説明

ストレッチ用具

【課題】足のストレッチやアキレス腱の強化を、一人で楽に簡単に安定して行うことができるストレッチ用具を提供する。
【解決手段】ストレッチ用具10は、略長方形状の敷板12と、使用者50の足52を受ける足受け機構と、使用者50自身の動作によりストレッチを補助する補助機構により構成され、前記足受け機構を構成する操作板20が、補助機構も兼ねる。操作板20は、支持板14Aと仕切板14C間の軸18を支点として回動可能であり、その表面20Cには、スライド可能な可動板30が設けられている。該可動板30は、ローラ34A,34Bによってスライドが容易となっており、バネ36A,36Bによってスライド範囲が制限される。足裏54を可動板30に当てて操作板20を矢印FA方向に引くと、足首と足裏が曲がってアキレス腱が伸びる。このとき、足52の曲がり具合に応じて可動板30がスライドする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレッチ用具に関し、更に具体的には、足や腰などの下半身のストレッチに適したストレッチ用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
予防は治療の救世主であり、柔軟な体を維持すること,特に、足首,足指の付根,アキレス腱,腰,足裏などを伸ばして、動かせる範囲を広げるようにすることが健康を維持する近道である。また、足腰の弱った人ばかりでなく、健康な人であっても下半身のストレッチをすることは疲労回復や健康維持に役立ち、アスリートにとっても、下半身の柔軟性の維持やアキレス腱の強化などは必須である。他人の手を借りずに、一人でストレッチすることを手助けするための器具として、例えば、下記特許文献1には、足指を開くための仕切りの付いた足底板と、足底を伸張させる足底板の裏側に付いたベルトと、足のズレ防止ベルトとによって構成されており、足指を開きながらアキレス腱を伸ばすストレッチ補助器具が開示されている。また、下記特許文献2には、敷板に対して回転するテコを利用して、スポンジ付押板と指圧用突起で足を挟んで足裏を指圧したり、前記スポンジ付押板に連続して設けられたアキレスケン用板を利用してアキレス腱の伸張運動をする足圧健康器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−215967号公報
【特許文献2】実開平6−13830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した背景技術には、次のような不都合がある。まず、前記特許文献1に記載の技術では、足指を通すループ部分を設ける都合状、左右の足のそれぞれについて足底板を用意しなければならず、両足にそのまま適用することができない。また、ベルトが足底板に接続された部分のみを引っ張ることになるため、アキレス腱や足指の付根部分の伸張が十分ではないという不都合がある。また、前記特許文献2に記載の技術では、同文献の第3図に示すように足裏を指圧する場合には、指圧位置を変えるために利用者自身が敷板上で体の位置をずらさなければならず、足裏の指圧位置を自動的に変えることはできない。また同文献第4図に示すように、足裏にアキレスケン用板を接触させてアキレス腱を伸ばす場合、伸縮自在テコを引いたときに、利用者自身の足がつかえとなってスムースに足首を曲げることができず、その結果、ストレッチが不十分になるという不都合がある。
【0005】
本発明は、以上のような点に着目したもので、足(足裏,足首,アキレス腱等を含む)や腰のストレッチを、一人で楽に簡単に、かつ、安定してスムースに行うことができ、足のストレッチにおいては、左右の足に利用可能なストレッチ用具を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のストレッチ用具は、使用者が乗る敷板と、該敷板の長手方向の一端側において、前記使用者の足の一部を受ける足受け機構と、該足受け機構によって足の一部を受けた状態において、前記使用者自身の動作により身体のいずれかの部位のストレッチ補助を行う補助機構と、を備えており、前記足受け機構が、前記敷板の一端側に立設された一対の支持板と、該一対の支持板に対して略平行であって、前記一対の支持板間を仕切る仕切板と、前記一対の支持板間,あるいは、一対の支持板のうちの一方の支持板と前記仕切板の間に、あるいは、前記一対の支持板を貫通して、前記敷板の表面に対して略平行に設けられた軸と、を含んでおり、前記軸に固定された足受け部,あるいは、前記軸を支点として回動する操作板によって、前記使用者の足の一部を受けることを特徴とする。
【0007】
主要な形態の一つは、前記足受け機構が、前記操作板によって前記使用者の足裏を受けて、前記敷板との間に使用者の足を挟むことにより前記補助機構を兼ねるとともに、前記操作板は、一端側が前記軸を支点として回動可能であり、他端側が前記使用者による回動操作に使用されることを特徴とする。他の形態は、前記操作板は、該操作板の表面に沿ってスライド可能であって、前記使用者の足裏を受ける可動板と、該可動板と前記操作板の間に配置された一つ以上の回転体と、前記敷板と可動板にわたって設けられており、前記可動板のスライド範囲を制限する弾性体と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
他の主要な形態は、前記足受け機構が、前記軸に固定された略板状の足受け部によって、前記使用者の足の甲を受けるとともに、前記補助機構が、前記足受け部に甲を当てた使用者の足裏を押圧する押圧体と、略L字状であって、短手部分の先端側に前記押圧体が設けられ、長手部分が前記使用者の操作に使用される操作バーと、前記押圧体が使用者の足裏に当接しながら移動可能となるように、前記操作バーを回動可能に支持する支持機構と、を備えたことを特徴とする。他の形態は、前記足受け機構の軸が、前記一対の支持板のうちの一方の支持板と前記仕切板との間に設けられるとともに、前記支持機構が、前記一対の支持板のうちの他方の支持板と前記仕切板との間に設けられたガイド軸と、該ガイド軸が貫通可能であって、該ガイド軸に沿ってスライド可能な第1貫通部と、該第1貫通部に対して回転可能であって、前記操作バーの長手部分がスライド可能に貫通する第2貫通部とを備えたスライダと、前記操作バーの長手部分に対する前記スライダの位置決めをする位置決め機構と、を含むことを特徴とする。更に他の形態は、前記略板状の足受け部の底面に、形状復元可能な緩衝体を設けることで、前記押圧体が使用者の足裏に当接した状態で、前記操作バーの長手部分を操作することにより、前記押圧体とともに、前記使用者の足が前記緩衝体を介して前記足受け部に対して動くことを特徴とする。
【0009】
更に他の主要な形態は、前記足受け機構の軸が、前記仕切板を貫通して前記一対の支持板間に設けられており、該軸の外周面を覆う足受け部によって、前記仕切板を境にして前記使用者の足の甲を片足ずつ受けるとともに、前記補助機構が、下端側が前記一対の支持板近傍で前記敷板に固定され、上端側で前記使用者の腰付近を受け、かつ、前記敷板の表面との間になす角が鋭角となるように設定された下半身受け部を有する枠体であることを特徴とする。他の形態は、前記枠体の下半身受け部に、突出部を設けたことを特徴とする。
【0010】
更に他の主要な形態は、前記足受け機構の軸が、前記仕切板及び前記一対の支持板を貫通しており、前記一対の支持板の外側において、前記軸の外周面を覆う足受け部によって、前記使用者の足の踵を片足ずつ受けるとともに、前記補助機構が、下端側が前記一対の支持板近傍で前記敷板に固定され、上端側で前記使用者の腹部付近を受け、かつ、前記敷板の表面との間になす角が鋭角となるように設定された下半身受け部を有する枠体であることを特徴とする。主要な形態の一つは、前記いずれかの補助機構は、前記使用者の腰又は腹部を受ける位置を変更可能であることを特徴とする。
【0011】
更に他の形態は、前記いずれかのストレッチ用具において、前記足受け機構の軸の位置が変更可能であることを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0012】
本発明のストレッチ用具は、使用者が乗る略長方形の敷板と、該敷板の長手方向の一端側において、前記使用者の足の一部を受ける足受け機構と、該足受け機構によって足の一部を受けた状態において、前記使用者自身の動作により身体のいずれかの部位のストレッチ補助を行う補助機構と、を備えている。そして、前記足受け機構が、前記敷板の一端側に立設された一対の支持板と、該一対の支持板に対して略平行であって、該一対の支持板間を仕切る仕切板と、前記一対の支持板間,あるいは、一対の支持板のうちの一方の支持板と前記仕切板の間に、あるいは、前記一対の支持板を貫通して、前記敷板の表面に対して略平行に設けられた軸と、を含んでおり、前記軸に固定された足受け部,あるいは、前記軸を支点として回動する操作板によって、前記使用者の足の一部を受ける。このため、前記補助機構を利用した使用者自身の動作により、足や腰などのストレッチを、一人で楽に簡単に、かつ、安定してスムースに行うことができ、足腰の柔軟性の維持やアキレス腱の強化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1を示す図であり、(A)は全体構成を示す側面図,(B)は前記(A)を矢印F1方向から見た図,(C)は作用を示す側面図である。
【図2】本発明の実施例2を示す図であり、(A)は全体構成を示す外観斜視図,(B-1)及び(B-2)は本実施例の主要部の外観斜視図,(C)及び(D)は変形例を示す図である。
【図3】本発明の実施例3を示す図であり、(A)は全体構成を示す側面図,(B)は前記(A)を矢印F3方向から見た図,(C)は変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
最初に、図1を参照しながら本発明の実施例1を説明する。図1(A)は本実施例のストレッチ用具の全体構成を示す側面図,図1(B)は前記(A)を矢印F1方向から見た図,(C)は作用を示す側面図である。本実施例のストレッチ用具10は、主に足首の柔軟性向上とアキレス腱の強化に適した形態であって、使用者50が乗る略長方形状の敷板12と、前記使用者50の足52を受ける足受け機構と、使用者50自身の動作によりストレッチを補助する補助機構とにより構成されている。なお、本実施例では、後述するように、前記足受け機構が前記補助機構を兼ねる構成となっている。
【0016】
前記足受け機構は、前記敷板12の長手方向の一方の端部12A側に、互いに略平行となるように立設された一対の支持板14A,14Bと、これら一対の支持板14A,14Bに対して略平行であり、該一対の支持体14A,14B間を仕切る仕切板14Cと、前記支持板14Aと仕切板14Cの間に、前記敷板12の表面12Cと略平行となるように配置された軸18と、該軸18を支点として回動する操作板20により構成されている。前記軸18は、軸受け18A及び18Bにより、回転可能に支持されている。また、前記敷板12は、長手方向略中央部分に設けた蝶番68によって、折り畳み可能となっている。
【0017】
前記操作板20は、端部20A,20Bが本体部に対して略直交するように屈曲した形状となっており、一方の端部20A側が前記軸18を支点として回動となるように取り付けられており、他方の端部20B側が前記使用者50による回動操作の際に握るグリップとして利用される。本実施例では、前記操作板20は、軸18に対して着脱可能となっている。また、前記操作板20の表面20C(敷板12との間に足52を挟む面)には、該表面20Cに沿ってスライド可能であって、表面30A側で使用者50の足裏54を受ける可動板30が設けられている。前記可動板30の裏面30B側には、2箇所の凸部32A,32Bが適当な間隔をおいて設けられている。また、前記操作板表面20Cにも、前記可動板30が設けられる位置に、適当な間隔で2つの凸部22A,22Bが設けられている。そして、前記凸部22Aと32Aの間には、略棒状のローラ34Aが配置され、前記凸部22Bと32Bの間には、同じく略棒状のローラ34Bが配置されている。これらローラ34A,34Bは、前記可動板30のスライドを補助するためのものである。
【0018】
更に前記可動板30と操作板20は、適宜間隔で設けられた2つのバネ36A,36Bによって接続されている。これらバネ36A,36Bによって、可動板30が操作板20に対してスライド可能に固定され、かつ、スライドした可動板30が元の位置に戻りやすくなるように付勢されている。また、前記バネ36A,36Bの付勢力と、前記凸部22A,22B,32A,32Bにより、可動板30のスライド範囲が制限される。このように、操作板20に設けた可動板30を介して使用者50の足裏54を受けるとともに、前記操作板20と敷板12の間に使用者の足52を挟むことによって、足受け機構が前記補助機構を兼ねる構成となっている。なお、前記各部を構成する材料としては公知の各種の材料が利用可能であるが、前記軸18やバネ36A,36B以外の部分については、例えば、木材を使用すると使用感がよい。
【0019】
次に、本実施例の作用を説明する。なお、使用開始前は、前記操作板20は、軸18から取り外されており、敷板12の横に置かれている。使用者50は、まず、敷板12に乗り、図1(A)に示すように、片足(図示の例では右足)を伸ばして足裏54の爪先側を可動板30の表面30Aに接触させる。このときに、必要に応じて踵56の下にクッション60を敷いてもよいし、膝裏に枕66を挟んでもよい。また、足52のサイズやストレッチ可能範囲を調整するために、必要に応じて、操作板20の回動の支点となる軸18を、支持板14A及び仕切板14Cに設けた貫通孔24A,24Bの位置に付け替えるようにしてもよい。そして、前記軸18に操作板20を取り付け、準備ができたら、使用者50は、体の力を抜いてリラックスした状態で、図1(A)及び(C)に矢印FAで示すように操作板20を引き下げる。なお、事故防止の観点から、操作板20の操作は、使用者50が自分自身で行うものとする。
【0020】
すると、足首の曲がり具合に応じて、前記可動板30が図1(A)及び(C)に矢印FBで示すようにスライドする。このため、足首,足指の付根部分,アキレス腱部分のストレッチをスムースに行うことができる。操作板20を矢印FAと反対方向に戻せば、可動板30も矢印FB方向と逆方向に戻り、ストレッチ状態から元の状態に戻る。なお、図示の例では、右足をストレッチする場合について例示したが、左足のストレッチにも利用できることはいうまでもない。その場合には、ストレッチ用具10を図1の状態のまま左足のストレッチを行うようにしてもよいし、軸18を、支持板14Bと仕切板14Cの間に付け替えてストレッチを行うような構成としてもよい。
【0021】
このように、実施例1によれば、次のような効果がある。
(1)敷板12と操作板20の間に使用者50の足52を挟み、前記操作板20の表面20C上に設けたスライド可能な可動板30によって足裏54を受け、前記操作板20を使用者50自身の操作により回動させる構成としたので、一人で楽に簡単に、足首,足指の付根付近,アキレス腱のストレッチを安定して行うことができる。
(2)使用者50自身で操作板20の操作を行うため、ストレッチの強弱,スピード,回数などを自在に加減することができる。
(3)操作板20に対してスライド可能な可動板30によって足裏54を受けることとしたので、使用者50の足自体が操作板20の回動操作の妨げとなりにくく、スムースなストレッチが可能である。
(4)一つのストレッチ用具10によって、左右の双方の足のストレッチが可能である。
(5)ストレッチ用具10を利用したストレッチを繰り返し行うことにより、足首の関節と足指の付根の関節が柔軟になって動かせる範囲が広がるため、疲労回復,健康維持,怪我の防止,老化予防の増進を図ることができ、かつ、アキレス腱の強化も可能である。
(6)操作板20を軸18に対して着脱可能とし、敷板12も蝶板68により折り畳み可能としたので、持ち運びに便利であり、また、不使用時には場所を取らずに収納することができる。
【実施例2】
【0022】
次に、図2を参照しながら本発明の実施例2を説明する。なお、上述した実施例1と同一ないし対応する構成要素には同一の符号を用いることとする(以下の実施例についても同様)。図2(A)は、本実施例のストレッチ用具の全体構成を示す外観斜視図,図2(B-1)及び(B-2)は本実施例の主要部の外観斜視図,図2(C)及び(D)は変形例を示す図である。本実施例のストレッチ用具100は、主に、足裏を押圧してストレッチするためのもので、前記実施例1と同様の敷板12と、前記使用者50の足52を受ける足受け機構と、使用者50自身の動作により足裏の押圧ないしストレッチを行う補助機構により構成されている。
【0023】
足受け機構について説明すると、本実施例では敷板12の端部12A側に設けられた一対の支持板14A,14Bのうち、一方の支持板14Bと仕切板14Cの間に、図2(B-2)に示すように、2本の軸102A,102Bが敷板表面12Cと略平行となるように固定されている。前記軸102A,102Bは、上下左右の位置がずれるように配置されており、前記軸102A,102Bに掛ける金具106A,106Bによって、略板状の足受け板104が取り付けられている。すなわち、足受け板104は、図2(A),図2(B-1)及び(B-2)に示すように、敷板表面12Cに対して傾斜した状態となっている。前記足受け板104は、使用者50の足52の甲58側を受けるものであり、前記甲58を受ける側の面(裏面104A)には、形状復元可能なスポンジ130が設けられている。
【0024】
前記補助機構は、前記使用者50の足裏54を押圧する押圧ロール118と、操作バー110と、該操作バー110の支持機構を含んでいる。前記操作バー110は、角部116を有する略L字形状であって、短手部分112の先端側に前記押圧ロール118が設けられており、長手部分114が、使用者50による回動操作に使用される。該操作バー110の支持機構は、前記短手部分112の先端の押圧ロール118が、使用者50の足裏54に当接する位置を変更可能であって、かつ、前記押圧ロール108を足裏54に当接させたまま、前記操作バー110を回動可能に支持するものである。前記支持機構は、支持板14Aと仕切板14Cの間に、前記敷板表面12Cに対して平行であり、かつ、支持板14Aの手前側から仕切板14Cの奥側にかけて斜めに設けられたガイド軸126と、該ガイド軸126に沿ってスライド可能なスライダ120を含んでいる。
【0025】
前記スライダ120は、図示の例では、本体部分121が例えば木製角材により形成されており、その両端部に、前記操作バー110の長手部分114が矢印FF方向にスライド可能に貫通する第2貫通部122A,122Bが設けられている。そのうち一方の第2貫通部122Bには、前記ガイド軸126が貫通し、該ガイド軸126に沿って矢印FD方向にスライド可能な第1貫通部124が取り付けられている。前記第2貫通部122Bは、前記第1貫通部124に対して回転可能である(図2(B-1)の矢印FE参照)。また、前記操作バー110の長手部分114の適宜部分には、ネジ114Aが形成されており、該ネジ114Aにはナット115が螺合している。該ナット115を前記ネジ114Aに沿って回転させて、その位置を図2(B-1)に矢印FFで示す方向に移動させることにより、ナット115がスライダ端部120Aに当たる位置を調節することができる。すなわち、操作バー110を前後移動できる範囲に制限を設けて、押圧ロール118が足裏52に当たる位置を調節することが可能となる。
【0026】
本実施例のストレッチ用具100を利用して足裏54の押圧ないしストレッチを行う際には、図2(A)に示すように、使用者50は敷板12の上に乗って、片足(図示の例では左足)の甲58を、足受け板104の裏面104Bのスポンジ130に当てる。そして、操作バー110の長手部分114を手前に引いて、押圧ロール118を足裏54に当てたら、ナット115がスライダ端部120Aに当たるまでネジ114Aに沿って回し、位置を固定する。押圧ロール118が当たる左右位置を調節するときは、スライダ120の第1貫通部124をガイド軸126に沿って左右に(矢印FD方向に)移動させる。このとき、スライダ120をガイド軸126に沿って移動させるにともない、スライダ120の前後位置も変わるため、必要に応じて前記ナット115とネジ114Aにより前後位置を調節する。また、押圧ロール118が当たる上下位置を調節するときは、操作バー110の長手部分114を上下に動かすことで変更できる。以上のようにして押圧ロール118が当たる位置を所望の位置に調節したら、図2(A)に矢印FCで示すように操作バー110を左右に動かす。すると、前記操作バー110の先端の押圧ロール118は、前記スライダ120の第2貫通部122Bを支点として左右に動く。このとき、本実施例では、足52の甲58を前記スポンジ130で受けているので、押圧ロール118が動くと、前記スポンジ130が変形し、該押圧ロール118とともに足52も足受け板104に対して動く。このため、足裏54を刺激してほぐすことができる。
【0027】
このように、実施例2によれば、支持板14Bと仕切板14C間に設けた軸106A,106Bに固定した足受け板104の裏面104Aに設けたスポンジ130によって、使用者50の足52の甲58を受けるとともに、略L字状の操作バー110の短手部分112の先端に設けた押圧ロール118を足裏54に当てる。そして、前記操作バー110の操作によって前記押圧ロール118の位置が変わるように、前記操作バー110を支持するスライダ120を、支持板14Aと仕切板14Cの間に前後方向に斜めであり、かつ、敷板12に対して水平に設けられたガイド軸126に沿ってスライドするように取り付けた。このため、押圧ロール118が動くように操作バー110を動かすと、足52も前記スポンジ130を介して前記足受け板104に対して動き、足裏54を刺激してほぐすことができる。また、操作バー110の回動操作の範囲や速度,あるいは、押圧ロール118の足裏54への押付け具合も、使用者50が自在に加減できるため、使い勝手がよい。
【0028】
なお、図2(C)に示すように、前記押圧ロール118に代えて、操作バー110の短手部分112の先端に、前記長手部分114と略平行となるように折り曲げられた押圧部128を設けるようにしても同様の効果が得られる。更に、図2(D)に示すように、前記押圧部128の先端にネジ部128Aを形成し、該ネジ部128Aと螺合するナットが内側に形成されたアタッチメント140を用いて、足裏54を刺激してもよい。むろん、図示のアタッチメント140は一例であり、他の形態のアタッチメントに付け替えて使用してもよい。また、反対の足をほぐす場合や、利き手が異なる場合も考慮して、支持板14A,14B間での足受け板104と操作バー110の位置を左右逆にした足受け機構を用意しておき、必要に応じて敷板12に対して付け替えて使用できる構成としてもよいし、あるいは、足受け板104用の軸102A,102Bや、操作バー110用のガイド軸126の位置を左右交換可能な構成としてもよい。
【実施例3】
【0029】
次に、図3を参照しながら本発明の実施例3を説明する。図3(A)は、本実施例の全体構成を示す図,図3(B)は前記(B)を矢印F3方向から見た図,図3(C)は変形例を示す図である。本実施例は、使用者50の腰64のストレッチに適した構成となっており、前記敷板12と、足受け機構と、ストレッチの補助機構により構成されている。本実施例のストレッチ用具200では、足受け機構の軸18は、仕切板14C及び一対の支持板14A,14Bを貫通し、該支持板14A,14Bの外側において軸受け18A,18Bによって両端が支持されている。前記軸18の外周面は、クッション材202A,202Bにより覆われている。そして、前記仕切板14Cを境にして、使用者50の右足52Aと左足52Bの甲58をそれぞれ受ける。
【0030】
ストレッチの補助機構は、フレーム212,214,216からなる枠体210により構成されている。これらフレーム212,214,216は、それぞれ一対ずつ設けられており、後述する当て板220,222や補強板224のほか、図示しない横木等によって結合されている。本実施例では、前記フレーム212と214のなす角部が、前記支持板14A,14B側になるように配置されるとともに、使用中にずれることがないように、図示しない固定手段によって枠体210が敷板12に固定される。また、前記フレーム214の上方の端部214Aは、フレーム216の端部216Bと当て板220により結合されており、該当て板220によって使用者50の腰64が支持される。なお、前記フレーム214と軸18の間に足52を挟むことができるように、フレーム214と敷板表面12Cがなす角度αは、鋭角に設定されている。
【0031】
更に、本実施例では、前記フレーム214の中間部には、他の当て板222が設けられており、該当て板222は、補強板224によって補強されている。前記当て板222は、使用者50のふくらはぎ62近傍(あるいはひざ裏近傍)に当接するように配置されている。なお、前記フレーム216とフレーム212は、伸縮性を有するゴムベルト218により接続されており、該ゴムベルト218を緩めることによって、図3(A)に点線で示すようにフレーム216を矢印FG方向に移動させることができる。すなわち、前記角度αが小さくなり、使用者50の腰64を受ける支点を低くすることができる。逆に、フレーム216を、図3(A)に実線で示す位置よりも右側にずらせば、支点位置を高くすることができる。
【0032】
本実施例のストレッチ用具200を利用してストレッチを行う場合には、枠体210を敷板12に固定し、フレーム214に寄り掛かるようにして足52を軸18の下に差し入れ、甲58をクッション材202A,202Bに当てる。そして、腰64を支点として反ると、腰部64のストレッチを行うことができる。ストレッチを行う速さや範囲は、使用者50自身の動作により自在に加減することができる。なお、図3(A)及び(B)に示す例では、腰64のストレッチを行うこととしたが、図3(C)に示す変形例のように、枠体210上にうつ伏せ、上体を持ちあげることにより、背筋を鍛えることも可能である。この場合、前記足受け機構の軸18が一対の支持板14A,14Bを完全に貫通し、その外側にクッション材204A,204Bを設けることで、足52の踵を掛け、使用者50の動作中の足52の支持が可能となる。
【0033】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例で示した形状,寸法は一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。また、材質についても、木材を例として挙げたが、これも一例であり、必要に応じて適宜変更可能である。
(2)前記実施例1で示した操作板20と可動板30をつなぐバネ36A,36Bも一例であり、ゴムバンドなどのように、同様の効果を奏する範囲内で公知の各種の付勢手段を利用してよい。また、ローラ34A,34Bの位置や個数も適宜変更可能である。クッション60も必要に応じて利用すればよい。
(3)前記実施例2で示したガイド軸126とスライダ120を利用した操作バー110の支持機構も一例であり、同様の効果を奏する範囲内で適宜設計変更可能である。また、ガイド軸126の傾き方向や、足受け板104の設置角度も必要に応じて適宜変更してよい。
(4)前記実施例2で示したスポンジ130によって足の甲58を受ける構成も一例であり、スポンジ130を介在させないことで、足52は動かさずに押圧ロール118のみが動く構成としてもよい。
(5)前記実施例3で示した枠体210も一例であり、フレーム212,214,216や当て板220,222以外の構成要素を含むようにしてもよい。また、敷板12に対する枠体210の固定位置も一例であり、使用者50の身長や体型などに応じて変更可能である。
(6)前記実施例1,2で示した軸18や、実施例3で示した軸202A,202Bの位置も一例であり、必要に応じて変更可能な構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、使用者が乗る略長方形の敷板と、該敷板の長手方向の一端側において、前記使用者の足の一部を受ける足受け機構と、該足受け機構によって足の一部を受けた状態において、前記使用者自身の動作により身体のいずれかの部位のストレッチ補助を行う補助機構と、を備えている。そして、前記足受け機構が、前記敷板の一端側に立設された一対の支持板と、該一対の支持板に対して略平行であって、該一対の支持板間を仕切る仕切板と、前記一対の支持板間,あるいは、一対の支持板のうちの一方の支持板と前記仕切板の間に、あるいは、前記一対の支持板を貫通して前記敷板の表面に対して略平行に設けられた軸と、を含んでおり、前記軸に固定された足受け部,あるいは、前記軸を支点として回動する操作板によって、前記使用者の足の一部を受ける。このため、前記補助機構の操作により、足や腰のストレッチを、一人で楽に簡単に、かつ、安定してスムースに行うことができるため、ストレッチ用具の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0035】
10:ストレッチ用具
12:敷板
12A,12B:端部
12C:表面
14A,14B:支持板
14C:仕切板
16A,16B:補強材
18:軸
18A,18B:軸受け
20:操作板
20A,20B:端部
20C:表面
22A,22B:凸部
24A,24B:貫通孔
30:可動板
30A:表面
30B:裏面
32A,32B:凸部
34A,34B:ローラ
36A,36B:バネ
50:使用者
52:足
52A:右足
52B:左足
54:足裏
56:踵
58:甲
60:クッション
62:ふくらはぎ
64:腰
66:枕
68:蝶番
100:ストレッチ用具
102A,102B:軸
104:足受け板
104A:表面
104B:裏面
106A,106B:金具
110:操作バー
112:短手部分
114:長手部分
114A:ネジ
115:ナット
116:角部
118:押圧ロール
120:スライダ
120A:端部
121:本体部分
122A,122B:第2貫通部
124:第1貫通部
126:ガイド軸
128:押圧部
128A:ネジ部
130:スポンジ
140:アタッチメント
200:ストレッチ用具
202A,202B,204A,204B:クッション材
210:枠体
212,214,216:フレーム
212A,212B,214A,214B,216A,216B:端部
218:ゴムベルト
220,222:当て板
224:補強板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が乗る敷板と、
該敷板の長手方向の一端側において、前記使用者の足の一部を受ける足受け機構と、
該足受け機構によって足の一部を受けた状態において、前記使用者自身の動作により身体のいずれかの部位のストレッチ補助を行う補助機構と、
を備えており、
前記足受け機構が、
前記敷板の一端側に立設された一対の支持板と、
該一対の支持板に対して略平行であって、前記一対の支持板間を仕切る仕切板と、
前記一対の支持板間,あるいは、一対の支持板のうちの一方の支持板と前記仕切板の間に、あるいは、前記一対の支持板を貫通して、前記敷板の表面に対して略平行に設けられた軸と、
を含んでおり、
前記軸に固定された足受け部,あるいは、前記軸を支点として回動する操作板によって、前記使用者の足の一部を受けることを特徴とするストレッチ用具。
【請求項2】
前記足受け機構が、前記操作板によって前記使用者の足裏を受けて、前記敷板との間に使用者の足を挟むことにより前記補助機構を兼ねるとともに、
前記操作板は、一端側が前記軸を支点として回動可能であり、他端側が前記使用者による回動操作に使用されることを特徴とする請求項1記載のストレッチ用具。
【請求項3】
前記操作板は、
該操作板の表面に沿ってスライド可能であって、前記使用者の足裏を受ける可動板と、
該可動板と前記操作板の間に配置された一つ以上の回転体と、
前記敷板と可動板にわたって設けられており、前記可動板のスライド範囲を制限する弾性体と、
を備えたことを特徴とする請求項2記載のストレッチ用具。
【請求項4】
前記足受け機構が、前記軸に固定された略板状の足受け部によって、前記使用者の足の甲を受けるとともに、
前記補助機構が、
前記足受け部に甲を当てた使用者の足裏を押圧する押圧体と、
略L字状であって、短手部分の先端側に前記押圧体が設けられ、長手部分が前記使用者の操作に使用される操作バーと、
前記押圧体が使用者の足裏に当接しながら移動可能となるように、前記操作バーを回動可能に支持する支持機構と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載のストレッチ用具。
【請求項5】
前記足受け機構の軸が、前記一対の支持板のうちの一方の支持板と前記仕切板との間に設けられるとともに、
前記支持機構が、
前記一対の支持板のうちの他方の支持板と前記仕切板との間に設けられたガイド軸と、
該ガイド軸が貫通可能であって、該ガイド軸に沿ってスライド可能な第1貫通部と、該第1貫通部に対して回転可能であって、前記操作バーの長手部分がスライド可能に貫通する第2貫通部とを備えたスライダと、
前記操作バーの長手部分に対する前記スライダの位置決めをする位置決め機構と、
を含むことを特徴とする請求項4記載のストレッチ用具。
【請求項6】
前記略板状の足受け部の底面に、形状復元可能な緩衝体を設けることで、
前記押圧体が使用者の足裏に当接した状態で、前記操作バーの長手部分を操作することにより、前記押圧体とともに、前記使用者の足が前記緩衝体を介して前記足受け部に対して動くことを特徴とする請求項5記載のストレッチ用具。
【請求項7】
前記足受け機構の軸が、前記仕切板を貫通して前記一対の支持板間に設けられており、該軸の外周面を覆う足受け部によって、前記仕切板を境にして前記使用者の足の甲を片足ずつ受けるとともに、
前記補助機構が、
下端側が前記一対の支持板近傍で前記敷板に固定され、上端側で前記使用者の腰付近を受け、かつ、前記敷板の表面との間になす角が鋭角となるように設定された下半身受け部を有する枠体であることを特徴とする請求項1記載のストレッチ用具。
【請求項8】
前記枠体の下半身受け部に、突出部を設けたことを特徴とする請求項7記載のストレッチ用具。
【請求項9】
前記足受け機構の軸が、前記仕切板及び前記一対の支持板を貫通しており、前記一対の支持板の外側において、前記軸の外周面を覆う足受け部によって、前記使用者の足の踵を片足ずつ受けるとともに、
前記補助機構が、
下端側が前記一対の支持板近傍で前記敷板に固定され、上端側で前記使用者の腹部付近を受け、かつ、前記敷板の表面との間になす角が鋭角となるように設定された下半身受け部を有する枠体であることを特徴とする請求項1記載のストレッチ用具。
【請求項10】
前記補助機構は、前記使用者の腰又は腹部を受ける位置を変更可能であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載のストレッチ用具。
【請求項11】
前記足受け機構の軸の位置が変更可能であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のストレッチ用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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