説明

スリーブ装置

騒音を減衰してまた地面を密閉するのに特に適していて、掘削装置が掘削端部(41)及び後方端部(42)を備えた送りビーム(4)を有し、上記送りビーム(4)が掘削端部(41)の近くに第一及び第二の部材(411、412)を備え、第一の部材(411)が送りビーム(4)に対して固定され、また第二の部材(412)が送りビーム(4)に対して長手軸方向に移動可能である掘削装置用のスリーブ装置。本発明は、スリーブ装置が第一の部材(411)に取り付けられた第一の可撓性構成要素(100)と、移動可能な第二の部材(412)に取り付けられた第二の可撓性構成要素(200)とを有し、上記第一及び第二の可撓性構成要素(100、200)が相互に移動可能であり、上記第二の可撓性構成要素(200)が上方及び下方位置、並びにそれら位置間の全位置を取ることができることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音を減衰してまた地面を密閉するのに特に適していて、掘削装置が掘削端部及び後方端部を備えた送りビームを有し、送りビームが掘削端部の近くに第一及び第二の部材を備え、第一の部材が送りビームに対して固定され、また第二の部材が送りビームに対して長手軸方向に移動可能である掘削装置用のスリーブ装置に関するものである。また本発明はかかるスリーブ装置を有する掘削装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
種々の種類の掘削装置、特に地表或いは地下の掘削に使用される削岩装置のような大型の掘削装置は、騒音を発生する。
【0003】
一般的に削岩装置(図1)は、可動車両、ブーム、及び例えば送りビームホルダーを介してブームに接続された送りビームを備えている。送りビームとブームとを相対的に動かせるようにするために、送りビーム及び送りビームホルダーは、送りビームの長さの少なくとも一部に沿って相互に移動可能である。掘削機は送りビームに沿って移動可能であり、地中へ押し込まれることになるドリルストリングに作用する。ドリルストリングは、ドリルポイント(ドリルビット)及び連結ロッドを備えている。
【0004】
騒々しい騒音は、例えば掘削機で及び掘削部位で発生する。したがって、周辺に対する発生騒音を減衰するのが望ましい。
【0005】
ハウジング装置の正面部分或いは送りビームに設けられ、騒音や塵を掘削孔の付近から周囲へ広がるのを防止する種々の異なる種類のスリーブは公知である。これらのスリーブは、多くの場合ゴム或いは同等の物質によって作られ、そしてドリルストリングの周囲に環状に配列されている。
【0006】
米国特許第3667571号では、内側円錐台形部分と外側シリンダー部を備え、それらの間に環状空間を残して廃塵チャンバーを形成する装置を開示している。チャンバー装置は、2つのフランジによって地面に置かれる。
【0007】
国際公開第WO00/39412号では、ハウジングの一端を地面に密閉する可撓性剛毛或いは細長い部片で作られた装置を開示している。
【0008】
国際公開第WO02/070856号では、ケーシングの下部に取り付けられ、地面と接触する可撓性のマルチパートスリーブを示している。
【0009】
公知のスリーブ装置の問題点は、ドリルポイントを位置決めする際に、それらスリーブ装置が作業者の視覚や視野を妨げていることにある。作業者がドリル装置を備えた送りビームを位置決めする際に、これらのスリーブは操縦室における作業者の視界を妨げてしまう。そのため作業者は、位置決めを確実にするために操縦室から外へ出なくてはならず、これは当然時間を浪費してしまう、さもなければ致命的な結果をもたらすかもしれない好ましくない位置でも受け入れなくてはならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、掘削部位において掘削機によって発生される騒音を十分に減衰しまた密閉し、しかも作業者がドリルポイントを位置決めする際の視界を確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は独立請求項1の特徴とする部分に記載した特徴によって達成される。
好ましい実施形態は、従属請求項に記載されているとおりである。
【0012】
主要な特徴によれば、本発明は、特に騒音を減衰してまた地面を密閉するのに適した掘削装置用スリーブ装置に関するものであり、上記掘削装置は、掘削端部及び後方端部備えた送りビームを有し、上記送りビームは掘削端部の近くに第一及び第二の部材を備え、第一の部材は送りビームに対して固定され、第二の部材は送りビームに対して長手軸方向に移動可能である。本発明は、上記のスリーブ装置が第一の部材に取り付けられた第一の可撓性構成要素と、移動可能な第二の部材に取り付けられた第二の可撓性構成要素とを有し、第一及び第二の可撓性構成要素が相互に移動可能であり、第二の可撓性構成要素が上方及び下方位置と、それら位置の間の全ての位置を取ることができることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
2つの可撓性構成要素が相互に移動可能であることにより、スリーブ装置は地面に対して調節可能に接続できるようになるという利点がある。また、スリーブ装置は、周囲に対して、騒音を減衰しかつ塵や泥が拡散するのを防止できる密閉状態を作り、また同時に、構成要素間の可動性によって作業者はドリルポイントの位置決め時に作業部位及び/又はドリルポイントをモニターすることができる。スリーブ装置は、優れた密閉効果を備えることにより種々の送りビーム角度及び種々の傾斜場所で使用され得る。
【0014】
本発明によるこれら及びその他の特徴並びに利点は、詳細な説明及び添付図面から明らかになるであろう。
【0015】
本発明の詳細な説明においては、添付図面が参照される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は削岩装置を概略図で示し、可動車両1と、ブーム2と、送りビームホルダー3を介してブーム2に接続された送りビーム4とを備えている。送りビーム4と送りビームホルダー3は、送りビーム4の長さの少なくとも一部分に沿って、相互に移動可能である。掘削機5は、送りビーム4に移動可能に取り付けられ、ドリルストリング63に作用するために送りビーム4に沿って移動可能である。ドリルストリング63は、ドリルポイント(ドリルビット)及び連結ロッドを備えている。送りビーム4に取り付けられる別の装置は、例えばロッド操作部材、ボルト部材、爆発物搭載部材のための装置であり得る。
【0017】
送りビーム4は掘削端部41を備え、この掘削端部41からドリルポイントが掘削時に突出し、また掘削端部41の反対側には後方端部42を備えている。送りビーム4の第一の部材411及び第二の部材412は、掘削端部41の近くに設けられている。第一の部材411は、送りビーム4に固定され、第二の部材412は送りビーム4に対して長手軸方向に移動可能である。第一の部材411及び/又は第二の部材412は、送りビーム4における掘削ガイド或いは類似の装置によって構成されてもよい。
【0018】
第一の部材411には第一の可撓性構成要素100が取り付けられ、また移動可能な第二の部材412には第二の可撓性構成要素200が取り付けられ、第一及び第二の構成要素100、200は相互に移動可能であるように構成されている。第二の可撓性構成要素200は上方及び下方位置(図2a及び図2b)と、それら位置の間の全ての位置とを取ることができる。
【0019】
送りビーム4には、好ましくは第二の部材412の位置を制御するための制御手段が設けられる。例えばかかる制御手段は第二の部材412の位置を制御するようにされ、それでドリルストリング63を確認できる位置まで動かされ得、かかる位置は例えば第二の可撓性構成要素200の上方位置に対応し得る。
【0020】
可撓性構成要素100、200は、例えばゴムやプラスチックのような任意の適当な材料からシーツ、剛毛、或いは細長い部片として形成されてもよい。
【0021】
第二の可撓性構成要素200は、好ましくは、第一の可撓性構成要素100の内側で移動可能である。従って、スリーブ装置は、地面と送りビーム4の第一の部材411との間に位置するドリルストリング63の部分を包囲するように構成されている(図2a及び図2b)。
【0022】
それぞれ構成要素100、200は、ドリルストリングを完全に或いは部分的に周囲してもよい(図3)。それぞれ構成要素100、200は、一部材で或いは相互に重なり合っている複数の部材から成ってもよい。
【0023】
好ましい実施形態によれば、第一の可撓性構成要素100の長さL100は、第二の可撓性構成要素200がその上方位置にあるとき(図2a)、好ましくは第一の可撓性構成要素100が第二の可撓性構成要素200と全体的に重なり合うように、また、第二の可撓性構成要素200がその下方位置にあるとき(図2b)、第一の可撓性構成要素100が第二の可撓性構成要素200と部分的に重なり合うようにされている。従って、第二の可撓性構成要素200の上方位置では、ドリルストリング63を認識できる。なお、別の実施形態によれば、第二の可撓性構成要素200がその上方位置にあるとき、第二の可撓性構成要素200は第一の可撓性構成要素100から幾らか突き出ることができる(図示されていない)。
【0024】
第一及び第二の可撓性構成要素100、200は、破損或いは消耗した場合、交換できるようにフレーム手段43によってそれぞれの部材411、412に実現可能に取り付けられ得る(図3)。
【0025】
第二の部材412は好ましくは移動可能な掘削ガイドで構成される。
【0026】
掘削操作を準備しているとき、掘削装置車両1は、掘削が実行される場所/目標物まで移動される。掘削機5を備えた送りビーム4は、ブーム2及び送りビームホルダー3の補助によって作業部位の上に整列される。送りビーム4の移動可能な第二の部材412は、最初に第一の部材411と隣接して位置決めされる。第一の可撓性構成要素100は、全体的に第二の可撓性構成要素200と重なり合う(上方位置、図2a)。従って、第一及び第二の可撓性構成要素100、200は、位置決め操作中作業者がドリルポイントを見ることができるようにしている。
【0027】
次いで、第二の部材412は作業部位に向かって移動され、また第二の可撓性構成要素200は第一の可撓性構成要素100から出されて、最終的に地面へ接近して位置される。第一の可撓性構成要素100は、第二の可撓性構成要素200と部分的に重なり合っている(下方位置、図2b)。構成要素100、200の可撓性により、本発明では岩の表面それ自体の形状に合わせることができる。最初のドリルロッドに接続されたドリルポイントは、騒音を発生しながら、且つ、塵又は泥を撒き散らしながら、掘削機5によって地面に押し込まれる。
【0028】
従って、本発明によるスリーブ装置は、騒音及び泥が周囲へ拡散するのを阻止する密閉状態を作り、また同時に地面の上に置かれるドリルストリングの部分をモニターすることができる。
【0029】
スリーブ装置は、優れた密閉効果をもって種々の送りビーム角度及び種々の傾斜場所に用いられ得る。
【0030】
スリーブ装置は、例えば電気、空気、油、水もしくは塵の収集のためのホース又はケーブル用の密封接続口部材を備えてもよい。
【0031】
図面に示し且つ説明してきた幾つかの実施形態は、単に例示するものとしてであって、本発明を制限するものと考えるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】削岩装置を示す概略図。
【図2a】第二の可撓性構成要素がその上方位置にある本発明によるスリーブ装置を示す概略図。
【図2b】第二の可撓性構成要素がその下方位置にある本発明によるスリーブ装置を示す概略図。
【図3】本発明の概略断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
騒音を減衰してまた地面を密閉するのに特に適していて、掘削装置が掘削端部(41)及び後方端部(42)を備えた送りビーム(4)を有し、上記送りビーム(4)が掘削端部(41)の近くに第一及び第二の部材(411、412)を備え、第一の部材(411)が送りビーム(4)に対して固定され、また第二の部材(412)が送りビーム(4)に対して長手軸方向に移動可能である掘削装置用のスリーブ装置において、
第一の部材(411)に取り付けられた第一の可撓性構成要素(100)と、移動可能な第二の部材(412)に取り付けられた第二の可撓性構成要素(200)とを有し、上記第一及び第二の可撓性構成要素(100、200)が相互に移動可能であり、上記第二の可撓性構成要素(200)が上方及び下方位置、並びにそれら位置間の全位置を取ることができることを特徴とするスリーブ装置。
【請求項2】
送りビーム(4)には、第二の部材(412)の位置を制御する制御手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスリーブ装置。
【請求項3】
第二の部材(412)の位置を制御するようにされた上記制御手段が、ドリルストリング(63)の認識を可能にする位置まで動かすことができ、そして例えばかかる位置が第二の可撓性構成要素(200)の上方位置に対応してもよいことを特徴とする請求項2に記載のスリーブ装置。
【請求項4】
第二の可撓性構成要素(200)が、第一の可撓性構成要素(100)の内側で移動可能であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のスリーブ装置。
【請求項5】
地面と送りビーム(4)の第一の部材(411)との間に位置するドリルストリング(63)の部分を包囲するように構成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のスリーブ装置。
【請求項6】
第一の可撓性構成要素(100)の長さ(L100)は、第二の可撓性構成要素(200)が上方位置にあるとき第一の可撓性構成要素(100)が第二の可撓性構成要素(200)と全体的に重なり合うように、且つ、第二の可撓性構成要素(200)が下方位置にあるとき第一の可撓性構成要素(100)が第二の可撓性構成要素(200)と部分的に重なり合うようにされることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のスリーブ装置。
【請求項7】
第一及び第二の可撓性構成要素(100、200)が、フレーム手段(43)によってそれぞれの部材(411、412)に実現可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のスリーブ装置。
【請求項8】
第二の部材(412)が移動可能な掘削ガイドで構成されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載のスリーブ装置。
【請求項9】
請求項1に記載のスリーブ装置を有する掘削装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−516116(P2008−516116A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535633(P2007−535633)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【国際出願番号】PCT/SE2005/001415
【国際公開番号】WO2006/038851
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(398056193)アトラス コプコ ロツク ドリルス アクチボラグ (66)
【Fターム(参考)】