説明

ステントの直径を縮小するための構造

ステントの冠部を縮小むための縮小み構造及びその使用方法が記載されている。縮小み構造は、外フィラメントに係合された内フィラメントを備えている。外フィラメントは、複数のループが作り出されるように、ステント端の少なくとも一部の冠部を通して編み込まれている。内フィラメントは、外フィラメントの少なくとも一部のループを通して編み込まれている。内フィラメントを引っ張ると、外フィラメントのループが半径方向内向きに引かれ、それにより冠部が互いに向かって引かれてステント端を縮小ませる。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、ステントの直径を縮小するための構造に関する。
ステントは良性の適応症に使用されることが増えている。その様な使用では、ステントの使用が余計になった場合にステントを取り出せる能力が要求される。その上、ステント配備時には、ステントの設置不良がリスクとなり得る。例えば、短縮化する編組型ステントは、身体管腔内で間違った目標部位に配備されないとも限らない。ステントの配備後に、患者への外傷を最小限に留めながらステントを身体管腔内で位置付け直したり或いはステントを身体管腔から取り出したりすることができれば好都合であろう。以下に説明されている発明は配備されたステントの位置付け直し又は取り出しに有用とされるものではあるが、特許請求の範囲に記載の発明は他の問題を解消することもできるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
故に、ステント端と編み合わされた外フィラメントと、当該外フィラメントとその1つ又はそれ以上の係合点で編み合わされた内フィラメントと、を備え、内フィラメントを一体に引き寄せることによってステント端を縮小させるための構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、次の態様の何れかを様々に組み合わせて含むものであり、以下に、書面による説明又は添付図面の中に示されているそれ以外の態様も含むことができるであろう。
【0004】
第1の態様では、ステントの取り出し又は位置付け直しのためのステント縮小用要素が提供されている。ステント縮小用要素は、第1フィラメントと第2フィラメントを備えている。第1フィラメントはステント端の周りに延在する複数の冠部を通して編み込まれている。第1フィラメントを複数の冠部を通して編み込むことにより、ステント端の周りに複数のループが作り出される。第2フィラメントは、第1フィラメントの複数のループのうち2つ又はそれ以上を通して編み込まれている。第2フィラメントは、当該第2フィラメントを引くと第1フィラメントのループが半径方向内向きに引かれ、それにより複数の冠部が互いに向けて引かれてステント端を縮小させるように構成されている。
【0005】
第2の態様では、縮小用構造が提供されている。システムは、複数の内ループと複数の外ループの交互配列が作り出されるようにステント端の周りの複数の冠部を通して編み込まれている外フィラメントを備えている。複数の内ループは、ステントのルーメン内に配置され、複数の外ループはステント端の外表面の外に配置されている。内フィラメントは、外フィラメントを引くための複数の係合点が作り出されるように複数の内ループのそれぞれを通して編み込まれている。外フィラメントを複数の係合点のそれぞれのところで引くと、複数の冠部が内向きにステントの中央長手方向軸に向かって引き寄せられる。
【0006】
第3の態様では、ステントを縮小するための装置が提供されている。複数のループが作り出されるようにステント端に沿った複数の冠部の少なくとも一部を通して編み込まれている外フィラメントを備える二フィラメントシステムが提供されている。システムは、更に、外フィラメントとの間に複数の係合点が作り出されるように外フィラメントに通されている内フィラメントを含んでいる。内フィラメントが複数の係合点のそれぞれのところで引かれると、外フィラメントが複数の冠部に寄せて引き絞られる。ステント端の冠部は、それにより半径方向内向きに引かれステント端を縮小させる。
【0007】
これより実施形態を一例として添付図面を参照しながら説明してゆく。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ステント端の全ての冠部を通して編み込まれている外フィラメントと、外フィラメントのループを通って延びる内フィラメントと、を有している、僅かに圧縮された状態のステントの端を示している。
【0009】
【図2】途中まで展開させた図1のステントの端面図であって、外フィラメントがステントの冠部のそれぞれを通して編み込まれていることを示している。
【0010】
【図3】内フィラメントが図2の外フィラメントによって作り出されるループを通して編み込まれてゆくところを示している。
【0011】
【図3a】張り出した端を有する図1のステントの端面図を示している。
【0012】
【図4】内フィラメントが引かれて、冠部及びステント端が一杯まで縮小された、図3のステント端を示している。
【0013】
【図5】ステントの近位端に沿って3箇所で外側の輪縄と係合されている内フィラメントを示している。
【0014】
【図6】内フィラメントの一部分が遠位方向に引かれ外側の輪縄がステントルーメンの中へ引き寄せられてゆく、図5のステントを示している。
【0015】
【図7】一重の外側の輪縄がステント端の全ての冠部を通して編み込まれているステントを示している。
【0016】
【図8】把持用ループ構造を備えるステントを示している。
【0017】
【図8a】把持用ループ構造上に配置されたカバーを備える図8のステントを示している。
【0018】
【図9】図1のステントと一体に組み入れることのできる薄型結び目構造を示している。
【0019】
【図9a】図1のステントと一体に組み入れることのできる薄型結び目構造を示している。
【0020】
【図10】把持用ループ構造上に配置されたコイル状ワイヤと、把持用ループ構造上に配置されたカバーと、を含む薄型結び目構造を示している。
【0021】
【図11】図1のステントと一体に組み入れることのできる二重フィラメント把持用ループを含む薄型結び目構造を示している。
【0022】
【図12】二重フィラメントループ上に配置されたカバーを備える図11の薄型結び目構造を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照しながら実施形態を説明してゆくが、図面中、同様の要素は同様の番号を付して示されている。実施形態の各種要素の関係及び機能性は、次に続く詳細な説明によって更に深く理解される。但し、以下に説明されている実施形態は単に一例であり、本発明は図面に示されている実施形態に限定されない。図面は縮尺が合わされているわけではなく、場合によっては、実施形態の理解に必要でない詳細事項、例えば製作及び組立の従来の詳細事項など、は省略されている場合のあることも理解されたい。
【0024】
明細書全体を通して、「遠位の」及び「遠位方向に」という用語は、概して医師から離れる位置、方向、又は向きを表す。従って、「近位の」及び「近位方向に」という用語は、概して医師に向かう位置、方向、又は向きを表す。
【0025】
ステントが身体管腔に配備された後にステント端を縮小すめることで、ステントを身体管腔内の別の場所へ位置付け直すことが可能になる。例えば、配備されると短縮化が生じるステントに付きまとうリスクとされがちなこととして、ステントが意図されない目標部位に配備されてしまった場合、ステントを位置付け直すことが有利であろう。ステント端を縮小すれば、ステントを身体管腔から取り出せるようにもなる。1つの例では、配備されたステント(例えばフルカバー型のステント)を予め定められた期間の後に身体管腔から取り出すことができれば、取り出しのできないステントで治療可能とされている良性の適応症を、当該ステントを使用して治療できるようになる。
【0026】
これより図1−図12を参照しながら、ステント端の直径を縮小するための構造を説明してゆく。以下に論じられている様に、縮小用構造は外フィラメントと内フィラメントを含んでいる。外フィラメントは、ステントの周りに又はステントに付着されている。具体的には、外フィラメントはステント端の周りに延在する冠部を通して編み込まれている。内フィラメントは、外フィラメントの開口部内に編み込まれている。概して言うと、内フィラメントを引くと外フィラメントがステント端の冠部の外表面に寄せて引き絞られ、そのせいでステントの冠部が半径方向内向きに動かされ、それによりステント端を縮小させる。明細書全体を通して使用されている「フィラメント」という用語は、縫合糸材料を含み、同様にニチノールの様な細いワイヤも含む。明細書全体を通して使用されている「冠部」という用語は、ステントの縁を形成しているステントの支材を含む。
【0027】
図1は、ステント120の端110に取り付けられている縮小用構造100を示している。縮小用構造100は、外フィラメント130と内フィラメント140を含んでいる。内フィラメント140は、ステント端110の直径を縮小させるために外フィラメント130と係合している。図1は、フィラメント140が引かれて、ステント120の端110がその一杯まで展開した状態から直径を途中まで縮小されたところを示している。具体的には、図1に示されている様に内フィラメント140の端141と142が引かれたとき、外フィラメント130の一部が半径方向内向きに動く。外フィラメント130が半径方向内向きに動くと、ステント120の端110の周りに周方向に延在するものとして示されている冠部121が内向きにステント120の中央長手方向軸に向かって曲がり始め、それによりステントの端110を縮小させる。冠部121が内向きに動くと、端部分150も直径が縮小する。縮小された冠部121と端部分150の直径縮小とにより、ステント120を配備させた後に身体管腔内で位置付け直すこと及び/又はステント120を身体管腔から取り出すことが可能になる。
【0028】
外フィラメント130は、図1に示されている様に、冠部121のそれぞれに隣接する開口部122を通って、外ループ132と内ループ131の交互する連なりが作り出されるように編み込まれている。図1及び図2は、どの様に外フィラメント130がステント120の冠部を通して編み込まれているかを示している。外フィラメント130をステント120の端110の周りに編み込むパターンを示す上で明解さを期して、内フィラメント140は図2からは省略されている。図1及び図2に示されている様に、ステント120の端110は、外フィラメント130をステント端を通して編んでゆくプロセスが分かり易くなるように、そして外フィラメント130をステント120の冠部121を通して編み込むことによって作り出されるループパターンを示すために、僅かに縮小されている。以下に更に詳細に説明されている様に、外フィラメント130は、一連の内ループ131が一連の外ループ132と交互して作り出されるように、ステント120の端110の周りに存在する様々な冠部121の様々な開口部122を通って波状パターンに編み込まれている。
【0029】
外フィラメントの編み方のパターンを、これより図2を参照しながら説明してゆくが、他の編み方のパターンを利用することもできるものと理解されたい。ステント120のルーメン空間201内に配置されている外フィラメント130の部分から始めて、外フィラメント130はまず外向きに冠部210の開口部222を通って延びる。フィラメント130は次に冠部210の開口部222の内から現れ、ステント120の外に延びてゆく。フィラメント130は次にステント120の外側に沿って冠210から離れて延びるように渡ってゆく。フィラメント130が次の冠部211に近づいたところで、フィラメント130は内向きにステント120に向かって曲がり、最終的に、冠部210に隣接する次の冠部211の開口部223を通過する。冠部210と隣接の冠部211の間のフィラメント130が横断した経路が外ループ部分232と成る。外ループ部分232を形成した後、フィラメント130は次に冠部211の開口部223を通過し、ステント120のルーメン空間201の中へ再び現れる。フィラメント130は、図2に示されている様に、ステント120のルーメン空間201内で引き続き時計回りに冠部212に沿って進む。フィラメント130は2つ目の冠部211に沿って進み続けてゆき、フィラメント130は外向きにステント120のルーメン空間201から離れて曲がり始める。フィラメント130は、3つ目の冠部212に近づいたところで、その開口部224を通って現れる。2つ目の冠部211と3つ目の冠部212の間のフィラメント130が横断した経路が内ループ部分233と成る。フィラメント130は次に3つ目の冠部212の開口部224を通過する。フィラメント130が引き続き上述されているのと同じ方式で、連続する冠部のそれぞれを入ったり出たりしながら編み込まれてゆくと、図1に示されている様に一連の内ループ131が一連の外ループ132と交互して作り出される。外フィラメント130の自由端を撚るか結ぶかして図2に示されている様に結び目135を形成すると、ステント120の端110の周りに連続したループが形成される。
【0030】
外フィラメント130を、ステント120の冠部121を通して編み込んだら、今度は、内フィラメント140を、外フィラメント130の内ループ131を通して編み込んでゆく。代わりに、一例として、内フィラメント140を、外フィラメント130の外ループ132を通して編むこともできるであろう。図3は、内フィラメント140が、上述の様に外フィラメント130が冠部121の開口部122を入ったり出たりしながら編まれたことによって作り出された複数の内ループ131を通して編まれていることを示している。外フィラメント130がステント120の内部と外部で編まれていったのとは違い、内フィラメント140はステント120の内部に沿ってしか編まれていない。
【0031】
図3は、内フィラメント140を、外フィラメント130を通して編んでゆく段階を示している。ステント120は図2より図3の方が展開具合が大きいため、外フィラメント140の内ループ131のサイズは小さくなっている様に見える。とはいえ、当業者には理解されるであろうが、内ループ131のサイズは、外フィラメント130の長さ、ステント120の直径、及びステント120の縮小の状態に依る。図1の内ループ131は、図3では301、302、303、及び304として示されている。
【0032】
例えば、一部の特定の実施形態では、ステント120の端110の周長よりも短い長さを有する外フィラメント130を提供するのが望ましい場合もある。その様な構成では、外フィラメント130は、ステント120の端110に途中まで縮小された状態を維持させるはずである。同様に、ステント120の端110の周長に等しい長さを有している外フィラメント130を提供するのが望ましい場合もあり、但しそれはステント120の外向きに張り出した端110(即ち、端110は絞られていないときの直径がステント本体の直径よりも大きい)を通して編み込まれている外フィラメントの場合である。その様な構成は、均一直径を有するステント120ではあるが但し圧縮に対する耐性に優れる(即ち外向きの方向のばね定数がより大きい)端110を有するステント120をもたらすことになる。この構成は、端110に、ステント端110をより素早く開かせ元の直径に復帰させる内在性のより高い半径方向の力を作り出す。張り出し型の端110の実施形態が一重の外側の輪縄305と共に図3aに示されているが、図3aに示されている張り出し型の端110に関しては図3に示されている様な二重フィラメント構造を使用することもできるものと理解されたい。
【0033】
引き続き図3を参照すると、内フィラメント140は、ステント120のルーメン空間201内で内ループ301を通して波状パターンに編まれている。1つ目の内ループ301を通って延びてきた内フィラメントは、次にステント120のルーメン空間内を下向きに延び、その後上向きに延びて2つ目の内ループ302を通っていることが示されている。内フィラメント140は、その後、上向きに、箇所350で示されている様にステント120の端110を越えて延び、次いで下向きにステント120の端110に向かって進み3つ目のループを通っている。次に、フィラメント140は上向きに輪を描いて4つ目の内ループ304を通って延びてゆく。フィラメント140は、この方式で外フィラメント130の内ループそれぞれを次々通って進んでゆく。図3は、内フィラメント140が外フィラメント130に対して実質的に垂直の向きに編み込まれていることを示している。しかしながら、ステント120が一杯まで展開すると、内フィラメント140は外フィラメント130に対して実質的に平行な向きに編み込まれていることになる。
【0034】
内フィラメント140が外フィラメント130の内ループを通って延ばされた後、内フィラメント140の自由端141と142がステント120の端110を越えて(図1で示せば、紙面から外へ延びる様に)延ばされる。自由端141と142は一体に結ばれ、図1に示されている様に結び目199を形成する。結び目199は、縮小用構造100の作用中に内フィラメント140を引くためのアクセス点又は係合点としての働きをする。
【0035】
様々な結び目配列が実施できることであろう。例えば、図8は、把持用ループ構造を示している。上述の様に、自由端141と142は一体に結ばれるものとされる。また一方、図8に示されている様に、自由端141と142は、第1の結び目800と第2の結び目802を形成し、それにより第1縫合糸部分806と第2縫合糸部分808によって全体を画定された把持用ループ804が形成されるように、一体に結ばれていてもよい。図8に示されている様に、第1端141と142が、第1の結び目800と第2の結び目802を形成して把持用ループ804を形成させるように一体に結ばれるとき、第2縫合糸部分808を第1縫合糸部分806よりも長くしておけば、把持用ループ構造を開いた状態に保つのに役立つ。この構成は、ステント120の取り出し又は位置付け直しでのアクセスをし易くする。代わりに、第1縫合糸部分806が第2縫合糸部分808より長くてもよい。
【0036】
図8aは、把持用ループ構造の第1縫合糸部分806の上から配置されている第1チューブ810と第2縫合糸部分808の上から配置されている第2チューブ812を備える図8の把持用ループ構造を示している。第2チューブ812内部には、把持用ループ804をそれが配備された後に開かせるのに役立つようにニチノールワイヤ814が含まれている。カバー又はチューブには、PTFE、ポリウレタン、ポリイミド、ナイロン、コイル、金属編組強化ポリマー管材料、編組物、など、の様な各種材料を使用することができるであろう。
【0037】
図9及び図9aは、代わりの結び目配列を示している。図9及び図9aに示されている様に、自由端141と142は、結び目900が形成されるように一体に結ばれている。結び目900は、使用中に解けない又は解け難い薄型の結び目である。結び目900は把持用ループ902を形成している。結び目900が薄型であることと、結び目900及び把持用ループ902の構成とのおかげで、ステント120の取り出し又は位置付け直しが可能になる。結び目900の或る特定の構成が示されているが、使用中に解けないように又は解け難いように設計される結び目900の様々な変型を実施できることであろう。例えば、結び目900は、「固め止め結び」、「止め結び」、「8の字結び」、又はそれ以外の結び目であって、ステント120の取り出し又は位置付け直しの場合のアクセスを可能にする特性を有する結び目であってもよいであろう。
【0038】
図10は、把持用ループ902構造上に配置されたコイル状ワイヤ1000を含む図9aの薄型結び目構造を示している。コイル状ワイヤ1000は、チューブ1002内に配置されていてもよく、チューブは熱収縮部1004を含んでいる。加えて、コイル状ワイヤ1000は、放射線不透過性のコイル状ワイヤであってもよい。コイル状ワイヤ1000では、コイルのばね力のおかげで、把持用ループ902構造の開きが改善される。コイルのばね力は、把持用ループ902上に実施されているコイルワイヤに依って異なり、継続的に把持用ループ902を三角の形状へ押すことであろう。コイル状ワイヤ1000は、例えばステント120(図示せず)の位置付け直し中/取り出し中に鉗子が適用された場合のより高くて定常な力に耐えることができる。コイル状ワイヤ1000を包含することにより、ステント120(図示せず)の配備後の回収が可能になる。
【0039】
図11は、図1のステントと一体に組み入れることのできる二重フィラメントループ1102を含む薄型結び目構造を示している。自由端141と142は、結び目1100が形成されるように一体に結ばれる。二重フィラメントループ1102は、把持用ループの強度を高める。結び目1100は、使用中、把持用ループ1002が例えば鉗子によって把持され引かれる場合に、解け難い薄型の結び目である。結び目1100が薄型であることと、結び目1100及び把持用ループ1102の構成とのおかげで、例えばステント120(図示せず)の取り出し又は位置付け直しが可能になる。結び目1100の或る特定の構成が示されているが、使用中に解け難いように設計される結び目1100の様々な変型を実施できることであろう。例えば、結び目1100は、「固め止め結び」又は「止め結び」であってもよいであろう。結び目1100を形成するのに使用される縫合糸(及び本明細書全体を通して開示されている縫合糸)は、UHMWPE(超高分子量ポリエチレン)、ポリエステル、ナイロン、ステンレス鋼、など、の様な各種材料から作ることができるであろう。しかしながら、好ましい縫合糸材料はUHMWPEであり、というのも、この材料はストランドが非常に緻密で、鉗子の切断行為に対する優れた耐性を有しているからである。
【0040】
二重フィラメントループ1102は、図12に示されている様にチューブ1200で覆われている。チューブには、PTFE、ポリウレタン、ポリイミド、ナイロン、コイル、金属編組強化ポリマー管材料、編組物、など、の様な各種材料を使用することができるであろう。チューブ1200は、鉗子(図比せず)の鋭利な先端を縫合糸から遮蔽することにより、鉗子の切断行為に対する耐性を提供する。チューブ1200の厚さは、好適には、0.003インチ(0.0762mm)より大きいが、厚さは、ステントの取り出し又は位置付け直しに使用される鉗子の鋭利さに依る。チューブ1200は、より認められ易くなるように視認性の高い色で提供されていてもよい。図12に示されている二重フィラメントループ1002を作成する1つの方法は、自由端141と142をチューブ1200に通し、次いで縫合糸材料を引き絞ってループ1102と結び目1100を作成するというものである。図12に示されている二重フィラメントループ1102を作成するもう1つの方法は、一方の自由端をチューブ1200に通し、次いで当該自由端をもう一回チューブ1200に通して輪にするというものである。次いで縫合糸を引き絞ってループ1102と結び目1100を作成する。
【0041】
図1に戻ると、内フィラメント140と外フィラメント130の編み合わせによって出来上がった構造が示されており、当該構造そのものはステント120の端110に付着されている。内フィラメント140は単独では如何なるループも作り出さない。そうではなく、内フィラメント140は、外フィラメント130の内ループ131を通して滑動可能に配置されたときに実質的に円の形状を成す。内フィラメント140は、ステント120の端部分110がステント120の配備、回収、及び/又は位置付け直しに続けて一杯まで展開することができるように十分な弛みを持たせて内ループ131を通して編み込まれている。換言すると、内フィラメント140が外フィラメント130の周りに編まれるときは、フィラメント130と140がステント120の端110を拘束し、その結果、端110が一杯まで展開して身体管腔に対して半径方向の力を働かせることが妨げられるほど、きつく編まれないのが好ましい。把持用部材(例えば鉗子)を用いて内フィラメント140を容易に引けるように、内フィラメント140は外フィラメント130よりも更に緩く滑動可能に配置されているのが好ましい。外フィラメント130は、更に、内フィラメント140から張力が取り除かれたときにステント120の端部分を拘束しないように構成されているのが好ましい。外フィラメント130は、更に、ステント120の端110が途中まで又は実質的に展開するとき(図2及び図3)に、冠部121に隣接する開口部122内で自由に動ける(図1)。外フィラメント130がその様に動けることで、同様に、外ループ132及び内ループ131は、内フィラメント140の自由端141と142の一方又は両方に掛けられた牽引力に応えてステント120の冠部121が縮小されてゆく際に、形状及び/又は各々の向きを変えることができる。しかしながら、以上に指摘されている様に、ステント120の端110の展開を拘束又は制限することが所望されているのなら、外フィラメントの長さ又はサイズを制限するのが望ましいであろう。
【0042】
縮小用構造100の作用についてこれより説明する。内フィラメント140を自由端141と142に沿って(図1で見ると紙面から現れる様に)引くか又は内フィラメント140の自由端141と142が結ばれて結び目199を形成しているところを引く。内フィラメント140の自由端141及び142に牽引力を掛けると、内フィラメント140が対応する内ループ131の頂点177(図1)のそれぞれを引き、内ループ131が内向きにステント120の中央ルーメン空間に向かって引き寄せられる。牽引力に応えて、内ループ131は、細くなり、冠部121から内フィラメント140が滑動可能に配置されている頂点177の内部領域までを測定した長さが長くなる。内フィラメント140が引き絞られてゆくと、内ループ131が牽引力を内フィラメント140から対応する外ループ132へ伝達する。換言すると、内ループ140は外フィラメント130の外ループを引っ張り、それにより、外ループ132が引き絞られ、半径方向内向きに動かされる。外ループ132は、それにより図1に示されている様に半径方向内向きに冠部121に寄せて引かれる。図1は、隣り合う冠部121が外ループ132によって内向きに引かれている、途中まで縮小された形態を示している。図1は、外ループ132が2つの隣り合う冠部121を一体に絞め付け、引き、その結果、隣り合う冠部121の間の間隔が図3に比べ減少していることを示している。この様にして、ステント120の端110の周りの外ループ132のそれぞれが、隣り合う冠部121を一体に絞め付け、引き、それにより、全ての冠部121を縮小し、更に端部分150の直径を縮小する。
【0043】
図4は、内フィラメント140の自由端141及び142に掛けられている牽引力が増し、冠部121が完全に縮小されたところを示している。図4は、内ループ131が図1に比べ更に細く長くなったことを示している。加えて、外ループ132は、内ループ131及び内フィラメント140から増大した牽引力を受けて幅が小さくなっている(即ち、幅は隣り合う冠部121の間のギャップに近似する)。内ループ131の頂点177は、ステント120の端110の周りと整列して、ステント120の円形の端110と実質的に同心の略円の形状を形成していることが示されている。換言すると、図4に一杯まで縮小された状態で示されている複数の冠部121は、実質的には、中央長手方向軸を横断して、冠部121によって画定されている円形のステント端110と内ループ131の頂点177によって形成されている形の両方を通って延びる、平面内に在る。
【0044】
上述の二フィラメント縮小用構造100を使用した場合の、冠部121を縮小し、端部分150の直径を縮小するのに要する力の量は、図7に示されるステントの端に付着されている一重の縫合糸を直接引っ張る場合に要する量より有意に小さくなる。力が小さくて済むのは、一部には、外フィラメント130の内ループ131を通して内フィラメント140を引く場合に発生する摩擦抵抗が、ステントの端に付着されている一重の縫合糸を直接引っ張る場合(図7)に比べ有意に低いことの結果であると考える。具体的には、内ループ131を通る内フィラメント140の経路は、ステント120の冠部121を通る外フィラメント130の経路よりも均一でうねりが少ない。
【0045】
以上に言及されている様に、縮小された冠部121は、図1及び図4に示されている様に、ステント120の端110と実質的に同心の円を形成することができ、冠部121のそれぞれはステント120の中央長手方向軸を横断する単一の平面内に納まっている。換言すると、図4の側面図から分かるであろうが、冠部121はどれも長手方向に他の冠部121より著しく高く突き出ていない。冠部121がその様に配列されることにより、ステント120を、身体管腔内での位置付け直し中又は身体管腔からの取り出し中に、冠部121の座屈や縺れの大きな潜在的可能性無しに、引けるようになる。加えて、冠部121のそれぞれを単一の横断平面内に存在させることで、ステント120の配備時には、ステント120の全ての冠部121をほぼ同時に導入器から押し出し解放させることができるので、ステントの導入器からの押し出しがやり易くなる。反対に、非均一な配列では、一部の冠部は他の冠部よりも更に深く縮小され、その結果、冠部のうち深く縮小されたほんの僅かだけが導入器からのステント押出及び解放時の力の殆どを受けてしまうことになり、すると冠部のうち幾つかが座屈又は変形を来してしまうかもしれない。それでもなお、一部の特定の用途にとっては非均一配列が有利な場合もある。
【0046】
冠部121の縺れも同様に、二フィラメント縮小用構造100はステント端に付着されている一重のフィラメントを直接引っ張る場合(図7)ほど深く冠部121を縮小させないために、回避できる。以上に論じられている様に、図4は、冠部121の一杯まで縮小された形態を示している。しかしながら、隣り合う冠部121の間には離隔距離又はギャップが依然として存在しており、それにより、冠部121が互いに重なり合ったり或いは十字に交差したりして縺れてしまうことが防止される。冠部121の縺れがあると、ステント120は新しい場所に位置付け直しされた後に再び展開することを妨げられる。加えて、冠部121を半径方向にステント120の中央長手方向軸に向かって縮小することができることで、患者への潜在的外傷を回避することができる。縺れた冠部は過って外に向かい体壁の組織を擦らないとも限らない。
【0047】
当業者には、冠部121の縮小の程度は、ステント端110の直径、冠部121の数、及び外フィラメント130の長さを含む、幾つかの要因の関数であることが理解されるはずである。例えば、ステント端110の縮小の程度は、外フィラメント130の長さを増加することにより、外フィラメント130を編む際に通す冠部121の数を減らすことにより、又は内フィラメント140を編む際に通す内ループ131の数を減らすことにより、小さくすることができる。
【0048】
内フィラメント140と外フィラメント130は、各種生体適合性材料から形成することができる。一例として、フィラメント130及び140は、当技術で知られている一般的な縫合糸材料で構成されていてもよい。使用することのできる縫合糸材料の1つの型式は、商業的に2−0Tevdek(登録商標)として知られている多フィラメントポリエステル縫合糸である。内フィラメント140と外フィラメント130の間の摩擦抵抗の低さも、同様に、各種縫合糸又は可撓性ワイヤの様な他の型式の非研磨性材料を使用することによって実現させることができる。内フィラメント140と外フィラメント130は、同様の材料から形成されていてもよいし、異なった材料から形成されていてもよい。内フィラメント140は、引かれるものであり、ひいては牽引により発生する力の殆どを受けるものであるため、一部の特定の用途には、外フィラメント130の引っ張り強さに比べより高い引っ張り強さを保有する材料から形成された内フィラメント140が適している。外フィラメント130は、内フィラメント140によって多数の点から引かれるものであるので、引っ張り強さの低い材料から形成することができる。
【0049】
以上に説明され、図1−図4に示されているパターンに加え、他の編み方のパターンが考えられる。例えば、図1は、外フィラメント130が冠部121のそれぞれを入ったり出たりしながら編まれていることを示しているが、外フィラメント130は、冠部121を1つおきに入ったり出たりしながら編み込まれていてもよい。概して言うと、外フィラメント130を編み込む際に通過させる冠部121の数が少ないほど、冠部121が半径方向内向きに縮小される量は小さくなる。冠部121の縮小が小さいということは、ステント120の端部分150の直径の縮小が小さいことに相当する。その様な構成は、冠部121を最大まで縮小することが必要でない一部の特定の用途には適している場合もある。また、更に別の設計上の変型では、内フィラメント140は、外フィラメント130の内ループ131のそれぞれを通して編まれていない場合もある。例えば、内フィラメント140は、内ループ140を1つおきに通して編まれていてもよいであろう。内フィラメント140の外フィラメント130に係わるその様な構成では、冠部121を縮小する範囲が制限される。概して言うと、他の設計要因は全て等しいままと仮定して、内フィラメント140を延ばす際に通過させる内ループ131の数が約半分に減れば(内ループ131が内ループ131を1つおきに通して編まれた場合がそうである)、冠部121は、内フィラメント140が内ループ131を1つ1つ通って編み込まれている場合の大凡半分の範囲までしか縮小されない。外フィラメント130を編み込む際に通過させる冠部121の厳密な数、及び内フィラメント140を編み込んで延ばす際に通過させる内ループ131の厳密な数は、少なくとも一部には、特定の用途につき冠部121をどの範囲まで縮小することが要求されているかに依る。
【0050】
外フィラメント130に要求される厳密な長さは、各々の編み込み方のパターンに依って異なるであろう。一例として、外フィラメント130が全ての冠部121を通して編み込まれる場合、外フィラメント140はステント120が一杯まで展開したときのステントの端110の周長よりも長くされていれば、展開したステント120の端110を拘束しない。内フィラメント140の長さは、一部には、内フィラメント140を延ばす際に通過させる内ループ131の数と、端110と(端110より向こう側に置かれている)結び目の離隔距離に依る。内フィラメント140の長さを外フィラメント130の長さより短くすることはできるが、内フィラメント140の端110より向こうの把持牽引用の領域(例えば結び目)にアクセスするのに適切な弛みを持たせるのに十分な長さであるのが好ましい。
【0051】
上述の縮小用構造100は、2本より多いフィラメントを備えていてもよい。例えば、二フィラメント縮小用構造100に第3のフィラメントを組み入れることもできる。図3を参照して、第3のフィラメント(図示せず)が、内フィラメント140のループを通して編み込まれてもよいであろう。第3のフィラメントは、三フィラメント縮小用構造の最も内側のフィラメントとなるはずである。第3のフィラメントは、ステント120の端110より向こうに延びる自由端に沿って引かれることになる。効果は、二フィラメント縮小用構造100に比べ、冠部121の縮小が小さくなることであろう。特定の縮小用構造に使用されるフィラメントの厳密な数は、少なくとも一部には、特定の処置につき要求される冠部121の縮小の程度に依る。
【0052】
実施形態はどれも自己展開式編組型ステント構造を示しているが、縮小用構造100は、例えばジグザグの支材を有するZステントの様な他のステント構造へ組み入れることもできる。企図されるステント構造がZステントである場合、外フィラメント130は、Zステントの一方の端のアイレットを通して延ばせばよいであろう。続いて、内フィラメント140を、アイレットを通って延びる外フィラメント130によって作り出されるループを通して編み込めばよい。
【0053】
縮小用構造100は、幾つもの異なった用途に利用することができる。例えば、縮小用構造100をステント120の端に固着させ、身体管腔からの取り出し又は身体管腔内での位置付け直しで回収部材を用いて内フィラメント140を把持させることもできる。
【0054】
外フィラメントと係合される内フィラメントについては、以上に説明されている配備されたステントの位置付け直しや取り出しに加え、他の用途も考えられる。例えば、図5は、ステント511の近位端510の外フィラメント又は輪縄502に係合させた内フィラメント501を備える縮小用構造500を示しており、ステントは展開した状態で示されている。縮小用構造500は、ステント511を送達システム(図示せず)の中へ装填する際に外側の輪縄502の配置を制御することができるであろう。図5は、内フィラメント501が外側の輪縄502の3つの内ループ503、504、及び505の周りに巻かれていることを示している。
【0055】
ステント511の送達システムへの装填時、内フィラメント501は、内フィラメント501の部分599に沿って、図6に示されている様に遠位方向に引かれる。部分599は、図6に示されている様に、ステント511の近位端510から遠位端へ延びている。牽引力は内ループ503、504、及び505に(図5の3本の矢印で示されている様に)伝わり、外側の輪縄502をステント511のルーメン590の中へ入ってゆかせる(図6)。ステント511が装填処置中に圧縮されて、外側の輪縄502がステント511のルーメンの中へ入ってしまえば(図6)、外シース(図示せず)をステント511の上から滑動式に配置して、ステント511を以降の送達と配備に備えて拘束させる。外側の輪縄502をルーメン590の中へ選択的に動かすことができることで、外シースにステント511の上を前進させる間又はステント502を(例えばステント511を漏斗構成要素を通して進ませることによって)送達システムの中へ装填する間の輪縄502に潜在的に起こり得る損傷から輪縄を保護することができる。外シースがステント511の上から滑動式に配置された後、内フィラメント501を切断し、ステント511及び送達システムから取り出す。外側の輪縄502は、ステントの近位端510に編まれたままで、ステント511をその配備後に位置付け直す及び/又は取り出すための手段として働く。
【0056】
図5は、内ループ503、504、及び505が、外側の輪縄502をステント511の冠部を通して編み込むことによって作り出されていることを示している。1つ目の内ループ503は、外側の輪縄502が冠部524の開口部の中と冠部525の開口部の中へ入ってゆくことで作り出されている。2つ目の内ループ504は、外側の輪縄502が冠部520の開口部の中と冠部521の開口部の中へ入ってゆくことで作り出されている。3つ目の内ループ505は、外側の輪縄502が、冠部519の開口部の中と冠部518の開口部の中へ入ってゆくことで作り出されている。ループ503、504、及び505それぞれのサイズは、少なくとも一部には、それぞれのループを形成する2つの冠部の間の間隔に依って決まる。この例では、図5は、各ループ503、504、及び505を形成する隣り合った冠部の間の距離は冠部約2つ分であることを示している。
【0057】
内フィラメント501が外側の輪縄502に3箇所で係合していることにより、外側の輪縄502をステント511のルーメン590内へ縮小するようになる(図6)。図6は、部分599が遠位方向に引かれるとで、内ループ503、504、及び505も同様に遠位方向にルーメン590の中へ引き込まれてゆくことを示している。内ループ503、504、及ぶ505は、牽引力を内フィラメント130から外側の輪縄502に伝達する。換言すると、内ループ503、504、及び505は、外側の輪縄502を引っ張り、それにより、外側の輪縄502は引き絞られて遠位方向内向きにステント511のルーメン590に向かって引き寄せられる。外側の輪縄502がルーメン590の中へ引き込まれることにより、冠部565が図6に示されている様に半径方向内向きに所定の量だけ縮小される。
【0058】
内フィラメント501を外側の輪縄502に内ループ503、504、及び505が位置している3箇所で係合させているおかげで、外側の輪縄502をルーメン590の中へ引き寄せることができる。外側の輪縄502のルーメン590内へのその様な縮小を実現する上で、外側の輪縄502は全ての冠部565を通して編まれないといけないわけではない。外側の輪縄502をステント500の近位端510に沿って冠部5651つ1つを通して編むことが要求されていないため、当該の外側の輪縄502は、外側の輪縄502が全ての冠部565を通して編まれている場合ほど大きい摩擦抵抗をステント500に対して発生させない。従って、内フィラメント501の部分599に沿った力の掛け具合は、図7の構成の外側輪縄700を引く又は引き寄せるのに要する力よりも小さくなるであろう。二フィラメントシステムとは対照的に、図7に示されている外側の輪縄一重の場合は、外側の輪縄をステントルーメン内へ適切に縮小させるには、少なくとも1つおきに冠部を通して編まれる必要がある。その様な構成では、外側の輪縄700をステントルーメン内へ縮小する場合、輪縄700がステントの端の周りの冠部を通して引かれる際に生じる高い摩擦抵抗のせいで、遥かに高い力が要求されることになろう。図5及び図6に示されている構成では、外側の輪縄502のステント511の近位端510に対する摩擦抵抗は低いため、ステント511の位置付け直しの処置中、ステント511は、配備されるなり内フィラメントから張力が取り除かれるなりすると、半径方向に展開できる。
【0059】
図5は、外側の輪縄の自由端が結ばれて結び目506を形成していることを示している。ステント511の近位端510を越えて延びる外側輪縄502部分が無いことで(把持用部分701を有する図7の輪縄700と対比させて)、ステント511を送達システムの中へ装填中に輪縄ループ502が過って損傷を受ける可能性は小さくなる。加えて、外側の輪縄502がステント511の近位端510を越えて延びる長さが短いと、輪縄502が過ってステント511の本体と本体ルーメンの間に挟まれたり、或いは、いざステント511を送達システムから解放し配備しようというときになってアクセスするのに困る様な送達システム内の別の意図せぬ場所に行ってしまったりする可能性が小さくなる。
【0060】
図5の構成は自己展開式又はバルーン展開式の何れを問わず各種のステント構造設計で使用できることが理解されるであろう。外側の輪縄に係合させ、そしてその後の装填処置又はシースによる再被覆処置時にステントの中へ引き寄せるための構造は、図5の構造に加え他の構造も考えられる。例えば、内フィラメントと外側の輪縄の間の係合箇所は3箇所より多くすることもできる。内フィラメントと外側の輪縄の間の係合箇所又は係合点が3つより多ければ、ステントが半径方向にその展開状態へ展開するために打ち勝たなくてはならない抵抗の量は更に小さくなる。
【0061】
以上の図及び開示は説明を目的とするものであって余すところなく示そうとするものではない。本記述は、当業者へ多くの変型及び修正を示唆することであろう。全てのその様な変型及び修正は、付随の特許請求の範囲による範囲内に網羅されるものとする。当技術に精通する者には、ここに記載されている特定の実施形態に対する他の等価物が認識され得ることであり、その様な等価物も同様に付随の特許請求の範囲によって網羅されるものとする。また、以上に記載されている利点は必ずしも本発明の唯一の利点というわけではなく、必ずしも記載の利点全てが本発明のどの実施形態でも実現されると期待されるわけではない。
【符号の説明】
【0062】
100 縮小用構造
110 ステント端
120 ステント
121 冠部
122 冠部の開口部
130 外フィラメント
131 内ループ
132 外ループ
135 結び目
140 内フィラメント
141、142 内フィラメントの端
150 ステントの端部分
177 内ループの頂点
199 結び目
201 ステントのルーメン空間
210、211、212 冠部
222、223、224 冠部の開口部
232 外ループ部分
233 内ループ部分
301、302、303、304 内ループ
305 輪縄
350 ステント端を越えて延びる内フィラメントの一箇所
500 縮小用構造
501 内フィラメント
502 輪縄
503、504、505 内ループ
506 結び目
510 ステントの近位端
511 ステント
518、519、520、521、524、525、565 冠部
590 ステントのルーメン
599 内フィラメントの部分
700 輪縄
701 把持用部分
800 第1結び目
802 第2結び目
804 把持用ループ
806 第1縫合糸部分
808 第2縫合糸部分
810 第1チューブ
812 第2チューブ
814 ニチノールワイヤ
900 結び目
902 把持用ループ
1000 コイル状ワイヤ
1002 チューブ
1004 熱収縮部
1100 結び目
1102 二重フィラメントループ
1200 チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステントの取り出し又は位置付け直しのためのステント縮小用要素において、
ステント端の周りに延在する複数の冠部を通して編み込まれている第1フィラメントであって、前記複数の冠部を通して編み込むことによって前記ステント端の周りに配置される複数のループが作り出されている、第1フィラメントと、
前記第1フィラメントの前記複数のループの少なくとも一部を通して編み込まれている第2フィラメントであって、当該第2フィラメントを引くと前記第1フィラメントの前記ループが半径方向内向きに引かれ、それにより前記複数の冠部が互いに向かって引かれて前記ステント端を縮小させるように構成されている第2フィラメントと、を備えているステント縮小用要素。
【請求項2】
前記複数のループは、第1の複数の内ループと第2の複数の外ループを交互に備えている、請求項1に記載のステント縮小用要素。
【請求項3】
前記第1の複数の内ループのそれぞれは、前記ステントのルーメン内に配置されていて、前記第1フィラメントが前記ステントルーメン内の対応する1つ目の冠部の内部開口部の中へ延び、その後、対応する2つ目の冠部の内部開口部を通って当該ステントルーメンから外へ出ることによって作り出されている、請求項2に記載のステント縮小用要素。
【請求項4】
前記第2の複数の外ループのそれぞれは、前記ステント端より外に配置されており、前記第1フィラメントが前記対応する2つ目の冠部から前記ステントの外へ現れ、その後、対応する3つ目の冠部の内部開口部を通って前記ステントルーメンの中へ入ることによって作り出されている、請求項3に記載のステント縮小用要素。
【請求項5】
前記第1フィラメントの前記第2の複数の外ループのそれぞれは、隣り合う冠部に対して半径方向内向きの力を働かせて前記ステント端の直径を収縮させる、請求項2に記載のステント縮小用要素。
【請求項6】
前記第1フィラメントは、展開した状態の前記ステント端の周長よりも長い長さであって、前記ステント端を前記展開状態へ実質的に一杯まで展開させるのに十分とされる長さを備えている、請求項1に記載のステント縮小用要素。
【請求項7】
前記第1フィラメントは、前記ステント端の周りに延在する前記複数の冠部のそれぞれを通して編み込まれている、請求項1に記載のステント縮小用要素。
【請求項8】
前記第2フィラメントは、一体に結ばれて結び目を形成する第1自由端と第2自由端を更に備えている、請求項1に記載のステント縮小用要素。
【請求項9】
前記第2フィラメントは、一体に結ばれて結び目と把持用ループを形成する第1自由端と第2自由端を更に備えている、請求項1に記載のステント縮小用要素。
【請求項10】
前記把持用ループの周りに配置されているコイル状のワイヤと、当該コイル状のワイヤ及び前記把持用ループを覆うチューブと、を更に備えている、請求項9に記載のステント縮小用要素。
【請求項11】
前記第2フィラメントは、一体に結ばれて第1の結び目と第2の結び目を形成する第1自由端と第2自由端を更に備えており、前記第1の結び目と前記第2の結び目は把持用ループを形成している、請求項1に記載のステント縮小用要素。
【請求項12】
前記把持用ループを覆うチューブを更に備えている、請求項11に記載のステント縮小用要素。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図8A】
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【図9】
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【図9A】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2013−517912(P2013−517912A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551341(P2012−551341)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2011/022987
【国際公開番号】WO2011/094586
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(511152957)クック メディカル テクノロジーズ エルエルシー (76)
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
【Fターム(参考)】