説明

スノーボードブーツ

【課題】操作が容易で、堅固な固定手段を足領域にも有するソフトブーツを提供する。
【解決手段】ソフトインナーシュー3およびソフトアウターシュー2を有するスノーボードブーツにおいて、アウターシューのソール4に接続された引張手段16が設けられ、該引張手段は、アウターシューの内側において一側方からインナーシュー3上に、アウターシュー2内側の他側方のソールに接続された少なくとも1つの変向点18まで案内される。操作のために、引張手段16はアウターシューの外側に延伸し、これにより締付状態において固定可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に記載した、ソフトインナーシューおよびソフトアウターシューを有するスノーボードブーツ、すなわち、いわゆるソフトブーツに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ソフトブーツにおいて使用される閉鎖部は、レーシング、すなわち引張手段としての靴紐であり、舌部の両側においてアウターシューの脚部の閉鎖フラップに設けられたアイレットまたは同様の変向点を通って案内されて、閉鎖フラップが重なった舌部上に交差点を形成する。
【0003】
舌部上のサポートと、靴紐の締付時にさらに舌部に対して押圧される閉鎖フラップ上の変向点とのために、レーシングの摩擦は靴紐の締付時に舌部の上端から下端にかけて増加する。これにより、脚部領域ひいては下腿領域は堅固に編み上げ可能であるが、下部領域においては堅固に編み上げできない。
【特許文献1】米国特許第5,315,741号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スノーボードにおいて、堅固なレーシングは特に下部領域、すなわち足領域において重要である。たとえば、後方ターン中に足が靴内で前方に滑ってはならず、また前方ターンにおいて踵の接触時には、踵とソールが堅固に接触すべきである。
【0005】
したがって、本発明の課題は、操作が容易である堅固な固定手段を足領域にも有するソフトブーツを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これは、従属請求項の特徴により有利に形成され、請求項1において特徴付けられたスノーボードブーツにより本発明にしたがって得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
新規なスノーボードブーツにおいて、アウターシューのソールには引張手段が締付され、該引張手段は、一側方からインナーシュー上に少なくとも1つの変向点を経由して案内され、シューの内側で他側方にてソールに締付されて、操作のためにアウターシューの外に延伸し、締付状態において固定可能である。
【0008】
これはアウターシューとインナーシューとのあいだに、下部領域、すなわち足領域のためのさらなる別個のレーシングを形成し、足をアウターシューのソールに対して堅固に押圧して固定する。これにより、スノーボードが実質的に容易になる。引張手段は外側へ延伸しているため容易に到達可能であり、したがってシューまたはビンディングから取り出す必要なしに容易に操作、すなわち締め付け、固定および解くことができる。
【0009】
最も単純な場合においては、引張手段を、アウターシューの内側の一側方から、たとえば対角線上に足の甲を超えて、アウターシューの踵領域にある他側方の変向点まで案内することができる。
【0010】
しかしながら、少なくとも2つの変向点を設けることが好ましく、第1の変向点は足の甲領域に配置され、第2の変向点は反対側の踵領域に締付される。
【0011】
好ましくは、引張手段は、足の甲前にてアウターシューの内側のソールに締付される。しかしながら、引張手段が足の甲前に位置する箇所に延伸する場合、たとえばソールの中央領域など、アウターシューのソールの別の部分に締付することもできる。
【0012】
好ましくは、引張手段は、踵領域の変向点から外側に延伸する。このために、引張手段は、アウターシューの脚部の内側にて踵領域の変向点から案内されて脚部の上縁のみにおいて出ることができる。しかしながら、好ましくは、たとえばアイレット形状の開口部が脚部のたとえば中ほどに設けられ、そこから引張手段が外側に延伸する。
【0013】
引張手段を固定するためにあらゆる手段を設けることが可能であり、たとえば、1つのベルクロ(登録商標)閉鎖部材を引張手段上に、もう1つのベルクロ(登録商標)をアウターシューの脚部に設けたベルクロ(登録商標)閉鎖部などがある。しかしながら、引張手段を固定するためには、アウターシェルの脚部の外側、すなわち引張手段がアウターシューの内側から外側に出る開口部上に有利に締付されたクランプを設けることが好ましい。
【0014】
引張手段は好ましくは靴紐により形成され、とりわけ合成繊維を、たとえば2〜4mmの太さの細糸に編まれたものから作製される。これは、糸および/またはバンドなどでよい。
【0015】
好ましくは、少なくとも1つの変向点は、シューの長手方向に離間した少なくとも2箇所で、アウターシューの内側のソールに締付された平坦な可撓性材料から作製された要素によって形成される。このために、変向点は、引張手段がそこを通って案内されるたとえばアイレットがその先端に設けられた、たとえば三角形の織布部材でよく、先端の対向側はアウターソールに接続される。
【0016】
しかしながら、平坦な可撓性材料からなる要素は、ループに形成されたバンドにより好ましくは形成され、その2つの端部は、シューの長手方向に離間した2箇所でアウターソールに接続される。引張手段は変向用のループに案内可能であり、あるいはアイレットなどを、バンドの2つの端部のあいだの中間領域において引張手段を変向するために設けることができる。
【0017】
アウターシューの閉鎖部は任意の所望の方法で形成することができる。従って、たとえば留め金を使用することができる。しかしながら、上述のとおり、ソフトブーツにおいて一般的である靴紐を有するアウターシューのレーシングを使用することが好ましい。また、上述と同様に、アウターシューのレーシングは、シューの脚部領域において下腿領域を確実に固定する。さらに、本発明によって下部領域、つまり足を確実に単独で固定することが可能になる。これにより、一方ではスノーブーツでの下腿領域の固定において、他方では足領域の固定において単独の個別調整が可能となる。
【0018】
ここでは、アウターシューのレーシングは回転式閉鎖部により達成することができ、靴紐または他の引張手段は、その両端部が、回転式ハンドルとして形成され、アウターシューの舌部に設けられたホルダに回転可能に取り付けられた巻取りスプール上で作動する。方向ロック機構は、回転式ハンドルとホルダとのあいだに設けられる。レーシングのために、回転式ハンドルはホルダのベアリング上に押圧される。この位置において方向ロック機構は連結されるが、ホルダから回転式ハンドルが離れた位置では方向ロック機構は外れる。このような回転式閉鎖部は、たとえば米国特許第5,315,741号明細書に記載されている。
【0019】
以下、図面を参照して例示的に本発明の実施例をより詳細に説明する。
【実施例】
【0020】
ソフトブーツ1は、柔軟で可撓性のあるアウターシュー2と、図面においては脚部の上端のみが示される柔軟で可撓性のあるインナーシュー3からなる。
【0021】
アウターシュー2は、ゴム弾性材料製のシェル様の比較的硬質のソール4および舌部5を有する。靴紐6がアウターシュー2のレーシングのために設けられ、該靴紐は、舌部5の両側にてアウターシュー2に設けられた閉鎖フラップ9,10に締付された変向点7,8を通って案内され、アウターシュー2の編み上げ時には舌部5上に交差点12を形成する。
【0022】
回転式閉鎖部がレーシングのために設けられる。このために、靴紐6の両端部は、舌部5に設けられたホルダ14に回転可能に取り付けられた回転式ハンドル13として形成された巻取りスプール上で作動する。方向ロック機構(図示せず)は、巻取りスプール13とホルダ14とのあいだに設けられる。レーシングのために、回転式ハンドル13はホルダ14のベアリング上に押圧され、これにより方向ロック機構を連結する。
【0023】
アウターシュー2の内側、つまりアウターシュー2とインナーシュー3とのあいだにおいて、靴紐16として形成された引張手段が設けられ、該靴紐は、図示された右ブーツ1の右側にてバンド17によってソール4に締付される。
【0024】
靴紐16は、バンド17の締付点からインナーシュー3上に第1の変向点18まで延伸しており、アイレット19を通って第2の変向点21まで案内される。アイレット19を有する第1の変向点18は、足の甲領域15において、アウターシュー2の舌部5の下方でインナーシュー3の舌部(図示せず)上に配置される。
【0025】
第1の変向点18はバンドループ22によって形成され、該ループの2つの端部23,24は、図示されるように、アウターシュー2の内側において左側に、つまり右ブーツ1の内側において離間してソール4に締付される。変向点18またはアイレット19は、端部23,24のあいだの中間領域に位置している。
【0026】
第2の変向点21は、図示されるように踵領域25において右ブーツ1の右側に、すなわち靴紐16をソール4に締付するバンド17と同一側に配置される。
【0027】
第2の変向点は同様にバンドループ26によって形成され、該ループの2つの端部27,28は離間してソール4に締付される。靴紐6は、誘導用のバンドループ26を通って引かれる。
【0028】
靴紐16は、最初に第2の変向点21からアウターシュー2の脚部29の内側で延伸し、その後、足の甲領域15の上方でアイレットまたは同様の開口部31を通ってアウターシュー2から出る。
【0029】
靴紐16からなるレーシングとインナーシュー3の変向点18,21とによって足をソフトブーツ1内に確実に固定するために、グリップ32が靴紐6の端部に取り付けられ、靴紐16を締付するために使用される。
【0030】
靴紐16を締付位置で固定するため、クランプ33が開口部31の上方にてアウターシュー2の脚部29の外側に設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】右ソフトブーツの外側面からの概略斜視図である。
【図2】右ソフトブーツの内側面からの概略斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1 ソフトブーツ
2 アウターシュー
3 インナーシュー
4 ソール
5 舌部
6 靴紐
12 交差点
13 スプール
13 回転式ハンドル
14 ホルダ
15 甲領域
7,8 変向点
16 靴紐
17 バンド
18 変向点
19 アイレット
9,10 閉鎖フラップ
21 変向点
22 バンドループ
23,24 端部
25 踵領域
26 バンドループ
27,28 端部
29 脚部
31 開口部
32 グリップ
33 クランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトインナーシュー(3)と、ソール(4)および舌部(5)に重なる閉鎖部を設けたソフトアウターシュー(2)とを有するスノーボードブーツであって、アウターソール(4)に接続された引張手段(16)が設けられ、
該引張手段が、アウターシュー(2)の内側において一側方からインナーシュー(3)上に、アウターシュー(2)内側の他側方のアウターソール(4)に接続された少なくとも1つの変向点(18)まで案内され、操作のためにアウターシュー(2)の外に延伸し、および締付状態において固定可能であることを特徴とするスノーボードブーツ。
【請求項2】
前記引張手段が、足の甲領域(15)前に位置する箇所から、シューの長手方向に足の甲領域(15)を超えて踵領域(25)まで延伸することを特徴とする請求項1記載のスノーボードブーツ。
【請求項3】
少なくとも2つの変向点(18,21)が設けられ、第1の変向点(18)が足の甲領域(15)に配置され、第2の変向点(21)が踵領域(25)に配置されることを特徴とする請求項1または2記載のスノーボートブーツ。
【請求項4】
前記第2の変向点(21)が、引張手段(16)と同一側にてアウターシュー(2)のアウターソール(4)に締付され、前記第1の変向点(18)が、アウターシュー(2)の反対側にてアウターソール(4)に締付されることを特徴とする請求項3記載のスノーボードブーツ。
【請求項5】
前記引張手段(16)が、踵領域(25)の変向点(21)から外側に延伸することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のスノーボードブーツ。
【請求項6】
前記引張手段(16)が、アウターシュー(2)の脚部(29)の開口部(31)を通って外側に延伸することを特徴とする請求項1記載のスノーボードブーツ。
【請求項7】
クランプ(33)が、引張手段(16)を固定するために設けられることを特徴とする請求項1記載のスノーボードブーツ。
【請求項8】
前記クランプ(33)が、開口部(31)の上方にてアウターシュー(2)の脚部(29)の外側に配置されることを特徴とする請求項6または7記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの変向点(18,21)が平坦な可撓性材料から作製された要素により形成され、該変向点が、シューの長手方向に離間した少なくとも2箇所においてアウターシュー(2)の内側でソール(4)に締付されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のスノーボードブーツ。
【請求項10】
前記要素がバンドループ(22,26)により形成され、その2つの端部(23,24;27,28)がシューの長手方向に離間してアウターソール(4)に締付されることを特徴とする請求項10記載のスノーボードブーツ。
【請求項11】
前記アウターシュー(2)の閉鎖部が、レーシング(6,7,8)により形成されることを特徴とする請求項1記載のスノーボードブーツ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−29826(P2008−29826A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163590(P2007−163590)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(507208152)ヘッド・ジャーマニー・ゲーエムベーハー (3)
【氏名又は名称原語表記】HEAD GERMANY GMBH
【住所又は居所原語表記】VELASKOSTRASSE 8,D−85622 FELDKIRCHEN,GERMANY
【Fターム(参考)】