説明

スポーツ用打撃用具

【目的】 自分の身長に合いかつ本来の機能を発揮できる用具を容易に選択できる。
【構成】 打撃用具にこれを用いて好適な人の身長に相当する記号Sを表示する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、ゴルフクラブ,テニスやバドミントンのラケット,野球のバット等のスポーツ用打撃用具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種スポーツ用打撃用具は、使用する人の個体差、特に身長の違いによる選択の幅はほとんどなく、身長155cmの人も身長180cmの人も同一の用具を用いていた。例えばゴルフクラブの例でも、クラブ長さやライ角等も使う人の身長に合わせた最適なものを選択することは、ほとんど不可能か、選択の幅がきわめて狭いものであった。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
ゴルフクラブでも野球のバットでも、この種のスポーツ用打撃用具は、身長に応じて最適の設計がなされているときに使い勝手が良く、本来の機能を十分に発揮できるものであるが、従来の用具では標準的な身長に合わせて用具を作製していたので、標準よりも小さい人や大きい人にとっては扱いにくく、用具本来の機能も発揮しにくいものであった。
【0004】
そこで、この考案は、自分の身長に合いかつ本来の機能を十分に発揮できるスポーツ用打撃用具を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、この考案は、打撃用具にこれを用いて好適な人の身長に相当する記号を表示するものである。
【0006】
【作用】
この考案では、用具にこれを用いて好適な人の身長に相当する記号を表示するので、この記号を目安に自分に合った用具を容易に選択することができる。
【0007】
【実施例】
以下に、この考案の好適な実施例を図面を参照にして説明する。
【0008】
図1に示す実施例は、スポーツ用打撃用具としてゴルフクラブ,ドライバーと呼ばれるクラブを示し、ヘッド1にシャフト2が取付けてあり、このシャフト2の上端にはグリップ3を装着してある。このシャフト2の個所にこのドライバーを用いて好適な人の身長に相当する記号Sを表示してある。記号Sの表示個所はシャフト2のみに限らずグリップ3の任意の個所であってもよいし、ヘッド1の任意の個所であってもよい。この身長に相当する記号Sとしては、5cm単位あるいは10cm単位で数種類の記号、例えば色別あるいは数字さらにはアルファベット等で表示することができる。例えば、身長が150cm台の人に好適な場合には「150」、160cm台の人に好適な場合には「160」等の表示を付する。
【0009】
一般的に、ドライバーと呼ばれるゴルフクラブの場合、ライ角は55°〜57°の範囲内にある。シャフト2の長さが44インチであり、ライ角が57°のドライバーを身長150cm台の人が使用すると、ソールを地面に正しくセットしようとしても、構えたときにトウ側が上がってしまう。また、シャフト2の長さが44インチでライ角が55°のドライバーを身長が190cm台の人が使用して構えたときにはヒール側が上がってしまう。一般的に、構えたときにトウ側が上がるクラブはアップライトであり、アップライトすぎるものは左へ飛び、ヒール側が上がるクラブはフラットであり、フラットすぎるものは右へ飛ぶ傾向にある。
したがって、自分の構えた姿勢に最も適合したライ角を有するクラブがその人にとって好適なクラブである。したがって、使用する人の身長に合わせてライ角を設定する必要があるが、ライ角のみならずシャフト2の長さやフレックス等も身長に応じたものに設計する。さらには、ゴルフクラブをスウィングするとトウダウン現象が生じ、ヘッド1のトウ側が下に下がる現象が生ずるので、このトウダウン現象に対応できるようなヘッド1の設計やシャフト2の設計が必要となり、これも身長の違いによってそれぞれ異なる。また、一般的に身長の高い人の手は大きいため、グリップ3の太さも考慮する。さらにまた、身長の高い人はスウィングアークも大きくなるので、シャフト2を長くしなくても十分な飛距離が得られる。また、身長の低い人はスウィングアークが小さくなるので、シャフト2を長くしてスウィングアークの小さい分を補うようにして飛距離を延ばすようにすることもできる。シャフト2を長くして、例えば45インチ超とした場合、ライ角は小さくしてフラットぎみにクラブを設計する。
【0010】
図2はヘッド1の色々な個所に身長に相当する記号Sを表示する例を示すものである。
【0011】
ゴルフクラブはウッドクラブのみならずアイアンクラブについても身長に相当する記号Sを表示することができる。アイアンクラブの場合には複数本のセットで販売されるのが一般的であり、このようなセットに対し身長に応じた表示をすればよい。
【0012】
ゴルフクラブの場合、ヘッド1の重心位置やソール形状,使用する材質,フェース面の形状,シャフト2のフレックスやキックポイント,グリップ3の太さなど種々の要素を考慮して使用する人の身長に合いかつクラブ本来の機能を発揮できるように設計する。
【0013】
アイアンクラブセットの場合、例えば3番〜9番,ピッチングウェッジ,ピッチングサンド,サンドウェッジの10本セットの場合、3番アイアンのシャフトの長さを38.5インチとしたとき、番手が大きくなるに従って0.5インチずつシャフト2を短くした場合、3番アイアンのライ角は58°、4番アイアンは59°、5番アイアンは60°、6番アイアンは61°、7番アイアンは61.
5°、8番アイアンは62°、9番アイアンは62.5°、ピッチングウェッジからサンドウェッジの3本についてはすべて63°に設定したものは、身長170cm台の人に好適なライ角としてある。これよりも身長が低い人に対しては全般的にライ角を小さくし、これよりも身長が高い人には全般的にライ角を大きくすれば、少なくともライ角は使用する人にとって最適なライ角、すなわちコレクトライとなる。ライ角のみならずヘッド1やシャフト2さらにはグリップ3についても身長に即した設計をしていく。
【0014】
図3は野球のバット10に身長に相当する記号Sを表示した例を示す。野球のバット10においても総重量,長さ,グリップの太さなどが身長の違いによって異なり、あるいは使用する人の好みもあり、少なくとも3種類以上の身長の違いによるバット10が必要となる。身長の高い人であれば、通常の長さのバット10であってもアウトコース一杯のボールに当てることができるが、低い身長の人にあってはアウトコース一杯のボールを打つことは困難となる。
【0015】
図4はテニスやバドミントン等に使用するラケット20を示し、このラケット20にもこれを用いて好適な人の身長に相当する記号Sを表示した。身長の違いによってラケット20のグリップの太さや長さあるいは打球面積の大きさなどに変化をもたせる。
【0016】
図示したスポーツ用打撃用具以外の用具例えばゲートボール用のスティックやホッケー用スティック等にも身長に相当する記号Sを表示することができる。
【0017】
【考案の効果】
以上説明したように、この考案によれば、打撃用具にこれを用いて好適な人の身長に相当する記号を表示したので、それぞれの身長に合った用具を容易に選択することができ、自分の身長にあった用具を用いれば用具本来の機能を十分に発揮することができる。特にゴルフクラブであれば、身長とその人のヘッドスピードとを組合せた表示も可能であり、より使用する人に合ったゴルフクラブを選択することができ、ゴルファーは用具選びに迷うこともなくなり、身長に合った用具を選べば番手通りの飛距離を実現することができる。特に、ヘッドスピードと一緒に身長に相当する記号を表示したものでは、よりきめ細かな選択、すなわちその人に合ったクラブをオーダーメードするのと同様の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】ゴルフクラブに身長に相当する記号を表示した例を示す正面図。
【図2】ゴルフクラブのヘッドに記号を表示した例を示すヘッドの底面図。
【図3】野球のバットに記号を表示した例を示す斜視図。
【図4】ラケットに記号を表示した例を示す正面図。
【符号の説明】
S 身長に相当する記号

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 打撃用具にこれを用いて好適な人の身長に相当する記号を表示することを特徴とするスポーツ用打撃用具。
【請求項2】 打撃用具がゴルフクラブであることを特徴とする請求項1に記載のスポーツ用打撃用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【登録番号】第3018303号
【登録日】平成7年(1995)9月6日
【発行日】平成7年(1995)11月21日
【考案の名称】スポーツ用打撃用具
【国際特許分類】
【評価書の請求】有
【出願番号】実願平7−5728
【出願日】平成7年(1995)5月18日
【出願人】(592014104)ブリヂストンスポーツ株式会社 (652)