説明

スライド式壁

本発明は、横方向にスライド可能な壁エレメント(1,2)を備えたスライド式壁であって、これらの壁エレメント(1,2)が走行ローラによって壁エレメント(1,2)の上側に配置された支持成形材内でガイドされるようになっており、これらの壁エレメント(1,2)のうちの少なくとも1つが、スライド可能な壁エレメント(1,2)に関連して定置に配置された駆動部(55)によって操作される回転扉(2)として構成されており、この場合、駆動部(55)と、回転扉として用いられる壁エレメント(2)との間に配置された操作手段が、壁エレメント(1,2)をスライドさせる際に自動的に作動及び不作動せしめられるロッド(56)として構成されており、この場合、壁エレメント(1,2)が個別に手動で又はモータによって移動させることができ、各壁エレメント(1,2)に床ガイド(9)が設けられていて、この床ガイド(9)が床に敷設されたガイドレール(7)に係合するようになっており、少なくとも回転扉として用いられる壁エレメント(2)が、第1の旋回軸(19,57)及び第2の旋回軸(14,15)を中心にして旋回可能であり、壁エレメント(1,2)が互いに接近移動せしめられる際に、回転扉(2)が自動的に壁エレメント(1,2)の下部領域内で互いに接続装置によって結合され、それによって回転扉(2)を危険なしに旋回させることができるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横方向にスライド可能な壁エレメントを備えたスライド式壁であって、これらの壁エレメントが走行ローラによって壁エレメントの上側に配置された支持成形材内でガイドされるようになっている形式のものに関する。これらの壁エレメントのうちの少なくとも1つが、スライド可能な壁エレメントに関連して定置に配置された駆動部によって操作される回転扉として構成されており、この場合、駆動部がスライド可能な壁エレメントに関連して定置に配置されている。駆動部と、回転扉との間に操作手段が設けられており、この操作手段は、壁エレメントをスライドさせる際にロッドによって自動的に作動及び不作動せしめられるようになっている。
【0002】
ドイツ連邦共和国特許第19959825号明細書には、走行ローラによってスライドレールに沿ってスライドせしめられる、横方向にスライド可能な複数の壁エレメントを備えたスライド式壁について記載されている。この場合、少なくとも1つの壁エレメントが、ドアクローザーを介して操作可能な回転扉として構成されていて、ドアクローザーと回転扉として用いられる壁エレメントとの間に、自動的に連結若しくは連結解除されるスライドレールロッドが配置されている。個別の壁エレメントを互いに重なり合って配置することは、取付け金具によって実現される。このことはつまり、スライド式壁の移動時に、スライド式壁はそのすべてのエレメントと常に一緒に移動させる必要がある、ということを意味している。従ってこのようなスライド式壁は互いに相応に高い安定性を保っている。またロック部材が設けており、このロック部材によって回転扉は、すべてのスライド装置が閉じた位置にあるときにだけ操作され得るようになっている。この位置において、定置に組みつけられた回転扉駆動装置が解放される。回転扉の懸架部の構造、つまり回転扉を、スライド可能及び回転可能な壁部材に懸架しないことによって、懸架部は負荷解除される。何故ならば駆動装置の重量は建物に支えられるからである。
【0003】
本発明の課題は、従来技術のものを改良して、前記ドイツ連邦共和国特許第19959825号明細書により公知の駆動形式をどのような形式のスライド式壁にも使用することができるようにすることである。
【0004】
この課題を解決した本発明によれば、個別に手動で又はモータによって移動可能な壁エレメントより成るスライド式壁が、一方では床ガイドを有していて、この床ガイドが特に回転扉として構成された壁エレメントにおいて、扉の上端部及び下端部でガイドされるようになっている。また回転扉は、第1の旋回軸と第2の旋回軸とを有しており、それによって回転扉に、回転運動時に相応の安定性を与えるようになっている。さらに、各壁エレメントは、互いに閉じたフロント部を形成する瞬間に自動的に互いに連結され、それによって回転扉の危険のない旋回が可能となっている。
【0005】
前記課題の解決策は、請求項1に記載された特徴部に従って得られる。従属請求項は、本発明の有利な実施態様を示している。
【0006】
第1及び第2の旋回軸を形成するために、回転扉は少なくとも1つのレバーアームを備えている。さらにまた回転扉は、上端部領域及び下端部領域において、前記ガイドエレメントによって床レール若しくは天井支持レール内でガイドされる。このような本発明の配置によって、回転扉はレバーアームを中心にしてまたガイドエレメントを中心にして旋回せしめられるようになっている。このガイドエレメントは、扉エレメントを連続的に旋回させることによって上部の付加的なガイドレール内で移動せしめられる。この場合、回転扉の主閉鎖縁部は楕円形の軌道を描く。この場合、壁エレメントの上部領域及び下部領域内での、いわゆる3点支承によって、旋回運動十分な安定性が与えられる。
【0007】
使用されたレバーアームは、扉の上端部及び下端部に枢着することができる。しかしながらまた、回転エレメントを上部又は下部に配置された1つのレバーアームだけを有していてもよい。
【0008】
特にコンパクトな構造を実現するために、壁エレメント(回転扉)の単数若しくは複数のレバーアームは有利には、扉成形材(Fluegelprofil)に設けられた切欠内に配置されている。
【0009】
特に有利には、懸架成形材内に走行レールが配置されている。この走行レール内で有利には1つのキャリッジが走行可能に取り付けられている。この場合、キャリッジは有利には、振り子保持体によって壁エレメントの回転扉に結合されている。この本発明の壁エレメントの構成では、扉と、懸架成形材と、扉に直接結合された扉成形材とが設けられている。
【0010】
確実な回転扉エレメントを得るために、有利には係止装置が設けられており、この係止装置は、同時に連結部材及びロック部材として構成されている。これによって本発明による壁エレメントは、一般的な係止部を床に設けることなしに、隣接する壁エレメントに係止される。これによってドアの確実な操作が保証される。
【0011】
回転扉の旋回中に付加的な負荷ができるだけかからないようにするために、回転扉のガイドエレメントが、扉の幅のほぼ中央位置でレール内に配置されている。これによって、扉が旋回する際の旋回点も、扉の中央に位置している。
【0012】
この場合、前記接続装置は、互いに対応し合う2つの部分エレメントより成っており、これらの部分エレメントは、それぞれ互いにぶつかり合う2つの壁エレメントの外側又は内側に組み込まれている。
【0013】
この場合、例えば旋回させることができない壁エレメントに第1の部分エレメントが組み込まれており、この第1の部分エレメントは、連結部材として構成されたフラットなアームより成っている。連結部材は、その端部で連結ピンを有していて、この連結ピンは、旋回させようとする壁エレメント内に収容された第2の部分エレメントと協働する。この第2の部分エレメントは、固定部材とロック部材とから成っている。
【0014】
2つの壁エレメント(一方が回転扉を有していて、他方が純粋な壁エレメントとして構成されている)が、相次いで移動せしめられると、互いに接近移動した後に回転扉にかかる圧力によって、若しくは前記駆動部に基づいて、回転扉の運動が開始された時にだけ、係止が行われる。回転扉の係止は、レバーアームを介して隣接する壁エレメントに対して行われる。このような係止エレメント主に接続部材より成っており、この接続部材は孔を備えていて、この孔内に隣接する壁エレメントの連結ピンが、操作(回転扉の回転)が行われると、係止するようになっている。正確な調整を得るために、調整ねじが設けられており、この調整ねじは、接続部材の調整を可能にする。
【0015】
2つの扉を互いに確実に係止するために、調整部材が設けられており、この調整部材は端部領域で1若しくは2つの錠止斜面を有している。この錠止斜面は、外側縁部に向かって下降していて、中央領域に平らな錠止解除面が設けられている。調整ねじは、同時に係止部材としてしも機能する。何故ならば、調整ねじの端部は錠止解除面上に載るからである。回転扉が旋回せしめられると、調整ねじは錠止斜面の1つに沿って下降する。それによって同時に接続部材も下降する。これによって正しい位置で、連結ピンが接続部材の孔内に侵入して、回転扉を少し回転させるだけで直ちに、隣接し合う2つの壁エレメントが互いに結合される。レバーアーム内に良好に侵入させるために、レバーアームはその端部で円錐形の侵入開口を備えており、それによって連結ピンが自動的に正しい位置にもたらされるようになっている。
【0016】
連結ピンはさらに、連結ピンの反対側の端部が調整部材の連結開口内に導入されるようになっていることによって、壁エレメントを互いに固定することもできる。連結開口は、後方に向かって先細りする円錐形の形状を有している。連結開口は所定の深さ位置から広がっていて、それによって、連結ピンが前記のように旋回せしめられる時に調整部材から再び退出するために十分な可能性が提供される。
【0017】
本発明の別の実施態様では、レバーアームは、その反対側の端部(この端部に係止部材が配置されている)で第2の係止手段を有している。この第2の係止手段は半円形の部材より成っており、この半円形の部材はその中央領域で切り込み部を有していて、この切り込み部が、回転扉の下部成形材に定置に結合された部材と協働する。この係止手段は、隣接する壁部材との連結が行われない場合に、レバーをそのゼロ位置で保持するためのものである。
【0018】
前記スライド式壁は、壁システムとして、付加的な取手なしで自動的に待機位置から使用位置へ移動させることができる。同時に、使用位置において、手動による力を用いることなしに回転扉を操作することができる。このような回転扉の位置は、天井領域に相応の自動駆動装置が組み込まれているかどうかに基づいている。このような自動駆動装置は、実際には装置のどの位置にも組み込むことができる。それによってこのような形式のスライド式壁のフレキシブル性(融通性)が著しく高められる。
【0019】
壁エレメントの本発明による構成は、特にガラス製の壁エレメントにおいて用いられる。勿論、このような構造を、木、金属、プラスチック又はどのような素材から成る壁エレメントにおいて用いることも可能である。スライド式壁内に回転可能な壁エレメントを一体的に組み込むことによって、この壁エレメントは工場において予め完全に前組み立てすることができるので、現場では簡単な組み付け作業を必要とするだけである。従って現場では、ドアエレメントを上側のガイドレール及び下側ガイドレールに組み込むだけでよい。
【0020】
本発明を以下に図示の実施例を用いて具体的に説明する。図面には概略的な実施例が示されている。本発明にとって重要でない点については、本発明を理解するために必要ではないので、省かれている。
【0021】
図1は、本発明による回転扉を備えたスライド式壁システムの概略的な側面図、
図2は、2つの自動式の回転扉を備えたスライド式壁の可能な実施例の平面図、
図3は、上側の支持成形材及び下側のガイドレールの断面図、及び回転扉を備えた駆動装置の側面図、
図4は、隣接し合う2つの壁部材の、連結前の部分断面図、
図5は、図4に示した、隣接し合う2つの壁部材の、連結された状態の部分断面図、
図6は、旋回された回転扉において2つの隣接し合う扉がロックされている状態を示す、図5に対応する部分断面図、
図7は、部分旋回された回転扉における一部断面した平面図、
図8は、一方のレバーアームに接続された連結ピンの側面図、
図9は、調整部材の斜視図、
図10は、レバーの斜視図である。
【0022】
図1に示したスライド式壁は、多数の壁部材より成っており、これらの壁部材は図示の実施例では、スライド可能な2つの壁部材1と、スライド可能かつ旋回可能な壁部材2とから成っている。壁部材1は、壁部材2に隣接して配置されている。壁部材1は結合部4によって、固定部材3及びキャリッジ18を介して支持成形材8内でスライド可能に配置されている。壁部材2は、これと類似の結合部を有しているが、上側の領域内には固定成形材3の代わりに懸架成形材44が使用されている。支持成形材8に対する結合は、スライド可能な壁部材1におけるのと同様の形式で実現される。
【0023】
壁部材1,2の下側領域には閉鎖成形材5が設けられており、この閉鎖成形材5内に、床に向けられた床ガイド9,57が設けられている。これらの床ガイド9,57は、詳しく図示していない床内に形成されたガイドレール7に係合する。これによって壁部材1,2のより確実な走行可能性が保証される。
【0024】
壁部材2の下側の閉鎖成形材5内にレバーアーム13が配置されており、このレバーアーム13は、その一端部でピボット軸受10を有していて、他端部で旋回軸15を有している。
【0025】
懸架成形材44の下では、扉成形材11が壁部材2に配置されている。レバーアーム12は、一方の端部が旋回軸14を介して、また他端部が別のピボット軸受10を介して、上に設けられた懸架成形材44に支承されている。
【0026】
床ガイド57は同時に、壁エレメントのほぼ中央に配置された第1の旋回軸である。この第1の旋回軸に対して同軸的に、扉成形材11の上端部に旋回軸19が配置されている。
【0027】
本発明の実施態様では、第1の旋回軸19,57の隣に、レバーアーム12,13のための第2の旋回軸としての旋回軸14,15が位置している。これらの旋回軸14,15は、同様に互いに上下に同軸位置にある。
【0028】
スライド式壁の実施例は、図2では左側の領域において壁16で示されている。支持成形材8は、ステーション(このステーション内に、スライド式壁が開放されている時に各壁エレメント1,2を収納しておくことができる)で壁部に対向して終わっている。図面では、スライド式壁は閉鎖されているので、各壁エレメント1及び2はその使用位置において固定されている。壁エレメント2が配置されている領域内で上側つまり支持成形材8の領域内に各1つの駆動部5が配置されている。駆動部55は定置であって、スライド式壁と一緒に移動することはない。図2には壁エレメント2の開放経路が概略的に示されている。
【0029】
このような駆動装置55が回転扉としての壁エレメント2とどのように協働するかが、図3に示されている。図3の側方に一部破断して示されているように、駆動部55は、支持成形材8及びこの支持成形材内に収容されたキャリッジ18と共に、結合部4を介して懸架成形材44に結合されている。懸架成形材44の下部には扉成形材11が設けられており、この成形材11に壁エレメント2のガラスエレメントが固定されている。壁エレメント2の回転可能性を実現するために、旋回軸19は、懸架成形材44内に位置しているスライドレール内で、振り子懸架部を備えた図示していないキャリッジに結合されている。
【0030】
扉成形材11の側方にスライドレール60が配置されており、このスライドレール60は溝61を有している。溝61内にピン59が係合し、このピン59はローラを備えていてもよい。ピン59はロッドのフラットアーム56の一端部に配置されていて、フラットアーム56の端端部は、駆動部55の被駆動軸に摩擦接続(摩擦による束縛)的及び形状接続(形状による束縛)的に結合されている。
【0031】
図3に示した位置で駆動部55が操作されると、被駆動軸58が回転運動を行う。このことは同時に、フラットアーム56がスライドレール60との連結に基づいて回転扉2を旋回させるということを意味する。この場合、駆動部55の制御は、マニュアル(手動)の信号若しくはセンサ信号を介して実現される。
【0032】
同様に図3によれば、壁エレメント2がピン59と共に走行すると、フラットアーム56がスライドレール60と自動的に連結若しくは連結解除されることが分かる。これによって、マニュアルの操作を必要とすることなしに、駆動部55は使用準備状態で壁エレメント2に接続される。
【0033】
図1に示されているように、スライド可能及び旋回可能な壁エレメント2は、上側の操作アーム12と、レバーとして構成された下側の操作アーム13とを有している。この場合、扉成形材12に枢着された上側のレバーアーム12は旋回軸14を介してピボット支承(回転可能に支承)されている。さらに上側のレバーアーム12はその他端部がピボット軸受10に支承されている。それによって懸架成形材内で回転軸が形成され、この回転軸を中心にしてレバーアームが回転する。この場合、できるだけコンパクトな構造を得るために、上側レバーアーム12は、懸架成形材44内の詳しく図示していない切欠内に配置されている。
【0034】
従って壁エレメント2は3つの旋回軸を有している。つまり懸架成形材44の側のピボット軸受10の領域内の旋回軸(この旋回軸を中心にして操作アーム12が旋回せしめられる)と、壁エレメント2の本来の旋回軸つまり第1の旋回軸19,57と第2の旋回軸14,15とを有している。
【0035】
同様にレバーアーム13は、一方の自由端部で、後述されている連結ピン26(連結部材20に設けられている)に基づいて、回転扉10と同軸的に支承されている。レバーアーム13はその反対側の端部で、前記第2の旋回軸15を介して壁エレメント2に結合されている。この場合、下側のレバーアーム13は、下側の閉鎖成形材5の同様に図示していない切欠内に配置されている。
【0036】
隣接し合う壁エレメント1及び2が互いにどのように結合されているかは、図4〜図7に示されている。図4では右側に、連結部材20を備えたスライド可能な壁エレメント1が示されており、この場合、連結部材20はスライド可能な壁エレメント1から突き出している。また連結部材20はフラットな(平らな)構成部分として構成されている。壁エレメント1内で、連結部材20は凹部21内で摩擦接続式及び形状接続式に固定されている。連結部材20の自由端部の領域内で、連結ピン26は溶接継ぎ目39を介して摩擦接続的及び形状接続的に連結部材に20に結合されている。この場合、連結ピン26は、一方ではその連結付加部42が、他方では係止端部37が連結部材20から突き出している。
【0037】
図4の左側には、旋回可能な壁エレメント2が示されている。詳しく図示していない切欠内に、レバーアーム13が旋回可能に配置されている。レバーアーム13内には接続部材25が配置されており、この接続部材25は一方側が支承されている。この場合、接続部材25は有利にはばね鋼より製造されている。連結部材20は、旋回可能な回転扉2に接近すると、図5に示されているように、レバーアーム13内に侵入する。連結ピン26が、レバーアーム13の上側で、かつ壁エレメント2の端部領域内において下側に配置されている調整部材28内に正しく嵌め込まれると、連結解除区分32が形成される。図5には、連結付加部42が、接続部材25内の孔27と協働する状態が示されている。それによって、接続部材25が下降して、連結部材42が孔27内に侵入する。このことはつまり、隣接し合う壁エレメント1及び2が互いに結合されていて、同時に、壁エレメント2の上側の領域内で、ピボット軸受10と同軸的な旋回軸が形成される、ということである。
【0038】
調整部材28は図9に斜視図で示されている。この場合、第2実施例では調整部材28が一端部に、互いに逆向きに下降する錠止斜面29を有している。これらの錠止斜面29はそれぞれ調整部材28の縁部に向かって下降している。錠止斜面29が互いにぶつかり合う箇所には、錠止解除面30が配置されている。錠止解除面30は、接続部材25内にねじ込まれている調整ねじ24と協働する。調整ねじ24の自由端部はレバーアーム13を越えて突き出していて、壁エレメント1、2が互いに整列した時に、錠止解除面30に当接する。この位置は図4及び図5にも示されている。壁エレメント2が少し旋回せしめられると、壁エレメント2の旋回方向に応じて調整ねじ24の端部は2つの錠止傾斜面29上を滑動し、それによって同時に接続部材25が旋回せしめられる。この旋回運動は、壁エレメント1が壁エレメント2に相応に連結された後で駆動部55が壁エレメント2を開放させるように働く瞬間に開始される。調整部材28は孔34を介して固定される。この孔34内にねじ33がねじ込まれることによって、調整部材28を下側の閉鎖成形材5に整然と取り付けることができる。
【0039】
調整部材28は他方の端部で連結解除開口31を有しており、この連結解除開口31を連結ピン26の係止端部37が通過することができる。この通過動作を容易にするために、連結解除開口31は侵入斜面35を有しており、この侵入斜面35は、調整部材28の中央に向かって円錐形に先細りしている。所定の領域から、侵入斜面35に続いて退出斜面36が設けられており、この退出斜面36は前記侵入斜面35とは逆向きに円錐形に延びている。退出斜面36は連結解除区分32で終わっている。
【0040】
調整部材28及び接続部材25が、連結部材20及び連結ピン26と協働することによって、連結するための装置及び同時に錠止部材が得られる。この錠止部材は、壁エレメント2が少し旋回しただけで既に、その位置で壁エレメント2を確保することができる。
【0041】
図7には、壁エレメント1に対して壁エレメント2が旋回方向46,47で回転及び旋回せしめられる状態が示されている。ここでは、レバーアーム13から、調整ねじ14の詳しく図示していない先端部が貫通部45としての長孔を貫通して突き出していることが示されている。また、連結ピン26の通過動作を容易にするために、レバーアーム13はその自由端部が接続部材25の領域において円錐形侵入部48を有している。
【0042】
連結ピン26の配置及び性質は図8に示されている。係止端部37は連結部材20内に嵌め込まれていて、連結部材20に溶接継ぎ目39によって摩擦接続(摩擦による束縛)及び形状接続(形状による束縛)的に結合されている。連結部材20の上側には付加部38が設けられている。この付加部38に続いて、円錐台形40、それに続く面41及び別の円錐台形40が設けられており、この場合、最後の円錐台形40は、連結付加部42に移行している。これらの円錐台形40は、連結ピン26をレバーアーム13内及びひいては調整部材28内により簡単に侵入させることができるようにするために、設けられている。
【0043】
図10に示した斜視図では、レバーアームが単独で示されている。この場合、レバーアームはその左側の端部領域で接続部材25を有していて、その右側の端部領域で、レバー13を付加的に係止させ、ひいては壁エレメント2のスライド時にレバーアームがその使用位置から遠ざからないようにする手段を有している。この場合、係止装置はエンドピース50より成っており、このエンドピース50はその外側領域で半円形51を有している。この半円形51はその中央領域で切り込み部52を有している。この切り込み部52と、アングル部材49のねじ山付き孔53内に挿入されたロックピン54(図7)とが協働する。この場合、アングル部材49は下側の閉鎖成形材5と摩擦接続及び形状接続的に固定されている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による回転扉を備えたスライド式壁システムの概略的な側面図である。
【図2】2つの自動式の回転扉を備えたスライド式壁の可能な実施例の平面図である。
【図3】上側の支持成形材及び下側のガイドレールの断面図、及び回転扉を備えた駆動装置の側面図である。
【図4】隣接し合う2つの壁部材の、連結前の部分断面図である。
【図5】図4に示した、隣接し合う2つの壁部材の、連結された状態の部分断面図である。
【図6】旋回された回転扉において2つの隣接し合う扉がロックされている状態を示す、図5に対応する部分断面図である。
【図7】部分旋回された回転扉における一部断面した平面図である。
【図8】一方のレバーアームに接続された連結ピンの側面図である。
【図9】調整部材の斜視図である。
【図10】レバーの斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
1 スライド式の壁エレメント
2 スライド・旋回式の壁エレメント
3 固定成形材
4 結合部
5 下側の閉鎖成形材
7 ガイドレール
8 支持成形材
9 床ガイド(旋回軸)
10 ピボット軸受
11 扉成形材
12 レバーアーム
13 レバーアーム
14 旋回軸
15 旋回軸
16 壁
17 ステーション
18 キャリッジ
19 ピン(旋回軸)
20 連結部材
21 凹部
24 調整ねじ
25 接続部材
26 連結ピン
27 孔
28 調整部材
29 錠止斜面
30 錠止解除面
31 連結解除開口
32 連結解除区分
33 ねじ結合部
34 孔
35 侵入斜面
36 退出斜面
37 係止端部
38 付加部
39 溶接継ぎ目
40 円錐台形
41 面
42 連結付加部
44 懸架部
45 貫通部
46 旋回方向
47 旋回方向
48 円錐形侵入部
49 アングル部材
50 エンドピース
51 半円形
52 切り込み部
53 ねじ山付き孔
54 ロックピン
55 駆動部
56 フラットアーム
57 下部ガイド(旋回軸)
58 被駆動軸
59 ピン(ローラ)
60 スライドレール
61 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向にスライド可能な壁エレメント(1,2)を備えたスライド式壁であって、これらの壁エレメント(1,2)が走行ローラによって壁エレメント(1,2)の上側に配置された支持成形材内でガイドされるようになっており、これらの壁エレメント(1,2)のうちの少なくとも1つが、スライド可能な壁エレメント(1,2)に関連して定置に配置された駆動部(55)によって操作される回転扉(2)として構成されており、この場合、駆動部(55)と、回転扉として用いられる壁エレメント(2)との間に配置された操作手段が、壁エレメント(1,2)をスライドさせる際に自動的に作動及び不作動せしめられるロッド(56)として構成されている形式のものにおいて、
壁エレメント(1,2)が個別に手動で又はモータによって移動させることができ、各壁エレメント(1,2)に床ガイド(9)が設けられていて、この床ガイド(9)が床に敷設されたガイドレール(7)に係合するようになっており、少なくとも回転扉として用いられる壁エレメント(2)が、第1の旋回軸(19,57)及び第2の旋回軸(14,15)を中心にして旋回可能であり、壁エレメント(1,2)が互いに接近移動せしめられる際に、回転扉(2)が自動的に壁エレメント(1,2)の下部領域内で接続装置によって結合され、それによって回転扉(2)を危険なしに旋回させることができるようになっていることを特徴とする、スライド式壁。
【請求項2】
旋回軸(57)が下部の水平な端部領域内の中央に配置されていて、旋回軸(19)が壁エレメント(2)の上部の水平な領域内の中央に配置されている、請求項1記載のスライド式壁。
【請求項3】
壁エレメント(2)の上部及び下部領域にレバーアーム(12,13)が配置されている、請求項1又は2記載のスライド式壁。
【請求項4】
レバーアーム(12,13)が、壁エレメント(2)の上側及び下側の成形材(5,11,44)内に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のスライド式壁。
【請求項5】
上側の成形材が、互いに隣接して配置された懸架成形材(44)と扉成形材(11)とによって形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のスライド式壁。
【請求項6】
ピボット軸受(10)が懸架成形材(44)内に配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のスライド式壁。
【請求項7】
懸架成形材(44)内に走行レールが配置されており、この走行レール内でキャリッジが走行可能であって、このキャリッジと扉成形材(11)との結合部が旋回軸(19)を形成している、請求項1から6までのいずれか1項記載のスライド式壁。
【請求項8】
レバーアーム(12,13)が前記上側及び下側の成形材(5,11,44)の切欠内に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のスライド式壁。
【請求項9】
接続装置が、互いに対応し合う2つの部分エレメントより成っており、これらの部分エレメントがそれぞれ、互いに当接し合う壁エレメント(1,2)の内部又は外部に組み込まれている、請求項1から8までのいずれか1項記載のスライド式壁。
【請求項10】
第1の部分エレメントが、連結部材(20)として構成されたフラットなアームより成っている、請求項1から10までのいずれか1項記載のスライド式壁。
【請求項11】
第2の部分エレメントが、固定部材とロック部材とから主に成っている、請求項1から10までのいずれか1項記載のスライド式壁。
【請求項12】
固定部材が、連結部材と、この連結部材を貫通する連結ピン(26)とから主に成っている、請求項1から11までのいずれか1項記載のスライド式壁。
【請求項13】
ロック部材が、連結ピン(26)のための孔(27)を備えた接続部材(25)より主に成っており、接続部材(25)の操作が、接続部材(25)に設けられた調整ねじ(24)と協働して錠止斜面(29)によって行われる、請求項1から12までのいずれか1項記載のスライド式壁。
【請求項14】
錠止斜面(29)が、調整部材(28)の端部領域に設けられている、請求項1から13までのいずれか1項記載のスライド式壁。
【請求項15】
調整部材(28)に2つの錠止斜面(29)が設けられており、これらの錠止斜面(29)が、調整部材(28)の外側縁部に向かって下降していて、中央領域で平らな錠止解除面(30)によって互いに接続されている、請求項1から14までのいずれか1項記載のスライド式壁。
【請求項16】
調整部材(28)がその端部で、連結ピン(26)の連結付加部(42)のための連結開口(31)を有している、請求項1から15までのいずれか1項記載のスライド式壁。
【請求項17】
連結解除開口(31)が侵入斜面(35)を有しており、この侵入斜面(35)に続いて退出斜面(36)が設けられていて、この退出斜面(36)が連結解除区分(32)に移行している、請求項1から16までのいずれか1項記載のスライド式壁。
【請求項18】
調整部材(28)が、下側の閉鎖成形材(5)の端部領域に配置されていて、この端部領域内で、レバーアーム(13)も第2の旋回軸(15)を介して枢着されている、請求項1から17までのいずれか1項記載のスライド式壁。
【請求項19】
連結ピン(26)が回転部材であって、係止端部(37)と、この係止端部(37)に接続された付加部(38)と、互いに逆向きの2つの円錐台形(40)と連結付加部(42)とから主に成っている、請求項1から18までのいずれか1項記載のスライド式壁。
【請求項20】
回転扉(2)が旋回せしめられると、連結付加部(42)が接続部材(25)の孔(27)内に係合するようになっている、請求項1から19までのいずれか1項記載のスライド式壁。
【請求項21】
接続部材(25)が、レバーアーム(13)の端部に、片側旋回可能に配置されている、請求項1から20までのいずれか1項記載のスライド式壁。
【請求項22】
調整ねじ(24)を介して連結ピン(26)の係止点が調節可能である、請求項1から21までのいずれか1項記載のスライド式壁。
【請求項23】
レバーアーム(13)の端部に、レバーアーム(13)を下側の閉鎖成形材(5)に係止させるための係止装置が設けられている、請求項1から22までのいずれか1項記載のスライド式壁。
【請求項24】
壁エレメント(2)が、ドアクローザー又は駆動部(55)によって自動化されている、請求項1から23までのいずれか1項記載のスライド式壁。
【請求項25】
駆動部(55)がガイドレール(7)の隣に定置に配置されている、請求項1から24までのいずれか1項記載のスライド式壁。
【請求項26】
駆動部(55)にフラットアーム(56)が配属されており、このフラットアーム(56)は一端部が駆動部(55)の被駆動軸(58)に枢着されていて、他端部がピン(59)又はローラを有していて、このピン(59)又はローラがスライドレール(60)内で扉成形材(11)に固定されている、請求項1から25までのいずれか1項記載のスライド式壁。
【請求項27】
壁部材(2)の回転扉は、連結成形材(26)がロック部材内に完全に侵入した時にだけ操作されるようになっている、請求項1から26までのいずれか1項記載のスライド式壁。
【請求項28】
回転扉(2)を旋回させると、隣接し合う壁エレメント(1,2)が互いに自動的に固定されるようになっている、請求項1から27までのいずれか1項記載のスライド式壁。
【請求項29】
接続装置が同時に連結及びロック部材として構成されている、請求項1から28までのいずれか1項記載のスライド式壁。
【請求項30】
スライド式壁が閉じられると、回転扉(2)の駆動部(55)がセンサによって作動せしめられるようになっている、請求項1から29までのいずれか1項記載のスライド式壁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−517626(P2006−517626A)
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−545980(P2004−545980)
【出願日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【国際出願番号】PCT/EP2003/011826
【国際公開番号】WO2004/038146
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(598055932)ドルマ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (56)
【氏名又は名称原語表記】DORMA GmbH + Co. KG
【住所又は居所原語表記】Breckerfelder Strasse 42−48, D−58256 Ennepetal, Germany
【Fターム(参考)】