
ように、該成形容器1Eは、前記の成形容器1のように、容器自体を撓ませることなく容易に取り出すことができる効果をもたらす。図24は、取り出した
スティック付冷菓SBを示す。該スティック付冷菓SBに、該貫通孔2のある突出壁5´が付着しているからこれを矢示方向に抜き出すことにより、スティ
ック付冷菓が得られる。
【0037】
冷菓原料Mは、アイスクリーム原料、その他冷却硬化する冷菓原料Mであればよい。また、貫通孔2は図示の例では水平方向にしたスティックを挿通よう
に、水平方向に設けたが、成形容器の高さによっては縦方向でもよい。
【実施例1】
【0038】
周壁及び底壁の厚み5mm、高さ20mm、内径108mmの丸型成形容器の底壁面に、高さ4mm、幅12mm、3R角の環状の凹溝と、幅9.2m
m、高さ1.8mmの貫通孔のある幅20mm、高さ20mmの突出壁を設け、更に周壁外縁45°角毎に25mm径丸型の耐積み重ね荷重用支柱を設けた
スティック付冷菓製造用成形容器を弾力のあるシリコーンゴムを材料で射出成型したものを用意した。
【0039】
アイスクリームの場合、冷菓原料として無脂乳固形分10%、乳脂肪分8%のアイスミックスを使用し、アイスクリーマーでフリージングし、少し流動性
が残る位にしたものを前記の成形容器内に注入したものを多数積み重ねた状態で、―30℃の冷凍庫で3時間冷却硬化した。かくして一度に多数の図9に示
すトッピング載置用のスティック付冷菓を製造した。次いで、図10に示すように、各スティック付冷菓SAの平坦凹面に、溶かしたチョコレートを流し込
み、さらに上から生クリーム載せ、その上にフルーツを載せてトッピング冷菓製品を製造した。
【符号の説明】
【0040】
1、1A、1B、1C、1D、1E スティック付冷菓製造用成形容器
1a 周壁
3 容器の内部空間
1b 底壁面
2 貫通孔
4 スティック
5 突出壁
5´ 別部材とした貫通孔のある突出壁
6 耐積み重ね荷重用支柱
7 嵌合凹部を形成した成形容器
S、SA、SB スティック付冷菓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開放し、且つ周壁に貫通孔を設けた成形容器の該貫通孔にスティックを密接状態で挿通して、その先端部を該成形容器内に臨ませるとともに、該ス
ティックで該貫通孔を密閉する栓とし、この状態で冷菓原料を該成形容器内に注入し、次いで、該冷菓原料を冷却硬化せしめた後、該成形容器からスティッ
ク付冷菓を取り出すことを特徴とするスティック付冷菓の製造法。
【請求項2】
該成形容器として、その底壁面に環状の凹溝を設けた成形容器を用いたことを特徴とする請求項1に記載のスティック付冷菓の製造法。
【請求項3】

冷菓原料を注入した該成形容器を複数個積み重ねた状態で、該冷菓原料を冷却硬化することを特徴とする請求項1又は2に記載のスティック付冷菓の製造
法。
【請求項4】
上部が開放した成形容器の周壁に、スティックを挿入する貫通孔を設けたことを特徴とするスティック付冷菓製造用成形容器。
【請求項5】

該成形容器の該周壁の一部を外方に突出する突出壁に形成すると共に、該突出壁に該貫通孔を設けたことを特徴とする請求項4記載のスティック付冷菓製
造用成形容器。
【請求項6】
該成形容器の底壁面に環状の凹溝を設けたことを特徴とする請求項4又は5に記載のスティック付冷菓製造用成形容器。
【請求項7】
該成形容器の該周壁の外周面に少なくとも1つの耐積み重ね荷重用支柱を1体に設けたことを特徴とする請求項4乃至6の何れか1つに記載のスティック
付冷菓製造用成形容器。
【請求項8】

別部材として作製した該貫通孔のある突出壁と該周壁の一部に該貫通孔のある突出壁を液密に嵌着自在に取り付けられる係止用嵌合凹部を形成した成形容

器との組み合わせから成ることを特徴とする請求項5乃至7の何れか1つに記載のスティック付冷菓製造用成形容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−75326(P2012−75326A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220372(P2010−220372)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【特許番号】特許第4669086号(P4669086)
【特許公報発行日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(508159802)
【Fターム(参考)】