説明

スラリー状艶消し剤及びそれを含有してなる艶消し塗料組成物

【課題】 スラリー中での粒子沈降がなく、優れた分散性を有し、塗料に対して優れた艶消し効果及び良好な質感の艶消し塗膜を与える塗料用スラリー状艶消し剤を提供する。
【解決手段】 少なくとも粒子表面がリン酸カルシウム系化合物により構成され(a)1≦dx1≦40、(b)1≦α≦10 α=d50/dx1、(c)0≦β≦5 β=(d90−d10)/d50を満足する艶消し剤粒子を含むことを特徴とする。
但し、dx1:電子顕微鏡写真により測定した一次粒子の平均粒子径(μm)、α:分散係数、β:シャープネスで、d50:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計により測定した50%平均粒子径(μm)、d90:同粒度分布計により測定したふるい通過側累計90%粒子径(μm)、d10:同粒度分布計により測定した艶消し剤粒子のふるい通過側累計10%粒子径(μm)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホテルや学校、展示場、公会堂、病院等の建築物や構築物の外装用及び内装用に広い範囲で使用される艶消し塗料に用いられるスラリー状艶消し剤及びこれを含有してなる艶消し塗料組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
艶消し塗料は、そのほとんどが塗料メーカーで生産されている。艶消し塗料を多品種に渡って艶消しのグレードに作り分けるには多くの生産ラインを必要とするか、又は切り替え作業を行うことが必要であり、従って、生産効率も悪く及び製造コストも高いものとなる。そこで、この問題を解決するため、調色センターや施工現場で、容易に艶の調整が可能な後添加型の艶消し剤が望まれている。
艶消し剤としては、通常、シリカ粒子と体質顔料とが組み合わせて用いられている。
【0003】
例えば、珪酸ソーダを酸で中和して得られる湿式シリカに800 ℃以上の高温処理を施し、屈折率が1.448 より大きく、強熱減量が2%を超えない微粉シリカを含有することを特徴とする艶消し組成物が提案されており(例えば、特許文献1参照)、また、湿式法で得られたシリカを平均粒径が1〜20μmになるまで粉砕した後に400 〜1000℃の温度で熱処理する塗料用艶消し剤の製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
更に、細孔容積1.0 m3/g、平均粒径1〜10μm、コーティング賦形剤中に分散させたときに特定の粒子寸法分布を有する無機ヒドロゲルからなる艶消し塗料組成物が提案され(例えば、特許文献3参照)、また、シリカ微粉末と正のゼータ電位を持つ平均粒径0.01〜5 μmの樹脂粒子を含有することを特徴とする艶消し塗料組成物及び艶消し塗膜形成方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0005】
更に、特定の粒子径、シャープネス、平均細孔径、BET比表面積を有する無機粒子からなる艶消し剤が提案され(例えば、特許文献5参照)、また、リン酸系処理炭酸カルシウムを含有してなる艶消し塗料組成物が提案されている(例えば、特許文献6参照)。
【0006】
また、他の艶消し剤としては、珪藻土、樹脂ビーズ、炭酸カルシウム、タルク等が用いられている。
【特許文献1】特公昭55-6669 号公報
【特許文献2】特開平1-298014号公報
【特許文献3】特開平2-289670号公報
【特許文献4】特開平5-117548号公報
【特許文献5】特開2002-338896 号公報
【特許文献6】特開2003-147275 号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これらの艶消し剤は、SGミル等の高シェア分散機を用いる分散工程を経る前添加用の艶消し剤として粒子設計されており、多くの凝集体や粗大粒子を含んでいる。これらの艶消し剤を塗料に後添加する場合、粉体を直接添加するか水又は溶剤に分散させたものを添加しているが、特殊な分散機のない施工現場等では、これら粉状艶消し剤を十分に分散させることは困難である。その結果、粘度上昇、分散不良により作業性悪化又は塗膜表面のブツの発生等により、十分な艶消し効果が得られない。また、粉立ちするため健康面や環境面からも防塵対策が必要不可欠でありハンドリングに問題があった。
【0008】
一方、珪藻土は低シェアでの分散も容易で、粉立ちも少なくハンドリングが良好であるが、多くの粗大粒子を含むため得られた艶消し塗膜がザラザラしており、目的とする質感を得るのは困難であった。
【0009】
一般的に使用される艶消し剤は平均粒子径が数μmから数十μm程度であり、比較的粒子径が大きいためこれらのスラリーは粒子が沈降しハードケーキになる。そこで使用直前に調整する必要があり、手間と時間を要する。沈降を防止するため増粘剤等を添加する方法もあるが、コストアップにつながり好ましくない。
最も使用されているシリカ粒子には、40%程度のペーストもあるが、ハンドリングに問題がある。また、微細な一次粒子が凝集した二次粒子からなり、粒度内容がばらつくことで、得られた艶消し塗膜には艶ムラが発生し、安定した艶消し性能が得られていない。
【0010】
本発明は、スラリー中での粒子沈降がなく、優れた分散性を有するスラリー状艶消し剤、及びそれを配合してなる、優れた艶消し効果を持ち、艶消し塗膜の良好な質感が得られる艶消し塗料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記問題を解決するべく鋭意研究の結果、優れた分散性を有するとともに、特異なチキソトロピー性を付与する特定の粒子を含むことにより、沈降を防止しつつ、低シェア撹拌で容易に低粘度スラリーとなり、特殊な分散設備のない場所でも容易に艶調整が可能なスラリー状艶消し剤を提供することができ、更に、該スラリーを配合することでどの方向から見ても艶のない優れた艶消し効果を持ち、得られた塗膜の質感が極めて良好な艶消し塗料が得られること見いだし、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明の第1は、少なくとも粒子表面がリン酸カルシウム系化合物により構成され、下記式(a)〜(c)を満足する艶消し剤粒子を含むことを特徴とする、水系又は溶剤系からなる塗料用スラリー状艶消し剤を内容とする。(請求項1)
(a)1≦dx1≦40(μm)
(b)1≦α≦10 但し α=d50/dx1
(c)0≦β≦5 但し β=(d90−d10)/d50
但し、
dx1:電子顕微鏡写真により測定した、艶消し剤粒子を構成する一次粒子の平均粒子 径 (μm)。
α :分散係数
d50:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計により測定した艶消し剤粒子の 50%平均粒子径(μm)。
β :シャープネス
d90:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計により測定した艶消し剤粒子の ふるい通過側累計90%粒子径(μm)。
d10:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計により測定した艶消し剤粒子の ふるい通過側累計10%粒子径(μm)。
【0013】
好ましい態様として、少なくとも粒子表面がリン酸カルシウム系化合物により構成され、下記式(d)〜(f)を満足する艶消し剤粒子を含むことを特徴とする、水系又は溶剤系からなる塗料用スラリー状艶消し剤である。(請求項2)
(d)2≦dx1≦30(μm)
(e)1≦α≦5 但し α=d50/dx1
(f)0≦β≦3 但し β=(d90−d10)/d50
但し、
dx1:電子顕微鏡写真により測定した、艶消し剤粒子を構成する一次粒子の平均粒子 径 (μm)。
α :分散係数
d50:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計により測定した艶消し剤粒子の 50%平均粒子径(μm)。
β :シャープネス
d90:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計により測定した艶消し剤粒子の ふるい通過側累計90%粒子径(μm)。
d10:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計により測定した艶消し剤粒子の ふるい通過側累計10%粒子径(μm)。
【0014】
好ましい態様として、更に、下記式(g)を満足する艶消し剤粒子を含むことを特徴とする、請求項1又は2記載の塗料用スラリー状艶消し剤である。(請求項3)
(g)0≦γ1≦1(%)
但し、
γ1 :マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計での測定値で52.33μmより 大きい粒子の頻度の累積%。
【0015】
好ましい態様として、スラリー状艶消し剤のスラリー粘度が下記式(h)を満足することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗料用スラリー状艶消し剤である。(請求項4)
(h)30≦K1≦120(KU)
但し、
K1 :ストーマー粘度計により測定したKU値。
【0016】
好ましい態様として、艶消し剤粒子が分散剤で表面処理されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗料用スラリー状艶消し剤である(請求項5)。
【0017】
本発明の第2は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗料用スラリー状艶消し剤を、艶有り又は艶消し塗料に後添加してなる艶消し塗料組成物を内容とする。(請求項6)
【発明の効果】
【0018】
本発明のスラリー状艶消し剤は、特殊な分散設備のない場所でもポータブルミキサー等の低シェア撹拌で容易に低粘度スラリーとなり、このスラリー状艶消し剤を塗料組成物に後添加することにより、どの方向から見ても艶のない優れた艶消し効果と、極めて良好な質感を持った塗膜が得られる艶消し塗料組成物を提供することができる。
後添加型の艶消し塗料は、既存の艶有り塗料に艶消し剤を規定量配合することで、例えば、3部、5部、7部艶といった様々なニーズに合わせた艶の調整を容易にできることから、調色センターや施工現場での調整が可能である。従って、塗料メーカーは工場での造り分けが不要となり、艶有り塗料の製造ラインに一本化できるので極めて効率的であるばかりでなく、施工メーカーも複数の艶消し塗料を購入せずに済み、製造及び施工コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明のスラリー状艶消し剤は、少なくとも粒子表面がリン酸カルシウム系化合物により構成されたるとともに、粒度ならびに粒度分布を厳しく制限し、且つ粗大粒子をほとんど含んでいない艶消し剤粒子を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明の艶消し剤粒子の電子顕微鏡写真により測定した粒子を構成する一次粒子径の平均粒子径dx1(μm)は、1≦dx1≦40である。好ましくは2≦dx1≦30、より好ましくは2≦dx1≦20である。40μmを超えると、艶消し性が低下するだけでなく塗膜表面にブツが発生するため好ましくない。1μm未満の場合、塗料に艶消し効果を付与する為に配合量を増やす必要があり、結果として塗料の粘性増加を生じ好ましくない。
【0021】
尚、平均粒子径dx1は、日立走査型電子顕微鏡S−2360N(日立製作所社製)を用いて、異なった視野から100個の単粒子と認めることが出来る粒子をスラリー状艶消し剤の中から任意に選び出して計測した。測定粒子径は定方向径について測定し、このようにして得られた粒子径から求めた個数平均径である。但し、一次粒子が針状・柱状ないし不定形の場合は、一つの一次粒子の最長径と最短径の積の平方根をdxとする。
【0022】
本発明の艶消し剤の粒度分布のシャープネスを表す指数であるα及びβは、それぞれ1≦α≦10、0≦β≦5である。好ましくは、1≦α≦5、0≦β≦3である。
αが10を超える場合、粒子の凝集が激しいため粒径が均一でなく、塗料に配合した際に塗膜表面にブツが発生するため好ましくない。αが1未満の場合、微細な粒子が多く存在するため、塗料に配合した際に粘性増加を招き好ましくない。
【0023】
本発明の艶消し剤のβが5を超える場合、粒度分布幅がブロードになり、粗大粒子又は微細な粒子もしくはその両方が多量に存在するため、塗料に配合した際に塗膜表面のブツや粘性増加を生じ好ましくない。また、βが負の値を示すことはあり得ない。
【0024】
本発明の艶消し剤に含まれる52.33μm以上の粗大粒子の頻度の累積γ1(%)は、特に制限はないが、0≦γ1≦1が好ましく、0≦γ1≦0.5がより好ましい。γ1が1を超える場合、塗料に配合した際に塗膜表面のブツが生じる傾向がある。
尚、α、β、γ1の算出に必要な測定値(d50,d90,d10、52.33μm以上の頻度)は、マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計(マイクロトラック社製)にて測定した。測定方法はメタノール100g、試料1gを140mlマヨネーズ瓶に投入し、ステンレススプーンにて予備撹拌した後、超音波分散機にて予備分散させたものを試料としメタノール系で測定。超音波分散機は、US−300T(日本精機製作所社製)を用い100μA−60秒間の一定条にて予備分散させた。
【0025】
本発明のスラリー状艶消し剤のスラリー粘度K1(KU)は、特に制限はないが、30≦K1≦120が好ましく、50≦K1≦100がより好ましい。K1が120を超える場合、高粘度であるため容器からの排出が困難でありハンドリングに問題がある傾向がある。30未満の場合、低粘度であるため粒子が沈降し、再分散が困難なハードケーキとなる傾向がある。
尚、スラリー粘度K1(KU)はJISに準拠しストーマー粘度計(上島製作所社製)にて測定した。測定方法は、よく撹拌した25℃の試料を試料缶(内径85〜86mm)の標線まで入れ、回転翼の浸せき標線に試料缶高さを調整する。つるしおもりに載せたおもりの自由落下により回転する回転翼の100回転に要する時間を測定する。27〜33秒の範囲で30秒に最も近い数値を選び、この秒数と使用したおもりの質量でKU換算表からKU値を求める。
【0026】
本発明の艶消し剤粒子の少なくとも粒子表面を構成するリン酸カルシウム系化合物としては特に制限はなく、例えば、非晶質リン酸カルシウム(略号ACP、化学式Ca3 (PO4 2 ・nH2 O)、フッ素アパタイト(略号FAP、化学式Ca10(PO4 6 2 )、塩素アパタイト(略号CAP、化学式Ca10(PO4 6 Cl2 )、ヒドロキシアパタイト(略号HAP、化学式Ca10(PO4 6 (OH)2 )、リン酸八カルシウム(略号OCP、化学式Ca8 2 (PO4 6 ・5H2 O)、リン酸三カルシウム(略号TCP、化学式Ca3 (PO4 2 )、リン酸水素カルシウム(略号DCP、化学式CaHPO4 )、リン酸水素カルシウム二水和物(略号DCPD、化学式CaHPO4 ・2H2 O)等が例示できる。これらは単独又は必要に応じ2種以上組み合わせられるが、中でも組成の安定性が高いという観点からヒドロキシアパタイト、リン酸八カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸水素カルシウムが好ましく、ヒドロキシアパタイトが特に好ましい。また、安定性が最も高いヒドロキシアパタイトの含有率に関して言えば、全リン酸カルシウム系化合物に対して10重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましく、90重量%以上が最も好ましい。
【0027】
本発明のリン酸カルシウム系化合物の調製方法については特に制限はないが、例えばWO97/03119号、特開平8-357888号に記載の方法で製造することが可能である。即ち、炭酸カルシウムの水懸濁液分散体と燐酸の希釈水溶液及び/又は特定の燐酸2水素カルシウムの水懸濁液分散体及び/又は特定の燐酸水素カルシウム2水塩の水懸濁液分散体を下記の混合条件において混合、熟成してリン酸カルシウム系化合物を得、脱水を行った後、処理剤を用いてスラリー化、又は脱水、乾燥、解砕、分級することで得られる。以下に好ましい製造条件を記載する。
【0028】
混合条件
炭酸カルシウムの水懸濁液分散体固形分濃度 1〜15重量%
燐酸の希釈水溶液濃度 1〜50重量%
混合攪拌羽根の周速 0.5〜50m/ 秒
混合時間 0.1〜150時間
混合系水懸濁液温度 0〜80℃
混合系の水懸濁液pH 5〜9
熟成条件
熟成系のCa濃度 0.4〜5重量%
熟成時間 0.1〜100時間
熟成系水懸濁液温度 20〜80℃
熟成系水懸濁液pH 6〜9
攪拌羽根の周速 0.5〜50m/ 秒
【0029】
本発明において、艶消し剤粒子は分散性を高めるために分散剤で表面処理することが好ましい。表面処理に使用する分散剤は、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素化合物、シロキサン化合物、脂肪酸、樹脂酸、アクリル酸等のα、βモノエチレン性不飽和カルボン酸、メタクリル酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸等の有機酸、 燐酸、縮合燐酸、フッソ酸等の無機酸、これらの有機酸、無機酸のポリマー、それらの塩、又はそれらのエステル類、界面活性剤、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤等のカップリング剤等が挙げられ、これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。これらの分散剤の中で、繊維素化合物やアクリル酸系の分散剤等が好ましい。
【0030】
上記の分散剤は、本発明の塗料用スラリー状艶消し剤としての効能が十分に発揮される量を使用するべきであり、通常、艶消し剤粒子に対し0.1〜30重量%である。例えば、チキソトロピー性を得るためには艶消し剤粒子に対し0.1〜20重量%の範囲で添加するのが好ましく、より好ましくは0.1〜10重量%の範囲である。該添加量が0.1重量%より少ないと、十分に分散したスラリーが得られない場合があり、また該添加量が20重量%を超えると、チキソトロピー性が得られないだけでなく、塗膜への悪影響も懸念される場合があり、経済的にも好ましくない。
表面処理の方法は特に制限されず、例えば、艶消し剤粒子の水スラリー又は脱水ケーキに分散剤を添加し、攪拌する方法を好適に用いることができる。
表面処理した艶消し剤粒子を使用する代わりに、表面処理をしていない艶消し剤粒子を含む水素又は溶剤系からなるスラリー状艶消し剤に上記分散剤を添加してもよい。
【0031】
溶剤系からなるスラリー状艶消し剤は、メタノール、エタノール等のアルコール類、パラフィン類、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート等の可塑剤や、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ミネラルターペン、ガソリン、軽油等の石油系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等の溶剤に艶消し剤粒子を添加することにより溶剤系のスラリー状艶消し剤とすることができる。これらの溶剤は単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
【0032】
上記溶剤は、艶消し剤粒子に対して通常25重量%程度以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは35重量%以上添加され、上限は特に制限されないが、400重量%程度が好ましい。該有機溶剤の添加量が25重量%未満では該有機溶剤の添加によるハンドリング性の向上が小さく、一方、400重量%を超えると経済的に好ましくない。
【0033】
本発明のスラリー状艶消し剤に配合される他の成分について、特に制限はないが、一般の塗料に使用される他の添加剤、例えば顔料、染料、紫外線吸収剤、各種安定剤、酸化防止剤、遮光剤(例えばカーボンブラック、二酸化チタン等)、加工助剤、帯電防止剤、抗菌剤、脱臭剤、農薬、香料等各種艶消し剤及び添加剤の1種又は2種以上と併用できることはもちろん、これら各種添加剤を吸着又は、担持させて使用することもできる。
【0034】
例えば、抗菌剤としては、銀、銅、亜鉛等の無機系抗菌剤や、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム等の第4アンモニウム系、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系、ホルマリン、グリオキザール等のアルデヒド系、クレゾール、キシレノール等のフェノール系、ソルビン酸、安息香酸等のカルボン酸系、クロルヘキシジン、n−ドデシルグアニジンアセテート等のグアニジン系、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等のチアゾール系等、脱臭剤としては、タンニン酸、ショウ脳油、テレピン油等、農薬としては、ジメチルフタレート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、インダロン、ジメチルカーバイト、イルガビリン、PCP剤(ペンタクロルフェノール)、MEP剤(ジメチルチオホスフェート)、ECP剤(ジエチルジクロルフェニルチオホスフェート)等、紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、フェニルサリシレート、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等、染料としては、アゾ染料、アントラキノン染料をはじめとし、インジゴイド染料、硫化染料、トリフェニルメタン染料等、香料としては、じゃ香、アビエス油、ベルガモット油、ボロアーズ油、ローズウッド油、ローズマリー油、オレンジフラワー油等の天然香料、アセト酢酸エチル、アネトール、アミルシナミックアルデヒド、イソ吉草酸エチル、イソアミルアセテート等の合成香料、ローズ系、ジャスミン系、リラ系等の調合香料等が挙げられる。これらの添加量は特に制限はないが、本発明のスラリー状艶消し剤100重量部に対し、0.0001〜100重量部が好ましい。
【0035】
また、必要に応じ他の組成の艶消し剤粒子、例えばシリカ、珪藻土、タルク、ゼオライト、カオリン、雲母、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、炭酸バリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、ガラスビーズ及び、非晶質リン酸カルシウム(略号ACP 、化学式Ca3(PO4)2 ・nH2O)、フッ素アパタイト(略号FAP 、化学式Ca10(PO4)6F2)、塩素アパタイト(略号CAP 、化学式Ca10(PO4)6Cl2 )、ヒドロキシアパタイト(略号HAP 、化学式Ca10(PO4)6 (OH)2)、リン酸八カルシウム(略号OCP 、化学式Ca8H2(PO4)6 ・5H2O)、リン酸三カルシウム(略号TCP 、化学式Ca3(PO4)2 )、リン酸水素カルシウム(略号DCP 、化学式CaHPO4)、リン酸水素カルシウム二水和物(略号DCPD、化学式CaHPO4・2H2O)等を目的に応じて1種又は2種以上配合してもさしつかえない。シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子、ポリメチルメタクリレート粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリスチレン粒子、ポリ四フッ化エチレン粒子、ポリイミド粒子等の有機高分子粒子等を一部本発明の艶消し剤粒子に併用しても差し支えない。これらの添加量については特に制限はないが、通常本発明の艶消し剤粒子100重量部に対し0.001〜100重量部未満が好ましい。
【0036】
本発明の水系又は溶剤系からなるスラリー状艶消し剤の固形分濃度は、20〜80重量%が好ましい。20重量%未満では低粘度となり十分なチキソトロピー性が得られない傾向があり、また輸送コストも無視できない。一方、80重量%を越えると高粘度となりハンドリングが困難となる傾向がある。
【実施例】
【0037】
以下に本発明を実施例及び比較例により更に詳しく説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に制限されるものではない。
【0038】
以下の実施例及び比較例で使用する炭酸カルシウムの水懸濁液分散体aを下記の方法で調製した。また、これらの水懸濁液分散体aを用いて艶消し剤粒子A1及びA2を合成した。
また、実施例及び比較例で使用する他の艶消し剤粒子を以下に示す。
B1:丸尾カルシウム社製炭酸カルシウム「スーパーSSS」
B2:丸尾カルシウム社製リン酸カルシウム系化合物「ポロネックス」
B3:米山化学工業社製リン酸カルシウム「リン酸三カルシウム」
B4:水沢化学社製シリカ「ミズカシルP−802Y」
B5:セライト社製珪藻土「セライト219」
B6:丸尾カルシウム社製炭酸カルシウム「スーパーS」
【0039】
炭酸カルシウムの水懸濁液分散体aの調製
丸尾カルシウム(株)製重質炭酸カルシウム「スーパーSSS」(1.2m2/g)に水を添加混合後、TKホモミキサー(5000rpm、15分間)にて撹拌分散させて固形分濃度25重量%の電子顕微鏡写真より測定した平均粒子径2μmで粒度分布測定器((株)島津製作所製SA−CP4L)により測定した平均粒子径が2.4μmである炭酸カルシウムの水懸濁液分散体aを調製した。
【0040】
実施例1
直径0.6mのタービン羽根1枚の撹拌機付きの0.5m3 ステンレスタンク(邪魔板付き)に、固形分8重量%、温度40℃に調整した炭酸カルシウム水懸濁液aを300kg
投入し、撹拌羽根周速6m/Sで撹拌しながら、Ca/Pの原子比が3.33になる様調整した10%水希釈リン酸水溶液を3時間で滴下混合した。反応中の水懸濁液のpHは6〜7であった。反応終了後、温度40℃、撹拌羽根周速6m/sで12時間撹拌熟成を行った。熟成終了後、脱水して固形分濃度40重量%の脱水ケーキを得た。この脱水ケーキに、有効成分濃度40%のポリアクリル酸ソーダを、固形分に対して6重量%表面処理することによりリン酸カルシウム系化合物からなる艶消し剤粒子A1を含む塗料用スラリー状艶消し剤D1を得た。得られたスラリー状艶消し剤D1の構成及び物性値を表1に記載する。
【0041】
実施例2
実施例1で得られた艶消し剤粒子A1を含むスラリー状艶消し剤D1と、B1を固形分換算で1:2の割合で混合し、全体の固形分濃度が60重量%となるよう水を加えて調整し、塗料用スラリー状艶消し剤D2を得た。得られたスラリー状艶消し剤D2の構成及び物性値を表1に記載する。
【0042】
実施例3
実施例1と同様に反応、撹拌熟成及び脱水を行った後、この脱水ケーキに、有効成分濃度40%のポリアクリル酸ソーダを、固形分に対して22重量%表面処理することによりリン酸カルシウム系化合物からなる艶消し剤A2を含む塗料用スラリー状艶消し剤D3を得た。得られたスラリー状艶消し剤D3の構成及び物性値を表1に記載する。
【0043】
実施例4
実施例1と同様に反応及び撹拌熟成を行った後、固形分に対して10重量%のステアリン酸ソーダを10%濃度で熱水に溶解して表面処理し、脱水、乾燥、解砕、分級を行うことによりリン酸カルシウム系化合物A3を得た。このA3をミネラルターペン中に投入撹拌し、リン酸カルシウム系化合物が40重量%となるよう調整することにより、艶消し剤A3を含む塗料用スラリー状艶消し剤D4を得た。得られたスラリー状艶消し剤D4の構成及び物性値を表1に記載する。
【0044】
実施例5
実施例4で得られた艶消し剤粒子A3を含むスラリー状艶消し剤D4と、B1を固形分換算で1:2の割合で混合し、全体の固形分濃度が60重量%となるようミネラルターペンを加えて調整し、塗料用スラリー状艶消し剤D5を得た。得られたスラリー状艶消し剤D5の構成及び物性値を表1に記載する。
【0045】
実施例6
丸尾カルシウム社製リン酸カルシウム系化合物「ポロネックス」(d50=6μm)B2と、有効成分濃度40%のポリアクリル酸ソーダ(B2に対して6重量%)と水を混合し、固形分濃度を40重量%に調整したスラリー状艶消し剤D6を得た。得られたスラリー状艶消し剤D6の構成及び物性値を表1に記載する。
【0046】
実施例7
米山化学工業社製リン酸カルシウム「リン酸三カルシウム」B3と、有効成分濃度40%のポリアクリル酸ソーダ(B3に対して6重量%)と水を混合し、固形分濃度を40重量%に調整したスラリー状艶消し剤D7を準備した。得られたスラリー状艶消し剤D7の構成及び物性値を表1に記載する。
【0047】
比較例1
水沢化学社製シリカ「ミズカシルP−802Y」B4と有効成分濃度40%のポリアクリル酸ソーダ(B4に対して6重量%)と水を混合し、固形分濃度を40重量%に調整したペースト状艶消し剤F1を準備した。得られたペースト状艶消し剤F1の構成及び物性値を表1に記載する。
【0048】
比較例2
セライト社製珪藻土「セライト219」B5と有効成分濃度40%のポリアクリル酸ソーダ(B5に対して6重量%)と水を混合し、固形分濃度を40重量%に調整したスラリー状艶消し剤F2を準備した。得られたスラリー状艶消し剤F2の構成及び物性値を表1に記載する。
【0049】
比較例3
丸尾カルシウム社製重質炭酸カルシウム「スーパーS」(0.8m2/g)B6と有効成分濃度40%のポリアクリル酸ソーダ(B6に対して6重量%)と水を混合し、を用い固形分濃度を40重量%に調整したスラリー状艶消し剤F3を準備した。得られたスラリー状艶消し剤F3の構成及び物性値を表1に記載する。
【0050】
<スラリー物性評価>
実施例1〜7で調製したスラリー状艶消し剤D1〜D7及び比較例1〜3で調整したスラリー状艶消し剤F1〜F3の物性評価は、下記の方法で行った。
【0051】
1.沈降試験
作成した艶消し剤スラリーを透明な容器に入れ密封し、6ヶ月間放置した後の粒子の沈降状態を以下の基準で目視判定した。
A:沈降が全く認められない。
B:僅かに沈降が見られるが、揺する等の行為により簡単に沈降を無くすことが可 能である。
C:僅かに沈降が見られるが、ディスパー等の撹拌により沈降を無くすことが可能 である。
D:かなりの沈降が認められ、沈降を無くすことが困難である。
【0052】
2.チキソトロピー性
下記a、bの評価からチキソトロピー性を判断する。
a.作成したスラリー状艶消し剤を透明な容器に入れ密封し、25℃の恒温槽に24時間 静置した後、ディスパーで2分撹拌後にストーマー粘度計でKU値を求める。
b.作成したスラリー状艶消し剤を透明な容器に入れ密封し、25℃の恒温槽に24時間 静置した後、容器を傾けた時の状態を以下の基準で目視判定した。
A:形状に変化がない。
B:僅かに変形するが、流動しない。
C:ゆっくりと変形しながら流動する。
D:傾けると同時に流動する。
【0053】
【表1】

【0054】
表1より、本発明のスラリー状艶消し剤は、優れた分散性を保持し、特異なチキソトロピー性を持つことで、含まれる艶消し剤粒子が沈降しないことが確認できる。艶消し剤粒子A1の電子顕微鏡写真を図1に示す。また、艶消し剤粒子B2、B3、B4、B5、B6の各電子顕微鏡写真をそれぞれ図2〜6に示す。図1より、艶消し剤粒子A1は粗大粒子を含まず均一な粒度内容であることが明らかである。
【0055】
実施例8〜14 比較例4〜6
実施例1〜3、6、7、比較例1〜3で調整したスラリー状艶消し剤D1〜D3、D6、D7、F1〜F3の各20重量部をそれぞれ水系アクリル塗料オーデコートGエコ(日本ペイント社製)100重量部と攪拌混合し、また、実施例4、5で調整したスラリー状艶消し剤D4、D5の各20重量部をそれぞれ溶剤系ウレタン塗料1液ファインウレタンU100(日本ペイント社製)100重量部と撹拌混合して、艶消し塗料組成物を得た。
【0056】
<塗料評価>
上記実施例8〜14、比較例4〜6で得られた塗料組成物について、下記項目の物性評価を行い、表2にその結果を示す。
【0057】
1.艶消し効果
得られた艶消し塗料組成物を150μmのアプリケーターでガラス板に塗布し、温度20℃、湿度65%で24時間乾燥させ塗布板を得た。
得られた塗布板を、村上色彩技術研究所社製デジタル光沢度計MG−3Dを使用して、60°ならびに75°グロスを測定した。
【0058】
2.外観
得られた塗膜表面のブツ、ならびにザラつきを目視で確認した。
a.塗膜表面のブツを下記基準で判断した。
A:ブツが全く認められない。
B:ブツが殆ど認められない。
C:ブツが僅かに認められる。
D:ブツが多く認められる。
b.塗膜表面の質感を下記基準で判断した。
A:ザラつきが全く認められない。
B:ザラつきが殆ど認められない。
C:僅かにザラついている。
D:かなりザラついている。
c.塗膜の艶むらを、上記デジタル光沢度計MG−3D使用して、75°グロスを20箇所測定し、最大値と最小値の差で判断した。
A:0〜0.1
B:0.2〜0.3
C:0.4〜1.0
D:1.1以上
【0059】
3.経時安定性
作成した塗料を室温で6ヶ月放置した後の粒子の沈降状態を目視判定し、以下の基準で目視判定した。
A:沈降が全く認められない。
B:僅かに沈降が認められるが、塗料として問題ない。
C:僅かに沈降が認められるが、揺する等の行為により簡単に沈降を無くすことが 可能である。
D:かなりの沈降が認められ、沈降を無くすことが困難であり塗料として使用しに くい。
【0060】
4.塗料作成時の作業性
塗料作成時の作業性について良・不良の判定を行った。
【0061】
5.総合評価
艶消し塗料としての適性を、総合判定として以下の4ランクで評価した。
A:艶消し塗料として非常に好ましい。
B:艶消し塗料として好ましい。
C:艶消し塗料として比較的に好ましい。
D:艶消し塗料として好ましくない。
【0062】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0063】
叙上の通り、本発明のスラリー状艶消し剤は、特異なチキソトロピー性を持ち、含有する艶消し剤粒子を優れた分散状態のまま長期間沈降することなく保存することが可能である。また、ポータブルミキサー等の簡易な撹拌で容易に低粘度のスラリー状とすることができるので、塗料作成時の作業性も極めて良好であり、施工現場等の分散設備が不十分な場所でも簡単に艶の調整が可能である。更に、本発明のスラリー状艶消し剤は、塗料に配合された場合にも、長期に亘って沈降することなく優れた分散性を維持し、艶むらのない優れた質感を与える艶消し塗料組成物を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】艶消し剤粒子A1の電子顕微鏡写真である。
【図2】艶消し剤粒子B2の電子顕微鏡写真である。
【図3】艶消し剤粒子B3の電子顕微鏡写真である。
【図4】艶消し剤粒子B4の電子顕微鏡写真である。
【図5】艶消し剤粒子B5の電子顕微鏡写真である。
【図6】艶消し剤粒子B6の電子顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも粒子表面がリン酸カルシウム系化合物により構成され、下記式(a)〜(c)を満足する艶消し剤粒子を含むことを特徴とする、水系又は溶剤系からなる塗料用スラリー状艶消し剤。
(a)1≦dx1≦40(μm)
(b)1≦α≦10 但し α=d50/dx1
(c)0≦β≦5 但し β=(d90−d10)/d50
但し、
dx1:電子顕微鏡写真により測定した、艶消し剤粒子を構成する一次粒子の平均粒子 径 (μm)。
α :分散係数
d50:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計により測定した艶消し剤粒子の 50%平均粒子径(μm)。
β :シャープネス
d90:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計により測定した艶消し剤粒子の ふるい通過側累計90%粒子径(μm)。
d10:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計により測定した艶消し剤粒子の ふるい通過側累計10%粒子径(μm)。
【請求項2】
少なくとも粒子表面がリン酸カルシウム系化合物により構成され、下記式(d)〜(f)を満足する艶消し剤粒子を含むことを特徴とする、水系又は溶剤系からなる塗料用スラリー状艶消し剤。
(d)2≦dx1≦30(μm)
(e)1≦α≦5 但し α=d50/dx1
(f)0≦β≦3 但し β=(d90−d10)/d50
但し、
dx1:電子顕微鏡写真により測定した、艶消し剤粒子を構成する一次粒子の平均粒子 径 (μm)。
α :分散係数
d50:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計により測定した艶消し剤粒子の 50%平均粒子径(μm)。
β :シャープネス
d90:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計により測定した艶消し剤粒子の ふるい通過側累計90%粒子径(μm)。
d10:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計により測定した艶消し剤粒子の ふるい通過側累計10%粒子径(μm)。
【請求項3】
更に、下記式(g)を満足する艶消し剤粒子を含むことを特徴とする、請求項1又は2記載の塗料用スラリー状艶消し剤。
(g)0≦γ1≦1(%)
但し、
γ1 :マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計での測定値で52.33μmより 大きい粒子の頻度の累積%。
【請求項4】
スラリー状艶消し剤のスラリー粘度が下記式(h)を満足することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗料用スラリー状艶消し剤。
(h)30≦K1≦120(KU)
但し、
K1 :ストーマー粘度計により測定したKU値。
【請求項5】
艶消し剤粒子が分散剤で表面処理されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗料用スラリー状艶消し剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗料用スラリー状艶消し剤を、艶有り又は艶消し塗料に後添加してなる艶消し塗料組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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