説明

スポンジ菓子用油脂組成物及び当該油脂組成物を用いたスポンジ菓子

【課題】
風味及び食感が良好でボリュームのあるスポンジ菓子を製造するためのスポンジ菓子用油脂組成物を提供することである。風味及び食感が良好でボリュームのあるスポンジ菓子を提供することである。
【解決手段】
本発明のスポンジ菓子用油脂組成物は、油脂A(構成脂肪酸中のオレイン酸含量が50質量%以上である油脂)及び油脂B(油脂中の不けん化物含量が1.0〜6.0質量%である油脂)含有することを特徴とする。
本発明のスポンジ菓子は、スポンジ菓子用油脂組成物を含有するスポンジ生地を加熱することで得られることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポンジ蒸し菓子等のスポンジ菓子に用いる油脂組成物に関するものであり、特に風味及び食感が良好でボリュームのあるスポンジ菓子を提供することのできるスポンジ菓子用油脂組成物に関するものである。
また、本発明は、風味及び食感が良好でボリュームのあるスポンジ蒸し菓子等のスポンジ菓子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スポンジ菓子は、小麦粉、卵、砂糖、油脂等を原料として、卵の起泡力を利用して起泡させたスポンジ生地を加熱(焼く、蒸す等)することで製造される菓子であり、その特徴はふんわりとしたソフトな食感とボリュームを有することである。
【0003】
スポンジ菓子の中でもスポンジ生地を蒸すことで製造されるスポンジ蒸し菓子は、加熱工程におけるスポンジ生地が受ける熱量等の違いから、スポンジ生地を焼くことで製造されるスポンジ焼き菓子と比較して、ふんわりとしたソフトな食感やボリュームが得られにくいことが知られている。
また、スポンジ蒸し菓子は、蒸した時に発生するスポンジ蒸し菓子特有の好ましくない臭いにより風味が悪くなりやすいことが知られている。
そのため、風味及び食感が良好でボリュームのあるスポンジ蒸し菓子を得るための検討がなされている。
【0004】
風味及び食感が良好でボリュームのあるスポンジ蒸し菓子を得るための手段として、卵白と蛋白質架橋酵素を作用させた豆乳と乾燥卵白を用いること(特許文献1)や、乳固形分中のリン脂質の含有量2質量%以上である食品素材とゲル化剤と水とで構成される複合体を用いること(特許文献2)が提案されている。
しかし、特許文献1及び特許文献2は、いずれも特殊な成分を使用するものであり、入手が困難である等の問題があった。
そこで、特殊な成分を使用せずとも、簡便に風味及び食感が良好でボリュームのあるスポンジ蒸し菓子等のスポンジ菓子を提供するための手法が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−178364号公報
【特許文献2】特開2008−253147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、風味及び食感が良好でボリュームのあるスポンジ菓子を製造するためのスポンジ菓子用油脂組成物を提供することである。
また、本発明の目的は、風味及び食感が良好でボリュームのあるスポンジ菓子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の油脂を組み合わせた油脂組成物をスポンジ菓子に用いると、風味及び食感が良好でボリュームのあるスポンジ菓子が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の第1の発明は、下記油脂A及び油脂Bを含有するスポンジ菓子用油脂組成物である。
油脂A:構成脂肪酸中のオレイン酸含量が50質量%以上である油脂
油脂B:油脂中の不けん化物含量が1.0〜6.0質量%である油脂
本発明の第2の発明は、前記油脂Aが、高オレイン酸低リノレン酸菜種油、高オレイン酸サフラワー油及び高オレイン酸ヒマワリ油からなる群から選ばれる1種又は2種以上である第1の発明に記載のスポンジ菓子用油脂組成物である。
本発明の第3の発明は、前記油脂Bが、米油である第1の発明又は第2の発明に記載のスポンジ菓子用油脂組成物である。
本発明の第4の発明は、第1の発明〜第3の発明のいずれか1つの発明に記載のスポンジ菓子用油脂組成物を含有するスポンジ生地を加熱して得られるスポンジ菓子である。
本発明の第5の発明は、前記スポンジ菓子がスポンジ蒸し菓子である第4の発明に記載のスポンジ菓子である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、風味及び食感が良好でボリュームのあるスポンジ菓子を製造するためのスポンジ菓子用油脂組成物を提供することができる。
また、本発明のよると、風味及び食感が良好でボリュームのあるスポンジ菓子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明のスポンジ菓子用油脂組成物は、下記油脂A及び油脂Bを含有することを特徴とする。
油脂A:構成脂肪酸中のオレイン酸含量が50質量%以上である油脂
油脂B:油脂中の不けん化物含量が1.0〜6.0質量%である油脂
【0011】
本発明において、スポンジ菓子とは、穀粉、卵、糖、油脂等を原料として、これら原料を混合して起泡させたスポンジ生地を加熱(焼く、蒸す等)することで製造される菓子のことである。
【0012】
本発明で用いる油脂Aは構成脂肪酸中のオレイン酸含量が50質量%以上の油脂である。油脂Aの構成脂肪酸中のオレイン酸含量は50〜90質量%であることが好ましく、60〜85質量%であることがより好ましく、70〜85質量%であることが最も好ましい。
なお、構成脂肪酸中のオレイン酸含量は日本油化学協会の基準油脂分析試験法のメチルエステル化法(2.4.1.2−1996)に準じて測定することができる。
【0013】
油脂Aとしては、菜種油、高オレイン酸低リノレン酸菜種油(HOLL菜種油)、高オレイン酸サフラワー油(ハイオレイックサフラワー油)、高オレイン酸ヒマワリ油(ハイオレイックヒマワリ油)、オリーブ油等が挙げられる。油脂Aとしては、高オレイン酸低リノレン酸菜種油、高オレイン酸サフラワー油、高オレイン酸ヒマワリ油を用いることが好ましい。これらの油脂をエステル交換、分別等の加工処理したものも用いることができる。これらの油脂は1種又は2種以上を混合して用いることもできる。
【0014】
本発明のスポンジ菓子用油脂組成物中における油脂Aの含量は9〜90質量%であることが好ましく、19〜80質量%であることがより好ましく、19〜50質量%であることが更に好ましく、20〜40質量%であることが最も好ましい。
【0015】
油脂Aの構成脂肪酸中のオレイン酸含量及び油脂組成物中における油脂Aの含量が上記範囲にあると、得られるスポンジ菓子がふんわりとしたソフトな食感及びボリュームを有するものとなる。特にふんわりとしたソフトな食感及びボリュームが得られにくいスポンジ蒸し菓子においても、得られるスポンジ蒸し菓子がふんわりとしたソフトな食感及びボリュームを有するものとなる。
【0016】
本発明で用いる油脂Bは油脂中の不けん化物含量が1.0〜6.0質量%の油脂である。油脂Bの油脂中の不けん化物含量は1.0〜4.5質量%であることが好ましく、1.0〜3.5質量%であることがより好ましく、2.0〜3.5質量%であることが最も好ましい。
なお、通常、不けん化物はステロール、トコフェロール、炭化水素、グリセリン、高級アルコール等のアルカリでけん化されない物質のことであるが、本願において不けん化物とは日本油化学協会の基準油脂分析試験法の不ケン化物測定法(2.4.8−1996)に準じて測定されるものとする。
【0017】
油脂Bとしては、米油(米糠油)、ゴマ油、コーン油等が挙げられる。油脂Bとしては、米油を用いることが好ましい。これらの油脂をエステル交換、分別等の加工処理したものも用いることができる。これらの油脂は1種又は2種以上を混合して用いることもできる。
【0018】
本発明のスポンジ菓子用油脂組成物中における油脂Bの含量は、9〜90質量%であることが好ましく、19〜80質量%であることがより好ましく、49〜80質量%であることが更に好ましく、60〜80質量%であることが最も好ましい。
【0019】
油脂組成物中における油脂Bの含量が上記範囲にあると、得られるスポンジ菓子が風味良好なものとなる。特にスポンジ蒸し菓子においても、得られるスポンジ蒸し菓子が風味良好なものとなる。
【0020】
本発明のスポンジ菓子用油脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、油脂成分として上記油脂A及び油脂B以外に通常スポンジ菓子の製造に用いられる油脂を含有させることもできる。
本発明のスポンジ菓子用油脂組成物に含まれる全油脂中における上記油脂A及び油脂Bの合計含量は、80〜100質量%であることが好ましく、90〜100質量%であることが好ましく、100質量%(スポンジ菓子用油脂組成物に含まれる油脂が上記油脂A及び上記油脂Bのみからなる。)であることが最も好ましい。
【0021】
本発明のスポンジ菓子用油脂組成物の形態としては、混合油、ショートニング等の水相を有さないものと、マーガリン、ファットスプレッド等の水相を有するもの(油中水型乳化物、水中油型乳化物、二重乳化型乳化物等)が挙げられるが、水相を有さないものであることが好ましく、混合油であることがより好ましい。
また、本発明のスポンジ菓子用油脂組成物の形状としては、常温(5〜35℃)で液状、流動状が挙げられるが、常温で液状であることが好ましい。
【0022】
本発明のスポンジ菓子用油脂組成物は、乳化剤を含有することが好ましい。本発明のスポンジ菓子用油脂組成物中における乳化剤の含量は、0.1〜2.0質量%であることが好ましく、0.3〜1.5質量%であることがより好ましく、0.4〜1.0質量%であることが最も好ましい。
【0023】
本発明のスポンジ菓子用油脂組成物に使用する乳化剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、モノグリセリド、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、有機酸モノグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリソルベート等が挙げられ、これらの乳化剤は1種又は2種以上を用いることができる。
【0024】
本発明のスポンジ菓子用油脂組成物には、その他の成分として、通常、スポンジ菓子用油脂組成物に配合される成分を配合することができる。その他の成分としては、水、呈味成分、増粘安定剤、食塩、塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、糖類や糖アルコール類、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β−カロテン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、ルチン、茶抽出物(カテキン等)等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、卵及び各種卵加工品、香料、全脂粉乳、脱脂粉乳、乳清蛋白等の乳製品、調味料、pH調整剤、食品保存料、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。
【0025】
本発明のスポンジ菓子用油脂組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法により製造することができる。
具体的には、油脂等の配合成分を必要に応じて加熱溶解した後、十分に混合することで製造することができる。スポンジ菓子用油脂組成物が水相を有する乳化物の場合は、得られた油脂組成物を油相とし、当該油相と水相とを公知の方法により乳化することで製造することができる。
【0026】
本発明のスポンジ菓子用油脂組成物はスポンジ菓子の練り込み用油脂として使用することができる。特に、本発明のスポンジ菓子用油脂組成物はスポンジ蒸し菓子の練り込み用油脂として好適に使用することができる。
【0027】
本発明のスポンジ菓子用油脂組成物をスポンジ菓子に使用すると、風味及び食感が良好でボリュームのあるスポンジ菓子を得ることができる。特に、本発明のスポンジ菓子用油脂組成物をスポンジ蒸し菓子に使用すると、スポンジ蒸し菓子特有の好ましくない臭いがなく風味が良好で、ふんわりとしたソフトな食感及びボリュームを有するスポンジ蒸し菓子を得ることができる。
【0028】
本発明のスポンジ菓子はスポンジ菓子用油脂組成物を含有するスポンジ生地を加熱することで得られることを特徴とする。
なお、本発明においてスポンジ菓子用油脂組成物を含有するスポンジ生地とは、スポンジ生地にスポンジ菓子用油脂組成物を構成する上記油脂Aと上記油脂Bを別々に配合した場合も包含するものである。
【0029】
本発明に使用するスポンジ生地は本発明のスポンジ菓子用油脂組成物、穀粉、卵、糖等を原料として、これら原料を混合して起泡させたものである。
【0030】
本発明に使用するスポンジ生地中における本発明のスポンジ菓子用油脂組成物の含量は、スポンジ菓子の種類によって異なるため、特に制限されるものではないが、スポンジ生地に配合される穀粉100質量部に対して、5〜60質量部であることが好ましく、10〜50質量部であることがより好ましく、20〜40質量部であることが最も好ましい。
【0031】
本発明において、穀粉とは、穀物を挽いて粉状にしたものであり、通常、スポンジ菓子のスポンジ生地に配合されるものであれば、特に制限なく使用することができる。また、穀粉の配合量も、通常、スポンジ生地に配合される範囲で特に制限なく配合することができる。穀粉の具体例としては、小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉等)、大麦粉、米粉、とうもろこし粉、ライ麦粉、そば粉、大豆粉等が挙げられる。
【0032】
本発明において、卵は、通常、スポンジ菓子のスポンジ生地に配合されるものであれば、特に制限なく使用することができる。また、卵の配合量も、通常、スポンジ生地に配合される範囲で特に制限なく配合することができるが、スポンジ生地に配合される穀粉100質量部に対して、50〜200質量部であることが好ましく、80〜180質量部であることがより好ましく、100〜150質量部であることが最も好ましい。卵の具体例としては、全卵、加塩全卵、加糖全卵、乾燥全卵、凍結全卵、酵素処理全卵、卵黄、加塩卵黄、加糖卵黄、乾燥卵黄、凍結卵黄、酵素処理卵黄、卵白、加塩卵白、加糖卵白、乾燥卵白、凍結卵白等が挙げられる。
【0033】
本発明において、糖は、通常、スポンジ菓子のスポンジ生地に配合されるものであれば、特に制限なく使用することができる。また、糖の配合量も、通常、スポンジ生地に配合される範囲で特に制限なく配合することができるが、スポンジ生地に配合される穀粉100質量部に対して、50〜250質量部であることが好ましく、75〜200質量部であることがより好ましく、100〜180質量部であることが最も好ましい。糖の具体例としては、砂糖、上白糖、還元澱粉糖化物、液糖、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素転化水飴、乳糖、異性化液糖、ショ糖結合水飴、還元糖ポリデキストロース、オリゴ糖、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトース、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、ラフィノース、デキストリン等が挙げられる。
【0034】
本発明に使用するスポンジ生地には、スポンジ菓子用油脂組成物、穀粉、卵、糖以外に、通常、スポンジ菓子のスポンジ生地に配合されるものであれば、特に制限なく配合することができる。また、これらの配合量も、通常、スポンジ菓子のスポンジ生地に配合される範囲で特に制限なく配合することができる。具体的には、水、澱粉、食塩、乳化剤、乳化起泡剤(乳化油脂)、チーズ、生クリーム、合成クリーム、ヨーグルト、全脂粉乳、脱脂粉乳、牛乳、濃縮乳、合成乳、イースト、イーストフード、カカオマス、ココアパウダー、チョコレート、コーヒー、紅茶、抹茶、野菜類、果物類、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、肉類、魚介類、豆類、きな粉、豆腐、豆乳、大豆粉、大豆蛋白、膨張剤、甘味料、調味料、香辛料、着色料、香料等が挙げられる。
【0035】
本発明のスポンジ菓子は、本発明のスポンジ菓子用油脂組成物を配合したスポンジ生地を用いて、公知の製造条件及び製造方法により製造することができる。具体的には、スポンジ生地を蒸す、焼く等の加熱することで製造することができる。
【0036】
本発明のスポンジ菓子の具体例としては、蒸しケーキ、蒸しパン、マーラーカオ、蒸し饅頭等のスポンジ蒸し菓子、ショートケーキ、ロールケーキ、トルテ、デコレーションケーキ、シフォンケーキ等のスポンジケーキ、どら焼き、カステラ等が挙げられる。本発明のスポンジ菓子は、蒸しケーキ、蒸しパン、マーラーカオ、蒸し饅頭等のスポンジ蒸し菓子であることが好ましい。
【0037】
本発明のスポンジ菓子は、風味及び食感が良好でボリュームのあるものである。特に、本発明のスポンジ菓子がスポンジ蒸し菓子である場合、当該スポンジ蒸し菓子は、スポンジ蒸し菓子特有の好ましくない臭いがなく風味が良好で、ふんわりとしたソフトな食感及びボリュームを有するものである。
【実施例】
【0038】
次に、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例になんら制限されるものではない。
【0039】
<蒸しケーキの評価1>
表1の配合及び表2の製造条件で蒸しケーキを製造した。各蒸しケーキの外観(ボリューム)、食したときに風味及び食感を下記基準により評価した。
なお、評価結果は3名のパネラーによる評価を平均したものである。また、総合評価は外観(ボリューム)、風味及び食感の評価結果を総合して評価したものであり、総合評価が3.0点以上の場合に良好であるとした。評価結果を表1に示した。
【0040】
〔外観の評価基準〕
5点:ボリュームが最大で良好
4点:ボリュームが大で良好
3点:ボリュームがあり良好
2点:ボリュームが小さめで不良
1点:ボリュームが出ず不良
【0041】
〔風味の評価基準〕
5点:「コク」「甘味」がかなりあり良好
4点:「コク」「甘味」があり良好
3点:「コク」「甘味」がそこそこあり良好
2点:「コク」「甘味」があまりなく不良
1点:「コク」「甘味」がなく不良
【0042】
〔食感の評価基準〕
5点:ソフト感がかなりあり良好
4点:ソフト感があり良好
3点:ソフト感がそこそこあり良好
2点:ソフト感があまりなく不良
1点:ソフト感が全くなく不良
【0043】
【表1】

高オレイン酸低リノレン酸菜種油
:日清キャノーラ油ヘルシーライト(日清オイリオグループ株式会社、
オレイン酸含量72.3質量%、不けん化物含量0.89質量%)
高オレイン酸サフラワー油
:日清べに花油(日清オイリオグループ株式会社、オレイン酸含量
76.9質量%、不けん化物含量0.51質量%)
高オレイン酸ヒマワリ油
:試作品(日清オイリオグループ株式会社、オレイン酸含量
84.5質量%、不けん化物含量0.53質量%)
米油 :おいしい米油(日清オイリオグループ株式会社、オレイン酸含量
42.6質量%、不けん化物含量3.12質量%)
コーン油:日清コーン油(日清オイリオグループ株式会社、オレイン酸含量
29.4質量%、不けん化物含量1.08質量%)
乳化起泡剤:ジセル100(日清オイリオグループ株式会社)
【0044】
オレイン酸含量は、日本油化学協会の基準油脂分析試験法のメチルエステル化法(2.4.1.2−1996)に準じて測定した。
不けん化物含量は、日本油化学協会の基準油脂分析試験法の不ケン化物測定法(2.4.8−1996)に準じて測定した。
【0045】
【表2】

【0046】
表1から分かるように、油脂A(高オレイン酸低リノレン酸菜種油、高オレイン酸サフラワー油、高オレイン酸ヒマワリ油)及び油脂B(米油)を併用した油脂組成物を使用した実施例1、2、3は、総合評価が良好であった。
一方、表1から分かるように、油脂A(高オレイン酸低リノレン酸菜種油、高オレイン酸サフラワー油)又は油脂B(米油、コーン油)のどちらかのみの油脂組成物を使用した比較例1、2は、総合評価が満足いくものではなかった。
【0047】
<蒸しケーキの評価2>
表3、4及び表2の製造条件で蒸しケーキを製造した。各蒸しケーキの外観(ボリューム)、食したときに風味及び食感を蒸しケーキの評価1と同様の基準により評価した。評価結果を表3、4に示した。
【0048】
【表3】

【0049】
【表4】

【0050】
表3、4から分かるように、油脂A(高オレイン酸低リノレン酸菜種油)及び油脂B(米油)を併用した油脂組成物を使用した実施例4〜9は、総合評価が良好であった。
一方、表4から分かるように、油脂A(高オレイン酸低リノレン酸菜種油)又は油脂B(米油)のどちらかのみを使用した比較例3、4は、総合評価が満足いくものではなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記油脂A及び油脂Bを含有するスポンジ菓子用油脂組成物。
油脂A:構成脂肪酸中のオレイン酸含量が50質量%以上である油脂
油脂B:油脂中の不けん化物含量が1.0〜6.0質量%である油脂
【請求項2】
前記油脂Aが、高オレイン酸低リノレン酸菜種油、高オレイン酸サフラワー油及び高オレイン酸ヒマワリ油からなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1に記載のスポンジ菓子用油脂組成物。
【請求項3】
前記油脂Bが、米油である請求項1又は請求項2に記載のスポンジ菓子用油脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のスポンジ菓子用油脂組成物を含有するスポンジ生地を加熱して得られるスポンジ菓子。
【請求項5】
前記スポンジ菓子がスポンジ蒸し菓子である請求項4に記載のスポンジ菓子。

【公開番号】特開2012−55172(P2012−55172A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198494(P2010−198494)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000227009)日清オイリオグループ株式会社 (251)
【Fターム(参考)】