説明

ステレオ/モノラル切り換え回路および該回路を備えた集積回路

【課題】 上位装置からの指示によらず、ステレオ再生またはモノラル再生の動作の切り換えを自発的に行うことができるステレオ/モノラル切り換え回路を提供する。
【解決手段】 加算器50は、LおよびRチャネルの音声信号をミキシングして出力する。切り換え部200は、スピーカアンプ11および12に電源が供給されている場合にL、R各チャネルの音声信号がスピーカアンプ11および12に供給され、スピーカアンプ12に電源が供給されていない場合には加算器50の出力信号がスピーカアンプ11に供給されるように切り換えを行。パワーダウン制御部300は、電源が供給されていないスピーカアンプおよびこれを駆動するプリアンプを強制的にパワーダウン状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ステレオ/モノラル切り換え回路と、このステレオ/モノラル切り換え回路を備え、ステレオ再生を行う機器およびモノラル再生を行う機器の両方に搭載可能な音源集積回路等の集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等のオーディオ機器の製造では、製造コストを低く抑えるため、ステレオ再生およびモノラル再生の両方に対応可能な音源LSI(Large Scale Integerated circuit;大規模集積回路)を製造し、これをステレオ再生対応の機器の製造とモノラル再生対応の機器の製造の両方に使用する、ということが行われる場合がある。
【0003】
図4は、この種の音源LSIの出力部の構成例を示すブロック図である。この音源LSIにおいて、スピーカアンプ11および12は、各々別個の電源端子21および22を介して電源の供給を受け、スピーカ端子31および32に接続された各スピーカ(図示略)を各々駆動するアンプである。プリアンプ41および42は、各々の入力信号に基づいて、スピーカアンプ11および12を各々駆動するアンプである。このプリアンプ41および42等、音源LSIにおけるスピーカアンプ11および12以外の回路には、電源端子21および22とは別の電源端子を介して電源AVDDが供給される。
【0004】
スピーカアンプ11および12と、それらを駆動するプリアンプ41および42は、入力信号を増幅して出力するアクティブ状態と、増幅動作を行わず、消費電力が極めて低いパワーダウン状態とを有するアンプである。スピーカアンプ11およびその前段のプリアンプ41は、音源LSIの外部のホストCPU(図示略)から供給されるパワーダウン制御信号PDLが“0”のときはアクティブ状態、“1”のときはパワーダウン状態となる。同様に、スピーカアンプ12およびその前段のプリアンプ42は、ホストCPUから供給されるパワーダウン制御信号PDRが“0”のときはアクティブ状態、“1”のときはパワーダウン状態となる。
【0005】
加算器50は、音源LSI内の音源部(図示略)から供給されるLチャネルの音声信号SLとRチャネルの音声信号SRとをミキシングして出力する回路である。アナログスイッチ61は、ホストCPUから供給されるモノラル/ステレオ制御信号M/Sが“1”であるときは加算器50の出力信号を、“0”であるときはLチャネル音声信号SLを選択し、プリアンプ41へ供給する。
以上がこの音源LSIの出力部の構成である。
【0006】
この音源LSIは、L、R2チャネルのスピーカを備えたステレオ再生対応機器と1個のスピーカを備えたモノラル再生対応機器の両方に搭載され得る。前者のステレオ再生の機器に搭載される場合、音源LSIのスピーカ端子31および32はLチャネルのスピーカおよびRチャネルのスピーカに各々接続され、電源端子21および22の両方が電源に接続される。そして、この機器におけるホストCPUは、信号値が“0”であるモノラル/ステレオ制御信号M/Sを音源LSIに与える。これにより音源LSIでは、音源部から出力されるLチャネルの音声信号がプリアンプ41およびスピーカアンプ11により増幅され、Rチャネルの音声信号がプリアンプ42およびスピーカアンプ12により増幅され、L、R2チャネルのスピーカからステレオ再生音が出力される。また、再生すべき音声信号がない等の理由により音声の再生を行わない場合、ホストCPUから信号値が“1”であるパワーダウン制御信号PDLおよびPDRが出力される。これによりスピーカアンプ11および12とプリアンプ41および42がパワーダウン状態となり、電源の消費電力が節約される。
【0007】
一方、モノラル再生対応機器に搭載される場合、音源LSIのスピーカ端子31がスピーカに接続される。そして、この機器におけるホストCPUは、信号値が“1”であるモノラル/ステレオ制御信号M/Sを音源LSIに与える。これにより音源LSIでは、加算器50から出力されるLチャネルおよびRチャネルの音声信号をミキシングした信号がプリアンプ41およびスピーカアンプ11により増幅され、スピーカ端子31に接続されたスピーカからモノラル再生音が出力される。ホストCPUは、使用しないスピーカアンプ12およびプリアンプ42をパワーダウン状態として消費電力を節約するため、パワーダウン制御信号PDRを常に“1”とする。そして、音声の再生を行わない場合、ホストCPUは、パワーダウン制御信号PDLを“1”としてスピーカアンプ11およびプリアンプ41をパワーダウン状態とし、消費電力を節約する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のように、従来の音源LSIは、ステレオ再生対応の機器に搭載した場合には音源部が発生する音声信号をステレオ再生音として出力させ、モノラル再生対応の機器に搭載した場合には音源部が発生する音声信号をモノラル再生音として出力させることができ、かつ、モノラル再生対応機器に搭載した場合には動作させないスピーカアンプおよびプリアンプをパワーダウン状態とし、消費電力を節約することができる。しかしながら、ステレオ再生対応の機器におけるホストCPUは、信号値が“0”であるモノラル/ステレオ制御信号M/Sを音源LSIに与えるべきであるのに対し、モノラル再生対応の機器におけるホストCPUは、信号値が“1”であるモノラル/ステレオ制御信号M/Sを音源LSIに与えるべきである。また、ステレオ再生対応の機器におけるホストCPUは、音声の再生をするか否かに応じてパワーダウン制御信号PDLおよびPDRの“0”/“1”切り換えを行うべきであるのに対し、モノラル再生対応の機器におけるホストCPUは、パワーダウン制御信号PDRを常に“1”とし、音声の再生をするか否かに応じてパワーダウン制御信号PDLのみの“0”/“1”切り換えを行うべきである。このように従来の技術においては、ホストCPUが音源LSIに対して行う制御の内容がステレオ再生対応の機器とモノラル再生対応の機器とで異なっており、いずれの機器に搭載するかにより、ホストCPUのプログラムメモリに書き込む制御プログラムを変える必要があるという問題があった。
【0009】
この発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、上位装置からの指示によらず、ステレオ再生またはモノラル再生の動作の切り換えを自発的に行うことができるステレオ/モノラル切り換え回路および該回路を備えた集積回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、スピーカの駆動を行う第1および第2のスピーカアンプのうち少なくとも第2のスピーカアンプに対する電源の供給の有無を判定する判定手段と、第1および第2のチャネルの音声信号をミキシングして出力するミキシング手段と、前記判定手段により前記第2のスピーカアンプに電源が供給されていると判定された場合には、前記第1および第2のチャネルの音声信号が前記第1および第2のスピーカアンプに各々供給され、前記判定手段により前記第2のスピーカアンプに電源が供給されていないと判定された場合には、前記第1のスピーカアンプに前記ミキシング手段の出力信号が供給されるように音声信号の伝達経路の切り換えを行う切り換え手段と、前記判定手段により前記第2のスピーカアンプに電源が供給されていないと判定された場合に、前記第2のスピーカアンプおよびこれを駆動する回路を強制的にパワーダウン状態とするパワーダウン制御手段とを具備することを特徴とするステレオ/モノラル切り換え回路を提供する。
また、この発明は、他の態様として、スピーカの駆動を行う第1および第2のスピーカアンプの各々に対する電源の供給の有無を判定する判定手段と、第1および第2のチャネルの音声信号をミキシングして出力するミキシング手段と、前記判定手段により前記第1および第2のスピーカアンプの両方に電源が供給されていると判定された場合には、前記第1および第2のチャネルの音声信号が前記第1および第2のスピーカアンプに各々供給され、前記判定手段により前記第1および第2のスピーカアンプの一方のみに電源が供給されていると判定された場合には、電源が供給されているスピーカアンプに前記ミキシング手段の出力信号が供給されるように音声信号の伝達経路の切り換えを行う切り換え手段と、前記判定手段により前記第1または第2のスピーカアンプに電源が供給されていないと判定された場合に、電源が供給されていないスピーカアンプおよびこれを駆動する回路を強制的にパワーダウン状態とするパワーダウン制御手段とを具備することを特徴とするステレオ/モノラル切り換え回路を提供する。
これらのステレオ/モノラル切り換え回路によれば、スピーカアンプへの電源供給の有無の判定結果に基づいて、ステレオ再生を行うべきかモノラル再生を行うべきかが決定され、ステレオ再生に対応した音声信号の伝達経路またはモノラル再生に対応した音声信号の伝達経路が形成され、さらにモノラル再生の場合において使用しないスピーカアンプおよびその駆動回路の強制的なパワーダウン制御が行われる。従って、このステレオ/モノラル切り換え回路を音源集積回路等の集積回路に搭載した場合には、同集積回路にステレオ再生を行わせるかモノラル再生を行わせるかにより同集積回路の制御内容を変える必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態を説明する。
<第1実施形態>
図1は、この発明の第1実施形態であるステレオ/モノラル切り換え回路を有する音源LSIの出力部の構成を示す回路図である。なお、この図1において、図3に示されたものと対応する部分には、同一の符号が付されている。図1に示す出力部の前段には、L、R2チャネルの音声信号を出力する音源部が設けられているが、図示は省略されている。音源LSIは、この音源部と、図1に示す出力部とを同一チップ上に搭載してなる集積回路である。
【0012】
本実施形態におけるステレオ/モノラル切り換え回路は、加算器50と、判定部101および102と、切り換え部200と、パワーダウン制御部300とにより構成されている。
【0013】
判定部101は、電源端子21を介してスピーカアンプ11に電源が供給されている場合に信号値“1”の信号を出力し、電源が供給されていない場合に信号値“0”の信号を出力する回路である。また、判定部102は、電源端子22を介してスピーカアンプ12に電源が供給されている場合に信号値“1”の信号を出力し、電源が供給されていない場合に信号値“0”の信号を出力する回路である。
【0014】
切り換え部200は、アナログスイッチ61と、ANDゲート201とにより構成されている。ここで、ANDゲート201は、ハイアクティブの入力端子とロウアクティブの入力端子を有しており、ハイアクティブの入力端子には判定部101の出力信号が、ロウアクティブの入力端子には判定部102の出力信号が与えられる。アナログスイッチ61は、ANDゲート201の出力信号が“0”である場合はLチャネルの音声信号を、“1”である場合は加算器50の出力信号を選択してプリアンプ41に供給する。
【0015】
パワーダウン制御部300は、ハイアクティブの入力端子とロウアクティブの入力端子を備えたORゲート301および302により構成されている。ここで、ORゲート301のハイアクティブの入力端子には、音源LSIの外部のホストCPU(図示略)からパワーダウン制御信号PDLが与えられ、ロウアクティブの入力端子には判定部101の出力信号が与えられる。ORゲート301の出力信号は、パワーダウン制御信号としてプリアンプ41およびスピーカアンプ11に供給される。ORゲート302のハイアクティブの入力端子には、ホストCPUからパワーダウン制御信号PDRが与えられ、ロウアクティブの入力端子には判定部102の出力信号が与えられる。ORゲート302の出力信号は、パワーダウン制御信号としてプリアンプ42およびスピーカアンプ12に供給される。
以上が本実施形態の構成である。
【0016】
次に本実施形態の動作について説明する。音源LSIがステレオ対応の機器に搭載される場合、電源端子21および22の両方が電源に接続され、スピーカアンプ11および12の両方に電源が供給される。このため、判定部101および102の出力信号はいずれも“1”となり、ANDゲート201の出力信号は“0”となる。
【0017】
従って、Lチャネルの音声信号SLがアナログスイッチ61により選択される。アナログスイッチ61により選択されたLチャネルの音声信号はプリアンプ41およびスピーカアンプ11により増幅されてスピーカ端子31から出力され、一方、Rチャネルの音声信号はプリアンプ42およびスピーカアンプ12により増幅されてスピーカ端子32から出力される。これにより、スピーカ端子31および32に接続されたL、R2チャネルのスピーカからステレオ再生音が出力される。
【0018】
また、判定部101および102の出力信号がいずれも“1”であることから、ホストCPUから供給されるパワーダウン制御信号PDLは、ORゲート301を介してプリアンプ41およびスピーカアンプ11に供給され、パワーダウン制御信号PDRは、ORゲート302を介してプリアンプ42およびスピーカアンプ12に供給され、音声の再生をするか否かに応じたパワーダウン制御が行われる。
【0019】
一方、音源LSIがモノラル対応の機器に搭載される場合、電源端子21のみが電源に接続され、スピーカアンプ11のみに電源が供給される。電源端子22は、電源に接続されず、スピーカアンプ12には電源は供給されない。このため、判定部101の出力信号が“1”、判定部102の出力信号が“0”となり、ANDゲート201の出力信号は“1”となる。
【0020】
従って、加算器50から出力されるLチャネルの音声信号SLおよびRチャネルの音声信号SRをミキシングした音声信号がアナログスイッチ61により選択される。アナログスイッチ61により選択された音声信号はプリアンプ41およびスピーカアンプ11により増幅されてスピーカ端子31から出力される。これにより、スピーカ端子31に接続されたスピーカからモノラル再生音が出力される。
【0021】
また、判定部102の出力信号が“0”であることから、ORゲート302は、ホストCPUから供給されるパワーダウン制御信号PDLのレベル如何に拘わらず、常に信号値“1”を持ったパワーダウン制御信号をプリアンプ42およびスピーカアンプ12に与える。このため、プリアンプ42およびスピーカアンプ12は、常にパワーダウン状態となる。
【0022】
また、判定部101の出力信号が“1”であることから、ホストCPUからのパワーダウン制御信号PDLは、ORゲート301を介してプリアンプ41およびスピーカアンプ11に供給される。従って、プリアンプ41およびスピーカアンプ11については、ホストCPUからのパワーダウン制御信号PDLを反映したパワーダウン制御が行われる。
【0023】
以上説明したように、本実施形態におけるステレオ/モノラル切り換え回路では、スピーカアンプ11および12への電源供給の有無に基づいて、プリアンプ41に供給する音声信号をLチャネルの音声信号とするか加算器50の出力信号とするかの切り換えを自動的に行うので、ホストCPUは、上述した従来技術のようにモノラル/ステレオ制御信号M/Sを出力する必要はない。また、本実施形態では、音源LSIがモノラル再生対応機器に搭載され、スピーカアンプ12に電源が供給されない場合には、ホストCPUがステレオ再生を想定してパワーダウン制御信号PDLおよびPDRを出力したとしても、ステレオ/モノラル切り換え回路は、パワーダウン制御信号PDLのみをプリアンプ41およびスピーカアンプ11のパワーダウン制御に使用し、プリアンプ42およびスピーカアンプ12については常に強制的にパワーダウン状態とする。従って、ステレオ再生対応機器に搭載される場合とモノラル再生対応機器に搭載される場合とで、ホストCPUによる音源LSIの制御内容を同一にすることができ、ステレオ再生対応機器の製造およびモノラル再生対応機器の製造の全体としてのコストを低減することができる。
【0024】
<第2実施形態>
図2はこの発明の第2実施形態であるステレオ/モノラル切り換え回路を有する音源LSIの出力部の構成を示す回路図である。このステレオ/モノラル切り換え回路では、判定部102によりスピーカアンプ12に電源が供給されているか否かのみを判定する。本実施形態では、判定部101は設けられていない。本実施形態における切り換え部200Aは、上記第1実施形態における切り換え部200のANDゲート201をインバータ203に置き換えた構成となっている。また、本実施形態におけるパワーダウン制御部300Aは、上記第1実施形態におけるパワーダウン制御部300からORゲート301を削除し、ホストCPUからのパワーダウン制御信号PDLをプリアンプ41およびスピーカアンプ11に直接供給する構成となっている。
【0025】
インバータ203は、判定部102の出力信号を反転して出力する。スピーカアンプ12に電源が供給されている場合には、判定部102の出力信号は“1”、インバータ203の出力信号は“0”となる。この場合、Lチャネルの音声信号がアナログスイッチ61により選択されてプリアンプ41に供給される。また、ホストCPUからのパワーダウン制御信号PDLは、プリアンプ41およびスピーカアンプ11に、パワーダウン制御信号PDRは、プリアンプ42およびスピーカアンプ12に供給される。一方、スピーカアンプ12に電源が供給されていない場合には、判定部102の出力信号は“0”、インバータ203の出力信号は“1”となる。この場合、加算器50の出力信号がアナログスイッチ61により選択されてプリアンプ41に供給される。また、プリアンプ42およびスピーカアンプ12については、パワーダウン制御信号PDRのレベル如何に拘わらず、常にパワーダウン状態となる。
【0026】
本実施形態は、上記第1実施形態よりも少ない素子数で、上記第1実施形態と同様な効果を得ることができるという利点がある。
【0027】
<第3実施形態>
図3はこの発明の第3実施形態であるステレオ/モノラル切り換え回路を有する音源LSIの出力部の構成を示す回路図である。このステレオ/モノラル切り換え回路では、上記第1実施形態における切り換え部200が切り換え部200Bに置き換えられている。この切り換え部200Bは、切り換え部200に対してANDゲート202およびアナログスイッチ62を追加した構成となっている。ANDゲート202は、判定部101の出力信号が“0”、判定部102の出力信号が“1”の場合に限り、“1”を出力し、それ以外の場合は“0”を出力する。アナログスイッチ62は、ANDゲート202の出力信号が“0”の場合はRチャネルの音声信号を選択してプリアンプ42に供給し、“1”の場合は加算器50の出力信号を選択してプリアンプ42に供給する。
【0028】
音源LSIがステレオ再生対応機器に搭載される場合、スピーカアンプ11および12の両方に電源が供給される。この場合、判定部101および102の出力信号がいずれも“1”、ANDゲート201および202の出力信号はいずれも“0”となる。このため、Lチャネルの音声信号がアナログスイッチ61により選択されてプリアンプ41に供給され、Rチャネルの音声信号がアナログスイッチ62により選択されてプリアンプ42に供給される。また、ホストCPUからのパワーダウン制御信号PDLはORゲート301を介してプリアンプ41およびスピーカアンプ11に供給され、パワーダウン制御信号PDRはORゲート302を介してプリアンプ42およびスピーカアンプ12に供給される。これにより音源LSIではステレオ再生およびこれに対応したパワーダウン制御が実現される。
【0029】
音源LSIをモノラル再生対応機器に搭載する場合、本実施形態では、スピーカアンプ11をモノラル再生に利用することもできるし、スピーカアンプ12をモノラル再生に利用することもできる。前者の場合、スピーカ端子31にスピーカを接続し、電源端子21のみに電源を接続する。この場合、判定部101の出力信号が“1”、判定部102の出力信号が“0”、ANDゲート201の出力信号が“1”、ANDゲート202の出力信号が“0”となる。ANDゲート201の出力信号が“1”であるため、加算器50の出力信号がアナログスイッチ61により選択されてプリアンプ41に供給され、スピーカ端子31に接続されたスピーカからモノラル再生音が出力される。また、判定部101の出力信号が“1”であることから、ホストCPUからのパワーダウン制御信号PDLがORゲート301を介してプリアンプ41およびスピーカアンプ11に供給される。一方、ANDゲート202の出力信号が“0”であるため、Rチャネルの音声信号がアナログスイッチ62により選択されてプリアンプ42に供給される。しかし、判定部102の出力信号が“0”であることから、プリアンプ42およびスピーカアンプ12は強制的にパワーダウン状態とされる。
【0030】
後者の場合、スピーカ端子32にスピーカを接続し、電源端子22のみに電源を接続する。この場合、判定部101の出力信号が“0”、判定部102の出力信号が“1”、ANDゲート201の出力信号が“0”、ANDゲート202の出力信号が“1”となる。ANDゲート202の出力信号が“1”であるため、加算器50の出力信号がアナログスイッチ62により選択されてプリアンプ42に供給され、スピーカ端子32に接続されたスピーカからモノラル再生音が出力される。また、判定部102の出力信号が“1”であることから、ホストCPUからのパワーダウン制御信号PDRがORゲート302を介してプリアンプ42およびスピーカアンプ12に供給される。一方、ANDゲート201の出力信号が“0”であるため、Lチャネルの音声信号がアナログスイッチ61により選択されてプリアンプ41に供給される。しかし、判定部101の出力信号が“0”であることから、プリアンプ41およびスピーカアンプ11は強制的にパワーダウン状態とされる。
【0031】
以上のように本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。また、本実施形態は、音源LSIをモノラル再生対応機器に搭載する場合に、スピーカアンプ11または12のいずれをモノラル再生に利用するかを任意に選択することができるという利点がある。
【0032】
以上、この発明の第1〜第3実施形態について説明したが、この発明にはこれ以外にも他の実施形態が考えられる。例えば上記各実施形態では、パワーダウン制御信号によりスピーカアンプとその前段のプリアンプのパワーダウン制御を行うようにしたが、さらにプリアンプの前段の回路を含めてパワーダウン制御の対象としてもよい。また、上記実施形態では、ステレオ/モノラル切り換え回路を音源LSIに搭載したが、ステレオ再生およびモノラル再生に用いられる音源LSI以外の集積回路に上記各実施形態のステレオ/モノラル切り換え回路を搭載してもよい。また、上記実施形態では、ホストCPUは音源LSIの外部の装置であったが、ホストCPUとして機能する回路を備えた音源LSIに上記実施形態のステレオ/モノラル切り換え回路を搭載してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の第1実施形態であるステレオ/モノラル切り換え回路を有する音源LSIの出力部の構成を示す回路図である。
【図2】この発明の第2実施形態であるステレオ/モノラル切り換え回路を有する音源LSIの出力部の構成を示す回路図である。
【図3】この発明の第3実施形態であるステレオ/モノラル切り換え回路を有する音源LSIの出力部の構成を示す回路図である。
【図4】従来の音源LSIの出力部の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0034】
11,12……スピーカアンプ、21,22……電源端子、31,32……スピーカ端子、101,102……判定部、41,42……プリアンプ、50……加算器、200,200A,200B……切り換え部、300,300A……パワーダウン制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカの駆動を行う第1および第2のスピーカアンプのうち少なくとも第2のスピーカアンプに対する電源の供給の有無を判定する判定手段と、
第1および第2のチャネルの音声信号をミキシングして出力するミキシング手段と、
前記判定手段により前記第2のスピーカアンプに電源が供給されていると判定された場合には、前記第1および第2のチャネルの音声信号が前記第1および第2のスピーカアンプに各々供給され、前記判定手段により前記第2のスピーカアンプに電源が供給されていないと判定された場合には、前記第1のスピーカアンプに前記ミキシング手段の出力信号が供給されるように音声信号の伝達経路の切り換えを行う切り換え手段と、
前記判定手段により前記第2のスピーカアンプに電源が供給されていないと判定された場合に、前記第2のスピーカアンプおよびこれを駆動する回路を強制的にパワーダウン状態とするパワーダウン制御手段と
を具備することを特徴とするステレオ/モノラル切り換え回路。
【請求項2】
スピーカの駆動を行う第1および第2のスピーカアンプの各々に対する電源の供給の有無を判定する判定手段と、
第1および第2のチャネルの音声信号をミキシングして出力するミキシング手段と、
前記判定手段により前記第1および第2のスピーカアンプの両方に電源が供給されていると判定された場合には、前記第1および第2のチャネルの音声信号が前記第1および第2のスピーカアンプに各々供給され、前記判定手段により前記第1および第2のスピーカアンプの一方のみに電源が供給されていると判定された場合には、電源が供給されているスピーカアンプに前記ミキシング手段の出力信号が供給されるように音声信号の伝達経路の切り換えを行う切り換え手段と、
前記判定手段により前記第1または第2のスピーカアンプに電源が供給されていないと判定された場合に、電源が供給されていないスピーカアンプおよびこれを駆動する回路を強制的にパワーダウン状態とするパワーダウン制御手段と
を具備することを特徴とするステレオ/モノラル切り換え回路。
【請求項3】
前記第1および第2のチャネルの音声信号を出力する音声出力部と、
請求項1または2に記載のステレオ/モノラル切り換え回路と
を同一チップに搭載してなることを特徴とする集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−184882(P2007−184882A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−3093(P2006−3093)
【出願日】平成18年1月10日(2006.1.10)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】