スロットマシン
【課題】 メダルセレクタ部の構造を複雑にしたり、メダルの流れを阻害することなく、特殊器具によるクレジット不正を確実に判定する。
【解決手段】 メダル投入経路に、投入メダルを光学的に検出する第一検出部26と、その上流側で投入メダル及び挿入異物を光学的に検出する第二検出部27を設け、第一検出部26の検出信号にもとづいて、メダルの投入枚数をカウントし、第二検出部27の検出信号にもとづいて、異物の挿入を判定する。
【解決手段】 メダル投入経路に、投入メダルを光学的に検出する第一検出部26と、その上流側で投入メダル及び挿入異物を光学的に検出する第二検出部27を設け、第一検出部26の検出信号にもとづいて、メダルの投入枚数をカウントし、第二検出部27の検出信号にもとづいて、異物の挿入を判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メダル投入口に特殊器具(異物)を挿入して、クレジット枚数を不正に上げる行為を効果的に防止できるスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
メダルが賭けられた後にゲームを開始し、当該ゲームの入賞内容に応じて、所定枚数のメダルを払い出すスロットマシンが普及している。この種のスロットマシンでは、通常、メダルを賭ける方法として、ゲーム毎にメダル投入口からメダルを投入する方法と、クレジット機能により貯溜されたメダルを賭ける方法とがあり、遊技者が選択できるようにしてある。
【0003】
上記のクレジット機能は、メダル投入口から投入されたメダルや、入賞内容に応じて払い出すべきメダルを、クレジットとして機械内部に貯溜(記憶)する機能であり、貯溜されたメダルの枚数はクレジット表示部に表示される。クレジットとして貯溜されたメダルは、BETスイッチやMAXBETスイッチの操作により、ゲームに賭けることができ、また、クレジット精算スイッチの操作により、払い出すことができる。このクレジット精算は、通常、その台を離れるときに一回だけ実行される。
【0004】
近年、スロットマシンのクレジット機能を悪用した不正行為が増えている。例えば、先端部に発光素子が設けられた特殊器具をメダル投入口から挿入し、その先端部をメダルセレクタ部のメダル通過センサ(例えば透過型フォトインタラプタ)まで到達させた後、発光素子の点滅によってメダル通過センサを誤作動させ、クレジット枚数を瞬時に最大値(例えば50枚)まで上げる不正行為が知られている。
【0005】
この種の不正行為は、短時間のうちに実行されているので、発見がきわめて困難であり、しかも、クレジット枚数を最大値まで上げ、これをクレジット精算で払い出すという行為が繰り返されるため、大量のメダルが抜かれ、大きな被害を生じる可能性がある。
【0006】
そこで、メダルセレクタ部に、第二のメダル通過センサを追加し、その検出信号を加味して、適正なメダル投入を判定することが提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0007】
特許文献1に示される受入判定装置は、第一メダル通過センサの下方に第二メダル通過センサを追加し、第一及び第二メダル通過センサが検出動作したときだけ、適正なメダル投入であると判定するようにしてある。
しかしながら、特許文献1の受入判定装置は、先端部の上下幅が狭い特殊器具を想定したものであり、先端部の上下幅を広くした特殊器具が使用された場合、その効果に疑問がある。例えば、先端部の上下幅が広く、かつ、その上下位置(第一及び第二メダル通過センサの対向位置)に発光素子が設けられた特殊器具を使用すると、第一及び第二メダル通過センサを誤作動させることが可能となる。
【0008】
一方、特許文献2に示されるメダル識別機は、メダル通過力を受けて退避する出没自在なメダル当接部材と、メダル当接部材の出没を検出するメダル通過検出器とを用いて、第二メダル通過センサを構成しているので、例えば、メダル当接部材の退避継続時間が異常に長いとき、特殊器具が挿入されたと判定することができる。
【特許文献1】特開2001−17611号公報
【特許文献2】特開2002−65951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2に示されるものでは、第二のメダル通過センサを機械的なスイッチによって構成しているため、既存のスロットマシンに適用するには、メダルセレクタ部の大幅な改造が必要になるだけでなく、メダルセレクタ部の構造が複雑化するという問題がある。
【0010】
また、メダルの通過力でメダル当接部材を出没させるという機械的な構成は、その動作性に疑問がある。例えば、メダル当接部材の支点部分における汚れや摩耗によって、メダル当接部材の出没が円滑に行われなくなると、メダル当接部材がメダルの流れを阻害し、メダル詰りなどのトラブルを誘発する可能性がある。
【0011】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、メダルセレクタ部の構造を複雑にしたり、メダルの流れを阻害することなく、特殊器具によるクレジット不正を確実に判定し、これを効果的に防止することができるスロットマシンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため本発明のスロットマシンは、メダル投入口から投入されたメダル、及び、ゲームの入賞内容に応じて払い出すべきメダルを、クレジットとして貯溜するクレジット手段と、クレジットとして貯溜されたメダルを、所定のBET操作に応じてゲームに賭けるBET手段と、クレジットとして貯溜されたメダルを、所定のクレジット精算操作に応じて払い出すクレジット精算手段とを備えるスロットマシンにおいて、前記メダル投入口から投入されたメダルを装置内部へ導くメダル投入経路と、前記メダル投入経路に配置され、前記メダル投入口から投入されたメダルを光学的に検出する第一検出部と、前記第一検出部の検出信号にもとづいて、メダルの投入枚数をカウントする投入枚数カウント手段と、前記メダル投入経路における前記第一検出部の上流側及び/又は下流側に配置され、前記メダル投入口から投入されたメダル、及び、前記メダル投入口から挿入された異物を光学的に検出する第二検出部と、少なくとも前記第二検出部の検出信号にもとづいて、異物の挿入を判定する異物挿入判定手段とを備える構成としてある。
【0013】
このように構成すれば、メダル投入口から投入されたメダル、及び、メダル投入口から挿入された異物を非接触で検出し、その検出信号にもとづいて、異物の挿入を判定することができる。
しかも、第二検出部は、機械的に動作する部材を用いることなく、例えば透過型光学センサやCCDカメラ等を用いて構成できるため、メダルセレクタ部を大幅に改造しなくても、既存のスロットマシンに簡単に適用でき、また、機械的な動作不良によってメダルの流れを阻害するような不都合もない。
【0014】
また、本発明のスロットマシンは、前記異物判定手段が、前記第二検出部からON信号を入力したとき、その入力継続時間を計測し、計測した入力継続時間が所定の基準時間を超えた場合に、異物の挿入であると判定する構成としてある。
このように構成すれば、簡単な判定処理によって異物の挿入を判定することができる。また、メダル通過時間(例えば、35msec)は、通常、極めて短いため、これを基準時間(=メダル通過時間+誤差許容値)とすれば、特殊器具の先端部が第一検出部に到達する前に、特殊器具の挿入を判定することができる。
【0015】
また、本発明のスロットマシンは、前記第二検出部が、前記メダル投入経路の幅方向に並び、かつ、メダルの両端部をほぼ同時に検出する二つの光学センサを備え、前記異物挿入判定手段が、二つの前記光学センサの検出信号にもとづいて、異物の挿入を判定する構成としてある。
このように構成すれば、特殊器具の挿入を確実に検出することができる。また、二つの光学センサによって、メダル投入経路の幅を狭くすることができるので、特殊器具が挿入しにくくなるという効果も得られる。
【0016】
また、本発明のスロットマシンは、二つの前記光学センサが、メダルの通過に伴うON時間に差が生じるように配置され、前記異物挿入判定手段が、二つの前記光学センサにおけるON時間、及び/又は、ON時間の差を判定条件とする構成としてある。
このように構成すれば、特殊器具による不正の困難性を高めることができる。例えば、特殊器具における第二検出部の対向位置に発光素子や液晶シャッターを追加し、かつ、これを単純に一定周期で駆動させた場合、メダルと誤認することなく、異物の挿入であると判定することができる。
【0017】
また、本発明のスロットマシンは、二つの前記光学センサが、メダル端部から所定の深さ位置でメダルの通過を検出する際、異なる深さ位置でメダルの通過を検出することによって、メダルの通過に伴うON時間に差を生じさせる構成としてある。
このように構成すれば、光学センサの配置設定だけで、ON時間に差を生じさせることができる。
【0018】
また、本発明のスロットマシンは、二つの前記光学センサが、前記メダル投入経路の曲部に配置されることによって、メダルの通過に伴うON時間に差を生じさせる構成としてある。
このように構成すれば、光学センサの配置設定だけで、ON時間に差を生じさせることができる。
【0019】
また、本発明のスロットマシンは、二つの前記光学センサが、メダルの検出タイミングに差が生じるように、前記メダル投入経路の長さ方向に位置をずらして配置され、前記異物挿入判定手段が、二つの前記光学センサにおける検出タイミングの差を判定条件とする構成としてある。
このように構成すれば、特殊器具による不正の困難性を高めることができる。例えば、特殊器具における第二検出部の対向位置に発光素子や液晶シャッターを追加し、かつ、これを単純に一定周期で駆動させた場合、メダルと誤認することなく、異物の挿入であると判定することができる。
【0020】
また、本発明のスロットマシンは、少なくとも一方の前記光学センサが、前記メダル投入経路の幅方向及び/又は長さ方向に位置変更可能に構成してある。
このように構成すれば、光学センサの位置を適宜変更することにより、特殊器具による不正の困難性を高めることができる。
【0021】
また、本発明のスロットマシンは、前記第二検出部が、前記メダル投入経路を移動するメダルをメダル投入経路側面から撮像するITVカメラを備え、前記異物挿入判定手段が、前記ITVカメラの撮像信号にもとづいて、異物の挿入を判定する構成としてある。
このように構成すれば、本発明の第二検出部として、上述した光学センサに換えてCCDカメラ等で構成されたITVカメラを備えることができる。このようなITVカメラを備えることにより、メダル投入経路を通過するメダルを撮像でき、得られた画像中にメダル投入経路を移動する真円形の映像があれば正規のメダルであり、投入経路に挿入させる長い棒状の映像があれば特殊器具であると判定することができる。これにより、ITVカメラで得られる画像に基づき、より直接的に正規のメダルと特殊器具とを峻別することができ、不正行為を確実に発見,防止することができるようになる。
【0022】
さらに、本発明のスロットマシンは、前記異物挿入判定手段が、異物の挿入であると判定したとき、所定の警報を行う構成としてある。
このように構成すれば、ホールの店員や周囲の遊技者に不正行為を報知できるので、不正行為の抑止効果を高めることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、メダル投入口から投入されたメダル、及び、メダル投入口から挿入された異物を非接触で検出し、その検出信号にもとづいて、異物の挿入が判定される。これにより、メダルセレクタ部の構造を複雑にしたり、メダルの流れを阻害することなく、特殊器具によるクレジット不正を確実に判定し、これを効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、スロットマシンの正面図、図2は、スロットマシンの内部構成を示す斜視図である。
【0025】
これらの図に示すように、スロットマシン1は、前扉10の前面側に、メダル投入口11と、クレジット表示部12と、クレジット精算スイッチ13と、BETスイッチ14と、MAXBETスイッチ15と、スタートレバー16と、複数のストップボタン17(17a〜17c)と、メダル払出口18と、メダル返却ボタン19と、ランプLとを備え、また、前扉10の後面側に、スピーカSPと、メダルセレクタ部20とを備え、更に、マシン本体の内部に、ドラムユニット30と、ホッパー装置40と、制御部50とを備えている。
【0026】
メダル投入口11は、ゲームに賭けるメダルM(以下、符号Mを省略する)を受け入れる。スロットマシン1には、ゲームに賭けるメダルを、ゲーム毎にメダル投入口11から投入するメダル投入モードと、クレジットとして内部に貯溜されたメダルをゲームに賭けるクレジットモードとがあり、いずれかのモードを遊技者が選択できる。
クレジットモードでは、メダル投入口11から投入されたメダルや、ゲームの入賞内容に応じて払い出すべきメダルが、最大クレジット枚数(例えば50枚)を限度として内部に貯溜され、その枚数がクレジット表示部12に表示される。
【0027】
クレジット精算スイッチ13は、クレジットとして貯溜されたメダルを払い出すためのスイッチであり、本実施形態では、クレジットモードのON/OFF操作にも兼用されている。例えば、クレジットモードがOFFの状態でクレジット精算スイッチ13を押すと、クレジットモードがONになり、クレジットモードがONの状態でクレジット精算スイッチ13を押すと、貯溜メダルが払い出された後、クレジットモードがOFFとなる。
【0028】
BETスイッチ14及びMAXBETスイッチ15は、クレジットとして貯留されたメダルをゲームに賭けるためのスイッチである。BETスイッチ14は、クレジットとして貯留されたメダルを、一回の操作につき一枚ずつ賭けることができ、MAXBETスイッチ15は、一回のゲームに賭けられる最大枚数(例えば三枚)を、一回の操作で賭けることができる。
【0029】
スタートレバー16は、メダルが賭けられた後に操作される。スタートレバー16を操作すると、ドラムユニット30に設けられる回胴31a〜31cの回転が開始される。
ストップボタン17a〜17cは、回胴31a〜31cと同数(通常は三つ)設けられている。これらのストップボタン17a〜17cが押されると、対応する回胴31a〜31cの回転が停止し、ゲームの入賞又は外れが決まる。
【0030】
メダル払出口18は、ゲームの入賞内容に応じて、所定枚数のメダルが払い出される部分である。また、精算された貯溜メダルも、ここから払い出される。
メダル返却ボタン19は、メダルセレクタ部20にメダルが滞留した場合に操作される。メダル返却ボタン19を操作すると、メダルセレクタ部20に滞留したメダルがメダル払出口18から返却される。
ランプLは、その点灯や点滅により、遊技の演出を行う。
スピーカSPは、効果音、払出音、音声メッセージなどの出音により、遊技の演出を行う。
【0031】
図3は、メダルセレクタ部の側面図、図4は、セレクタカバーやブロッカを外したメダルセレクタ部の側面図である。
これらの図に示すように、メダルセレクタ部20は、メダル投入口11からホッパー装置40に至る傾斜したメダル投入経路を形成しており、具体的には、セレクタベース21と、下部メダルガイド22と、上部メダルガイド23と、セレクタカバー24と、ブロッカ25と、第一検出部26と、第二検出部27とを備えて構成されている。
【0032】
セレクタベース21は、メダル投入経路の一側面を構成する板材であり、中間部には、長方形の開口部21aが形成されている。
下部メダルガイド22は、セレクタベース21の下端部に沿って固定されている。メダル投入口11から投入されたメダルは、一側面がセレクタベース21にガイドされつつ、下部メダルガイド22上を転がり、ホッパー装置40側へ導かれる。
【0033】
上部メダルガイド23は、セレクタベース21の上端部に沿って固定される。このとき、下部メダルガイド22と上部メダルガイド23の間隔を、正規メダルの径よりも僅かに大きく設定することにより、大径メダルの通過が規制される。ここで通過が規制された大径メダルは、メダルセレクタ部20の中間部から落下し、メダル払出口18から返却される。
一方、小径メダルは、上部メダルガイド23の通過規制を受けないが、セレクタベース21の開口部21a内に倒れ込むため、大径メダルと同様にメダルセレクタ部20の中間部から落下し、メダル払出口18から返却される。
【0034】
セレクタカバー24は、セレクタベース21の上端に支軸24aを介して開閉自在に設けられ、かつ、バネ24bによって閉方向に付勢されている。このように構成されたセレクタカバー24は、通常、所定の隙間を介してセレクタベース21と対向し、正規メダルの落下を防止しているが、大径メダルが投入された場合や、正規メダルが詰まった場合には、メダルの自重又はメダル返却ボタン19の操作力で開方向へ退避し、メダルの落下を許容する。また、セレクタカバー24は、セレクタベース21の開口部21aと対応する部位に切り欠き24cを有し、この切り欠き24cによって小径メダルを積極的に落下させる。
【0035】
ブロッカ25は、開閉自在なL字形状のブロッカプレート25aと、これを電磁的に開閉させる電磁石25bとを備えて構成されている。ブロッカプレート25aが閉じた状態では、投入メダルがブロッカプレート25aの先端部上を転がり、ホッパー装置40側へ導かれる。一方、ブロッカプレート25aが開いた状態では、投入メダルがメダルセレクタ部20の中間部から落下し、メダル払出口18から返却される。
【0036】
第一検出部26は、メダル投入経路の終端側に構成され、メダル投入口11から投入されたメダルを光学的に検出する。メダルを検出する光学センサ26aとしては、例えば、透過型フォトインタラプタ(透過型フォトセンサ)を用いることができ、また、光学センサ26aの個数は、任意に設定することができる。近年、メダル投入口11から特殊器具を挿入し、第一検出部26の光学センサ26aを誤動作させる不正行為が増えている。
【0037】
第二検出部27は、第一検出部26よりも上流側に構成され、メダル投入口11から投入されたメダルや、メダル投入口11から挿入された異物を光学的に検出する。メダルや異物を検出する光学センサ27a、27bとしては、第一検出部26と同様に、透過型フォトインタラプタを用いることができる。第二検出部27をこのように構成すると、メダル投入口11から投入されたメダル、及び、メダル投入口11から挿入された異物を非接触で検出し、その検出信号にもとづいて、異物の挿入を判定することが可能になる。
【0038】
例えば、光学センサ27a、27bがメダル又は異物を検出したとき、その継続時間を計測し、計測した継続時間が所定の基準時間を超えた場合に、異物の挿入であると判定することができる。
すなわち、メダルの通過速度をS(例えば、700mm/sec)、メダルの直径をA(例えば、25mm)とすると、検出位置におけるメダルの通過時間は、メダル中心でA/S(35msec≒25/700)であり、通常のメダル投入では、この時間を超えて光学センサ27a、27bが連続的にON動作することはない。したがって、メダル通過時間をもとに基準時間(=メダル通過時間+誤差許容値)を設定すれば、異物の挿入を判定することができる。また、図3及び図4に示すように、第二検出部27をメダル投入口11の近傍に構成し、第一検出部26との距離を大きくすれば、特殊器具の先端部が第一検出部26に到達する前に、特殊器具の挿入を判定することも可能である。
【0039】
つぎに、第二検出部27における光学センサ27a、27bの配置例と、各配置例に応じた異物の判定方法について説明する。
図5は、第二検出部における光学センサの第一の配置例を示す説明図、図6は、第二検出部における光学センサの第二の配置例を示す説明図、図7は、第二検出部における光学センサの第三の配置例を示す説明図、図8は、第二検出部における光学センサの第四の配置例を示す説明図である。
【0040】
図5〜図8に示すように、第二検出部27は、メダル投入経路の幅方向に並び、かつ、メダルの両端部をほぼ同時に検出する二つの光学センサ27a、27bを備えることが好ましい。このようにすると、二つの光学センサ27a、27bの検出信号にもとづいて、異物の挿入を確実に判定することができる。また、二つの光学センサ27a、27bを透過型フォトインタラプタで構成した場合は、メダル投入経路の幅が光学センサ27a、27bによって狭められるので、特殊器具が挿入しにくくなるという効果も得られる。
【0041】
図5の(a)は、二つの光学センサ27a、27bをメダル投入経路の直線部に配置した例を示している。光学センサ27a、27bを透過型フォトインタラプタで構成する場合は、図5の(b)に示すように、メダル投入経路及びセレクタベース21の端部を挟むように透過型フォトインタラプタを取り付け、セレクタベース21に形成した孔21bを介して、投受光を行うことができる。
【0042】
図5の(c)は、メダルが連続的に投入された状態を示している。このような状態でメダルが投入されても、メダル中心以外の部分では、メダル間に必ず隙間が生じるため、光学センサ27a、27bが断続的にON動作し、図5の(d)に示すような検出信号が得られる。これに対して、異物が挿入された場合は、図5の(e)に示すように、少なくとも一方の光学センサ27a、27bが所定の基準時間を超えて連続的にON動作するため、異物の挿入を判定することができる。
【0043】
図6及び図7に示すように、二つの光学センサ27a、27bは、メダルの通過に伴うON時間に差が生じるように配置されることが好ましい。このようにすると、二つの光学センサ27a、27bにおけるON時間だけでなく、ON時間の差を判定条件に加えることができるため、特殊器具による不正の困難性を高めることができる。例えば、特殊器具における第二検出部27の対向位置に発光素子や液晶シャッターを追加し、かつ、これを単純に一定周期で駆動させたとしても、メダルと誤認することなく、異物の挿入であると判定することができる。
【0044】
図6の(a)に示す配置例では、二つの光学センサ27a、27bが、メダル端部から所定の深さ位置でメダルの通過を検出するにあたり、異なる深さ位置でメダルの通過を検出することによって、メダルの通過に伴うON時間に差を生じさせる。このようにすれば、メダルが通過したとき、各光学センサ27a、27bにおけるメダル通過時間に差が生じ、図6の(b)に示すような検出信号が得られる。このような検出信号によれば、一方の光学センサ27aのみがONの状態と、両方の光学センサ27a、27bがONの状態と、一方の光学センサ27aのみがONの状態が連続的に生じるので、このON/OFFパターンを判定条件としてメダルの投入を判定でき、また、この判定条件を満たさないとき、異物の挿入であると判定することができる。
【0045】
また、図7の(a)に示す配置例では、二つの光学センサ27a、27bを、メダル投入経路の曲部に配置することによって、メダルの通過に伴うON時間に差を生じさせている。このようにすると、メダルが通過するとき、曲部の内周側に配置された光学センサ27aのメダル通過時間が長くなり、図7の(b)に示すような検出信号が得られる。これにより、図6に示す配置例と同様に、一方の光学センサ27aのみがONの状態と、両方の光学センサ27a、27bがONの状態と、一方の光学センサ27aのみがONの状態を判定条件とし、異物の挿入を判定することができる。
【0046】
図8の(a)に示す配置例では、二つの光学センサ27a、27bを、メダルの検出タイミングに差が生じるように、メダル投入経路の長さ方向に位置をずらして配置している。このような配置によれば、メダルが通過するとき、図8の(b)に示すように、一方の光学センサ27aのみがONの状態と、両方の光学センサ27a、27bがONの状態と、他方の光学センサ27bのみがONの状態が連続的に生じるので、このON/OFFパターンを判定条件としてメダルの投入を判定でき、また、この判定条件を満たさないとき、異物の挿入であると判定することができる。
【0047】
また、光学センサ27a、27bの位置は、メダル投入経路の幅方向や長さ方向に変更できるようにすることが好ましい。例えば、光学センサ27a、27bの固定孔を長孔とすれば、長孔に沿って光学センサ27a、27bの位置を変更することができる。このようにすれば、光学センサ27a、27bの位置を適宜変更し、特殊器具による不正の困難性を高めることができる。例えば、特殊器具における第二検出部27の対向位置に発光素子や液晶シャッターを追加しても、光学センサ27a、27bを正確に誤作動させることが困難になる。
【0048】
図9は、スロットマシンの制御構成を示すブロック図である。
この図に示すように、ドラムユニット30は、複数の回胴31a〜31cと、モータ駆動回路32と、複数のステッピングモータ33a〜33cと、回胴位置検出部34とを有している。
回胴31a〜31cの外周面には、複数の図柄が描かれている。これらの図柄は、前扉10の表示窓10aを介して、遊技者に目視される。
【0049】
モータ駆動回路32は、制御部50からのパルス信号にもとづき、ステッピングモータ33a〜33cを駆動制御して、回胴31a〜31cの回転を始動・停止させる。
回胴位置検出部34は、回胴31a〜31cの回転が停止すると、この回胴31a〜31cに記されたマーカにもとづいて、回胴31a〜31cの回転停止位置を検出し、これを制御部50へ送る。
【0050】
ホッパー装置40は、ホッパー41と、ホッパー駆動回路42と、メダル検出部43とを有している。
ホッパー41は、メダル投入口11から投入されたメダルや、外部から補給されたメダルをメダルを蓄える部分である。
ホッパー駆動回路42は、制御部50から払い出し信号を受信すると、ホッパー41の底部に設けられるメダル排出部(図示せず)を駆動し、所定枚数のメダルを払い出させる。
メダル検出部43は、メダル排出部から払い出されるメダルの枚数をカウントし、これを制御部50へ送る。
【0051】
制御部50は、表示駆動回路51と、サウンド回路52と、ランプ駆動回路53と、CPU54と、クロック発生回路55と、乱数発生回路56と、ROM57と、RAM58とを有している。
表示駆動回路51は、CPU54からの信号に応じて、クレジット表示部12にクレジット枚数を表示させる。
サウンド回路52は、CPU54からの信号(コマンド)に応じて、スピーカSPに効果音、払出音、音声メッセージなどを出力させる。
ランプ駆動回路53は、CPU54からの信号(コマンド)に応じて、ランプLを点灯・点滅させる。
【0052】
CPU54は、クレジット精算スイッチ13、BETスイッチ14、MAXBETスイッチ15、スタートレバー(スタートスイッチ)16、ストップボタン(ストップスイッチ)17a〜17c、光学センサ26a、27a、27bなどから信号を入力し、これらの入力信号にもとづいて、ドラムユニット30、ホッパー装置40、表示駆動回路51、サウンド回路52、ランプ駆動回路53などの制御を行う。
ROM57は、所定のプログラムを記憶しており、このプログラムにしたがってCPU54が動作される。
RAM58は、遊技に係る各種のデータを記憶する。ここには、クレジットとして貯留されるメダルの枚数データも含まれる。
【0053】
つぎに、制御部50の制御手順について、図10〜図12を参照して説明する。
図10は、メインルーチンを示すフローチャート、図11は、メダル投入処理を示すフローチャート、図12は、異物挿入判定処理を示すフローチャートである。
【0054】
図10に示すように、メインルーチンは、起動時に初期設定(S101)を実行した後、クレジット精算処理(S102:クレジット精算手段)、メダル投入処理(S103:異物挿入判定手段、投入枚数カウント手段、クレジット手段)、BET処理(S104:BET手段)、スタート処理(S105)、回胴停止処理(S106)、入賞処理(S107)、賞メダル払出処理(S108:クレジット手段)などを繰り返し実行する。
【0055】
初期設定は、各種設定値の初期化、メモリクリアなどを行う。
クレジット精算処理は、クレジット精算スイッチ13の操作に応じて、貯溜メダルの払い出しや、クレジットモードのON/OFF切り換えを行う。
メダル投入処理は、投入されたメダルや挿入された異物を判定する処理、メダルの投入枚数をカウントする処理、投入枚数をクレジット枚数に加算する処理(クレジットモードON時)などを行う。
【0056】
BET処理は、BETスイッチ14やMAXBETスイッチ15の操作に応じて、貯溜メダルをゲームに賭ける処理(クレジットモードON時)を行う。
スタート処理は、スタートレバー16の操作に応じて、抽選用の乱数を取得するとともに、回胴31a〜回胴31cの回転を開始させる。
回胴停止処理は、ストップボタン17a〜17cの操作に応じて、回胴31a〜回胴31cの回転を停止させる。このとき、抽選用の乱数にもとづいて、回転停止時のすべり量が制御される。
【0057】
入賞処理は、回胴31a〜回胴31cの停止位置(停止図柄)にもとづいて、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、小役などの入賞を判定するとともに、入賞内容に応じて、払い出すメダルの枚数を決定する。
賞メダル払出処理は、ホッパー装置40を制御し、メダルの払い出しを行う。このとき、クレジットモードがONであれば、払い出すべきメダルがクレジット枚数に加算される。
【0058】
つぎに、本発明の要部であるメダル投入処理について、図11を参照して詳細に説明する。
この図に示すように、メダル投入処理では、まず、ゲーム中であるか否かを判断するとともに(S201)、クレジット枚数が最大枚数よりも少ないか否かを判断する(S202)。ここで、ゲーム中である場合や、クレジット枚数が最大枚数である場合は、ブロッカ25をOFFとし(S203)、メダルの投入を規制する。
つぎに、投入信号ONカウンタのアドレスをセットした後(S204)、ブロッカ25のON/OFFを判断し(S205)、ここでブロッカ25がONである場合は、後述の異物挿入判定処理(S206)を実行する。
【0059】
異物挿入判定処理から復帰したら、メダル投入信号(光学センサ26aの検出信号にもとづくメダル投入判定結果)のON/OFFを判断し(S207)、この判断結果がONのときは、エラー確認を行った後(S208)、投入信号ONカウンタをインクリメントする(S209)。また、投入信号ONカウンタをインクリメントした後は、メダルの詰りを判断し(S210)、この判断結果がYESの場合は、エラーフラグをセットするとともに(S211)、投入信号ONカウンタをクリアする(S212)。
また、クレジットモードがONの場合は(S213)、投入信号ONカウンタに応じて、クレジット枚数をインクリメントするクレジット処理(S214)も実行される。
【0060】
つぎに、メダル投入処理のサブルーチンである異物挿入判定処理について、図12を参照して説明する。
異物挿入判定処理では、まず、第二検出部27に設けられる光学センサ27a、27bの検出信号を判断する。ここで、光学センサ27aの立上り(OFF→ON)を判断した場合は(S301)、S1タイマの計時を開始し(S302)、光学センサ27bの立上り(OFF→ON)を判断した場合は(S303)、S2タイマの計時を開始し(S304)、光学センサ27aの立下がり(ON→OFF)を判断した場合は(S305)、S1タイマをクリアし(S306)、光学センサ27bの立下がり(ON→OFF)を判断した場合は(S307)、S2タイマをクリアする(S308)。
【0061】
つぎに、光学センサ27a、27bのON/OFFを判断し(S309)、いずれかがONである場合は、ON/OFFパターンの判定を行う(S310)。例えば、図6及び図7に示す光学センサ27a、27bの配置例では、光学センサ27aの立上り、光学センサ27bの立上り、光学センサ27bの立下がり、光学センサ27aの立下がりが順次生じたか否かを判定する。その後、ON/OFFパターンが適正であるか否かを判断し(S311)、この判断結果がNOである場合は、異物の挿入であると判断し、警報を行う(S312)。
【0062】
一方、ON/OFFパターンが適正である場合は、S1タイマ及びS2タイマの適正判断を行う(S313、S314)。ここで、いずれかのタイマが基準時間K1、K2を超えている場合は、異物の挿入であると判断し、警報を行う(S312)。
なお、異物の挿入を報知する警報としては、スピーカSPから警報音を出音する方法、ランプLを通常とは異なるパターンで点灯させる方法、外部出力端子から警報信号を出力し、ホールコンピュータに通知する方法などを用いることができる。
【0063】
以上のように構成された本実施形態のスロットマシン1によれば、メダル投入口11から投入されたメダル、及び、メダル投入口11から挿入された異物を非接触で検出し、その検出信号にもとづいて、異物の挿入を判定することができる。
しかも、第二検出部27は、機械的に動作する部材を用いることなく、例えば透過型光学センサを用いて構成できるため、メダルセレクタ部20を大幅に改造しなくても、既存のスロットマシンに簡単に適用でき、また、機械的な動作不良によってメダルの流れを阻害するような不都合もない。
【0064】
また、第二検出部27からON信号を入力したとき、その入力継続時間を計測し、計測した入力継続時間が所定の基準時間を超えた場合に、異物の挿入であると判定するので、簡単な判定処理で異物の挿入を判定できる。
また、メダル通過時間は、通常、極めて短いため、これを基準時間とすれば、特殊器具の先端部が第一検出部26に到達する前に、特殊器具の挿入を判定することができる。
【0065】
また、第二検出部27は、メダル投入経路の幅方向に並び、かつ、メダルの両端部をほぼ同時に検出する二つの光学センサ27a、27bを備え、制御部50は、二つの光学センサ27a、27bの検出信号にもとづいて、異物の挿入を判定するので、特殊器具の挿入を確実に検出できる。
また、二つの光学センサ27a、27bによって、メダル投入経路の幅を狭くすることができるので、特殊器具が挿入しにくくなるという効果も得られる。
【0066】
また、図6及び図7に示す配置例では、二つの光学センサ27a、27bが、メダルの通過に伴うON時間に差が生じるように配置され、制御部50が、二つの光学センサ27a、27bにおけるON時間や、ON時間の差を判定条件とするので、特殊器具による不正の困難性を高めることができる。
また、図6に示す配置例では、二つの光学センサ27a、27bが、メダル端部から所定の深さ位置でメダルの通過を検出するにあたり、異なる深さ位置でメダルの通過を検出することによって、メダルの通過に伴うON時間に差を生じさせるので、光学センサ27a、27bの配置設定だけで、ON時間に差を生じさせることができる。
【0067】
また、図7に示す配置例では、二つの光学センサ27a、27bを、メダル投入経路の曲部に配置することによって、メダルの通過に伴うON時間に差を生じさせるので、光学センサ27a、27bの配置設定だけで、ON時間に差を生じさせることができる。
また、図8に示す配置例では、二つの光学センサ27a、27bが、メダルの検出タイミングに差が生じるように、メダル投入経路の長さ方向に位置をずらして配置され、制御部50が、二つの光学センサ27a、27bにおける検出タイミングの差を判定条件とするので、特殊器具による不正の困難性を高めることができる。
【0068】
また、少なくとも一方の光学センサ27a、27bを、メダル投入経路の幅方向及び/又は長さ方向に位置変更可能にした場合は、光学センサ27a、27bの位置を適宜変更することにより、特殊器具による不正の困難性を高めることができる。
また、制御部50は、異物の挿入であると判定したとき、所定の警報を行うので、ホールの店員や周囲の遊技者に不正行為を報知し、不正行為の抑止効果を高めることができる。
【0069】
以上、本発明のスロットマシンについて、好ましい一実施形態を示して説明したが、本発明に係るスロットマシンは、上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、第二検出部として、二個一対の光学センサを備えるようにしていたが、本発明のスロットマシンに備えられる第二検出部としては、光学センサのみに限られず、ITVカメラとすることもできる。
【0070】
図13及び図14に、第二検出部としてITVカメラを備える場合の実施形態を示す。
同図に示すように、第二検出部27として、メダル投入経路を移動するメダルをメダル投入経路側面から撮像するITVカメラ27cを備えることができる。ITVカメラ27cは、第一検出部26の上流側又は下流側のメダル投入経路を撮影できるように、スロットマシン筐体内のメダル投入経路と対向する所定位置に配設する(図13参照)。
このITVカメラ27cの撮像信号に基づいて、異物挿入判定手段が異物の挿入を判定することができる。
【0071】
ITVカメラ27cは、例えばCCDカメラやCMOSセンサカメラ等の光学的撮像手段からなり、メダル投入経路を通過するメダルを撮像できるものである。
そして、このようなITVカメラ27cで得られた画像中にメダル投入経路を移動する真円形の映像があれば正規のメダルと判定するとともに、投入経路に挿入させる長い棒状の映像があれば特殊器具であると判定することができる。
これによって、ITVカメラで得られる画像に基づき、より直接的に正規のメダルと特殊器具とを峻別することができ、不正行為を確実に発見,防止することができるようになる。
【0072】
ここで、このようなITVカメラ27cを備える場合には、メダル投入経路を移動するメダル映像を確実に撮像するために、図14に示すように、セレクタベース21を黒染処理することが好ましい(図14に示す斜線部参照)。
黒染処理は、ステンレス等の金属の表面を化学処理で黒色化する処理であり、セレクタベース21を黒染処理することで、銀白色のメダルの映像が容易に判別できるようになる。
このようにITVカメラ27cを備えることによっても、上述した光学センサを備える場合と同様に、正規のメダルと不正な特殊器具を峻別し、不正行為を確実に発見,防止することができる。
【0073】
なお、以上のようなITVカメラ、あるいは光学センサからなる本発明の第二検出部は、第一検出部の上流側に備える場合を例にとって示したが、第一検出部の下流側、すなわち、第一検出部を通過したメダルを検知する位置に設けてもよい。
クレジット不正を行うための特殊器具は、第一検出部を誤動作させるものであり、第一検出部のさらに下流側には挿入されることはない。従って、第一検出部の下流側に第二検出部を備えることで、第二検出部での検出信号が入力された場合のみ正規のメダルが通過したものと判定することができ、これによって不正な特殊器具の挿入の有無を検出,判定することができる。
【0074】
このように、第二検出部は、第一検出部の少なくとも上流側又は下流側に備えられていればよく、第一検出部の上流側及び下流側の双方に備えることもでき、さらに、第一検出の上流側及び/又は下流側に、複数の第二検出部を備えることもできる。
この場合、複数の第二検出としては、上述した光学センサとITVカメラの第二検出部を組み合わせて備えることも勿論可能である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、メダルを投入して遊技されるスロットマシンに適用することができる。特に、クレジット機能を悪用した不正行為が行われる可能性のあるスロットマシンにおいて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るスロットマシンのメダルセレクタ部を示す側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るスロットマシンのセレクタカバーやブロッカを外したメダルセレクタ部の側面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの第二検出部における光学センサの第一の配置例を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの第二検出部における光学センサの第二の配置例を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの第二検出部における光学センサの第三の配置例を示す説明図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの第二検出部における光学センサの第四の配置例を示す説明図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの制御構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るスロットマシンにおけるメインルーチンを示すフローチャートである。
【図11】本発明の一実施形態に係るスロットマシンにおけるメダル投入処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の一実施形態に係るスロットマシンにおける異物挿入判定処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明の他の実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す斜視図である。
【図14】本発明の他の実施形態に係るスロットマシンのメダルセレクタ部を示す側面図である。
【符号の説明】
【0077】
1 スロットマシン
11 メダル投入口
13 クレジット精算スイッチ
14 BETスイッチ
15 MAXBETスイッチ
20 メダルセレクタ部
26 第一検出部
26a 光学センサ
27 第二検出部
27a 光学センサ
27b 光学センサ
27c ITVカメラ
50 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、メダル投入口に特殊器具(異物)を挿入して、クレジット枚数を不正に上げる行為を効果的に防止できるスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
メダルが賭けられた後にゲームを開始し、当該ゲームの入賞内容に応じて、所定枚数のメダルを払い出すスロットマシンが普及している。この種のスロットマシンでは、通常、メダルを賭ける方法として、ゲーム毎にメダル投入口からメダルを投入する方法と、クレジット機能により貯溜されたメダルを賭ける方法とがあり、遊技者が選択できるようにしてある。
【0003】
上記のクレジット機能は、メダル投入口から投入されたメダルや、入賞内容に応じて払い出すべきメダルを、クレジットとして機械内部に貯溜(記憶)する機能であり、貯溜されたメダルの枚数はクレジット表示部に表示される。クレジットとして貯溜されたメダルは、BETスイッチやMAXBETスイッチの操作により、ゲームに賭けることができ、また、クレジット精算スイッチの操作により、払い出すことができる。このクレジット精算は、通常、その台を離れるときに一回だけ実行される。
【0004】
近年、スロットマシンのクレジット機能を悪用した不正行為が増えている。例えば、先端部に発光素子が設けられた特殊器具をメダル投入口から挿入し、その先端部をメダルセレクタ部のメダル通過センサ(例えば透過型フォトインタラプタ)まで到達させた後、発光素子の点滅によってメダル通過センサを誤作動させ、クレジット枚数を瞬時に最大値(例えば50枚)まで上げる不正行為が知られている。
【0005】
この種の不正行為は、短時間のうちに実行されているので、発見がきわめて困難であり、しかも、クレジット枚数を最大値まで上げ、これをクレジット精算で払い出すという行為が繰り返されるため、大量のメダルが抜かれ、大きな被害を生じる可能性がある。
【0006】
そこで、メダルセレクタ部に、第二のメダル通過センサを追加し、その検出信号を加味して、適正なメダル投入を判定することが提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0007】
特許文献1に示される受入判定装置は、第一メダル通過センサの下方に第二メダル通過センサを追加し、第一及び第二メダル通過センサが検出動作したときだけ、適正なメダル投入であると判定するようにしてある。
しかしながら、特許文献1の受入判定装置は、先端部の上下幅が狭い特殊器具を想定したものであり、先端部の上下幅を広くした特殊器具が使用された場合、その効果に疑問がある。例えば、先端部の上下幅が広く、かつ、その上下位置(第一及び第二メダル通過センサの対向位置)に発光素子が設けられた特殊器具を使用すると、第一及び第二メダル通過センサを誤作動させることが可能となる。
【0008】
一方、特許文献2に示されるメダル識別機は、メダル通過力を受けて退避する出没自在なメダル当接部材と、メダル当接部材の出没を検出するメダル通過検出器とを用いて、第二メダル通過センサを構成しているので、例えば、メダル当接部材の退避継続時間が異常に長いとき、特殊器具が挿入されたと判定することができる。
【特許文献1】特開2001−17611号公報
【特許文献2】特開2002−65951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2に示されるものでは、第二のメダル通過センサを機械的なスイッチによって構成しているため、既存のスロットマシンに適用するには、メダルセレクタ部の大幅な改造が必要になるだけでなく、メダルセレクタ部の構造が複雑化するという問題がある。
【0010】
また、メダルの通過力でメダル当接部材を出没させるという機械的な構成は、その動作性に疑問がある。例えば、メダル当接部材の支点部分における汚れや摩耗によって、メダル当接部材の出没が円滑に行われなくなると、メダル当接部材がメダルの流れを阻害し、メダル詰りなどのトラブルを誘発する可能性がある。
【0011】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、メダルセレクタ部の構造を複雑にしたり、メダルの流れを阻害することなく、特殊器具によるクレジット不正を確実に判定し、これを効果的に防止することができるスロットマシンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため本発明のスロットマシンは、メダル投入口から投入されたメダル、及び、ゲームの入賞内容に応じて払い出すべきメダルを、クレジットとして貯溜するクレジット手段と、クレジットとして貯溜されたメダルを、所定のBET操作に応じてゲームに賭けるBET手段と、クレジットとして貯溜されたメダルを、所定のクレジット精算操作に応じて払い出すクレジット精算手段とを備えるスロットマシンにおいて、前記メダル投入口から投入されたメダルを装置内部へ導くメダル投入経路と、前記メダル投入経路に配置され、前記メダル投入口から投入されたメダルを光学的に検出する第一検出部と、前記第一検出部の検出信号にもとづいて、メダルの投入枚数をカウントする投入枚数カウント手段と、前記メダル投入経路における前記第一検出部の上流側及び/又は下流側に配置され、前記メダル投入口から投入されたメダル、及び、前記メダル投入口から挿入された異物を光学的に検出する第二検出部と、少なくとも前記第二検出部の検出信号にもとづいて、異物の挿入を判定する異物挿入判定手段とを備える構成としてある。
【0013】
このように構成すれば、メダル投入口から投入されたメダル、及び、メダル投入口から挿入された異物を非接触で検出し、その検出信号にもとづいて、異物の挿入を判定することができる。
しかも、第二検出部は、機械的に動作する部材を用いることなく、例えば透過型光学センサやCCDカメラ等を用いて構成できるため、メダルセレクタ部を大幅に改造しなくても、既存のスロットマシンに簡単に適用でき、また、機械的な動作不良によってメダルの流れを阻害するような不都合もない。
【0014】
また、本発明のスロットマシンは、前記異物判定手段が、前記第二検出部からON信号を入力したとき、その入力継続時間を計測し、計測した入力継続時間が所定の基準時間を超えた場合に、異物の挿入であると判定する構成としてある。
このように構成すれば、簡単な判定処理によって異物の挿入を判定することができる。また、メダル通過時間(例えば、35msec)は、通常、極めて短いため、これを基準時間(=メダル通過時間+誤差許容値)とすれば、特殊器具の先端部が第一検出部に到達する前に、特殊器具の挿入を判定することができる。
【0015】
また、本発明のスロットマシンは、前記第二検出部が、前記メダル投入経路の幅方向に並び、かつ、メダルの両端部をほぼ同時に検出する二つの光学センサを備え、前記異物挿入判定手段が、二つの前記光学センサの検出信号にもとづいて、異物の挿入を判定する構成としてある。
このように構成すれば、特殊器具の挿入を確実に検出することができる。また、二つの光学センサによって、メダル投入経路の幅を狭くすることができるので、特殊器具が挿入しにくくなるという効果も得られる。
【0016】
また、本発明のスロットマシンは、二つの前記光学センサが、メダルの通過に伴うON時間に差が生じるように配置され、前記異物挿入判定手段が、二つの前記光学センサにおけるON時間、及び/又は、ON時間の差を判定条件とする構成としてある。
このように構成すれば、特殊器具による不正の困難性を高めることができる。例えば、特殊器具における第二検出部の対向位置に発光素子や液晶シャッターを追加し、かつ、これを単純に一定周期で駆動させた場合、メダルと誤認することなく、異物の挿入であると判定することができる。
【0017】
また、本発明のスロットマシンは、二つの前記光学センサが、メダル端部から所定の深さ位置でメダルの通過を検出する際、異なる深さ位置でメダルの通過を検出することによって、メダルの通過に伴うON時間に差を生じさせる構成としてある。
このように構成すれば、光学センサの配置設定だけで、ON時間に差を生じさせることができる。
【0018】
また、本発明のスロットマシンは、二つの前記光学センサが、前記メダル投入経路の曲部に配置されることによって、メダルの通過に伴うON時間に差を生じさせる構成としてある。
このように構成すれば、光学センサの配置設定だけで、ON時間に差を生じさせることができる。
【0019】
また、本発明のスロットマシンは、二つの前記光学センサが、メダルの検出タイミングに差が生じるように、前記メダル投入経路の長さ方向に位置をずらして配置され、前記異物挿入判定手段が、二つの前記光学センサにおける検出タイミングの差を判定条件とする構成としてある。
このように構成すれば、特殊器具による不正の困難性を高めることができる。例えば、特殊器具における第二検出部の対向位置に発光素子や液晶シャッターを追加し、かつ、これを単純に一定周期で駆動させた場合、メダルと誤認することなく、異物の挿入であると判定することができる。
【0020】
また、本発明のスロットマシンは、少なくとも一方の前記光学センサが、前記メダル投入経路の幅方向及び/又は長さ方向に位置変更可能に構成してある。
このように構成すれば、光学センサの位置を適宜変更することにより、特殊器具による不正の困難性を高めることができる。
【0021】
また、本発明のスロットマシンは、前記第二検出部が、前記メダル投入経路を移動するメダルをメダル投入経路側面から撮像するITVカメラを備え、前記異物挿入判定手段が、前記ITVカメラの撮像信号にもとづいて、異物の挿入を判定する構成としてある。
このように構成すれば、本発明の第二検出部として、上述した光学センサに換えてCCDカメラ等で構成されたITVカメラを備えることができる。このようなITVカメラを備えることにより、メダル投入経路を通過するメダルを撮像でき、得られた画像中にメダル投入経路を移動する真円形の映像があれば正規のメダルであり、投入経路に挿入させる長い棒状の映像があれば特殊器具であると判定することができる。これにより、ITVカメラで得られる画像に基づき、より直接的に正規のメダルと特殊器具とを峻別することができ、不正行為を確実に発見,防止することができるようになる。
【0022】
さらに、本発明のスロットマシンは、前記異物挿入判定手段が、異物の挿入であると判定したとき、所定の警報を行う構成としてある。
このように構成すれば、ホールの店員や周囲の遊技者に不正行為を報知できるので、不正行為の抑止効果を高めることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、メダル投入口から投入されたメダル、及び、メダル投入口から挿入された異物を非接触で検出し、その検出信号にもとづいて、異物の挿入が判定される。これにより、メダルセレクタ部の構造を複雑にしたり、メダルの流れを阻害することなく、特殊器具によるクレジット不正を確実に判定し、これを効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、スロットマシンの正面図、図2は、スロットマシンの内部構成を示す斜視図である。
【0025】
これらの図に示すように、スロットマシン1は、前扉10の前面側に、メダル投入口11と、クレジット表示部12と、クレジット精算スイッチ13と、BETスイッチ14と、MAXBETスイッチ15と、スタートレバー16と、複数のストップボタン17(17a〜17c)と、メダル払出口18と、メダル返却ボタン19と、ランプLとを備え、また、前扉10の後面側に、スピーカSPと、メダルセレクタ部20とを備え、更に、マシン本体の内部に、ドラムユニット30と、ホッパー装置40と、制御部50とを備えている。
【0026】
メダル投入口11は、ゲームに賭けるメダルM(以下、符号Mを省略する)を受け入れる。スロットマシン1には、ゲームに賭けるメダルを、ゲーム毎にメダル投入口11から投入するメダル投入モードと、クレジットとして内部に貯溜されたメダルをゲームに賭けるクレジットモードとがあり、いずれかのモードを遊技者が選択できる。
クレジットモードでは、メダル投入口11から投入されたメダルや、ゲームの入賞内容に応じて払い出すべきメダルが、最大クレジット枚数(例えば50枚)を限度として内部に貯溜され、その枚数がクレジット表示部12に表示される。
【0027】
クレジット精算スイッチ13は、クレジットとして貯溜されたメダルを払い出すためのスイッチであり、本実施形態では、クレジットモードのON/OFF操作にも兼用されている。例えば、クレジットモードがOFFの状態でクレジット精算スイッチ13を押すと、クレジットモードがONになり、クレジットモードがONの状態でクレジット精算スイッチ13を押すと、貯溜メダルが払い出された後、クレジットモードがOFFとなる。
【0028】
BETスイッチ14及びMAXBETスイッチ15は、クレジットとして貯留されたメダルをゲームに賭けるためのスイッチである。BETスイッチ14は、クレジットとして貯留されたメダルを、一回の操作につき一枚ずつ賭けることができ、MAXBETスイッチ15は、一回のゲームに賭けられる最大枚数(例えば三枚)を、一回の操作で賭けることができる。
【0029】
スタートレバー16は、メダルが賭けられた後に操作される。スタートレバー16を操作すると、ドラムユニット30に設けられる回胴31a〜31cの回転が開始される。
ストップボタン17a〜17cは、回胴31a〜31cと同数(通常は三つ)設けられている。これらのストップボタン17a〜17cが押されると、対応する回胴31a〜31cの回転が停止し、ゲームの入賞又は外れが決まる。
【0030】
メダル払出口18は、ゲームの入賞内容に応じて、所定枚数のメダルが払い出される部分である。また、精算された貯溜メダルも、ここから払い出される。
メダル返却ボタン19は、メダルセレクタ部20にメダルが滞留した場合に操作される。メダル返却ボタン19を操作すると、メダルセレクタ部20に滞留したメダルがメダル払出口18から返却される。
ランプLは、その点灯や点滅により、遊技の演出を行う。
スピーカSPは、効果音、払出音、音声メッセージなどの出音により、遊技の演出を行う。
【0031】
図3は、メダルセレクタ部の側面図、図4は、セレクタカバーやブロッカを外したメダルセレクタ部の側面図である。
これらの図に示すように、メダルセレクタ部20は、メダル投入口11からホッパー装置40に至る傾斜したメダル投入経路を形成しており、具体的には、セレクタベース21と、下部メダルガイド22と、上部メダルガイド23と、セレクタカバー24と、ブロッカ25と、第一検出部26と、第二検出部27とを備えて構成されている。
【0032】
セレクタベース21は、メダル投入経路の一側面を構成する板材であり、中間部には、長方形の開口部21aが形成されている。
下部メダルガイド22は、セレクタベース21の下端部に沿って固定されている。メダル投入口11から投入されたメダルは、一側面がセレクタベース21にガイドされつつ、下部メダルガイド22上を転がり、ホッパー装置40側へ導かれる。
【0033】
上部メダルガイド23は、セレクタベース21の上端部に沿って固定される。このとき、下部メダルガイド22と上部メダルガイド23の間隔を、正規メダルの径よりも僅かに大きく設定することにより、大径メダルの通過が規制される。ここで通過が規制された大径メダルは、メダルセレクタ部20の中間部から落下し、メダル払出口18から返却される。
一方、小径メダルは、上部メダルガイド23の通過規制を受けないが、セレクタベース21の開口部21a内に倒れ込むため、大径メダルと同様にメダルセレクタ部20の中間部から落下し、メダル払出口18から返却される。
【0034】
セレクタカバー24は、セレクタベース21の上端に支軸24aを介して開閉自在に設けられ、かつ、バネ24bによって閉方向に付勢されている。このように構成されたセレクタカバー24は、通常、所定の隙間を介してセレクタベース21と対向し、正規メダルの落下を防止しているが、大径メダルが投入された場合や、正規メダルが詰まった場合には、メダルの自重又はメダル返却ボタン19の操作力で開方向へ退避し、メダルの落下を許容する。また、セレクタカバー24は、セレクタベース21の開口部21aと対応する部位に切り欠き24cを有し、この切り欠き24cによって小径メダルを積極的に落下させる。
【0035】
ブロッカ25は、開閉自在なL字形状のブロッカプレート25aと、これを電磁的に開閉させる電磁石25bとを備えて構成されている。ブロッカプレート25aが閉じた状態では、投入メダルがブロッカプレート25aの先端部上を転がり、ホッパー装置40側へ導かれる。一方、ブロッカプレート25aが開いた状態では、投入メダルがメダルセレクタ部20の中間部から落下し、メダル払出口18から返却される。
【0036】
第一検出部26は、メダル投入経路の終端側に構成され、メダル投入口11から投入されたメダルを光学的に検出する。メダルを検出する光学センサ26aとしては、例えば、透過型フォトインタラプタ(透過型フォトセンサ)を用いることができ、また、光学センサ26aの個数は、任意に設定することができる。近年、メダル投入口11から特殊器具を挿入し、第一検出部26の光学センサ26aを誤動作させる不正行為が増えている。
【0037】
第二検出部27は、第一検出部26よりも上流側に構成され、メダル投入口11から投入されたメダルや、メダル投入口11から挿入された異物を光学的に検出する。メダルや異物を検出する光学センサ27a、27bとしては、第一検出部26と同様に、透過型フォトインタラプタを用いることができる。第二検出部27をこのように構成すると、メダル投入口11から投入されたメダル、及び、メダル投入口11から挿入された異物を非接触で検出し、その検出信号にもとづいて、異物の挿入を判定することが可能になる。
【0038】
例えば、光学センサ27a、27bがメダル又は異物を検出したとき、その継続時間を計測し、計測した継続時間が所定の基準時間を超えた場合に、異物の挿入であると判定することができる。
すなわち、メダルの通過速度をS(例えば、700mm/sec)、メダルの直径をA(例えば、25mm)とすると、検出位置におけるメダルの通過時間は、メダル中心でA/S(35msec≒25/700)であり、通常のメダル投入では、この時間を超えて光学センサ27a、27bが連続的にON動作することはない。したがって、メダル通過時間をもとに基準時間(=メダル通過時間+誤差許容値)を設定すれば、異物の挿入を判定することができる。また、図3及び図4に示すように、第二検出部27をメダル投入口11の近傍に構成し、第一検出部26との距離を大きくすれば、特殊器具の先端部が第一検出部26に到達する前に、特殊器具の挿入を判定することも可能である。
【0039】
つぎに、第二検出部27における光学センサ27a、27bの配置例と、各配置例に応じた異物の判定方法について説明する。
図5は、第二検出部における光学センサの第一の配置例を示す説明図、図6は、第二検出部における光学センサの第二の配置例を示す説明図、図7は、第二検出部における光学センサの第三の配置例を示す説明図、図8は、第二検出部における光学センサの第四の配置例を示す説明図である。
【0040】
図5〜図8に示すように、第二検出部27は、メダル投入経路の幅方向に並び、かつ、メダルの両端部をほぼ同時に検出する二つの光学センサ27a、27bを備えることが好ましい。このようにすると、二つの光学センサ27a、27bの検出信号にもとづいて、異物の挿入を確実に判定することができる。また、二つの光学センサ27a、27bを透過型フォトインタラプタで構成した場合は、メダル投入経路の幅が光学センサ27a、27bによって狭められるので、特殊器具が挿入しにくくなるという効果も得られる。
【0041】
図5の(a)は、二つの光学センサ27a、27bをメダル投入経路の直線部に配置した例を示している。光学センサ27a、27bを透過型フォトインタラプタで構成する場合は、図5の(b)に示すように、メダル投入経路及びセレクタベース21の端部を挟むように透過型フォトインタラプタを取り付け、セレクタベース21に形成した孔21bを介して、投受光を行うことができる。
【0042】
図5の(c)は、メダルが連続的に投入された状態を示している。このような状態でメダルが投入されても、メダル中心以外の部分では、メダル間に必ず隙間が生じるため、光学センサ27a、27bが断続的にON動作し、図5の(d)に示すような検出信号が得られる。これに対して、異物が挿入された場合は、図5の(e)に示すように、少なくとも一方の光学センサ27a、27bが所定の基準時間を超えて連続的にON動作するため、異物の挿入を判定することができる。
【0043】
図6及び図7に示すように、二つの光学センサ27a、27bは、メダルの通過に伴うON時間に差が生じるように配置されることが好ましい。このようにすると、二つの光学センサ27a、27bにおけるON時間だけでなく、ON時間の差を判定条件に加えることができるため、特殊器具による不正の困難性を高めることができる。例えば、特殊器具における第二検出部27の対向位置に発光素子や液晶シャッターを追加し、かつ、これを単純に一定周期で駆動させたとしても、メダルと誤認することなく、異物の挿入であると判定することができる。
【0044】
図6の(a)に示す配置例では、二つの光学センサ27a、27bが、メダル端部から所定の深さ位置でメダルの通過を検出するにあたり、異なる深さ位置でメダルの通過を検出することによって、メダルの通過に伴うON時間に差を生じさせる。このようにすれば、メダルが通過したとき、各光学センサ27a、27bにおけるメダル通過時間に差が生じ、図6の(b)に示すような検出信号が得られる。このような検出信号によれば、一方の光学センサ27aのみがONの状態と、両方の光学センサ27a、27bがONの状態と、一方の光学センサ27aのみがONの状態が連続的に生じるので、このON/OFFパターンを判定条件としてメダルの投入を判定でき、また、この判定条件を満たさないとき、異物の挿入であると判定することができる。
【0045】
また、図7の(a)に示す配置例では、二つの光学センサ27a、27bを、メダル投入経路の曲部に配置することによって、メダルの通過に伴うON時間に差を生じさせている。このようにすると、メダルが通過するとき、曲部の内周側に配置された光学センサ27aのメダル通過時間が長くなり、図7の(b)に示すような検出信号が得られる。これにより、図6に示す配置例と同様に、一方の光学センサ27aのみがONの状態と、両方の光学センサ27a、27bがONの状態と、一方の光学センサ27aのみがONの状態を判定条件とし、異物の挿入を判定することができる。
【0046】
図8の(a)に示す配置例では、二つの光学センサ27a、27bを、メダルの検出タイミングに差が生じるように、メダル投入経路の長さ方向に位置をずらして配置している。このような配置によれば、メダルが通過するとき、図8の(b)に示すように、一方の光学センサ27aのみがONの状態と、両方の光学センサ27a、27bがONの状態と、他方の光学センサ27bのみがONの状態が連続的に生じるので、このON/OFFパターンを判定条件としてメダルの投入を判定でき、また、この判定条件を満たさないとき、異物の挿入であると判定することができる。
【0047】
また、光学センサ27a、27bの位置は、メダル投入経路の幅方向や長さ方向に変更できるようにすることが好ましい。例えば、光学センサ27a、27bの固定孔を長孔とすれば、長孔に沿って光学センサ27a、27bの位置を変更することができる。このようにすれば、光学センサ27a、27bの位置を適宜変更し、特殊器具による不正の困難性を高めることができる。例えば、特殊器具における第二検出部27の対向位置に発光素子や液晶シャッターを追加しても、光学センサ27a、27bを正確に誤作動させることが困難になる。
【0048】
図9は、スロットマシンの制御構成を示すブロック図である。
この図に示すように、ドラムユニット30は、複数の回胴31a〜31cと、モータ駆動回路32と、複数のステッピングモータ33a〜33cと、回胴位置検出部34とを有している。
回胴31a〜31cの外周面には、複数の図柄が描かれている。これらの図柄は、前扉10の表示窓10aを介して、遊技者に目視される。
【0049】
モータ駆動回路32は、制御部50からのパルス信号にもとづき、ステッピングモータ33a〜33cを駆動制御して、回胴31a〜31cの回転を始動・停止させる。
回胴位置検出部34は、回胴31a〜31cの回転が停止すると、この回胴31a〜31cに記されたマーカにもとづいて、回胴31a〜31cの回転停止位置を検出し、これを制御部50へ送る。
【0050】
ホッパー装置40は、ホッパー41と、ホッパー駆動回路42と、メダル検出部43とを有している。
ホッパー41は、メダル投入口11から投入されたメダルや、外部から補給されたメダルをメダルを蓄える部分である。
ホッパー駆動回路42は、制御部50から払い出し信号を受信すると、ホッパー41の底部に設けられるメダル排出部(図示せず)を駆動し、所定枚数のメダルを払い出させる。
メダル検出部43は、メダル排出部から払い出されるメダルの枚数をカウントし、これを制御部50へ送る。
【0051】
制御部50は、表示駆動回路51と、サウンド回路52と、ランプ駆動回路53と、CPU54と、クロック発生回路55と、乱数発生回路56と、ROM57と、RAM58とを有している。
表示駆動回路51は、CPU54からの信号に応じて、クレジット表示部12にクレジット枚数を表示させる。
サウンド回路52は、CPU54からの信号(コマンド)に応じて、スピーカSPに効果音、払出音、音声メッセージなどを出力させる。
ランプ駆動回路53は、CPU54からの信号(コマンド)に応じて、ランプLを点灯・点滅させる。
【0052】
CPU54は、クレジット精算スイッチ13、BETスイッチ14、MAXBETスイッチ15、スタートレバー(スタートスイッチ)16、ストップボタン(ストップスイッチ)17a〜17c、光学センサ26a、27a、27bなどから信号を入力し、これらの入力信号にもとづいて、ドラムユニット30、ホッパー装置40、表示駆動回路51、サウンド回路52、ランプ駆動回路53などの制御を行う。
ROM57は、所定のプログラムを記憶しており、このプログラムにしたがってCPU54が動作される。
RAM58は、遊技に係る各種のデータを記憶する。ここには、クレジットとして貯留されるメダルの枚数データも含まれる。
【0053】
つぎに、制御部50の制御手順について、図10〜図12を参照して説明する。
図10は、メインルーチンを示すフローチャート、図11は、メダル投入処理を示すフローチャート、図12は、異物挿入判定処理を示すフローチャートである。
【0054】
図10に示すように、メインルーチンは、起動時に初期設定(S101)を実行した後、クレジット精算処理(S102:クレジット精算手段)、メダル投入処理(S103:異物挿入判定手段、投入枚数カウント手段、クレジット手段)、BET処理(S104:BET手段)、スタート処理(S105)、回胴停止処理(S106)、入賞処理(S107)、賞メダル払出処理(S108:クレジット手段)などを繰り返し実行する。
【0055】
初期設定は、各種設定値の初期化、メモリクリアなどを行う。
クレジット精算処理は、クレジット精算スイッチ13の操作に応じて、貯溜メダルの払い出しや、クレジットモードのON/OFF切り換えを行う。
メダル投入処理は、投入されたメダルや挿入された異物を判定する処理、メダルの投入枚数をカウントする処理、投入枚数をクレジット枚数に加算する処理(クレジットモードON時)などを行う。
【0056】
BET処理は、BETスイッチ14やMAXBETスイッチ15の操作に応じて、貯溜メダルをゲームに賭ける処理(クレジットモードON時)を行う。
スタート処理は、スタートレバー16の操作に応じて、抽選用の乱数を取得するとともに、回胴31a〜回胴31cの回転を開始させる。
回胴停止処理は、ストップボタン17a〜17cの操作に応じて、回胴31a〜回胴31cの回転を停止させる。このとき、抽選用の乱数にもとづいて、回転停止時のすべり量が制御される。
【0057】
入賞処理は、回胴31a〜回胴31cの停止位置(停止図柄)にもとづいて、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、小役などの入賞を判定するとともに、入賞内容に応じて、払い出すメダルの枚数を決定する。
賞メダル払出処理は、ホッパー装置40を制御し、メダルの払い出しを行う。このとき、クレジットモードがONであれば、払い出すべきメダルがクレジット枚数に加算される。
【0058】
つぎに、本発明の要部であるメダル投入処理について、図11を参照して詳細に説明する。
この図に示すように、メダル投入処理では、まず、ゲーム中であるか否かを判断するとともに(S201)、クレジット枚数が最大枚数よりも少ないか否かを判断する(S202)。ここで、ゲーム中である場合や、クレジット枚数が最大枚数である場合は、ブロッカ25をOFFとし(S203)、メダルの投入を規制する。
つぎに、投入信号ONカウンタのアドレスをセットした後(S204)、ブロッカ25のON/OFFを判断し(S205)、ここでブロッカ25がONである場合は、後述の異物挿入判定処理(S206)を実行する。
【0059】
異物挿入判定処理から復帰したら、メダル投入信号(光学センサ26aの検出信号にもとづくメダル投入判定結果)のON/OFFを判断し(S207)、この判断結果がONのときは、エラー確認を行った後(S208)、投入信号ONカウンタをインクリメントする(S209)。また、投入信号ONカウンタをインクリメントした後は、メダルの詰りを判断し(S210)、この判断結果がYESの場合は、エラーフラグをセットするとともに(S211)、投入信号ONカウンタをクリアする(S212)。
また、クレジットモードがONの場合は(S213)、投入信号ONカウンタに応じて、クレジット枚数をインクリメントするクレジット処理(S214)も実行される。
【0060】
つぎに、メダル投入処理のサブルーチンである異物挿入判定処理について、図12を参照して説明する。
異物挿入判定処理では、まず、第二検出部27に設けられる光学センサ27a、27bの検出信号を判断する。ここで、光学センサ27aの立上り(OFF→ON)を判断した場合は(S301)、S1タイマの計時を開始し(S302)、光学センサ27bの立上り(OFF→ON)を判断した場合は(S303)、S2タイマの計時を開始し(S304)、光学センサ27aの立下がり(ON→OFF)を判断した場合は(S305)、S1タイマをクリアし(S306)、光学センサ27bの立下がり(ON→OFF)を判断した場合は(S307)、S2タイマをクリアする(S308)。
【0061】
つぎに、光学センサ27a、27bのON/OFFを判断し(S309)、いずれかがONである場合は、ON/OFFパターンの判定を行う(S310)。例えば、図6及び図7に示す光学センサ27a、27bの配置例では、光学センサ27aの立上り、光学センサ27bの立上り、光学センサ27bの立下がり、光学センサ27aの立下がりが順次生じたか否かを判定する。その後、ON/OFFパターンが適正であるか否かを判断し(S311)、この判断結果がNOである場合は、異物の挿入であると判断し、警報を行う(S312)。
【0062】
一方、ON/OFFパターンが適正である場合は、S1タイマ及びS2タイマの適正判断を行う(S313、S314)。ここで、いずれかのタイマが基準時間K1、K2を超えている場合は、異物の挿入であると判断し、警報を行う(S312)。
なお、異物の挿入を報知する警報としては、スピーカSPから警報音を出音する方法、ランプLを通常とは異なるパターンで点灯させる方法、外部出力端子から警報信号を出力し、ホールコンピュータに通知する方法などを用いることができる。
【0063】
以上のように構成された本実施形態のスロットマシン1によれば、メダル投入口11から投入されたメダル、及び、メダル投入口11から挿入された異物を非接触で検出し、その検出信号にもとづいて、異物の挿入を判定することができる。
しかも、第二検出部27は、機械的に動作する部材を用いることなく、例えば透過型光学センサを用いて構成できるため、メダルセレクタ部20を大幅に改造しなくても、既存のスロットマシンに簡単に適用でき、また、機械的な動作不良によってメダルの流れを阻害するような不都合もない。
【0064】
また、第二検出部27からON信号を入力したとき、その入力継続時間を計測し、計測した入力継続時間が所定の基準時間を超えた場合に、異物の挿入であると判定するので、簡単な判定処理で異物の挿入を判定できる。
また、メダル通過時間は、通常、極めて短いため、これを基準時間とすれば、特殊器具の先端部が第一検出部26に到達する前に、特殊器具の挿入を判定することができる。
【0065】
また、第二検出部27は、メダル投入経路の幅方向に並び、かつ、メダルの両端部をほぼ同時に検出する二つの光学センサ27a、27bを備え、制御部50は、二つの光学センサ27a、27bの検出信号にもとづいて、異物の挿入を判定するので、特殊器具の挿入を確実に検出できる。
また、二つの光学センサ27a、27bによって、メダル投入経路の幅を狭くすることができるので、特殊器具が挿入しにくくなるという効果も得られる。
【0066】
また、図6及び図7に示す配置例では、二つの光学センサ27a、27bが、メダルの通過に伴うON時間に差が生じるように配置され、制御部50が、二つの光学センサ27a、27bにおけるON時間や、ON時間の差を判定条件とするので、特殊器具による不正の困難性を高めることができる。
また、図6に示す配置例では、二つの光学センサ27a、27bが、メダル端部から所定の深さ位置でメダルの通過を検出するにあたり、異なる深さ位置でメダルの通過を検出することによって、メダルの通過に伴うON時間に差を生じさせるので、光学センサ27a、27bの配置設定だけで、ON時間に差を生じさせることができる。
【0067】
また、図7に示す配置例では、二つの光学センサ27a、27bを、メダル投入経路の曲部に配置することによって、メダルの通過に伴うON時間に差を生じさせるので、光学センサ27a、27bの配置設定だけで、ON時間に差を生じさせることができる。
また、図8に示す配置例では、二つの光学センサ27a、27bが、メダルの検出タイミングに差が生じるように、メダル投入経路の長さ方向に位置をずらして配置され、制御部50が、二つの光学センサ27a、27bにおける検出タイミングの差を判定条件とするので、特殊器具による不正の困難性を高めることができる。
【0068】
また、少なくとも一方の光学センサ27a、27bを、メダル投入経路の幅方向及び/又は長さ方向に位置変更可能にした場合は、光学センサ27a、27bの位置を適宜変更することにより、特殊器具による不正の困難性を高めることができる。
また、制御部50は、異物の挿入であると判定したとき、所定の警報を行うので、ホールの店員や周囲の遊技者に不正行為を報知し、不正行為の抑止効果を高めることができる。
【0069】
以上、本発明のスロットマシンについて、好ましい一実施形態を示して説明したが、本発明に係るスロットマシンは、上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、第二検出部として、二個一対の光学センサを備えるようにしていたが、本発明のスロットマシンに備えられる第二検出部としては、光学センサのみに限られず、ITVカメラとすることもできる。
【0070】
図13及び図14に、第二検出部としてITVカメラを備える場合の実施形態を示す。
同図に示すように、第二検出部27として、メダル投入経路を移動するメダルをメダル投入経路側面から撮像するITVカメラ27cを備えることができる。ITVカメラ27cは、第一検出部26の上流側又は下流側のメダル投入経路を撮影できるように、スロットマシン筐体内のメダル投入経路と対向する所定位置に配設する(図13参照)。
このITVカメラ27cの撮像信号に基づいて、異物挿入判定手段が異物の挿入を判定することができる。
【0071】
ITVカメラ27cは、例えばCCDカメラやCMOSセンサカメラ等の光学的撮像手段からなり、メダル投入経路を通過するメダルを撮像できるものである。
そして、このようなITVカメラ27cで得られた画像中にメダル投入経路を移動する真円形の映像があれば正規のメダルと判定するとともに、投入経路に挿入させる長い棒状の映像があれば特殊器具であると判定することができる。
これによって、ITVカメラで得られる画像に基づき、より直接的に正規のメダルと特殊器具とを峻別することができ、不正行為を確実に発見,防止することができるようになる。
【0072】
ここで、このようなITVカメラ27cを備える場合には、メダル投入経路を移動するメダル映像を確実に撮像するために、図14に示すように、セレクタベース21を黒染処理することが好ましい(図14に示す斜線部参照)。
黒染処理は、ステンレス等の金属の表面を化学処理で黒色化する処理であり、セレクタベース21を黒染処理することで、銀白色のメダルの映像が容易に判別できるようになる。
このようにITVカメラ27cを備えることによっても、上述した光学センサを備える場合と同様に、正規のメダルと不正な特殊器具を峻別し、不正行為を確実に発見,防止することができる。
【0073】
なお、以上のようなITVカメラ、あるいは光学センサからなる本発明の第二検出部は、第一検出部の上流側に備える場合を例にとって示したが、第一検出部の下流側、すなわち、第一検出部を通過したメダルを検知する位置に設けてもよい。
クレジット不正を行うための特殊器具は、第一検出部を誤動作させるものであり、第一検出部のさらに下流側には挿入されることはない。従って、第一検出部の下流側に第二検出部を備えることで、第二検出部での検出信号が入力された場合のみ正規のメダルが通過したものと判定することができ、これによって不正な特殊器具の挿入の有無を検出,判定することができる。
【0074】
このように、第二検出部は、第一検出部の少なくとも上流側又は下流側に備えられていればよく、第一検出部の上流側及び下流側の双方に備えることもでき、さらに、第一検出の上流側及び/又は下流側に、複数の第二検出部を備えることもできる。
この場合、複数の第二検出としては、上述した光学センサとITVカメラの第二検出部を組み合わせて備えることも勿論可能である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、メダルを投入して遊技されるスロットマシンに適用することができる。特に、クレジット機能を悪用した不正行為が行われる可能性のあるスロットマシンにおいて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るスロットマシンのメダルセレクタ部を示す側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るスロットマシンのセレクタカバーやブロッカを外したメダルセレクタ部の側面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの第二検出部における光学センサの第一の配置例を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの第二検出部における光学センサの第二の配置例を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの第二検出部における光学センサの第三の配置例を示す説明図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの第二検出部における光学センサの第四の配置例を示す説明図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの制御構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るスロットマシンにおけるメインルーチンを示すフローチャートである。
【図11】本発明の一実施形態に係るスロットマシンにおけるメダル投入処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の一実施形態に係るスロットマシンにおける異物挿入判定処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明の他の実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す斜視図である。
【図14】本発明の他の実施形態に係るスロットマシンのメダルセレクタ部を示す側面図である。
【符号の説明】
【0077】
1 スロットマシン
11 メダル投入口
13 クレジット精算スイッチ
14 BETスイッチ
15 MAXBETスイッチ
20 メダルセレクタ部
26 第一検出部
26a 光学センサ
27 第二検出部
27a 光学センサ
27b 光学センサ
27c ITVカメラ
50 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メダル投入口から投入されたメダル、及び、ゲームの入賞内容に応じて払い出すべきメダルを、クレジットとして貯溜するクレジット手段と、
クレジットとして貯溜されたメダルを、所定のBET操作に応じてゲームに賭けるBET手段と、
クレジットとして貯溜されたメダルを、所定のクレジット精算操作に応じて払い出すクレジット精算手段と
を備えるスロットマシンにおいて、
前記メダル投入口から投入されたメダルを装置内部へ導くメダル投入経路と、
前記メダル投入経路に配置され、前記メダル投入口から投入されたメダルを光学的に検出する第一検出部と、
前記第一検出部の検出信号にもとづいて、メダルの投入枚数をカウントする投入枚数カウント手段と、
前記メダル投入経路における前記第一検出部の上流側及び/又は下流側に配置され、前記メダル投入口から投入されたメダル、及び、前記メダル投入口から挿入された異物を光学的に検出する第二検出部と、
少なくとも前記第二検出部の検出信号にもとづいて、異物の挿入を判定する異物挿入判定手段と
を備えることを特徴とするスロットマシン。
【請求項2】
前記異物判定手段が、前記第二検出部からON信号を入力したとき、その入力継続時間を計測し、計測した入力継続時間が所定の基準時間を超えた場合に、異物の挿入であると判定することを特徴とする請求項1記載のスロットマシン。
【請求項3】
前記第二検出部が、前記メダル投入経路の幅方向に並び、かつ、メダルの両端部をほぼ同時に検出する二つの光学センサを備え、
前記異物挿入判定手段が、二つの前記光学センサの検出信号にもとづいて、異物の挿入を判定する
ことを特徴とする請求項1又は2記載のスロットマシン。
【請求項4】
二つの前記光学センサが、メダルの通過に伴うON時間に差が生じるように配置され、
前記異物挿入判定手段が、二つの前記光学センサにおけるON時間、及び/又は、ON時間の差を判定条件とすることを特徴とする請求項3記載のスロットマシン。
【請求項5】
二つの前記光学センサが、メダル端部から所定の深さ位置でメダルの通過を検出する際、異なる深さ位置でメダルの通過を検出することによって、メダルの通過に伴うON時間に差を生じさせることを特徴とする請求項4記載のスロットマシン。
【請求項6】
二つの前記光学センサが、前記メダル投入経路の曲部に配置されることによって、メダルの通過に伴うON時間に差を生じさせることを特徴とする請求項4又は5記載のスロットマシン。
【請求項7】
二つの前記光学センサが、メダルの検出タイミングに差が生じるように、前記メダル投入経路の長さ方向に位置をずらして配置され、
前記異物挿入判定手段が、二つの前記光学センサにおける検出タイミングの差を判定条件とすることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載のスロットマシン。
【請求項8】
少なくとも一方の前記光学センサが、前記メダル投入経路の幅方向及び/又は長さ方向に位置変更可能であることを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載のスロットマシン。
【請求項9】
前記第二検出部が、前記メダル投入経路を移動するメダルをメダル投入経路側面から撮像するITVカメラを備え、
前記異物挿入判定手段が、前記ITVカメラの撮像信号にもとづいて、異物の挿入を判定する
ことを特徴とする請求項1又は2記載のスロットマシン。
【請求項10】
前記異物挿入判定手段が、異物の挿入であると判定したとき、所定の警報を行うことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のスロットマシン。
【請求項1】
メダル投入口から投入されたメダル、及び、ゲームの入賞内容に応じて払い出すべきメダルを、クレジットとして貯溜するクレジット手段と、
クレジットとして貯溜されたメダルを、所定のBET操作に応じてゲームに賭けるBET手段と、
クレジットとして貯溜されたメダルを、所定のクレジット精算操作に応じて払い出すクレジット精算手段と
を備えるスロットマシンにおいて、
前記メダル投入口から投入されたメダルを装置内部へ導くメダル投入経路と、
前記メダル投入経路に配置され、前記メダル投入口から投入されたメダルを光学的に検出する第一検出部と、
前記第一検出部の検出信号にもとづいて、メダルの投入枚数をカウントする投入枚数カウント手段と、
前記メダル投入経路における前記第一検出部の上流側及び/又は下流側に配置され、前記メダル投入口から投入されたメダル、及び、前記メダル投入口から挿入された異物を光学的に検出する第二検出部と、
少なくとも前記第二検出部の検出信号にもとづいて、異物の挿入を判定する異物挿入判定手段と
を備えることを特徴とするスロットマシン。
【請求項2】
前記異物判定手段が、前記第二検出部からON信号を入力したとき、その入力継続時間を計測し、計測した入力継続時間が所定の基準時間を超えた場合に、異物の挿入であると判定することを特徴とする請求項1記載のスロットマシン。
【請求項3】
前記第二検出部が、前記メダル投入経路の幅方向に並び、かつ、メダルの両端部をほぼ同時に検出する二つの光学センサを備え、
前記異物挿入判定手段が、二つの前記光学センサの検出信号にもとづいて、異物の挿入を判定する
ことを特徴とする請求項1又は2記載のスロットマシン。
【請求項4】
二つの前記光学センサが、メダルの通過に伴うON時間に差が生じるように配置され、
前記異物挿入判定手段が、二つの前記光学センサにおけるON時間、及び/又は、ON時間の差を判定条件とすることを特徴とする請求項3記載のスロットマシン。
【請求項5】
二つの前記光学センサが、メダル端部から所定の深さ位置でメダルの通過を検出する際、異なる深さ位置でメダルの通過を検出することによって、メダルの通過に伴うON時間に差を生じさせることを特徴とする請求項4記載のスロットマシン。
【請求項6】
二つの前記光学センサが、前記メダル投入経路の曲部に配置されることによって、メダルの通過に伴うON時間に差を生じさせることを特徴とする請求項4又は5記載のスロットマシン。
【請求項7】
二つの前記光学センサが、メダルの検出タイミングに差が生じるように、前記メダル投入経路の長さ方向に位置をずらして配置され、
前記異物挿入判定手段が、二つの前記光学センサにおける検出タイミングの差を判定条件とすることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載のスロットマシン。
【請求項8】
少なくとも一方の前記光学センサが、前記メダル投入経路の幅方向及び/又は長さ方向に位置変更可能であることを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載のスロットマシン。
【請求項9】
前記第二検出部が、前記メダル投入経路を移動するメダルをメダル投入経路側面から撮像するITVカメラを備え、
前記異物挿入判定手段が、前記ITVカメラの撮像信号にもとづいて、異物の挿入を判定する
ことを特徴とする請求項1又は2記載のスロットマシン。
【請求項10】
前記異物挿入判定手段が、異物の挿入であると判定したとき、所定の警報を行うことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のスロットマシン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−4315(P2006−4315A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182068(P2004−182068)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
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