ステータコイル及びコアの加熱装置および加熱方法
【課題】ステータコイルへの通電を行わなくても、高周波誘導加熱方式により、コアの局部的な加熱による温度上昇を防止でき、かつステータコイルとコアとを均一に加熱することができるステータコイル及びコアの加熱装置および加熱方法を提供する。
【解決手段】環状コアFの内周側にステータコイルLが巻装されたステータMの中空部Maに、高周波誘導加熱用コイルヘッド33が挿入され、前記ステータコイル及びコアを高周波誘導加熱する装置である。この装置は、前記コアFと同軸上に位置して該コアFの厚さ方向の両外側にそれぞれ配置され、前記コイルヘッド33から発生する磁束が前記コアFの外周部Faに及ぶのを阻止する筒形遮蔽体36を備えている。
【解決手段】環状コアFの内周側にステータコイルLが巻装されたステータMの中空部Maに、高周波誘導加熱用コイルヘッド33が挿入され、前記ステータコイル及びコアを高周波誘導加熱する装置である。この装置は、前記コアFと同軸上に位置して該コアFの厚さ方向の両外側にそれぞれ配置され、前記コイルヘッド33から発生する磁束が前記コアFの外周部Faに及ぶのを阻止する筒形遮蔽体36を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車用発電機などに使用されるステータのコイル及びコアを、ワニス含浸工程等に先立って加熱する加熱装置および加熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種のステータを製造する場合、環状コアの内周側に巻装されたステータコイルにワニスを含浸させたり、樹脂モールドされるが、このワニス含浸工程あるいは樹脂モールドに先立って、ステータコイル及びコアを加熱する必要がある。
【0003】
従来では、ワニス含浸あるいは樹脂モールドに先立って、ステータを加熱炉内に入れてステータコイル全体を加熱していた。
【0004】
ところが、上記した従来では、作業者がステータを加熱炉に挿入し、加熱後にステータを加熱炉から取り出して次工程に送らなければならず、作業効率が悪く、加熱時間も長い。従って、その分、使用電力量も大きくなる。
【0005】
また、所定温度まで加熱されたステータコイルを加熱炉から取り出して次工程に搬送するまでに手間がかかり、ステータコイルを所定温度に保ちにくく、その結果、ステータコイルに塗布したワニスが良好に含浸しにくくなるとか、クラック等が生じて樹脂成形品の品質を損なうという問題があった。
【0006】
そこで、作業効率の改善、加熱時間低減による低電力化等を目的として、環状コアの中空部に高周波誘導加熱用コイルヘッドを配置し、ステータコイル及びコアを高周波誘導加熱方式により迅速に加熱することが提案されている。
【0007】
また、高周波誘導加熱方式による加熱に加え、ステータコイルに通電してコイルを自己発熱することにより、ステータコイルをより均一に加熱することも提案されている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開昭60−82050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、環状コアの中空部に高周波誘導加熱用コイルヘッドを配置し、ステータコイル及びコアを高周波誘導加熱方式により加熱する方法では、高周波誘導加熱用コイルヘッドから生じる磁束の多くが、コアの外周部の厚さ方向の端部に作用する。コアは通常はけい素鋼板の積層体により構成されていることが多いため、コアの厚さ方向への熱伝導性が良くないこともあって、この部位のみが局部的に加熱され、熱変形や絶縁樹脂の損傷等を引き起こす恐れがある一方、コイルの加熱が十分になされないという問題があった。
【0009】
また、高周波誘導加熱方式による加熱に加え、ステータコイルに通電してステータコイルを自己発熱することにより、コアとステータコイルを加熱する方法では、ステータコイルによって自己発熱温度がばらつくとか、ステータコイルへの通電時に電磁力が発生してステータコイル全体が振動するという問題があった。さらには、通電のための端子の位置決めが難しく自動化が難しいとか、ステータコイルと通電用電源の接続時に、接続不良により接続端子間でスパークを生じるといった問題があった。
【0010】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ステータコイルへの通電を行わなくても、高周波誘導加熱方式により、コアの局部的な加熱による温度上昇を防止でき、かつコイルとコアとを均一に加熱することができるステータコイル及びコアの加熱装置および加熱方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、以下の手段によって解決される。
(1)ステータコイルが内周側に巻装された環状コアの中空部に、高周波誘導加熱用コイルヘッドが挿入されることにより、前記ステータコイル及びコアを加熱する高周波誘導加熱手段を備え、この高周波誘導加熱手段は、前記コアと同軸上に位置して該コアの厚さ方向の両外側にそれぞれ配置され、前記コイルヘッドから発生する磁束が前記コアの外周部に及ぶのを阻止する遮蔽体を備えていることを特徴とするステータコイル及びコアの加熱装置。
(2)前記遮蔽体は筒形またはドーナツ形である前項1に記載のステータコイル及びコアの加熱装置。
(3)前記遮蔽体は、前記コアの径方向におけるステータコイルの外側端部付近に配置されている前項1または2に記載のステータコイル及びコアの加熱装置。
(4)前記高周波誘導加熱用コイルヘッドは、前記コアの厚さ方向における一端側と他端側のうちの少なくとも一方の端側でステータコイル付近に対応する巻回部を有している前項1〜3のいずれかに記載のステータコイル及びコアの加熱装置。
(5)前記コアの外周部を取り巻いて、コアの厚さ方向の中間部に位置する高周波誘導加熱用外側コイルヘッドが配置されてなる前項1〜4のいずれかに記載のステータコイル及びコアの加熱装置。
(6)ステータコイルが内周側に巻装された環状コアの中空部に、高周波誘導加熱用コイルヘッドを挿入し、前記ステータコイルを高周波誘導加熱するステータコイル及びコアの加熱方法であって、前記高周波誘導加熱用コイルヘッドから発生する磁束が前記コアの外周部に及ぶのを阻止する遮蔽体を、前記コアと同軸上に位置して該コアの厚さ方向の両外側にそれぞれ配置した後、前記コイルヘッドに交流電圧を通電して前記ステータコイル及びコアを加熱することを特徴とするステータコイル及びコアの加熱方法。
(7)前記遮蔽体は筒形またはドーナツ形である前項6に記載のステータコイル及びコアの加熱方法。
(8)前記遮蔽体は、前記コアの径方向におけるステータコイルの外側端部付近に配置されている前項6または7に記載のステータコイルの加熱方法。
(9)前記高周波誘導加熱用コイルヘッドは、前記コアの厚さ方向における一端側と他端側のうちの少なくとも一方の端側でステータコイル付近に対応する巻回部を有している前項6〜8のいずれかに記載のステータコイル及びコアの加熱方法。
(10)前記コアの外周部を取り巻いて、コアの厚さ方向の中間部に位置する高周波誘導加熱用外側コイルヘッドを配置して高周波誘導加熱を行う前項6〜9のいずれかに記載のステータコイル及びコアの加熱方法。
【発明の効果】
【0012】
前項(1)に記載の発明によれば、環状コアと同軸上に位置して該コアの厚さ方向の両外側にそれぞれ配置され、高周波誘導加熱用コイルヘッドから発生する磁束が前記コアの外周部に及ぶのを阻止する遮蔽体を備えているから、高周波誘導加熱装置コイルヘッドで発生した磁束がコアの外周部に及ぶのが抑止され、内周部からの加熱が主流となる一方、ステータコイルに多くの高周波磁束が透過して、該ステータコイルが十分に加熱されることになる。このため、コアの外周部の厚さ方向の端部のみが局部的に加熱され、熱変形や絶縁樹脂の損傷等を引き起こす不都合を解消しつつ、ステータコイルとコアを均一に加熱することができる。もとより、ステータコイルへの通電は伴わないから、通電によるステータコイルの発熱温度のばらつきや、ステータコイルの振動や、通電時の端子の位置決めの困難性や、通電接続時の接続不良によるスパーク発生といった不都合を生じることはない。
【0013】
前項(2)に記載の発明によれば、筒形またはドーナツ形の遮蔽体により、高周波誘導加熱装置コイルヘッドで発生した磁束がコアの外周部に及ぶのを効果的に抑止できる。
【0014】
前項(3)に記載の発明によれば、前記遮蔽体は、前記コアの径方向におけるステータコイルの外側端部付近に配置されているから、コイルヘッドで発生した磁束がコアの外周部に及ぶのを一層確実に阻止することができると共に、内周部から加熱して積層コア各一枚ごとの熱伝導により均一に加熱することができる。
【0015】
前項(4)に記載の発明によれば、高周波誘導加熱用コイルヘッドは、前記コアの厚さ方向における一端側と他端側のうちの少なくとも一方の端側でステータコイル付近に対応する巻回部を有しているから、コイルヘッドの巻回部をコアの厚さ方向における中央部にのみに設けてある場合に比べて、コイルヘッドによる両巻回部からの高周波磁束をステータコイルに有効に透過させることができ、より効率的に加熱を行うことができる。
【0016】
前項(5)に記載の発明によれば、コアの外周部を取り巻いて、コアの厚さ方向の中間部に位置する高周波誘導加熱用外側コイルヘッドが配置されてなるから、この外側コイルヘッドによってもステータコイル及びコアが誘導加熱されることになる。このため、内外両側からの誘導加熱により、内側のコイルヘッドのみによる加熱に較べて、コアやステータコイルが温度上昇するまでの加熱時間が少なくてすむし、加熱に要するエネルギも少なく電力の低減になる。
【0017】
前項(6)に記載の発明によれば、遮蔽体を配置して高周波誘導加熱を行うから、高周波誘導加熱用コイルヘッドで発生した磁束がコアの外周部に及ぶのが抑止され、内周部からの加熱が主流となる。一方、ステータコイルに多くの高周波磁束が透過して、該ステータコイルが十分に加熱されることになり、コアの外周部の厚さ方向の端部の熱変形や絶縁樹脂の損傷等を引き起こす不都合を解消しつつ、ステータコイルとコアを均一に加熱することができる。
【0018】
前項(7)に記載の発明によれば、筒形またはドーナツ形の遮蔽体により、高周波誘導加熱装置コイルヘッドで発生した磁束がコアの外周部に及ぶのを効果的に抑止できる。
【0019】
前項(8)に記載の発明によれば、前記遮蔽体は、前記コアの径方向におけるステータコイルの外側端部付近に配置されているから、コイルヘッドで発生した磁束がコアの外周部に及ぶのを一層確実に阻止することができる。
【0020】
前項(9)に記載の発明によれば、高周波誘導加熱用コイルヘッドは、前記コアの厚さ方向における一端側と他端側のうちの少なくとも一方の端側でステータコイル付近に対応する巻回部を有しているから、コイルヘッドの巻回部をコアの厚さ方向における中央部にのみに設けてある場合に比べて、コイルヘッドによる両巻回部からの高周波磁束をステータコイルに有効に透過させることができ、より効率的に加熱を行うことができる。
【0021】
前項(10)に記載の発明によれば、コアの外周部を取り巻いて、コアの厚さ方向の中間部に位置する高周波誘導加熱用外側コイルヘッドを配置して、高周波誘導加熱を行うから、この外側コイルヘッドによってもステータコイル及びコアが誘導加熱されることになり、内側のコイルヘッドのみによる加熱に較べて、コアやステータコイルが温度上昇するまでの加熱時間が少なくてすむし、加熱に要するエネルギも少なくてすむ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1および図2は、それぞれこの発明の一実施形態に係るステータコイル及びコアの加熱装置を含む、ステータの製造システムを示す概略平面図および正面図である。
【0024】
図1および図2おいて、ステータコイル及びコアの加熱装置は、図3および図4に示すステータMのコイル(ステータコイル)LにワニスW(図9)を塗布するにあたって、該ステータコイルL及びコアFを加熱するために使用される。
【0025】
ステータMは、図3および図4に示すように、多数の鋼板を厚さ方向へ積層してなる環状コアFの内周突部FbにステータコイルLを巻装してあり、ステータコイルLには、三相の外部端子Tが設けられている。
【0026】
このステータの製造システムは、概ね、メイン作業台部1と、ステータMを移送するための移送機構2と、所定位置でステータMのステータコイルL及びコアFに対して高周波誘導加熱を行う高周波誘導加熱装置3と、ステータMに対するワニス塗布手段4とを備えている。
【0027】
前記メイン作業台1は、例えば平面形状が左右方向へ長い矩形に形成されており、その上面側は、右側からそれぞれ所定間隔を隔てて搬入用領域S1、加熱用領域S2、ワニス塗布用領域S3、搬出用領域S4として設定されている。
【0028】
前記移送機構2は、前記メイン作業台部1の上方からステータMを把持して搬入用領域S1から各領域S2,S3を経て搬出用領域S4まで搬送するものである。
【0029】
この移送機構2は、例えば、支柱2a,2aで支持されて、メイン作業台部1の上方の位置で左右方向へ沿って配設されたレール21と、このレール21により左右方向へ移動可能に支持されたトロリ23と、トロリ23に対してワイヤ23aを介して昇降可能に吊持されたチャック装置24とを備えており、チャック装置24におけるチャック24aにより、前記ステータMを把持するようになっている。
【0030】
勿論、ステータMの移送機構2は、これらレール21やトロリ23を用いるものに限らず、各種搬送機構を採用可能であり、また、自走式ロボットなどを利用するようにしてもよい。
【0031】
前記高周波誘導加熱装置3は、ステータMのステータコイルLにワニス処理を施すに先立って、該ステータMの特にステータコイルLを所定温度に加熱保持させるためのものであり、例えば、高周波発振部31と、加熱領域S2に移送されたステータMに対する受取り台32と、高周波発振部31からケーブル34を介して引き出されている加熱用コイルヘッド33と、このコイルヘッド33をステータM内に挿入・配置するコイルヘッド設定機構35と、筒形遮蔽体36とを備えている。
【0032】
この高周波誘導加熱装置3は、操作パネル(図示せず)を介して、加熱温度、加熱時間などの加熱条件をステータMの種類に応じて設定することが可能である。設定した各種の加熱条件は、加熱チャートとして記憶部(図示せず)に記憶されるようになっている。そして、処理対象のステータMの種類に応じて、対応する加熱チャートを操作パネルなどで選択・指示することにより、加熱チャートを飛び出し、コンンピュータ制御により、前記加熱チャートに基づいた条件でステータMの加熱条件が実行されるようになっている。
【0033】
前記受取り台32の上面には、図示しない複数の支持ピンが立設されており、受取り台32にステータMが載置されると、ステータMにおける複数の取付孔(図示せず)に前記支持ピンに嵌入し、該ステータMの位置決め行われる。
【0034】
勿論、この受取り台32は、必須のものではなく、ステータMを前記作業台部1上に直接、受け取らせるようにしてもよい。
【0035】
前記加熱用コイルヘッド33は、図5に示すように、コアFの厚さ方向(上下方向)で上部巻回部33aと下部巻回部33bとの2段構成になっており、上部巻回部33aは、例えば2回巻でコアFの厚さ方向の一端側(上端側)でステータコイルLのほぼ上端部に対応して設定され、また、下部巻回部33bは、例えば2回巻でコアFの厚さ方向の他端側(下端側)でステータコイルLのほぼ下端部に対応して設定されている。
【0036】
このように、加熱用コイルヘッド33を、コアFの厚さ方向の一端側でステータコイルLの上端付近に対応する上部巻回部33aと、他端側でステータコイルLの下端付近に対応する下部巻回部33bとを設けてあるのは、巻回部33a,33bで発生する高周波磁束をステータMのステータコイルLに対して、近くから有効に作用透過させるためである。
【0037】
なお、この加熱用コイルヘッド33は、上部巻回部33aと下部巻回部33bとの2段に限定されるものではなく、少なくとも一方の巻回部33a(33b)を有していればよい。また、各巻回部33a、33bにおける巻回数も、希望するコイル加熱速度によって3回あるいは1回、あるいはその他の複数回に設定すればよい。
【0038】
前記コイルヘッド設定機構35は、例えば、コイルヘッド33を下側が保持するコイルヘッド保持部材351と、このコイルヘッド保持部材351を昇降駆動するシリンダ352とを備えており、前記ステータMが受取り台32に載置された際に、ピストンロッド352aを伸長させて、コイルヘッド33をステータMの中央孔部Maに挿入させるように構成されている。
【0039】
なお、コイルヘッド設定機構35は、上記構成のものに限られるものではなく、例えばコイルヘッド33を上方から前記ステータMに挿入するものなど、任意の構成を採用可能である。
【0040】
前記筒形遮蔽体36は、この実施形態では、円筒形をなし、コイルヘッド33により発生する誘導磁束をステータコイルLに集中して透過させるために、前記コアFの外周部Faに作用しようとする磁束を遮蔽して、ステータコイルLへと導くものであり、前記コアFと同軸上に配置され、かつ前記コアFの径方向におけるステータコイルLの外側端部付近において、該コアFの厚さ方向におけるステータコイルLの上下外側に配置されている。ステータコイルLと各筒形遮蔽体36との隙間は、5mm程度以内に設定するのが、磁束をステータコイルLへより有効に作用させ得る点で望ましい。
【0041】
この遮蔽体36の構成材としては、金属材であればよく、好ましくは磁気抵抗の少ない金属材、例えばCu板などである。平板に限らず、パンチングメタルやメッシュ材などの使用も可能である。
【0042】
この筒形遮蔽体36は、円周方向に流れる電流による発熱を抑制するために、図示しない冷却装置によって冷却されても良い。また、この例では、図6に示すように、筒形遮蔽体36の円周方向の一部にスリット36aを設けてあり、円周方向の渦電流を遮断して筒形遮蔽体36自体の発熱を防止するものとなされている。なお、冷却装置を設けた場合、スリット36aを省略することもできる。
【0043】
前記ワニス塗布手段5は、前記高周波誘導加熱により加熱された後、ワニス塗布領域S3に移送されたステータMのステータコイルLにワニスW(図9)を塗布するためのものであり、例えば、前記ステータMを受け取る受取り台41と、作業台部1の後方に配備されたワニス供給部42と、ワニス供給部42からワニス供給パイプ43を介して接続されて、前記ステータMの上方からワニスWを塗布するワニス塗布ガン44とを備えている。
【0044】
勿論、前記受取り台41は、必須のものではなく、加熱されたステータMを作業台部1上に直接、受け取らせるようにしてもよい。
【0045】
つぎに、上記構成の製造システムにより、ステータMを製造する方法を説明する。
【0046】
まず、前の工程を経たステータMが作業台部1上の搬入領域S1に搬入されると、図7(A)に示すように、前記チャック装置24のチャック24aによりステータMが把持される。そして、トロリ23の左方向への移動により、前記チャック24aに把持されたステータMが加熱領域S2に移送される。
【0047】
ステータMが加熱用領域S2に至ると、チャック24に把持されたステータMが図7(B)に示すように、前記受取り台32に受け取られて位置決めされる。
【0048】
この状態で、前記コイルヘッド設定機構35におけるシリンダ351が駆動され、図8(C)に示すように、ピストンロッド352aが伸長するので、コイルヘッド保持部材351と共に前記コイルヘッド33が上昇変移し、ステータMの中央孔部Ma内に挿入して設定される。
【0049】
この状態で、まず、高周波誘導加熱装置3における高周波発振部31を駆動すると、高周波出力がコイルヘッド33に印加されるから、このコイルヘッド33から発生する高周波磁束によりステータMのステータコイルLに高周波誘導作用を及ぼし、このステータコイルLが直接的に加熱される。さらに、前記コアFの内周突部Fbも高周波誘導作用で加熱され、これにより、コアFを介してステータコイルLが加熱される。
【0050】
なお、加熱条件については、高周波誘導加熱装置3の記憶部に予め記憶されている各種加熱チャートの中から、ステータMに対応する加熱チャートを操作パネルなどを用いて選択できるようにすればよい。
【0051】
前記コイルヘッド33による高周波誘導加熱により、ステータMのステータコイルLが一定温度まで加熱されると、コイルヘッド33による高周波誘導加熱を停止する。
【0052】
ついで、前記シリンダ352におけるピストンロッド351を収縮させて、前記コイルヘッド33をステータMの中央孔部Maから離脱させる。
【0053】
この後、前記ステータMが図8(D)に示すように、チャック装置24におけるチャック24aで把持されて、ワニス塗布領域S3に移送されて、受取り台41に載置されて位置決めされる。
【0054】
この状態で、ワニス供給部42を駆動すれば、図9(E)に示すように、ステータMの上方に位置したワニス塗布ガン4からワニスWがステータMのステータコイルLに塗布され、ステータコイルLにワニスWが含浸される。
【0055】
このように、前記ワニス塗布にあたって、ステータMを高周波誘導加熱用コイルヘッド33により誘導加熱することにより、ステータコイルLが直接的に、さらにはコアFを介して加熱されるから、加熱炉を使う場合のように、ステータMを加熱炉に入れたり、出したりする手間が要らず、作業性が高められる。勿論、ステータMを高周波誘導加熱後に、ステータMを加熱炉に入れて冷却を防止したのち、ワニス塗布を行っても良い。
【0056】
ところで、前記高周波誘導加熱用コイルヘッド33によりステータMを誘導加熱する際に、前記筒形遮蔽体36,36を設けていないと、該コイルヘッド33からの高周波磁束の多くがコアFの外周部の特に厚さ方向の端部Faに作用して、この部位のみが局部的に加熱されるおそれがある。
【0057】
これに対して、この実施形態においては、前記筒形遮蔽体36,36をコアFの厚さ方向におけるステータコイルLの上下外側に設けているから、該コイルヘッド33からコアFの外周部Faに作用しようとする高周波磁束に対して前記筒形遮蔽体36,36による設遮蔽効果が働き、コアFの外周部Faに作用するのが阻止され、多くの高周波磁束がステータコイルLに誘導される。従って、コアFの外周部Faが局部的に加熱されることはなくなり、ステータコイルLが効率的にかつ迅速に加熱される。
【0058】
しかも、筒形遮蔽体36は、前記コアFの径方向におけるステータコイルLの外側端部付近に配置されているから、前記高周波磁束をステータコイルLに一層効果的に透過させることが可能となる。
【0059】
図10は、この発明の他の実施形態を示す。
【0060】
図10に示す実施形態では、ステータMの厚さ方向のほぼ中央部を取り巻いて、例えば1回巻のコア加熱用外側コイルヘッド50を設けてある。
【0061】
このような外側コイルヘッド50を設けることにより、コアFが外側からの高周波誘導加熱により加熱されるとともに、この加熱により温度上昇したコアFを介してステータコイルLも加熱されるため、ステータMの全体をさらに効率的に加熱することができ、前記コイルヘッド33のみにより加熱する場合と比較して、ステータコイルLやコアFが所定の温度上昇するまでの加熱時間が少なくてすむし、加熱に要するエネルギも少なくすることができ、電力の低減になる。
【0062】
なお、さらに効率的な加熱を行うためには、まず内側コイルヘッド33で加熱を行った後、外側加熱ヘッド50により加熱を開始するのが望ましい。内側コイルヘッド33と外側コイルヘッド50は、同一の高周波電源に接続されて、加熱タイミングやパワーを調整されても良いし、別電源で駆動されても良い。
【0063】
ちなみに、図5に示したコイルヘッド33を用いるとともに、ステータコイルのコアFと同軸上に図6に示す銅製の筒形遮蔽体36(外径203mm、高さ70mm、厚さ3mm)を、その外周面が、コアFの径方向におけるステータコイルLの外側端部と面一となるように、該コアFの厚さ方向におけるステータコイルLの上下外側に配置した場合(ステータコイルLと各筒形遮蔽体36との隙間は10mmとした)と、遮蔽体36を配置しなかった場合とで、遮蔽体36以外の条件を同じにして高周波誘導加熱を行った。投入電力は10kw(180V、56A)、周波数は44.1kHzとした。
【0064】
その結果、筒形遮蔽体36を使用しなかった場合は、ステータコイルLの温度が上昇する速度に較べて、コアFの外周部における厚さ方向の端部Faの温度上昇の速度が極めて速く、ステータコイルLの温度が所期する温度に達するまで、加熱を継続することができなかった。これに対し、筒形遮蔽体36を使用することにより、ステータコイルLの温度上昇速度が上がる一方、コアFの外周部における厚さ方向の端部Faの温度上昇速度が低下し、このため、ステータコイルLの温度が所期する温度に達するまで、加熱を継続することができた。
【0065】
なお、以上説明した実施形態では、コアFの厚さ方向(ステータMの軸方向)が上下となる向きにステータMを配置して加熱を行ったが、ステータMの姿勢は特に限定されることはなく、図11に示すように、コアFの厚さ方向(ステータMの軸方向)が左右となる向きに配置して加熱しても良い。
【0066】
また、遮蔽体36が筒形である場合を示したが、図11に示すように、径方向に幅を有するドーナツ形の遮蔽体36をステータコイルLの外側に配置しても良いし、他の形状の遮蔽体であっても良い。要はコイルヘッド33から発生する磁束が前記コアFの外周部に及ぶのを阻止できる形状であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】この発明の一実施形態に係る加熱装置を含むステータの製造システムを示す概略平面図である。
【図2】同じくステータの製造システムを示す概略正面図である。
【図3】この発明の一実施形態に係るステータコイル及びコアの高周波誘導加熱装置を示す正面図である。
【図4】同じく高周波誘導加熱装置を示す断面図である。
【図5】同じく高周波誘導加熱装置におけるコイルヘッドを示す斜視図である。
【図6】同じく高周波誘導加熱装置における筒形遮蔽体を示す斜視図である。
【図7】(A)はチャック装置によるステータの移送状況の説明図、(B)はステータを加熱用領域に移送してセットした状態を示す図である。
【図8】(C)はステータに高周波誘導加熱手段のコイルヘッドをセットした状況を示す図、(D)は加熱されたステータをワニス塗布用領域に移送する状況の説明図である。
【図9】(E)は加熱後のステータコイルにワニスを塗布する状況の説明図である。
【図10】この発明の他の実施形態に係るステータコイル及びコアの高周波誘導加熱装置を示す正面断面図である。
【図11】この発明のさらに他の実施形態に係るステータコイル及びコアの高周波誘導加熱装置を示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0068】
3 高周波誘導加熱装置
4 ワニス塗布手段
33 高周波誘導加熱装置のコイルヘッド
33a,33b コイルヘッドの巻回部
36 筒形遮蔽体
F ステータコイルのコア
Fa コアの外周部
L ステータコイル
M ステータ
Ma ステータの中央孔部
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車用発電機などに使用されるステータのコイル及びコアを、ワニス含浸工程等に先立って加熱する加熱装置および加熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種のステータを製造する場合、環状コアの内周側に巻装されたステータコイルにワニスを含浸させたり、樹脂モールドされるが、このワニス含浸工程あるいは樹脂モールドに先立って、ステータコイル及びコアを加熱する必要がある。
【0003】
従来では、ワニス含浸あるいは樹脂モールドに先立って、ステータを加熱炉内に入れてステータコイル全体を加熱していた。
【0004】
ところが、上記した従来では、作業者がステータを加熱炉に挿入し、加熱後にステータを加熱炉から取り出して次工程に送らなければならず、作業効率が悪く、加熱時間も長い。従って、その分、使用電力量も大きくなる。
【0005】
また、所定温度まで加熱されたステータコイルを加熱炉から取り出して次工程に搬送するまでに手間がかかり、ステータコイルを所定温度に保ちにくく、その結果、ステータコイルに塗布したワニスが良好に含浸しにくくなるとか、クラック等が生じて樹脂成形品の品質を損なうという問題があった。
【0006】
そこで、作業効率の改善、加熱時間低減による低電力化等を目的として、環状コアの中空部に高周波誘導加熱用コイルヘッドを配置し、ステータコイル及びコアを高周波誘導加熱方式により迅速に加熱することが提案されている。
【0007】
また、高周波誘導加熱方式による加熱に加え、ステータコイルに通電してコイルを自己発熱することにより、ステータコイルをより均一に加熱することも提案されている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開昭60−82050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、環状コアの中空部に高周波誘導加熱用コイルヘッドを配置し、ステータコイル及びコアを高周波誘導加熱方式により加熱する方法では、高周波誘導加熱用コイルヘッドから生じる磁束の多くが、コアの外周部の厚さ方向の端部に作用する。コアは通常はけい素鋼板の積層体により構成されていることが多いため、コアの厚さ方向への熱伝導性が良くないこともあって、この部位のみが局部的に加熱され、熱変形や絶縁樹脂の損傷等を引き起こす恐れがある一方、コイルの加熱が十分になされないという問題があった。
【0009】
また、高周波誘導加熱方式による加熱に加え、ステータコイルに通電してステータコイルを自己発熱することにより、コアとステータコイルを加熱する方法では、ステータコイルによって自己発熱温度がばらつくとか、ステータコイルへの通電時に電磁力が発生してステータコイル全体が振動するという問題があった。さらには、通電のための端子の位置決めが難しく自動化が難しいとか、ステータコイルと通電用電源の接続時に、接続不良により接続端子間でスパークを生じるといった問題があった。
【0010】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ステータコイルへの通電を行わなくても、高周波誘導加熱方式により、コアの局部的な加熱による温度上昇を防止でき、かつコイルとコアとを均一に加熱することができるステータコイル及びコアの加熱装置および加熱方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、以下の手段によって解決される。
(1)ステータコイルが内周側に巻装された環状コアの中空部に、高周波誘導加熱用コイルヘッドが挿入されることにより、前記ステータコイル及びコアを加熱する高周波誘導加熱手段を備え、この高周波誘導加熱手段は、前記コアと同軸上に位置して該コアの厚さ方向の両外側にそれぞれ配置され、前記コイルヘッドから発生する磁束が前記コアの外周部に及ぶのを阻止する遮蔽体を備えていることを特徴とするステータコイル及びコアの加熱装置。
(2)前記遮蔽体は筒形またはドーナツ形である前項1に記載のステータコイル及びコアの加熱装置。
(3)前記遮蔽体は、前記コアの径方向におけるステータコイルの外側端部付近に配置されている前項1または2に記載のステータコイル及びコアの加熱装置。
(4)前記高周波誘導加熱用コイルヘッドは、前記コアの厚さ方向における一端側と他端側のうちの少なくとも一方の端側でステータコイル付近に対応する巻回部を有している前項1〜3のいずれかに記載のステータコイル及びコアの加熱装置。
(5)前記コアの外周部を取り巻いて、コアの厚さ方向の中間部に位置する高周波誘導加熱用外側コイルヘッドが配置されてなる前項1〜4のいずれかに記載のステータコイル及びコアの加熱装置。
(6)ステータコイルが内周側に巻装された環状コアの中空部に、高周波誘導加熱用コイルヘッドを挿入し、前記ステータコイルを高周波誘導加熱するステータコイル及びコアの加熱方法であって、前記高周波誘導加熱用コイルヘッドから発生する磁束が前記コアの外周部に及ぶのを阻止する遮蔽体を、前記コアと同軸上に位置して該コアの厚さ方向の両外側にそれぞれ配置した後、前記コイルヘッドに交流電圧を通電して前記ステータコイル及びコアを加熱することを特徴とするステータコイル及びコアの加熱方法。
(7)前記遮蔽体は筒形またはドーナツ形である前項6に記載のステータコイル及びコアの加熱方法。
(8)前記遮蔽体は、前記コアの径方向におけるステータコイルの外側端部付近に配置されている前項6または7に記載のステータコイルの加熱方法。
(9)前記高周波誘導加熱用コイルヘッドは、前記コアの厚さ方向における一端側と他端側のうちの少なくとも一方の端側でステータコイル付近に対応する巻回部を有している前項6〜8のいずれかに記載のステータコイル及びコアの加熱方法。
(10)前記コアの外周部を取り巻いて、コアの厚さ方向の中間部に位置する高周波誘導加熱用外側コイルヘッドを配置して高周波誘導加熱を行う前項6〜9のいずれかに記載のステータコイル及びコアの加熱方法。
【発明の効果】
【0012】
前項(1)に記載の発明によれば、環状コアと同軸上に位置して該コアの厚さ方向の両外側にそれぞれ配置され、高周波誘導加熱用コイルヘッドから発生する磁束が前記コアの外周部に及ぶのを阻止する遮蔽体を備えているから、高周波誘導加熱装置コイルヘッドで発生した磁束がコアの外周部に及ぶのが抑止され、内周部からの加熱が主流となる一方、ステータコイルに多くの高周波磁束が透過して、該ステータコイルが十分に加熱されることになる。このため、コアの外周部の厚さ方向の端部のみが局部的に加熱され、熱変形や絶縁樹脂の損傷等を引き起こす不都合を解消しつつ、ステータコイルとコアを均一に加熱することができる。もとより、ステータコイルへの通電は伴わないから、通電によるステータコイルの発熱温度のばらつきや、ステータコイルの振動や、通電時の端子の位置決めの困難性や、通電接続時の接続不良によるスパーク発生といった不都合を生じることはない。
【0013】
前項(2)に記載の発明によれば、筒形またはドーナツ形の遮蔽体により、高周波誘導加熱装置コイルヘッドで発生した磁束がコアの外周部に及ぶのを効果的に抑止できる。
【0014】
前項(3)に記載の発明によれば、前記遮蔽体は、前記コアの径方向におけるステータコイルの外側端部付近に配置されているから、コイルヘッドで発生した磁束がコアの外周部に及ぶのを一層確実に阻止することができると共に、内周部から加熱して積層コア各一枚ごとの熱伝導により均一に加熱することができる。
【0015】
前項(4)に記載の発明によれば、高周波誘導加熱用コイルヘッドは、前記コアの厚さ方向における一端側と他端側のうちの少なくとも一方の端側でステータコイル付近に対応する巻回部を有しているから、コイルヘッドの巻回部をコアの厚さ方向における中央部にのみに設けてある場合に比べて、コイルヘッドによる両巻回部からの高周波磁束をステータコイルに有効に透過させることができ、より効率的に加熱を行うことができる。
【0016】
前項(5)に記載の発明によれば、コアの外周部を取り巻いて、コアの厚さ方向の中間部に位置する高周波誘導加熱用外側コイルヘッドが配置されてなるから、この外側コイルヘッドによってもステータコイル及びコアが誘導加熱されることになる。このため、内外両側からの誘導加熱により、内側のコイルヘッドのみによる加熱に較べて、コアやステータコイルが温度上昇するまでの加熱時間が少なくてすむし、加熱に要するエネルギも少なく電力の低減になる。
【0017】
前項(6)に記載の発明によれば、遮蔽体を配置して高周波誘導加熱を行うから、高周波誘導加熱用コイルヘッドで発生した磁束がコアの外周部に及ぶのが抑止され、内周部からの加熱が主流となる。一方、ステータコイルに多くの高周波磁束が透過して、該ステータコイルが十分に加熱されることになり、コアの外周部の厚さ方向の端部の熱変形や絶縁樹脂の損傷等を引き起こす不都合を解消しつつ、ステータコイルとコアを均一に加熱することができる。
【0018】
前項(7)に記載の発明によれば、筒形またはドーナツ形の遮蔽体により、高周波誘導加熱装置コイルヘッドで発生した磁束がコアの外周部に及ぶのを効果的に抑止できる。
【0019】
前項(8)に記載の発明によれば、前記遮蔽体は、前記コアの径方向におけるステータコイルの外側端部付近に配置されているから、コイルヘッドで発生した磁束がコアの外周部に及ぶのを一層確実に阻止することができる。
【0020】
前項(9)に記載の発明によれば、高周波誘導加熱用コイルヘッドは、前記コアの厚さ方向における一端側と他端側のうちの少なくとも一方の端側でステータコイル付近に対応する巻回部を有しているから、コイルヘッドの巻回部をコアの厚さ方向における中央部にのみに設けてある場合に比べて、コイルヘッドによる両巻回部からの高周波磁束をステータコイルに有効に透過させることができ、より効率的に加熱を行うことができる。
【0021】
前項(10)に記載の発明によれば、コアの外周部を取り巻いて、コアの厚さ方向の中間部に位置する高周波誘導加熱用外側コイルヘッドを配置して、高周波誘導加熱を行うから、この外側コイルヘッドによってもステータコイル及びコアが誘導加熱されることになり、内側のコイルヘッドのみによる加熱に較べて、コアやステータコイルが温度上昇するまでの加熱時間が少なくてすむし、加熱に要するエネルギも少なくてすむ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1および図2は、それぞれこの発明の一実施形態に係るステータコイル及びコアの加熱装置を含む、ステータの製造システムを示す概略平面図および正面図である。
【0024】
図1および図2おいて、ステータコイル及びコアの加熱装置は、図3および図4に示すステータMのコイル(ステータコイル)LにワニスW(図9)を塗布するにあたって、該ステータコイルL及びコアFを加熱するために使用される。
【0025】
ステータMは、図3および図4に示すように、多数の鋼板を厚さ方向へ積層してなる環状コアFの内周突部FbにステータコイルLを巻装してあり、ステータコイルLには、三相の外部端子Tが設けられている。
【0026】
このステータの製造システムは、概ね、メイン作業台部1と、ステータMを移送するための移送機構2と、所定位置でステータMのステータコイルL及びコアFに対して高周波誘導加熱を行う高周波誘導加熱装置3と、ステータMに対するワニス塗布手段4とを備えている。
【0027】
前記メイン作業台1は、例えば平面形状が左右方向へ長い矩形に形成されており、その上面側は、右側からそれぞれ所定間隔を隔てて搬入用領域S1、加熱用領域S2、ワニス塗布用領域S3、搬出用領域S4として設定されている。
【0028】
前記移送機構2は、前記メイン作業台部1の上方からステータMを把持して搬入用領域S1から各領域S2,S3を経て搬出用領域S4まで搬送するものである。
【0029】
この移送機構2は、例えば、支柱2a,2aで支持されて、メイン作業台部1の上方の位置で左右方向へ沿って配設されたレール21と、このレール21により左右方向へ移動可能に支持されたトロリ23と、トロリ23に対してワイヤ23aを介して昇降可能に吊持されたチャック装置24とを備えており、チャック装置24におけるチャック24aにより、前記ステータMを把持するようになっている。
【0030】
勿論、ステータMの移送機構2は、これらレール21やトロリ23を用いるものに限らず、各種搬送機構を採用可能であり、また、自走式ロボットなどを利用するようにしてもよい。
【0031】
前記高周波誘導加熱装置3は、ステータMのステータコイルLにワニス処理を施すに先立って、該ステータMの特にステータコイルLを所定温度に加熱保持させるためのものであり、例えば、高周波発振部31と、加熱領域S2に移送されたステータMに対する受取り台32と、高周波発振部31からケーブル34を介して引き出されている加熱用コイルヘッド33と、このコイルヘッド33をステータM内に挿入・配置するコイルヘッド設定機構35と、筒形遮蔽体36とを備えている。
【0032】
この高周波誘導加熱装置3は、操作パネル(図示せず)を介して、加熱温度、加熱時間などの加熱条件をステータMの種類に応じて設定することが可能である。設定した各種の加熱条件は、加熱チャートとして記憶部(図示せず)に記憶されるようになっている。そして、処理対象のステータMの種類に応じて、対応する加熱チャートを操作パネルなどで選択・指示することにより、加熱チャートを飛び出し、コンンピュータ制御により、前記加熱チャートに基づいた条件でステータMの加熱条件が実行されるようになっている。
【0033】
前記受取り台32の上面には、図示しない複数の支持ピンが立設されており、受取り台32にステータMが載置されると、ステータMにおける複数の取付孔(図示せず)に前記支持ピンに嵌入し、該ステータMの位置決め行われる。
【0034】
勿論、この受取り台32は、必須のものではなく、ステータMを前記作業台部1上に直接、受け取らせるようにしてもよい。
【0035】
前記加熱用コイルヘッド33は、図5に示すように、コアFの厚さ方向(上下方向)で上部巻回部33aと下部巻回部33bとの2段構成になっており、上部巻回部33aは、例えば2回巻でコアFの厚さ方向の一端側(上端側)でステータコイルLのほぼ上端部に対応して設定され、また、下部巻回部33bは、例えば2回巻でコアFの厚さ方向の他端側(下端側)でステータコイルLのほぼ下端部に対応して設定されている。
【0036】
このように、加熱用コイルヘッド33を、コアFの厚さ方向の一端側でステータコイルLの上端付近に対応する上部巻回部33aと、他端側でステータコイルLの下端付近に対応する下部巻回部33bとを設けてあるのは、巻回部33a,33bで発生する高周波磁束をステータMのステータコイルLに対して、近くから有効に作用透過させるためである。
【0037】
なお、この加熱用コイルヘッド33は、上部巻回部33aと下部巻回部33bとの2段に限定されるものではなく、少なくとも一方の巻回部33a(33b)を有していればよい。また、各巻回部33a、33bにおける巻回数も、希望するコイル加熱速度によって3回あるいは1回、あるいはその他の複数回に設定すればよい。
【0038】
前記コイルヘッド設定機構35は、例えば、コイルヘッド33を下側が保持するコイルヘッド保持部材351と、このコイルヘッド保持部材351を昇降駆動するシリンダ352とを備えており、前記ステータMが受取り台32に載置された際に、ピストンロッド352aを伸長させて、コイルヘッド33をステータMの中央孔部Maに挿入させるように構成されている。
【0039】
なお、コイルヘッド設定機構35は、上記構成のものに限られるものではなく、例えばコイルヘッド33を上方から前記ステータMに挿入するものなど、任意の構成を採用可能である。
【0040】
前記筒形遮蔽体36は、この実施形態では、円筒形をなし、コイルヘッド33により発生する誘導磁束をステータコイルLに集中して透過させるために、前記コアFの外周部Faに作用しようとする磁束を遮蔽して、ステータコイルLへと導くものであり、前記コアFと同軸上に配置され、かつ前記コアFの径方向におけるステータコイルLの外側端部付近において、該コアFの厚さ方向におけるステータコイルLの上下外側に配置されている。ステータコイルLと各筒形遮蔽体36との隙間は、5mm程度以内に設定するのが、磁束をステータコイルLへより有効に作用させ得る点で望ましい。
【0041】
この遮蔽体36の構成材としては、金属材であればよく、好ましくは磁気抵抗の少ない金属材、例えばCu板などである。平板に限らず、パンチングメタルやメッシュ材などの使用も可能である。
【0042】
この筒形遮蔽体36は、円周方向に流れる電流による発熱を抑制するために、図示しない冷却装置によって冷却されても良い。また、この例では、図6に示すように、筒形遮蔽体36の円周方向の一部にスリット36aを設けてあり、円周方向の渦電流を遮断して筒形遮蔽体36自体の発熱を防止するものとなされている。なお、冷却装置を設けた場合、スリット36aを省略することもできる。
【0043】
前記ワニス塗布手段5は、前記高周波誘導加熱により加熱された後、ワニス塗布領域S3に移送されたステータMのステータコイルLにワニスW(図9)を塗布するためのものであり、例えば、前記ステータMを受け取る受取り台41と、作業台部1の後方に配備されたワニス供給部42と、ワニス供給部42からワニス供給パイプ43を介して接続されて、前記ステータMの上方からワニスWを塗布するワニス塗布ガン44とを備えている。
【0044】
勿論、前記受取り台41は、必須のものではなく、加熱されたステータMを作業台部1上に直接、受け取らせるようにしてもよい。
【0045】
つぎに、上記構成の製造システムにより、ステータMを製造する方法を説明する。
【0046】
まず、前の工程を経たステータMが作業台部1上の搬入領域S1に搬入されると、図7(A)に示すように、前記チャック装置24のチャック24aによりステータMが把持される。そして、トロリ23の左方向への移動により、前記チャック24aに把持されたステータMが加熱領域S2に移送される。
【0047】
ステータMが加熱用領域S2に至ると、チャック24に把持されたステータMが図7(B)に示すように、前記受取り台32に受け取られて位置決めされる。
【0048】
この状態で、前記コイルヘッド設定機構35におけるシリンダ351が駆動され、図8(C)に示すように、ピストンロッド352aが伸長するので、コイルヘッド保持部材351と共に前記コイルヘッド33が上昇変移し、ステータMの中央孔部Ma内に挿入して設定される。
【0049】
この状態で、まず、高周波誘導加熱装置3における高周波発振部31を駆動すると、高周波出力がコイルヘッド33に印加されるから、このコイルヘッド33から発生する高周波磁束によりステータMのステータコイルLに高周波誘導作用を及ぼし、このステータコイルLが直接的に加熱される。さらに、前記コアFの内周突部Fbも高周波誘導作用で加熱され、これにより、コアFを介してステータコイルLが加熱される。
【0050】
なお、加熱条件については、高周波誘導加熱装置3の記憶部に予め記憶されている各種加熱チャートの中から、ステータMに対応する加熱チャートを操作パネルなどを用いて選択できるようにすればよい。
【0051】
前記コイルヘッド33による高周波誘導加熱により、ステータMのステータコイルLが一定温度まで加熱されると、コイルヘッド33による高周波誘導加熱を停止する。
【0052】
ついで、前記シリンダ352におけるピストンロッド351を収縮させて、前記コイルヘッド33をステータMの中央孔部Maから離脱させる。
【0053】
この後、前記ステータMが図8(D)に示すように、チャック装置24におけるチャック24aで把持されて、ワニス塗布領域S3に移送されて、受取り台41に載置されて位置決めされる。
【0054】
この状態で、ワニス供給部42を駆動すれば、図9(E)に示すように、ステータMの上方に位置したワニス塗布ガン4からワニスWがステータMのステータコイルLに塗布され、ステータコイルLにワニスWが含浸される。
【0055】
このように、前記ワニス塗布にあたって、ステータMを高周波誘導加熱用コイルヘッド33により誘導加熱することにより、ステータコイルLが直接的に、さらにはコアFを介して加熱されるから、加熱炉を使う場合のように、ステータMを加熱炉に入れたり、出したりする手間が要らず、作業性が高められる。勿論、ステータMを高周波誘導加熱後に、ステータMを加熱炉に入れて冷却を防止したのち、ワニス塗布を行っても良い。
【0056】
ところで、前記高周波誘導加熱用コイルヘッド33によりステータMを誘導加熱する際に、前記筒形遮蔽体36,36を設けていないと、該コイルヘッド33からの高周波磁束の多くがコアFの外周部の特に厚さ方向の端部Faに作用して、この部位のみが局部的に加熱されるおそれがある。
【0057】
これに対して、この実施形態においては、前記筒形遮蔽体36,36をコアFの厚さ方向におけるステータコイルLの上下外側に設けているから、該コイルヘッド33からコアFの外周部Faに作用しようとする高周波磁束に対して前記筒形遮蔽体36,36による設遮蔽効果が働き、コアFの外周部Faに作用するのが阻止され、多くの高周波磁束がステータコイルLに誘導される。従って、コアFの外周部Faが局部的に加熱されることはなくなり、ステータコイルLが効率的にかつ迅速に加熱される。
【0058】
しかも、筒形遮蔽体36は、前記コアFの径方向におけるステータコイルLの外側端部付近に配置されているから、前記高周波磁束をステータコイルLに一層効果的に透過させることが可能となる。
【0059】
図10は、この発明の他の実施形態を示す。
【0060】
図10に示す実施形態では、ステータMの厚さ方向のほぼ中央部を取り巻いて、例えば1回巻のコア加熱用外側コイルヘッド50を設けてある。
【0061】
このような外側コイルヘッド50を設けることにより、コアFが外側からの高周波誘導加熱により加熱されるとともに、この加熱により温度上昇したコアFを介してステータコイルLも加熱されるため、ステータMの全体をさらに効率的に加熱することができ、前記コイルヘッド33のみにより加熱する場合と比較して、ステータコイルLやコアFが所定の温度上昇するまでの加熱時間が少なくてすむし、加熱に要するエネルギも少なくすることができ、電力の低減になる。
【0062】
なお、さらに効率的な加熱を行うためには、まず内側コイルヘッド33で加熱を行った後、外側加熱ヘッド50により加熱を開始するのが望ましい。内側コイルヘッド33と外側コイルヘッド50は、同一の高周波電源に接続されて、加熱タイミングやパワーを調整されても良いし、別電源で駆動されても良い。
【0063】
ちなみに、図5に示したコイルヘッド33を用いるとともに、ステータコイルのコアFと同軸上に図6に示す銅製の筒形遮蔽体36(外径203mm、高さ70mm、厚さ3mm)を、その外周面が、コアFの径方向におけるステータコイルLの外側端部と面一となるように、該コアFの厚さ方向におけるステータコイルLの上下外側に配置した場合(ステータコイルLと各筒形遮蔽体36との隙間は10mmとした)と、遮蔽体36を配置しなかった場合とで、遮蔽体36以外の条件を同じにして高周波誘導加熱を行った。投入電力は10kw(180V、56A)、周波数は44.1kHzとした。
【0064】
その結果、筒形遮蔽体36を使用しなかった場合は、ステータコイルLの温度が上昇する速度に較べて、コアFの外周部における厚さ方向の端部Faの温度上昇の速度が極めて速く、ステータコイルLの温度が所期する温度に達するまで、加熱を継続することができなかった。これに対し、筒形遮蔽体36を使用することにより、ステータコイルLの温度上昇速度が上がる一方、コアFの外周部における厚さ方向の端部Faの温度上昇速度が低下し、このため、ステータコイルLの温度が所期する温度に達するまで、加熱を継続することができた。
【0065】
なお、以上説明した実施形態では、コアFの厚さ方向(ステータMの軸方向)が上下となる向きにステータMを配置して加熱を行ったが、ステータMの姿勢は特に限定されることはなく、図11に示すように、コアFの厚さ方向(ステータMの軸方向)が左右となる向きに配置して加熱しても良い。
【0066】
また、遮蔽体36が筒形である場合を示したが、図11に示すように、径方向に幅を有するドーナツ形の遮蔽体36をステータコイルLの外側に配置しても良いし、他の形状の遮蔽体であっても良い。要はコイルヘッド33から発生する磁束が前記コアFの外周部に及ぶのを阻止できる形状であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】この発明の一実施形態に係る加熱装置を含むステータの製造システムを示す概略平面図である。
【図2】同じくステータの製造システムを示す概略正面図である。
【図3】この発明の一実施形態に係るステータコイル及びコアの高周波誘導加熱装置を示す正面図である。
【図4】同じく高周波誘導加熱装置を示す断面図である。
【図5】同じく高周波誘導加熱装置におけるコイルヘッドを示す斜視図である。
【図6】同じく高周波誘導加熱装置における筒形遮蔽体を示す斜視図である。
【図7】(A)はチャック装置によるステータの移送状況の説明図、(B)はステータを加熱用領域に移送してセットした状態を示す図である。
【図8】(C)はステータに高周波誘導加熱手段のコイルヘッドをセットした状況を示す図、(D)は加熱されたステータをワニス塗布用領域に移送する状況の説明図である。
【図9】(E)は加熱後のステータコイルにワニスを塗布する状況の説明図である。
【図10】この発明の他の実施形態に係るステータコイル及びコアの高周波誘導加熱装置を示す正面断面図である。
【図11】この発明のさらに他の実施形態に係るステータコイル及びコアの高周波誘導加熱装置を示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0068】
3 高周波誘導加熱装置
4 ワニス塗布手段
33 高周波誘導加熱装置のコイルヘッド
33a,33b コイルヘッドの巻回部
36 筒形遮蔽体
F ステータコイルのコア
Fa コアの外周部
L ステータコイル
M ステータ
Ma ステータの中央孔部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコイルが内周側に巻装された環状コアの中空部に、高周波誘導加熱用コイルヘッドが挿入されることにより、前記ステータコイル及びコアを加熱する高周波誘導加熱手段を備え、
この高周波誘導加熱手段は、
前記コアと同軸上に位置して該コアの厚さ方向の両外側にそれぞれ配置され、前記コイルヘッドから発生する磁束が前記コアの外周部に及ぶのを阻止する遮蔽体を備えていることを特徴とするステータコイル及びコアの加熱装置。
【請求項2】
前記遮蔽体は筒形またはドーナツ形である請求項1に記載のステータコイル及びコアの加熱装置。
【請求項3】
前記遮蔽体は、前記コアの径方向におけるステータコイルの外側端部付近に配置されている請求項1または2に記載のステータコイル及びコアの加熱装置。
【請求項4】
前記高周波誘導加熱用コイルヘッドは、前記コアの厚さ方向における一端側と他端側のうちの少なくとも一方の端側でステータコイル付近に対応する巻回部を有している請求項1〜3のいずれかに記載のステータコイル及びコアの加熱装置。
【請求項5】
前記コアの外周部を取り巻いて、コアの厚さ方向の中間部に位置する高周波誘導加熱用外側コイルヘッドが配置されてなる請求項1〜4のいずれかに記載のステータコイル及びコアの加熱装置。
【請求項6】
ステータコイルが内周側に巻装された環状コアの中空部に、高周波誘導加熱用コイルヘッドを挿入し、前記ステータコイルを高周波誘導加熱するステータコイル及びコアの加熱方法であって、
前記高周波誘導加熱用コイルヘッドから発生する磁束が前記コアの外周部に及ぶのを阻止する遮蔽体を、前記コアと同軸上に位置して該コアの厚さ方向の両外側にそれぞれ配置した後、前記コイルヘッドに交流電圧を通電して前記ステータコイル及びコアを加熱することを特徴とするステータコイル及びコアの加熱方法。
【請求項7】
前記遮蔽体は筒形またはドーナツ形である請求項6に記載のステータコイル及びコアの加熱方法。
【請求項8】
前記遮蔽体は、前記コアの径方向におけるステータコイルの外側端部付近に配置されている請求項6または7に記載のステータコイルの加熱方法。
【請求項9】
前記高周波誘導加熱用コイルヘッドは、前記コアの厚さ方向における一端側と他端側のうちの少なくとも一方の端側でステータコイル付近に対応する巻回部を有している請求項6〜8のいずれかに記載のステータコイル及びコアの加熱方法。
【請求項10】
前記コアの外周部を取り巻いて、コアの厚さ方向の中間部に位置する高周波誘導加熱用外側コイルヘッドを配置して高周波誘導加熱を行う請求項6〜9のいずれかに記載のステータコイル及びコアの加熱方法。
【請求項1】
ステータコイルが内周側に巻装された環状コアの中空部に、高周波誘導加熱用コイルヘッドが挿入されることにより、前記ステータコイル及びコアを加熱する高周波誘導加熱手段を備え、
この高周波誘導加熱手段は、
前記コアと同軸上に位置して該コアの厚さ方向の両外側にそれぞれ配置され、前記コイルヘッドから発生する磁束が前記コアの外周部に及ぶのを阻止する遮蔽体を備えていることを特徴とするステータコイル及びコアの加熱装置。
【請求項2】
前記遮蔽体は筒形またはドーナツ形である請求項1に記載のステータコイル及びコアの加熱装置。
【請求項3】
前記遮蔽体は、前記コアの径方向におけるステータコイルの外側端部付近に配置されている請求項1または2に記載のステータコイル及びコアの加熱装置。
【請求項4】
前記高周波誘導加熱用コイルヘッドは、前記コアの厚さ方向における一端側と他端側のうちの少なくとも一方の端側でステータコイル付近に対応する巻回部を有している請求項1〜3のいずれかに記載のステータコイル及びコアの加熱装置。
【請求項5】
前記コアの外周部を取り巻いて、コアの厚さ方向の中間部に位置する高周波誘導加熱用外側コイルヘッドが配置されてなる請求項1〜4のいずれかに記載のステータコイル及びコアの加熱装置。
【請求項6】
ステータコイルが内周側に巻装された環状コアの中空部に、高周波誘導加熱用コイルヘッドを挿入し、前記ステータコイルを高周波誘導加熱するステータコイル及びコアの加熱方法であって、
前記高周波誘導加熱用コイルヘッドから発生する磁束が前記コアの外周部に及ぶのを阻止する遮蔽体を、前記コアと同軸上に位置して該コアの厚さ方向の両外側にそれぞれ配置した後、前記コイルヘッドに交流電圧を通電して前記ステータコイル及びコアを加熱することを特徴とするステータコイル及びコアの加熱方法。
【請求項7】
前記遮蔽体は筒形またはドーナツ形である請求項6に記載のステータコイル及びコアの加熱方法。
【請求項8】
前記遮蔽体は、前記コアの径方向におけるステータコイルの外側端部付近に配置されている請求項6または7に記載のステータコイルの加熱方法。
【請求項9】
前記高周波誘導加熱用コイルヘッドは、前記コアの厚さ方向における一端側と他端側のうちの少なくとも一方の端側でステータコイル付近に対応する巻回部を有している請求項6〜8のいずれかに記載のステータコイル及びコアの加熱方法。
【請求項10】
前記コアの外周部を取り巻いて、コアの厚さ方向の中間部に位置する高周波誘導加熱用外側コイルヘッドを配置して高周波誘導加熱を行う請求項6〜9のいずれかに記載のステータコイル及びコアの加熱方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−118731(P2008−118731A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−297010(P2006−297010)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(505361587)株式会社オー・イー・ティー (9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(505361587)株式会社オー・イー・ティー (9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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