スティフナ付き基板およびその製造方法
【課題】 電子部品を実装するために高温に加熱した場合でも、プリント基板の高い平坦度を確保することができるスティフナ付き基板の製造方法を提供する。
【解決手段】 スティフナ付き基板の製造方法は、配線部1aと有機絶縁材料により形成された絶縁部1bとを有するプリント基板1、および該プリント基板よりも熱膨張率が小さい材料により形成されたスティフナ2を準備する第1のステップと、該プリント基板およびスティフナを熱硬化性接着剤3により接合する第2のステップとを有する。第2のステップにおいて、該熱硬化性接着剤の硬化処理温度を、該有機絶縁材料のガラス転移点以上の温度に設定する。
【解決手段】 スティフナ付き基板の製造方法は、配線部1aと有機絶縁材料により形成された絶縁部1bとを有するプリント基板1、および該プリント基板よりも熱膨張率が小さい材料により形成されたスティフナ2を準備する第1のステップと、該プリント基板およびスティフナを熱硬化性接着剤3により接合する第2のステップとを有する。第2のステップにおいて、該熱硬化性接着剤の硬化処理温度を、該有機絶縁材料のガラス転移点以上の温度に設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機材料を絶縁材とするプリント基板とスティフナとを接着して製造されるスティフナ付き基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIベアチップをプリント基板にフリップ実装したLSIパッケージには、FC−BGA(Flip Chip Bump Grid Array package)、FC−LGA(Flip Chip Land Grid Array package)およびFC−PGA(Flip Chip Pin Grid Array package)などがある。
【0003】
このようなLSIパッケージにおいては、有機材料を絶縁材とするプリント基板とこれを補強するためのスティフナとを接着して製造されるスティフナ付き基板が多く使用される(例えば、特許文献1,2および非特許文献1参照)。
【0004】
また、プリント基板の配線の高密度化が進むのに伴い、LSI等の電子部品との接続端子数の増加や該接続端子の挟ピッチ化が進んでいる。そして、接続端子数の増加や接続端子の挟ピッチ化に伴い、接続端子の大きさがますます小さくなり、電子部品を実装するプリント基板にはきわめて高い平坦度が要求されている。
【0005】
図11に示すように、従来のスティフナ付き基板に用いられるプリント基板201には、その厚さ方向中央部にガラスクロスなどで強化されたコア層Cが設けられている。該コア層Cの表裏には、有機材料の絶縁部213と、配線パターン211や接続ビア212等の配線部とにより構成された配線層を複数積層したビルドアップ層Bが設けられている。214はコア層201を貫通して表裏の配線層を電気的に接続するためのスルーホールである。このスティフナ付き基板では、プリント基板201に剛性の高いコア層Cが設けられていることにより、プリント基板201の平坦度が確保されている。
【0006】
但し、最近では、LSIパッケージ全体の薄型化の要求に伴い、これに用いられるプリント基板の薄型化も求められている。このため、従来のプリント基板に設けられていたコア層が排され、ビルドアップ層のみによって形成された薄型のプリント基板(以下、有機基板という:図2参照)と、これに接着されたスティフナとにより構成されるスティフナ付き基板が用いられるようになってきている。
【特許文献1】特開2004−311598号公報(段落0044〜0048、図1〜3)
【特許文献2】特開平11−284097号公報(段落0024〜0029、図1,図2)
【非特許文献1】「日経エレクトロニクス 2005/1/3号」(日経BP社) ハイエンドPbフリーPKGの関連記事
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、コア層を持たない薄型有機基板では、スティフナで補強しただけでは平坦度(平面度)を確保するのが難しい。これについて、図10を用いて説明する。
【0008】
図10(A)には、スティフナ接着前の有機基板201を示している。有機基板201の表面には、LSIベアチップ204がハンダ付け実装される複数のパッド205が形成されている。
【0009】
図10(B)には、有機基板201の上面に、Cu,SUS,Al等の材料で形成された枠形状のスティフナ202が複数のパッド205を囲むように載せられた状態を示す。有機基板201とスティフナ202との間には熱硬化性接着剤203が配置され、不図示の治具により有機基板201とスティフナ202とを加圧し、両者の動きを拘束する。
【0010】
そして、該有機基板201とスティフナ202とともに熱硬化性接着剤203を加熱して硬化させる。熱硬化性接着剤203として、一般にエポキシ樹脂系の接着剤が用いられ、その硬化処理温度は100℃程度である。但し、ここでは、接着剤の硬化速度を上げるため、150℃程度に加熱される場合もある。このとき、スティフナの熱膨張率(例えば、Cuの場合は17.3ppm/K)よりも有機基板201の熱膨張率(例えば、25〜30ppm/K)の方がかなり大きいが、上述した治具による拘束によって熱膨張による相対変位が抑えられたまま接着が完了する。この後、室温域に冷却されることにより、有機基板201の方がスティフナ202より熱膨張率が大きい分、大きく縮むため、有機基板201の反りは低減する。
【0011】
しかし、このスティフナ付き基板を、LSIベアチップ204を実装するために、ハンダの溶融温度である240〜260℃前後に加熱すると、前述したように有機基板201の方がスティフナ202より熱膨張率が大きいため、図10(C)に示すように、有機基板201に大きな反りやうねりが発生する。したがって、図10(D)に示すように、LSIベアチップ204の実装に支障が出る。
【0012】
本発明は、電子部品を実装するために高温に加熱した場合やその後冷却された場合に、プリント基板の高い平坦度を確保することができるようにしたスティフナ付き基板およびその製造方法を提供することを目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一側面としてのスティフナ付き基板の製造方法は、配線部と有機絶縁材料により形成された絶縁部とを有するプリント基板、および該プリント基板よりも熱膨張率が小さい材料により形成されたスティフナを準備する第1のステップと、該プリント基板およびスティフナを熱硬化性接着剤により接合する第2のステップとを有する。そして、第2のステップにおいて、熱硬化性接着剤の硬化処理温度が有機絶縁材料のガラス転移点以上の温度であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の他の側面としてのスティフナ付き基板は、配線部と有機絶縁材料により形成された絶縁部とを有するプリント基板と、該プリント基板よりも熱膨張率が小さい材料により形成されたスティフナと、該プリント基板およびスティフナを接合した熱硬化性接着剤とを有する。そして、該熱硬化性接着剤が、有機絶縁材料のガラス転移点以上の温度で硬化処理されたものであることを特徴とする。
【0015】
熱硬化性接着剤の硬化処理温度が有機絶縁材料のガラス転移点以上の温度であるため、プリント基板を少なくとも該ガラス転移点までは接着剤の接着力による拘束を受けずに熱膨張させることができる。このため、プリント基板に反りやうねりがほとんどない状態で該基板とスティフナとを接合することができる。
【0016】
しかも、該ガラス転移点および硬化処理温度よりも高温の部品実装温度では、有機絶縁材料の弾性率が大きく低下するため、プリント基板の熱膨張率は配線部を形成する金属の熱膨張率が支配的となる。このため、プリント基板とスティフナとの熱膨張率差は小さくなり、該部品実装温度でのプリント基板の反りやうねりの発生も抑えられる。したがって、プリント基板の平坦度が高い状態で部品実装を行うことができる。また、冷却された状態でのフレキシブル基板に張りを持たせ、平坦度を確保することができる。したがって、部品実装後もプリント基板の平坦度を維持することができる。
【0017】
具体的には、熱硬化性接着剤としては、有機絶縁材料のガラス転移点以上の温度での硬化処理において、該温度に到達した時点での硬化反応率が20%以下となる特性を有するものが望ましい。これにより、前述したように、プリント基板を少なくとも該ガラス転移点までは接着剤の接着力による拘束を受けずに熱膨張させることができる。
【0018】
また、接着剤の硬化処理のための加熱中において、プリント基板およびスティフナをその面内方向外側への熱膨張を許容した状態、すなわち熱膨張を拘束しない状態で厚さ方向に加圧するとよい。これにより、接着剤の硬化過程においてプリント基板とスティフナ間の平行状態(厚さの均一性)を維持できるとともに、該加圧のよって拘束することなく、プリント基板を本来の熱膨張率に応じて膨張させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、スティフナ付き基板に電子部品を実装するために、接着剤の硬化処理温度よりも高温に加熱した場合のプリント基板の反りやうねりを低減し、高い平坦度を確保することができる。したがって、これまで以上に接続端子数が増加したり接続端子間のピッチが小さくなったりした場合でも、部品実装を確実かつ適正に行うことができる。しかも、部品実装後の反り等も低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0021】
図1Aおよび図1Bには、本発明の実施例であるパッケージ基板(スティフナ付き基板)10の概略構成を示している。図1Aは該パッケージ基板10の側面断面図、図1Bは該パッケージ基板の平面図である。
【0022】
これらの図において、1は矩形状のプリント基板である。このプリント基板1は、図2にその一部の拡大断面を示すように、コア層を有さず、ビルドアップ層Bのみにより構成されたビルドアップ積層基板である。
【0023】
ビルドアップ層Bは、Cu等の導電性が高い金属材料によって形成された配線パターンや接続ビアを含む配線部1aと、該配線部1aを絶縁する絶縁部1bとにより構成されている。絶縁部1bは、エポキシ樹脂等の電気絶縁性の高い有機材料によって形成されている。以下、このプリント基板1を有機基板と称する。
【0024】
また、図1Aおよび図1Bに示すように、有機基板1の表面には、後述するLSIベアチップ等の電子部品を、いわゆるフリップチップ実装するためのハンダ付けパッド(接続端子)が複数形成されている。また、有機基板1の裏面には、完成したパッケージ基板10を不図示の他の回路基板に実装するためのハンダ付けパッドが形成されている。
【0025】
有機基板1の表面には、上記ハンダ付けパッド5が形成された領域(電子部品の実装領域)を囲むように矩形枠状に形成された補強部材としてのスティフナ2がエポキシ系樹脂を主成分とする熱硬化性接着剤3によって接合されている。スティフナ2は、Cu,SUS,Al等の金属材料で形成されており、パッケージ基板10および電子部品実装後のLSIパッケージ全体としての剛性および平板性を確保するために設けられている。
【0026】
なお、本実施例で説明する有機基板1およびスティフナ2の形状は例にすぎず、それぞれ円形やリング形状等、他の形状であってもよい。また、熱硬化性接着剤3も、エポキシ系以外のものであってもよい。
【0027】
図3および図4には、本実施例のパッケージ基板の製造工程を示している。ここでは、有機基板1の熱膨張率は25〜30ppm/K(有機材料絶縁部1bの熱膨張率は50〜80ppm/K、Cu配線部1aの熱膨張率は17.3ppm/K)、スティフナはCuにより作られ、熱膨張率は17.3ppm/Kとする。
【0028】
また、図5(A)には、本実施例の製造工程で用いる治具を示している。この治具は、ベースとなるステージ101と、ステージ102に対して固定された位置決めピン102と、ステージ101および位置決めピン103に対して固定された位置決めガイド103とを有する。さらに、治具は、図5(D)に示すように、所定の重量を有する荷重板104を有する。図5(A)〜(F)には、図3,4に示す各ステップに対応した該治具上でのパッケージ基板の製造工程を示している。
【0029】
図4のステップ1では、図3(A)に示すように、有機基板1とスティフナ2が準備される。具体的には、図5(A)に示すように、まず治具のステージ101上にスティフナ2が配置される。このとき、スティフナ2の外周に配置された位置決めガイド103の下段部によってスティフナ2が位置決めされる。但し、ここでの位置決めは、後述する熱硬化性接着剤3の硬化処理時におけるスティフナ2の面内方向外側(図の左右方向)への熱膨張を許容するように行われる。
【0030】
次に、図4のステップ2では、図5(B)に示すように、スティフナ102の上面に、熱硬化性接着剤3が配置される。
【0031】
次に、図4のステップ3では、図5(C)に示すように、接着剤3の上に有機基板1が配置される。このとき、有機基板1の外周に位置する位置決めガイド103の上段部によって有機基板1が位置決めされる。但し、ここでの位置決めは、後述する硬化処理時における有機基板1の面内方向外側への熱膨張を許容するように行われる。
【0032】
次に、図4のステップ4では、図5(D)に示すように、有機基板1上に荷重板104が配置される。荷重板104は位置決めピン102によってその面内方向への動きが制限され、かつ厚さ方向の動きは許容された状態で保持される。
【0033】
荷重板104の重量としては、後述する接着剤硬化のための加熱時において接着剤3が硬化するまでの間、有機基板1とスティフナ2間の平行度(パッケージ基板としての厚さの均一性)を維持でき、かつ有機基板1とスティフナ2のそれぞれの熱膨張による面内方向外側への延びを許容できるような重量が選択される。言い換えれば、有機基板1とスティフナ2の熱膨張による延びを拘束しないような低荷重によって両者が厚さ方向に加圧された状態で加熱できるようにしている。
【0034】
次に、図4のステップ5では、図3(B)に示すように、接着剤3の硬化による有機基板1とスティフナ2との接合のための加熱(硬化処理)が行われる。具体的には、図5(E)に示すように、図5(D)までのセッティングが終了した治具をオーブン105内に入れて、所定の硬化処理温度Taまで加熱する。
【0035】
ここで、熱硬化性接着剤3としては、有機絶縁材料のガラス転移点Tg以上の硬化処理温度Taまで加熱された時点(直後)の硬化反応率が20%以下であり、該硬化温度Taで数分〜数十分間加熱することによって完全に硬化するものを用いる。
【0036】
硬化反応率は、硬化処理温度に到達した直後に、熱硬化反応を分析する示差熱分析装置(Differential Thermal Analyzer:DAT)又は示差走査熱量分析装置(Differential Scanning Calorimetry:DSC)により得られる、単位重量あたりの熱量から算出又は推定される。
【0037】
例えば、図8には、本実施例で用いた接着剤3を、昇温速度が10℃/minで300℃まで加熱した場合の硬化率反応分析の実験結果を示している。図中の斜線部は2.29cal/gを示し、この部分の面積率比から硬化反応率を算出することができる。
【0038】
ここでの硬化処理温度について図6を用いて説明する。図6には、有機基板1を構成する有機絶縁材料の温度と弾性率との関係を示している。Tgは該有機絶縁材料のガラス転移点であり、この温度を中心とする約10℃の領域、つまりはガラス転移領域で、有機絶縁材料の弾性率が大きく変化している。具体的には、ガラス転移領域においては、これよりも低い温度領域から高い温度領域に向かって、弾性率が急激に低下している。
【0039】
本実施例では、硬化処理温度Taを、ガラス転移点Tg以上の温度に設定している。有機絶縁材料としてエポキシ樹脂を使用する場合、そのガラス転移点Tgは100〜150℃である。このため、硬化温度Taを、150℃以上の温度、例えば175℃に設定する。
【0040】
ここで、175℃は、ガラス転移点Tg以上の温度であると同時に、ガラス転移領域の最高温度以上の温度でもある。このようにガラス転移領域の最高温度以上の温度を硬化温度Taとして選択することにより、有機絶縁材料が十分に軟化して物性が安定した状態で接着剤3を硬化させることができる。したがって、有機基板1の熱膨張量のコントロールを行い易いというメリットがある。
【0041】
なお、ガラス転移点Tgの測定方法には、DSC(示差走査熱量計)法、TMA(熱分析装置)法、DMA(粘弾性測定装置)法等があるが、いずれの方法で測定してもよい。
【0042】
また、硬化処理温度Taは、図6に範囲Dで示すように、ガラス転移点Tg以上であって、後述する部品実装温度Tb以下の温度であることが好ましい。
【0043】
また、接着剤3は、常温で結晶性を有し、かつ融点が100℃以上180℃以下の結晶性エポキシ樹脂接着剤を用いることが好ましい。この範囲の接着剤3であれば、市販の接着剤を調合することで、容易に製作することができる。なお、融点が110°以上や120℃以上であってもよい。
【0044】
実験では、ジャパンエポキシレジン社製YX4000(ビフェニル型エポキシ EW195 融点120℃)と日産化学工業社製TIPC(トリグリシジルイソアニュレート EW110 融点120℃)とを上記硬化反応率特性が得られる比率で混合し、接着剤3を作った。
【0045】
この接着剤の硬化処理において、前述したように有機基板1とスティフナ2は、治具による拘束も接着剤3の接着力による拘束も受けないため、それぞれの本来の熱膨張率に応じて膨張する(延びる)。その後、接着剤3が硬化することによって、有機基板1はスティフナ2による拘束を受けることになる(つまりは、両者は一体化する)。
【0046】
このように、接着剤3の熱硬化反応が始まって接着による拘束力が発生する前に(硬化反応率が20%以下の状態で)、有機絶縁材料のガラス転移点Tg以上に温度を上げることで、少なくともガラス転移点Taまでは有機基板1およびスティフナ2に本来の熱膨張を発生させた状態でこれら有機基板1とスティフナ2を接合することができる。つまり、少なくともガラス転移点Tgに到達するまでは、接着剤3の硬化による拘束を受けずに有機基板1の熱膨張が許容される。
【0047】
そして、図5(F)に示すように、接着剤3が完全に硬化すると、室温等の低温域まで冷却される。こうして、図4のステップ6および図3(C)に示すようにパッケージ基板10が完成する。
【0048】
冷却時において、図3(C)に示すように、有機基板1およびスティフナ2は収縮するが、有機基板1の熱膨張率の方がスティフナ2のそれよりも大きいため、有機基板1の方により大きな収縮力が発生する。このとき、有機基板1の外周はスティフナ2によって接着剤3を介して固定(拘束)されているため、有機基板1には張りが生じ、高い平坦度が確保される。
【0049】
次に、引き続き図3および図4を用いて、完成したパッケージ基板10にLSIベアチップをフリップチップ実装する工程について説明する。図3(D)に示すように、LSIベアチップ4の下面には、複数の端子が形成され、各端子にはハンダボール4aが設けられている。
【0050】
図4のステップ10では、パッケージ基板10のハンダ付けパッド5とLSIベアチップ4のハンダボール4aとを位置合わせし、両者を接触させた状態で不図示のリフロー炉内にセットし、所定の部品実装温度Tbまで加熱する。部品実装温度Tbは、ハンダバンプ4aがリフローする温度であり、硬化処理温度Taよりも高い240℃から260℃程度の温度である。
【0051】
ここで、部品実装温度Tbまで加熱することにより、有機基板1およびスティフナ2が熱膨張する。前述したように、熱膨張量はスティフナ2より有機基板1の方が大きいが、接着剤3の硬化処理過程で、接着剤3による拘束力が発生する前に温度を有機絶縁材料のガラス転移点Tgまで上げたため、少なくともガラス転移点Tgまでは有機基板1に反りやうねりはほとんど発生しない。
【0052】
しかも、ガラス転移点Tg以上の温度域では、有機絶縁材料は急激に軟化するので、ガラス転移点Tg以上の高温の領域での有機基板1の熱膨張率においては、配線部1aの材料であるCuの熱膨張率が支配的となる。つまり、有機基板1の熱膨張率が、Cuによって作られたスティフナ2に同等となる。したがって、ガラス転移点Tgから部品実装温度Tbまでの温度領域では、有機基板1とスティフナ2の熱膨張量が同等となり、有機基板1に反りやうねりは発生しない。
【0053】
このように、ガラス転移点Tg以上の温度で接着剤3を硬化させることにより、それより高い部品実装温度TbでLSIベアチップ4を実装する際における有機基板1の反り等の変形を極力小さく抑え、高い平坦度を確保することができる。したがって、パッケージ基板10に複数設けられたハンダ付けパッド5とLSIベアチップ4に複数設けられたハンダボール4aとを均一にハンダ接合することができ、LSIベアチップ4の実装を確実かつ適正に行うことができる。
【0054】
さらに、LSIベアチップ4の実装のための加熱が終了した後、室温等に冷却された状態でも、前述したように、有機基板1の外周はスティフナ2によって接着剤3を介して拘束されているため、有機基板1には張りが生じ、高い平坦度が確保される。したがって、LSIベアチップ4の実装後にハンダ付け部にクラックが生じたり該ハンダ付け部が剥がれたりすることもなく、適正な実装状態が維持される。
【0055】
本実施例では、熱硬化性接着剤として熱硬化性エポキシ系の接着剤を用いた。これは、部品実装時にハンダのリフローに必要な温度やLSIパッケージとして求められる耐熱性(例えば、260℃)および強度を考慮すると、熱硬化性エポキシ系接着剤が最も適切だからである。一方、有機基板に用いられるエポキシ系の有機絶縁材料のガラス転移点は一般に100〜150℃前後である。従来の熱硬化性エポキシ系接着剤は100℃前後で硬化するものがほとんどであり、有機絶縁材料のガラス転移点より低い温度で硬化処理を行うのが普通であった。
【0056】
従来において問題が発生しなかった主な理由は、コア層を有するプリント基板とスティフナに用いられるCuやSUSなどの材料の熱膨張率が近い値であったため、接着剤の硬化処理温度と部品実装温度との差がスティフナ接着後の基板の平坦度に悪影響を及ぼすことはほとんど無かったためである。
【0057】
しかし、本実施例のように、コア層を持たない薄型有機基板を用いる場合、有機絶縁材料と配線材料(主としてCu)の組合せにおいて得られる基板全体の熱膨張係数は25ppm/K以上になってしまう。このため、CuやSUSなど従来と同様な金属材料よってスティフナを作る場合、7ppm/K以上の大きな熱膨張率差が発生してしまい、上記温度差による有機基板の変形が問題となった。
【0058】
そこで、本実施例は、熱硬化性接着剤3の硬化処理温度を有機絶縁材料のガラス転移点Tg以上とする、言い換えれば、ガラス転移点Tg以上の硬化処理温度に到達した時点での硬化反応率が20%以下となる特性を有する熱硬化性接着剤3を用いることで、確実かつ容易に上記問題を解消できるようにしたものである。
【0059】
図7には、本実施例でスティフナ2の材料としたCuと、これに代えて使用することができるSUSおよびAlの熱膨張率等の特性を示す。
【0060】
以上のようにして製造されたLSIパッケージは、例えば、本発明は、LSIウェハ用のテスタ基板だけでなく、ノート型パーソナルコンピュータ(PC)、デジタルカメラ、サーバー、携帯電話等の電子機器に用いられるビルドアップ基板に広く適用することができる。図9に本実施例のLSIパッケージを適用したLSIウェハ用のテスタ基板(電子機器)150の上面図を示す。
【0061】
また、本実施例にて説明したパッケージ基板の構成およびその製造方法は、FC−BGA、FC−LGAおよびFC−PGA等、各種フリップチップ実装用基板に対して適用することができる。
【0062】
本願は、さらに以下の事項を開示する。
【0063】
(付記1)
配線部と有機絶縁材料により形成された絶縁部とを有するプリント基板、および該プリント基板よりも熱膨張率が小さい材料により形成されたスティフナを準備する第1のステップと、該プリント基板およびスティフナを熱硬化性接着剤により接合する第2のステップとを有し、前記第2のステップにおいて、前記熱硬化性接着剤の硬化処理温度が前記有機絶縁材料のガラス転移点以上の温度であることを特徴とするスティフナ付き基板の製造方法(1)。
【0064】
(付記2)
前記硬化処理温度は、前記有機絶縁材料のガラス転移領域における最高温度以上の温度で硬化させることを特徴とする付記1に記載のスティフナ付き基板の製造方法。
【0065】
(付記3)
前記硬化処理温度は、前記プリント基板に部品を実装するための加熱温度以下の温度であることを特徴とする付記1又は2に記載のスティフナ付き基板の製造方法。
【0066】
(付記4)
前記第2のステップにおいて、温度が前記硬化処理温度に到達した時点での熱硬化性接着剤の硬化反応率が20%以下であることを特徴とする付記1から3のいずれか1つに記載のスティフナ付き基板の製造方法(2)。
【0067】
(付記5)
前記熱硬化性接着剤の融点が、100℃以上180℃以下であることを特徴とする付記1から4のいずれか1つに記載のスティフナ付き基板の製造方法。
【0068】
(付記6)
前記第2のステップにおいて、前記プリント基板および前記スティフナを、該プリント基板およびスティフナの面内方向外側への熱膨張を許容した状態で厚さ方向に加圧することを特徴とする付記1から5のいずれか1つに記載のスティフナ付き基板の製造方法(3)。
【0069】
(付記7)
前記プリント基板は、コア層を有さないビルドアップ積層基板であることを特徴とする付記1から6のいずれか1つに記載のスティフナ付き基板の製造方法。
【0070】
(付記8)
配線部と有機絶縁材料により形成された絶縁部とを有するプリント基板と、該プリント基板よりも熱膨張率が小さい材料により形成されたスティフナと、該プリント基板およびスティフナを接合した熱硬化性接着剤とを有し、前記熱硬化性接着剤は、前記有機絶縁材料のガラス転移点以上の温度で硬化処理されたものであることを特徴とするスティフナ付き基板(4)。
【0071】
(付記9)
前記熱硬化性接着剤は、硬化処理において前記温度に到達した時点での硬化反応率が20%以下となる特性を有することを特徴とする付記8に記載のスティフナ付き基板。
【0072】
(付記10)
前記熱硬化性接着剤の融点は、100℃以上180℃以下であることを特徴とする付記8又は9に記載のスティフナ付き基板。
【0073】
(付記11)
前記温度は、該有機絶縁材料のガラス転移領域における最高温度以上の温度であることを特徴とする付記8から10のいずれか1つに記載のスティフナ付き基板。
【0074】
(付記12)
前記温度は、前記プリント基板に部品を実装するための加熱温度以下の温度であることを特徴とする付記8から11のいずれか1つに記載のスティフナ付き基板。
【0075】
(付記13)
前記プリント基板は、コア層を有さないビルドアップ積層基板であることを特徴とする付記8から12のいずれか1つに記載のスティフナ付き基板。
【0076】
(付記14)
付記1から7のいずれか1つに記載の製造方法により製造されたスティフナ付き基板又は付記8から13のいずれか1つに記載のスティフナ付き基板を有することを特徴とする電子機器(5)。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1A】本発明の実施例であるパッケージ基板の側面断面図。
【図1B】実施例のパッケージ基板の平面図。
【図2】実施例のパッケージ基板に用いられている有機基板の拡大断面図。
【図3】実施例のパッケージ基板の製造方法を示す概略図。
【図4】実施例のパッケージ基板の製造方法を示すフローチャート。
【図5】実施例のパッケージ基板の製造工程を示す概略図。
【図6】図2の有機基板を構成する有機絶縁材料の特性を示す概略図。
【図7】実施例および変形例のパッケージ基板に用いられるスティフナの材料の特性を示す表。
【図8】熱硬化性接着剤の硬化反応率の測定実験例を示すグラフ。
【図9】実施例のパッケージ基板を用いた電子機器の図。
【図10】従来のパッケージ基板の製造方法を示す概略図。
【図11】従来のコア層を有するプリント基板の拡大断面図。
【符号の説明】
【0078】
1 有機基板
1a 配線部
1b 絶縁部
2 スティフナ
3 熱硬化性接着剤
4 LSIベアチップ
10 パッケージ基板
101 ステージ
104 荷重板
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機材料を絶縁材とするプリント基板とスティフナとを接着して製造されるスティフナ付き基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIベアチップをプリント基板にフリップ実装したLSIパッケージには、FC−BGA(Flip Chip Bump Grid Array package)、FC−LGA(Flip Chip Land Grid Array package)およびFC−PGA(Flip Chip Pin Grid Array package)などがある。
【0003】
このようなLSIパッケージにおいては、有機材料を絶縁材とするプリント基板とこれを補強するためのスティフナとを接着して製造されるスティフナ付き基板が多く使用される(例えば、特許文献1,2および非特許文献1参照)。
【0004】
また、プリント基板の配線の高密度化が進むのに伴い、LSI等の電子部品との接続端子数の増加や該接続端子の挟ピッチ化が進んでいる。そして、接続端子数の増加や接続端子の挟ピッチ化に伴い、接続端子の大きさがますます小さくなり、電子部品を実装するプリント基板にはきわめて高い平坦度が要求されている。
【0005】
図11に示すように、従来のスティフナ付き基板に用いられるプリント基板201には、その厚さ方向中央部にガラスクロスなどで強化されたコア層Cが設けられている。該コア層Cの表裏には、有機材料の絶縁部213と、配線パターン211や接続ビア212等の配線部とにより構成された配線層を複数積層したビルドアップ層Bが設けられている。214はコア層201を貫通して表裏の配線層を電気的に接続するためのスルーホールである。このスティフナ付き基板では、プリント基板201に剛性の高いコア層Cが設けられていることにより、プリント基板201の平坦度が確保されている。
【0006】
但し、最近では、LSIパッケージ全体の薄型化の要求に伴い、これに用いられるプリント基板の薄型化も求められている。このため、従来のプリント基板に設けられていたコア層が排され、ビルドアップ層のみによって形成された薄型のプリント基板(以下、有機基板という:図2参照)と、これに接着されたスティフナとにより構成されるスティフナ付き基板が用いられるようになってきている。
【特許文献1】特開2004−311598号公報(段落0044〜0048、図1〜3)
【特許文献2】特開平11−284097号公報(段落0024〜0029、図1,図2)
【非特許文献1】「日経エレクトロニクス 2005/1/3号」(日経BP社) ハイエンドPbフリーPKGの関連記事
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、コア層を持たない薄型有機基板では、スティフナで補強しただけでは平坦度(平面度)を確保するのが難しい。これについて、図10を用いて説明する。
【0008】
図10(A)には、スティフナ接着前の有機基板201を示している。有機基板201の表面には、LSIベアチップ204がハンダ付け実装される複数のパッド205が形成されている。
【0009】
図10(B)には、有機基板201の上面に、Cu,SUS,Al等の材料で形成された枠形状のスティフナ202が複数のパッド205を囲むように載せられた状態を示す。有機基板201とスティフナ202との間には熱硬化性接着剤203が配置され、不図示の治具により有機基板201とスティフナ202とを加圧し、両者の動きを拘束する。
【0010】
そして、該有機基板201とスティフナ202とともに熱硬化性接着剤203を加熱して硬化させる。熱硬化性接着剤203として、一般にエポキシ樹脂系の接着剤が用いられ、その硬化処理温度は100℃程度である。但し、ここでは、接着剤の硬化速度を上げるため、150℃程度に加熱される場合もある。このとき、スティフナの熱膨張率(例えば、Cuの場合は17.3ppm/K)よりも有機基板201の熱膨張率(例えば、25〜30ppm/K)の方がかなり大きいが、上述した治具による拘束によって熱膨張による相対変位が抑えられたまま接着が完了する。この後、室温域に冷却されることにより、有機基板201の方がスティフナ202より熱膨張率が大きい分、大きく縮むため、有機基板201の反りは低減する。
【0011】
しかし、このスティフナ付き基板を、LSIベアチップ204を実装するために、ハンダの溶融温度である240〜260℃前後に加熱すると、前述したように有機基板201の方がスティフナ202より熱膨張率が大きいため、図10(C)に示すように、有機基板201に大きな反りやうねりが発生する。したがって、図10(D)に示すように、LSIベアチップ204の実装に支障が出る。
【0012】
本発明は、電子部品を実装するために高温に加熱した場合やその後冷却された場合に、プリント基板の高い平坦度を確保することができるようにしたスティフナ付き基板およびその製造方法を提供することを目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一側面としてのスティフナ付き基板の製造方法は、配線部と有機絶縁材料により形成された絶縁部とを有するプリント基板、および該プリント基板よりも熱膨張率が小さい材料により形成されたスティフナを準備する第1のステップと、該プリント基板およびスティフナを熱硬化性接着剤により接合する第2のステップとを有する。そして、第2のステップにおいて、熱硬化性接着剤の硬化処理温度が有機絶縁材料のガラス転移点以上の温度であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の他の側面としてのスティフナ付き基板は、配線部と有機絶縁材料により形成された絶縁部とを有するプリント基板と、該プリント基板よりも熱膨張率が小さい材料により形成されたスティフナと、該プリント基板およびスティフナを接合した熱硬化性接着剤とを有する。そして、該熱硬化性接着剤が、有機絶縁材料のガラス転移点以上の温度で硬化処理されたものであることを特徴とする。
【0015】
熱硬化性接着剤の硬化処理温度が有機絶縁材料のガラス転移点以上の温度であるため、プリント基板を少なくとも該ガラス転移点までは接着剤の接着力による拘束を受けずに熱膨張させることができる。このため、プリント基板に反りやうねりがほとんどない状態で該基板とスティフナとを接合することができる。
【0016】
しかも、該ガラス転移点および硬化処理温度よりも高温の部品実装温度では、有機絶縁材料の弾性率が大きく低下するため、プリント基板の熱膨張率は配線部を形成する金属の熱膨張率が支配的となる。このため、プリント基板とスティフナとの熱膨張率差は小さくなり、該部品実装温度でのプリント基板の反りやうねりの発生も抑えられる。したがって、プリント基板の平坦度が高い状態で部品実装を行うことができる。また、冷却された状態でのフレキシブル基板に張りを持たせ、平坦度を確保することができる。したがって、部品実装後もプリント基板の平坦度を維持することができる。
【0017】
具体的には、熱硬化性接着剤としては、有機絶縁材料のガラス転移点以上の温度での硬化処理において、該温度に到達した時点での硬化反応率が20%以下となる特性を有するものが望ましい。これにより、前述したように、プリント基板を少なくとも該ガラス転移点までは接着剤の接着力による拘束を受けずに熱膨張させることができる。
【0018】
また、接着剤の硬化処理のための加熱中において、プリント基板およびスティフナをその面内方向外側への熱膨張を許容した状態、すなわち熱膨張を拘束しない状態で厚さ方向に加圧するとよい。これにより、接着剤の硬化過程においてプリント基板とスティフナ間の平行状態(厚さの均一性)を維持できるとともに、該加圧のよって拘束することなく、プリント基板を本来の熱膨張率に応じて膨張させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、スティフナ付き基板に電子部品を実装するために、接着剤の硬化処理温度よりも高温に加熱した場合のプリント基板の反りやうねりを低減し、高い平坦度を確保することができる。したがって、これまで以上に接続端子数が増加したり接続端子間のピッチが小さくなったりした場合でも、部品実装を確実かつ適正に行うことができる。しかも、部品実装後の反り等も低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0021】
図1Aおよび図1Bには、本発明の実施例であるパッケージ基板(スティフナ付き基板)10の概略構成を示している。図1Aは該パッケージ基板10の側面断面図、図1Bは該パッケージ基板の平面図である。
【0022】
これらの図において、1は矩形状のプリント基板である。このプリント基板1は、図2にその一部の拡大断面を示すように、コア層を有さず、ビルドアップ層Bのみにより構成されたビルドアップ積層基板である。
【0023】
ビルドアップ層Bは、Cu等の導電性が高い金属材料によって形成された配線パターンや接続ビアを含む配線部1aと、該配線部1aを絶縁する絶縁部1bとにより構成されている。絶縁部1bは、エポキシ樹脂等の電気絶縁性の高い有機材料によって形成されている。以下、このプリント基板1を有機基板と称する。
【0024】
また、図1Aおよび図1Bに示すように、有機基板1の表面には、後述するLSIベアチップ等の電子部品を、いわゆるフリップチップ実装するためのハンダ付けパッド(接続端子)が複数形成されている。また、有機基板1の裏面には、完成したパッケージ基板10を不図示の他の回路基板に実装するためのハンダ付けパッドが形成されている。
【0025】
有機基板1の表面には、上記ハンダ付けパッド5が形成された領域(電子部品の実装領域)を囲むように矩形枠状に形成された補強部材としてのスティフナ2がエポキシ系樹脂を主成分とする熱硬化性接着剤3によって接合されている。スティフナ2は、Cu,SUS,Al等の金属材料で形成されており、パッケージ基板10および電子部品実装後のLSIパッケージ全体としての剛性および平板性を確保するために設けられている。
【0026】
なお、本実施例で説明する有機基板1およびスティフナ2の形状は例にすぎず、それぞれ円形やリング形状等、他の形状であってもよい。また、熱硬化性接着剤3も、エポキシ系以外のものであってもよい。
【0027】
図3および図4には、本実施例のパッケージ基板の製造工程を示している。ここでは、有機基板1の熱膨張率は25〜30ppm/K(有機材料絶縁部1bの熱膨張率は50〜80ppm/K、Cu配線部1aの熱膨張率は17.3ppm/K)、スティフナはCuにより作られ、熱膨張率は17.3ppm/Kとする。
【0028】
また、図5(A)には、本実施例の製造工程で用いる治具を示している。この治具は、ベースとなるステージ101と、ステージ102に対して固定された位置決めピン102と、ステージ101および位置決めピン103に対して固定された位置決めガイド103とを有する。さらに、治具は、図5(D)に示すように、所定の重量を有する荷重板104を有する。図5(A)〜(F)には、図3,4に示す各ステップに対応した該治具上でのパッケージ基板の製造工程を示している。
【0029】
図4のステップ1では、図3(A)に示すように、有機基板1とスティフナ2が準備される。具体的には、図5(A)に示すように、まず治具のステージ101上にスティフナ2が配置される。このとき、スティフナ2の外周に配置された位置決めガイド103の下段部によってスティフナ2が位置決めされる。但し、ここでの位置決めは、後述する熱硬化性接着剤3の硬化処理時におけるスティフナ2の面内方向外側(図の左右方向)への熱膨張を許容するように行われる。
【0030】
次に、図4のステップ2では、図5(B)に示すように、スティフナ102の上面に、熱硬化性接着剤3が配置される。
【0031】
次に、図4のステップ3では、図5(C)に示すように、接着剤3の上に有機基板1が配置される。このとき、有機基板1の外周に位置する位置決めガイド103の上段部によって有機基板1が位置決めされる。但し、ここでの位置決めは、後述する硬化処理時における有機基板1の面内方向外側への熱膨張を許容するように行われる。
【0032】
次に、図4のステップ4では、図5(D)に示すように、有機基板1上に荷重板104が配置される。荷重板104は位置決めピン102によってその面内方向への動きが制限され、かつ厚さ方向の動きは許容された状態で保持される。
【0033】
荷重板104の重量としては、後述する接着剤硬化のための加熱時において接着剤3が硬化するまでの間、有機基板1とスティフナ2間の平行度(パッケージ基板としての厚さの均一性)を維持でき、かつ有機基板1とスティフナ2のそれぞれの熱膨張による面内方向外側への延びを許容できるような重量が選択される。言い換えれば、有機基板1とスティフナ2の熱膨張による延びを拘束しないような低荷重によって両者が厚さ方向に加圧された状態で加熱できるようにしている。
【0034】
次に、図4のステップ5では、図3(B)に示すように、接着剤3の硬化による有機基板1とスティフナ2との接合のための加熱(硬化処理)が行われる。具体的には、図5(E)に示すように、図5(D)までのセッティングが終了した治具をオーブン105内に入れて、所定の硬化処理温度Taまで加熱する。
【0035】
ここで、熱硬化性接着剤3としては、有機絶縁材料のガラス転移点Tg以上の硬化処理温度Taまで加熱された時点(直後)の硬化反応率が20%以下であり、該硬化温度Taで数分〜数十分間加熱することによって完全に硬化するものを用いる。
【0036】
硬化反応率は、硬化処理温度に到達した直後に、熱硬化反応を分析する示差熱分析装置(Differential Thermal Analyzer:DAT)又は示差走査熱量分析装置(Differential Scanning Calorimetry:DSC)により得られる、単位重量あたりの熱量から算出又は推定される。
【0037】
例えば、図8には、本実施例で用いた接着剤3を、昇温速度が10℃/minで300℃まで加熱した場合の硬化率反応分析の実験結果を示している。図中の斜線部は2.29cal/gを示し、この部分の面積率比から硬化反応率を算出することができる。
【0038】
ここでの硬化処理温度について図6を用いて説明する。図6には、有機基板1を構成する有機絶縁材料の温度と弾性率との関係を示している。Tgは該有機絶縁材料のガラス転移点であり、この温度を中心とする約10℃の領域、つまりはガラス転移領域で、有機絶縁材料の弾性率が大きく変化している。具体的には、ガラス転移領域においては、これよりも低い温度領域から高い温度領域に向かって、弾性率が急激に低下している。
【0039】
本実施例では、硬化処理温度Taを、ガラス転移点Tg以上の温度に設定している。有機絶縁材料としてエポキシ樹脂を使用する場合、そのガラス転移点Tgは100〜150℃である。このため、硬化温度Taを、150℃以上の温度、例えば175℃に設定する。
【0040】
ここで、175℃は、ガラス転移点Tg以上の温度であると同時に、ガラス転移領域の最高温度以上の温度でもある。このようにガラス転移領域の最高温度以上の温度を硬化温度Taとして選択することにより、有機絶縁材料が十分に軟化して物性が安定した状態で接着剤3を硬化させることができる。したがって、有機基板1の熱膨張量のコントロールを行い易いというメリットがある。
【0041】
なお、ガラス転移点Tgの測定方法には、DSC(示差走査熱量計)法、TMA(熱分析装置)法、DMA(粘弾性測定装置)法等があるが、いずれの方法で測定してもよい。
【0042】
また、硬化処理温度Taは、図6に範囲Dで示すように、ガラス転移点Tg以上であって、後述する部品実装温度Tb以下の温度であることが好ましい。
【0043】
また、接着剤3は、常温で結晶性を有し、かつ融点が100℃以上180℃以下の結晶性エポキシ樹脂接着剤を用いることが好ましい。この範囲の接着剤3であれば、市販の接着剤を調合することで、容易に製作することができる。なお、融点が110°以上や120℃以上であってもよい。
【0044】
実験では、ジャパンエポキシレジン社製YX4000(ビフェニル型エポキシ EW195 融点120℃)と日産化学工業社製TIPC(トリグリシジルイソアニュレート EW110 融点120℃)とを上記硬化反応率特性が得られる比率で混合し、接着剤3を作った。
【0045】
この接着剤の硬化処理において、前述したように有機基板1とスティフナ2は、治具による拘束も接着剤3の接着力による拘束も受けないため、それぞれの本来の熱膨張率に応じて膨張する(延びる)。その後、接着剤3が硬化することによって、有機基板1はスティフナ2による拘束を受けることになる(つまりは、両者は一体化する)。
【0046】
このように、接着剤3の熱硬化反応が始まって接着による拘束力が発生する前に(硬化反応率が20%以下の状態で)、有機絶縁材料のガラス転移点Tg以上に温度を上げることで、少なくともガラス転移点Taまでは有機基板1およびスティフナ2に本来の熱膨張を発生させた状態でこれら有機基板1とスティフナ2を接合することができる。つまり、少なくともガラス転移点Tgに到達するまでは、接着剤3の硬化による拘束を受けずに有機基板1の熱膨張が許容される。
【0047】
そして、図5(F)に示すように、接着剤3が完全に硬化すると、室温等の低温域まで冷却される。こうして、図4のステップ6および図3(C)に示すようにパッケージ基板10が完成する。
【0048】
冷却時において、図3(C)に示すように、有機基板1およびスティフナ2は収縮するが、有機基板1の熱膨張率の方がスティフナ2のそれよりも大きいため、有機基板1の方により大きな収縮力が発生する。このとき、有機基板1の外周はスティフナ2によって接着剤3を介して固定(拘束)されているため、有機基板1には張りが生じ、高い平坦度が確保される。
【0049】
次に、引き続き図3および図4を用いて、完成したパッケージ基板10にLSIベアチップをフリップチップ実装する工程について説明する。図3(D)に示すように、LSIベアチップ4の下面には、複数の端子が形成され、各端子にはハンダボール4aが設けられている。
【0050】
図4のステップ10では、パッケージ基板10のハンダ付けパッド5とLSIベアチップ4のハンダボール4aとを位置合わせし、両者を接触させた状態で不図示のリフロー炉内にセットし、所定の部品実装温度Tbまで加熱する。部品実装温度Tbは、ハンダバンプ4aがリフローする温度であり、硬化処理温度Taよりも高い240℃から260℃程度の温度である。
【0051】
ここで、部品実装温度Tbまで加熱することにより、有機基板1およびスティフナ2が熱膨張する。前述したように、熱膨張量はスティフナ2より有機基板1の方が大きいが、接着剤3の硬化処理過程で、接着剤3による拘束力が発生する前に温度を有機絶縁材料のガラス転移点Tgまで上げたため、少なくともガラス転移点Tgまでは有機基板1に反りやうねりはほとんど発生しない。
【0052】
しかも、ガラス転移点Tg以上の温度域では、有機絶縁材料は急激に軟化するので、ガラス転移点Tg以上の高温の領域での有機基板1の熱膨張率においては、配線部1aの材料であるCuの熱膨張率が支配的となる。つまり、有機基板1の熱膨張率が、Cuによって作られたスティフナ2に同等となる。したがって、ガラス転移点Tgから部品実装温度Tbまでの温度領域では、有機基板1とスティフナ2の熱膨張量が同等となり、有機基板1に反りやうねりは発生しない。
【0053】
このように、ガラス転移点Tg以上の温度で接着剤3を硬化させることにより、それより高い部品実装温度TbでLSIベアチップ4を実装する際における有機基板1の反り等の変形を極力小さく抑え、高い平坦度を確保することができる。したがって、パッケージ基板10に複数設けられたハンダ付けパッド5とLSIベアチップ4に複数設けられたハンダボール4aとを均一にハンダ接合することができ、LSIベアチップ4の実装を確実かつ適正に行うことができる。
【0054】
さらに、LSIベアチップ4の実装のための加熱が終了した後、室温等に冷却された状態でも、前述したように、有機基板1の外周はスティフナ2によって接着剤3を介して拘束されているため、有機基板1には張りが生じ、高い平坦度が確保される。したがって、LSIベアチップ4の実装後にハンダ付け部にクラックが生じたり該ハンダ付け部が剥がれたりすることもなく、適正な実装状態が維持される。
【0055】
本実施例では、熱硬化性接着剤として熱硬化性エポキシ系の接着剤を用いた。これは、部品実装時にハンダのリフローに必要な温度やLSIパッケージとして求められる耐熱性(例えば、260℃)および強度を考慮すると、熱硬化性エポキシ系接着剤が最も適切だからである。一方、有機基板に用いられるエポキシ系の有機絶縁材料のガラス転移点は一般に100〜150℃前後である。従来の熱硬化性エポキシ系接着剤は100℃前後で硬化するものがほとんどであり、有機絶縁材料のガラス転移点より低い温度で硬化処理を行うのが普通であった。
【0056】
従来において問題が発生しなかった主な理由は、コア層を有するプリント基板とスティフナに用いられるCuやSUSなどの材料の熱膨張率が近い値であったため、接着剤の硬化処理温度と部品実装温度との差がスティフナ接着後の基板の平坦度に悪影響を及ぼすことはほとんど無かったためである。
【0057】
しかし、本実施例のように、コア層を持たない薄型有機基板を用いる場合、有機絶縁材料と配線材料(主としてCu)の組合せにおいて得られる基板全体の熱膨張係数は25ppm/K以上になってしまう。このため、CuやSUSなど従来と同様な金属材料よってスティフナを作る場合、7ppm/K以上の大きな熱膨張率差が発生してしまい、上記温度差による有機基板の変形が問題となった。
【0058】
そこで、本実施例は、熱硬化性接着剤3の硬化処理温度を有機絶縁材料のガラス転移点Tg以上とする、言い換えれば、ガラス転移点Tg以上の硬化処理温度に到達した時点での硬化反応率が20%以下となる特性を有する熱硬化性接着剤3を用いることで、確実かつ容易に上記問題を解消できるようにしたものである。
【0059】
図7には、本実施例でスティフナ2の材料としたCuと、これに代えて使用することができるSUSおよびAlの熱膨張率等の特性を示す。
【0060】
以上のようにして製造されたLSIパッケージは、例えば、本発明は、LSIウェハ用のテスタ基板だけでなく、ノート型パーソナルコンピュータ(PC)、デジタルカメラ、サーバー、携帯電話等の電子機器に用いられるビルドアップ基板に広く適用することができる。図9に本実施例のLSIパッケージを適用したLSIウェハ用のテスタ基板(電子機器)150の上面図を示す。
【0061】
また、本実施例にて説明したパッケージ基板の構成およびその製造方法は、FC−BGA、FC−LGAおよびFC−PGA等、各種フリップチップ実装用基板に対して適用することができる。
【0062】
本願は、さらに以下の事項を開示する。
【0063】
(付記1)
配線部と有機絶縁材料により形成された絶縁部とを有するプリント基板、および該プリント基板よりも熱膨張率が小さい材料により形成されたスティフナを準備する第1のステップと、該プリント基板およびスティフナを熱硬化性接着剤により接合する第2のステップとを有し、前記第2のステップにおいて、前記熱硬化性接着剤の硬化処理温度が前記有機絶縁材料のガラス転移点以上の温度であることを特徴とするスティフナ付き基板の製造方法(1)。
【0064】
(付記2)
前記硬化処理温度は、前記有機絶縁材料のガラス転移領域における最高温度以上の温度で硬化させることを特徴とする付記1に記載のスティフナ付き基板の製造方法。
【0065】
(付記3)
前記硬化処理温度は、前記プリント基板に部品を実装するための加熱温度以下の温度であることを特徴とする付記1又は2に記載のスティフナ付き基板の製造方法。
【0066】
(付記4)
前記第2のステップにおいて、温度が前記硬化処理温度に到達した時点での熱硬化性接着剤の硬化反応率が20%以下であることを特徴とする付記1から3のいずれか1つに記載のスティフナ付き基板の製造方法(2)。
【0067】
(付記5)
前記熱硬化性接着剤の融点が、100℃以上180℃以下であることを特徴とする付記1から4のいずれか1つに記載のスティフナ付き基板の製造方法。
【0068】
(付記6)
前記第2のステップにおいて、前記プリント基板および前記スティフナを、該プリント基板およびスティフナの面内方向外側への熱膨張を許容した状態で厚さ方向に加圧することを特徴とする付記1から5のいずれか1つに記載のスティフナ付き基板の製造方法(3)。
【0069】
(付記7)
前記プリント基板は、コア層を有さないビルドアップ積層基板であることを特徴とする付記1から6のいずれか1つに記載のスティフナ付き基板の製造方法。
【0070】
(付記8)
配線部と有機絶縁材料により形成された絶縁部とを有するプリント基板と、該プリント基板よりも熱膨張率が小さい材料により形成されたスティフナと、該プリント基板およびスティフナを接合した熱硬化性接着剤とを有し、前記熱硬化性接着剤は、前記有機絶縁材料のガラス転移点以上の温度で硬化処理されたものであることを特徴とするスティフナ付き基板(4)。
【0071】
(付記9)
前記熱硬化性接着剤は、硬化処理において前記温度に到達した時点での硬化反応率が20%以下となる特性を有することを特徴とする付記8に記載のスティフナ付き基板。
【0072】
(付記10)
前記熱硬化性接着剤の融点は、100℃以上180℃以下であることを特徴とする付記8又は9に記載のスティフナ付き基板。
【0073】
(付記11)
前記温度は、該有機絶縁材料のガラス転移領域における最高温度以上の温度であることを特徴とする付記8から10のいずれか1つに記載のスティフナ付き基板。
【0074】
(付記12)
前記温度は、前記プリント基板に部品を実装するための加熱温度以下の温度であることを特徴とする付記8から11のいずれか1つに記載のスティフナ付き基板。
【0075】
(付記13)
前記プリント基板は、コア層を有さないビルドアップ積層基板であることを特徴とする付記8から12のいずれか1つに記載のスティフナ付き基板。
【0076】
(付記14)
付記1から7のいずれか1つに記載の製造方法により製造されたスティフナ付き基板又は付記8から13のいずれか1つに記載のスティフナ付き基板を有することを特徴とする電子機器(5)。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1A】本発明の実施例であるパッケージ基板の側面断面図。
【図1B】実施例のパッケージ基板の平面図。
【図2】実施例のパッケージ基板に用いられている有機基板の拡大断面図。
【図3】実施例のパッケージ基板の製造方法を示す概略図。
【図4】実施例のパッケージ基板の製造方法を示すフローチャート。
【図5】実施例のパッケージ基板の製造工程を示す概略図。
【図6】図2の有機基板を構成する有機絶縁材料の特性を示す概略図。
【図7】実施例および変形例のパッケージ基板に用いられるスティフナの材料の特性を示す表。
【図8】熱硬化性接着剤の硬化反応率の測定実験例を示すグラフ。
【図9】実施例のパッケージ基板を用いた電子機器の図。
【図10】従来のパッケージ基板の製造方法を示す概略図。
【図11】従来のコア層を有するプリント基板の拡大断面図。
【符号の説明】
【0078】
1 有機基板
1a 配線部
1b 絶縁部
2 スティフナ
3 熱硬化性接着剤
4 LSIベアチップ
10 パッケージ基板
101 ステージ
104 荷重板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線部と有機絶縁材料により形成された絶縁部とを有するプリント基板、および該プリント基板よりも熱膨張率が小さい材料により形成されたスティフナを準備する第1のステップと、
前記プリント基板および前記スティフナを熱硬化性接着剤により接合する第2のステップとを有し、
前記第2のステップにおいて、前記熱硬化性接着剤の硬化処理温度が前記有機絶縁材料のガラス転移点以上の温度であることを特徴とするスティフナ付き基板の製造方法。
【請求項2】
前記第2のステップにおいて、温度が前記硬化処理温度に到達した時点での前記熱硬化性接着剤の硬化反応率が20%以下であることを特徴とする請求項1に記載のスティフナ付き基板の製造方法。
【請求項3】
前記第2のステップにおいて、前記プリント基板およびスティフナを、該プリント基板およびスティフナの面内方向外側への熱膨張を許容した状態で厚さ方向に加圧することを特徴とする請求項1又は2に記載のスティフナ付き基板の製造方法。
【請求項4】
配線部と有機絶縁材料により形成された絶縁部とを有するプリント基板と、
該プリント基板よりも熱膨張率が小さい材料により形成されたスティフナと、
前記プリント基板および前記スティフナを接合した熱硬化性接着剤とを有し、
前記熱硬化性接着剤が、前記有機絶縁材料のガラス転移点以上の温度で硬化処理されたものであることを特徴とするスティフナ付き基板。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1つに記載の製造方法により製造されたスティフナ付き基板又は請求項4に記載のスティフナ付き基板を有することを特徴とする電子機器。
【請求項1】
配線部と有機絶縁材料により形成された絶縁部とを有するプリント基板、および該プリント基板よりも熱膨張率が小さい材料により形成されたスティフナを準備する第1のステップと、
前記プリント基板および前記スティフナを熱硬化性接着剤により接合する第2のステップとを有し、
前記第2のステップにおいて、前記熱硬化性接着剤の硬化処理温度が前記有機絶縁材料のガラス転移点以上の温度であることを特徴とするスティフナ付き基板の製造方法。
【請求項2】
前記第2のステップにおいて、温度が前記硬化処理温度に到達した時点での前記熱硬化性接着剤の硬化反応率が20%以下であることを特徴とする請求項1に記載のスティフナ付き基板の製造方法。
【請求項3】
前記第2のステップにおいて、前記プリント基板およびスティフナを、該プリント基板およびスティフナの面内方向外側への熱膨張を許容した状態で厚さ方向に加圧することを特徴とする請求項1又は2に記載のスティフナ付き基板の製造方法。
【請求項4】
配線部と有機絶縁材料により形成された絶縁部とを有するプリント基板と、
該プリント基板よりも熱膨張率が小さい材料により形成されたスティフナと、
前記プリント基板および前記スティフナを接合した熱硬化性接着剤とを有し、
前記熱硬化性接着剤が、前記有機絶縁材料のガラス転移点以上の温度で硬化処理されたものであることを特徴とするスティフナ付き基板。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1つに記載の製造方法により製造されたスティフナ付き基板又は請求項4に記載のスティフナ付き基板を有することを特徴とする電子機器。
【図1A】
【図1B】
【図6】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図1B】
【図6】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【公開番号】特開2008−10690(P2008−10690A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−180609(P2006−180609)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(391003624)サンユレック株式会社 (28)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(391003624)サンユレック株式会社 (28)
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