説明

ストロボ装置および携帯機器

【課題】本発明は、全ての発光素子を点灯できない場合であっても、一部の発光素子を点灯することを可能とするストロボ装置および携帯機器を提供する。
【解決手段】直列接続される複数の発光素子30、31、32と、複数の発光素子30、31、32を点灯駆動する駆動手段34と、蓄電素子6と、蓄電素子6に電力を供給する電池電源7とを備えるストロボ装置19において、駆動手段34は、電池電源7の電力を蓄電素子6に蓄電させる蓄電状態と、蓄電素子6が蓄電した電力を全ての発光素子30、31、32に供給する第1発光状態と、蓄電素子6が蓄電した電力を一部の発光素子30、31、32に供給する第2発光状態とに切替可能に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直列接続される複数の発光素子と、複数の発光素子を点灯駆動する駆動手段と、蓄電素子と、蓄電素子に電力を供給する電池電源とを備えるストロボ装置および携帯機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図6に示すように、ストロボ装置1として、直列接続される複数の発光素子2、3、4と、発光素子2、3、4を点灯駆動する駆動部5と、蓄電素子6と、蓄電素子6に電力を供給する電池電源7と、インダクタ8、発振駆動手段16、蓄電用比較器17およびダイオード18を有し且つスイッチング素子9のオンオフにより電池電源7から供給される電圧を昇圧させる昇圧チョッパ回路部10と、分圧抵抗11、12とを備えるストロボ装置1が知られている。
【0003】
かかるストロボ装置1は、カメラ部13と共に制御部14によって制御されるようになっており、蓄電状態において、制御部14が蓄電用スイッチ15をオンにすることで、電池電源7は、昇圧チョッパ回路部10における昇圧を介して電力を矢印ibで示す経路で蓄電素子6に供給する。
【0004】
より詳しく説明すると、昇圧チョッパ回路部10の蓄電用比較器17は、入力端子In(−)に入力される分圧抵抗11、12の分圧電圧(蓄電素子6に蓄電されている電圧を示す)をモニタしており、入力端子In(+)に入力される蓄電素子6に蓄電すべき予め定められた電圧値と前記分圧電圧とを比較して、分圧電圧が蓄電素子6に蓄電すべき予め定められた電圧値以下である場合、発振駆動手段16へハイ信号(H信号)を送出する。そして、発振駆動手段16は、蓄電用比較器17からハイ信号を受け取っている間、スイッチング素子9をオンとオフに連続切替することで、電池電源7から蓄電素子6に供給される電力を昇圧する。
【0005】
一方、分圧電圧が蓄電素子6に蓄電すべき予め定められた電圧値を超えた場合、蓄電用比較器17は、発振駆動手段16にロー信号(L信号)を送出し、発振駆動手段16は、蓄電用比較器17からロー信号を受け取ることで、スイッチング素子9のオンとオフとの連続切替を停止する。これにより、電池電源7から蓄電素子6に供給される電力の昇圧が停止される。
【0006】
そして、制御部14は、蓄電素子6が蓄電されている状態でカメラ部13から複数の発光素子2,3、4を発光するトリガ信号を受けると、蓄電用スイッチ15をオフにし、駆動部5にハイ信号を送出して駆動部5を駆動する。これにより、蓄電素子6は、矢印iaで示す経路で複数の発光素子2、3、4に電力を供給し、複数の発光素子2、3、4が蓄電素子6からの電力の供給を受けて発光する(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−77597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、図6に示すストロボ装置1のように、複数の発光素子2、3、4を直列に接続すると、発光素子2、3、4の全てを発光するには、発光素子2、3、4の点灯電圧の総和以上の電圧を印加する必要がある。したがって、発光素子2、3、4の発光に伴って蓄電素子6の蓄電電圧が低下すると、発光素子2、3、4の全てを発光させることができなくなり、発光素子2、3、4を再度点灯させるためには、蓄電素子6を点灯電圧の総和以上に充電する必要がある。そのため、発光素子2、3、4のうち一部の点灯で撮影に十分な光量を確保できる撮影環境であっても、充電が完了しない限り発光素子2、3、4を点灯することができないので、シャッターチャンスを逃してしまう場合がある。
【0009】
一方、複数の発光素子2、3、4を並列に接続する場合、複数の発光素子2、3、4を直列に接続する場合に比べて点灯電圧は低くなるものの、複数の発光素子2、3、4の発光電流は大きくなる。複数の発光素子2、3、4の発光電流を充足するには、部品を大型化するか、部品点数を増やす必要があるが、特に、発光素子の数が多くなればなるほど、部品の大型化または部品点数を増やす必要がある。
【0010】
よって、本発明は、斯かる事情に鑑み、全ての発光素子を点灯できない場合であっても、一部の発光素子を点灯することを可能とするストロボ装置および携帯機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るストロボ装置は、直列接続される複数の発光素子と、複数の発光素子を点灯駆動する駆動手段と、蓄電素子と、蓄電素子に電力を供給する電池電源とを備えるストロボ装置において、駆動手段は、電池電源の電力を蓄電素子に蓄電させる蓄電状態と、蓄電素子が蓄電した電力を全ての発光素子に供給する第1発光状態と、蓄電素子が蓄電した電力を一部の発光素子に供給する第2発光状態とに切替可能に構成されることを特徴とする。
【0012】
斯かる構成によれば、駆動手段は、複数の発光素子のうち、全ての発光素子を点灯させる第1発光状態と、一部の発光素子を点灯させる第2発光状態とを切替える。これにより、ストロボ装置の使用環境に応じて、全ての発光素子を発光する場合と一部の発光素子を発光する場合とを切替えることができる。
【0013】
また、請求項2記載の発明において、駆動手段は、蓄電素子の蓄電している電力に応じて、第1発光状態と第2発光状態とを切替えることが好ましい。
【0014】
斯かる構成によれば、駆動手段は、蓄電素子の蓄電電力を計測し、蓄電素子の電力が少ない場合、第1発光状態から第2発光状態に切替える。
【0015】
また、請求項3記載の発明において、駆動手段は制限抵抗を有し、制限抵抗の抵抗値は、電力が供給される発光素子の数に応じて変化させられることが好ましい。
【0016】
斯かる構成によれば、蓄電素子が一部の発光素子に電力を提供する場合、駆動手段は、制限抵抗の抵抗値を変更することで、発光素子の発光する光量を変化させる。
【0017】
また、請求項4記載の発明において、駆動手段は、蓄電素子の供給可能な電圧および予め定められた電圧を比較する比較器と、全ての発光素子から一部の発光素子へと電力供給を切替えるスイッチとを有し、蓄電素子の供給可能な電圧が予め定められた電圧以下となる場合に、スイッチは電力供給を切替えることが好ましい。
【0018】
斯かる構成によれば、比較器は、蓄電素子の供給可能な電圧および予め定められた電圧を比較し、比較の結果、蓄電素子の供給可能な電圧が予め定められた電圧以下となった場合に、スイッチは、全ての発光素子へ供給している電力を一部の発光素子に供給する状態に切替える。そして、スイッチは、一部の発光素子に電力を供給する状態に切替えるので、蓄電素子の充電をせずとも、発光素子の点灯をすることができる。
【0019】
また、上記ストロボ装置は携帯機器に備えられる。
【発明の効果】
【0020】
以上の如く、本発明に係るストロボ装置および携帯機器によれば、全ての発光素子を点灯できない場合であっても、一部の発光素子を点灯することを可能とすることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係るストロボ装置を備える携帯機器の全体図であって、(a)は斜視図、(b)は異なる方向からの斜視図
【図2】同実施形態に係るストロボ装置における回路図
【図3】同実施形態に係るストロボ装置におけるタイムチャートであって、(a)は地点イでの出力のタイムチャート、(b)は地点ロでの電圧値のタイムチャート、(c)は地点トでの出力のタイムチャート、(d)は地点ヘでの出力のタイムチャート、(e)は地点ハでの出力のタイムチャート、(f)は地点ニでの出力のタイムチャート、(g)は電流値iaのタイムチャート、(h)は発光素子の発光光量のタイムチャート
【図4】他の実施形態に係るストロボ装置における回路図
【図5】同実施形態に係るストロボ装置におけるタイムチャートであって、(a)は地点チでの出力のタイムチャート、(b)は地点リでの電圧値のタイムチャート、(c)は地点ワでの出力のタイムチャート、(d)は地点ヲでの出力のタイムチャート、(e)は地点ヌでの出力のタイムチャート、(f)は地点ルでの出力のタイムチャート、(g)は電流値iaのタイムチャート、(h)は発光素子の発光光量のタイムチャート
【図6】従来におけるストロボ装置における回路図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係るストロボ装置および携帯機器における一実施形態について、図1〜図5を参酌して説明する。
【0023】
図1に示すように、本実施形態に係るストロボ装置19を有する携帯機器20は、LEDフラッシュ機能とデジタルカメラ機能とを搭載した携帯電話機である。携帯機器20は、第1本体21と、折り畳み自在とすべく、ヒンジ機構22を介して第1本体21と連結されている第2本体23とを備える。
【0024】
第1本体21には、携帯機器20を折り畳んだ際の内面側に、数字キーなどによって構成されて携帯機器20の操作の入力を行う操作キー部24と、送話音声を入力するマイク25とが設けられている。また、第1本体21には、携帯機器20を折り畳んだ際の外面側に、着信状態などを通知するサウンダ26が設けられている。
【0025】
第2本体23には、携帯機器20を折り畳んだ際の内面側に、受話音声を出力するスピーカ27と、文字や画像を表示する第1ディスプレイ28とが設けられている。また、第2本体23には、携帯機器20を折り畳んだ際の外面側に、第1ディスプレイ28と同様に文字や画像を表示する第2ディスプレイ29と、光を放射する複数の発光素子(第1発光素子30、第2発光素子31、および第3発光素子32)と、被写体で反射した光(発光素子30、31、32の光や太陽光等の光)を集光する光学系33とが設けられている。
【0026】
図2は、携帯機器20の回路図を示す。携帯機器20は、ストロボ装置19の回路として、上記した発光素子30、31、32の他に、発光素子30、31、32を点灯駆動する駆動手段34と、蓄電素子6と、蓄電素子6に電力を供給する電池電源7と、電圧を昇圧させる昇圧チョッパ回路部10と、分圧抵抗11、12とを備える。また、携帯機器20は、光学系33で集光した光を受光する撮像素子(図示していない)を有して撮像可能なカメラ部13と、カメラ部13およびストロボ装置19を制御する制御部14とを備える。本実施形態において、第1発光素子30、第2発光素子31および第3発光素子32は、それぞれ(白色)LEDとする。また、第1発光素子30、第2発光素子31および第3発光素子32は、蓄電素子6に対して直列に接続されている。
【0027】
昇圧チョッパ回路部10は、電力を蓄積するためのインダクタ(チョークコイル)8、電流の継続と遮断(スイッチング)とを行うスイッチング素子9、発振駆動手段16、蓄電用比較器(オペアンプ)17、および電流の逆流(蓄電素子6から昇圧チョッパ回路部10に向かって流れる電流)を阻止するためのダイオード18を有する。
【0028】
発振駆動手段16は、その出力端子が、スイッチング素子9のゲートに接続されている。スイッチング素子9は、たとえばCMOSであり、アースに接続されるソースと、インダクタ8およびダイオード18に接続されるドレインとを有する。
【0029】
蓄電用比較器17は、蓄電素子6に蓄電すべき予め定められた電圧値を持つ端子に接続される入力端子In(+)と、分圧抵抗11、12に接続される入力端子In(−)と、発振駆動手段16に接続される出力端子とを有する。
【0030】
ストロボ装置19の駆動手段34は、電池電源7の電力を蓄電素子6に蓄電させる蓄電状態と、蓄電素子が蓄電した電力を全ての発光素子に供給する第1発光状態と、蓄電素子6が蓄電した電力を一部の発光素子に供給する第2発光状態とに切替可能に構成される。そのため、駆動手段34は、駆動部35、第1発光用比較器36、第2発光用比較器37、第1ANDゲート38、第2ANDゲート39、第1発光制御スイッチ40(CMOS)、第2発光制御スイッチ41(CMOS)、および蓄電用スイッチ42(CMOS)を有する。駆動部35は、制御部14および発光素子30、31、32に接続され、その内部に、発光素子30、31、32へ流れる電流値を決定する制限抵抗(図示しない)を有する。
【0031】
第1発光用比較器36は、複数の発光素子(第1発光素子30、第2発光素子31および第3発光素子32)の点灯電圧の総和となる電圧値を持つ端子に接続される入力端子In(+)と、分圧抵抗11、12に接続される入力端子In(−)と、第1ANDゲート38の入力端子に接続される出力端子とを有する。
【0032】
第2発光用比較器37は、複数の発光素子のうち、一部の発光素子(第2発光素子31および第3発光素子32)の点灯電圧の総和となる電圧値を持つ端子に接続される入力端子In(+)と、分圧抵抗11、12に接続される入力端子In(−)と、第2ANDゲート39の入力端子に接続される出力端子とを有する。
【0033】
第1ANDゲート38は、第1発光用比較器36に接続される一方の入力端子と、制御部14に接続される他方の入力端子とを有し、第1発光制御スイッチ40のゲートに接続する出力端子を有する。第2ANDゲート39は、第2発光用比較器37に接続される一方の入力端子と、制御部14に接続される他方の入力端子と、第2発光制御スイッチ41のゲートに接続される出力端子とを有する。
【0034】
第1発光制御スイッチ40は、第1発光素子30と並列に接続されており、ドレインが蓄電素子6に接続され、ソースが第2発光素子31に接続されており、自身がオンすることで第1発光素子30を迂回して、第2発光素子31および第3発光素子32に電力を供給するように接続されている。第2発光制御スイッチ41は、第2発光素子31と並列に接続されており、ドレインが第1発光制御スイッチ40のソースに接続され、ソースが第3発光素子32に接続されており、自身がオンすることで第2発光素子31を迂回して、第3発光素子32に電力を供給するように接続されている。
【0035】
蓄電用スイッチ42は、ゲートが制御部14に接続されており、ドレインが電池電源7に接続され、ソースがインダクタ8に接続されており、自身がオンすることで電池電源7の電力をインダクタ8に供給するように接続されている。
【0036】
なお、本実施形態において、第1発光素子30、第2発光素子31および第3発光素子32は、一例として、それぞれ1Vの点灯電圧を有し、それぞれの順方向電圧降下は、1Vfとなる。それゆえに、第1発光素子30、第2発光素子31および第3発光素子32の点灯電圧の総和は3Vとなり、順方向降下電圧の総和は3Vfとなる(図3(b)、符号e参照)。また、蓄電素子6の蓄電すべき予め定められた電圧値を4Vfとし、第1発光用比較器36の入力端子In(+)に接続される端子の電圧値を3Vf、第2発光用比較器37の入力端子In(+)に接続される端子の電圧値を2Vfとする。
【0037】
本実施形態に係るストロボ装置19および携帯機器20の構成については以上の通りであり、次に本実施形態に係るストロボ装置19および携帯機器20の動作について図2および図3を参酌して説明する。
【0038】
図3は、同実施形態に係るストロボ装置におけるタイムチャートであって、(a)は地点イでの出力のタイムチャート、(b)は地点ロでの電圧値のタイムチャート、(c)は地点トでの出力のタイムチャート、(d)は地点ヘでの出力のタイムチャート、(e)は地点ハでの出力のタイムチャート、(f)は地点ニでの出力のタイムチャート、(g)は電流値iaのタイムチャート、(h)は発光素子の発光光量のタイムチャートを示す。
【0039】
時刻t0において、ストロボ装置19は、蓄電素子6への蓄電を開始する蓄電状態になる。蓄電状態になると、駆動手段34は、電池電源7の電力を蓄電素子6に蓄電させる。
【0040】
制御部14は、蓄電用スイッチ42にハイ信号を送出して、地点イにおける出力をローからハイにする。蓄電用スイッチ42が制御部14から送出されるハイ信号を受けてオンになることで、電池電源7は、蓄電用スイッチ42および昇圧チョッパ回路部10を通して、蓄電素子6に電力を供給する。すなわち、矢印ibの電流が、電池電源7から、蓄電用スイッチ42、ダイオード18、蓄電素子6へと流れる。昇圧チョッパ回路部10は、インダクタ8およびスイッチング素子9を利用して、電池電源7から提供される電力の昇圧を開始し、昇圧された電力を蓄電素子6に供給する。
【0041】
昇圧チョッパ回路部10において、蓄電用比較器17は、入力端子In(+)に入力される、蓄電素子6に蓄電すべき予め定められた電圧値4Vfと、入力端子In(−)に入力される地点ロの分圧抵抗11、12の電圧値とを比較している。なお、地点ロの電圧値は、蓄電素子6に実際に蓄電されている電力の分圧電圧値を示す。
【0042】
時刻t0では、地点ロにおける電圧値が0Vfであり、4Vfよりも低いので、蓄電用比較器17は、発振駆動手段16に対してハイ信号を送出し、地点トにおける出力をハイにする。発振駆動手段16は、蓄電用比較器17からのハイ信号を受けて、スイッチング素子9のオンとオフとを連続で切替えて、インダクタ8に流れる電荷を昇圧する。
【0043】
時刻t1において、蓄電素子6は、電圧Vc(本実施形態においては4Vf)となるまで電力を蓄電している。蓄電用比較器17は、入力端子In(−)に、地点ロにおける4Vfを超える電圧値が入力されると、発振駆動手段16にロー信号を送出し、地点トの出力をハイからローにする。発振駆動手段16は、ロー信号を受け取って、スイッチング素子9のオンとオフとの連続切替を停止して、昇圧チョッパ回路部10の昇圧動作を停止する。これにより、蓄電素子6は、電圧値4Vfを超える電力の蓄電を停止する。
【0044】
時刻t2において、携帯機器20の撮像ボタンが操作されたとして、ストロボ装置19は、発光素子30、31、32を発光する第1の発光状態になる。第1の発光状態になると、駆動手段34は、全ての発光素子30、31、32に蓄電素子6の蓄電している電力を供給する。
【0045】
すなわち、カメラ部13が制御部14にストロボを発光する信号を送出すると、制御部14は、ストロボ装置19の蓄電状態を停止すべく、蓄電用スイッチ42に対してロー信号を送出して、地点イにおける出力をハイからローにする。蓄電用スイッチ42は、制御部14からのロー信号を受け取ってオフになり、電池電源7と蓄電素子6との接続を遮断する。そして、制御部14は、駆動手段34を駆動すべく、駆動部35、第1ANDゲート38、および第2ANDゲート39にハイ信号を送出して、地点ヘの出力をローからハイにする。
【0046】
駆動部35は、制御部14からのハイ信号を受けて、蓄電素子6から第1発光素子30、第2発光素子31および第3発光素子32へ電力を供給する回路を点灯駆動する。回路が点灯駆動されることで、蓄電素子6は、第1発光素子30、第2発光素子31および第3発光素子32へ蓄電している4Vfの電力の供給を開始する。また、駆動部35が有する制限抵抗(図示しない)には、電流値ia(本実施形態においては500mA)が流れる。なお、蓄電素子6が第1発光素子30、第2発光素子31および第3発光素子32に電力を供給することで、地点ロの電圧値が4Vfを下回ることとなる。蓄電用比較器17は、地点ロから4Vfを下回る電圧値を得るので、発振駆動手段16にハイ信号を送出して発振駆動手段16を起動する。しかしながら、蓄電用スイッチ42がオフになっているので、昇圧チョッパ回路部10には電池電源7から電力が供給されず、蓄電素子6に昇圧された電力を供給しない。
【0047】
蓄電素子6から供給される電力は、第1発光素子30、第2発光素子31および第3発光素子32に提供され、電流が矢印ia1の回路を流れるので、ストロボ装置19が発光する光量は、第1発光素子30、第2発光素子31および第3発光素子32の3つの発光素子が発光する光量となる。
【0048】
時刻t3において、第1発光素子30、第2発光素子31および第3発光素子32が発光して電力を消費し続けていることで、蓄電素子6に蓄電されている電力の電圧値は3Vfまで落ちる。すなわち、蓄電素子6が蓄電している電力の電圧値は、第1発光素子30、第2発光素子31および第3発光素子32の点灯電圧の総和と等しくなる(図3(b)e参照)。このとき、ストロボ装置19は、発光素子30を消灯し、発光素子31、32を発光する第2の発光状態になる。第2の発光状態になると、駆動手段34は、発光素子31、32に蓄電素子6の蓄電している電力を供給する。
【0049】
第1発光用比較器36は、地点ロから得られる電圧3Vfと、入力端子In(+)に入力されている電圧3Vfとが等しくなるので、ハイ信号を第1ANDゲート38に送出する。第1ANDゲート38は、第1発光用比較器36から得られるハイ信号と、制御部14から得られるハイ信号とから、第1発光制御スイッチ40に対してハイ信号を出力して地点ハの出力をローからハイにする。
【0050】
第1発光制御スイッチ40がハイ信号を受け取ってオンになることで、電流は、矢印ia2のように、第1発光制御スイッチ40、第2発光素子31、第3発光素子32、および駆動部5を流れる。ストロボ装置19が発光する光量は、第2発光素子31および第3発光素子32の2つの発光素子が発光する光量となり、時刻t2における光量と比べて2/3の光量になる。
【0051】
時刻t4において、第2発光素子31および第3発光素子32が発光して電力を消費し続けていることで、蓄電素子6に蓄電されている電力の電圧値は、第2発光素子31および第3発光素子32の点灯電圧の総和2Vfと等しくなる。第2発光用比較器37は、地点ロから得られる電圧値2Vfと入力端子In(+)に入力される電圧値2Vfとが等しくなることで、第2ANDゲート39にハイ信号を送出する。
【0052】
第2ANDゲート39は、第2発光用比較器37から得られるハイ信号と、制御部14から得られるハイ信号とから、第2発光制御スイッチ41に対してハイ信号を出力して、地点ニにおける出力をローからハイにする。第2発光制御スイッチ41は、ハイ信号を受け取ることでオンになり、第1ANDゲート38は、第1発光制御スイッチ40からハイ信号を受け取り続けているのでオンのまま変わらない。
【0053】
第2発光制御スイッチ41がオンになることで、蓄電素子6から供給される電流は、矢印ia3のように、第1発光制御スイッチ40、第2発光制御スイッチ41、第3発光素子32、および駆動部35を流れることになる。ストロボ装置19が発光する光量は、第3発光素子32の1つの発光素子が発光する光量となり、時刻t2における光量と比べて1/3、時刻t3における光量と比べて1/2になる(蓄電素子6が蓄電した電力を一部の発光素子に供給する状態という点では、第2の発光状態であるが、光量がさらに低下するという意味で、第3の発光状態という)。
【0054】
時刻t5において、第3発光素子32が発光して電力を消費し続けていることで、蓄電素子6に蓄電されている電力の電圧値は、第3発光素子32の点灯電圧と等しい1Vfになる。
【0055】
蓄電素子6の蓄電電圧が1Vf未満になると、蓄電素子6から第3発光素子32に供給可能な電圧は、第3発光素子32の点灯電圧1Vfを下回ってしまうので、第3発光素子32は発光しなくなる。そこで、制御部14は、電池電源7から蓄電素子6に電力を供給して蓄電状態にするために、蓄電用スイッチ42にハイ信号を送出して、地点イの出力をハイにする。また、制御部14は、駆動部35、第1ANDゲート38、および第2ANDゲート39にロー信号を送出して、地点への出力をハイからローにする。
【0056】
蓄電用スイッチ42は、ハイ信号を受けて電池電源7と蓄電素子6とを接続する回路をオンにし、駆動部35は、ロー信号を受けて蓄電素子6と、第1発光素子30、第2発光素子31および第3発光素子32とを接続する回路をオフにする。同様に、第1ANDゲート38および第2ANDゲート39は、ロー信号を受けてそれぞれ第1発光制御スイッチ40および第2発光制御スイッチ41にロー信号を送出して、地点ハおよび地点ニにおける出力を共にハイからローにする。第1発光制御スイッチ40および第2発光制御スイッチ41は、それぞれロー信号を受けることで、オフになる。
【0057】
蓄電素子6は、時刻t0における場合と同様に、電池電源7から供給される、昇圧チョッパ回路部10で昇圧される電力を蓄電する。なお、電池電源7から蓄電素子6への蓄電におけるその他の各構成の作用は、時刻t0における場合と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0058】
時刻t6において、蓄電素子6の蓄電途中でカメラ部13から発光素子を発光する信号が入力されると想定して、ストロボ装置19は、蓄電素子6の蓄電を中止して発光素子を発光する。制御部14は、カメラ部13からストロボを発光する信号を受けて、蓄電用スイッチ42にロー信号を送出して、地点イにおける出力をハイからローにする。蓄電用スイッチ42は、ロー信号に応じて、電池電源7と蓄電素子6を接続する回路をオフにする。
【0059】
また、制御部14は、駆動部35、第1ANDゲート38、および第2ANDゲート39にハイ信号を送出して、地点ヘにおける出力をローからハイにする。
【0060】
この時点で、蓄電素子6には電圧値3Vfの電力が蓄電されており、第1発光用比較器36は、地点ロから得られる3Vfの電圧値と入力端子In(+)から得られる3Vfとから、ハイ信号を第1ANDゲート38に供給する。第1ANDゲート38は、第1発光用比較器36から得られるハイ信号と制御部14から得られるハイ信号とから、第1発光制御スイッチ40にハイ信号を送出し、地点ハにおける出力をローからハイにする。第1発光制御スイッチ40は、ハイ信号を受け取ることでオンになり、蓄電素子6から供給される電力を第2発光素子31および第3発光素子32に供給する。すなわち、矢印ia2のように、蓄電素子6から供給される電流は、第1発光制御スイッチ40、第2発光素子31、第3発光素子32、および駆動部35を流れる。ストロボ装置19が発光する光量は、第2発光素子31および第3発光素子32の2つの発光素子が発光する光量となり、3つの発光素子が発光する光量と比べて、2/3になる。
【0061】
時刻t7において、第2発光素子31および第3発光素子32が電力を消費し続けていることで、蓄電素子6に蓄電されている電力の電圧値は、第2発光素子31および第3発光素子32の点灯電圧の総和2Vfと等しくなる。第2発光用比較器37は、地点ロから得られる電圧値2Vfと入力端子In(+)に入力される電圧値2Vfが等しくなるので、ハイ信号を第2ANDゲート39に送出する。
【0062】
第2ANDゲート39は、第2発光用比較器37から得られるハイ信号と制御部14から得られるハイ信号とから、第2発光制御スイッチ41に対してハイ信号を出力し、地点ニにおける出力をローからハイにする。第2発光制御スイッチ41は、ハイ信号を受け取ることでオンになり、第1ANDゲート38は、第1発光制御スイッチ40からハイ信号を受け取り続けているのでオンのまま変わらない。
【0063】
第2発光制御スイッチ41がオンになることで、蓄電素子6から供給される電流は、矢印ia3のように、第1発光制御スイッチ40、第2発光制御スイッチ41、第3発光素子32、および駆動部35を流れる。ストロボ装置19が発光する光量は、第3発光素子32の1つの発光素子が発光する光量となり、全ての発光素子が発光する場合と比べて1/3、時刻t6における光量と比べて1/2になる。
【0064】
時刻t8において、第3発光素子32が電力を消費し続けていることで、蓄電素子6に蓄電されている電力の電圧値は、第3発光素子32の点灯電圧1Vfと等しくなる。以後の蓄電状態への移行については、上述の時刻t5での状態と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0065】
そして、時刻t9において、蓄電素子6が電圧値4Vfとなるまで電力を蓄電すると、蓄電用比較器17は、地点ロにおける電圧値が入力端子In(+)から得られる電圧値4Vfを超えるので、ロー信号を発振駆動手段16に送出し、地点トの出力をハイからローにする。発振駆動手段16は、ロー信号を受け取って、スイッチング素子9のオンとオフとの連続切替を停止し、昇圧チョッパ回路部10の昇圧を停止する。これにより、蓄電素子6は、電圧値4Vfを超える電力の蓄電を停止する。
【0066】
以上より、本実施形態に係るストロボ装置19によれば、蓄電素子6の供給可能な電圧値に応じて発光する発光素子30、31、32の数を変更できるので、撮影タイミングを逃すことなく発光素子30、31、32を発光させることができる。したがって、発光素子30、31、32の発光できない時間を短縮できる。また、蓄電素子6の容量を大きくせずとも発光素子30、31、32を発光させることができるので、部品を大型化する必要がない。
【0067】
図4は、他の実施形態に係るストロボ装置43および携帯機器20における回路図を示す。本実施形態にかかるストロボ装置43は、地点ヌおよび地点ルにおける信号が駆動部35に入力される点で図2のストロボ装置19と異なっている。また、駆動部35内に設けられる制限抵抗は、可変抵抗となっている。
【0068】
本実施形態に係るストロボ装置43の構成については以上の通りであり、次に本実施形態に係るストロボ装置43の動作について図1、図4、および図5を参酌して説明する。
【0069】
図5は、同実施形態に係るストロボ装置におけるタイムチャートであって、(a)は地点チでの出力のタイムチャート、(b)は地点リでの電圧値のタイムチャート、(c)は地点ワでの出力のタイムチャート、(d)は地点ヲでの出力のタイムチャート、(e)は地点ヌでの出力のタイムチャート、(f)は地点ルでの出力のタイムチャート、(g)は電流値iaのタイムチャート、(h)は発光素子の発光光量のタイムチャートを示す。
【0070】
時刻t0において、ストロボ装置43は、蓄電素子6への蓄電を開始する蓄電状態になる。蓄電状態になると、駆動手段34は、電池電源7の電力を蓄電素子6に蓄電させる。制御部14は、蓄電用スイッチ42にハイ信号を送出して、地点チにおける出力をローからハイにする。蓄電用スイッチ42が制御部14から送出されるハイ信号を受けてオンになることで、電池電源7は、蓄電用スイッチ42および昇圧チョッパ回路部10を通して、蓄電素子6に電力を供給する。すなわち、矢印ibの電流が、電池電源7から、蓄電用スイッチ42およびダイオード18を通り、蓄電素子6へと流れる。昇圧チョッパ回路部10は、インダクタ8およびスイッチング素子9により、電池電源7から提供される電力の昇圧を開始し、昇圧された電力を蓄電素子6に供給する。
【0071】
昇圧チョッパ回路部10において、蓄電用比較器17は、入力端子In(+)に入力される、蓄電素子6に蓄電すべき予め定められた電圧値4Vfと、入力端子In(−)に入力される地点リの分圧抵抗11、12の電圧値とを比較している。なお、地点リの電圧値は、蓄電素子6に実際に蓄電されている電力の分圧電圧値を示す。
【0072】
時刻t0では、地点リにおける電圧値が0Vfであり、4Vfよりも低いので、蓄電用比較器17は、発振駆動手段16に対してハイ信号を送出し、地点ワにおける出力をローからハイにする。発振駆動手段16は、蓄電用比較器17からのハイ信号を受けて、スイッチング素子9のオンとオフとを連続で切替えて、インダクタ8を流れる電荷を昇圧する。
【0073】
時刻t1において、蓄電素子6は、電圧Vc(本実施形態においては4Vf)となるまで電力を蓄電している。蓄電用比較器17は、入力端子In(−)に地点リにおける4Vfを超える電圧値が入力されると、発振駆動手段16にロー信号を送出し、地点ワの出力をハイからローにする。発振駆動手段16は、ロー信号を受け取って、スイッチング素子9のオンとオフとの連続切替を停止して、昇圧チョッパ回路部10の昇圧動作を停止する。これにより、蓄電素子6は、電圧値4Vfを超える電力の蓄電を停止する。
【0074】
時刻t2において、携帯機器20の撮像ボタンが操作されたとして、ストロボ装置43は、発光素子30、31、32を発光する第1の発光状態になる。第1の発光状態になると、駆動手段34は、全ての発光素子30、31、32に蓄電素子6の電力を供給する。
【0075】
すなわち、カメラ部13が制御部14にストロボを発光する信号を送出と、制御部14は、ストロボ装置19の蓄電状態を解除すべく、蓄電用スイッチ42に対してロー信号を送出して、地点イにおける出力をハイからローにする。蓄電用スイッチ42は、制御部14からのロー信号を受け取って、オフになり、電池電源7と蓄電素子6との接続を遮断する。そして、制御部14は、駆動手段34を駆動すべく、駆動部35、第1ANDゲート38、および第2ANDゲート39にハイ信号を送出し、地点ヘの出力をローからハイにする。
【0076】
第1発光用比較器36および第2発光用比較器37のそれぞれは、地点リから入力端子In(+)に入力されている3Vf、2Vfよりも大きい電圧値4Vfを得るので、ロー信号を第1ANDゲート38および第2ANDゲート39に送出する。第1ANDゲート38および第2ANDゲート39のそれぞれは、第1発光用比較器36および第2発光用比較器37のそれぞれからロー信号を得るので、第1発光制御スイッチ40および第2発光制御スイッチ41にロー信号を送出し、地点ヌおよび地点ルにおける出力を共にローにする。第1発光制御スイッチ40および第2発光制御スイッチ41のそれぞれは、第1ANDゲート38および第2ANDゲート39のそれぞれからロー信号を得るので、共にオフになる。また、第1ANDゲート38および第2ANDゲート39のそれぞれは、ロー信号を駆動部35に送出し、駆動部35は、ロー信号を得て、第1発光素子30、第2発光素子31および第3発光素子32の全てを発光する抵抗値に変更する。
【0077】
駆動部35は、制御部14からのハイ信号を受けて、蓄電素子6から第1発光素子30、第2発光素子31および第3発光素子32へ電力を供給する回路を点灯駆動する。回路が点灯駆動されることで、蓄電素子6は、第1発光素子30、第2発光素子31、および第3発光素子32へ蓄電している4Vfの電力の供給を開始する。また、駆動部35が有する制限抵抗(図示しない)には、電流値ia(本実施形態においては500mA)が流れる。なお、蓄電素子6が第1発光素子30、第2発光素子31および第3発光素子32に電力を供給することで、地点リの電圧値が4Vfを下回ることとなる。蓄電用比較器17は、地点リから4Vfを下回る電圧値を得るので発振駆動手段16にハイ信号を送出して発振駆動手段16を起動する。しかしながら、蓄電用スイッチ42がオフになっているので、昇圧チョッパ回路部10には電池電源7から電力が供給されず、昇圧チョッパ回路部10は、蓄電素子6に昇圧された電力を供給しない。
【0078】
蓄電素子6から供給される電力は、第1発光素子30、第2発光素子31および第3発光素子32に提供され、電流が矢印ia1の回路を流れるので、ストロボ装置19が発光する光量は、第1発光素子30、第2発光素子31および第3発光素子32の3つの発光素子が発光する光量となる。
【0079】
時刻t3において、第1発光素子30、第2発光素子31、および第3発光素子32が発光して電力を消費し続けていることで、蓄電素子6に蓄電されている電力の電圧値は3Vfまで落ちる。すなわち、蓄電素子6が蓄電している電力の電圧値は、第1発光素子30、第2発光素子31、および第3発光素子32の点灯電圧の総和と等しくなる。このとき、ストロボ装置43は、発光素子31、32を発光する第2の発光状態になる。第2の発行状態になると、発光素子31、32に蓄電素子6の蓄電している電力を供給する。
【0080】
第1発光用比較器36は、地点リから得られる電圧3Vfと、入力端子In(+)に入力されている電圧3Vfとが等しくなるので、ハイ信号を第1ANDゲート38に送出する。第1ANDゲート38は、第1発光用比較器36から得られるハイ信号と、制御部14から得られるハイ信号とから、第1発光制御スイッチ40に対してハイ信号を出力して、地点ヌにおける出力をハイにする。
【0081】
また、第1ANDゲート38は、ハイ信号を駆動部35にも送出し、駆動部35は、ハイ信号を得ることで、制限抵抗の抵抗値を変更する。たとえば、本実施形態においては、駆動部35は、制限抵抗の抵抗値を時刻t2における抵抗値の2/3とする。
【0082】
第1発光制御スイッチ40がハイ信号を受け取ってオンになることで、電流は、矢印ia2のように、第1発光制御スイッチ40、第2発光素子31、第3発光素子32、および駆動部35を流れる。制限抵抗の抵抗値がt2における抵抗値の2/3になっているので、第2発光素子31および第3発光素子32に流れる電流値は、750mAになる。
【0083】
第2発光素子31および第3発光素子32に流れる電流値は、時刻t2において第1発光素子30、第2発光素子31、および第3発光素子32に流れていた電流値500mAの1.5倍の750mAとなる。したがって、ストロボ装置43が発光する光量は、第1発光素子30、第2発光素子31、および第3発光素子32の発光していた光量と変わらない。
【0084】
時刻t4において、第2発光素子31および第3発光素子32が発光して電力を消費し続けていることで、蓄電素子6に蓄電されている電力の電圧値は、第2発光素子31および第3発光素子32の点灯電圧の総和2Vfと等しくなる。第2発光用比較器37は、地点リから得られる電圧値2Vfと入力端子In(+)に入力される電圧値2Vfとが等しくなることで、第2ANDゲート39にハイ信号を送出する。
【0085】
第2ANDゲート39は、第2発光用比較器37から得られるハイ信号と、制御部14から得られるハイ信号とから、第2発光制御スイッチ41および駆動部5に対してハイ信号を出力して、地点ルにおける出力をローからハイにする。第2発光制御スイッチ41は、ハイ信号を受け取ることでオンになり、第1ANDゲート38は、第1発光制御スイッチ40からハイ信号を受け取り続けているのでオンのまま変わらない。駆動部35は、第2ANDゲート39からハイ信号を得ることで、制限抵抗の抵抗値をさらに変更する。たとえば、本実施形態においては、制限抵抗の抵抗値を時刻t2における抵抗値の1/3にする。
【0086】
第2発光制御スイッチ41がオンになることで、蓄電素子6から供給される電流は、矢印ia3のように、第1発光制御スイッチ40、第2発光制御スイッチ41、第3発光素子32、および駆動部35を流れることになる。制限抵抗の抵抗値が時刻t2における抵抗値の1/3になっているので、第3発光素子32に流れる電流値は、時刻t2における電流値の3倍の1500mAとなる。したがって、ストロボ装置43が発光する光量は、時刻t2において第1発光素子30、第2発光素子31、および第3発光素子32の発光していた光量と変わらない。
【0087】
時刻t5において、第3発光素子32が発光して電力を消費し続けていることで、蓄電素子6に蓄電されている電力の電圧値は、第3発光素子32の点灯電圧1Vfと等しくなる。
【0088】
蓄電素子6の蓄電電圧が1Vf未満になると、蓄電素子6から第3発光素子32に供給可能な電圧は、第3発光素子32の点灯電圧1Vfを下回ってしまうので、第3発光素子32は発光しなくなる。そこで、制御部14は、電池電源7から蓄電素子6に電力を供給して蓄電状態にするために、蓄電用スイッチ42にハイ信号を送出して、地点ワで得られる出力をローからハイにする。また、制御部14は、駆動部35、第1ANDゲート38、および第2ANDゲート39にロー信号を送出して、地点ヲで得られる出力をハイからローにする。
【0089】
蓄電用スイッチ42は、ハイ信号を受けて電池電源7と蓄電素子6とを接続する回路をオンにし、駆動部35は、ロー信号を受けて蓄電素子6と第1発光素子30、第2発光素子31、および第3発光素子32とを接続する回路をオフにする。同様に、第1ANDゲート38および第2ANDゲート39は、ロー信号を受けてそれぞれ第1発光制御スイッチ40および第2発光制御スイッチ41にロー信号を送出して、、地点ヌおよび地点ルにおける出力を共にハイからローにする。第1発光制御スイッチ40および第2発光制御スイッチ41は、それぞれロー信号を受けることで、オフになる。
【0090】
また、第1ANDゲート38および第2ANDゲート39のそれぞれは、駆動部35にロー信号を送出し、駆動部35は、ロー信号を得て制限抵抗の抵抗値を、第1発光素子30、第2発光素子31、および第3発光素子32を発光する場合の抵抗値に変更する。
【0091】
蓄電素子6は、時刻t0における場合と同様に、電池電源7から供給される、昇圧チョッパ回路部10で昇圧される電力を蓄電する。なお、電池電源7から蓄電素子6への蓄電におけるその他の各構成の作用は、時刻t0における場合と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0092】
時刻t6において、蓄電素子6の蓄電途中でカメラ部13から発光素子を発光する信号が入力されると想定して、ストロボ装置43は、蓄電素子6の蓄電を中止して発光素子を発光する。制御部14は、カメラ部13からストロボを発光する信号を受けて、蓄電用スイッチ42にロー信号を送出し、地点ワにおける出力をハイからローにする。蓄電用スイッチ42は、ロー信号に応じて、電池電源7と蓄電素子6を接続する回路をオフにする。
【0093】
また、制御部14は、駆動部35、第1ANDゲート38、および第2ANDゲート39にハイ信号を送出して、地点ヲにおける出力をローからハイにする。
【0094】
この時点で、蓄電素子6には電圧値3Vfの電力が蓄電されており、第1発光用比較器36は、地点リから得られる3Vfの電圧値と入力端子In(+)から得られる3Vfとから、ハイ信号を第1ANDゲート38に供給する。第1ANDゲート38は、第1発光用比較器36から得られるハイ信号と、制御部14から得られるハイ信号とから、第1発光制御スイッチ40にハイ信号を送出し、地点ヌにおける出力をローからハイにする。
【0095】
また、第1ANDゲート38は、ハイ信号を駆動部35にも送出し、駆動部35は、ハイ信号を得ることで制限抵抗の抵抗値を変更する。たとえば、本実施形態においては、制限抵抗の抵抗値を時刻t2における抵抗値の2/3にする。
【0096】
第1発光制御スイッチ40は、ハイ信号を受けることでオンになるり、蓄電素子6から供給される電力を第2発光素子31および第3発光素子32に供給する。すなわち、矢印ia2のように、蓄電素子6から供給される電流は、第1発光制御スイッチ40、第2発光素子31、第3発光素子32、および駆動部35を流れる。制限抵抗の抵抗値が2/3.になっているので、第2発光素子31および第3発光素子32に流れる電流値は、750mAになり、ストロボ装置43が発光する光量は、時刻t2において、第1発光素子30、第2発光素子31、および第3発光素子32を発光する場合の光量と変わらない。
【0097】
時刻t7において、第2発光素子31および第3発光素子32が電力を消費し続けていることで、蓄電素子6に蓄電されている電力の電圧値は、第2発光素子31および第3発光素子32の点灯電圧の総和2Vfと等しくなる。第2発光用比較器37は、地点リから得られる電圧値2Vfと、入力端子In(+)に入力される電圧値2Vfが等しくなるので、ハイ信号を第2ANDゲート39に送出する。
【0098】
第2ANDゲート39は、第2発光用比較器37から得られるハイ信号と制御部14から得られるハイ信号とから、第2発光制御スイッチ41および駆動部35に対してハイ信号を出力し、地点ルにおける出力をローからハイにする。第2発光制御スイッチ41は、ハイ信号を受け取ることでオンになり、第1ANDゲート38は、第1発光制御スイッチ40からハイ信号を受け取り続けているので、オンのまま変わらない。駆動部35は、第2ANDゲート39からハイ信号を得ることで、制限抵抗の抵抗値をさらに変更する。たとえば、本実施形態においては、制限抵抗の抵抗値を時刻t2における抵抗値の1/3にする。
【0099】
第2発光制御スイッチ41がオンになることで、蓄電素子6から供給される電流は、矢印ia3のように、第1発光制御スイッチ40、第2発光制御スイッチ41、第3発光素子32、および駆動部35を流れることになる。制限抵抗の抵抗値が時刻t2における抵抗値の1/3になっているので、第3発光素子32に流れる電流値は、1500mAとなり、ストロボ装置43が発光する光量は、時刻t2において第1発光素子30、第2発光素子31、および第3発光素子32の発光していた光量と変わらない。
【0100】
時刻t8において、第3発光素子32が電力を消費し続けていることで、蓄電素子6に蓄電されている電力の電圧値は、第3発光素子32の点灯電圧1Vfと等しくなる。以後の蓄電状態への移行については、上述の時刻t5での状態と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0101】
そして、時刻t9において、蓄電素子6が電圧値4Vfとなるまで電力を蓄電すると、蓄電用比較器17は、地点リにおける電圧値が入力端子In(+)から得られる電圧値4Vfを超えるので、ロー信号を発振駆動手段16に送出し、地点ワの出力をハイからローにする。発振駆動手段16は、ロー信号を受け取って、スイッチング素子9のオンとオフとの連続切替を停止し、昇圧チョッパ回路部10の昇圧動作を停止する。これにより、蓄電素子6は、電圧値4Vfを超える電力の蓄電を停止する。
【0102】
以上より、本実施形態に係るストロボ装置43によれば、蓄電素子6の供給可能な電力に応じて、発光する発光素子30、31、32の数を変更すると共に、制限抵抗の抵抗値を変更しているので、全ての発光素子30、31、32を発光した場合の発光量を確保できる。したがって、発光素子30、31、32の発光できない時間を短縮でき、撮影タイミングを逃さすことなく発光素子を発光できる。また、蓄電素子6の容量を大きくせずとも発光素子30、31、32を発光させることができるので、部品を大型化する必要がない。
【0103】
なお、本発明に係るストロボ装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。上記した複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0104】
例えば、発光素子30、31、32は3つを例として説明したが、この数には限定されない。また、同様にスイッチ用の比較器を2つで説明したが、この数に限定されない。また、第1発光素子30、第2発光素子31、および第3発光素子32を一つずつ迂回することを説明したが、複数個ずつ迂回してもよい。また、第1発光素子30、第2発光素子31、および第3発光素子32のそれぞれは、点灯電圧がそれぞれ異なっていても良い。また、本実施形態における電流値、抵抗値、および電圧値は一例であり、設計を変更してこれらの値を変えてもかまわない。
【0105】
また、ストロボ装置19においても、ストロボ装置43においても、時刻t6において、3Vfまで蓄電素子6が蓄電されるタイミングで、発光素子を発光する例を一例として説明した。ここで、蓄電素子6が1Vfを超えて蓄電されていれば、いずれのタイミングであっても、発光素子を発光することができる。これにより、シャッターチャンスを逃すことなく、ストロボ装置19またはストロボ装置43を発光することができる。
【0106】
また、駆動部35の制限抵抗により発光素子の発光電流を設定したが、例えば定電流機能等の他の手段で発光電流を設定しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明に係るストロボ装置および携帯機器は、全ての発光素子を点灯できない場合であっても、一部の発光素子を点灯することを可能とすることが必要なストロボ装置および携帯機器の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0108】
19 ストロボ装置
20 携帯機器
30 第1発光素子
31 第2発光素子
32 第3発光素子
34 駆動手段
35 駆動部
36 第1発光用比較器
37 第2発光用比較器
38 第1ANDゲート
39 第2ANDゲート
40 第1発光制御スイッチ
41 第2発光制御スイッチ
42 蓄電用スイッチ
43 ストロボ装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続される複数の発光素子と、複数の発光素子を点灯駆動する駆動手段と、蓄電素子と、蓄電素子に電力を供給する電池電源とを備えるストロボ装置において、駆動手段は、電池電源の電力を蓄電素子に蓄電させる蓄電状態と、蓄電素子が蓄電した電力を全ての発光素子に供給する第1発光状態と、蓄電素子が蓄電する電力を一部の発光素子に供給する第2発光状態とに切替可能に構成されることを特徴とするストロボ装置。
【請求項2】
駆動手段は、蓄電素子の蓄電している電力に応じて、第1発光状態と第2発光状態とを切替えることを特徴とする請求項1に記載のストロボ装置。
【請求項3】
駆動手段は、発光素子の電流制限手段を有し、制限電流値は、電力が供給される発光素子の数に応じて変化することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のストロボ装置。
【請求項4】
駆動手段は、蓄電素子の供給可能な電圧および予め定められた電圧を比較する比較器と、全ての発光素子から一部の発光素子へと電力供給を切替えるスイッチとを有し、蓄電素子の供給可能な電圧が予め定められた電圧以下となる場合に、スイッチは電力供給を切替えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のストロボ装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のストロボ装置を備えることを特徴とする携帯機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−58495(P2012−58495A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201658(P2010−201658)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】