説明

スライド式のテーブルを有する補助テーブル

【課題】スライドテーブルを引き出さず、或いはスライドテーブル上に物が置かれていても、引出し内の物を取り出すことができる補助テーブルを提供すること。
【解決手段】天板24を有し、少なくとも手前に開口部が配置されるようにして、天板24の下面側に収容空間Sを有する基体28と、収容空間Sに収められると共に、開口部から出し入れ可能なスライドテーブル30とを備えた補助テーブルであって、スライドテーブル30の下面側には、収容空間Sに収められると共に、開口部から出し入れ可能な引出し部40が設けられており、引出し部40は、スライドテーブル30にのみ規制されるようにして、スライドテーブル30に対して出し入れ自在となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジ等が載置される天板の下面側に、出し入れ可能なスライドテーブルを備えた補助テーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
厨房の調理台や家具等の作業台の上には、ガスレンジや電子レンジ、トースター、ポット等の種々の製品が載置されることが多いため、作業台の上で調理などの作業をするスペースが狭くなってしまうことが多い。このため、従来は、作業スペースを得るため、例えばガスレンジの下に、スライド式に出し入れ可能な補助テーブルを載置することがある。
【0003】
図9は従来の補助テーブルの斜視図であって、補助テーブル1は、厨房家具2とガステーブル4との間に配置されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。この補助テーブル1は、手前に開口部6を有するように収容空間が形成されており、この収容空間に平板8が収納されている。そして、この平板8は収容空間から出し入れ可能であって、調理等の作業をする際、開口部6から引き出して、平板8の上で作業することができる。また、平板8の上に調味料・包丁等の食材や道具を載置することで、別の調理台に置く食材や道具の数を減らして、作業スペースを確保することができる。
【0004】
図10は従来のその他の補助テーブルの斜視図であって、この補助テーブル12の場合、引出し14が設けられている(例えば、特許文献2参照)。すなわち、収容空間の中にはスライドテーブル16で蓋をされるように引出し14が収納されており、この引出し14を手前に引き出すとスライドテーブル16も引き出される。そして、このスライドテーブル16の上で作業をし、また食材や道具を載置することができ、しかも、スライドテーブル16を図のように上げて、引出し14の中の物を取り出すこともできる。
【0005】
【特許文献1】特開2006―320520の公開公報
【特許文献2】特開平9―70323の公開公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、図10に示される補助テーブル12では、スライドテーブル16が引出し14に蓋をするような構造となっており、引出し14のみを引き出すことができない。このため、引出し14を使用したい場合、その都度、引出し14とスライドテーブル16を一緒に引出して、蓋であるスライドテーブル16を図10のように押し上げなければならなかった。
ここで、スライドテーブル16と引出し14とを別々に引き出せるような構造にすれば、スライドテーブル16を引き出さなくても、引出し14を引き出すことができる。しかし、スライドテーブル16の上で調理等の作業をしている最中に、引出し14の中の箸等を取り出したくなることが想定され、その場合、スライドテーブル16上に物を置いていると、引出し14の中の物を取り出す時に、その都度、スライドテーブル16上の物を別の場所に移動させてスライドテーブル16をしまわなくてはならず、大変不便である。
【0007】
本発明は、スライドテーブルを引き出さず、或いはスライドテーブル上に物が置かれていても、引出し内の物を取り出すことができる補助テーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、請求項1の発明によれば、物が載置される天板を有し、少なくとも手前に開口部が配置されるようにして、前記天板の下面側に収容空間を有する基体と、前記収容空間に収められると共に、前記開口部から出し入れ可能なスライドテーブルとを備えた補助テーブルであって、前記スライドテーブルの下面側には、前記収容空間に収められると共に、前記開口部から出し入れ可能な引出し部が設けられており、前記引出し部は、前記スライドテーブル及び/又はこれに設けられた部材にのみ規制されるようにして、前記スライドテーブルに対して出し入れ自在となっている補助テーブルにより達成される。
【0009】
請求項1の構成によれば、補助テーブルは、基体の収容空間に収められると共に、開口部から出し入れ可能なスライドテーブルと引出し部が設けられているため、スライドテーブルを引き出して作業台とし、また引出し部内に物を保管することもできる。ここで、引出し部はスライドテーブルに対して出し入れ自在となっている。このため、スライドテーブルを引き出し、スライドテーブル上で調理等の作業をしている状態で、引出し部をスライドテーブルから引き出して、その中から調理用具等を取り出すことができる。しかも、引出し部の出し入れは、スライドテーブル及び/又はこれに設けられた部材にのみ規制されるため、例えばスライドテーブル以外の基体の構造に規制されることがなく、スライドテーブルを大きく引き出しても、その大きく引き出した状態からさらに引出し部を引き出すことができる。したがって、スライドテーブルを大きく引き出して大きな作業領域を得つつ、引出し部の中から調理用具等を取り出すことができる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、前記引出し部は、奥行き方向と直交する幅方向の両端に、平板状の鍔状部を有しており、前記スライドテーブルは、その幅方向の両端部が内側に丸められるように曲げ加工されており、前記丸められるように曲げ加工された曲面部が、前記引出し部の前記鍔状部を下支えしながら前記引出し部を出し入れする際のガイドとなっていることを特徴とする。
【0011】
請求項2の構成によれば、スライドテーブルは、その幅方向の両端部が内側に丸められるように曲げ加工されており、丸められるように曲げ加工された曲面部が、引出し部の鍔状部を下支えしながら引出し部を出し入れする際のガイドとなっている。このため、引出し部を出し入れするためのガイドとスライドテーブルとは一体であるため、ガイドを別部材で形成した場合と比べて、出し入れする際のガタつきを抑えられる。特に、スライドテーブルを引き出した状態で引出し部を引き出すことで高まったガタつきの恐れを抑制できる。また、曲面部が引出し部を出し入れする際のガイドとなっているため、スライドテーブルと引出し部とが接触する面積を小さくして、引出し部を引き出す際のガタつきを有効に抑制することができる。
【0012】
請求項3は、請求項1または2の構成において、前記引出し部は、底板とこの底板の上に設けられた枠体とを有し、前記スライドテーブルの下面の少なくとも中央より手前側には、前記引出し部を引き出す際、前記枠体が乗り越えられる程度に前記枠体に当たる凸部が突出していることを特徴とする。
請求項3の構成によれば、スライドテーブルの下面の少なくとも中央より手前側には、引出し部を引き出す際、引出し部の枠体が当たる凸部が突出しているため、この枠体と凸部との衝突により、引出し部の抜けを防止することができる。
ここで、本発明の引出し部は、スライドテーブル又はこれに設けられた部材にのみ規制されるようになっている。そうすると、引出し部の枠体とスライドテーブルの凸部とが衝突した際の衝撃はスライドテーブルに伝わり易く、枠体と凸部との衝突によりスライドテーブルが揺れて、例えばスライドテーブルに載置された液体がこぼれる等の事態を招く恐れがある。しかし、本発明の場合、この凸部は枠体が乗り越えられる程度に突出しているため、例えば引出し部に過剰な力を入れて勢いよく引き出した場合、枠体が凸部を乗り越えるようになる。したがって、引出し部を引き出す際のスライドテーブルへの影響を抑制して、例えばスライドテーブルに載置された液体がこぼれる等の事態を有効に防止することができる。
【0013】
請求項4は、請求項3の構成において、前記凸部は前記引出し部が引き出される方向に複数並べられていることを特徴とする。
請求項4の構成によれば、凸部は引出し部が引き出される方向に複数並べられているため、引出し部を引き出す際、例えば枠体が最初に当たる凸部を乗り越えて引き出された場合であっても次の凸部に当たる。したがって、引出し部が引き出される力を段階的に弱めることができ、引出し部を強く引っ張ってしまった際に、凸部が枠体に衝突することで生ずるスライドテーブルへの影響を抑制しながら、引出し部の抜けを防止できる。
【発明の効果】
【0014】
以上述べたように、本発明によれば、スライドテーブルが引き出されず、或いはスライドテーブル上に物が置かれていても、引出し部内の物を取り出すことができる補助テーブルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1ないし図4は、本発明の第1の実施形態に係る補助テーブル20であって、図1は補助テーブル20を上側から視認した概略斜視図、図2は補助テーブル20を背面の下側から視認した概略斜視図、図3は図1のA−A線概略端面図、図4はスライドテーブル及び引出し部を引き出した使用状態を表した図である。
これらの図において、補助テーブル20は、天板24を有し、少なくとも手前に開口部が配置されるようにして、天板24の下面側に収容空間Sを有する基体28を備えている。この基体28が、システムキッチンのカウンタートップ・棚等の家具やその他の台22の上に載置されると共に、後述する部品(スライドテーブルや引出し)を取り付けるためのベースとなる。
【0016】
本発明における天板24は物が載置される板であり、載置される物の種類は問わない。本実施形態の天板24の場合は、家庭内において比較的重いと思われるガスレンジ・電子レンジ・パーソナルコンピュータ等の加熱器或いは電化製品などを載置することができる耐荷重を有し、具体的には30kgの耐荷重を有している。また、天板24は、図1の破線で示されるようにガスレンジ等が置かれて、加熱されるようなことがあっても危険がないように、不燃性の材料、例えばガルバリウム鋼板を用いて形成されている。
【0017】
なお、天板24上の物がなく、又は軽い物であり、かつ、後で説明するスライドテーブル30や引出し部40に大きい荷重が加わった場合、或いは、天板24上に所定の重量物が載置されていても、地震等で外部から強い力が加わった場合は、基体28が動いてしまう恐れがある。そこで、本実施形態では、図2に示されるように、基体28には、基体28を載置する台22に固定するための吸盤等の固定手段25が設けられ、図2では、固定手段25は基体28の底面の奥側の2隅に配置されている。
【0018】
収容空間Sは、図3に示されるように、後述するスライドテーブル30と引出し部40を収納するための空間であり、図4に示されるように、少なくとも調理等をする作業者がいる側である手前側に開放された開口部MUを有している。本実施形態の場合、天板24の下面側であって、奥行き方向(図4のy方向)と直交する幅方向(図4のx方向)の両端には、図2に示すように側壁部27,27が設けられており、また、天板24の下面には、幅方向を区分けするように、仕切り板29が奥行き方向に沿って設けられ、これにより、図3に示されるように、収容空間Sは複数の収容空間S1,S2に分けられている。なお、本実施形態の場合、補助テーブル20の厚み(図3の上下方向の寸法)と奥行き方向の寸法を抑えるため、基体28には底板及び奥側の板は設けられていない。
【0019】
そして、複数の収容空間S1,S2の夫々に、スライドテーブル30と引出し部40が、上からスライドテーブル30、引出し部40の順で並んで収納されている。なお、本実施形態の収容空間S1,S2内に収められた複数のスライドテーブル30,30の夫々は共に略同様の構成であり、また、複数の引出し部40,40の夫々も共に略同様の構成であるため、以下、特段の言及がない限り、図1の左側のスライドテーブル30及び引出し部40の構成のみを説明をする。
【0020】
スライドテーブル30は収容空間Sに収められると共に、開口部から出し入れ可能なテーブルであって、調理等の作業をする際、収容空間Sから引き出され、その上で調理等の作業をしたり物を置いたりするための補助作業台である。
具体的には、スライドテーブル30は、図3に示されるように、収容空間Sに収められる領域32が天板24と略平行になるように平板状に形成されている。この領域32は、近傍に加熱器が置かれることを想定して、天板24と同じガルバリウム鋼板などの不燃性材料で形成されている。
【0021】
この平板状の領域32の手前側の端部には、図4(a)に示されるように、引き手34が設けられている。この引き手34は、スライドテーブル30を引き出し易くするための部材であって、平板状の領域32が収容空間Sに格納された場合であっても収容空間Sに格納されず、露出した状態となっている(図1参照)。なお、引き手34は抗菌作用を発揮させるため、抗菌剤を混入させた樹脂、例えば銀イオンを担持させた銀系抗菌剤を混入させたABS樹脂で形成されている。
【0022】
このような引き手34は、平板状の領域32を収容空間Sに格納した際、基体28と引き手34とで段部が生じないように、引き手34に隣接する開口部MUの縁28a,28cを覆うように形成されている。これにより、引き手32と開口部MUの縁28a,28cとが、図1に示されるように対向するように向き合って段部が作られないようにし、例えば調理中に調理者の腕が引き手34に引っかかるなどの弊害を防止している。
具体的に、引き手34は、図4(a)に示されるように、領域32の上側に、領域32の幅方向(図4のx方向)に沿って凸状に設けられており、この凸状の高さh1と開口部MUの上側の縁28aの高さh2とが略同様になっている。さらに、引き手34は、隣接する幅方向の縁28cの寸法に対応して幅方向に張り出ており、この張り出し幅W1と縁28cの幅W2とが同様になっている。なお、引き手34は、幅方向の中央領域が手前に向かって緩やかな曲面を有するように膨らんだ膨らみ部34aを有しており、この膨み部34aの裏側の挿入空間35(図6参照)に手を差し入れることで、スライドテーブル30を引き出し易くすると共に、緩やかな曲面とすることで、作業者の腕等が引っかかる事態を有効に防止している。
スライドテーブル30を出し入れするための構造については、後で詳細に説明する。
【0023】
引出し部40は、任意の物品を収納するためのもので、図3及び図4(b)に示されるように、底板41と、この底板41の上に設けられた枠体42とを有し、上側が開放された箱状となっている。なお、本実施形態の引出し部40は、抗菌作用を発揮させるため、引き手34と同様に抗菌剤を混入させた樹脂で形成されている。
そして、引出し部40は、図3及び図4(b)に示されるように、スライドテーブル30の下面側に配置され、収容空間Sに収められると共に、開口部MUから出し入れ可能となっている。また、引出し部40は、枠体42の奥行き方向と直交する幅方向(図4のx方向)の両端に、スライドテーブル30の領域32と略平行な平板状の鍔状部44が設けられている。この鍔状部44は、引出し部40を出し入れする際に案内される部分である。鍔状部44については後で詳細に説明する。
【0024】
また、図4(b)に示されるように、手前側の枠体42aは、幅方向の中央部の下側に窪み部46をつくることで所定の手掛かり(図示せず)が形成されており、引出し部40を容易に引き出すための取っ手ともなっている。
また、本実施形態の場合、手前側の枠体42aは、略中央領域の高さh3が、他の枠体の高さh4に比べて、スライドテーブル30の裏面側に突出した凸部38(図6参照)の高さに対応して、低く形成されている(凸部38については後で詳細に説明する)。すなわち、スライドテーブル30と引出し部40との間は隙間がほぼなく、厚み方向に並んで隣接して配置されているため、引出し部40を引き出そうとすると、手前側の枠体42aがスライドテーブル30の凸部38(図6参照)に衝突して、引き出し難い等の弊害が生じる。このため、凸部38を避けるように、手前側の枠体42aの高さh3が設定されている。本実施形態の場合、枠体42aは高さh3を調整することで、出し入れする際の凸部38との干渉を防止しているが、高さh3を他の枠体の高さh4に合わせて、図4(b)の一点鎖線で示すように、凸部38に対応した部分のみに、引き出し方向に沿った溝部を設けるようにしてもよい。
【0025】
なお、スライドテーブル30と引出し部40の各耐荷重は、天板24に30Kgの物が載置された状態において、スライドテーブル30が5Kg、引出し部40が1Kgとなっている(ここでいう耐荷重とは、スライドテーブル30や引出し部40の変形や損傷に対するものではなく、スライドテーブル30や引出し部40を引き出した状態でバランスを崩さないでいられる重さの限界を言う。)。そして、本実施形態の場合はスライドテーブル30と引出し部40が夫々2つあり、2つのスライドテーブル30,30の耐荷重が10Kg(5Kg×2)、2つの引出し部40,40の耐荷重が2Kg(1Kg×2)となるため、全てのスライドテーブル30,30及び引出し部40,40で合計12Kgの耐荷重を有するようになる。
【0026】
ここで、引出し部40は、スライドテーブル30及び/又はこれに設けられた部材にのみ規制されるようにして、スライドテーブル30に対して出し入れされるようになっている。すなわち、本実施形態を例にとると、引出し部40の出し入れを規制する手段は、後述するように、幅方向の動きを規制するためのスライドテーブル30の両端部50,50(図3参照)と、引き出し方向の動きを規制するためのスライドテーブル30下面の凸部38(図6参照)のみである。
まず、スライドテーブル30の両端部50,50及びこれらの周辺を説明する。
【0027】
図5は、スライドテーブル30と引出し部40を引き出して、下側から見た概略斜視図である。
この図5や図3及び図4(b)に示されるように、引出し部40は、枠体42の周縁部の幅方向の両端から鍔状に張り出した鍔状部44を有しており、この鍔状部44は奥行き方向(引き出し方向)に沿って設けられ、スライドテーブル30の平板状の領域32と略平行に配置されている。
一方、スライドテーブル30は、その幅方向の両端部50,50の夫々が、下側に向かって内側に丸められるように曲げ加工されている。そして、この丸められるよう内側に折り返して加工された際に形成された曲面部50aが、引出し部40の鍔状部44を下支えしながら、引出し部40を出し入れする際のガイドとなっている。
【0028】
すなわち、図3に示されるように、スライドテーブル30の内側に折り返された両端部50,50は、それぞれ平板状の領域32との間に、鍔状部44の厚みに対応した隙間SK1を有しており、この両端の各隙間SK1に、引出し部40の幅方向の両端の鍔状部44,44がそれぞれ挿入されることで、引出し部40は支持されている。そして、この隙間SK1を有する両端部50,50は、奥行き方向に延伸するように形成されてガイドレールとなっており、これにより、鍔状部44,44がこの両端部50,50に案内されながら、引出し部40がスライドテーブル30に対して出し入れ自在となっている。さらに、両端部50,50の鍔状部44,44を支持する部分は曲面部50aとなっており、これにより、両端部50,50と鍔状部44,44の下面とが接触する領域を小さくして摩擦を抑え、滑らかに引出し部40を出し入れできるようにしている。
【0029】
なお、スライドテーブル30の両端部50,50は、その最も下側の位置(最下点)50bも曲面になっている。一方、基体の側壁部27及び仕切り板29の各収容空間S1,S2に露出した面には、各収容空間S1,S2の内側に向かって突出した突出部25が設けられており、この突出部25の略平坦な上面25aと天板24との間に、スライドテーブル30の両端部50,50に対応した隙間SK2,SK2が設けられている。
そして、図3に示されるように、隙間SK2,SK2にスライドテーブル30の両端部50,50を挿入することで、スライドテーブル30は突出部25に案内されながら、基体28に対して出し入れ可能となっている。そして、スライドテーブル30の突出部25に接触する部分は曲面である最下点50bであるため、摩擦を抑え、滑らかにスライドテーブル30を出し入れできる。
【0030】
次に、スライドテーブル30の下面に設けられた凸部38及びこの周辺を、図4と、図4(b)のB−B線概略端面図である図6を中心に説明する。
図6に示されるように、スライドテーブル30は、その下面の少なくとも中央より手前側に、枠体42に当たる凸部38が突出している。
凸部38は、スライドテーブル30にのみ設けられ、奥行き方向における引出し部40を引き出す動きを規制する唯一の手段となる。すなわち、本実施形態の凸部38は下側(引出し部40側)に突出しており、引出し部40が勢いよく引き出された際に、枠体42の最も奥側(手前と反対側)に位置する枠体42bと衝突し、これにより引き出す方向の力を弱めて、抜けを防止している。
【0031】
凸部38の位置は、引出し部40を大きく開けることを考慮すると、出来るだけ手前側に配置することが好ましいが、後述するように、凸部38は枠体42bが乗り越えられるように構成されているため、極端に手前に配置すると、引出し部40が抜け落ちてしまう恐れもある。このため、本実施形態の場合、凸部38は平板状の領域32の先端からの距離L1が74mm程度となるように配置されている。
また、凸部38は、本実施形態の場合、図4(b)に示されるように幅方向(x方向)に2つ並べられているが、本発明はこれに限られず、一つであっても、或いは幅方向に3つ以上並べられてもよい。
【0032】
このような凸部38は、引出し部40を勢いよく引き出した際、最も奥側の枠体42bが乗り越えられる程度に突出している。すなわち、上述のように、引出し部40は、スライドテーブル30にのみ規制される構成となっているため、引出し部40の抜けを防止するための凸部38に枠体42bが強く衝突すると、その衝撃の全てがスライドテーブル30に直に伝わる。そうすると、スライドテーブル30上の物が落下するなどの恐れがある。このため、枠体42bが凸部38に強く衝突した場合、その衝撃がスライドテーブル30に強く伝達しないように、凸部38は枠体42bが乗り越えられる構成になっている。
【0033】
具体的には、凸部38は、奥側から手前側に向かうに従って除々に突出度合いが大きくなるように形成されることが好ましい。これにより、枠部42bが凸部38に当たる際の衝撃が和らげられる。本実施形態の凸部38は略半球面状に下側に突出しているが、本発明の凸部38は本実施形態のような形状に限られるものではなく、例えば、図6の下側の一点鎖線で囲った図に示されるように、引き出し方向の断面が三角形状などであっても構わない。或いは、凸部38の形状に工夫がない場合であっても、例えば図6の二点鎖線で囲った図に示されるように、枠体42bの縁部が手前側に向かうに従って除々に下側に位置するように傾斜させてもよい。
また、凸部38は、図6に示されるように別部材で形成してもよいし、スライドテーブル30を上面からプレス加工して下面を膨らませるように形成してもよい。
【0034】
なお、引出し部40の抜け防止構造は以上の通りであるが、スライドテーブル30の抜け防止は、図4(a)のC−C線概略端面図である図7に示されるように、スライドテーブル30に基体28と係合する係合部56を設けることで達成されている。
すなわち、基体28は、天板24の開口部MU側が略直角となるように下側(スライドテーブル側)に折り曲げ加工されて、収容空間Sに面した内面28bを有している。そして、スライドテーブル30は、少なくとも中央付近より奥側に、上側(天板側)に突出した係合部56を有しており、スライドテーブル30を大きく引き出した際、この係合部56と内面28bとが衝突することで、スライドテーブル30の抜けが防止される。
【0035】
本発明の第1の実施形態に係る補助テーブル20は以上のように構成されており、引出し部40はスライドテーブル30に対して出し入れされるため、スライドテーブル30を引き出して、スライドテーブル30上で調理等の作業をしながら、引出し部40をスライドテーブル30から引き出して、その中から調理用具等を取り出すことができる。しかも、引出し部40の出し入れは、スライドテーブル30及び/又はこれに設けられた部材にのみ規制されるため、その他の構造に規制されることがなく、スライドテーブル30を大きく引き出しても、その大きく引き出した状態からさらに引出し部40を引き出すことができる。
【0036】
図8は本発明の第2の実施形態に係る補助テーブル70であって、図8(a)は、スライドテーブル30と引出し部40を引き出した状態の斜視図、図8(b)は図8(a)のD−D線概略端面図である。この図において、図1ないし図7の補助テーブル20と同一の構成には、共通する符号を付して重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
この補助テーブル70が上述した実施形態と異なるのは、凸部38と枠体42についてのみである。
【0037】
すなわち、補助テーブル70の場合、スライドテーブル30の下面に設けられた凸部38は、引出し部40が引き出される方向に複数並べられている。
複数の凸部38は、上述のように少なくとも中央より手前に配置されているが、この手前の領域において、奥よりに複数の凸部38a,38aが幅方向に沿って並べられ、これより手前(即ち凸部38a,38aと平板状の領域32の手前側の端部との間)に、複数の凸部38b,38bが幅方向に沿って並べられている。
【0038】
また、第2の実施形態の場合、引出し部40の手前側の枠体42aに形成された張り出し部60,60には、スライドテーブル30の両端部50,50を避けるように切り欠き部62,62が設けられている。
すなわち、スライドテーブル30には外部に露出した引き手34が設けられているため、作業をする手前側の面(図1の正面)に段部が生じないように、引出し部40の手前側の枠体42aに、引き手34に対応した張り出し部60,60が設けられている。ところが、張り出し部60,60があると、スライドテーブル30を引き出す際、ガイドレールとなるスライドテーブル30の両端部50,50が張り出し部60,60に当たって、引出し部40もスライドテーブル30と一緒に引き出されてしまう。また、スライドテーブル30を引き出した状態で、引出し部40のみを収容空間Sに収めることができない。そこで、図8(a)の一点鎖線で囲った拡大図に示されるように、張り出し部60,60に、ガイドレールとなる両端部50,50を避けるような切り欠き部62,62を設けている。
【0039】
本発明の第2の実施形態に係る補助テーブル70は以上のように構成されており、凸部38は引出し部40が引き出される方向に複数並べられている。このため、引出し部40を引き出す際、枠体42bが最初に当たる奥よりの凸部38a,38aを乗り越えて引き出された場合であっても、次の凸部38b,38bと接触する。したがって、引出し部40が引き出される力を段階的に弱め、凸部38a,38a,38b,38bが枠体42aに衝突することで生ずるスライドテーブル30への影響を抑制しながら、引出し部40の不意の抜けを防止できる。
【0040】
なお、奥よりの凸部38aの下側に突出する高さ寸法h5は、手前よりの凸部38bの下側に突出する高さ寸法h6に比べて小さく形成してもよく、これにより、枠体42aが奥よりの凸部38aに最初に衝突する際の衝撃を、第1の実施形態に比べて弱めることができ、さらに、手前よりの凸部38bで確実にスライドテーブル30の不意の引き抜けを防止することができる。
【0041】
本発明は上述の実施形態に限定されない。各実施形態の各構成はこれらを適宜組み合わせたり、省略し、図示しない他の構成と組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る補助テーブルを正面の上側から視認した概略斜視図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る補助テーブルを背面の下側から視認した概略斜視図。
【図3】図1のA−A線概略端面図。
【図4】スライドテーブル及び引出し部を引き出した使用状態を表した図。
【図5】スライドテーブルと引出し部を引き出して、下側から見た概略斜視図。
【図6】図4(b)のB−B線概略端面図。
【図7】図4(a)のC−C線概略端面図。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る補助テーブルであって、図8(a)はスライドテーブルと引出し部を引き出した使用状態の斜視図、図8(b)は図8(a)のD−D線概略端面図。
【図9】従来の補助テーブルの斜視図。
【図10】従来のその他の補助テーブルの斜視図。
【符号の説明】
【0043】
20,70・・・補助テーブル、24・・・天板、28・・・基体、30・・・スライドテーブル、38・・・凸部、40・・・引出し部、42・・・枠体、44・・・鍔状部、S・・・収容空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物が載置される天板を有し、少なくとも手前に開口部が配置されるようにして、前記天板の下面側に収容空間を有する基体と、
前記収容空間に収められると共に、前記開口部から出し入れ可能なスライドテーブルと
を備えた補助テーブルであって、
前記スライドテーブルの下面側には、前記収容空間に収められると共に、前記開口部から出し入れ可能な引出し部が設けられており、
前記引出し部は、前記スライドテーブル及び/又はこれに設けられた部材にのみ規制されるようにして、前記スライドテーブルに対して出し入れ自在となっている
ことを特徴とする補助テーブル。
【請求項2】
前記引出し部は、奥行き方向と直交する幅方向の両端に、平板状の鍔状部を有しており、
前記スライドテーブルは、その幅方向の両端部が内側に丸められるように曲げ加工されており、
前記丸められるように曲げ加工された曲面部が、前記引出し部の前記鍔状部を下支えしながら前記引出し部を出し入れする際のガイドとなっている
ことを特徴とする請求項1に記載の補助テーブル。
【請求項3】
前記引出し部は、底板とこの底板の上に設けられた枠体とを有し、
前記スライドテーブルの下面の少なくとも中央より手前側には、前記引出し部を引き出す際、前記枠体が乗り越えられる程度に前記枠体に当たる凸部が突出している
ことを特徴とする請求項1または2に記載の補助テーブル。
【請求項4】
前記凸部は前記引出し部が引き出される方向に複数並べられていることを特徴とする請求項3に記載の補助テーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−131403(P2009−131403A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309208(P2007−309208)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000158312)岩谷産業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】