説明

ストリップの先端および尾端のオフゲ−ジ部の処理装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ストリップの先端および尾端のオフゲ−ジ部の処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】一般に、圧延機により圧延され、コイル状に巻取られた鉄および非鉄帯板(以下、ストリップという)では、先端部および尾端部(約50〜60m )が、圧延時に圧延設備の張力不足等の各種の原因により規定の厚さの許容値を外れている。厚さが規定値より外れた先端部および尾端部をオフゲ−ジ部と称しているが、このオフゲ−ジ部は製品とならないので、ストリップを焼鈍、酸洗、メッキまたは塗装処理等する処理ラインの入側部やライン内で切除している。
【0003】かかるストリップの先端および尾端オフゲ−ジ部の極一般的な切除処理装置を述べる。図2および図3(図2のa〜矢視図)において、先端のオフゲ−ジ部を切除するにはオフラインBにおいて、先端オフゲ−ジ部を有するコイル1をオフゲ−ジコイル巻戻機3Bにセットし、先端オフゲ−ジ部をオフゲ−ジコイル巻取機4Bへ送り出しオフゲ−ジコイル2Bを形成し、コイル1のストリップ1Aに、先端オフゲ−ジ部が無くなれば、オフライン切断機5Bによって切断する。そのとき、ストリップ1Aにオフゲ−ジ部があるか否かは適宜の厚さ計(不図示)によって測定する。
【0004】次いで、先端のオフゲ−ジ部を切除したコイル1を、クレ−ン等により焼鈍等の処理設備に設けたコイルスキッド6に載置する。次いで、これをコイルカ−7により処理ラインAの入口側のコイル巻戻機3Aにセットし、これより製品となるストリップ1Aを巻戻しながら処理ラインAへ送り出す。そして、コイル終わりに近くなって厚さ計の検出または上位装置からの指示等により、尾端のオフゲ−ジ部が現れると、この尾端のオフゲ−ジ部をインライン切断機5Aにより多数の短片に切断し、これをスクラップ受8に排出する。
【0005】したがって、かかるストリップの先端および尾端のオフゲ−ジ部の処理装置では、先端のオフゲ−ジ部が処理されるオフラインBのオフゲ−ジ処理部と、処理ラインAにおける尾端のオフゲ−ジ部が処理されるインライン切断機5Aとの2箇所で処理されることになり、スペ−スも多く必要となり、その上、オフゲ−ジ部も先端のオフゲ−ジコイル2Bと尾端の短片状のものとの2種類となり、切断処理方法も複雑となっていた。
【0006】そのため、図4(A)および(B)に示すような改良型のオフゲ−ジ処理装置が案出されて実施されている。図4(A)では、処理ラインAのコイル巻戻機3Aより反処理ライン側に、インライン切断機9を配置し、ガイド10を介して、先端のオフゲ−ジ部や後端のオフゲ−ジ部をピンチロ−ル18で噛み込み、インライン切断機9により多数の短片に切断し、これをスクラップ台車11へ排出するようにしている。
【0007】しかしながら、図4(A)で示す処理装置では、先端や尾端のオフゲ−ジ部を短片に切断処理するため、ストリップの送り→停止→切断を繰り返す必要上、切断処理に時間がかかる、という問題があり、また、切断後の短片がガイド10やスクラップ台車11に突っ掛けることがあって、その都度、人手の介入を必要とする、という問題があった。
【0008】図4(B)では、処理ラインAのコイル巻戻機3Aより反処理ライン側に、インライン切断機9およびインライン・オフゲ−ジコイル巻取機4Aを配置し、先端のオフゲ−ジ部や後端のオフゲ−ジ部をピンチロ−ル18で噛み込み、次いで、インライン・オフゲ−ジコイル巻取機4Aによりオフゲ−ジコイル2Aとして巻取り、オフゲ−ジ部が巻き取られると、送りを停止し、インライン切断機9により切断していた。なお、12はオフゲ−ジラッパ−、13はオフゲ−ジコイル台車を示す。
【0009】しかしながら、図4(B)で示す処理装置では、設備費が高くつき、オフゲ−ジ部のコイル巻き終わり時のコイル緩み止めに人手を必要とする、という問題があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は、かかる従来の諸問題を解決するためになされたもので、その要旨とするところは、ストリップの処理ライン(A)の入口側にコイル巻戻機(3A)を設け、該コイル巻戻機(3A)より反処理ライン側に切断機(9)およびオフゲ−ジ用ロ−ラ−型ベンダ−(14)を設けたことを特徴とするストリップの先端および尾端のオフゲ−ジ処理装置にある。
【0011】
【実施例】本発明を添付図面に示す実施例により詳細に述べる。図1は本発明の実施例の概念図であるが、従来例を示す図2、図3および図4と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0012】図1において、処理ラインAのコイル巻戻機3Aより反処理ライン側に、インライン切断機9およびロ−ラ−型ベンダ−14を配置し、先端のオフゲ−ジ部や後端のオフゲ−ジ部をピンチロ−ル18で噛み込み、ベンダ−14へ送り込む。
【0013】このロ−ラ−型ベンダ−14では上側に設けた押圧ロ−ラ−14cと、下側に設けた送りロ−ラ−14bおよび曲げロ−ラ−14aとによって、ストリップ1Aのオフゲ−ジ部に塑性曲げを与え、ロ−ラ−型ベンダ−14上でオフゲ−ジコイル17に形成する。次いで、不図示の厚さ計の検知または上位装置からのオフゲ−ジ長さの指示等により、先端のオフゲ−ジ部の巻取りが終わると、ストリップ1Aの送りを停止し、インライン切断機9により切断する。次いで、ピンチロ−ル18を逆転してストリップ先端部を引戻した後、製品となるストリップ1Aを、コイル巻戻機3Aにより巻き戻しながら処理ラインAへ送り、適宜の処理を行う。
【0014】一方、ロ−ラ−型ベンダ−14で巻かれたオフゲ−ジコイル17は、傾転用シリンダ−(図示せず)で操作されるチルドガイド15により、矢印t方向に移され、コイル受16へ排出される。なお、尾端のオフゲ−ジ部については、前記の先端のオフゲ−ジ部の処理操作と同様に行えばよい。
【0015】
【発明の効果】本発明によれば、ストリップの先端および尾端のオフゲ−ジ部を、処理ラインの入口側に設けたコイル巻戻機に対して反処理ライン側で、ロ−ラ−型ベンダ−によりコイル状に形成し、これを切除するので、オフライン等の場所をとらず、殊に、オフゲ−ジ部はロ−ラ−型ベンダ−で巻かれるので、安価な設備となると共に、塑性曲げにより、切断機によるオフゲ−ジ部の切断中の突っ掛かりや、コイル終端に緩み止めが必要でなく、ひいては、人手が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の概念図である。
【図2】従来例の平面図である。
【図3】図2のa〜断面図である。
【図4】(A)、(B)は、他の従来例の概念図である。
【符号の説明】
3A…コイル巻戻機、9…インライン切断機、14…ロ−ラ−型ベンダ−

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ストリップの処理ライン(A)の入口側にコイル巻戻機(3A)を設け、該コイル巻戻機(3A)より反処理ライン側に切断機(9)およびオフゲ−ジ用ロ−ラ−型ベンダ−(14)を設けたことを特徴とするストリップの先端および尾端のオフゲ−ジ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【特許番号】第2784707号
【登録日】平成10年(1998)5月29日
【発行日】平成10年(1998)8月6日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−328730
【出願日】平成4年(1992)11月14日
【公開番号】特開平6−154855
【公開日】平成6年(1994)6月3日
【審査請求日】平成8年(1996)9月30日
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【参考文献】
【文献】特開 昭52−14562(JP,A)
【文献】特開 昭51−137654(JP,A)
【文献】特開 昭49−35260(JP,A)
【文献】実開 昭63−85313(JP,U)