説明

スピニングリールの発音機構

【課題】スピニングリールの発音機構において、製造コストを抑えながらばね部材を取り付けできるようにする。
【解決手段】発音機構90は、糸巻胴部7aの後方に配置されスプール軸15に回転不能に固定された鋸歯部材91と、糸巻胴部7aの後端部7dに装着され鋸歯部材91と相対回転可能に装着された爪部材92と、糸巻胴部7aの後端部7dに装着され爪部材92を鋸歯部材91側に付勢するばね部材93と、糸巻胴部7aの後端部7dに一体成形された環状の環状壁部80とを有している。環状壁部80は、スカート部7bより内周側に配置され、糸巻胴部7aの後端部7dに一体成形され、ばね部材93の他端部93bが内周面80aに当接可能な略円弧状の部材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発音機構、特に、スプールとスプール軸との相対回転により発音するスピニングリールの発音機構に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スピニングリールは、ハンドルを回転自在に支持するリール本体と、ロータと、スプール軸に回転可能に装着されたスプールとを備えている。スピニングリールのスプールは、リール本体に対して前後移動自在であり、外周に釣り糸が巻き付けられる糸巻胴部と、糸巻胴部の後端部に設けられた大径筒状のスカート部とを備えている。糸巻胴部及びスカート部は、金属製であり、たとえば鍛造により一体成形されている。また、フロントドラグ型のスピニングリールでは、糸巻胴部の内部には、複数のドラグ板からなるドラグ機構や、ドラグ機構作動時に発音する発音機構等を有している。
【0003】
このような発音機構は、たとえば糸巻胴部の後端部に装着された爪部材と、スプール軸に一体回転可能に固定され周方向に間隔を隔てて複数の歯部が形成された鋸歯部材と、爪部材の先端を鋸歯部材の歯部方向に付勢するばね部材とを有し、糸巻胴部とスプール軸との相対回転によって、爪部材の先端が凹凸部に接触を繰り返して発音するようになっている。この種の発音機構では、糸巻胴部の後端部に別体で取り付けられた取付台にばね部材の一端がねじ部材によって固定されたものや(たとえば、特許文献1参照)、糸巻胴部の後端部に立設されたボス部にばね部材の一端が係止されたものや(たとえば、特許文献2参照)、糸巻胴部の後端部に立設された略円柱状の係止突起にばね部材の一端が係止されたものが知られている(たとえば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−81097号公報
【特許文献2】特開2004ー275054号公報
【特許文献3】特開2004−329170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来の発音機構は、糸巻胴部の後端部に別体で取り付けられた取付台にばね部材の一端がねじ部材によって固定されているので、ばね部材を取り付けるために別途取付台を設ける必要がある。また、糸巻胴部の後端部に立設されたボス部や係止突起にばね部材の一端が係止されたものでは、ばね部材を取り付けるためにボス部や係止突起を糸巻胴部の後端部に圧入したり接着する必要がある。このため、ばね部材を取り付けるための部材が増加し、製造コストが増大するおそれがある。
【0006】
本発明の課題は、スピニングリールの発音機構において、製造コストを抑えながらばね部材を取り付けできるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明1に係るスピニングリールの発音機構は、スプールと、スプール軸との相対回転により発音するスピニングリールの発音機構であって、鋸歯部材と、爪部材と、ばね部材と、環状壁部とを備えている。スプールは、糸巻胴部と、後フランジ部と、スカート部とを有している。糸巻胴部は、外周に釣り糸が巻かれる部材である。後フランジ部は、糸巻胴部の後端部から径方向外方に突出している。スカート部は、後フランジ部の先端部から軸方向後方に突出する筒状の部材である。鋸歯部材は、スプール軸に一体回転可能に装着され、外周面の周方向に間隔を隔てて鋸歯状に形成された複数の歯部を有している。爪部材は、糸巻胴部及び後フランジ部の少なくともいずれかの後端部に揺動自在に装着され、スプールの回転によって歯部に接触を繰り返して発音する発音接触部を有している。ばね部材は、一端が爪部材に係止され、発音接触部を歯部方向に付勢する部材である。環状壁部は、スカート部より内周側に配置され、糸巻胴部及び後フランジ部の少なくともいずれかの後端部に一体成形され、ばね部材の他端が内周面に当接可能な環状の部材である。
【0008】
この発音機構では、糸巻胴部又は後フランジ部の後端部に一体成形された環状の環状壁部の内周面にばね部材の他端が当接する当たりになっているので、従来のようにばね部材を取り付けるための部材を別途設ける必要がなくなる。したがって、従来に比して製造コストを抑えながらばね部材を取り付けできる。
【0009】
発明2に係る発音機構は、発明1の発音機構において、爪部材は、発音接触部と異なる位置に設けられた規制当接部をさらに有している。環状壁部は、発音接触部の揺動範囲を規制するように規制当接部が当接可能に形成されている。この場合、環状壁部は、ばね部材の他端が当接する当たりだけでなく、爪部材の規制当接部が当接することによって爪部材の揺動を規制する当たりとしても機能させることができる。
【0010】
発明3に係る発音機構は、発明1又は2の発音機構において、環状壁部は、外形がスプール軸と同心の略円弧状になるように形成されている。この場合、環状壁部は、糸巻胴部又は後フランジ部の後端部にスプール軸と同心になるように一体成形された環状の壁部であるので、旋盤加工によって環状壁部の内周面を加工することができるので、スプールの内周面と同時、あるいはそれらに連続して環状壁部を加工できるとともに、環状壁部の内周面の寸法精度を高くすることができる。
【0011】
発明4に係る発音機構は、発明1から3のいずれかの発音機構において、糸巻胴部及び後フランジ部の少なくともいずれかの後端部に設けられ、爪部材の揺動軸となる軸部材をさらに備えている。この場合、たとえば、ねじ部材等の軸部材を設けることによって、爪部材を簡素な構成で揺動させることができる。
【0012】
発明5に係る発音機構は、発明1から4のいずれかの発音機構において、軸部材は、糸巻胴部及び後フランジ部の少なくともいずれかの後端部に装着されている。この場合、軸部材として、たとえば、ねじ部材を糸巻胴部又は後フランジ部に装着することによって、軸部材がスプールと一体成形されている場合に比して、強度を高くすることができる。
【0013】
発明6に係る発音機構は、発明1から4のいずれかの発音機構において、糸巻胴部及び後フランジ部の少なくともいずれかの後端部に装着され、後端部に軸部材が装着される台座部材をさらに備えている。この場合、軸部材は台座部材に装着されているので、たとえば、軸部材がねじ部材である場合には、軸部材を巻胴部又は後フランジ部にねじ止めするためのねじ孔を加工する必要がなくなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、スピニングリールの発音機構において、糸巻胴部又は後フランジ部の後端部に一体成形された環状の環状壁部の内周面にばね部材の他端が当接する当たりになっているので、製造コストを抑えながらばね部材を取り付けできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態によるスピニングリールの左側面図。
【図2】前記スピニングリールの側面断面図。
【図3】前記スピニングリールのスプールの拡大断面図。
【図4】前記スプールの背面拡大断面図。
【図5】他の実施形態のスプールの一部断面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態を採用したスピニングリールは、図1に示すように、フロントドラグ型のリールであって、ハンドル1を回転自在に支持するリール本体2と、ロータ3と、スプール4とを備えている。ロータ3はリール本体2の前部に回転自在に支持されている。スプール4は、釣り糸を外周面に巻き取るものであり、ロータ3の前部に前後移動自在に配置されている。
【0017】
リール本体2は、リールボディ2aと、リールボディ2aから斜め上前方に延びる竿取付脚2bとを有している。リールボディ2aは、図2に示すように、内部に空間を有しており、その空間内には、ロータ3をハンドル1の回転に連動して回転させるロータ駆動機構5と、スプール4を前後に移動させて釣り糸を均一に巻き取るためのオシレーティング機構6とが設けられている。
【0018】
ロータ駆動機構5は、ハンドル1が固定されたハンドル軸10とともに回転するドライブギア11と、このドライブギア11に噛み合うピニオンギア12とを有している。ピニオンギア12は筒状に形成されており、その前部は、ロータ3の中心部を貫通し、ナットによりロータ3と固定されている。ピニオンギア12は、その軸方向の中間部と後端部とが、それぞれ軸受を介してリール本体2に回転自在に支持されている。
【0019】
オシレーティング機構6は、スプール4の中心部にドラグ機構60を介して連結されたスプール軸15を前後方向に移動させてスプール4を同方向に移動させるための機構である。オシレーティング機構6は、スプール軸15の下方に平行に配置された螺軸21と、螺軸21に沿って前後方向に移動するスライダ22と、螺軸21の先端に固定された中間ギア23とを有している。スライダ22にはスプール軸15の後端が回転不能に固定されている。中間ギア23は図示しない減速ギアを介してピニオンギア12からの回転が伝達されるようになっている。
【0020】
ロータ3は、図2に示すように、円筒部30と、円筒部30の側方に互いに対向して設けられた第1ロータアーム31及び第2ロータアーム32とを有している。円筒部30と第1ロータアーム31及び第2ロータアーム32とは、たとえばアルミニウム合金製であり、一体成形されている。
【0021】
第1ロータアーム31は、円筒部30から外方に凸に湾曲して前方に延びており、円筒部30との接続部分は円筒部30の周方向に広がり湾曲している。第1ロータアーム31の先端の外周側には、第1ベール支持部材40が揺動自在に装着されている。第1ベール支持部材40の先端には、釣り糸をスプール4に案内するためのラインローラ41が装着されている。
【0022】
第2ロータアーム32は、円筒部30から外方に凸に湾曲して前方に延びている。第2ロータアーム32は、先端部から円筒部30との接続部分に向けて2股に分岐しており、円筒部30と周方向に間隔を隔てた2箇所で接続されている。第2ロータアーム32の先端外周側には、第2ベール支持部材42が揺動自在に装着されている。
【0023】
ラインローラ41と第2ベール支持部材42との間には線材を略U状に湾曲させた形状のベール43が固定されている。これらの第1ベール支持部材40及び第2ベール支持部材42、ラインローラ41及びベール43により釣り糸をスプール4に案内するベールアーム44が構成される。ベールアーム44は、図2に示す糸案内姿勢とそれから反転した糸開放姿勢との間で揺動自在である。
【0024】
スプール4は、図2に示すように、ロータ3の第1ロータアーム31と第2ロータアーム32との間に配置されており、スプール軸15の先端にドラグ機構60を介して装着されている。スプール4は、図3に拡大して示すように、スプール本体7と、スプール本体7の前端部に取り付けられた大径の前フランジ部8と、前フランジ部8をスプール本体7に固定するための前フランジ部固定部材9とを有している。スプール本体7は、鍛造により形成された金属製部材であり、外周に釣り糸が巻かれる筒状の糸巻胴部7aと、糸巻胴部7aの後端部から径方向外方に突出し糸巻胴部7aと一体成形された後フランジ部7cと、後フランジ部7cの先端部から軸方向後方に突出し後フランジ部7cと一体成形された大径筒状のスカート部7bとを有している。スカート部7bは、内外周を貫通する釣り糸係止部50が装着されている。釣り糸係止部50は、スカート部7b外周に面して外方に露出して設けられた係止部50aと、係止部50aから略直角に折れ曲がり、スカート部7bを貫通し内部に延びる取付部50bとを有している。取付部50bは、図3に示すように、ねじ部材51によって糸巻胴部7aの後端部7dに形成されたねじ孔7fに装着固定されている。また、糸巻胴部7aの後端部7dには、図3及び図4に示すように、釣り糸の先端部分を係止するための釣り糸係止部50がねじ部材51により固定されている。さらに、糸巻胴部7aの後端部7dには、スプール4とスプール軸15との相対回転によって発音する発音機構90が取り付けられている。
【0025】
発音機構90は、図3及び図4に拡大して示すように、糸巻胴部7aの後方に配置されスプール軸15に回転不能に固定された鋸歯部材91と、糸巻胴部7aの後端部7dに装着され鋸歯部材91と相対回転可能に装着された爪部材92と、糸巻胴部7aの後端部7dに装着され爪部材92を鋸歯部材91側に付勢するばね部材93と、糸巻胴部7aの後端部7dに一体成形された環状の環状壁部80とを有している。ここでは、スプール4とスプール軸15との相対回転によって、爪部材92が鋸歯部材91に接触を繰り返して発音するようになっている。
【0026】
鋸歯部材91は、図3及び図4に示すように、糸巻胴部7aの後方に配置され図示しないワッシャを介してスプール軸15に一体回転可能に固定されている。鋸歯部材91は、糸巻胴部7aが後方へ移動するのを規制するスプール受けとして機能している。また、鋸歯部材91は、爪部材92と対向する面に配置され、周方向に間隔を隔てて形成された複数の歯部91aを有している。ここでは、スプール4とスプール軸15との相対回転によって爪部材92の先端の発音接触部92aが歯部91aに接触を繰り返して発音するようになっている。
【0027】
爪部材92は、図3及び図4に示すように、略鉤状形状の金属製部材であり、糸巻胴部7aの後端部7dにねじ部材94によって揺動自在に装着され、スプール4の回転によって歯部91aに接触を繰り返して発音する発音接触部92aと、中央部分に設けられた揺動軸心(ねじ部材94の中心)を挟んで発音接触部92aと逆側の位置(発音接触部92aと異なる位置)に設けられた規制当接部92bとを有している。爪部材92の揺動軸となる軸部材であるねじ部材94は、図3に示すように、糸巻胴部7aの後端部7dに形成されたねじ孔7eに装着固定されている。爪部材92は、鋸歯部材91方向に進退自在に設けられ、かつばね部材93によって進出方向に付勢され歯部91aに接触して発音する部材である。ここでは、スプール4が回転すると、糸巻胴部7aの後端部7dに装着された爪部材92が回転し、鋸歯部材91の歯部91aに接触して発音するようになっている。また、爪部材92の規制当接部92bは、環状壁部80の内周面80aに当接可能に配置されており、爪部材92の揺動を規制する当たりになっている。
【0028】
ばね部材93は、図4に示すように、一端部93aが爪部材92の発音接触部92aに係止され、発音接触部92aを歯部91a方向に付勢する、つる巻きばねである。ばね部材93の他端部93bは、環状壁部80の内周面80aに当接する当たりになっている。
【0029】
環状壁部80は、図3及び図4に示すように、スカート部7bより内周側に配置され、糸巻胴部7aの後端部7dに板状に突出するように一体成形され、ばね部材93の他端部93bが内周面80aに当接可能な略円弧状(円形の1/4から1/3程度の長さの略円弧状)の部材である。環状壁部80は、図4に示すように、スプール4の内周面(糸巻胴部7aやスカート部7bの内周面)の加工と同時に行われる旋盤加工によって、外形がスプール軸15と同心の略円弧状になるように形成されている。環状壁部80は、ばね部材93の他端部93bが当接する当たりだけでなく、爪部材92の規制当接部92bが当接することによって爪部材92の揺動を規制する当たりとしても機能している。ここでは、爪部材92はばね部材93によって鋸歯部材91の回転方向と逆方向に付勢されており、スプール4とスプール軸15との相対回転によって爪部材92は鋸歯部材91に接触を繰り返して発音するようになっている。
【0030】
次に、リールの操作及び動作について詳細に説明する。
【0031】
キャスティング時には、ロータ3を逆転禁止状態にして、手でベールアーム44を持ってベールアーム44を糸開放姿勢に反転させる。ベールアーム44が糸開放姿勢に倒れた状態では、スプール4からの釣り糸を容易に繰り出すことが可能である。
【0032】
キャスティング後に、ベールアーム44を糸開放姿勢に維持したままの状態で、ハンドル1を糸巻き取り方向に回転させると、ロータ駆動機構5によりロータ3が糸巻き取り方向に回転する。ロータ3が糸巻き取り方向に回転すると、ベールアーム44が糸巻き取り姿勢に復帰する。このとき、魚等が強い力で釣り糸を引っ張ると、ドラグ機構60が作動してスプール4がスプール軸15に対して相対回転する。このようにスプール4がスプール軸15に対して相対回転すると、爪部材92が鋸歯部材91に接触を繰り返すことによって発音する。
【0033】
このような発音機構90では、糸巻胴部7aの後端部7dに一体成形された略円弧状の環状壁部80の内周面80aにばね部材93の他端部93bが当接する当たりになっているので、従来のようにばね部材93を取り付けるための部材を別途設ける必要がなくなるために、従来に比して製造コストを抑えながらばね部材93を取り付けることができる。さらに、ここでは、環状壁部80は、糸巻胴部7aの後端部7dにスプール軸15と同心になるように一体成形された環状の壁部であるので、スプール4の内周面の加工と同時に環状壁部を加工できるとともに、環状壁部80の内周面80aの寸法精度を高くすることができる。
【0034】
〔他の実施形態〕
(a) 前記実施形態では、浅溝スプールを用いていたが、これに限定されるものではなく、他のあらゆるスピニングリールのスプールについて本発明を適用できる。
【0035】
(b) 前記実施形態では、環状壁部80は、糸巻胴部7aの後端部7dに一体成形されていたが、後フランジ部7cの後端部に環状壁部80を設けてもよい。また、図5に示すように、糸巻胴部7aの後端部から内周側に突出した環状の内フランジ部7iの後端部7jに環状壁部80を設けてもよい。
【0036】
(c) 前記実施形態では、環状壁部80は、外形がスプール軸15と同心の略円弧状になるように形成されていたが、これに限定されるものではなく、たとえば、外形がスプール軸15と同心の略円形状(環状)になるように形成してもよい。
【0037】
(d) 前記実施形態では、爪部材92の揺動軸となる軸部材であるねじ部材94や、釣り糸係止部50取り付け用のねじ部材51は、糸巻胴部7aの後端部7dに形成されたねじ孔7eやねじ孔7fに装着されていたが、図5に示すように、糸巻胴部7aの前側から装着された筒状の台座部材70に形成されたねじ孔70aやねじ孔70bにねじ部材94やねじ部材51を装着する構成にしてもよい。台座部材70は、糸巻胴部7aの前側から装着され、糸巻胴部7aの中間部から内周側に突出した円板部7gに形成された環状の貫通孔7hに装着固定されている。台座部材70の貫通孔7hから後方に突出した2箇所には、ねじ孔70a及びねじ孔70bが形成されている。ねじ孔70aは、爪部材92の揺動軸となる軸部材であるねじ部材94が装着され、ねじ孔70bは、釣り糸係止部50取り付け用のねじ部材51が装着されるようになっている。ここでは、ねじ部材94やねじ部材51が台座部材70に装着されているので、ねじ部材94やねじ部材51を糸巻胴部7a又は後フランジ部7cにねじ止めするためのねじ孔を加工する必要がなくなる。
【符号の説明】
【0038】
1 ハンドル
2 リール本体
2a リールボディ
2b 竿取付脚
3 ロータ
4 スプール
5 ロータ駆動機構
6 オシレーティング機構
7 スプール本体
7a 糸巻胴部
7b スカート部
7c 後フランジ部
7d 後端部
7e ねじ孔
7f ねじ孔
7g 円板部
7h 貫通孔
7i 内フランジ部
7j 後端部
8 前フランジ部
9 前フランジ部固定部材
10 ハンドル軸
11 ドライブギア
12 ピニオンギア
15 スプール軸
21 螺軸
22 スライダ
23 中間ギア
30 円筒部
31 第1ロータアーム
32 第2ロータアーム
40 第1ベール支持部材
41 ラインローラ
42 第2ベール支持部材
43 ベール
44 ベールアーム
50 釣り糸係止部
50a 係止部
50b 取付部
51 ねじ部材
60 ドラグ機構
70 台座部材
70a ねじ孔
70b ねじ孔
80 環状壁部
80a 内周面
90 発音機構
91 鋸歯部材
91a 歯部
92 爪部材
92a 発音接触部
92b 規制当接部
93 ばね部材
93a 一端部
93b 他端部
94 ねじ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に釣り糸が巻かれる糸巻胴部と前記糸巻胴部の後端部から径方向外方に突出する後フランジ部と前記後フランジ部の先端部から軸方向後方に突出する筒状のスカート部とを有するスプールと、スプール軸との相対回転により発音するスピニングリールの発音機構であって、
前記スプール軸に一体回転可能に装着され、外周面の周方向に間隔を隔てて鋸歯状に形成された複数の歯部を有する鋸歯部材と、
前記糸巻胴部及び前記後フランジ部の少なくともいずれかの後端部に揺動自在に装着され、前記スプールの回転によって前記歯部に接触を繰り返して発音する発音接触部を有する爪部材と、
一端が前記爪部材に係止され、前記発音接触部を前記歯部方向に付勢するばね部材と、
前記スカート部より内周側に配置され、前記糸巻胴部及び前記後フランジ部の少なくともいずれかの後端部に一体成形され、前記ばね部材の他端が内周面に当接可能な環状の環状壁部と、
を備えたスピニングリールの発音機構。
【請求項2】
前記爪部材は、前記発音接触部と異なる位置に設けられた規制当接部をさらに有しており、
前記環状壁部は、前記発音接触部の揺動範囲を規制するように前記規制当接部が当接可能に形成されている、請求項1に記載のスピニングリールの発音機構。
【請求項3】
前記環状壁部は、外形が前記スプール軸と同心の略円弧状になるように形成されている、請求項1又は2に記載のスピニングリールの発音機構。
【請求項4】
前記糸巻胴部及び前記後フランジ部の少なくともいずれかの後端部に設けられ、前記爪部材の揺動軸となる軸部材をさらに備えている、請求項1から3のいずれか1項に記載のスピニングリールの発音機構。
【請求項5】
前記軸部材は、前記糸巻胴部及び前記後フランジ部の少なくともいずれかの後端部に装着されている、請求項4に記載のスピニングリールの発音機構。
【請求項6】
前記糸巻胴部及び前記後フランジ部の少なくともいずれかの後端部に装着され、後端部に前記軸部材が装着される台座部材をさらに備えている、請求項4に記載のスピニングリールの発音機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−152199(P2012−152199A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16806(P2011−16806)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】