スラッジ分離槽
【課題】スラッジ分離槽のみならず処理設備の全体について気泡発生手段の装備による付加効果を効果的かつ確実に得られるようにする。
【解決手段】槽内下流部において槽内液の流路を、分離スラッジSとともにスラッジ取出口に向かって表層液W″が流れる上側流路Faと、その下を浄化液取出口に向かって浄化液Wが流れる下側流路Fbとに仕切る仕切壁部24を設け、仕切壁部24と気泡発生手段29とは、それらの相対的な配置関係として、気泡発生手段29による液中への放出気泡が浮力差により分別されて、それら放出気泡のうち浮力の大きい大径気泡は上側流路Faを流れ、かつ、浮力の小さい小径気泡は下側流路Fbを流れる状態となる配置関係にする。
【解決手段】槽内下流部において槽内液の流路を、分離スラッジSとともにスラッジ取出口に向かって表層液W″が流れる上側流路Faと、その下を浄化液取出口に向かって浄化液Wが流れる下側流路Fbとに仕切る仕切壁部24を設け、仕切壁部24と気泡発生手段29とは、それらの相対的な配置関係として、気泡発生手段29による液中への放出気泡が浮力差により分別されて、それら放出気泡のうち浮力の大きい大径気泡は上側流路Faを流れ、かつ、浮力の小さい小径気泡は下側流路Fbを流れる状態となる配置関係にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液中に含まれる塗料スラッジなどの各種スラッジの分離回収に用いるスラッジ分離槽に関し、詳しくは、槽内の液に含まれるスラッジを槽内で液表層部へ浮上分離させ、かつ、その分離スラッジを槽内の表層液とともにスラッジ取出口から槽外へ取り出すのに伴い、スラッジの浮上分離により浄化された槽内の浄化液を浄化液取出口から槽外へ取り出すスラッジ分離槽に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナノレベルやマイクロレベルなどの微細気泡がスラッジなどの懸濁物質に対して高い吸着性を備えることを利用したスラッジ分離槽として、図11に示すように、液中からのスラッジ分離の促進や他物へのスラッジ付着の防止あるいは環境面を配慮した液質改善などの目的で、槽内の液W′中へ多量の微細気泡Aを放出する気泡発生手段29を装備したスラッジ分離槽11がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−119612
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来のスラッジ分離槽11では(図11参照)、単に槽内の液W′中に微細気泡Aが放出されるように気泡発生手段29をその設置が容易な槽内の上・中流箇所などの適当箇所に配置しているにすぎず、槽内下流部11bにおけるスラッジ取出口12や浄化液取出口13と気泡発生手段29と配置関係、あるいは、気泡発生手段29が液W′中に放出する微細気泡Aの気泡径分布などについては何ら配慮がなされていなかった。
【0005】
このため、この従来のスラッジ分離槽11では、気泡発生手段29の装備によるスラッジ分離の促進など所期の付加効果をスラッジ分離槽11そのものではある程度期待できるものの、スラッジ分離槽11の槽中で液面まで浮上して大気中へ放散してしまう気泡Aも多くて、スラッジ取出口12から取り出した分離スラッジSや浄化液取出口13から取り出した浄化液Wの後続処理系を含む処理設備(本例では塗装設備)の全体について見た場合には、気泡発生手段29の装備コストの割りに、気泡発生手段29の装備による付加効果をあまり期待できないのが実情であった。
【0006】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、スラッジ分離槽のみならずそれから取り出される浄化液や分離スラッジの後続処理系を含む処理設備の全体について、気泡発生手段の装備による付加効果を効果的かつ確実に得られるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1特徴構成はスラッジ分離槽に係り、その特徴は、
槽内の液に含まれるスラッジを槽内で液表層部へ浮上分離させ、かつ、その分離スラッジを槽内の表層液とともにスラッジ取出口から槽外へ取り出すのに伴い、スラッジの浮上分離により浄化された槽内の浄化液を浄化液取出口から槽外へ取り出すスラッジ分離槽であって、
前記スラッジ取出口及び前記浄化液取出口が位置する槽内下流部において槽内液の流路を、分離スラッジとともに前記スラッジ取出口に向かって槽内の表層液が流れる上側流路と、その上側流路の下を前記浄化液取出口に向かって槽内の浄化液が流れる下側流路とに仕切る仕切壁部を設けるとともに、
この仕切壁部の近傍で槽内の液中に多量の微細気泡を放出する気泡発生手段を設け、
これら仕切壁部と気泡発生手段とは、それらの相対的な配置関係として、気泡発生手段による液中への放出気泡が浮力差により分別されて、それら放出気泡のうち浮力の大きい大径気泡は分離スラッジを含む槽内の表層液に伴われて前記上側流路を流れ、かつ、浮力の小さい小径気泡はスラッジが分離された槽内の浄化液に伴われて前記下側流路を流れる状態となる配置関係にしてある点にある。
【0008】
つまり、この構成によれば、上側流路については、気泡発生手段による液中への放出気泡のうち浮力差により分別された大径の気泡を選択的に流入させるから、槽内の表層液とともに上側流路を経てスラッジ取出口から取り出される分離スラッジに対し、浮力の大きい大径気泡を集中的かつ効果的に作用させることができる。
【0009】
従って、スラッジ取出口から取り出した後、掻き取り装置やろ過装置などの適当な回収装置により分離スラッジを随伴液からさらに分離回収するスラッジ回収部でのスラッジ回収性(換言すれば、処理設備全体としてのスラッジの分離回収性)を上記大径気泡により効果的に高めることができる。
【0010】
また、スラッジが集合することで他物へのスラッジ付着が生じ易いスラッジ分離槽の槽内下流部や上記スラッジ回収部での他物へのスラッジ付着も上記大径気泡により効果的に防止することができ、さらに、分離スラッジとともにスラッジ取出口から取り出される槽内液(表層液)の液質も上記大径気泡により効果的に改善することができて、スラッジ分離槽の槽内下流部や上記スラッジ回収部での臭気発生なども効果的に防止することができる。
【0011】
そしてまた、大径気泡及びその随伴液を適当な手段により、上側流路での分離スラッジ及び表層液の流れ方向に沿う向きの流速成分のある状態で上側流路へ流入させることで、分離スラッジを含む槽内表層液の上側流路への流入やそれらの上側流路での流れを安定化するとともに促進する機能(表層液流安定促進の機能)も発揮させることができ、このことからもスラッジの分離回収性を効果的に高めることができる。
【0012】
一方、下側流路については、気泡発生手段による液中への放出気泡のうち浮力差により分別された小径の気泡(即ち、大径気泡に比べ浮力が小さくて液中に留まり易い気泡)を選択的に流入させるから、下側流路を経て浄化液取出口から取り出される槽内の浄化液に対し小径気泡を効果的に含ませることができて、後続処理系における浄化液の気泡含有率を長時間にわたり高く保つことができる。
【0013】
従って、浄化液の側についても液質を上記小径気泡により効果的に改善することができて、浄化液の後続処理系での臭気発生なども効果的に防止することができ、また、浄化液に僅かに残存するスラッジが浄化液の後続処理系において他物に付着するなどのことも上記小径気泡により効果的に防止することができる。
【0014】
これらの点で、上記第1特徴構成によれば、先述した従来のスラッジ分離槽、即ち、槽内の液中に微細気泡が放出されるように気泡発生手段を槽内の上中流箇所などの適当箇所に配置していただけの従来のスラッジ分離槽に比べ、スラッジ分離槽のみならずそれから取り出される浄化液や分離スラッジの後続処理系を含む処理設備の全体について、気泡発生手段の装備による種々の付加効果を一層効果的かつ確実に得ることができ、処理設備全体としてのスラッジの分離回収性やメンテナンス性あるいは環境性の面などで一層有利なスラッジ分離槽にすることができる。
【0015】
なお、第1特徴構成の実施において、上側流路に流入させる大径気泡と下側流路に流入させる小径気泡との気泡径の閾値や気泡量の割合などは処理設備の運転条件などに応じて適宜決定すればよい。
【0016】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記上側流路の底壁部としての前記仕切壁部の一部に前記上側流路の深さを部分的に深くした有底円筒状の集積ピットを形成し、
この集積ピットの底部における中心部に前記スラッジ取出口を配置するとともに、
前記上側流路の側壁部として、前記スラッジ取出口からの分離スラッジ及び表層液の取り出しに伴い、前記集積ピットにおいてピット縦軸芯周りでの旋回液流が形成される状態に前記上側流路への流入槽内液を案内する弧状周壁部を設けてある点にある。
【0017】
つまり、この構成によれば、集積ピットにおいて旋回液流の中心部分(ピット縦軸芯部分)が下方のスラッジ取出口に向けて逆円錐状に窪んだ状態で分離スラッジが表層液とともにスラッジ取出口に吸入されるスラッジ取り出し形態にすることができ、これにより、随伴液としての表層液の取り出し流量を小さくしながら分離スラッジを効率的にスラッジ取出口から取り出すことができて、液中からのスラッジの分離回収性を高めることができる(特許第3332532号参照)。
【0018】
そして、この旋回液流式のスラッジ取り出し方式では、旋回液流(即ち、分離スラッジを伴う槽内表層液の旋回流)を極力安定的に保つとともに極力促進することが性能向上の重要なファクターとなるが、前述の如く第1特徴構成によれば、大径気泡及びその随伴液を上側流路へ流入させることにおいて発揮させ得る前記の表層液流安定促進機能により、分離スラッジを含む槽内表層液の上側流路への流入やそれらの上側流路での流れ(ここでは旋回流)を効果的に安定化するとともに促進することができる。
【0019】
即ち、この第2特徴構成によれば、基本的に上記の如き旋回液流式のスラッジ取り出し方式を採用することによるスラッジ分離回収性の向上と、この旋回液流式のスラッジ取り出し方式において旋回液流を効果的に安定化及び促進し得ることによるスラッジ分離回収性の向上とにより、スラッジ分離槽ひいてはそれを含む処理設備全体としての液中からのスラッジ分離回収性の向上を一層効果的かつ確実に達成することができる。
【0020】
本発明の第3特徴構成は、第1又は第2特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記気泡発生手段の気泡放出口部を前記仕切壁部よりも下方の前記下側流路の側に配置してある点にある。
【0021】
つまり、前述の如く気泡発生手段による放出気泡を浮力により分別して、大径気泡を上側流路に流入させ、かつ、小径気泡を下側流路に流入させるのに、大径気泡は浮力が大きいことから、その浮力をもって大径気泡を自ら上側流路に流入させることは容易であるが、小径気泡については浮力が小さいものの、その浮力に抗して小径気泡を下方の下側流路からの誘引により下側流路に流入させることは下側流路の液流速度の制限などから難しい場合が多い。
【0022】
この点、上記構成によれば、気泡発生手段の気泡放出口部を仕切壁部よりも下方の下側流路の側に配置するから、その配置において仕切壁部とその下方の気泡放出口部との上下離間寸法を適当に設定すれば、大径気泡を大きな浮力により自ら上側流路に流入させるようにしながら、小径気泡についても同様に、大径気泡よりは浮上速度の遅い浮上過程において下側流路へ流入させることができ、これにより、上側流路に流入させる大径気泡と下側流路に流入させる小径気泡との分別を一層容易かつ確実にすることができる。
【0023】
本発明の第4特徴構成は、第1〜第3特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記上側流路の液流れ方向における上流側部分において前記仕切壁部又は前記上側流路の側壁部に気泡通過用開口を形成し、
前記気泡発生手段による液中への放出気泡のうち浮力の大きい大径気泡が前記気泡通過用開口を通じて前記上側流路に流入する状態に前記気泡発生手段を配置してある点にある。
【0024】
つまり、この構成によれば、上側流路へ既に流入した状態にある表層液(即ち、上側流路での液流形態がある程度形成されている表層液)に対して気泡通過用開口を通じ大径気泡を流入させる形態になることから、例えば、上側流路に流入する以前の槽内表層液に大径気泡を流入させるのに比べ、大径気泡及びその随伴液の上側流路への流入による前述の表層液流安定促進機能をもって上側流路での分離スラッジ及び表層液の流れを安定化及び促進することを一層効果的かつ確実なものにすることができる。
【0025】
そしてまた、気泡通過用開口を上側流路の液流れ方向における下流側部分において仕切壁部又は上側流路の側壁部に形成するのに比べれば、気泡通過用開口から流入する大径気泡を上側流路の流域長さを利用した状態で時間的に長く上側流路における表層液及び分離スラッジに対して作用させることができ、これにより、前述した第1特徴構成によるスラッジ分離回収性の向上や、他物へのスラッジ付着の防止、あるいは、液質改善などを一層効果的に達成することができる。
【0026】
また、大径気泡及びその随伴液の上側流路への流入による前述の表層液流安定促進機能も上側流路に流入した表層流に対して早い段階から十分に発揮させることができて、上側流路における分離スラッジ及び表層液の流れの安定化及び促進も一層効果的に達成することができる。
【0027】
なお、第4特徴構成の実施においては、仕切壁部と上側流路の側壁部との両方に気泡通過用開口を形成する形態、あるいは、仕切壁部と上側流路の側壁部とのいずれか一方にのみ気泡通過用開口を形成する形成する形態のいずれを採用してもよい。
【0028】
本発明の第5特徴構成は、第1〜第3特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記仕切壁部の横幅方向における端部又は前記上側流路の側壁部に気泡通過用開口を形成し、
前記気泡発生手段による液中への放出気泡のうち浮力の大きい大径気泡が前記気泡通過用開口を通じて前記上側流路に流入する状態に前記気泡発生手段を配置してある点にある。
【0029】
つまり、この構成によれば、第4特徴構成と同様、上側流路へ既に流入した状態にある表層液(即ち、上側流路での液流形態がある程度形成されている表層液)に対して気泡通過用開口を通じ大径気泡を流入させる形態になることから、例えば、上側流路に流入する以前の槽内表層液に大径気泡を流入させるのに比べ、大径気泡及びその随伴液の上側流路への流入による前述の表層液流安定促進機能をもって上側流路での分離スラッジ及び表層液の流れを安定化及び促進することを一層効果的かつ確実なものにすることができる。
【0030】
そしてまた、上側流路の横幅方向における端部側から大径気泡及びその随伴液を流入させる形態になることで、前述の第2特徴構成の如く上側流路において旋回液流を形成する場合において、その旋回液流の安定化及び促進に特に適した状態で前述の表層液流安定促進機能を発揮させることができる。
【0031】
また、気泡発生手段を平面視でスラッジ分離槽の一側方寄りに配置することもできて、気泡発生手段が槽内下流部へ向かう液流の支障になることも効果的に回避することができる。
【0032】
なお、この第5特徴構成の実施においては、仕切壁部の横幅方向における端部と上側流路の側壁部との両方に気泡通過用開口を形成する形態、あるいは、仕切壁部の幅方向における端部と上側流路の側壁部とのいずれか一方にのみ気泡通過用開口を形成する形態のいずれを採用してもよい。
【0033】
本発明の第6特徴構成は、第4又は第5特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記側壁部における前記気泡通過用開口の形成箇所において、前記上側流路を流れる表層液の液中に下端縁が浸漬した縦姿勢状態で前記上側流路の液流を案内する案内側壁部を設けてある点にある。
【0034】
つまり、この構成によれば、上側流路の液流(分離スラッジを含む表層液流)が上記案内側壁部により案内されることで、上側流路の側壁部における気泡通過用開口の形成箇所においても上側流路の液流を円滑かつ安定的な液流に保つことができ、これにより、スラッジの分離回収性を一層効果的に高めることができる。
【0035】
本発明の第7特徴構成は、第4〜第6特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記気泡通過用開口は前記気泡発生手段よりも前記上側流路の液流れ方向における下流側寄りに配置してある点にある。
【0036】
つまり、この構成によれば、気泡発生手段からの放出気泡のうち大径気泡及びその随伴液が気泡発生手段よりも平面視で上側流路の液流れ方向における下流側寄りの気泡通過用開口を通じて上側流路に流入するから、それら大径気泡及び随伴液を上側流路の液流れ方向に沿う向きの流速成分のある状態で上側流路に流入させることができ、これにより、前述の表層液流安定促進機能を得ることができる。
【0037】
なお、この第7特徴構成において大径気泡及びその随伴液が有する上側流路の液流れ方向に沿う向きの流速成分は、気泡発生手段からの気泡放出において付与されるもの、あるいは、気泡通過用開口までの浮上過程において槽内液流により付与されるもののいずれであってもよい。
【0038】
また、この第7特徴構成に限らず、前述の表層液流安定促進機能を発揮させるための手段としては、大径気泡及びその随伴液を上側流路における液流れ方向に沿う向きの流速成分のある状態で上側流路に流入させる得る手段であればどのような手段を採用してもよい。
【0039】
本発明の第8特徴構成は、第1〜第7特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記気泡発生手段の槽内液吸込口部をその気泡発生手段の配置箇所における槽内液流れ方向の下流側に向けて配置してある点にある。
【0040】
つまり、槽内の液にはスラッジの他にも種々の懸濁物質が含まれる場合が多いが、この構成によれば、それら懸濁物質が気泡発生手段の槽内液吸込口部に吸い込まれて目詰まりを生じるなど、懸濁物質吸い込みに原因する気泡発生手段の運転支障を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】塗装設備の全体構成図
【図2】第1実施形態を示すスラッジ分離槽における槽内下流部の平面図
【図3】第1実施形態を示すスラッジ分離槽における槽内下流部の斜視図
【図4】第1実施形態を示すスラッジ分離槽における槽内下流部の横断面図
【図5】第2実施形態を示すスラッジ分離槽における槽内下流部の平面図
【図6】第2実施形態を示すスラッジ分離槽における槽内下流部の斜視図
【図7】第2実施形態を示すスラッジ分離槽における槽内下流部の横断面図
【図8】第3実施形態を示すスラッジ分離槽における槽内下流部の平面図
【図9】第3実施形態を示すスラッジ分離槽における槽内下流部の斜視図
【図10】第3実施形態を示すスラッジ分離槽における槽内下流部の横断面図
【図11】従来の塗装設備におけるスラッジ分離槽の構成図
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1には、塗装ブース1、及び、それに付属する塗料ミスト除去装置2を示すとともに、その塗料ミスト除去装置2から排出される洗浄排液W′を処理する排液処理設備3を示してあり、塗料ミスト除去装置2では、洗浄液流下板4を流下した洗浄液Wと、塗装ブース1の塗装作業室5から格子床6を通じて排出される排出空気Eとを、合流状態で絞り流路7に高速通過させることで、排出空気E中に含まれる塗料ミストを洗浄液Wに捕捉させ、これにより、排気ファン8により排気ダクト9へ送出する排出空気Eを浄化する。
【0043】
また、塗料ミスト除去装置2での塗料ミストの捕捉により塗料分を含む状態になった洗浄液W′は塗料ミスト除去装置2から洗浄排液として排液路10を通じスラッジ分離槽11の槽内上流部11aに送られる。
【0044】
このスラッジ分離槽11は、排液路10から送給される洗浄排液W′を槽内貯留状態で槽一端側の槽内上流部11aから槽他端側の槽内下流部11bまで槽内流動させる間に、洗浄排液W′に含まれる塗料分を凝集状態の塗料スラッジSとして槽内液W′の表層部に浮上分離させるものであり、槽内下流部11bには図2〜図4に示すように、浮上した分離スラッジSを槽内の表層液W″とともに槽外へ取り出すスラッジ取出口12と、塗料スラッジSの浮上分離により浄化された槽内の浄化液Wを槽外へ取り出す浄化液取出口13とを設けてある。
【0045】
スラッジ取出口12から取り出した分離スラッジS及び表層液W″は図1に示す如くスラッジ送給ポンプ14によりスラッジ送給路15を通じて縦型のスラッジ回収槽16に送る。
【0046】
このスラッジ回収槽16は、スラッジ送給路15から送給される分離スラッジSと随伴液としての表層液W″とを貯留し、その貯留過程で分離スラッジSを再度浮上分離させて回収するスラッジ回収部を構成するものであり、このスラッジ回収槽16において、浮上した分離スラッジSを掻き取り装置17により掻き取り回収する。
【0047】
なお、スラッジ回収槽16においてスラッジSが除去された表層液W″は還流路18を通じてスラッジ分離槽11の槽内上流部11aに戻す。
【0048】
また、スラッジ分離槽11の浄化液取出口13から取り出した浄化液Wは、循環ポンプ19により返送路20を通じ塗料ミスト除去装置2における洗浄液流下板4の上流部に返送し、その浄化液Wを塗料ミスト捕捉用の洗浄液として循環使用する。
【0049】
スラッジ分離槽11における槽内下流部11bの構造についてさらに詳述すると、図2〜図4に示すように、その槽内下流部11bには、平面視において槽内の下流側ほど離間間隔が狭くなる状態に配置した一対のスラッジ集合案内壁部21を設け、これらスラッジ集合案内壁部21により槽内液W′の下流側への流動に伴い浮上状態の分離スラッジSを槽横幅方向の中央寄りに集合させる。
【0050】
また、これらスラッジ集合案内壁部21の下流側端どうしにわたらせる状態で平面視において半円弧状の弧状周壁部22を設け、スラッジ集合案内壁部22により集合させた分離スラッジS及びそれを含む表層液W″を弧状周壁部22による囲い領域内に受け入れる。
【0051】
これらスラッジ集合案内壁部21及びそれに連なる弧状周壁部22は槽内液W′の表層部分W″に対してのみ設けてあり、槽内液W′のうち表層部の液W″よりも深い位置にある液(即ち、塗料スラッジSの浮上分離で浄化された浄化液W)はスラッジ集合案内壁部21及び弧状周壁部22の下を通過させて槽内下流部11bへそのまま流動させ、スラッジ分離槽11の下流側槽壁23に配置した2つの浄化液取出口13に至らせる。
【0052】
弧状周壁部22の下端縁には、弧状周壁部22による囲い領域の底壁部となる仕切壁部24を連設してあり、この仕切壁部24により、弧状周壁部22による囲い領域の入口近傍部分を仕切り始端として、槽内液W′の流路を弧状周壁部22による囲い領域内の上側流路Faと、その下の下側流路Fbとに仕切ってある。
【0053】
つまり、上記仕切り始端相当位置まで至った槽内液W′のうち、浮上状態の分離スラッジSを含む状態でスラッジ集合案内壁部21により横幅方向の中央寄りに集合した表層液W″は、仕切壁部24を底壁部とする上側流路Faをスラッジ取出口12に向かって流れるようにしてある。
【0054】
また、上記仕切り始端相当位置まで至った槽内液W′のうち、塗料スラッジSの浮上分離で浄化された下方の浄化液Wは、上側流路Faの下で仕切壁部24を天井壁部とする下側流路Fbを下流側槽壁23の浄化液取出口13に向かって流れるようにしてある。
【0055】
上側流路Faの底壁部としての仕切壁部24のうち弧状周壁部22の縦中心軸芯Pに対して槽横幅方向に偏心した箇所には、上側流路Faの深さを部分的に深くした有底円筒状の集積ピット25を形成してあり、スラッジ取出口12はこの集積ピット25の底部における中心部(ピット縦軸芯Q)に配置してある。
【0056】
また、弧状周壁部22の2つの入口側端部22a,22bのうち集積ピット25の側の入口側端部22bには、上側流路Faの入口を槽横幅方向で他方の入口側端部22aの側(即ち、集積ピット25とは反対側)へ偏らせる平面視形状が三角形状の流れ案内部26を設け、この流れ案内部26の下流側面26aは平面視で集積ピット25と同芯状の凹状弧面にしてある。
【0057】
即ち、一対のスラッジ集合案内壁部21及び流れ案内部26の上流側面26aによる案内により、分離スラッジSを含む表層液W″を槽横幅方向の一方に偏らせた入口から上側流路Faへ流入させるとともに、その流入表層液W″を弧状周壁部22の内周面及び流れ案内部26の凹状弧面26bにより案内することで、上側流路Faにおける表層液W″の液流に旋回成分を与え、これにより、スラッジ取出口12からの分離スラッジS及び表層液W″の取り出しに伴い、表層液W″が集積ピット25においてピット縦軸芯Q周りの旋回液流Rを形成するようにしてある。
【0058】
そして、このように旋回液流Rを形成することで、集積ピット25における液面状態を図中一点鎖線で示す如く旋回液流Rの中心部が下方のスラッジ取出口12に向けて逆円錐状に窪んだ状態になるようにし、この窪み状態において分離スラッジSが表層液W″とともにスラッジ取出口12に吸入されるようにすることで、随伴液としての表層液W″の取り出し流量を小さくしながら分離スラッジSを円滑かつ効率的にスラッジ取出口12から取り出せるようにして、スラッジ分離槽11のスラッジ分離効率を高く確保する。
【0059】
上側流路Faの液流れ方向における最上流部おいて、底壁部としての仕切壁部24の槽横幅方向における一方の端部(流れ案内部26がない側の端部)、及び、側壁部としての弧状周壁部22の2つの上流側端部22a,22bのうち一方の上流側端部22a(流れ案内部26がない側の端部)には、上側流路Faの横断面視における下隅部で互いに連なる気泡通過用開口27を形成してある。
【0060】
また、この気泡通過用開口27の形成箇所において弧状周壁部22の外側部分には、平面視で内側(槽中央側)だけを開放して上流側と外側と下流側との三方を領域壁28a〜28cにより囲った装置領域28を形成してある。
【0061】
そして、この装置領域28には、装置下部の槽内液吸込口部29aから槽内の浄化液Wを吸い込むともに、空気吸入路29bを通じ新鮮空気を吸い込み、それら吸い込み液と吸い込み空気との混合及び細断などにより形成したナノレベルやマイクロレベルの多量の微細気泡Aを随伴液とともに気泡放出口部29cから槽内液中へ放出する気泡発生装置29を配置してある。
【0062】
気泡通過用開口27は、気泡発生装置29の横側位置から上側流路Faの液流れ方向で気泡発生装置29よりも下流側まで延びる開口(換言すれば、気泡発生装置29よりも下流側寄りに配置した開口)にしてあり、また、装置領域28を形成する領域壁28a〜28cのうち気泡発生装置29の下流側に位置させる領域壁28は、平面視で気泡発生装置29の配置位置から気泡通過用開口27の下流側端にわたる傾斜姿勢に配置し、これにより、その領域壁28cと気泡発生装置29との間に平面視で三角形状の隙間領域30を形成してある。
【0063】
気泡発生装置29は、その気泡放出口部29cが仕切壁部24よりも下方の下側流路Fbの側に位置するように配置してあり、そして、その配置において仕切壁部24と気泡放出口部29cとの上下離間寸法は、気泡放出口部29cからの放出される微細気泡Aが液中で浮力差により分別されて、その放出気泡Aのうち浮力の大きい大径の気泡Aaは気泡通過用開口27を通じ上側流路Faに流入して分離スラッジSを含む表層液W″とともに上側流路Faを流れ、これに対し、放出気泡Aのうち浮力の小さい小径の気泡Abは気泡通過用開口27に至る以前に下側流路Fbの浄化液Wとともに下側流路Fbを下流側に向けて流れる状態となる寸法に設定してある。
【0064】
つまり、このように気泡発生装置29が放出する微細気泡Aを浮力差により分別することで、上側流路Faでは、表層液W″とともに上側流路Faを経てスラッジ取出口12から取り出される分離スラッジSに対して浮力の大きい大径気泡Aaを集中的かつ効果的に作用させ、これにより、後続のスラッジ回収槽16での塗料スラッジ回収性を上記大径気泡Aaにより効果的に高めるとともに、スラッジ分離槽11の槽内下流部11bやスラッジ回収槽16での他物へのスラッジ付着も上記大径気泡により効果的に防止し、さらに、分離スラッジSとともにスラッジ取出口12から取り出される槽内液W″(表層液)の液質も上記大径気泡により効果的に改善する。
【0065】
そしてまた、大径気泡Aa及びその随伴液を上側流路Faの横幅方向における一方側の端部に形成した気泡通過用開口27を通じて上側流域Faに流入させることで、また、その気泡通過用開口27を上側流路Faの液流れ方向で気泡発生装置29よりも下流側寄りに配置するとともに上記した平面視三角形状の隙間領域30を設けて、大径気泡Aa及びその随伴液が上側流路Faの液流れ方向に沿う流速成分をもった状態で上側流路Faに流入するようにすることで、分離スラッジSを含む表層液W″の上側流路Faへの流入、及び、それに続く表層液W″の上側流域Faでの旋回流形成を安定化するとともに促進する。
【0066】
一方、下側流路Fbについては、大径気泡Aaに比べ浮力が小さくて液中に留まり易い小径気泡Abを選択的に流入させることで、下側流路Fbを経て浄化液取出口13から取り出される槽内の浄化液Wに対し小径気泡Abを効果的に含ませ、これにより、返送路20から塗料ミスト除去装置2に至る後続処理系における浄化液Wの気泡含有率を長時間にわたり高く保って、浄化液Wの側についても液質を上記小径気泡Abにより効果的に改善し、また、浄化液Wに僅かに残存する塗料スラッジが浄化液Wの後続処理系において他物に付着するなどのことも上記小径気泡Abにより効果的に防止する。
【0067】
上側流路Faの側壁部としての弧状周壁部22に気泡通過用開口27を形成するのに、その弧状周壁部22の気泡通過用開口27のうち上流側端から下流側端近傍にかけての上流側開口部分27aについては、弧状周壁部22のうちその上流側開口部分27aの上に位置する壁部分22cの下端縁(上側開口縁)が縦姿勢で液中に浸漬する高さ寸法の小さな開口部分にし、これにより、その上流側開口部分27aの上の壁部分22cが気泡通過用開口27の形成箇所において上側流路Faの液流を案内する案内側壁部として機能するようにしてある。
【0068】
また、これに対し、弧状周壁部22の気泡通過用開口27のうち下流側端部の下流側開口部分27bは、その上側の開口縁が液面の上方に位置する高さ寸法の大きな開口部分にし、これにより、その下流側開口部分27bが平面視三角形状の隙間領域30での気泡溜まりを防止する気泡抜き開口としても機能するようにしてある。
【0069】
さらに、気泡発生装置29の槽内液吸込口部29aは、槽内液W(浄化液)の流れ方向における下流側にのみ向けて開口させてあり、これにより、槽内液Wに含まれるスラッジなどの懸濁物質が吸込口部29aに吸い込まれて目詰まりを生じるなど、懸濁物質吸い込みに原因する気泡発生装置29の運転支障を防止するようにしてある。
【0070】
〔別の実施形態〕
次の本発明の別実施形態を列記する。
図5〜図7は、上述実施形態で示したスラッジ分離槽11において、仕切壁部24及び弧状周壁部22に形成する気泡通過用開口27の部分の構造を変更した例を示す。
【0071】
この例では、気泡通過用開口27の形成箇所において上側流路Faを流れる表層液W″の液中に下端縁が浸漬した縦姿勢状態で上側流路Faの液流を案内する案内側壁部として、平面視で液流れ方向の下流側ほど上側流路Faの横幅方向中央寄りとなる上流側壁部分31aと、平面視で気泡通過用開口27の形成箇所における弧状周壁部22と平行姿勢で上流側壁部分31aに連なる下流側壁部分31bとを備える案内側壁部31を気泡通過用開口27の形成箇所に配置してある。
【0072】
この案内側壁部31の上流側壁部分31aと下流側壁部分31bはいずれも、その下端が上側流路Faの底壁部である仕切壁部24に至るものであり、気泡通過用開口27のうち仕切壁部24に形成する部分はそれら上流側壁部分31a及び下流側壁部分31bの下端縁に沿う開口縁部を備える開口形状にしてある。
【0073】
また、この例では平面視三角形状の隙間領域30を設けない構造にしてある。
【0074】
つまり、この例では、上記の如き上流側壁部分31a及び下流側壁部分31bを備える案内側壁部31を気泡通過用開口27の形成箇所に配置することで、それら上流側壁部分31a及び下流側壁部分31bにより上側流路Faの液流を案内するとともに、気泡通過用開口27を通じて上側流域Faに流入させる大径気泡Aa及びその随伴液を、上流側壁部分31a及び下流側壁部分31bにより上側流路Faの液流れ方向に案内した状態で上側流路Faに流入させるようにしてあり、これにより、上側流路Faでの旋回流形成を一層効果的に安定化するとともに促進する。
【0075】
図8〜図10は、前述の実施形態において、複数のノズル状の気泡放出口部29dから一方向に向けて液中へ微細気泡Aを放出する形式の気泡発生装置29を用いた例を示す。
【0076】
この例では、上記ノズル状の気泡放出口部29dを上側流路Faにおける液流れ方向の下流側に向けて装置領域28に配置し、また、その装置領域28には平面視三角形状の前記隙間領域30を設けてある。
【0077】
そして、弧状周壁部22の気泡通過用開口27は、前述の実施形態で示した案内側壁部22cを備える高さ寸法の小さな上流側開口部分27aと気泡抜き開口を兼ねる高さ寸法の大きな下流側開口部分27bとを備える開口にし、これに対し、仕切壁部24の気泡通過用開口27はノズル状の気泡放出口部29dから下流向きに気泡A及び随伴液が勢いよく放出されることを考慮して上側流路Faの液流れ方向で気泡発生装置29よりも下流側の部分にのみ形成してある。
【0078】
気泡発生装置29には先に示した構造のものに限らす種々の形式のものを採用することができ、また、液中に放出する微細気泡Aの気泡径もナノレベルやマイクロレベルのものが好適ではあるが、それより大きいものや小さいものであってもよい。
【0079】
上側流路Faにおける弧状周壁部22などの側壁部や仕切壁部24に形成する気泡通過用開口27、その形成箇所に設ける案内側壁部22c,31、気泡発生装置29を配置する装置領域28などの具体的構造は先に示した構造に限らず、気泡発生装置29の形式などに応じて種々の変更が可能である。
【0080】
前述の実施形態では上側流路Faにおいて分離スラッジSを含む表層液W″の旋回流を形成する例を示したが、本発明は上側流路Faにおいて旋回流を形成しない形態で分離スラッジS及び表層液W″をスラッジ取出口12から槽外へ取り出す形式のスラッジ分離槽においても適用することができる。
【0081】
また、前述の実施形態では気泡発生装置29の放出気泡Aのうち浮力差により分別した大径気泡Aaを仕切壁部24や側壁部(弧状周壁部24)に形成した気泡通過用開口27を通じて上側流路Faに流入させる例を示したが、場合によっては、上側流路Faの入口部において大径気泡Aaを上側流路Faへの流入過程にある表層液W″に対して混入する形態を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は塗料スラッジに限らず、各種分野において種々の液中スラッジの浮上分離に使用するスラッジ分離槽に適用することができ、分離対象のスラッジを含む液も水に限らず、スラッジの浮上分離が可能な液であればどのような液であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
S スラッジ
W″ 表層液
12 スラッジ取出口
W 浄化液
13 浄化液取出口
11 スラッジ分離槽
11b 槽内下流部
W′ 槽内液
Fa 上側流路
Fb 下側流路
24 仕切壁部
A 微細気泡
29 気泡発生手段
Aa 大径気泡
Ab 小径気泡
25 集積ピット
Q ピット縦軸芯
22 弧状周壁部
29c,29d 気泡放出口部
27 気泡通過用開口
22c,31 案内側壁部
29a 槽内液吸込口部
【技術分野】
【0001】
本発明は、液中に含まれる塗料スラッジなどの各種スラッジの分離回収に用いるスラッジ分離槽に関し、詳しくは、槽内の液に含まれるスラッジを槽内で液表層部へ浮上分離させ、かつ、その分離スラッジを槽内の表層液とともにスラッジ取出口から槽外へ取り出すのに伴い、スラッジの浮上分離により浄化された槽内の浄化液を浄化液取出口から槽外へ取り出すスラッジ分離槽に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナノレベルやマイクロレベルなどの微細気泡がスラッジなどの懸濁物質に対して高い吸着性を備えることを利用したスラッジ分離槽として、図11に示すように、液中からのスラッジ分離の促進や他物へのスラッジ付着の防止あるいは環境面を配慮した液質改善などの目的で、槽内の液W′中へ多量の微細気泡Aを放出する気泡発生手段29を装備したスラッジ分離槽11がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−119612
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来のスラッジ分離槽11では(図11参照)、単に槽内の液W′中に微細気泡Aが放出されるように気泡発生手段29をその設置が容易な槽内の上・中流箇所などの適当箇所に配置しているにすぎず、槽内下流部11bにおけるスラッジ取出口12や浄化液取出口13と気泡発生手段29と配置関係、あるいは、気泡発生手段29が液W′中に放出する微細気泡Aの気泡径分布などについては何ら配慮がなされていなかった。
【0005】
このため、この従来のスラッジ分離槽11では、気泡発生手段29の装備によるスラッジ分離の促進など所期の付加効果をスラッジ分離槽11そのものではある程度期待できるものの、スラッジ分離槽11の槽中で液面まで浮上して大気中へ放散してしまう気泡Aも多くて、スラッジ取出口12から取り出した分離スラッジSや浄化液取出口13から取り出した浄化液Wの後続処理系を含む処理設備(本例では塗装設備)の全体について見た場合には、気泡発生手段29の装備コストの割りに、気泡発生手段29の装備による付加効果をあまり期待できないのが実情であった。
【0006】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、スラッジ分離槽のみならずそれから取り出される浄化液や分離スラッジの後続処理系を含む処理設備の全体について、気泡発生手段の装備による付加効果を効果的かつ確実に得られるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1特徴構成はスラッジ分離槽に係り、その特徴は、
槽内の液に含まれるスラッジを槽内で液表層部へ浮上分離させ、かつ、その分離スラッジを槽内の表層液とともにスラッジ取出口から槽外へ取り出すのに伴い、スラッジの浮上分離により浄化された槽内の浄化液を浄化液取出口から槽外へ取り出すスラッジ分離槽であって、
前記スラッジ取出口及び前記浄化液取出口が位置する槽内下流部において槽内液の流路を、分離スラッジとともに前記スラッジ取出口に向かって槽内の表層液が流れる上側流路と、その上側流路の下を前記浄化液取出口に向かって槽内の浄化液が流れる下側流路とに仕切る仕切壁部を設けるとともに、
この仕切壁部の近傍で槽内の液中に多量の微細気泡を放出する気泡発生手段を設け、
これら仕切壁部と気泡発生手段とは、それらの相対的な配置関係として、気泡発生手段による液中への放出気泡が浮力差により分別されて、それら放出気泡のうち浮力の大きい大径気泡は分離スラッジを含む槽内の表層液に伴われて前記上側流路を流れ、かつ、浮力の小さい小径気泡はスラッジが分離された槽内の浄化液に伴われて前記下側流路を流れる状態となる配置関係にしてある点にある。
【0008】
つまり、この構成によれば、上側流路については、気泡発生手段による液中への放出気泡のうち浮力差により分別された大径の気泡を選択的に流入させるから、槽内の表層液とともに上側流路を経てスラッジ取出口から取り出される分離スラッジに対し、浮力の大きい大径気泡を集中的かつ効果的に作用させることができる。
【0009】
従って、スラッジ取出口から取り出した後、掻き取り装置やろ過装置などの適当な回収装置により分離スラッジを随伴液からさらに分離回収するスラッジ回収部でのスラッジ回収性(換言すれば、処理設備全体としてのスラッジの分離回収性)を上記大径気泡により効果的に高めることができる。
【0010】
また、スラッジが集合することで他物へのスラッジ付着が生じ易いスラッジ分離槽の槽内下流部や上記スラッジ回収部での他物へのスラッジ付着も上記大径気泡により効果的に防止することができ、さらに、分離スラッジとともにスラッジ取出口から取り出される槽内液(表層液)の液質も上記大径気泡により効果的に改善することができて、スラッジ分離槽の槽内下流部や上記スラッジ回収部での臭気発生なども効果的に防止することができる。
【0011】
そしてまた、大径気泡及びその随伴液を適当な手段により、上側流路での分離スラッジ及び表層液の流れ方向に沿う向きの流速成分のある状態で上側流路へ流入させることで、分離スラッジを含む槽内表層液の上側流路への流入やそれらの上側流路での流れを安定化するとともに促進する機能(表層液流安定促進の機能)も発揮させることができ、このことからもスラッジの分離回収性を効果的に高めることができる。
【0012】
一方、下側流路については、気泡発生手段による液中への放出気泡のうち浮力差により分別された小径の気泡(即ち、大径気泡に比べ浮力が小さくて液中に留まり易い気泡)を選択的に流入させるから、下側流路を経て浄化液取出口から取り出される槽内の浄化液に対し小径気泡を効果的に含ませることができて、後続処理系における浄化液の気泡含有率を長時間にわたり高く保つことができる。
【0013】
従って、浄化液の側についても液質を上記小径気泡により効果的に改善することができて、浄化液の後続処理系での臭気発生なども効果的に防止することができ、また、浄化液に僅かに残存するスラッジが浄化液の後続処理系において他物に付着するなどのことも上記小径気泡により効果的に防止することができる。
【0014】
これらの点で、上記第1特徴構成によれば、先述した従来のスラッジ分離槽、即ち、槽内の液中に微細気泡が放出されるように気泡発生手段を槽内の上中流箇所などの適当箇所に配置していただけの従来のスラッジ分離槽に比べ、スラッジ分離槽のみならずそれから取り出される浄化液や分離スラッジの後続処理系を含む処理設備の全体について、気泡発生手段の装備による種々の付加効果を一層効果的かつ確実に得ることができ、処理設備全体としてのスラッジの分離回収性やメンテナンス性あるいは環境性の面などで一層有利なスラッジ分離槽にすることができる。
【0015】
なお、第1特徴構成の実施において、上側流路に流入させる大径気泡と下側流路に流入させる小径気泡との気泡径の閾値や気泡量の割合などは処理設備の運転条件などに応じて適宜決定すればよい。
【0016】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記上側流路の底壁部としての前記仕切壁部の一部に前記上側流路の深さを部分的に深くした有底円筒状の集積ピットを形成し、
この集積ピットの底部における中心部に前記スラッジ取出口を配置するとともに、
前記上側流路の側壁部として、前記スラッジ取出口からの分離スラッジ及び表層液の取り出しに伴い、前記集積ピットにおいてピット縦軸芯周りでの旋回液流が形成される状態に前記上側流路への流入槽内液を案内する弧状周壁部を設けてある点にある。
【0017】
つまり、この構成によれば、集積ピットにおいて旋回液流の中心部分(ピット縦軸芯部分)が下方のスラッジ取出口に向けて逆円錐状に窪んだ状態で分離スラッジが表層液とともにスラッジ取出口に吸入されるスラッジ取り出し形態にすることができ、これにより、随伴液としての表層液の取り出し流量を小さくしながら分離スラッジを効率的にスラッジ取出口から取り出すことができて、液中からのスラッジの分離回収性を高めることができる(特許第3332532号参照)。
【0018】
そして、この旋回液流式のスラッジ取り出し方式では、旋回液流(即ち、分離スラッジを伴う槽内表層液の旋回流)を極力安定的に保つとともに極力促進することが性能向上の重要なファクターとなるが、前述の如く第1特徴構成によれば、大径気泡及びその随伴液を上側流路へ流入させることにおいて発揮させ得る前記の表層液流安定促進機能により、分離スラッジを含む槽内表層液の上側流路への流入やそれらの上側流路での流れ(ここでは旋回流)を効果的に安定化するとともに促進することができる。
【0019】
即ち、この第2特徴構成によれば、基本的に上記の如き旋回液流式のスラッジ取り出し方式を採用することによるスラッジ分離回収性の向上と、この旋回液流式のスラッジ取り出し方式において旋回液流を効果的に安定化及び促進し得ることによるスラッジ分離回収性の向上とにより、スラッジ分離槽ひいてはそれを含む処理設備全体としての液中からのスラッジ分離回収性の向上を一層効果的かつ確実に達成することができる。
【0020】
本発明の第3特徴構成は、第1又は第2特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記気泡発生手段の気泡放出口部を前記仕切壁部よりも下方の前記下側流路の側に配置してある点にある。
【0021】
つまり、前述の如く気泡発生手段による放出気泡を浮力により分別して、大径気泡を上側流路に流入させ、かつ、小径気泡を下側流路に流入させるのに、大径気泡は浮力が大きいことから、その浮力をもって大径気泡を自ら上側流路に流入させることは容易であるが、小径気泡については浮力が小さいものの、その浮力に抗して小径気泡を下方の下側流路からの誘引により下側流路に流入させることは下側流路の液流速度の制限などから難しい場合が多い。
【0022】
この点、上記構成によれば、気泡発生手段の気泡放出口部を仕切壁部よりも下方の下側流路の側に配置するから、その配置において仕切壁部とその下方の気泡放出口部との上下離間寸法を適当に設定すれば、大径気泡を大きな浮力により自ら上側流路に流入させるようにしながら、小径気泡についても同様に、大径気泡よりは浮上速度の遅い浮上過程において下側流路へ流入させることができ、これにより、上側流路に流入させる大径気泡と下側流路に流入させる小径気泡との分別を一層容易かつ確実にすることができる。
【0023】
本発明の第4特徴構成は、第1〜第3特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記上側流路の液流れ方向における上流側部分において前記仕切壁部又は前記上側流路の側壁部に気泡通過用開口を形成し、
前記気泡発生手段による液中への放出気泡のうち浮力の大きい大径気泡が前記気泡通過用開口を通じて前記上側流路に流入する状態に前記気泡発生手段を配置してある点にある。
【0024】
つまり、この構成によれば、上側流路へ既に流入した状態にある表層液(即ち、上側流路での液流形態がある程度形成されている表層液)に対して気泡通過用開口を通じ大径気泡を流入させる形態になることから、例えば、上側流路に流入する以前の槽内表層液に大径気泡を流入させるのに比べ、大径気泡及びその随伴液の上側流路への流入による前述の表層液流安定促進機能をもって上側流路での分離スラッジ及び表層液の流れを安定化及び促進することを一層効果的かつ確実なものにすることができる。
【0025】
そしてまた、気泡通過用開口を上側流路の液流れ方向における下流側部分において仕切壁部又は上側流路の側壁部に形成するのに比べれば、気泡通過用開口から流入する大径気泡を上側流路の流域長さを利用した状態で時間的に長く上側流路における表層液及び分離スラッジに対して作用させることができ、これにより、前述した第1特徴構成によるスラッジ分離回収性の向上や、他物へのスラッジ付着の防止、あるいは、液質改善などを一層効果的に達成することができる。
【0026】
また、大径気泡及びその随伴液の上側流路への流入による前述の表層液流安定促進機能も上側流路に流入した表層流に対して早い段階から十分に発揮させることができて、上側流路における分離スラッジ及び表層液の流れの安定化及び促進も一層効果的に達成することができる。
【0027】
なお、第4特徴構成の実施においては、仕切壁部と上側流路の側壁部との両方に気泡通過用開口を形成する形態、あるいは、仕切壁部と上側流路の側壁部とのいずれか一方にのみ気泡通過用開口を形成する形成する形態のいずれを採用してもよい。
【0028】
本発明の第5特徴構成は、第1〜第3特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記仕切壁部の横幅方向における端部又は前記上側流路の側壁部に気泡通過用開口を形成し、
前記気泡発生手段による液中への放出気泡のうち浮力の大きい大径気泡が前記気泡通過用開口を通じて前記上側流路に流入する状態に前記気泡発生手段を配置してある点にある。
【0029】
つまり、この構成によれば、第4特徴構成と同様、上側流路へ既に流入した状態にある表層液(即ち、上側流路での液流形態がある程度形成されている表層液)に対して気泡通過用開口を通じ大径気泡を流入させる形態になることから、例えば、上側流路に流入する以前の槽内表層液に大径気泡を流入させるのに比べ、大径気泡及びその随伴液の上側流路への流入による前述の表層液流安定促進機能をもって上側流路での分離スラッジ及び表層液の流れを安定化及び促進することを一層効果的かつ確実なものにすることができる。
【0030】
そしてまた、上側流路の横幅方向における端部側から大径気泡及びその随伴液を流入させる形態になることで、前述の第2特徴構成の如く上側流路において旋回液流を形成する場合において、その旋回液流の安定化及び促進に特に適した状態で前述の表層液流安定促進機能を発揮させることができる。
【0031】
また、気泡発生手段を平面視でスラッジ分離槽の一側方寄りに配置することもできて、気泡発生手段が槽内下流部へ向かう液流の支障になることも効果的に回避することができる。
【0032】
なお、この第5特徴構成の実施においては、仕切壁部の横幅方向における端部と上側流路の側壁部との両方に気泡通過用開口を形成する形態、あるいは、仕切壁部の幅方向における端部と上側流路の側壁部とのいずれか一方にのみ気泡通過用開口を形成する形態のいずれを採用してもよい。
【0033】
本発明の第6特徴構成は、第4又は第5特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記側壁部における前記気泡通過用開口の形成箇所において、前記上側流路を流れる表層液の液中に下端縁が浸漬した縦姿勢状態で前記上側流路の液流を案内する案内側壁部を設けてある点にある。
【0034】
つまり、この構成によれば、上側流路の液流(分離スラッジを含む表層液流)が上記案内側壁部により案内されることで、上側流路の側壁部における気泡通過用開口の形成箇所においても上側流路の液流を円滑かつ安定的な液流に保つことができ、これにより、スラッジの分離回収性を一層効果的に高めることができる。
【0035】
本発明の第7特徴構成は、第4〜第6特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記気泡通過用開口は前記気泡発生手段よりも前記上側流路の液流れ方向における下流側寄りに配置してある点にある。
【0036】
つまり、この構成によれば、気泡発生手段からの放出気泡のうち大径気泡及びその随伴液が気泡発生手段よりも平面視で上側流路の液流れ方向における下流側寄りの気泡通過用開口を通じて上側流路に流入するから、それら大径気泡及び随伴液を上側流路の液流れ方向に沿う向きの流速成分のある状態で上側流路に流入させることができ、これにより、前述の表層液流安定促進機能を得ることができる。
【0037】
なお、この第7特徴構成において大径気泡及びその随伴液が有する上側流路の液流れ方向に沿う向きの流速成分は、気泡発生手段からの気泡放出において付与されるもの、あるいは、気泡通過用開口までの浮上過程において槽内液流により付与されるもののいずれであってもよい。
【0038】
また、この第7特徴構成に限らず、前述の表層液流安定促進機能を発揮させるための手段としては、大径気泡及びその随伴液を上側流路における液流れ方向に沿う向きの流速成分のある状態で上側流路に流入させる得る手段であればどのような手段を採用してもよい。
【0039】
本発明の第8特徴構成は、第1〜第7特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記気泡発生手段の槽内液吸込口部をその気泡発生手段の配置箇所における槽内液流れ方向の下流側に向けて配置してある点にある。
【0040】
つまり、槽内の液にはスラッジの他にも種々の懸濁物質が含まれる場合が多いが、この構成によれば、それら懸濁物質が気泡発生手段の槽内液吸込口部に吸い込まれて目詰まりを生じるなど、懸濁物質吸い込みに原因する気泡発生手段の運転支障を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】塗装設備の全体構成図
【図2】第1実施形態を示すスラッジ分離槽における槽内下流部の平面図
【図3】第1実施形態を示すスラッジ分離槽における槽内下流部の斜視図
【図4】第1実施形態を示すスラッジ分離槽における槽内下流部の横断面図
【図5】第2実施形態を示すスラッジ分離槽における槽内下流部の平面図
【図6】第2実施形態を示すスラッジ分離槽における槽内下流部の斜視図
【図7】第2実施形態を示すスラッジ分離槽における槽内下流部の横断面図
【図8】第3実施形態を示すスラッジ分離槽における槽内下流部の平面図
【図9】第3実施形態を示すスラッジ分離槽における槽内下流部の斜視図
【図10】第3実施形態を示すスラッジ分離槽における槽内下流部の横断面図
【図11】従来の塗装設備におけるスラッジ分離槽の構成図
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1には、塗装ブース1、及び、それに付属する塗料ミスト除去装置2を示すとともに、その塗料ミスト除去装置2から排出される洗浄排液W′を処理する排液処理設備3を示してあり、塗料ミスト除去装置2では、洗浄液流下板4を流下した洗浄液Wと、塗装ブース1の塗装作業室5から格子床6を通じて排出される排出空気Eとを、合流状態で絞り流路7に高速通過させることで、排出空気E中に含まれる塗料ミストを洗浄液Wに捕捉させ、これにより、排気ファン8により排気ダクト9へ送出する排出空気Eを浄化する。
【0043】
また、塗料ミスト除去装置2での塗料ミストの捕捉により塗料分を含む状態になった洗浄液W′は塗料ミスト除去装置2から洗浄排液として排液路10を通じスラッジ分離槽11の槽内上流部11aに送られる。
【0044】
このスラッジ分離槽11は、排液路10から送給される洗浄排液W′を槽内貯留状態で槽一端側の槽内上流部11aから槽他端側の槽内下流部11bまで槽内流動させる間に、洗浄排液W′に含まれる塗料分を凝集状態の塗料スラッジSとして槽内液W′の表層部に浮上分離させるものであり、槽内下流部11bには図2〜図4に示すように、浮上した分離スラッジSを槽内の表層液W″とともに槽外へ取り出すスラッジ取出口12と、塗料スラッジSの浮上分離により浄化された槽内の浄化液Wを槽外へ取り出す浄化液取出口13とを設けてある。
【0045】
スラッジ取出口12から取り出した分離スラッジS及び表層液W″は図1に示す如くスラッジ送給ポンプ14によりスラッジ送給路15を通じて縦型のスラッジ回収槽16に送る。
【0046】
このスラッジ回収槽16は、スラッジ送給路15から送給される分離スラッジSと随伴液としての表層液W″とを貯留し、その貯留過程で分離スラッジSを再度浮上分離させて回収するスラッジ回収部を構成するものであり、このスラッジ回収槽16において、浮上した分離スラッジSを掻き取り装置17により掻き取り回収する。
【0047】
なお、スラッジ回収槽16においてスラッジSが除去された表層液W″は還流路18を通じてスラッジ分離槽11の槽内上流部11aに戻す。
【0048】
また、スラッジ分離槽11の浄化液取出口13から取り出した浄化液Wは、循環ポンプ19により返送路20を通じ塗料ミスト除去装置2における洗浄液流下板4の上流部に返送し、その浄化液Wを塗料ミスト捕捉用の洗浄液として循環使用する。
【0049】
スラッジ分離槽11における槽内下流部11bの構造についてさらに詳述すると、図2〜図4に示すように、その槽内下流部11bには、平面視において槽内の下流側ほど離間間隔が狭くなる状態に配置した一対のスラッジ集合案内壁部21を設け、これらスラッジ集合案内壁部21により槽内液W′の下流側への流動に伴い浮上状態の分離スラッジSを槽横幅方向の中央寄りに集合させる。
【0050】
また、これらスラッジ集合案内壁部21の下流側端どうしにわたらせる状態で平面視において半円弧状の弧状周壁部22を設け、スラッジ集合案内壁部22により集合させた分離スラッジS及びそれを含む表層液W″を弧状周壁部22による囲い領域内に受け入れる。
【0051】
これらスラッジ集合案内壁部21及びそれに連なる弧状周壁部22は槽内液W′の表層部分W″に対してのみ設けてあり、槽内液W′のうち表層部の液W″よりも深い位置にある液(即ち、塗料スラッジSの浮上分離で浄化された浄化液W)はスラッジ集合案内壁部21及び弧状周壁部22の下を通過させて槽内下流部11bへそのまま流動させ、スラッジ分離槽11の下流側槽壁23に配置した2つの浄化液取出口13に至らせる。
【0052】
弧状周壁部22の下端縁には、弧状周壁部22による囲い領域の底壁部となる仕切壁部24を連設してあり、この仕切壁部24により、弧状周壁部22による囲い領域の入口近傍部分を仕切り始端として、槽内液W′の流路を弧状周壁部22による囲い領域内の上側流路Faと、その下の下側流路Fbとに仕切ってある。
【0053】
つまり、上記仕切り始端相当位置まで至った槽内液W′のうち、浮上状態の分離スラッジSを含む状態でスラッジ集合案内壁部21により横幅方向の中央寄りに集合した表層液W″は、仕切壁部24を底壁部とする上側流路Faをスラッジ取出口12に向かって流れるようにしてある。
【0054】
また、上記仕切り始端相当位置まで至った槽内液W′のうち、塗料スラッジSの浮上分離で浄化された下方の浄化液Wは、上側流路Faの下で仕切壁部24を天井壁部とする下側流路Fbを下流側槽壁23の浄化液取出口13に向かって流れるようにしてある。
【0055】
上側流路Faの底壁部としての仕切壁部24のうち弧状周壁部22の縦中心軸芯Pに対して槽横幅方向に偏心した箇所には、上側流路Faの深さを部分的に深くした有底円筒状の集積ピット25を形成してあり、スラッジ取出口12はこの集積ピット25の底部における中心部(ピット縦軸芯Q)に配置してある。
【0056】
また、弧状周壁部22の2つの入口側端部22a,22bのうち集積ピット25の側の入口側端部22bには、上側流路Faの入口を槽横幅方向で他方の入口側端部22aの側(即ち、集積ピット25とは反対側)へ偏らせる平面視形状が三角形状の流れ案内部26を設け、この流れ案内部26の下流側面26aは平面視で集積ピット25と同芯状の凹状弧面にしてある。
【0057】
即ち、一対のスラッジ集合案内壁部21及び流れ案内部26の上流側面26aによる案内により、分離スラッジSを含む表層液W″を槽横幅方向の一方に偏らせた入口から上側流路Faへ流入させるとともに、その流入表層液W″を弧状周壁部22の内周面及び流れ案内部26の凹状弧面26bにより案内することで、上側流路Faにおける表層液W″の液流に旋回成分を与え、これにより、スラッジ取出口12からの分離スラッジS及び表層液W″の取り出しに伴い、表層液W″が集積ピット25においてピット縦軸芯Q周りの旋回液流Rを形成するようにしてある。
【0058】
そして、このように旋回液流Rを形成することで、集積ピット25における液面状態を図中一点鎖線で示す如く旋回液流Rの中心部が下方のスラッジ取出口12に向けて逆円錐状に窪んだ状態になるようにし、この窪み状態において分離スラッジSが表層液W″とともにスラッジ取出口12に吸入されるようにすることで、随伴液としての表層液W″の取り出し流量を小さくしながら分離スラッジSを円滑かつ効率的にスラッジ取出口12から取り出せるようにして、スラッジ分離槽11のスラッジ分離効率を高く確保する。
【0059】
上側流路Faの液流れ方向における最上流部おいて、底壁部としての仕切壁部24の槽横幅方向における一方の端部(流れ案内部26がない側の端部)、及び、側壁部としての弧状周壁部22の2つの上流側端部22a,22bのうち一方の上流側端部22a(流れ案内部26がない側の端部)には、上側流路Faの横断面視における下隅部で互いに連なる気泡通過用開口27を形成してある。
【0060】
また、この気泡通過用開口27の形成箇所において弧状周壁部22の外側部分には、平面視で内側(槽中央側)だけを開放して上流側と外側と下流側との三方を領域壁28a〜28cにより囲った装置領域28を形成してある。
【0061】
そして、この装置領域28には、装置下部の槽内液吸込口部29aから槽内の浄化液Wを吸い込むともに、空気吸入路29bを通じ新鮮空気を吸い込み、それら吸い込み液と吸い込み空気との混合及び細断などにより形成したナノレベルやマイクロレベルの多量の微細気泡Aを随伴液とともに気泡放出口部29cから槽内液中へ放出する気泡発生装置29を配置してある。
【0062】
気泡通過用開口27は、気泡発生装置29の横側位置から上側流路Faの液流れ方向で気泡発生装置29よりも下流側まで延びる開口(換言すれば、気泡発生装置29よりも下流側寄りに配置した開口)にしてあり、また、装置領域28を形成する領域壁28a〜28cのうち気泡発生装置29の下流側に位置させる領域壁28は、平面視で気泡発生装置29の配置位置から気泡通過用開口27の下流側端にわたる傾斜姿勢に配置し、これにより、その領域壁28cと気泡発生装置29との間に平面視で三角形状の隙間領域30を形成してある。
【0063】
気泡発生装置29は、その気泡放出口部29cが仕切壁部24よりも下方の下側流路Fbの側に位置するように配置してあり、そして、その配置において仕切壁部24と気泡放出口部29cとの上下離間寸法は、気泡放出口部29cからの放出される微細気泡Aが液中で浮力差により分別されて、その放出気泡Aのうち浮力の大きい大径の気泡Aaは気泡通過用開口27を通じ上側流路Faに流入して分離スラッジSを含む表層液W″とともに上側流路Faを流れ、これに対し、放出気泡Aのうち浮力の小さい小径の気泡Abは気泡通過用開口27に至る以前に下側流路Fbの浄化液Wとともに下側流路Fbを下流側に向けて流れる状態となる寸法に設定してある。
【0064】
つまり、このように気泡発生装置29が放出する微細気泡Aを浮力差により分別することで、上側流路Faでは、表層液W″とともに上側流路Faを経てスラッジ取出口12から取り出される分離スラッジSに対して浮力の大きい大径気泡Aaを集中的かつ効果的に作用させ、これにより、後続のスラッジ回収槽16での塗料スラッジ回収性を上記大径気泡Aaにより効果的に高めるとともに、スラッジ分離槽11の槽内下流部11bやスラッジ回収槽16での他物へのスラッジ付着も上記大径気泡により効果的に防止し、さらに、分離スラッジSとともにスラッジ取出口12から取り出される槽内液W″(表層液)の液質も上記大径気泡により効果的に改善する。
【0065】
そしてまた、大径気泡Aa及びその随伴液を上側流路Faの横幅方向における一方側の端部に形成した気泡通過用開口27を通じて上側流域Faに流入させることで、また、その気泡通過用開口27を上側流路Faの液流れ方向で気泡発生装置29よりも下流側寄りに配置するとともに上記した平面視三角形状の隙間領域30を設けて、大径気泡Aa及びその随伴液が上側流路Faの液流れ方向に沿う流速成分をもった状態で上側流路Faに流入するようにすることで、分離スラッジSを含む表層液W″の上側流路Faへの流入、及び、それに続く表層液W″の上側流域Faでの旋回流形成を安定化するとともに促進する。
【0066】
一方、下側流路Fbについては、大径気泡Aaに比べ浮力が小さくて液中に留まり易い小径気泡Abを選択的に流入させることで、下側流路Fbを経て浄化液取出口13から取り出される槽内の浄化液Wに対し小径気泡Abを効果的に含ませ、これにより、返送路20から塗料ミスト除去装置2に至る後続処理系における浄化液Wの気泡含有率を長時間にわたり高く保って、浄化液Wの側についても液質を上記小径気泡Abにより効果的に改善し、また、浄化液Wに僅かに残存する塗料スラッジが浄化液Wの後続処理系において他物に付着するなどのことも上記小径気泡Abにより効果的に防止する。
【0067】
上側流路Faの側壁部としての弧状周壁部22に気泡通過用開口27を形成するのに、その弧状周壁部22の気泡通過用開口27のうち上流側端から下流側端近傍にかけての上流側開口部分27aについては、弧状周壁部22のうちその上流側開口部分27aの上に位置する壁部分22cの下端縁(上側開口縁)が縦姿勢で液中に浸漬する高さ寸法の小さな開口部分にし、これにより、その上流側開口部分27aの上の壁部分22cが気泡通過用開口27の形成箇所において上側流路Faの液流を案内する案内側壁部として機能するようにしてある。
【0068】
また、これに対し、弧状周壁部22の気泡通過用開口27のうち下流側端部の下流側開口部分27bは、その上側の開口縁が液面の上方に位置する高さ寸法の大きな開口部分にし、これにより、その下流側開口部分27bが平面視三角形状の隙間領域30での気泡溜まりを防止する気泡抜き開口としても機能するようにしてある。
【0069】
さらに、気泡発生装置29の槽内液吸込口部29aは、槽内液W(浄化液)の流れ方向における下流側にのみ向けて開口させてあり、これにより、槽内液Wに含まれるスラッジなどの懸濁物質が吸込口部29aに吸い込まれて目詰まりを生じるなど、懸濁物質吸い込みに原因する気泡発生装置29の運転支障を防止するようにしてある。
【0070】
〔別の実施形態〕
次の本発明の別実施形態を列記する。
図5〜図7は、上述実施形態で示したスラッジ分離槽11において、仕切壁部24及び弧状周壁部22に形成する気泡通過用開口27の部分の構造を変更した例を示す。
【0071】
この例では、気泡通過用開口27の形成箇所において上側流路Faを流れる表層液W″の液中に下端縁が浸漬した縦姿勢状態で上側流路Faの液流を案内する案内側壁部として、平面視で液流れ方向の下流側ほど上側流路Faの横幅方向中央寄りとなる上流側壁部分31aと、平面視で気泡通過用開口27の形成箇所における弧状周壁部22と平行姿勢で上流側壁部分31aに連なる下流側壁部分31bとを備える案内側壁部31を気泡通過用開口27の形成箇所に配置してある。
【0072】
この案内側壁部31の上流側壁部分31aと下流側壁部分31bはいずれも、その下端が上側流路Faの底壁部である仕切壁部24に至るものであり、気泡通過用開口27のうち仕切壁部24に形成する部分はそれら上流側壁部分31a及び下流側壁部分31bの下端縁に沿う開口縁部を備える開口形状にしてある。
【0073】
また、この例では平面視三角形状の隙間領域30を設けない構造にしてある。
【0074】
つまり、この例では、上記の如き上流側壁部分31a及び下流側壁部分31bを備える案内側壁部31を気泡通過用開口27の形成箇所に配置することで、それら上流側壁部分31a及び下流側壁部分31bにより上側流路Faの液流を案内するとともに、気泡通過用開口27を通じて上側流域Faに流入させる大径気泡Aa及びその随伴液を、上流側壁部分31a及び下流側壁部分31bにより上側流路Faの液流れ方向に案内した状態で上側流路Faに流入させるようにしてあり、これにより、上側流路Faでの旋回流形成を一層効果的に安定化するとともに促進する。
【0075】
図8〜図10は、前述の実施形態において、複数のノズル状の気泡放出口部29dから一方向に向けて液中へ微細気泡Aを放出する形式の気泡発生装置29を用いた例を示す。
【0076】
この例では、上記ノズル状の気泡放出口部29dを上側流路Faにおける液流れ方向の下流側に向けて装置領域28に配置し、また、その装置領域28には平面視三角形状の前記隙間領域30を設けてある。
【0077】
そして、弧状周壁部22の気泡通過用開口27は、前述の実施形態で示した案内側壁部22cを備える高さ寸法の小さな上流側開口部分27aと気泡抜き開口を兼ねる高さ寸法の大きな下流側開口部分27bとを備える開口にし、これに対し、仕切壁部24の気泡通過用開口27はノズル状の気泡放出口部29dから下流向きに気泡A及び随伴液が勢いよく放出されることを考慮して上側流路Faの液流れ方向で気泡発生装置29よりも下流側の部分にのみ形成してある。
【0078】
気泡発生装置29には先に示した構造のものに限らす種々の形式のものを採用することができ、また、液中に放出する微細気泡Aの気泡径もナノレベルやマイクロレベルのものが好適ではあるが、それより大きいものや小さいものであってもよい。
【0079】
上側流路Faにおける弧状周壁部22などの側壁部や仕切壁部24に形成する気泡通過用開口27、その形成箇所に設ける案内側壁部22c,31、気泡発生装置29を配置する装置領域28などの具体的構造は先に示した構造に限らず、気泡発生装置29の形式などに応じて種々の変更が可能である。
【0080】
前述の実施形態では上側流路Faにおいて分離スラッジSを含む表層液W″の旋回流を形成する例を示したが、本発明は上側流路Faにおいて旋回流を形成しない形態で分離スラッジS及び表層液W″をスラッジ取出口12から槽外へ取り出す形式のスラッジ分離槽においても適用することができる。
【0081】
また、前述の実施形態では気泡発生装置29の放出気泡Aのうち浮力差により分別した大径気泡Aaを仕切壁部24や側壁部(弧状周壁部24)に形成した気泡通過用開口27を通じて上側流路Faに流入させる例を示したが、場合によっては、上側流路Faの入口部において大径気泡Aaを上側流路Faへの流入過程にある表層液W″に対して混入する形態を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は塗料スラッジに限らず、各種分野において種々の液中スラッジの浮上分離に使用するスラッジ分離槽に適用することができ、分離対象のスラッジを含む液も水に限らず、スラッジの浮上分離が可能な液であればどのような液であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
S スラッジ
W″ 表層液
12 スラッジ取出口
W 浄化液
13 浄化液取出口
11 スラッジ分離槽
11b 槽内下流部
W′ 槽内液
Fa 上側流路
Fb 下側流路
24 仕切壁部
A 微細気泡
29 気泡発生手段
Aa 大径気泡
Ab 小径気泡
25 集積ピット
Q ピット縦軸芯
22 弧状周壁部
29c,29d 気泡放出口部
27 気泡通過用開口
22c,31 案内側壁部
29a 槽内液吸込口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽内の液に含まれるスラッジを槽内で液表層部へ浮上分離させ、かつ、その分離スラッジを槽内の表層液とともにスラッジ取出口から槽外へ取り出すのに伴い、スラッジの浮上分離により浄化された槽内の浄化液を浄化液取出口から槽外へ取り出すスラッジ分離槽であって、
前記スラッジ取出口及び前記浄化液取出口が位置する槽内下流部において槽内液の流路を、分離スラッジとともに前記スラッジ取出口に向かって槽内の表層液が流れる上側流路と、その上側流路の下を前記浄化液取出口に向かって槽内の浄化液が流れる下側流路とに仕切る仕切壁部を設けるとともに、
この仕切壁部の近傍で槽内の液中に多量の微細気泡を放出する気泡発生手段を設け、
これら仕切壁部と気泡発生手段とは、それらの相対的な配置関係として、気泡発生手段による液中への放出気泡が浮力差により分別されて、それら放出気泡のうち浮力の大きい大径気泡は分離スラッジを含む槽内の表層液に伴われて前記上側流路を流れ、かつ、浮力の小さい小径気泡はスラッジが分離された槽内の浄化液に伴われて前記下側流路を流れる状態となる配置関係にしてあるスラッジ分離槽。
【請求項2】
前記上側流路の底壁部としての前記仕切壁部の一部に前記上側流路の深さを部分的に深くした有底円筒状の集積ピットを形成し、
この集積ピットの底部における中心部に前記スラッジ取出口を配置するとともに、
前記上側流路の側壁部として、前記スラッジ取出口からの分離スラッジ及び表層液の取り出しに伴い、前記集積ピットにおいてピット縦軸芯周りでの旋回液流が形成される状態に前記上側流路への流入槽内液を案内する弧状周壁部を設けてある請求項1記載のスラッジ分離槽。
【請求項3】
前記気泡発生手段の気泡放出口部を前記仕切壁部よりも下方の前記下側流路の側に配置してある請求項1又は2記載のスラッジ分離槽。
【請求項4】
前記上側流路の液流れ方向における上流側部分において前記仕切壁部又は前記上側流路の側壁部に気泡通過用開口を形成し、
前記気泡発生手段による液中への放出気泡のうち浮力の大きい大径気泡が前記気泡通過用開口を通じて前記上側流路に流入する状態に前記放出気泡発生手段を配置してある請求項1〜3のいずれか1項に記載のスラッジ分離槽。
【請求項5】
前記仕切壁部の横幅方向における端部又は前記上側流路の側壁部に気泡通過用開口を形成し、
前記気泡発生手段による液中への放出気泡のうち浮力の大きい大径気泡が前記気泡通過用開口を通じて前記上側流路に流入する状態に前記気泡発生手段を配置してある請求項1〜3のいずれか1項に記載のスラッジ分離槽。
【請求項6】
前記側壁部における前記気泡通過用開口の形成箇所において、前記上側流路を流れる表層液の液中に下端縁が浸漬した縦姿勢状態で前記上側流路の液流を案内する案内側壁部を設けてある請求項4又は5記載のスラッジ分離槽。
【請求項7】
前記気泡通過用開口は前記気泡発生手段よりも前記上側流路の液流れ方向における下流側寄りに配置してある請求項4〜6のいずれか1項に記載のスラッジ分離槽。
【請求項8】
前記気泡発生手段の槽内液吸込口部をその気泡発生手段の配置箇所における槽内液流れ方向の下流側に向けて配置してある請求項1〜7のいずれか1項に記載のスラッジ分離槽。
【請求項1】
槽内の液に含まれるスラッジを槽内で液表層部へ浮上分離させ、かつ、その分離スラッジを槽内の表層液とともにスラッジ取出口から槽外へ取り出すのに伴い、スラッジの浮上分離により浄化された槽内の浄化液を浄化液取出口から槽外へ取り出すスラッジ分離槽であって、
前記スラッジ取出口及び前記浄化液取出口が位置する槽内下流部において槽内液の流路を、分離スラッジとともに前記スラッジ取出口に向かって槽内の表層液が流れる上側流路と、その上側流路の下を前記浄化液取出口に向かって槽内の浄化液が流れる下側流路とに仕切る仕切壁部を設けるとともに、
この仕切壁部の近傍で槽内の液中に多量の微細気泡を放出する気泡発生手段を設け、
これら仕切壁部と気泡発生手段とは、それらの相対的な配置関係として、気泡発生手段による液中への放出気泡が浮力差により分別されて、それら放出気泡のうち浮力の大きい大径気泡は分離スラッジを含む槽内の表層液に伴われて前記上側流路を流れ、かつ、浮力の小さい小径気泡はスラッジが分離された槽内の浄化液に伴われて前記下側流路を流れる状態となる配置関係にしてあるスラッジ分離槽。
【請求項2】
前記上側流路の底壁部としての前記仕切壁部の一部に前記上側流路の深さを部分的に深くした有底円筒状の集積ピットを形成し、
この集積ピットの底部における中心部に前記スラッジ取出口を配置するとともに、
前記上側流路の側壁部として、前記スラッジ取出口からの分離スラッジ及び表層液の取り出しに伴い、前記集積ピットにおいてピット縦軸芯周りでの旋回液流が形成される状態に前記上側流路への流入槽内液を案内する弧状周壁部を設けてある請求項1記載のスラッジ分離槽。
【請求項3】
前記気泡発生手段の気泡放出口部を前記仕切壁部よりも下方の前記下側流路の側に配置してある請求項1又は2記載のスラッジ分離槽。
【請求項4】
前記上側流路の液流れ方向における上流側部分において前記仕切壁部又は前記上側流路の側壁部に気泡通過用開口を形成し、
前記気泡発生手段による液中への放出気泡のうち浮力の大きい大径気泡が前記気泡通過用開口を通じて前記上側流路に流入する状態に前記放出気泡発生手段を配置してある請求項1〜3のいずれか1項に記載のスラッジ分離槽。
【請求項5】
前記仕切壁部の横幅方向における端部又は前記上側流路の側壁部に気泡通過用開口を形成し、
前記気泡発生手段による液中への放出気泡のうち浮力の大きい大径気泡が前記気泡通過用開口を通じて前記上側流路に流入する状態に前記気泡発生手段を配置してある請求項1〜3のいずれか1項に記載のスラッジ分離槽。
【請求項6】
前記側壁部における前記気泡通過用開口の形成箇所において、前記上側流路を流れる表層液の液中に下端縁が浸漬した縦姿勢状態で前記上側流路の液流を案内する案内側壁部を設けてある請求項4又は5記載のスラッジ分離槽。
【請求項7】
前記気泡通過用開口は前記気泡発生手段よりも前記上側流路の液流れ方向における下流側寄りに配置してある請求項4〜6のいずれか1項に記載のスラッジ分離槽。
【請求項8】
前記気泡発生手段の槽内液吸込口部をその気泡発生手段の配置箇所における槽内液流れ方向の下流側に向けて配置してある請求項1〜7のいずれか1項に記載のスラッジ分離槽。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−206617(P2011−206617A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73809(P2010−73809)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000149790)株式会社大気社 (136)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000149790)株式会社大気社 (136)
【Fターム(参考)】
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