説明

ステントデリバリーシステム

ステントデリバリーシステム(100)は、ステントの近位端に配設された第1のコネクタ(108)を有するステント(104)と、プッシャーワイヤの遠位端に配設された第2のコネクタを有するプッシャーワイヤ(106)とを具え、第1と第2のコネクタが互いに解放可能に連結するよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、一般に体腔内にステントを搬送するための器具に関する。
【背景技術】
【0002】
ステント、グラフト、ステント−グラフト、大静脈フィルタ、および以下でステントと総称される類似の植込み可能な医療器具は、径方向へ拡張可能な人工器官であり、これは通常体腔内に経皮的に挿入された後に、経管的に植込まれ径方向に拡張可能な血管内インプラントである。ステントは、血管系、尿管、胆管などの様々な体内管腔や体内管に植込むことができる。ステントは、体内管を補強し、血管系における血管形成術後の再狭窄を防止するために用いることができる。それらには、自己拡張型、機械的拡張型、あるいはハイブリッド拡張型がある。
【0003】
ステントは、体内管腔の中に挿入するほぼ管状の器具である。しかしながら、ステントは様々なサイズや形状で提供することができることに留意されたい。バルーン拡張型ステントは、バルーンに取り付け、バルーンを配置し、膨張させてステントを径方向で外向きに拡張する必要がある。自己拡張型ステントは、バルーンの支援を必要とすることなく、拘束状態が解除されたときに所定位置で拡張する。自己拡張型ステントは、搬送カテーテルから解放されると拡張するように付勢されるか、および/または所定の条件に晒されるとステントを拡張させる形状記憶成分を含む。一部のステントは、自己拡張型およびバルーン拡張型の双方の特徴を持つハイブリッド型ステントとして位置づけられている。
【0004】
ステントは、ステンレス鋼、エルジロイ、ニッケル、チタン、ニチノール、形状記憶ポリマーなどの様々な材料から構成することができる。ステントはさらに、様々な方法で形成することができる。例えば、ステント材料の管あるいはシートをステントパターンにエッチングあるいは切断することによってステントを形成することができる。ステント材料のシートは、所望のステントパターンに従って切断あるいはエッチングし、その上でシートを巻くかもしくは他の方法で所望のほぼ管状のステント、分岐したステント、あるいは他の形状のステントに形成することができる。ステント材料の1以上のワイヤあるいはリボンを織ったり、編んだりあるいは他の方法で所望の形状およびパターンに形成してもよい。編組ステントの編組の密度は、1インチ当たりの数で測定される。ステントは、溶接、接着あるいは他の方法で互いに連結する成分を含むことができる。
【0005】
自己拡張型ステントは、いわゆる「最小侵襲技術」によって血管や他の体内管腔の狭窄や動脈瘤の部位に植込まれ、ここでステントが径方向で内向きに縮められ、患者の皮膚を介してあるいは治療すべき血管が外科的手段に晒されない「カットダウン(cut down)」技術によって必要な部位にカテーテルによって搬送される。このような技術では、その遠位端が植込み部位に達するまでマイクロカテーテルが血管系の中を縫うように進む。次いで縮められたステントがマイクロカテーテルの近位端に挿入され、プッシャーワイヤを用いてその遠位端までマイクロカテーテルの中を押し進められる。ステントが正しい位置に配置されると、ステントがマイクロカテーテルの外へ押し出され(すなわちシースから抜かれ)、血管の所定の径まで拡張させられる。
【0006】
現在のステントデリバリーシステムで認識されている問題は、約50〜80%だけ部分的にシースから抜いたステントをシースで再被覆することができないというものである。認識されている問題はさらに、プッシャーワイヤの遠位端とステントの近位端との間の接合部における安定性の欠如を含んでいる。別の認識されている問題は、ステントがマイクロカテーテルの中を押し進められるときに編組ステントの近位端と遠位端との双方において個々の編組ワイヤがマイクロカテーテルの壁の中に広がり易いということである。さらに、認識されている問題は、ステントがマイクロカテーテルの中で押し進められる搬送中にステントが径方向に拡張するということである。最後の2つの認識されている問題では、ステントがマイクロカテーテルの中で押し進められる際に摩擦抵抗が増加してしまう。
【発明の概要】
【0007】
一実施形態では、ステントデリバリーシステムがステントの近位端に配設された第1のコネクタを有するステントと、プッシャーワイヤの遠位端に配設された第2のコネクタを有するプッシャーワイヤとを具え、第1と第2のコネクタが互いに解放可能に連結するよう構成されている。デリバリーシステムはさらにカテーテルを具えることができ、プッシャーワイヤはカテーテルの管腔の中で同軸に配設される。
【0008】
幾つかの実施形態では、第1と第2のコネクタが、部分的にシースから抜いたステントを互いに分離せずにシースで再被覆するのに十分な力を伝達するよう構成されている。
【0009】
幾つかの実施形態では、第1のコネクタがループであり、第2のコネクタが突部を具え、ループが突部の近位側にあることにより、プッシャーワイヤがステントに対して近位側に引っ張られるとき、突部がループを引っ張り、該ループが次にステントを近位側に引っ張る。
【0010】
幾つかの実施形態では、第1のコネクタが湾曲したワイヤとすることができ、第2のコネクタが湾曲したワイヤの形状に近い形状を規定する空洞を具え、湾曲したワイヤが径方向で内向きに付勢されることにより、湾曲したワイヤが空洞の中に付勢され、プッシャーワイヤが近位側に引っ張られると、空洞の壁が湾曲したワイヤを引っ張り、該湾曲したワイヤが次にステントを近位側に引っ張る。
【0011】
幾つかの実施形態では、第1のコネクタが平らな素子を具え、第2のコネクタが湾曲したワイヤの形状に近い形状を規定する空洞を具え、平らな素子が径方向で内向きに付勢されることにより、平らな素子が空洞の中に付勢され、プッシャーワイヤが近位側に引っ張られると、空洞の壁が平らな素子を引っ張り、該平らな素子が次にステントを近位側に引っ張る。
【0012】
幾つかの実施形態では、プッシャーワイヤがプッシャーワイヤに配設された近位側バンパーと、近位側バンパーの遠位側のプッシャーワイヤに配設された再被覆用バンパーと、再被覆用バンパーの遠位側のプッシャーワイヤに配設された中央バンパーと、中央バンパーの遠位側のプッシャーワイヤに配設された遠位側バンパーとを具える。このような実施形態では、ステントを近位側バンパーと遠位側バンパーとの間のプッシャーワイヤに配設することができ、第1のコネクタが移動止めを具え、第2のコネクタが近位側バンパーと再被覆用バンパーとのそれぞれによって規定された切欠き部を具える。幾つかのこのような実施形態では、移動止めが切欠き部に配設されることにより、プッシャーワイヤが近位側に引っ張られると、再被覆用バンパーが移動止めを引っ張り、該移動止めが次にステントを近位側に引っ張る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
ここで同一の参照符号が全体を通して対応する部分を表す図面を参照する。
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るステントデリバリーシステムの長手方向の断面図であり、システムの一部が挿入図で拡大されている。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係るステントの長手方向の断面図であり、ステントの一部が挿入図で拡大されている。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る2つのコネクタの詳細な側面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係るステント/プッシャーの接合部の詳細な長手方向の断面図である。
【図5】図5は、図4のライン5−5を通る詳細な断面図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態に係る2つのコネクタの詳細な側面図である。
【図7】図7Aおよび図7Bは、図6のライン7A−7Aおよびライン7B−7Bをそれぞれ通る詳細な断面図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態に係るステント/プッシャーワイヤの接合部の詳細な長手方向の断面図である。
【図9】図9は、図8のライン9−9を通る詳細な断面図である。
【図10】図10は、本発明の一実施形態に係るステントの2つの長手方向の断面図である。
【図11】図11は、図10のライン11−11を通る詳細な断面図である。
【図12】図12は、本発明の一実施形態に係るプッシャーワイヤの詳細な長手方向の断面図である。
【図13】図13は、本発明の一実施形態に係るステント/プッシャーワイヤの接合部の詳細な長手方向の断面図である。
【図14】図14は、本発明の一実施形態に係るステント/プッシャーワイヤの接合部の詳細な側面斜視図であり、ここでは明瞭にするためにカテーテルが切り取られている。
【図15】図15は、本発明の一実施形態に係るステント/プッシャーワイヤの接合部の詳細な側面斜視図であり、ここでは明瞭にするためにカテーテルが切り取られている。
【図16】図16は、本発明の様々な実施形態に係るステント/プッシャーワイヤの接合部の長手方向の断面図である。
【図17】図17は、本発明の様々な実施形態に係るステント/プッシャーワイヤの接合部の長手方向の断面図である。
【図18】図18は、本発明の様々な実施形態に係るステント/プッシャーワイヤの接合部の長手方向の断面図である。
【図19】図19は、本発明の様々な実施形態に係るステント/プッシャーワイヤの接合部の長手方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係るステントデリバリーシステム100を示している。ステントデリバリーシステム100は、カテーテル102と、ステント104と、プッシャーワイヤ106とを有する。図1の挿入図で分かるように、ステント104の近位端はループ108で終わり、プッシャーワイヤ106はループ108の近くに配設された側方の突部110を具える。ループ108および突部110は、ステント104とプッシャーワイヤ106とを解放可能に連結する2つのコネクタである。プッシャーワイヤ106は、図1に示すように、ステント104の中に延在することができ、あるいはプッシャーワイヤ106はステント104の近位端で終わることができる。
【0015】
ステント104は、金属材料および非金属材料で作製することができる。金属材料は、限定しないが、ニチノールと、ステンレス鋼と、エルジロイなどのコバルトベースの合金と、プラチナと、金と、チタンと、タンタルと、ニオビウムと、これらの組み合わせと、他の生体適合材料と、さらに高分子材料とを含む。金属ステント材料は、タンタル、金、プラチナ、イリジウムあるいはこれらの組み合わせの内核と、ニチノールの外側部材あるいは外層とを有し、放射線不透過性あるいは視認性を改良した複合フィラメントを提供することができる。非金属材料は、限定しないが、ポリエチレンテレフタラート(PET)ポリエステルなどのポリエステルと、ポリプロピレンと、ポリエチレンと、ポリウレタンと、ポリオレフィンと、ポリビニルと、ポリメチルアセテートと、ポリアミドと、ナフタレンジカルボキシレン誘導体と、天然絹糸と、ポリテトラフルオロエチレンとを含む。非金属材料はさらに、炭素と、ガラスと、セラミックスとを含む。記憶材料、例えばニチノールで作製されたステント104は、付勢されてフィラメント材料の記憶特性により拡張した形態を取ることができるであろう。編組ステントでは、ステント104の近位端の伸ばした編組フィラメント112を熱処理することによってループ108を形成することができる。あるいは、ループ108は予め形成してステント104に接着してもよい。
【0016】
カテーテル102は、任意の適切な生体適合材料で作製してテフロン(登録商標)のような低摩擦材料で裏打ちすることができる。プッシャーワイヤ106は、ハイポチューブあるいはソリッドワイヤーで作製することができる。突部110は、予め形成してプッシャーワイヤ106に接着することができる。代替実施形態では、カテーテル102と、ステント104およびプッシャーワイヤ106との間にシースを形成する第2のカテーテル(図示せず)を具える。
【0017】
図1の挿入図は、ループ108が突部110の近位側、すなわち本願の図面の左側にあることを示している。突部110は、カテーテル102の管腔114にぴったり嵌っているため、近位側でループ108に隣接する。プッシャーワイヤ106が近位側に引っ張られると、突部110がループ108を近位側に引っ張り、該ループが次にステント104を近位側に引っ張る。突部110はさらに、カテーテル102の管腔114にぴったり嵌っていることによりステント104の内側に径方向で隣接する。プッシャーワイヤ106が遠位側に押し進められると、本書に記載したバンパーのように側方の突部110がカテーテル102の中で遠位側にステント104を押し進める。
【0018】
カテーテル102により作成された接合部116と、ループ108と、突部110とは、部分的にシースから抜かれたステント104を引っ張ってステント104が配置されたところからカテーテル102の中に戻すのに十分な強さを有している。例えば、図1は約50%配置されたステント104を示している。プッシャーワイヤ106を近位側に引っ張ると、ステント104を引っ張ってカテーテル102の中に戻し、ステント104を径方向に折り畳むであろう。
【0019】
一旦自己拡張型ステント104がカテーテル102の外へ押し出されると、図2に示すように、ステントが十分に拡張する。一旦ステント104が拡張すると、ループ108はもはや突部110に隣接しない。次いでプッシャーワイヤ106とカテーテル102とを近位側に引っ込めることができ、血管系のその挿入ポイントにステント104を残すことができる。
【0020】
図3〜図5は、本発明の別の実施形態に係るステントデリバリーシステム100を示している。この実施形態では、複数のコネクタが、ステント104に接続した湾曲したワイヤ118と、プッシャーワイヤ106の外側面の空洞120とからなる。湾曲したワイヤ118は、波のように形成され、上述したようにステント104の伸ばした編組フィラメント112を熱処理することによって形成することができる。あるいは、湾曲したワイヤ118は予め形成してステント104に接着してもよい。空洞120は、プッシャーワイヤ106を形成するハイポチューブの側面にエッチングすることができる。
【0021】
伸ばした編組フィラメント112および湾曲したワイヤ118は、図5に示すように、径方向で中央に付勢される。この付勢により、ステント104がプッシャーワイヤ106の周りに縮められたときに空洞120の中に湾曲したワイヤ118を押し込む。管腔114は、縮められたステント104とプッシャーワイヤ106とにぴったり嵌る。したがって、湾曲したワイヤ118が図4および図5に示すように空洞120の中に促されると、ステント104とプッシャーワイヤ106とが解放可能に連結してカテーテル102の長手軸に沿って一体となって動く。具体的には、プッシャーワイヤ106が近位側に引っ張られると、空洞120の遠位面122が湾曲したワイヤ118に隣接しており、湾曲したワイヤ118と該ワイヤに取り付けたステント104とを近位方向に引っ張る。一旦ステント104が完全にカテーテル102を出ると、ステント104が拡張し、湾曲したワイヤ118が空洞120を出て、配置されたステント104をプッシャーワイヤ106から分離する。
【0022】
図6〜図9は、本発明のさらに別の実施形態に係るステントデリバリーシステム100を示している。この実施形態では、複数のコネクタが、平らな素子124と、プッシャーワイヤ106の外側面の空洞120とからなる。平らな素子124は、図7Aに示すように、卵形の断面を有し、ステント104の伸ばした編組フィラメント112を平らにすることによって形成することができる。あるいは、平らな素子124は予め形成してステント104に接着してもよい。空洞120は、プッシャーワイヤ106を形成するハイポチューブの側面にエッチングすることができる。
【0023】
伸ばした編組フィラメント112および平らな素子124は、図9に示すように、径方向で中央に付勢される。この付勢により、ステント104がプッシャーワイヤ106の周りに縮められたときに空洞120の中に平らな素子124を押し込む。管腔114は、縮められたステント104とプッシャーワイヤ106とにぴったり嵌る。したがって、平らな素子124が図8および図9に示すように空洞120の中に促されると、ステント104とプッシャーワイヤ106とが解放可能に連結してカテーテル102の長手軸に沿って一体となって動く。具体的には、プッシャーワイヤ106が近位側に引っ張られると、空洞120の遠位面122が平らな素子124に隣接して平らな素子124と該平らな素子に取り付けたステント104とを近位方向に引っ張る。一旦ステント104が完全にカテーテル102を出ると、ステント104が拡張し、平らな素子124が空洞120を出て、配置されたステント104をプッシャーワイヤ106から分離する。
【0024】
図10〜図13は、本発明のさらに別の実施形態に係るステントデリバリーシステム100を示している。この実施形態では、複数のコネクタが、複数の移動止め126と、プッシャーワイヤ106の外側面から延在するバンパーにより形成された円形の切欠き部128とからなる。移動止め126は、ステント104の伸ばした編組フィラメント112の端部に、プラチナの切り取り試片あるいは他のマーカーをクリップで留めることによって形成することができる。あるいは、移動止め126は伸ばした編組フィラメント112の端部を成形することによって予め形成してもよい。バンパーは、ポリウレタンまたはシリコンといった柔らかく変形可能なプラスチックで作製したチューブ状の径方向の突部であり、プッシャーワイヤ106を形成するハイポチューブの側面に接着することができる。ステントを押すかあるいは引っ張る一部の(近位側および再被覆用)バンパーは、コイル、リングあるいは短いチューブの形態の金属材料で作製することができ、プッシャーワイヤ106に取り付けられる。
【0025】
この実施形態は、4つのバンパー:近位側バンパー130と、再被覆用バンパー132と、中央バンパー134と、遠位側バンパー136とを有する。他の実施形態は、複数の中央バンパー134を有する。ステント104がプッシャーワイヤ106に装填されたとき、近位側バンパー130が移動止め126の近位側にあり、再被覆用バンパー132が移動止め126の遠位側にある。近位側バンパー130および再被覆用バンパー132は、ステント104がプッシャーワイヤ106に装填されたときに移動止め126を収容する切欠き部128を形成する。中央バンパー134はステント104の中央に接触し、遠位側バンパー136はステント104の遠位側にある。ステント104がプッシャーワイヤ106に装填されたとき、バンパー130,132,134,136の全てがステント104あるいは移動止め126と接触する。接触を増やしたことにより、挿入および配置中のステント104を十分に制御することができる。
【0026】
伸ばした編組フィラメント112および移動止め126は、図11に示すように、径方向で中央に付勢される。この付勢により、ステント104がプッシャーワイヤ106の周りに縮められたときに切欠き部128の中に移動止め126を押し込む。管腔114は、縮められたステント104とプッシャーワイヤ106とにぴったり嵌る。したがって、移動止め126が図13に示すように切欠き部128の中に促されると、ステント104とプッシャーワイヤ106とが解放可能に連結してカテーテル102の長手軸に沿って一体となって動く。具体的には、プッシャーワイヤ106が近位側に引っ張られると、再被覆用バンパー132が移動止め126に隣接して移動止め126と該移動止めに取り付けたステント104とを近位方向に引っ張る。一旦ステント104が完全にカテーテル102を出ると、ステント104が拡張し、移動止め126が切欠き部128を出て、配置されたステント104をプッシャーワイヤ106から分離する。
【0027】
図14〜図15は、本発明のさらに別の実施形態に係るステントデリバリーシステム100を示している。この実施形態では、プッシャーワイヤ106がその遠位端に配設された漏斗状のバンパー140を有し、かつプッシャーワイヤ管腔142を規定するハイポチューブ138を具える。プッシャーワイヤ106はさらに、プッシャーワイヤ管腔142に配設され、かつ自身に配設された中央バンパー146を有するコアワイヤ144を具える。中央バンパー146はその側面がゴブレットのように形成され、中央バンパー146の中央に窪み148を具える。プッシャーワイヤ106はさらに、プッシャーワイヤ管腔142から遠位方向に延在する一対の鉗子状のホルダ150を具える。ホルダ150はニチノールのような形状記憶材料で作製されており、ホルダ150がカテーテル102の中に挿入されて拘束されない場合、あるいはホルダ150が漏斗状のバンパ140の中へ近位側に引っ張られることによって閉じるよう促されない場合、開放位置に付勢される。
【0028】
ホルダ150が閉じると、それらは中央バンパー146のくぼみ148を取り囲む。ステント104は、ホルダ150と中央バンパー146との間でステント104の近位端を縫うように進ませることによってプッシャーワイヤ106に装填される。次いで、ホルダ150が窪み148を取り囲んでステント104を中央バンパー146に保持するまで、ホルダ150とコアワイヤ144とがプッシャーワイヤ管腔142の中へ近位側に引っ張られる。プッシャーワイヤ管腔142は中央バンパー146を取り囲んだホルダ150の断面積より小さいため、ホルダ150も中央バンパー146もプッシャーワイヤ管腔142の中へ近位側に引っ張ることができる。ホルダ150がステント104と中央バンパー146とを取り囲むと、ステント104とプッシャーワイヤ106とが解放可能に連結してカテーテル102の長手軸に沿って一体となって動く。具体的には、プッシャーワイヤ106が近位側に引っ張られると、ホルダ150と中央バンパー146とがステント104を近位方向に引っ張る。一旦ステント104が完全にカテーテル102を出ると、ホルダ150が拡張して配置されたステント104が図15のようにプッシャーワイヤ106から分離される。
【0029】
代替実施形態では、コアワイヤ144とプッシャーワイヤ管腔142とが相対的に動かない。実際に、プッシャーワイヤ106をプッシャーワイヤ管腔142がないソリッドワイヤーあるいはコアワイヤ144とすることができる。この実施形態では、マイクロカテーテル102の内側のホルダ150の変形により窪み148の周りでホルダ150を閉じ、ステント104を中央バンパー146に保持する。一旦ホルダ150がマイクロカテーテル102を出ると、ホルダ150が解放してステント104を配置する。
【0030】
図16および図17は、本発明の別の実施形態を示しており、ここではステント104がプッシャーワイヤ106に固定された1つあるいは2つのカップ152を具えたプッシャーワイヤ106に保持される。2つのカップを用いる場合、それらの開口部154が互いに対向するようにカップ152が構成される。カップ152は予め形成され、次いでプッシャーワイヤ106に接着される。縮められたステント104がプッシャーワイヤ106に装填され、ステント104の各端部がカップ152に保持される。ステント104がカテーテル102の中にある限り、ステントは拡張を妨げられ、その縮められた形状に留まる。この形態では、カップ152がプッシャーワイヤ106に加えられたあらゆる力をステント104に伝達することにより、ステントがカテーテル102の長手軸に沿って動くことができる。ステント104がカテーテル102を出ると、ステント104は径方向に拡張して図17に示すように長手軸に沿って縮む。ステント104の両端部がそれらのそれぞれのカップ152の外へ拡張して縮んだ場合、カテーテル102とプッシャーワイヤ106とを近位側に取り除くことができる。
【0031】
図18および図19は、本発明のさらに別の実施形態を示しており、ここではステント104がシース156に完全に収容される。プッシャーワイヤ106に取り付けられた近位側バンパー158と中央バンパー160とにより、ステント104が所定の位置に保持される一方で、シース156とカテーテル102とが近位側に引っ込められて図19のようにステント104を晒す。プッシャーワイヤ106を静止状態に保ちながらシース156を引っ込める前にステントがカテーテル102の外部に押し出される。シース156が依然として中央バンパー160に重なっている限り、ステント104は解放されていないのでカテーテル102の中に引き戻すことができる。一旦シース156が近位側バンパー158の近位側へ十分に引っ込められると、ステント104をシースで再被覆することはできない。シース156およびカテーテル102の双方が近位側バンパー158の近位側に引っ込められた場合、ステント104がその配置サイズまで径方向に拡張するであろう。近位側バンパー158は予め形成され、次いでプッシャーワイヤ106に接着される。中央バンパー160は、ポリウレタンまたはシリコンといった柔らかく変形可能なプラスチックで作製したチューブ状の径方向の突部であり、プッシャーワイヤ106を形成するハイポチューブの側面に接着することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステントデリバリーシステムであって、
ステントの近位端に配設された第1のコネクタを有するステントと、
プッシャーワイヤの遠位端に配設された第2のコネクタを有するプッシャーワイヤとを具え、前記第1と第2のコネクタが互いに解放可能に連結するよう構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記第1のコネクタがループを具え、前記第2のコネクタが突部を具えることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムにおいて、前記ループが前記突部の近位側にあることにより、前記プッシャーワイヤが前記ステントに対して近位側に引っ張られるとき、前記突部が前記ループを引っ張り、該ループが次に前記ステントを近位側に引っ張ることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記第1のコネクタが湾曲したワイヤを具え、前記第2のコネクタが前記湾曲したワイヤの形状に近い形状を規定する空洞を具え、前記湾曲したワイヤが径方向で内向きに付勢されることにより、前記湾曲したワイヤが前記空洞の中に付勢され、前記プッシャーワイヤが近位側に引っ張られたときに前記空洞の壁が前記湾曲したワイヤを引っ張り、該ワイヤが次に前記ステントを近位側に引っ張ることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記第1のコネクタが平らな素子を具え、前記第2のコネクタが前記平らな素子の形状に近い形状を規定する空洞を具えることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムにおいて、前記平らな素子が前記空洞の中に径方向で内向きに付勢されることにより、前記プッシャーワイヤが近位側に引っ張られたときに前記空洞の壁が前記平らな素子を引っ張り、該平らな素子が次に前記ステントを近位側に引っ張ることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載のシステムにおいて、前記プッシャーワイヤがさらに、
前記プッシャーワイヤに配設された近位側バンパーと、
前記近位側バンパーの遠位側のプッシャーワイヤに配設された再被覆用バンパーと、
前記再被覆用バンパーの遠位側のプッシャーワイヤに配設された中央バンパーと、
前記中央バンパーの遠位側のプッシャーワイヤに配設された遠位側バンパーとを具え、前記ステントが前記近位側バンパーと前記遠位側バンパーとの間の前記プッシャーワイヤに配設され、
前記第1のコネクタが移動止めを具え、前記第2のコネクタが前記近位側バンパーと再被覆用バンパーとのそれぞれによって規定された切欠き部を具えることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムにおいて、前記移動止めが前記切欠き部に配設されることにより、前記プッシャーワイヤが近位側に引っ張られると、前記再被覆用バンパーが移動止めを引っ張り、該移動止めが次に前記ステントを近位側に引っ張ることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載のシステムにおいて、前記第1と第2のコネクタが、部分的にシースから抜いたステントを互いに分離せずにシースで再被覆するのに十分な力を伝達するよう構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項10】
ステントデリバリーシステムであって、
プッシャーワイヤを具え、該プッシャーワイヤが、
プッシャーワイヤ管腔を有する管状体と、
前記プッシャーワイヤ管腔に配設された細長い本体と、
前記管状体の遠位端に配設された漏斗状のバンパーと、
前記細長い本体に配設された一対のホルダと、
前記一対のホルダの遠位側の前記細長い本体に配設された中央バンパーとを具え、前記一対のホルダーが、前記中央バンパーを取り囲み、かつ前記細長い本体が近位側の管状体の中に近位側へ引っ張られるときにステントを前記中央バンパーに固定するよう構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムがさらに、近位端と、遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間に延在するカテーテル管腔とを有するカテーテルを具え、前記プッシャーワイヤが前記カテーテルの管腔の中で同軸に配設され、
前記一対のホルダが、縮められない場合、開放位置に付勢されることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項10に記載のシステムにおいて、前記漏斗状のバンパーの開口部が、前記中央バンパーを取り囲んだときの前記一対のホルダの断面積より小さいことを特徴とするシステム。
【請求項13】
ステントデリバリーシステムであって、
自身に配設された2つのカップを有するプッシャーワイヤを具え、前記2つのカップのそれぞれの開口部が互いに対向し、前記2つのカップが該2つのカップの間のプッシャーワイヤにステントを保持するよう構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のステントデリバリーシステムがさらに、近位端と、遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間に延在する管腔とを有するカテーテルを具えることを特徴とするシステム。
【請求項15】
ステントデリバリーシステムであって、
ステント管腔を規定するステントと、
前記ステントを収容するよう構成されたシース管腔を規定するシースと、
前記ステント管腔に少なくとも部分的に配置されたプッシャーワイヤとを具え、前記プッシャーワイヤが自身に配設された近位側バンパーと中央バンパーとをそれぞれ有し、前記中央バンパーが前記近位側バンパーの遠位側に配設され、前記近位側バンパーが前記シースの外へ前記ステントを配置するよう構成され、前記中央バンパーが部分的に配置されたステントを前記シースの中に引っ込めるよう構成され、
さらにデリバリーカテーテルを具え、前記シースが前記デリバリーカテーテルの管腔に摺動自在に配設されることを特徴とするシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2013−500792(P2013−500792A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523102(P2012−523102)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/043984
【国際公開番号】WO2011/014814
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(595148888)ストライカー コーポレイション (52)
【氏名又は名称原語表記】STRYKER CORPORATION
【出願人】(511087006)ストライカー エヌヴイ オペレイションズ リミテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】STRYKER NV OPERATIONS LTD.
【Fターム(参考)】