説明

スピーカースタンド

【課題】スピーカーシステムの振動により、スピーカースタンド自体が共鳴して音質を劣化させることなく、床鳴りの発生が少なく、スピーカーシステムが落下する恐れが少ない、汎用性の高い高音質のスピーカースタンドの提供。
【解決手段】スピーカースタンドの共鳴音を大きくする天板および底板ならびに柱状の縦支柱を使用せず、細い棒状素材を用いた枠組み形状の振動吸収能力の高い軽量スピーカースタンド。スピーカーシステム9の振動を直接受け止める高剛性スピーカーシステム保持構造体および自由に振動して振動エネルギーを減衰させる柔軟構造のベース部を組み合わせた構造として、振動吸収能力を高め、さらにスピーカーシステムを下部1点支持および側面を密着型の2点支持する方式とし、スピーカーシステムを任意の位置と角度に設置が可能な、スピーカーシステムの脱落防止が可能なスピーカースタンド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はスピーカースタンドに関し、さらに詳細には、共鳴体となる天板、底板および柱状の支柱を持たず、軽量かつ低表面積の棒状素材によるフレーム構造を有する剛構造のユニットと柔構造のユニットを組み合わせたスピーカースタンドに関し、さらに詳細には、スピーカーシステムの発する振動を発散させることにより、振動エネルギーを吸収し、スピーカースタンドの発する共鳴音の発生を低減したスピーカースタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスピーカースタンドは、キャビネットを備えるスピーカーシステム(以下において、スピーカーと略する場合がある。)を据え置くためのスピーカーキャビネットの底面積と同等の広さをもつ天板、スピーカースタンド(以下において、スタンドと略する場合がある。)を自立させ全体を支えるための底板、天板と底板を連結するための1本ないしは複数本数の柱状または板状の支柱から構成されている。
【0003】
これらの天板、底板および柱状支柱は、スピーカーシステムを乗せた状態で安定に自立するために、質量が大きく頑丈な構造であることが必要であるため、スピーカースタンドは大きく重いものになってしまうことが多い。
【0004】
これらの天板、底板および支柱は、スピカーシステムの発音により振動し、共鳴体として作用してしまい、大きな共鳴音を発生し、スピーカーシステムの持つ本来の再生音を混濁、変化させてしまうことが多い。
【0005】
さらにスピーカーシステムをスピーカースタンドの天板に据え置きする方式が多いため、地震等の揺れが発生した場合にスピーカーシステムがスピーカースタンドから脱落し破損する可能性がある。
【0006】
他の従来技術としては、スピーカーシステムがスタンドから脱落することを防止するため、スピーカースタンドの天板とスピーカーのキャビネットをボルト等の緊締器具で緊締する方式を採用する場合もあるが、緊締器具を取り付けるため専用品となる場合が多く、寸法の異なるスピーカーシステムが取り付けられないためスピーカースタンドとしての汎用性を阻害している。(特許文献3)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006-287894
【特許文献2】特開2000-324579
【特許文献3】特開2004-201074
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来方式による板状の天板、低板及び柱状の支柱を使用したスピーカースタンドは、スピーカーシステムの振動によりスピーカースタンドの各部材が共鳴体として作用し、大きな共鳴音を発する結果、スピーカースタンド自体が発音体として作用してしまうことが多い。
【0009】
板状の天板、低板及び柱状支柱の表面積が大きく、その質量が大きいほど共鳴音が大きくなるという傾向もある。
スピーカースタンドが、スピーカーシステムから発する音とは別の付帯音を発生させてしまう結果、スピーカーシステムの音質を混濁させ、スピーカーシステムの音質を劣化および変化させるという問題がある。
【0010】
またスピーカーシステムからスピーカースタンドに伝達された振動は、スタンドが設置されている床面へ伝達して床鳴りを発生させてしまい、スピーカーシステムの再生音を混濁させるだけではなく、高層住宅においては階下住宅へ振動が伝播して騒音被害を発生させるという問題がある。
【0011】
これらの共鳴音の影響を減らすために、従来はスピーカーシステムとスピーカースタンド天板の間、スピーカースタンドと床の間にインシュレーターと称する円錐形状、円筒形状、立方体形状あるいは板状の振動吸収体を挟むことにより対策を行うことが多い。
【0012】
しかし、いずれの方法もスピーカーシステムの自重に頼る据え置き保持方式のため、インシュレーターとの接点部分で不要な振動と振動音が発生し、スピーカーシステムの再生音を混濁させることがある。
【0013】
さらにスピーカーシステムの保持方法としては非常に不安定な状態であるため、地震等で揺れが発生した場合、簡単にスピーカーシステムが落下する可能性が大きいという問題がある。
【0014】
スピーカーシステムの落下を防止するためには、スピーカーシステムボックスとスピーカースタンドを緊締するための締め付けネジ、または専用の緊締器具を使用が必要であり、スピーカーシステムおよびスピーカースタンドの両方にネジ穴または取り付け器具を設けなければならないという問題がある。
【0015】
またネジ穴あるいは緊締器具の取り付けのため、スピーカースタンドとスピーカーシステムボックスは、一対の組ものとして処理しなければならず、取り付けるスピーカーシステム専用のスピーカースタンドとなってしまい、寸法の異なるスピーカーシステムに対応できる汎用的なスピーカースタンドを作ることが困難であるという問題がある。
【0016】
さらに別の問題点として、ネジあるいは緊締器具を使用することにより、スピーカースタンドとスピーカーシステムの取り付け方法が固定化されてしまいスピーカーシステムの取り付け位置あるいは設置角度を変えることが困難という問題がある。
【0017】
本発明の課題は、スピーカースタンド自体が共鳴音を発して、再生音を劣化させることなく、スピーカーシステム振動に起因する床鳴りが発生しにくいスピーカースタンドを提供することにある。
【0018】
さらなる課題としては、スピーカーシステムに加工を加えることなく、スピーカーシステムを確実に固定できてスピーカースタンドから落下することなく、スピーカーシステムのサイズ違いに対する適合能力が高く、スピーカーシステムを取り付け位置および角度を自由に調整できる、汎用性の高い高機能なスピーカースタンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
第一の発明は、スピーカースタンドの共鳴音や共鳴エネルギーを大きくしてしまう、表面積の大きな板状素材および高質量素材を使用せずに、軽質量で表面積の少ない細い棒状素材を使用した、枠組み構造を採用したスピーカースタンドである。
【0020】
質量が小さく、断面積の少ない棒状の素材を使用し、枠組み形状の構造としたスピーカースタンドの作用について説明する。
スピーカーシステムの再生中の振動は、スピーカースタンドに伝わり、スタンド本体を共振させ、共鳴音を発生させる。
【0021】
通常の天板、底板および柱状の支柱を有するスピーカースタンドは、この影響により再生音量が不自然に増大してしまい、再生音の混濁、スタンド素材の鳴きの影響による音色感の変化、再生音像の拡大化という音楽再生上の問題を発生させる。
スピーカースタンドが大型で高質量の場合は、その傾向は大きくなり、スピーカ−システムの振動が床に伝わり、床鳴りを発生させてしまい、さらなる音質の劣化を招く。
【0022】
本発明による低質量のスピーカースタンドは、通常のスピーカースタンドに比較して大きく共振してしまうが、逆にその共振によりスピーカーシステムの振動エネルギーを大きく吸収、減衰させることができるため、床への振動伝播を大きく減少させることができる。
【0023】
スピーカースタンドが共振することにより共鳴音も発生するが、スピーカースタンドが細く軽い棒状素材による枠組み構造のため表面積を減らすことができ、共鳴音の音量は極めて少なく抑えることが可能となり、聴感上の再生音への影響は無視できる程度に小さくすることができる。
【0024】
第二の発明は、スタンドの全体構造を振動的に剛な部分と柔な特性を持つ、二つの構造体の組み合わせとしたことである。
構造体の一つは、スピーカーシステムの振動を確実に受けとめる高剛性のスピーカーシステム保持構造体、もう一つの構造体は、自由に振動して振動エネルギーを減衰させる柔構造のベース部分である。
【0025】
この二つの構造体を溶接により強固に組み合わせた構造とし、スピーカースタンド内部の振動を確実に伝播させながら振動を減衰させ、最終的に設置床への振動伝播を低減することができるスピーカースタンドである。
【0026】
高剛性のスピーカーシステム保持構造体は、鋼製の薄肉角パイプを溶接で成形した、縦長の矩形状のスタンド支柱を兼ねた支持フレーム部分、そこから前方に突き出すように溶接接合された鋼製角柱によるスピーカーシステム自重受けアームからなる。
【0027】
スピーカーシステムは、自重受けアームに取り付けるスピーカーシステムの自重受け部品、および左右縦支柱に取り付ける密着型のスピーカーシステム左右保持部品により3点で保持、固定される。
【0028】
柔構造のベース部分は、前後に並行に寝せて配置された2本の角棒を使用したベース部分、その間に配置する高剛性スピーカーシステム構造体の下部支柱、これらを貫通して配置する、2本の小径丸棒を用いて日の字型に溶接接合した構造とする。
【0029】
ベースの前後を結ぶ小径丸棒が鉛直方向に撓むことにより、スピーカースタンド全体がバネ効果を有する構造体として機能し、スピーカーシステムの振動を更に効果的に減衰させる。
【0030】
高剛性のスピーカーシステム保持構造体とバネ効果を有する柔構造のベース部分は、スタンド全体の振動伝播を確実に行うために、溶接により強固に接合した完全一体型構造を有するものとする。
【0031】
第三の発明は、スピーカーシステムの重心位置で自重を受けられ、さらにスピーカーシステムがスピーカースタンドから脱落することがないように、確実に固定できる仕組みを有する3点支持方式のスピーカーシステム保持構造を有するスピーカースタンドである。
【0032】
スピーカーシステムは、スピーカーシステム底面の下部に位置するスピーカーシステム自重受けアームにネジ止めされた自重受け座により1点保持される。
自重受け座の取り付け場所は、スピーカーシステム底面の重心位置付近に合わせられるように、スピーカーシステム自重受けアームの前後方向に複数の取り付け穴を設け任意の位置で使用できるようにする。
【0033】
3点支持の残り2カ所は、スピーカースタンドの左右支柱にボルトで取り付けられるネジ推進式のスピーカーシステム側面保持を目的とする部品とし、スピーカーシステムの左右側面に当てて使用する。
側面保持部品は、スピーカーシステムの落下防止を可能とするためゴム系の接触面をもつ密着型として、左右支柱への取り付けネジの推進力によりスピーカーシステムの側面に押しあてて使用する。
【0034】
本保持方法により、底面重心付近を1点で支持されたスピーカーシステムは前後左右方向の倒れを抑制され、同時にスピーカーシステムの脱落防止を図ることができる。
さらに左右の側面保持部品は、スタンド支柱の縦方向に設けられた複数の取り付け穴に任意取り付け可能とし、高さの異なるスピーカーシステムに対応できる汎用性の高いスピーカースタンドとする。
【発明の効果】
【0035】
第一発明によれば、軽量なスピーカースタンドは音楽再生中にスピーカーシステムの振動を受けて大きく振動し、共鳴音を発生するが、枠組み構造のスピーカースタンドのため表面積が少なく、共鳴音の音量はスピーカーシステム自体が発する音量に比較すると、非常に小さく抑えられるスピーカースタンドを作ることができる。
【0036】
このためスタンドの共鳴音は、聴感的には無視できる状態となり、スピーカーシステムの発する音だけが聞こえる状態になるため、混濁や付帯音のない自然で高品位な音質を得ることができる。
【0037】
第二発明によれば、スピーカーシステムの振動は、スピーカースタンドの柔構造ベース部分を振動させてから床に伝わるため、振動エネルギーが大幅に吸収され、床への振動伝達を大きく低減できるスピーカースタンドを作ることができる。
【0038】
振動を低減できる効果として、床の振動を大幅に減少させられるため、床鳴り音を低減することができ、再生音の混濁を防止することができ、再生音の高音質化という効果が得られる。
【0039】
さらに床鳴りを低減できる効果として、居住施設の階下への振動伝播を大きく低減でき、周辺住民への騒音防止等の環境性能も著しく向上する。
【0040】
第三の発明によれば、スピーカーシステムはスピーカースタンドは、振動伝達上の理想的な位置で保持、固定することができるようになる。
さらにスピーカー保持位置を任意に選択できるため、スピーカーシステムのサイズの大小にかかわらず使用することができる、高機能なスピーカースタンドを作ることができる。
【0041】
さらにスピーカーシステムの保持方法として、スピーカーシステムの左右側面2点を密着保持することにより、スピーカーシステムにネジ穴等の取り付け加工を行うことなく、スピーカーシステムは確実にスピーカースタンドに結合され、スピーカーシステムの脱落防止を行うことができる。
【0042】
この結果として、地震時にスピーカースタンドが前後左右に揺れ動いても、スピーカーシステムが脱落することがなくなり、人身の安全性確保にも結びつく、安全なスピーカースタンドを作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係るスピーカースタンドが適用される鉄鋼製スピーカースタンドの実施形態を示す斜視図である。
【図2】高剛性スピーカーシステム保持構造体の斜視図である。
【図3】柔構造ベース部分の斜視図である。
【図4】本発明に係るスピーカースタンドの振動減衰作用を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【実施例】
【0045】
図1に、本実施形態にかかるスピーカースタンドの構成について説明する。
スタンド素材は、薄肉軽量の金属製パイプと断面積の少ない金属無垢材を併用して、軽量かつ高剛性化を実現できる素材とする。
【0046】
角柱形状の素材寸法については、振動吸収の面から一辺の長さが15mm以内、円柱状素材の直径は10mm以内が好ましい。
使用する材質は、炭素鋼材を標準とするが、ステンレス系、チタン系、アルミ系の金属素材を使うこともできる。
【0047】
スタンドの全体は、柔構造のベース部分上にスピーカーシステム9を保持するための、剛性の高いスピーカーシステム保持構造体部分を溶接接合したものからなる。
全体構造は、以下のとおりである。
【0048】
スピーカースタンド下部のベース部分は、前後2本のスタンド下部ベース部材5および左右縦支柱下部連結材2の左右端部を直交し、これらを連結する丸棒状のスタンド下部ベース前後連結材6から形成される。
【0049】
スタンド下部ベース前後連結材6は、上部からの荷重に対して撓みを起こす素材を用い、柔構造の部分として機能する。
【0050】
スピーカースタンドの上部は、左右縦支柱下部連結材2に直立する左右縦支柱1、その倒れを防止する斜めに設置する前部支柱7、縦支柱の上部に設ける左右縦支柱上部連結材3、スピーカーシステム自重受けアーム4、スピーカーシステム左右保持部品11およびスピーカーシステム自重受け部品41から形成される。
【0051】
スタンド全体の水平を調整する水平調整ボルト51は、スタンド下部ベース部材5の左右端部に取り付けねじ込み長さの調整により、スピーカースタンド全体の水平レベルを調整できるようにする。
水平調整ボルト51の先端は、設置床面8に対し点接触できるように、先端の尖ったスパイク形状とすることが望ましい。
【0052】
左右縦支柱1は質量の低減、表面積の低減および剛性確保が可能な、薄肉軽量の鋼製中空角パイプを素材とし、左右縦支柱下部連結材2の両端に溶接で取り付ける。
【0053】
スピーカーシステム自重受けアーム4は、左右縦支柱上部連結材3の中央前方に突き出すように取り付け、斜めに設置される小径丸棒の前部支柱7の上部先端に溶接により固定される。
【0054】
スピーカーシステム9は、スピーカーシステム自重受けアーム41および左右のネジ推進式のスピーカーシステム左右保持部品11により、3点で保持され空中に浮かぶ形となる。
【0055】
ネジ推進式のスピーカーシステム左右保持部品11を取り付けるためのスピーカーシステム左右保持部品取り付け穴12は、高さの異なるスピーカーシステム9に対応できるように上下方向に複数個設置する。
【0056】
スピーカーシステム自重受けアーム4には設置スピーカーシステム自重受け部品41を取り付けるためのスピーカーシステム自重受け部品取り付け穴42を前後方向に複数個設置し、奥行きの異なるスピーカーシステム9に対応できるようにする。
【0057】
スピーカーシステム左右保持部品11の押し座面には、スピーカーシステム9の側面を確実に保持し、傷つける恐れが無い密着性の良い硬質ゴム素材を使用することが望ましい。
【0058】
スピーカーシステム自重受け部品41は、スピーカーシステム9の傾き変化に対応が可能な、自在型の座面を有する構造にするか、点支持が可能な先端が球形または尖った形状とすることが望ましい。
【0059】
本実施形態によれば、スピーカーシステム9は、スピーカーシステム自重受け部品41により、その質量を受け止められる。
【0060】
スピーカーシステム自重受け部品41は、ねじ込み長さにより取付け高さを調整することができるため、スピーカーシステム9を任意の角度に傾斜させることができる。
【0061】
スピーカーシステム9は、スピーカーシステム左右保持部品11の締め付けにより、確実に保持され前後左右への倒れを阻止され、スピーカースタンドと一体化される形となるため、スピーカーシステム9の脱落防止が可能となる。
【0062】
図2は、高剛性スピーカーシステム保持構造体の斜視図である。
この部分は、左右縦支柱1、左右縦支柱下部連結材2および左右縦支柱上部連結材3を溶接で矩形状に形成し、剛性を高める。使用する素材は、質量を軽減しつつ剛性を確保できる、鋼製中空角パイプの使用が望ましい。
【0063】
スピーカーシステム自重受けアーム4は、左右縦支柱上部連結材3の中央前方に直交させて強固に溶接する。
スピーカーシステム9の振動は、スピーカーシステム左右保持部品11およびスピーカーシステム自重受け部品41を経由して伝えられる。
【0064】
図3は、柔構造ベース部分斜視図である。
前後のスタンド下部ベース部材5は、左右のスタンド下部ベース前後連結材6により接合される。
左右のスタンド下部ベース前後連結材6は、細い丸棒形状の鋼材を使用し、上下方向に容易に撓むバネ部品として作用する。
【0065】
図4は、本実施形態にかかるスピーカーシステムの振動減衰の作用について説明したものである。
スピーカーユニット91の発音(振動)に伴う振動9Aは、スピーカーシステム左右保持部品11およびスピーカーシステム自重受け部品41を経由して、左右縦支柱1およびスピーカーシステム自重受けアーム4に伝わる。
【0066】
この振動は、さらに左右縦支柱1および前部支柱7を振動させながら、スタンド下部ベース前後連結材6に伝わる。
さらに撓みやすく振動し易いスタンド下部ベース前後連結材6を通過して減衰した振動は、スタンド下部ベース部材5に伝わり、最終的に水平調整ボルト51を介して設置床面8に到達する。
【0067】
上記の過程においてスタンドの構成部品のすべてが振動を起こし、振動に伴う音響すなわち共鳴音を発生するが、各構成部品の面積と質量が少なく、板状の共鳴体が存在しないため、共鳴音の音量レベルを非常に小さくすることができる。
【0068】
スピーカーシステム自重受け部品41は、ねじ込み長さにより取付け高さを調整することができるため、スピーカーシステム9を任意の角度に傾斜させることができる。
【0069】
さらにスピーカーシステム9の振動は、設置床面8に到達するまでに減衰しているため、設置床面8の鳴り、すなわち床鳴り音の発生を低減させることができる。
【0070】
以上の振動減衰作用により、本スピーカースタンドの発する共鳴音および床鳴り音は、スピーカーシステム9自体の発する音量に対して聴覚的に無視できる状態となる。
このためスピーカーシステム9の発する音質は、スピーカースタンドの共鳴音及び床鳴り音に阻害することなく、混濁のない自然な音を得ることができる。
【符号の説明】
【0071】
1 左右縦支柱
11 スピーカーシステム左右保持部品
12 スピーカーシステム左右保持部品取り付け穴
1A 縦支柱前後振動
2 左右縦支柱下部連結材
3 左右縦支柱上部連結材
4 スピーカーシステム自重受けアーム
41 スピーカーシステム自重受け部品
42 スピーカーシステム自重受け部品取り付け穴
4A スピーカーシステム自重受けアーム上下振動
5 スタンド下部ベース部材
51 水平調整ボルト
6 スタンド下部ベース前後連結材
6A スタンド下部ベース前後連結材振動
7 前部支柱
7A 前部支柱前後振動
8 設置床面
9 スピーカーシステム
91 スピーカーユニット
9A スピーカーシステム前後振動

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカースタンドの共鳴体として作用し、共鳴音を大きくしてしまう表面積が広く質量の大きい板状または柱状の素材を使用せず、表面積および質量が小さい細い棒状素材を使用し、溶接により枠組み形状に一体化された共鳴音発生が少ない軽量スピーカースタンド。
【請求項2】
請求項1記載のスピーカースタンドにおいて、スピーカーシステムの振動を受けとめる高剛性のスピーカーシステム保持構造体および自由に振動して振動エネルギーを減衰させる柔構造ベースの二つの構造体を接合した全体構造を有し、振動吸収能力が高く、床への振動伝播を低減したスピーカースタンド。
【請求項3】
請求項1記載のスピーカースタンドにおいて、スピーカーシステム下面の重心位置で自重を支えられる1ヶ所の自重受けおよびスピーカー左右側面に押しつけて使用する2カ所の保持座による3点支持方式を使用し、スピーカーシステムの脱落を防ぐことができるスピーカースタンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−95170(P2012−95170A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241767(P2010−241767)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(710011257)
【Fターム(参考)】