説明

スラットとブラインド装置

【課題】 本発明は、断熱性が高く、しかも、耐候性のあるスラットとブラインド装置を提供することにある。
【解決手段】 熱的に遮断してある表面材と裏面材により、真空断熱材2,12,22,32を挟んであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラットの開閉により採光や風量調整を行うブラインド装置と、そのブラインド装置に備えられるスラットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
枠内周側に多数のスラットを縦列または横列に配置し、各スラットの回動角度により採光や風量の調整を行うブラインド装置があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開平6−42275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のブラインド装置のスラットは、躯体開口部から室内に入り込む光や風を遮るものの、断熱性に乏しいことから、スラットの断熱性能を向上させるための工夫が必要であった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、断熱性が高く、しかも、耐候性のあるスラットとブラインド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のうち請求項1記載の発明は、熱的に遮断してある表面材と裏面材により、真空断熱材を挟んであることを特徴とする。
【0006】
本発明のうち請求項2記載の発明は、真空断熱材の表面側と裏面側のみをラミネートシートで覆ったことを特徴とする。
【0007】
本発明のうち請求項3記載の発明は、真空断熱材を芯材とし、その真空断熱材の表面と裏面を板材で挟むとともに、各板材を断熱材で連結することを特徴とする。
【0008】
本発明のうち請求項4記載のブラインド装置は、上記請求項1〜3に記載するスラットを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のうち請求項1記載の発明によれば、表面材と裏面材を熱的に遮断しているので、スラットの断熱性が向上する。
【0010】
本発明のうち請求項2記載の発明によれば、真空断熱材の表面側と裏面側のみをラミネートで覆うことにより、表面側と裏面側を熱的に遮断しているので、断熱性が向上するとともに、真空断熱材の耐候性が向上する。
【0011】
本発明のうち請求項3記載の発明によれば、真空断熱材の表面側と裏面側をそれぞれ板材で挟むことにより、板材により真空断熱材が保形されてスラットの成形が容易となる。さらに、表裏の各板材間を断熱材で連結することにより、断熱材で板材間を熱的に遮断しつつ、真空断熱材が露出しないため、断熱性が向上するとともに、真空断熱材の耐候性が一層向上することになる。
【0012】
本発明のうち請求項4記載の発明によれば、請求項1〜3のスラットをブラインド装置に備えることにより、ブラインド装置が取り付けられた躯体開口部の断熱性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第一実施形態を示すものであり、(a)は、スラットの横断面図を示すものであり、(b)は、スラットの閉塞状態を示す横断面図である。
【図2】本発明の第二実施形態を示すものであり、(a)は、スラットの横断面図、(b)は、スラットの閉塞状態を示す横断面図である。
【図3】本発明の第三実施形態を示すものであり、(a)は、スラットの横断面図、(b)は、スラットの閉塞状態を示す横断面図である。
【図4】本発明の第四実施形態を示すものであり、(a)は、スラットの横断面図、(b)は、スラットの閉塞状態を示す横断面図である。
【図5】スラットを備えるブラインド装置の全体を示す室内側正面図である。
【図6】スラットを備えるブラインド装置の(a)は、図5のA−A線断面図であり、(b)は、図5のB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面に基づいて本実施によるスラットとブラインド装置の実施形態(第一実施形態とする)を説明する。本実施によるブラインド装置は、図5のように、躯体開口部のケーシング10の内周側に取り付けるものであり、上部ケーシング10b下方に略水平に配置するレール6と、レール6に軸部20で垂直軸回転自在に軸支し且つ略垂直に配置される複数のスラット1とからなっており、スラット1の上部には発泡樹脂板30が設けてある。スラット1は、図1(a)のように、スラット1の芯材となる真空断熱材2と、真空断熱材2の表面側と裏面側のみを覆うラミネートシート3,4と、真空断熱材2とラミネートシート3,4の間に配置するマグネット5a,5bとから構成し、マグネット5a,5bは、図1(b)のように、ブラインド装置を閉塞したときに、隣り合う各スラット1同士が当接する当接部に位置しており、ラミネートシート3,4に覆われている。このように形成することにより、真空断熱材2の表面側と裏面側を熱的に遮断しているので断熱性が向上するとともに、真空断熱材2の表面側と裏面側を覆うラミネートシート3,4が、スラット1の表面側あるいは裏面側に受ける紫外線を遮るので、耐候性に劣る真空断熱材2が保護されてスラット1の耐候性が向上する。さらに、マグネット5a,5bは、隣り合う各スラット1同士が当接する当接部に位置することにより、ブラインド装置を閉じたときに、隣り合う各スラット1同士がマグネット5a,5bの磁力で引き合って密着するので、隣り合う各スラット1間の気密性が向上する。また、真空断熱材2の表面材と裏面材にラミネートシート3,4や、後述する第二〜第四実施形態に示すアルミ板(板材)13,14,23,24,33,34等の光沢のある金属素材を使用することにより、放射熱量が抑えられることで断熱性能がより一層向上する。なお、上記で説明したブラインド装置の全体構成については、後述する第二〜第四実施形態と共通するものである。
【0015】
図2(a)(b)は、本発明の他の実施形態(第二実施形態とする)を示すものである。本実施によるスラット11は、図2(a)のように、芯材となる真空断熱材12の表面側と裏面側に、アルミ板(板材)13,14をそれぞれ配し、各アルミ板(板材)13,14とつなぐように略L字型をなす樹脂製の断熱材16を連結して真空断熱材12の外周を囲んでいる。アルミ板(板材)13,14は、一端部と他端部にそれぞれ連結部13a,13b、14a,14bを有しており、また、断熱材16は、L字の一端部と他端部にそれぞれ被連結部16a,16bを有しており、その連結部13a,13b,14a,14bと被連結部16a,16bを連結することにより、真空断熱材12の外周を略矩形状に囲んでいる。また、断熱材16の内周側には、マグネット嵌合部16cが設けてあり、そのマグネット嵌合部16cには、薄板状をなすマグネット15a,15bを嵌合してある。このように形成することにより、表裏のアルミ板(板材)13,14間を断熱材16で連結して、断熱材16でアルミ板(板材)13,14間を熱的に遮断しているので、断熱性が向上する。また、このマグネット15a,15bの位置は、図2(b)のように、隣り合うスラット11同士が当接する位置となっており、ブラインド装置を閉じたときに、スラット11同士がマグネット15a,15bの磁力の働きにより引き合って密着するので、隣り合う各スラット11間の気密性が向上する。また、アルミ板(板材)13,14と断熱材16で真空断熱材12を囲むのでスラット21の成形が容易となり、さらに、真空断熱材12の外周が覆われることで耐候性が向上する。また、後述する第三実施形態と第四実施形態についても、アルミ板(板材)23,24,33,34と断熱材26,36で真空断熱材22,32を囲む構造であるから、上記した第二実施形態と同様の効果を有している。
【0016】
図3(a)(b)は、本発明の第三実施形態を示すものである。本実施によるスラット21は、図3(a)のように、芯材となる真空断熱材22の表面側と裏面側に、略L字型をなすアルミ板(板材)23,24をそれぞれ配し、各アルミ板(板材)23,24をつなぐように連結する、板状をなす樹脂製の断熱材26を配して真空断熱材22の四周を囲んでいる。アルミ板(板材)23,24は、L字の一端部と他端部にそれぞれ連結部23a,23b,24a,24bを有しており、また、断熱材26は、一端部と他端部にそれぞれ被連結部26a,26bを有しており、その連結部23a,23b,24a,24bと被連結部26a,26bを連結することにより、真空断熱材22の外周を略矩形状に囲んでいる。また、断熱材26の内周側には、マグネット嵌合部26cが設けてあり、そのマグネット嵌合部26cには、薄板状をなすマグネット25a,25bが嵌合してある。また、このマグネット25a,25bの位置は、図3(b)のように、隣り合う各スラット21同士が当接する位置となっており、ブラインド装置を閉じたときに、スラット21同士がマグネット25a,25bの磁力の働きにより引き合って密着するので、隣り合う各スラット21間の気密性が向上する。
【0017】
図4(a)(b)は、本発明の第四実施形態を示すものである。本実施によるスラット31は、図4(a)のように、芯材となる真空断熱材32の表面側と裏面側に断面略コ字型をなすアルミ板(板材)33,34を配し、各アルミ板(板材)33,34の間に樹脂製の断熱材36を連結してアルミ板(板材)33,34と断熱材36で真空断熱材32の外周を囲み、さらに、各アルミ板(板材)33,34の外周面の一端部にそれぞれマグネット35a,35bを配するとともに、各アルミ板(板材)33,34とマグネット35a,35bの上面をラミネートシート37,38で覆ったものである。アルミ板(板材)33,34には、連結部33a,33b,34a,34bを有し、また、断熱材36には被連結部36a,36bを有しており、その連結部33a,33b,34a,34bと被連結部36a,36bを連結することにより、表面側と裏面側の各アルミ板(板材)33,34と断熱材36で真空断熱材32の外周を略矩形状に囲んでいる。また、このマグネット35a,35bの位置は、図4(b)のように、隣り合う各スラット31同士が当接する位置となっており、ブラインド装置を閉じたときに、スラット31同士がマグネット35a,35bの磁力の働きにより引き合うので、スラット31間の気密性が向上する。
【0018】
上記の第一〜第四の各実施形態のスラット1,11,21,31を備えるブラインド装置(図中ではスラット1のみを記す)は、図5及び図6(a)(b)のように、スラット1,11,21,31と床面10aとの隙間にモヘア8aが、さらに、スラット1,11,21,31とレール6との隙間に気密材8bが設けてあることにより、ブラインド装置による躯体開口部の気密性を確保する。また、図6(b)のように、ケーシング10の内周側にはそれぞれL字アングル17が設けてあり、ブラインド装置を閉じたときに、ケーシング10と隣接する各スラット1,11,21,31の表面側または裏面側がL字アングル17と当接する。さらに、図示は省略するが、L字アングル17にはマグネットが設けてあり、マグネットの磁力が働くことでスラット1,11,21,31とL字アングル17が密着して気密性が向上する。また、レール6とスラット1,11,21,31を熱的に遮断するためにスラット1,11,21,31の上部は、発泡樹脂板30となっており、さらに、レール6が室内側形材6aと室外側形材6bを樹脂部品6cで連結した断熱形材であるため、より断熱性の向上を図ることができる。図5と図6(a)にある符号7は、操作棒であり、この操作棒7を捩じることで、各スラット1,11,21,31の開閉操作を行うものである。また、図5と図6(a)にある符号9は、バッカーであり、本実施によるブラインド装置と上部ケーシング10bとの間に配置して気密性を確保している。
【0019】
上記各実施形態では、真空断熱材の表面側と裏面側をラミネートシート3,4,37,38またはアルミ板(板材)13,14,23,24,33,34で覆い、そのラミネートシート3,4,37,38またはアルミ板(板材)13,14,23,24,33,34からなる表面材と裏面材が離隔されるか、あるいは断熱材16,26,36によって熱的に遮断された状態となれば、ラミネートシート3,4,37,38の肉厚やアルミ板(板材)13,14,23,24,33,34の形状、断熱材16,26,36の有無については限定するものではない。また、アルミ板(板材)13,14,23,24,33,34は、光沢があり且つ錆びに強い金属素材であれば、ステンレスやチタン等、アルミに限るものではない。
【符号の説明】
【0020】
1,11,21,31 スラット
2,12,22,32 真空断熱材
3,4,37,38 ラミネートシート
13,14,23,24,33,34 アルミ板(板材)
16,26,36 断熱材



【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱的に遮断してある表面材と裏面材により、真空断熱材を挟んであることを特徴とするスラット。
【請求項2】
真空断熱材の表面側と裏面側のみをラミネートシートで覆ったことを特徴とするスラット。
【請求項3】
真空断熱材を芯材とし、その真空断熱材の表面と裏面を板材で挟むとともに、各板材を断熱材で連結したことを特徴とするスラット。
【請求項4】
請求項1〜3に記載するスラットを備えるブラインド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−76206(P2013−76206A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214903(P2011−214903)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)