スロットマシン
【課題】 ゲームの公平性を図ることができるスロットマシンを提供すること。
【解決手段】 メイン制御部41のRAMに記憶されているデータに異常が生じた場合には、RAM異常エラー状態に制御され、ゲームの進行が不能化されるとともに、設定変更モードに移行し、設定変更操作に基づいて設定値を新たに選択・設定されたことを条件に、ゲームの進行が不能化された状態を解除し、ゲームの進行が可能な状態とする。
【解決手段】 メイン制御部41のRAMに記憶されているデータに異常が生じた場合には、RAM異常エラー状態に制御され、ゲームの進行が不能化されるとともに、設定変更モードに移行し、設定変更操作に基づいて設定値を新たに選択・設定されたことを条件に、ゲームの進行が不能化された状態を解除し、ゲームの進行が可能な状態とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示装置の表示結果に応じて所定の入賞が発生可能なスロットマシンに関し、特には入賞確率を複数の段階のうちいずれかの段階に設定することが可能なスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のスロットマシンとしては、ゲームの開始とほぼ同時に入賞の発生を許容するか否かを決定する内部抽選を行い、この内部抽選に当選したことを条件に、当選した入賞の発生が許容されるものが一般的である。また、スロットマシンを設置して営業する遊技店では、売上を調整するうえで設置されたスロットマシンの入賞確率の段階を変更する必要があることから、このようなスロットマシンにおいては、遊技店の従業員等の操作によって、内部抽選の抽選確率として適用される当選確率の段階を示す値である設定値を、異なる確率が定められた複数の値から選択・設定できるようになっている。
【0003】
一方、この種のスロットマシンには、遊技の制御を行うマイクロコンピュータ等からなる制御部が搭載されており、この制御部により前述の内部抽選も行われている。また、この制御部には遊技の制御を行うためのデータを書き換え可能なメモリ(RAM)を備えており、遊技店の従業員等の操作により選択・設定された設定値もこのメモリに記憶されることとなるが、例えば、電源投入時にメモリのデータがバックアップされていない場合やメモリのデータが破壊されている場合、マイクロコンピュータの不具合によりリセットがかかった場合等、メモリのデータに異常が生じうることがあり、このような場合には、もとの状態に復帰することが不可能となるので、メモリの記憶状態が初期化される。もちろん設定値もメモリに記憶されているので、もともと設定されていた設定値を復帰させることも不可能である。
【0004】
このため、従来のスロットマシンでは、メモリのデータに異常が生じると、メモリのデータを初期化するとともに、設定値には、予め定められた設定値(例えば、払出率が100%に近い当選確率を定めた設定値や払出率が最も低くなる当選確率を定めた設定値)を自動的に設定し、ゲームの進行が可能な状態に復帰させていた(例えば、特許文献1、2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平6−114140号公報
【特許文献2】特開2000−296200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載されたような従来のスロットマシンにおいては、メモリのデータに異常が生じると、前述のように設定値には、遊技店の従業員等の操作により選択・設定された設定値ではなく、予め定められた設定値を自動的に設定し、ゲームの進行が可能な状態に復帰させているので、本来であれば、遊技店側の操作により選択・設定された設定値に基づく当選確率を適用して内部抽選が行われ、入賞の発生が許容されるべきであるのに、メモリのデータに異常が生じると、スロットマシンの制御により自動的に設定された予め定められた設定値に基づく当選確率を適用して内部抽選が行われることとなる。すなわち本来であれば遊技店側が選択した設定値に基づいてゲームが行われるべきところを、スロットマシンの不具合によりスロットマシンにより自動的に設定された設定値に基づいてゲームが行われることとなるため、ゲームの公平性が損なわれてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、ゲームの公平性を図ることができるスロットマシンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のスロットマシンは、
1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示装置の表示結果が導出表示されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置の表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンであって、
遊技の制御を行う遊技制御手段を備え、
該遊技制御手段は、
前記可変表示装置の表示結果が導出される前に入賞の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、
所定の設定操作手段の操作に基づいて、前記事前決定手段が入賞の発生を許容する旨を決定する割合が異なる複数種類の許容段階のうちから、いずれかの許容段階を選択して設定する許容段階設定手段と、
前記許容段階設定手段により設定された許容段階を示すデータを含む前記遊技制御手段が制御を行うためのデータを読み出し及び書き込みが可能に記憶するデータ記憶手段と、
前記データ記憶手段に記憶されているデータが正常か否かを判定する記憶データ判定手段と、
前記記憶データ判定手段により前記データ記憶手段に記憶されているデータが正常ではないと判定されたときに、ゲームの進行を不能化する不能化手段と、
前記不能化手段により前記ゲームの進行が不能化された状態において、前記設定操作手段の操作に基づいて前記許容段階設定手段により前記許容段階が新たに設定されたことを条件に、前記ゲームの進行が不能化された状態を解除し、ゲームの進行を可能とする不能化解除手段と、
を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、データ記憶手段に記憶されているデータに異常が生じた場合には、ゲームの進行が不能化されるとともに、設定操作手段の操作に基づいて許容段階(設定値)を新たに選択・設定しなければ、ゲームの進行が不能化された状態が解除されない。すなわち、データ記憶手段に記憶されているデータに異常が生じても、スロットマシンにより自動的に設定された許容段階ではなく、設定操作手段の操作に基づいて選択・設定された許容段階(一般的に、設定操作手段の操作は遊技店の従業員により操作されるので、遊技店側が選択した許容段階である)に基づいてゲームが行われることが担保されるので、ゲームの公平性を図ることができる。
尚、所定数の賭数とは、少なくとも1以上の賭数であって、2以上の賭数が設定されることや最大賭数が設定されることでゲームが開始可能となるようにしても良い。
また、本発明のスロットマシンは、メダルを用いて賭数を設定するものであっても良いし、遊技球を用いて賭数を設定するものであっても良い。更には、メダルや遊技球等に相当する有価価値(クレジット等)をスロットマシン内部に記憶し、この記憶された有価価値を用いて賭数を設定するものであっても良い。
【0009】
本発明の請求項2に記載のスロットマシンは、請求項1に記載のスロットマシンであって、
前記事前決定手段は、入賞の発生を許容するか否かを決定する際に、前記データ記憶手段に記憶されている許容段階を示すデータを読み出し、該読み出した許容段階を示すデータが前記許容段階設定手段により設定可能な許容段階を示す適正なデータであるか否かを判定する許容段階データ判定手段を含み、
前記不能化手段は、前記許容段階データ判定手段により前記データ記憶手段から読み出した許容段階を示すデータが適正なデータではないと判定されたときにも、ゲームの進行を不能化する、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、事前決定手段が入賞の発生を許容するか否かを決定する際に、入賞の発生が許容される割合を定めた許容段階を示すデータが適正でなければ、予め定められた許容段階に基づく割合で入賞の発生を許容するか否かを決定するのではなく、この場合にもゲームの進行を不能化し、設定操作手段の操作に基づいて許容段階(設定値)を新たに選択・設定しなければ、ゲームの進行が不能化された状態が解除されない。すなわち事前決定手段において入賞の発生を許容するか否かの決定を適正に行うことができない場合にも、設定操作手段の操作に基づいて選択・設定された許容段階に基づいてゲームが行われることが担保されるので、ゲームの公平性を図ることができる。
【0010】
本発明の請求項3に記載のスロットマシンは、請求項1または2に記載のスロットマシンであって、
前記記憶データ判定手段は、前記遊技制御手段の起動時にのみ前記データ記憶手段に記憶されているデータが正常か否かを判定する、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、データ記憶手段に記憶されたデータに異常が生じるのは、停電時や遊技制御手段の制御に不具合が生じて制御を続行できないときがほとんどであるため、これらの状態から復旧して遊技制御手段が起動するときにおいてのみデータが正常か否かの判定を行うことで、当該判定をデータに異常が生じている可能性が高い状況においてのみ行うようにできる。すなわちデータに異常が生じている可能性の低い状況では、当該判定を行わずに済み、遊技制御手段の負荷を軽減させることができる。
【0011】
本発明の請求項4に記載のスロットマシンは、請求項1〜3のいずれかに記載のスロットマシンであって、
前記スロットマシンで用いられる所定の電力の状態を監視し、電力供給が断たれたことに関わる電断条件が成立しているときに前記遊技制御手段に対して電断信号を出力する電断検出手段を備え、
前記遊技制御手段は、
前記電断検出手段から出力された前記電断信号の入力を契機に、前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づいて破壊診断用データを算出し、該算出した破壊診断用データを前記データ記憶手段の特定領域に格納する電断処理を実行する電断処理手段を含み、
前記記憶データ判定手段は、前記遊技制御手段の起動時に、前記データ記憶手段の特定領域を除く記憶領域に記憶されているデータに基づいて破壊診断用データを算出し、該算出した破壊診断用データと前記データ記憶手段の特定領域に記憶されている破壊診断用データとを比較し、該比較結果が一致したときに、前記データ記憶手段に記憶されているデータが正常であると判定し、該比較結果が一致しなかったときに、前記データ記憶手段に記憶されているデータを正常ではないと判定する、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、電断時に算出された破壊診断用データと起動時に算出された破壊診断用データとを比較するのみで、データ記憶手段に記憶されているデータが正常か否かを判定できるので、データが正常か否かの判定を正確にかつ簡便に行うことができる。
【0012】
本発明の請求項5に記載のスロットマシンは、請求項1〜4のいずれかに記載のスロットマシンであって、
前記遊技制御手段は、
前記遊技制御手段の起動時に、前記設定操作手段による前記許容段階の設定操作が有効となる設定操作有効状態へ移行させるための移行操作手段の操作がなされているか否かを判定する移行操作判定手段と、
前記遊技制御手段の起動時において、前記移行操作判定手段により前記移行操作手段の操作がなされていると判定されたことを条件に、前記設定操作有効状態へ移行させる設定操作有効状態移行手段と、
前記遊技制御手段の起動時において、前記移行操作判定手段により前記移行操作手段の操作がなされていると判定され、前記設定操作有効状態移行手段が前記設定操作有効状態に移行させることに伴って、前記データ記憶手段に記憶されているデータを初期化するデータ初期化手段と、
を含み、
前記移行操作判定手段は、前記遊技制御手段の起動時において、前記記憶データ判定手段が前記データ記憶手段に記憶されているデータが正常か否かを判定する前に、前記移行操作手段の操作がなされているか否かを判定し、
前記記憶データ判定手段は、前記移行操作判定手段により前記移行操作手段の操作がなされていないと判定されたときに、前記データ記憶手段に記憶されているデータが正常か否かを判定する、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、データ記憶手段のデータに異常が生じて、遊技の進行が不能化された場合には、遊技の進行が不能化された状態を解除する条件となる許容段階の設定が有効となる設定操作有効状態へ移行することに伴って、データ記憶手段に記憶されているデータが初期化されるので、データ記憶手段のデータに異常が生じたことに伴うデータの初期化及び許容段階の設定に伴うデータの初期化を1度で行うことができ、無駄な処理を省くことができる。更に、遊技制御手段の起動時には、記憶データ判定手段がデータが正常か否かを判定する前に、移行操作判定手段が移行操作手段の操作がなされているか否かを判定し、その時点で移行操作手段の操作がなされていると判定した場合には、記憶データ判定手段による判定は行わず、設定操作有効状態に移行し、新たに許容段階の設定が行われることとなり、この場合にも無駄な処理を省くことができる。
尚、請求項3〜5において、前記遊技制御手段の起動時とは、前記スロットマシンへの電力供給が開始されたこと(電源投入)に伴い遊技制御手段が起動するときや、遊技制御手段に不具合が生じたことに伴い遊技制御手段が再起動するときが該当する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施例を以下に説明する。
【0014】
本発明が適用されたスロットマシンの実施例を図面を用いて説明すると、図1に示すように、本実施例のスロットマシン1には、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リールともいう)が水平方向に並設されており、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄がスロットマシン1の前面に設けられた透視窓3から見えるように配置されている。
【0015】
リール2L、2C、2Rの外周部には、図2に示すように、それぞれ「赤7」(図中黒色の7)、「青7」(図中網かけの7)、「白7」、「BAR」、「JAC」、「スイカ」、「チェリー」、「ベル」といった互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で、それぞれ21個ずつ描かれている。リール2L、2C、2Rの外周部に描かれた図柄は、透視窓3において各々上中下三段に表示される。
【0016】
各リール2L、2C、2Rは、各々対応して設けられたリールモータ34L、34C、34R(図2参照)によって回転されることで、各リール2L、2C、2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示されるとともに、各リール2L、2C、2Rの回転を停止させることで、透視窓3に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示されるようになっている。
【0017】
また、本実施例のスロットマシン1には、クレジット(遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数)が表示されるクレジット表示器10、ボーナス中のメダルの獲得枚数やエラー発生時にその内容を示すエラーコード等が表示される遊技補助表示器16、メダルが投入可能なメダル投入部4、クレジットを用いてメダル1枚分の賭数を設定する際に操作される1枚BETスイッチ5、クレジットを用いて最大賭数(本実施例では3)を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットとして記憶されている枚数のメダルを精算する際に操作される精算スイッチ15、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L、2C、2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8Rが設けられている。
【0018】
本実施例のスロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入口4から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するにはMAXBETスイッチ6、または1枚BETスイッチ5を操作すれば良い。所定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1、L2、L2’、L3、L3’(図1参照)が有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。尚、本実施例において、所定数の賭数とは、後述する通常遊技状態及びビッグボーナス中の小役ゲームにおいては1ゲームにおいて設定可能な最大賭数である3枚であり、レギュラーボーナス中においては、最小単位である1枚である。
【0019】
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、表示結果が導出表示される。
【0020】
そして全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、賭数に応じて有効化されたいずれかの入賞ラインL1、L2、L2’、L3、L3’上に予め定められた図柄の組合せが各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。また、クレジットが上限数(本実施例では50)に達した場合には、メダルが直接メダル払出穴9(図1参照)から払い出されるようになっている。
【0021】
図3は、スロットマシン1の構成を示すブロック図である。スロットマシン1には、図3に示すように、遊技制御基板40、演出制御基板90、電源基板202が設けられており、遊技制御基板40によって遊技状態が制御され、演出制御基板90によって遊技状態に応じた演出が制御され、電源基板202によってスロットマシン1を構成する電気部品の駆動電源が生成され、各部に供給される。
【0022】
電源基板202には、外部から供給されたAC100Vの電源に基づいてスロットマシン1を構成する電気部品の駆動に必要な直流電圧が生成され、遊技制御基板40及び遊技制御基板40を介して接続された演出制御基板90に供給されるようになっている。また、電源基板202には、起動時に設定変更モードに切り替えるための設定キースイッチ37、後述するRAM異常エラーを除くエラー状態において当該エラー状態を解除するためのリセットスイッチとして機能し、設定変更モードにおいて後述する内部抽選の当選確率(出玉率)の設定値を変更するための設定スイッチとして機能するリセット/設定スイッチ36、メダル払出穴9よりメダルを払い出すためのホッパーモータ32、ホッパーモータ32の駆動により払い出されたメダルを検出する払出センサ33が接続されている。
【0023】
遊技制御基板40には、前述した1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、精算スイッチ15、ストップスイッチ8L、8C、8Rに加えて、メダル投入部4から投入されたメダルを検出する投入メダルセンサ31、リール2L、2C、2Rの基準位置を検出するリールセンサ35が接続されているとともに、電源基板202を介して前述した払出センサ33、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ36が接続されており、これら接続されたスイッチ類の検出信号が入力されるようになっている。
【0024】
また、遊技制御基板40には、前述したリールモータ34L、34C、34Rやクレジット表示器10、遊技補助表示器16に加えて、メダル投入部4から投入されたメダルの流路をホッパーモータ32の駆動により払い出されるメダルが貯留されるホッパータンク(図示略)側またはメダル払出口9側のいずれか一方に選択的に切り替えるための流路切替ソレノイド14が接続されているとともに、電源基板202を介して前述したホッパーモータ32が接続されており、これら電気部品は、遊技制御基板40に搭載された後述のメイン制御部41の制御に基づいて駆動されるようになっている。
【0025】
遊技制御基板40には、所定の手順で演算を行うCPU、CPUの制御プログラムや各種データテーブル等を格納するROM、CPUが動作を行うために必要なデータの書き込み及び読み出しを行うRAM、各種信号の入出力を行うI/Oポートを備えたマイクロコンピュータからなるメイン制御部41、遊技制御基板40に直接または電源基板202を介して接続されたスイッチ類から入力された検出信号が入力されるスイッチ回路42、リールモータ34L、34C、34Rの駆動制御を行うモータ回路43、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧の低下を検出したときに、電圧低下信号をメイン制御部41に対して出力する電源監視用IC44、電源投入時においてメイン制御部41が起動可能なレベルまで電圧が上昇したときにメイン制御部41に対してリセット信号を出力し、メイン制御部41を起動させるとともに、メイン制御部41から定期的に出力される信号に基づいてリセットカウンタの値がクリアされずにカウントアップした場合、すなわちメイン制御部41が一定時間動作を行わなかった場合にメイン制御部41に対してリセット信号を出力し、メイン制御部41を再起動させるリセット回路45等の各種デバイスが搭載されており、メイン制御部41は、遊技制御基板40に直接または電源基板202を介して接続されたスイッチ類の検出信号等を受けて、ゲームの進行に応じた各種の制御を行う。
【0026】
メイン制御部41は、特に図示はしないが、割込入力端子を備えており、この割込入力端子には、前述した電源監視用IC44が接続されており、割込入力端子に電圧低下信号が入力されることで外部割込が発生し、メイン制御部41のCPUは外部割込に応じて後述する電断割込処理を実行する。
【0027】
メイン制御部41のRAMには、図4に示すように、重要ワーク、一般ワーク、特別ワーク、設定値ワーク、非保存ワーク、スタック領域、パリティ格納領域を含む複数の領域が設けられている。これら各領域のうち、特に、設定値ワークは、内部抽選の当選確率の設定値を格納する領域であり、パリティ格納領域は、電断時においてRAMパリティを格納する領域である。また、メイン制御部41のRAMは、停電時においてもバックアップ電源より電力が供給され、記憶されているデータが保持されるようになっている。
【0028】
演出制御基板90は、図3に示すように、演出用中継基板80を介して遊技制御基板40に接続されており、メイン制御部41から送信されたコマンドが入力されるようになっている。このように、遊技制御基板40と演出制御基板90とが演出用中継基板80を介して接続されていることで、遊技制御基板40と演出制御基板90との配線接続が容易になるとともに、演出制御基板90から遊技制御基板40に対して不正な信号等が直接入力されることを抑制することができる。
【0029】
演出制御基板90には、スロットマシン1の前面に配置された液晶表示器51(図1参照)、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールランプ55等の電気部品が接続されており、これら電気部品は、演出制御基板90に搭載された後述のサブ制御部91による制御に基づいて駆動されるようになっている。
【0030】
演出制御基板90には、メイン制御部41と同様にCPU、ROM、RAM、I/Oポートを備えるサブ制御部91、演出制御基板90に接続された液晶表示器51の駆動制御を行う液晶駆動回路92、演出効果LED52の駆動制御を行うランプ駆動回路93、スピーカ53、54からの音声出力制御を行う音声出力回路94等、が搭載されており、サブ制御部91は、遊技制御基板40に搭載されたメイン制御部41から送信されるコマンドを受けて、演出を行うための各種の制御を行う。
【0031】
本実施例のスロットマシン1においては、設定値に応じてメダルの払出率が変わるものであり、後述する内部抽選の当選確率は、設定値に応じて定まるものとなる。以下、設定値の変更操作について説明する。
【0032】
設定値を変更するためには、設定キースイッチ37をON状態としてからスロットマシン1の電源をONする必要がある。設定キースイッチ37をON状態として電源をONすると、リセット/設定スイッチ36の操作による設定値の変更操作が可能な設定変更モードに移行する。設定変更モードにおいて、リセット/設定スイッチ36が操作されると、設定値が1ずつ更新されていく(設定6から更に操作されたときは、設定1に戻る)。そして、スタートスイッチ7が操作されると設定値が確定し、確定した設定値がメイン制御部41の前述した設定値ワークに格納される。そして、設定キースイッチ37がOFFされると、遊技の進行が可能な状態に移行する。
【0033】
本実施例のスロットマシン1においては、前述のようにメイン制御部41が電圧低下信号を検出した際に、電断割込処理を実行する。電断割込処理では、メイン制御部41のRAMに記憶されている全てのデータに基づいてRAMパリティを計算し、RAMのパリティ格納領域に格納する処理を行うようになっている。尚、RAMパリティとはデータ列を足し合わせた総和の最下位bitのことである。
【0034】
そして、メイン制御部41の起動時において、メイン制御部41のRAMに記憶されているデータのうちパリティ格納領域を除く全てのデータに基づいてRAMパリティを計算し、パリティ格納領域に格納されているRAMパリティと比較する。次いで、この比較結果が一致した場合には、RAMに記憶されている状態に基づいて電断前の状態に復帰させるが、比較結果が一致しなかった場合には、RAM異常と判定し、RAM異常エラーコードをセットしてRAM異常エラー状態に制御し、遊技の進行を不能化させるようになっている。RAM異常エラー状態は、他のエラー状態と異なり、リセット/設定スイッチ36を操作しても解除されないようになっており、前述した設定変更モードにおいて新たな設定値が設定されることで解除されるようになっている。
【0035】
本実施例のスロットマシン1は、全てのリール2L、2C、2Rが停止した際に、賭数に応じて設定された有効ライン上に役図柄が揃うと、入賞となる。入賞となる役の種類は、遊技状態に応じて定められているが、大きく分けて、遊技状態の移行を伴う特別役と、メダルの払い出しを伴う小役と、賭数の設定を必要とせずに次のゲームを開始可能となる再遊技役とがある。遊技状態に応じて定められた各役の入賞が発生するためには、後述する内部抽選に当選して、当該役の当選フラグが設定されている必要がある。
【0036】
図5(a)は、遊技状態別当選役テーブルを示す図である。遊技状態別当選役テーブルは、メイン制御部41のROMに予め格納され、内部抽選において当選と判定される役を判断するために用いられるものであるが、遊技状態別当選役テーブルの登録内容は、遊技状態に応じて定められた役を示すものとなる。このスロットマシン1における役としては、特別役としてレギュラーボーナス(1)、レギュラーボーナス(2)、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、ビッグボーナス(3)、JACIN、小役としてJAC、スイカ、ベル、チェリーが、再遊技役としてリプレイが定められている。
【0037】
レギュラーボーナスの遊技状態では、小役であるJAC、スイカ、ベル及びチェリーが、入賞となる役として定められており、レギュラーボーナスにおける内部抽選で抽選の対象とされる。ビッグボーナスの後述する小役ゲームでは、特別役であるレギュラーボーナス(2)及びJACIN、小役であるスイカ、ベル及びチェリーが入賞となる役として定められており、小役ゲームにおける内部抽選で抽選の対象とされる。通常遊技状態では、特別役であるレギュラーボーナス(1)、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、ビッグボーナス(3)、小役であるスイカ、ベル及びチェリー、再遊技役であるリプレイが入賞となる役として定められており、通常遊技状態における内部抽選で抽選の対象とされる。
【0038】
尚、本実施例では、レギュラーボーナスの遊技状態において、スイカ、ベル及びチェリーに加えてJACが入賞となる小役として定められているが、レギュラーボーナスの遊技状態においても、小役ゲームや通常遊技状態と同様に、スイカ、ベル及びチェリーのみを入賞となる小役として定めるようにしても良い。
【0039】
ビッグボーナスは、通常遊技状態において有効ライン(入賞ラインL1、L2、L2’、L3、L3’の5本)のいずれかに「赤7−赤7−赤7」の組み合わせ、「白7−白7−白7」の組み合わせ、または「青7−青7−青7」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。ビッグボーナス入賞すると、遊技状態がビッグボーナスに移行する。ビッグボーナスにおいては、小役ゲームと称されるゲームを行うことができる。遊技状態がビッグボーナスにある間は、ビッグボーナス中フラグがメイン制御部41のRAMに設定される。ビッグボーナスは、当該ビッグボーナス中において遊技者に払い出したメダルの総数が465枚に達したときに終了する。
【0040】
尚、「赤7−赤7−赤7」によるビッグボーナス、「白7−白7−白7」によるビッグボーナス、及び「青7−青7−青7」を区別する必要がある場合には、それぞれビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、ビッグボーナス(3)と呼ぶものとする。
【0041】
レギュラーボーナスは、小役ゲーム及び通常遊技状態において有効ライン(入賞ラインL1、L2、L2’、L3、L3’の5本)のいずれかに「BAR−BAR−BAR」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。レギュラーボーナス入賞すると、遊技状態が小役ゲームまたは通常遊技状態からレギュラーボーナスに移行する。レギュラーボーナスは、12ゲームを消化したとき、または8ゲーム入賞(役の種類は、いずれでも可)したとき、のいずれか早いほうで終了する。遊技状態がレギュラーボーナスにある間は、レギュラーボーナス中フラグがメイン制御部41のRAMに設定される。特に、小役ゲームにおいてレギュラーボーナス入賞すると、ビッグボーナスの中でレギュラーボーナスが提供されることとなり、ビッグボーナス中フラグに併せてレギュラーボーナス中フラグもメイン制御部41のRAMに設定される。ビッグボーナス中のレギュラーボーナスで当該ビッグボーナス中において遊技者に払い出したメダルの総数が465枚に達したときは、ビッグボーナスとともに当該レギュラーボーナスも終了する。
【0042】
尚、通常遊技状態の「BAR−BAR−BAR」によるレギュラーボーナス、ビッグボーナスにおける小役ゲームの「BAR−BAR−BAR」によるレギュラーボーナスを区別する必要がある場合には、それぞれレギュラーボーナス(1)、レギュラーボーナス(2)と呼ぶものとする。また、前述したビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)及びビッグボーナス(3)、レギュラーボーナス(1)及びレギュラーボーナス(2)をまてめて、単に「ボーナス」と呼ぶ場合があるものとする。
【0043】
JACINは、小役ゲームにおいて有効ライン(入賞ラインL1、L2、L2’、L3、L3’の5本)のいずれかに「スイカ−JAC−JAC」の組み合わせが揃ったときに入賞となるが、小役ゲーム以外の遊技状態では、この組み合わせが揃ったとしてもJACIN入賞とならない。JACIN入賞すると、ビッグボーナスの中で前述したレギュラーボーナスが提供されることとなり、ビッグボーナス中フラグに併せてレギュラーボーナス中フラグもメイン制御部41のRAMに設定される。ビッグボーナス中のレギュラーボーナスで当該ビッグボーナス中において遊技者に払い出したメダルの総数が465枚に達したときは、ビッグボーナスとともに当該レギュラーボーナスも終了する。
【0044】
JACは、レギュラーボーナスにおいて有効ライン(入賞ラインL1の1本)に「ベル−JAC−JAC」の組み合わせが揃ったときに入賞となるが、レギュラーボーナス以外の遊技状態では、この組み合わせが揃ったとしてもJAC入賞とならない。スイカは、いずれの遊技状態においても有効ライン(入賞ラインL1の1本または入賞ラインL1、L2、L2’、L3、L3’の5本)のいずれかに「スイカ−スイカ−スイカ」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。ベルは、いずれの遊技状態においても有効ライン(入賞ラインL1の1本または入賞ラインL1、L2、L2’、L3、L3’の5本)のいずれかに「ベル−ベル−ベル」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。チェリーは、いずれの遊技状態においても左のリール3Lについて有効ライン(入賞ラインL1の1本または入賞ラインL1、L2、L2’、L3、L3’の5本)のいずれかに「チェリー」の図柄が導出されたときに入賞となる。これらの小役が入賞したときのメダルの払い出しについては、後述する。
【0045】
リプレイは、通常遊技状態において有効ライン(入賞ラインL1、L2、L2’、L3、L3’の5本)のいずれかに「JAC−JAC−JAC」の組み合わせが揃ったときに入賞となるが、レギュラーボーナスやビッグボーナス(小役ゲーム及びレギュラーボーナス)では、この組み合わせが揃ったとしてもリプレイ入賞とならない。リプレイ入賞したときには、メダルの払い出しはないが次のゲームを改めて賭数を設定することなく開始できるので、次のゲームで設定不要となった賭数(レギュラーボーナスではリプレイ入賞しないので必ず3)に対応した3枚のメダルが払い出されるのと実質的には同じこととなる。
【0046】
以下、内部抽選について説明する。内部抽選は、上記した各役への入賞を許容するかどうかを、全てのリール2L、2C、2Rの表示結果が導出表示される以前に(実際には、スタートスイッチ7の検出時)、決定するものである。内部抽選では、まず、後述するように内部抽選用の乱数(0〜16383の整数)が取得される。そして、遊技状態に応じて定められた各役について、取得した内部抽選用の乱数と、遊技者が設定した賭数と、設定スイッチ37により設定された設定値に応じて定められた各役の判定値数に応じて行われる。本実施例において内部抽選における当選は、排他的なものであり、1ゲームにおいて複数が同時に当選することはない。
【0047】
遊技状態に応じた役の参照は、図5(a)に示した遊技状態別当選役テーブルに応じて行われる。すなわち、遊技状態がレギュラーボーナス(ビッグボーナス中に提供された場合を含む)にあるときには、JAC、スイカ、ベル、チェリーが内部抽選の対象役として順に読み出され、遊技状態がビッグボーナス中の小役ゲームにあるときには、レギュラーボーナス(2)、JACIN、スイカ、ベル、チェリーが内部抽選の対象役として順に読み出される。
【0048】
通常遊技状態にあるときには、レギュラーボーナス(1)、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、ビッグボーナス(3)、スイカ、ベル、チェリー、リプレイが内部抽選の対象役として順に読み出される。もっとも、前回以前のゲームでレギュラーボーナス当選フラグ(1)、レギュラー当選フラグ(2)、ビッグボーナス当選フラグ(1)、ビッグボーナス当選フラグ(2)またはビッグボーナス当選フラグ(3)が設定され、当該フラグに基づく入賞が発生しないで持ち越されているときには、レギュラーボーナス(1)及びビッグボーナス(1)〜(3)は、内部抽選の対象役とならない。また、小役ゲームのときには、レギュラーボーナス(2)、JACIN、スイカ、ベル、チェリー、リプレイが内部抽選の対象役として順に読み出されるが、前回以前のゲームでレギュラーボーナス当選フラグ(2)が設定され、当該フラグに基づく入賞が発生しないで持ち越されているときには、レギュラーボーナス(2)及びJACINは、内部抽選の対象役とならない。
【0049】
内部抽選では、内部抽選の対象役について定められた判定値数を、内部抽選用の乱数に順次加算し、加算の結果がオーバーフローしたときに、当該役に当選したものと判定される。当選と判定されると、当該役の当選フラグがメイン制御部41のRAMに設定される。判定値数は、メイン制御部41のROMに予め格納された役別テーブルに登録されている判定値数の格納アドレスに従って読み出されるものとなる。図5(b)は、役別テーブルの例を示す図である。判定値数は、その値が256以上のものとなるものもあり、1ワード分では記憶できないので、判定値数毎に2ワード分の記憶領域を用いて登録されるものとなる。
【0050】
各役の判定値数は、ゲームにおいて遊技者が設定する賭数(BET)に対応して登録されている。同一の役であっても、レギュラーボーナスにおける当選確率が他の役と異なっている場合があるからである。また、各役の賭数に応じた判定値数は、設定値に関わらずに共通になっているものと、設定値に応じて異なっているものとがある。判定値数が設定値に関わらずに共通である場合には、共通フラグが設定される(値が「1」とされる)。
【0051】
レギュラーボーナス(1)、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)及びビッグボーナス(3)は、通常遊技状態でのみ内部抽選の対象となる役であり、通常遊技状態での賭数3に対応する判定値数の格納アドレスが登録されている。これらの役については、共通フラグの値が0となっており、設定値に応じて個別に判定値数の格納アドレスが登録されている。レギュラーボーナス(2)及びJACINは、ビッグボーナス中の小役ゲームでのみ内部抽選の対象となる役であり、小役ゲームでの賭数に対応する判定値数の格納アドレスが登録されている。この役の共通フラグの値は1であり、設定値に関わらずに共通の判定値数の格納アドレスが登録されている。
【0052】
JACは、レギュラーボーナスでのみ内部抽選の対象となる役であり、レギュラーボーナスでの賭数1に対応する判定値数の格納アドレスが登録されている。この役の共通フラグは1であり、設定値に関わらず共通の判定値数の格納アドレスが登録されている。リプレイは、通常遊技状態でのみ内部抽選の対象となる役であり、通常遊技状態での賭数3に対応する判定値数の格納アドレスが登録されている。この役の共通フラグは1であり、設定値に関わらず共通の判定値数の格納アドレスが登録されている。
【0053】
スイカ、ベル、及びチェリーは、いずれの遊技状態でも内部抽選の対象となる役であり、レギュラーボーナスでの賭数1に対応する判定値数の格納アドレスと、通常遊技状態または小役ゲームでの賭数3に対応する判定値数の格納アドレスとが登録されている。スイカ及びチェリーについては、共通フラグが1となっており、それぞれの賭数に対応して設定値に関わらず共通の判定値数の格納アドレスが登録されている。ベルについては、共通フラグが0となっており、それぞれの賭数に対応して設定値に応じて個別に判定値数の格納アドレスが登録されている。
【0054】
役別テーブルには、各役に入賞したときに払い出されるメダルの払出枚数も登録されている。もっとも、入賞したときに賞球の払い出し対象となる役は、小役であるスイカ、ベル、チェリー、及びJACだけである。スイカ、ベル、チェリーは、賭数が1のとき(レギュラーボーナス)でも3のとき(レギュラーボーナス以外の遊技状態)でも入賞が発生可能であるが、ベルについては、賭数が1であるとき、すなわち遊技状態がレギュラーボーナスにあるときには、それ以外の8枚よりも多い15枚のメダルが払い出されるものとなる。
【0055】
レギュラーボーナス(1)、レギュラーボーナス(2)、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、ビッグボーナス(3)、及びJACINの入賞は、遊技状態の移行を伴うものであり、メダルの払い出し対象とはならない。リプレイでは、メダルの払い出しを伴わないが、次のゲームで賭数の設定に用いるメダルの投入が不要となるので実質的には3枚の払い出しと変わらない。
【0056】
図6は、役別テーブルに登録されたアドレスに基づいて取得される判定値数の記憶領域を示す図である。この判定値数の記憶領域は、開発用の機種ではメイン制御部41のRAMに、量産機種ではメイン制御部41のROMに割り当てられたアドレス領域に設けられている。
【0057】
例えばアドレスADDは、内部抽選の対象役がレギュラーボーナス(1)であって設定値が1のときに参照されるアドレスであり、このときには、ここに格納された値である31が判定値数として取得される。アドレスADD+2、ADD+4、ADD+6、ADD+8、ADD+10は、それぞれ内部抽選の対象役がレギュラーボーナス(1)であって設定値が2〜6のときに参照されるアドレスである。レギュラーボーナス(1)については、設定値に応じて個別に判定値数が記憶されているが、同一の判定値数が記憶されているので、いずれの設定値においてもレギュラーボーナス(1)の当選確率は同じとなっている。
【0058】
また、アドレスADD+14、ADD+16、ADD+18、ADD+20、ADD+22、ADD+24は、それぞれ内部抽選の対象役がビッグボーナス(1)であって設定値が1〜6のときに参照されるアドレスである。アドレスADD+26、ADD+28、ADD+30、ADD+32、ADD+34、ADD+36は、それぞれ内部抽選の対象役がビッグボーナス(2)であって設定値が1〜6のときに参照されるアドレスである。アドレスADD+38、ADD+40、ADD+42、ADD+44、ADD+46、ADD+48は、それぞれ内部抽選の対象役がビッグボーナス(3)であって設定値が1〜6のときに参照されるアドレスである。ビッグボーナス(1)、(2)、(3)については、設定値に応じて個別に判定値数が記憶され、しかも異なる判定値数が記憶されているので、設定値に応じてビッグボーナス(1)、(2)、(3)の当選確率が異なることとなる。
【0059】
また、アドレスADD+12、ADD+50、ADD+52、ADD+86は、それぞれ内部抽選の対象役がレギュラーボーナス(2)、JACIN、JAC、リプレイであるときに設定値に関わらずに参照されるアドレスであり、設定値に関わらずに、それぞれ32、4311、27、2245が判定値数として取得される。
【0060】
アドレスADD+54は、賭数が1のとき、すなわちレギュラーボーナスにおいて内部抽選の対象役がスイカであるときに設定値に関わらずに参照されるアドレスである。アドレスADD+56は、賭数が3のとき、すなわち通常遊技状態または小役ゲームにおいて内部抽選の対象役がスイカであるときに設定値に関わらず参照されるアドレスである。スイカについての判定値数は、賭数に応じて登録されているが、同じ値が登録されているので、いずれの遊技状態においてもスイカの当選確率は同じとなる。チェリーについても、アドレスADD+82、ADD+84に同様にして判定値数が登録されている。
【0061】
アドレスADD+58、ADD+60、ADD+62、ADD+64、ADD+66、ADD+68は、それぞれ賭数が1のとき、すなわちレギュラーボーナスにおいて内部抽選の対象役がベルであって設定値が1〜6のときに参照されるアドレスである。アドレスADD+58、ADD+60、ADD+62、ADD+64、ADD+66、ADD+68には、それぞれ同一の値が登録されているので、レギュラーボーナス時においては、設定値1と設定値2、設定値3と設定値4、設定値5と設定値6とで、ベルの当選確率が同一となる。
【0062】
アドレスADD+70、ADD+72、ADD+74、ADD+76、ADD+78、ADD+80は、それぞれ賭数が3のとき、すなわち通常遊技状態または小役ゲームにおいて内部抽選の対象役がベルであって設定値が1〜6のときに参照されるアドレスである。アドレスADD+70、ADD+72、ADD+74、ADD+76、ADD+78、ADD+80には、互いに異なる値が登録されているので、通常遊技状態または小役ゲームにおいては、設定値に応じてベルの当選確率が異なることとなる。
【0063】
図7(a)〜(c)は、内部抽選用の乱数の値及び各役の判定値数と、当選役との関係の例を示す図である。図7(a)では通常遊技状態にあるときの、図7(b)では小役ゲームにあるときの、図7(c)ではレギュラーボーナスにあるときの例を示している。図7(a)〜(c)のいずれも、設定値が6の場合の例を示しており、また、図7(a)では、レギュラーボーナス当選フラグとビッグボーナス当選フラグのいずれも設定されてない場合の例を示している。
【0064】
例えば、図7(a)に示すように、通常遊技状態では、内部抽選の対象役となる役は、レギュラーボーナス(1)、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、ビッグボーナス(3)、スイカ、ベル、チェリー、リプレイであり、設定値6においては、それぞれの判定値数は、31、20、20、20、68、3562、269、2245となる。最初に内部抽選の対象役となるレギュラーボーナス(1)は、判定値数の31を加算することで加算結果がオーバーフローすることとなる16353〜16383が内部抽選用の乱数として取得されたときに当選となる。
【0065】
次に内部抽選の対象役となるビッグボーナス(1)は、レギュラーボーナス(1)の判定値数31とビッグボーナス(1)の判定値数20とを合計した51を加算することで加算結果がオーバーフローすることとなる16333〜16352が内部抽選用の乱数として取得されたときに当選となる。同様に、ビッグボーナス(2)は、16313〜16332が内部抽選用の乱数として取得されたときに、ビッグボーナス(3)は、16293〜16312が内部抽選用の乱数として取得されたときに、スイカは、16225〜16292が内部抽選用の乱数として取得されたときに、ベルは、12663〜16224が内部抽選用の乱数として取得されたときに、チェリーは、12394〜12662が内部抽選用の乱数として取得されたときに、リプレイは、10149〜12393が内部抽選用の乱数として取得されたときに、それぞれ当選と判定される。
【0066】
これらの判定値数に基づいて算出される各役のおおよその当選確率は、レギュラーボーナス(1)、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、ビッグボーナス(3)、スイカ、ベル、チェリー、リプレイのそれぞれについて、1/528.5、1/819.2、1/819.2、1/819.2、1/273.1、1/240.9、1/4.6、1/60.9、1/7.3となる。尚、0〜10148が内部抽選用の乱数として取得されたときには、全ての役にハズレとなる。
【0067】
また、図7(b)に示すように、小役ゲームでは、レギュラーボーナス(2)、JACIN、スイカ、ベル、チェリーが内部抽選の対象役となり、それぞれの判定値数が32、4311、68、3562、269であるので、16352〜16383、12041〜16351、11973〜12040、8411〜11972、8142〜8410が内部抽選用の乱数として取得されたときに、当選と判定される。また、それぞれの役のおおよその当選確率は、1/512、1/3.8、1/240.9、1/4.6、1/60.9となる。尚、0〜8141が内部抽選用の乱数として取得されたときには、全ての役にハズレとなる。
【0068】
また、図7(c)に示すように、レギュラーボーナスでは、JAC、スイカ、ベル、チェリーが内部抽選の対象役となり、それぞれの判定値数が27、68、15919、269であるので、16357〜16383、16289〜16356、350〜16288、101〜369が内部抽選用の乱数として取得されたときに、当選と判定される。また、それぞれの役のおおよその当選確率は、1/606.8、1/240.9、1/1.03、1/60.9となる。尚、0〜100が内部抽選用の乱数として取得されたときには、全ての役にハズレとなる。
【0069】
次に、リール2L、2C、2Rの図柄の配列と、停止制御とについて説明する。前述したように、リール2L、2C、2Rの回転は、ストップスイッチ8L、8C、8Rを操作したときから4コマ以内の引き込み範囲で停止される。停止すべき図柄は、当選フラグの設定状況に応じて選択されるものであり、各ゲームにおいて設定された有効ライン上に4コマの引き込み範囲で当選している役の図柄を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる。当選していない役の図柄は、4コマの引き込み範囲でハズシて停止させる。
【0070】
ここで、図3に示すように、「スイカ」、「ベル」、「JAC」については、リール2L、2C、2Rのいずれについても5コマ以内の間隔で配置されており、4コマの引き込み範囲で必ず可変表示装置2の任意の位置に停止させることができる。つまり、スイカの小役、ベルの小役、リプレイ、JAC、JACINの当選フラグがそれぞれ設定されているときには、遊技者によるストップスイッチ8L、8C、8Rの操作タイミングに関わらずに、必ず当該役に入賞させることができる。
【0071】
次に、本実施例における遊技制御基板40に搭載されたメイン制御部41のCPUが実行する各種制御内容を、図11〜図15に基づいて以下に説明する。
【0072】
メイン制御部41は、リセット回路45からリセット信号が入力されて起動すると、図8のフローチャートに示す起動処理を行う。尚、リセット信号は、電源投入時及びメイン制御部41の動作が停滞した場合に出力される信号であるので、起動処理は、電源投入に伴うメイン制御部41の起動時及びメイン制御部41の不具合に伴う再起動時に行われる処理である。
【0073】
起動処理では、まず、内蔵デバイスや周辺IC、スタックポインタ等を初期化し(Sa1)、RAMアクセスを許可する(Sa2)。そして、設定キースイッチ37がonの状態か否かを判定し(Sa3)、設定キースイッチ37がonでなければ、RAMに記憶されているデータのうちパリティ格納領域を除く全てのデータに基づいてRAMパリティを計算し(Sa4)、パリティ格納領域に格納されているRAMパリティ、すなわち前回の電断時に計算して格納されたRAMパリティと比較し(Sa5)、双方のRAMパリティが一致したか否か、すなわちRAMに格納されているデータが正常か否かを判定する(Sa6)。尚、本実施例では、RAMパリティによるRAMのデータが正常か否かの判定が、起動処理においてのみ行われるようになっている。
【0074】
そしてSa6のステップにおいてRAMパリティが一致していなければ、RAMに格納されているデータが正常ではないので、図10に示すRAM異常エラー処理に移行する。RAM異常エラー処理では、図10に示すように、RAM異常エラーコードを遊技補助表示器16に表示した後(Sc1)、いずれの処理も行わないループ処理に移行する。
【0075】
また、Sa6のステップにおいてRAMパリティが一致していれば、RAMに格納されているデータが正常であるので、スタック領域に格納されているレジスタを復帰し(Sa7)、割込禁止を解除して(Sa8)、電断前の処理に戻る。
【0076】
また、Sa3のステップにおいて、設定キースイッチ37がonの状態であれば、スタック領域のうち使用中の領域を除きRAMに格納されているデータを全て初期化(設定値ワーク以外は0、設定値ワークは1に書き換える)し(Sa9)、割込禁止を解除して(Sa10)、図9に示す設定変更処理に移行し(Sa11)、設定変更処理の終了後、ゲーム制御処理に移行する。
【0077】
設定変更処理では、図9に示すように、設定変更モード中である旨を示す設定変更中フラグをセットし(Sb1)、RAMの設定値ワークに格納されている設定値(設定変更処理に移行する前に設定値ワークの値は1に書き換えられれているので、ここでは1である)を読み出す(Sb2)。
【0078】
その後、リセット/設定スイッチ36とスタートスイッチ7の操作の検出待ちの状態となり(Sb3、Sb4)、Sb3のステップにおいてリセット/設定スイッチ36の操作が検出されると、Sb2のステップにおいて読み出した設定値に1を加算し(Sb5)、加算後の設定値が7であるか否か、すなわち設定可能な範囲を超えたか否かを判定し(Sb6)、加算後の設定値が7でなければ、再びSb3、Sb4のステップにおけるリセット/設定スイッチ36とスタートスイッチ7の操作の検出待ちの状態に戻り、Sb6のステップにおいて加算後の設定値が7であれば設定値を1に補正した後(Sb7)、再びSb3、Sb4のステップにおけるリセット/設定スイッチ36とスタートスイッチ7の操作の検出待ちの状態に戻る。
【0079】
また、Sb4のステップにおいてスタートスイッチ7の操作が検出されると、その時点で選択されている変更後の設定値をRAMの設定値ワークに格納して、設定値を確定した後(Sb8)、設定キースイッチ37がoffの状態となるまで待機する(Sb9)。そして、Sb9のステップにおいて設定キースイッチのoffが判定されると、設定変更中フラグをクリアして(Sb10)、図8のフローチャートに復帰し、ゲーム制御処理に移行することとなる。
【0080】
このように起動処理においては、設定キースイッチ37がonの状態ではない場合に、電断時に計算したRAMパリティと起動時に計算したRAMパリティとを比較することで、RAMに記憶されているデータが正常か否かを判定し、RAM異常エラー処理に移行する。RAM異常エラー処理では、RAM異常エラーコードを遊技補助表示器16に表示させた後、いずれの処理も行わないループ処理に移行するので、ゲームの進行が不能化される。そして、RAMパリティが一致しなければ、割込が許可されることがないので、一度RAM異常エラー処理に移行すると、設定キースイッチ37がonの状態で起動し、割込禁止が解除されるまでは、電断しても電断割込処理は行われない。すなわち電断割込処理において新たにRAMパリティが計算されて格納されることはないので、メイン制御部41が再起動しても設定キースイッチ37がonの状態で起動した場合を除き、常にRAMパリティは一致することがないので、メイン制御部41を再起動させてもゲームを再開させることができないようになっている。
【0081】
そして、RAM異常エラー状態に一度移行すると、設定キースイッチ37がonの状態で起動し、設定変更処理が行われ、リセット/設定スイッチ36の操作により新たに設定値が選択・設定されるまで、ゲームの進行が不能な状態となる。すなわちRAM異常エラー状態に移行した状態では、リセット/設定スイッチ36の操作により新たに設定値が選択・設定されたことを条件に、ゲームの進行が不能な状態が解除され、ゲームを再開させることが可能となる。
【0082】
図11は、メイン制御部41のCPUが実行するゲーム制御処理の制御内容を示すフローチャートである。
【0083】
ゲーム制御処理では、BET処理(Sd1)、内部抽選処理(Sd2)、リール回転処理(Sd3)、リール停止処理(Sd4)、入賞判定処理(Sd5)、払出処理(Sd6)、遊技状態更新処理(Sd7)を順に実行し、遊技状態更新処理が終了すると、再びBET処理に戻る。
【0084】
Sd1のステップにおけるBET処理では、賭数を設定可能な状態で待機し、所定数の賭数が設定され、スタートスイッチ7が操作された時点で賭数を確定する処理を実行する。また、前回のゲームでリプレイ入賞が発生した場合には、前回のゲームと同じ賭数を設定する。
【0085】
Sd2のステップにおける内部抽選処理では、Sd1のステップにおけるスタートスイッチ7の検出によるゲームスタートと同時に内部抽選用の乱数を抽出し、抽出した乱数の値に基づいて上記した各役への入賞を許容するかどうかを決定する処理を行う。この内部抽選処理では、それぞれの抽選結果に基づいて、RAMに当選フラグが設定される。
【0086】
Sd3のステップにおけるリール回転処理では、各リール2L、2C、2Rを回転させる処理を実行する。このリール回転処理においては、全てのリール2L、2C、2Rが定速回転した時点でストップスイッチ8L、8C、8Rの操作を有効とする。
【0087】
Sd4のステップにおけるリール停止処理では、遊技者によるストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されるか、リール2L、2C、2Rが定速回転した時点から遊技者によるストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されることなく自動停止時間が経過したこと、すなわち各リール2L、2C、2Rの停止条件が成立したことに応じて対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させる処理を実行する。
【0088】
Sd5のステップにおける入賞判定処理では、Sd4のステップにおいて全てのリール2L、2C、2Rの回転が停止したと判定した時点で、各リール2L、2C、2Rに導出された表示結果に応じて入賞が発生したか否かを判定する処理を実行する。
【0089】
Sd6のステップにおける払出処理では、Sd5のステップにおいて入賞の発生が判定された場合に、その入賞に応じた払出枚数に基づきクレジットの加算並びにメダルの払出等の処理を行う。
【0090】
Sd7のステップにおける遊技状態更新処理では、次のゲームに備えて遊技状態を設定する処理を実行する。
【0091】
また、Sd7のステップにおける遊技状態更新処理では、RAMに記憶されているデータのうち次のゲームへ持ち越す必要のないデータ、例えば、次のゲームへ持ち越されない内部当選フラグ(入賞の発生を許容する旨のフラグ)等のデータを初期化する初期化処理を行う。
【0092】
図12は、メイン制御部41のCPUがSd2のステップにおいて実行する内部抽選処理の制御内容を示すフローチャートである。
【0093】
内部抽選処理では、まず、詳細を後述する乱数取得処理を行う(Se1)。この乱数取得処理においては、乱数発生回路(図示略)が発生する乱数に基づいて、内部抽選用の乱数の値が取得されることとなる。
【0094】
そして、RAMの設定値ワークに格納されている設定値を読み出し(Se2)、読み出した設定値が1〜6の範囲か否か、すなわち設定値ワークに格納されている設定値が適正な値か否かを判定し(Se3)、読み出した設定値が1〜6の範囲の値でなければ、図10に示すRAM異常エラー処理に移行する。
【0095】
また、Se3のステップにおいて読み出した設定値が1〜6の範囲であれば、現在の遊技状態に対応して、図5(a)の遊技状態別当選役テーブルに登録されている役を順番に読み出す(Se4)。ここで読み出した役の種類がレギュラーボーナス(レギュラーボーナス(1)(2))またはビッグボーナス(ビッグボーナス(1)〜(3))であるかどうかを判定する(Se5)。レギュラーボーナスまたはビッグボーナスである場合には、前回以前のゲームでRAMにレギュラーボーナス当選フラグまたはビッグボーナス当選フラグが既に設定され、当該当選フラグに基づいて入賞することなく持ち越されているかどうかを判定する(Se6)。読み出した役の種類がレギュラーボーナスでもレギュラーボーナスでもなければ、そのままSe7の処理に進む。
【0096】
レギュラーボーナス当選フラグまたはビッグボーナス当選フラグが既に設定されていれば、Se4の処理に戻り、更に遊技状態別当選役テーブルに次に登録されている役を読み出すものとなる(レギュラーボーナス及びビッグボーナスは、遊技状態別当選役テーブルにおいて最初に登録されているので、これで抽選処理が終了となることはないので)。読み出した役の種類がレギュラーボーナスまたはビッグボーナスであっても、レギュラーボーナス当選フラグもビッグボーナス当選フラグも設定されていなければ、Se7の処理に進む。
【0097】
Se7では、更にSa2のステップで設定されたBET数(賭数)を読み出し、当該役と読み出したBET数に対応する役について、図5(b)の役別テーブルに共通フラグの設定状況を取得する。この結果、当該役、当該BET数について共通フラグが設定されているかどうかを判定する(Se8)。
【0098】
共通フラグが設定されていれば、当該役、当該BET数について図5(b)の役別テーブルに登録されているアドレスに格納されている判定値数を取得する(Se9)。そして、Se11の処理に進む。共通フラグが設定されていなければ、当該役、当該BET数について読み出した設定値に対応して役別テーブルに登録されているアドレスに格納されている判定値数を取得する(Se10)。そして、Se11の処理に進む。
【0099】
Se11のステップでは、Se9またはSe10のステップにおいて取得した判定値数を内部抽選用の乱数の値に加算し、加算の結果を新たな内部抽選用の乱数の値とする。ここで、判定値数を内部抽選用の乱数の値に加算したときにオーバーフローが生じたかどうかを判定する(Se12)。オーバーフローが生じた場合には、当該役の当選フラグをRAMに設定する(Se13)。そして、内部抽選処理を終了して、図11のフローチャートに復帰する。
【0100】
オーバーフローが生じていない場合には、当該遊技状態について定められた役のうちで未だ処理対象としていない役があるかどうかを判定する(Se14)。未だ処理対象としていない役があれば、Se4の処理に戻り、遊技状態別当選役テーブルに登録されている次の役を処理対象として処理を継続する。処理対象としていない役がなければ、内部抽選処理を終了して、図11のフローチャートに復帰する。
【0101】
このように内部抽選処理においては、設定値ワークに格納されている設定値が適正な値であるか否かを確認し、設定値が適正な値でない場合には、前述したRAM異常エラー処理に移行し、起動時にRAMのデータが正常ではないと判定された場合と同様に、RAM異常エラー状態となり、ゲームの進行が不能化されるようになっている。
【0102】
図13は、メイン制御部41のCPUが電源監視用IC44からの電圧低下信号の出力に伴う外部割込の発生により実行する電断割込処理の制御内容を示すフローチャートである。
【0103】
電断割込処理においては、まず、割込禁止に設定する。すなわち、電断割込処理の開始にともなってその他の割込処理の実行を禁止する(Sf1)。次いで、使用している可能性がある全てのレジスタをRAMに退避し(Sf2)、電断復旧時に、元の処理に復帰できるようにする。
【0104】
次いで、全出力ポートを初期化した後(Sf3)、RAMに記憶されている全てのデータに基づいてRAMパリティを計算してパリティ格納領域にセットし(Sf4)、RAMアクセスを禁止する(Sh10)。そして何らの処理も行わないループ処理に入る。すなわち、そのまま電圧が低下すると内部的に動作停止状態になる。よって、電断時に確実にメイン制御部41は動作停止する。
【0105】
このように電断割込処理においては、その時点のRAMパリティを計算してパリティ格納領域に格納されるようになっており、次回起動時において計算したRAMパリティと比較することで、RAMに格納されているデータが正常か否かを確認できるようになっている。
【0106】
以上説明したように、本実施例のスロットマシン1では、メイン制御部41のRAMに記憶されているデータに異常が生じた場合には、RAM異常エラー状態に制御され、ゲームの進行が不能化されるとともに、設定変更モードに移行し、設定変更操作に基づいて設定値を新たに選択・設定しなければ、ゲームの進行が不能化された状態が解除されない。すなわち、メイン制御部41のRAMに記憶されているデータに異常が生じても、スロットマシンにより自動的に設定された設定値ではなく、設定変更操作に基づいて選択・設定された設定値(一般的に、設定変更操作は遊技店の従業員により行われるので、遊技店側が選択した設定値である)に基づいてゲームが行われることが担保されるので、ゲームの公平性を図ることができる。
【0107】
また、本実施例では、内部抽選処理において入賞の発生を許容するか否かを決定する際に、設定値ワークに格納されている設定値が適正な値(1〜6の範囲の値)でなければ、デフォルトの設定値(例えば設定1)に基づく確率で入賞の発生を許容するか否かを決定するのではなく、この場合にもRAM異常エラー状態に制御され、ゲームの進行が不能化され、設定変更モードに移行し、設定変更操作に基づいて設定値を新たに選択・設定しなければ、ゲームの進行が不能化された状態が解除されない。すなわ内部抽選処理において入賞の発生を許容するか否かの決定を適正に行うことができない場合にも、設定変更操作に基づいて選択・設定された設定値に基づいてゲームが行われることが担保されるので、ゲームの公平性を図ることができる。
【0108】
また、メイン制御部41のRAMに記憶されたデータに異常が生じるのは、停電時やメイン制御部41が暴走する等、制御に不具合が生じて制御を続行できないときがほとんどである。このため本実施例では、これらの状態から復旧してメイン制御部41が起動するときにおいてのみデータが正常か否かの判定を行うようになっているので、メイン制御部41のRAMに記憶されたデータが正常か否かの判定をデータに異常が生じている可能性が高い状況においてのみ行うことができる。すなわちデータに異常が生じている可能性の低い状況では、当該判定を行わずに済み、メイン制御部41の負荷を軽減させることができる。
【0109】
また、本実施例では、電断が検出された際に実行される電断割込処理においてメイン制御部41のRAMに記憶されている全てのデータに基づいてRAMパリティを計算してパリティ格納領域にセットし、次回起動時において、その際計算して得られたRAMパリティと比較することでRAMのデータが正常か否かを判定しており、電断時と起動時のRAMパリティを比較するのみでデータが正常か否かを判定できるので、当該判定を正確にかつ簡便に行うことができる。
【0110】
尚、本実施例では、電断時のパリティと起動時のパリティを比較してRAMのデータが正常か否かを判定しているが、その他の方法でRAMのデータが正常か否かを判定するようにしても良く、例えば、電断時にチェックサム(データ列を足し合わせた総和)を作成し、起動時に作成したチェックサムと比較することでRAMのデータが正常か否かを判定するようにしても良い。
【0111】
また、本実施例では、メイン制御部41のRAMのデータに異常が生じて、ゲームの進行が不能化された場合には、ゲームの進行が不能化された状態を解除する条件となる設定値の変更操作が有効となる設定変更モード(設定変更処理)へ移行することに伴って、RAMに記憶されているデータが初期化されるので、RAMのデータに異常が生じたことに伴うデータの初期化及び設定値の選択・設定に伴うデータの初期化を1度で行うことができ、無駄な処理を省くことができる。更に、メイン制御部41の起動時には、RAMのデータが正常か否かを判定する前に、設定キースイッチ37がonの状態であるか否かを判定し、その時点で設定キースイッチ37がonの状態であると判定した場合には、RAMのデータが正常か否かの判定は行わず、設定変更モードに移行し、新たに設定値が選択・設定されることとなり、この場合にも無駄な処理を省くことができる。
【0112】
尚、本実施例では、設定変更処理に移行する前に、RAMの初期化を行っているが、設定変更処理に移行することに伴ってRAMの初期化が行われれば良く、例えば、設定変更処理の終了後に行っても良いし、設定変更処理において設定値が確定した時点で行っても良い。
【0113】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれることは言うまでもない。
【0114】
例えば、前記実施例では、メイン制御部41とは別個に設けられたリセット回路45からのリセット信号に基づいてメイン制御部41が起動するようになっているが、リセット回路をメイン制御部41を構成するマイクロコンピュータが搭載していても良い。
【0115】
また、前記実施例では、メイン制御部41の起動時においてのみRAMのデータが正常か否かを判定しているが、その他の契機、例えば、1ゲーム毎に判定するようにしても良い。
【0116】
また、前記実施例では、メダル並びにクレジットを用いて賭数を設定するスロットマシンを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、パチンコ球を用いて賭数を設定するスロットマシンや、クレジットのみを使用して賭数を設定する完全クレジット式のスロットマシンであっても良い。
【0117】
前記実施例における各要素は、本発明に対して以下のように対応している。
【0118】
本発明の請求項1に記載のスロットマシンは、
1ゲームに対して所定数(3または1)の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の識別情報(図柄)を変動表示可能な可変表示装置(リール2L、2C、2R)の表示結果が導出表示されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置の表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシン1であって、
遊技の制御を行う遊技制御手段(メイン制御部41)を備え、
該遊技制御手段は、
前記可変表示装置の表示結果が導出される前に入賞の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段(内部抽選処理)と、
所定の設定操作手段(リセット/設定スイッチ36)の操作に基づいて、前記事前決定手段が入賞の発生を許容する旨を決定する割合が異なる複数種類の許容段階(設定値1〜6)のうちから、いずれかの許容段階を選択して設定する許容段階設定手段(設定変更処理)と、
前記許容段階設定手段により設定された許容段階を示すデータ(設定値ワークに格納されている設定値)を含む前記遊技制御手段が制御を行うためのデータを読み出し及び書き込みが可能に記憶するデータ記憶手段(メイン制御部41のRAM)と、
前記データ記憶手段に記憶されているデータが正常か否かを判定する記憶データ判定手段(起動処理におけるパリティチェック)と、
前記記憶データ判定手段により前記データ記憶手段に記憶されているデータが正常ではないと判定されたときに、ゲームの進行を不能化する不能化手段(RAM異常エラー処理)と、
前記不能化手段により前記ゲームの進行が不能化された状態(RAM異常エラー状態)において、前記設定操作手段の操作に基づいて前記許容段階設定手段により前記許容段階が新たに設定されたこと(設定変更処理により新たに設定値が選択・設定されたこと)を条件に、前記ゲームの進行が不能化された状態を解除し、ゲームの進行を可能とする不能化解除手段(設定変更処理の終了後、ゲーム制御処理へ移行させる処理)と、
を備えることを特徴としている。
【0119】
本発明の請求項2に記載のスロットマシンは、請求項1に記載のスロットマシンであって、
前記事前決定手段(内部抽選処理)は、入賞の発生を許容するか否かを決定する際に、前記データ記憶手段(メイン制御部41のRAM)に記憶されている許容段階(設定値)を示すデータ(設定値ワークに格納されている設定値)を読み出し、該読み出した許容段階を示すデータが前記許容段階設定手段により設定可能な許容段階を示す適正なデータ(1〜6の範囲)であるか否かを判定する許容段階データ判定手段(内部抽選処理におけるSe2、3)を含み、
前記不能化手段(RAM異常エラー処理)は、前記許容段階データ判定手段により前記データ記憶手段から読み出した許容段階を示すデータが適正なデータではないと判定されたときにも、ゲームの進行を不能化する、
ことを特徴としている。
【0120】
本発明の請求項3に記載のスロットマシンは、請求項1または2に記載のスロットマシンであって、
前記記憶データ判定手段(起動処理におけるパリティチェック)は、前記遊技制御手段(メイン制御部41)の起動時にのみ前記データ記憶手段(メイン制御部41のRAM)に記憶されているデータが正常か否かを判定する、
ことを特徴としている。
【0121】
本発明の請求項4に記載のスロットマシンは、請求項1〜3のいずれかに記載のスロットマシンであって、
前記スロットマシン1で用いられる所定の電力の状態を監視し、電力供給が断たれたことに関わる電断条件が成立しているときに前記遊技制御手段(メイン制御部41)に対して電断信号(電圧低下信号)を出力する電断検出手段(電源監視用IC44)を備え、
前記遊技制御手段は、
前記電断検出手段から出力された前記電断信号の入力を契機に、前記データ記憶手段(メイン制御部41のRAM)に記憶されているデータに基づいて破壊診断用データ(RAMパリティ)を算出し、該算出した破壊診断用データを前記データ記憶手段の特定領域(パリティ格納領域)に格納する電断処理を実行する電断処理手段(電断割込処理)を含み、
前記記憶データ判定手段は、前記遊技制御手段の起動時に、前記データ記憶手段の特定領域を除く記憶領域に記憶されているデータに基づいて破壊診断用データを算出し、該算出した破壊診断用データと前記データ記憶手段の特定領域に記憶されている破壊診断用データとを比較し、該比較結果が一致したときに、前記データ記憶手段に記憶されているデータが正常であると判定し、該比較結果が一致しなかったときに、前記データ記憶手段に記憶されているデータを正常ではないと判定する、
ことを特徴としている。
【0122】
本発明の請求項5に記載のスロットマシンは、請求項1〜4のいずれかに記載のスロットマシンであって、
前記遊技制御手段(メイン制御部41)は、
前記遊技制御手段の起動時に、前記設定操作手段(リセット/設定スイッチ36)による前記許容段階(設定値)の設定操作が有効となる設定操作有効状態(設定変更モード)へ移行させるための移行操作手段(設定キースイッチ37)の操作がなされているか否かを判定する移行操作判定手段(起動処理におけるSa3)と、
前記遊技制御手段の起動時において、前記移行操作判定手段により前記移行操作手段の操作がなされていると判定されたことを条件に、前記設定操作有効状態へ移行させる設定操作有効状態移行手段(設定変更処理)と、
前記遊技制御手段の起動時において、前記移行操作判定手段により前記移行操作手段の操作がなされていると判定され、前記設定操作有効状態移行手段が前記設定操作有効状態に移行させることに伴って、前記データ記憶手段(メイン制御部41のRAM)に記憶されているデータを初期化するデータ初期化手段(起動処理におけるSa9)と、
を含み、
前記移行操作判定手段は、前記遊技制御手段の起動時において、前記記憶データ判定手段が前記データ記憶手段に記憶されているデータが正常か否かを判定する前に、前記移行操作手段の操作がなされているか否かを判定し、
前記記憶データ判定手段(起動処理におけるパリティチェック)は、前記移行操作判定手段により前記移行操作手段の操作がなされていないと判定されたときに、前記データ記憶手段に記憶されているデータが正常か否かを判定する、
ことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明が適用された実施例のスロットマシンの正面図である。
【図2】リールの図柄配列を示す図である。
【図3】スロットマシンの構成を示すブロック図である。
【図4】図2に示すメイン制御部のRAMの格納領域を示す図である。
【図5】(a)は遊技状態別当選役テーブルを示す図であり、(b)は役別テーブルの例を示す図である。
【図6】役別テーブルに登録されたアドレスに基づいて取得される判定値数の記憶領域を示す図である。
【図7】(a)〜(c)は、内部抽選用の乱数の値及び各役の判定値数と、当選役との関係の例を示す図である。
【図8】メイン制御部のCPUが実行する起動処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図9】メイン制御部のCPUが実行する設定変更処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図10】メイン制御部のCPUが実行するRAM異常エラー処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図11】メイン制御部41のCPUが実行するゲーム制御処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図12】メイン制御部41のCPUがSd2のステップにおいて実行する内部抽選処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図13】遊技制御部41のCPUが電源監視用IC44からの電圧低下信号の出力に伴う外部割込の発生により実行する電断割込処理の制御内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0124】
1 スロットマシン
2L、2C、2R リール
8L、8C、8R ストップスイッチ
36 リセット/設定スイッチ
37 設定キースイッチ
41 メイン制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示装置の表示結果に応じて所定の入賞が発生可能なスロットマシンに関し、特には入賞確率を複数の段階のうちいずれかの段階に設定することが可能なスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のスロットマシンとしては、ゲームの開始とほぼ同時に入賞の発生を許容するか否かを決定する内部抽選を行い、この内部抽選に当選したことを条件に、当選した入賞の発生が許容されるものが一般的である。また、スロットマシンを設置して営業する遊技店では、売上を調整するうえで設置されたスロットマシンの入賞確率の段階を変更する必要があることから、このようなスロットマシンにおいては、遊技店の従業員等の操作によって、内部抽選の抽選確率として適用される当選確率の段階を示す値である設定値を、異なる確率が定められた複数の値から選択・設定できるようになっている。
【0003】
一方、この種のスロットマシンには、遊技の制御を行うマイクロコンピュータ等からなる制御部が搭載されており、この制御部により前述の内部抽選も行われている。また、この制御部には遊技の制御を行うためのデータを書き換え可能なメモリ(RAM)を備えており、遊技店の従業員等の操作により選択・設定された設定値もこのメモリに記憶されることとなるが、例えば、電源投入時にメモリのデータがバックアップされていない場合やメモリのデータが破壊されている場合、マイクロコンピュータの不具合によりリセットがかかった場合等、メモリのデータに異常が生じうることがあり、このような場合には、もとの状態に復帰することが不可能となるので、メモリの記憶状態が初期化される。もちろん設定値もメモリに記憶されているので、もともと設定されていた設定値を復帰させることも不可能である。
【0004】
このため、従来のスロットマシンでは、メモリのデータに異常が生じると、メモリのデータを初期化するとともに、設定値には、予め定められた設定値(例えば、払出率が100%に近い当選確率を定めた設定値や払出率が最も低くなる当選確率を定めた設定値)を自動的に設定し、ゲームの進行が可能な状態に復帰させていた(例えば、特許文献1、2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平6−114140号公報
【特許文献2】特開2000−296200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載されたような従来のスロットマシンにおいては、メモリのデータに異常が生じると、前述のように設定値には、遊技店の従業員等の操作により選択・設定された設定値ではなく、予め定められた設定値を自動的に設定し、ゲームの進行が可能な状態に復帰させているので、本来であれば、遊技店側の操作により選択・設定された設定値に基づく当選確率を適用して内部抽選が行われ、入賞の発生が許容されるべきであるのに、メモリのデータに異常が生じると、スロットマシンの制御により自動的に設定された予め定められた設定値に基づく当選確率を適用して内部抽選が行われることとなる。すなわち本来であれば遊技店側が選択した設定値に基づいてゲームが行われるべきところを、スロットマシンの不具合によりスロットマシンにより自動的に設定された設定値に基づいてゲームが行われることとなるため、ゲームの公平性が損なわれてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、ゲームの公平性を図ることができるスロットマシンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のスロットマシンは、
1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示装置の表示結果が導出表示されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置の表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンであって、
遊技の制御を行う遊技制御手段を備え、
該遊技制御手段は、
前記可変表示装置の表示結果が導出される前に入賞の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、
所定の設定操作手段の操作に基づいて、前記事前決定手段が入賞の発生を許容する旨を決定する割合が異なる複数種類の許容段階のうちから、いずれかの許容段階を選択して設定する許容段階設定手段と、
前記許容段階設定手段により設定された許容段階を示すデータを含む前記遊技制御手段が制御を行うためのデータを読み出し及び書き込みが可能に記憶するデータ記憶手段と、
前記データ記憶手段に記憶されているデータが正常か否かを判定する記憶データ判定手段と、
前記記憶データ判定手段により前記データ記憶手段に記憶されているデータが正常ではないと判定されたときに、ゲームの進行を不能化する不能化手段と、
前記不能化手段により前記ゲームの進行が不能化された状態において、前記設定操作手段の操作に基づいて前記許容段階設定手段により前記許容段階が新たに設定されたことを条件に、前記ゲームの進行が不能化された状態を解除し、ゲームの進行を可能とする不能化解除手段と、
を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、データ記憶手段に記憶されているデータに異常が生じた場合には、ゲームの進行が不能化されるとともに、設定操作手段の操作に基づいて許容段階(設定値)を新たに選択・設定しなければ、ゲームの進行が不能化された状態が解除されない。すなわち、データ記憶手段に記憶されているデータに異常が生じても、スロットマシンにより自動的に設定された許容段階ではなく、設定操作手段の操作に基づいて選択・設定された許容段階(一般的に、設定操作手段の操作は遊技店の従業員により操作されるので、遊技店側が選択した許容段階である)に基づいてゲームが行われることが担保されるので、ゲームの公平性を図ることができる。
尚、所定数の賭数とは、少なくとも1以上の賭数であって、2以上の賭数が設定されることや最大賭数が設定されることでゲームが開始可能となるようにしても良い。
また、本発明のスロットマシンは、メダルを用いて賭数を設定するものであっても良いし、遊技球を用いて賭数を設定するものであっても良い。更には、メダルや遊技球等に相当する有価価値(クレジット等)をスロットマシン内部に記憶し、この記憶された有価価値を用いて賭数を設定するものであっても良い。
【0009】
本発明の請求項2に記載のスロットマシンは、請求項1に記載のスロットマシンであって、
前記事前決定手段は、入賞の発生を許容するか否かを決定する際に、前記データ記憶手段に記憶されている許容段階を示すデータを読み出し、該読み出した許容段階を示すデータが前記許容段階設定手段により設定可能な許容段階を示す適正なデータであるか否かを判定する許容段階データ判定手段を含み、
前記不能化手段は、前記許容段階データ判定手段により前記データ記憶手段から読み出した許容段階を示すデータが適正なデータではないと判定されたときにも、ゲームの進行を不能化する、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、事前決定手段が入賞の発生を許容するか否かを決定する際に、入賞の発生が許容される割合を定めた許容段階を示すデータが適正でなければ、予め定められた許容段階に基づく割合で入賞の発生を許容するか否かを決定するのではなく、この場合にもゲームの進行を不能化し、設定操作手段の操作に基づいて許容段階(設定値)を新たに選択・設定しなければ、ゲームの進行が不能化された状態が解除されない。すなわち事前決定手段において入賞の発生を許容するか否かの決定を適正に行うことができない場合にも、設定操作手段の操作に基づいて選択・設定された許容段階に基づいてゲームが行われることが担保されるので、ゲームの公平性を図ることができる。
【0010】
本発明の請求項3に記載のスロットマシンは、請求項1または2に記載のスロットマシンであって、
前記記憶データ判定手段は、前記遊技制御手段の起動時にのみ前記データ記憶手段に記憶されているデータが正常か否かを判定する、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、データ記憶手段に記憶されたデータに異常が生じるのは、停電時や遊技制御手段の制御に不具合が生じて制御を続行できないときがほとんどであるため、これらの状態から復旧して遊技制御手段が起動するときにおいてのみデータが正常か否かの判定を行うことで、当該判定をデータに異常が生じている可能性が高い状況においてのみ行うようにできる。すなわちデータに異常が生じている可能性の低い状況では、当該判定を行わずに済み、遊技制御手段の負荷を軽減させることができる。
【0011】
本発明の請求項4に記載のスロットマシンは、請求項1〜3のいずれかに記載のスロットマシンであって、
前記スロットマシンで用いられる所定の電力の状態を監視し、電力供給が断たれたことに関わる電断条件が成立しているときに前記遊技制御手段に対して電断信号を出力する電断検出手段を備え、
前記遊技制御手段は、
前記電断検出手段から出力された前記電断信号の入力を契機に、前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づいて破壊診断用データを算出し、該算出した破壊診断用データを前記データ記憶手段の特定領域に格納する電断処理を実行する電断処理手段を含み、
前記記憶データ判定手段は、前記遊技制御手段の起動時に、前記データ記憶手段の特定領域を除く記憶領域に記憶されているデータに基づいて破壊診断用データを算出し、該算出した破壊診断用データと前記データ記憶手段の特定領域に記憶されている破壊診断用データとを比較し、該比較結果が一致したときに、前記データ記憶手段に記憶されているデータが正常であると判定し、該比較結果が一致しなかったときに、前記データ記憶手段に記憶されているデータを正常ではないと判定する、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、電断時に算出された破壊診断用データと起動時に算出された破壊診断用データとを比較するのみで、データ記憶手段に記憶されているデータが正常か否かを判定できるので、データが正常か否かの判定を正確にかつ簡便に行うことができる。
【0012】
本発明の請求項5に記載のスロットマシンは、請求項1〜4のいずれかに記載のスロットマシンであって、
前記遊技制御手段は、
前記遊技制御手段の起動時に、前記設定操作手段による前記許容段階の設定操作が有効となる設定操作有効状態へ移行させるための移行操作手段の操作がなされているか否かを判定する移行操作判定手段と、
前記遊技制御手段の起動時において、前記移行操作判定手段により前記移行操作手段の操作がなされていると判定されたことを条件に、前記設定操作有効状態へ移行させる設定操作有効状態移行手段と、
前記遊技制御手段の起動時において、前記移行操作判定手段により前記移行操作手段の操作がなされていると判定され、前記設定操作有効状態移行手段が前記設定操作有効状態に移行させることに伴って、前記データ記憶手段に記憶されているデータを初期化するデータ初期化手段と、
を含み、
前記移行操作判定手段は、前記遊技制御手段の起動時において、前記記憶データ判定手段が前記データ記憶手段に記憶されているデータが正常か否かを判定する前に、前記移行操作手段の操作がなされているか否かを判定し、
前記記憶データ判定手段は、前記移行操作判定手段により前記移行操作手段の操作がなされていないと判定されたときに、前記データ記憶手段に記憶されているデータが正常か否かを判定する、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、データ記憶手段のデータに異常が生じて、遊技の進行が不能化された場合には、遊技の進行が不能化された状態を解除する条件となる許容段階の設定が有効となる設定操作有効状態へ移行することに伴って、データ記憶手段に記憶されているデータが初期化されるので、データ記憶手段のデータに異常が生じたことに伴うデータの初期化及び許容段階の設定に伴うデータの初期化を1度で行うことができ、無駄な処理を省くことができる。更に、遊技制御手段の起動時には、記憶データ判定手段がデータが正常か否かを判定する前に、移行操作判定手段が移行操作手段の操作がなされているか否かを判定し、その時点で移行操作手段の操作がなされていると判定した場合には、記憶データ判定手段による判定は行わず、設定操作有効状態に移行し、新たに許容段階の設定が行われることとなり、この場合にも無駄な処理を省くことができる。
尚、請求項3〜5において、前記遊技制御手段の起動時とは、前記スロットマシンへの電力供給が開始されたこと(電源投入)に伴い遊技制御手段が起動するときや、遊技制御手段に不具合が生じたことに伴い遊技制御手段が再起動するときが該当する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施例を以下に説明する。
【0014】
本発明が適用されたスロットマシンの実施例を図面を用いて説明すると、図1に示すように、本実施例のスロットマシン1には、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リールともいう)が水平方向に並設されており、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄がスロットマシン1の前面に設けられた透視窓3から見えるように配置されている。
【0015】
リール2L、2C、2Rの外周部には、図2に示すように、それぞれ「赤7」(図中黒色の7)、「青7」(図中網かけの7)、「白7」、「BAR」、「JAC」、「スイカ」、「チェリー」、「ベル」といった互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で、それぞれ21個ずつ描かれている。リール2L、2C、2Rの外周部に描かれた図柄は、透視窓3において各々上中下三段に表示される。
【0016】
各リール2L、2C、2Rは、各々対応して設けられたリールモータ34L、34C、34R(図2参照)によって回転されることで、各リール2L、2C、2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示されるとともに、各リール2L、2C、2Rの回転を停止させることで、透視窓3に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示されるようになっている。
【0017】
また、本実施例のスロットマシン1には、クレジット(遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数)が表示されるクレジット表示器10、ボーナス中のメダルの獲得枚数やエラー発生時にその内容を示すエラーコード等が表示される遊技補助表示器16、メダルが投入可能なメダル投入部4、クレジットを用いてメダル1枚分の賭数を設定する際に操作される1枚BETスイッチ5、クレジットを用いて最大賭数(本実施例では3)を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットとして記憶されている枚数のメダルを精算する際に操作される精算スイッチ15、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L、2C、2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8Rが設けられている。
【0018】
本実施例のスロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入口4から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するにはMAXBETスイッチ6、または1枚BETスイッチ5を操作すれば良い。所定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1、L2、L2’、L3、L3’(図1参照)が有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。尚、本実施例において、所定数の賭数とは、後述する通常遊技状態及びビッグボーナス中の小役ゲームにおいては1ゲームにおいて設定可能な最大賭数である3枚であり、レギュラーボーナス中においては、最小単位である1枚である。
【0019】
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、表示結果が導出表示される。
【0020】
そして全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、賭数に応じて有効化されたいずれかの入賞ラインL1、L2、L2’、L3、L3’上に予め定められた図柄の組合せが各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。また、クレジットが上限数(本実施例では50)に達した場合には、メダルが直接メダル払出穴9(図1参照)から払い出されるようになっている。
【0021】
図3は、スロットマシン1の構成を示すブロック図である。スロットマシン1には、図3に示すように、遊技制御基板40、演出制御基板90、電源基板202が設けられており、遊技制御基板40によって遊技状態が制御され、演出制御基板90によって遊技状態に応じた演出が制御され、電源基板202によってスロットマシン1を構成する電気部品の駆動電源が生成され、各部に供給される。
【0022】
電源基板202には、外部から供給されたAC100Vの電源に基づいてスロットマシン1を構成する電気部品の駆動に必要な直流電圧が生成され、遊技制御基板40及び遊技制御基板40を介して接続された演出制御基板90に供給されるようになっている。また、電源基板202には、起動時に設定変更モードに切り替えるための設定キースイッチ37、後述するRAM異常エラーを除くエラー状態において当該エラー状態を解除するためのリセットスイッチとして機能し、設定変更モードにおいて後述する内部抽選の当選確率(出玉率)の設定値を変更するための設定スイッチとして機能するリセット/設定スイッチ36、メダル払出穴9よりメダルを払い出すためのホッパーモータ32、ホッパーモータ32の駆動により払い出されたメダルを検出する払出センサ33が接続されている。
【0023】
遊技制御基板40には、前述した1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、精算スイッチ15、ストップスイッチ8L、8C、8Rに加えて、メダル投入部4から投入されたメダルを検出する投入メダルセンサ31、リール2L、2C、2Rの基準位置を検出するリールセンサ35が接続されているとともに、電源基板202を介して前述した払出センサ33、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ36が接続されており、これら接続されたスイッチ類の検出信号が入力されるようになっている。
【0024】
また、遊技制御基板40には、前述したリールモータ34L、34C、34Rやクレジット表示器10、遊技補助表示器16に加えて、メダル投入部4から投入されたメダルの流路をホッパーモータ32の駆動により払い出されるメダルが貯留されるホッパータンク(図示略)側またはメダル払出口9側のいずれか一方に選択的に切り替えるための流路切替ソレノイド14が接続されているとともに、電源基板202を介して前述したホッパーモータ32が接続されており、これら電気部品は、遊技制御基板40に搭載された後述のメイン制御部41の制御に基づいて駆動されるようになっている。
【0025】
遊技制御基板40には、所定の手順で演算を行うCPU、CPUの制御プログラムや各種データテーブル等を格納するROM、CPUが動作を行うために必要なデータの書き込み及び読み出しを行うRAM、各種信号の入出力を行うI/Oポートを備えたマイクロコンピュータからなるメイン制御部41、遊技制御基板40に直接または電源基板202を介して接続されたスイッチ類から入力された検出信号が入力されるスイッチ回路42、リールモータ34L、34C、34Rの駆動制御を行うモータ回路43、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧の低下を検出したときに、電圧低下信号をメイン制御部41に対して出力する電源監視用IC44、電源投入時においてメイン制御部41が起動可能なレベルまで電圧が上昇したときにメイン制御部41に対してリセット信号を出力し、メイン制御部41を起動させるとともに、メイン制御部41から定期的に出力される信号に基づいてリセットカウンタの値がクリアされずにカウントアップした場合、すなわちメイン制御部41が一定時間動作を行わなかった場合にメイン制御部41に対してリセット信号を出力し、メイン制御部41を再起動させるリセット回路45等の各種デバイスが搭載されており、メイン制御部41は、遊技制御基板40に直接または電源基板202を介して接続されたスイッチ類の検出信号等を受けて、ゲームの進行に応じた各種の制御を行う。
【0026】
メイン制御部41は、特に図示はしないが、割込入力端子を備えており、この割込入力端子には、前述した電源監視用IC44が接続されており、割込入力端子に電圧低下信号が入力されることで外部割込が発生し、メイン制御部41のCPUは外部割込に応じて後述する電断割込処理を実行する。
【0027】
メイン制御部41のRAMには、図4に示すように、重要ワーク、一般ワーク、特別ワーク、設定値ワーク、非保存ワーク、スタック領域、パリティ格納領域を含む複数の領域が設けられている。これら各領域のうち、特に、設定値ワークは、内部抽選の当選確率の設定値を格納する領域であり、パリティ格納領域は、電断時においてRAMパリティを格納する領域である。また、メイン制御部41のRAMは、停電時においてもバックアップ電源より電力が供給され、記憶されているデータが保持されるようになっている。
【0028】
演出制御基板90は、図3に示すように、演出用中継基板80を介して遊技制御基板40に接続されており、メイン制御部41から送信されたコマンドが入力されるようになっている。このように、遊技制御基板40と演出制御基板90とが演出用中継基板80を介して接続されていることで、遊技制御基板40と演出制御基板90との配線接続が容易になるとともに、演出制御基板90から遊技制御基板40に対して不正な信号等が直接入力されることを抑制することができる。
【0029】
演出制御基板90には、スロットマシン1の前面に配置された液晶表示器51(図1参照)、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールランプ55等の電気部品が接続されており、これら電気部品は、演出制御基板90に搭載された後述のサブ制御部91による制御に基づいて駆動されるようになっている。
【0030】
演出制御基板90には、メイン制御部41と同様にCPU、ROM、RAM、I/Oポートを備えるサブ制御部91、演出制御基板90に接続された液晶表示器51の駆動制御を行う液晶駆動回路92、演出効果LED52の駆動制御を行うランプ駆動回路93、スピーカ53、54からの音声出力制御を行う音声出力回路94等、が搭載されており、サブ制御部91は、遊技制御基板40に搭載されたメイン制御部41から送信されるコマンドを受けて、演出を行うための各種の制御を行う。
【0031】
本実施例のスロットマシン1においては、設定値に応じてメダルの払出率が変わるものであり、後述する内部抽選の当選確率は、設定値に応じて定まるものとなる。以下、設定値の変更操作について説明する。
【0032】
設定値を変更するためには、設定キースイッチ37をON状態としてからスロットマシン1の電源をONする必要がある。設定キースイッチ37をON状態として電源をONすると、リセット/設定スイッチ36の操作による設定値の変更操作が可能な設定変更モードに移行する。設定変更モードにおいて、リセット/設定スイッチ36が操作されると、設定値が1ずつ更新されていく(設定6から更に操作されたときは、設定1に戻る)。そして、スタートスイッチ7が操作されると設定値が確定し、確定した設定値がメイン制御部41の前述した設定値ワークに格納される。そして、設定キースイッチ37がOFFされると、遊技の進行が可能な状態に移行する。
【0033】
本実施例のスロットマシン1においては、前述のようにメイン制御部41が電圧低下信号を検出した際に、電断割込処理を実行する。電断割込処理では、メイン制御部41のRAMに記憶されている全てのデータに基づいてRAMパリティを計算し、RAMのパリティ格納領域に格納する処理を行うようになっている。尚、RAMパリティとはデータ列を足し合わせた総和の最下位bitのことである。
【0034】
そして、メイン制御部41の起動時において、メイン制御部41のRAMに記憶されているデータのうちパリティ格納領域を除く全てのデータに基づいてRAMパリティを計算し、パリティ格納領域に格納されているRAMパリティと比較する。次いで、この比較結果が一致した場合には、RAMに記憶されている状態に基づいて電断前の状態に復帰させるが、比較結果が一致しなかった場合には、RAM異常と判定し、RAM異常エラーコードをセットしてRAM異常エラー状態に制御し、遊技の進行を不能化させるようになっている。RAM異常エラー状態は、他のエラー状態と異なり、リセット/設定スイッチ36を操作しても解除されないようになっており、前述した設定変更モードにおいて新たな設定値が設定されることで解除されるようになっている。
【0035】
本実施例のスロットマシン1は、全てのリール2L、2C、2Rが停止した際に、賭数に応じて設定された有効ライン上に役図柄が揃うと、入賞となる。入賞となる役の種類は、遊技状態に応じて定められているが、大きく分けて、遊技状態の移行を伴う特別役と、メダルの払い出しを伴う小役と、賭数の設定を必要とせずに次のゲームを開始可能となる再遊技役とがある。遊技状態に応じて定められた各役の入賞が発生するためには、後述する内部抽選に当選して、当該役の当選フラグが設定されている必要がある。
【0036】
図5(a)は、遊技状態別当選役テーブルを示す図である。遊技状態別当選役テーブルは、メイン制御部41のROMに予め格納され、内部抽選において当選と判定される役を判断するために用いられるものであるが、遊技状態別当選役テーブルの登録内容は、遊技状態に応じて定められた役を示すものとなる。このスロットマシン1における役としては、特別役としてレギュラーボーナス(1)、レギュラーボーナス(2)、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、ビッグボーナス(3)、JACIN、小役としてJAC、スイカ、ベル、チェリーが、再遊技役としてリプレイが定められている。
【0037】
レギュラーボーナスの遊技状態では、小役であるJAC、スイカ、ベル及びチェリーが、入賞となる役として定められており、レギュラーボーナスにおける内部抽選で抽選の対象とされる。ビッグボーナスの後述する小役ゲームでは、特別役であるレギュラーボーナス(2)及びJACIN、小役であるスイカ、ベル及びチェリーが入賞となる役として定められており、小役ゲームにおける内部抽選で抽選の対象とされる。通常遊技状態では、特別役であるレギュラーボーナス(1)、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、ビッグボーナス(3)、小役であるスイカ、ベル及びチェリー、再遊技役であるリプレイが入賞となる役として定められており、通常遊技状態における内部抽選で抽選の対象とされる。
【0038】
尚、本実施例では、レギュラーボーナスの遊技状態において、スイカ、ベル及びチェリーに加えてJACが入賞となる小役として定められているが、レギュラーボーナスの遊技状態においても、小役ゲームや通常遊技状態と同様に、スイカ、ベル及びチェリーのみを入賞となる小役として定めるようにしても良い。
【0039】
ビッグボーナスは、通常遊技状態において有効ライン(入賞ラインL1、L2、L2’、L3、L3’の5本)のいずれかに「赤7−赤7−赤7」の組み合わせ、「白7−白7−白7」の組み合わせ、または「青7−青7−青7」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。ビッグボーナス入賞すると、遊技状態がビッグボーナスに移行する。ビッグボーナスにおいては、小役ゲームと称されるゲームを行うことができる。遊技状態がビッグボーナスにある間は、ビッグボーナス中フラグがメイン制御部41のRAMに設定される。ビッグボーナスは、当該ビッグボーナス中において遊技者に払い出したメダルの総数が465枚に達したときに終了する。
【0040】
尚、「赤7−赤7−赤7」によるビッグボーナス、「白7−白7−白7」によるビッグボーナス、及び「青7−青7−青7」を区別する必要がある場合には、それぞれビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、ビッグボーナス(3)と呼ぶものとする。
【0041】
レギュラーボーナスは、小役ゲーム及び通常遊技状態において有効ライン(入賞ラインL1、L2、L2’、L3、L3’の5本)のいずれかに「BAR−BAR−BAR」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。レギュラーボーナス入賞すると、遊技状態が小役ゲームまたは通常遊技状態からレギュラーボーナスに移行する。レギュラーボーナスは、12ゲームを消化したとき、または8ゲーム入賞(役の種類は、いずれでも可)したとき、のいずれか早いほうで終了する。遊技状態がレギュラーボーナスにある間は、レギュラーボーナス中フラグがメイン制御部41のRAMに設定される。特に、小役ゲームにおいてレギュラーボーナス入賞すると、ビッグボーナスの中でレギュラーボーナスが提供されることとなり、ビッグボーナス中フラグに併せてレギュラーボーナス中フラグもメイン制御部41のRAMに設定される。ビッグボーナス中のレギュラーボーナスで当該ビッグボーナス中において遊技者に払い出したメダルの総数が465枚に達したときは、ビッグボーナスとともに当該レギュラーボーナスも終了する。
【0042】
尚、通常遊技状態の「BAR−BAR−BAR」によるレギュラーボーナス、ビッグボーナスにおける小役ゲームの「BAR−BAR−BAR」によるレギュラーボーナスを区別する必要がある場合には、それぞれレギュラーボーナス(1)、レギュラーボーナス(2)と呼ぶものとする。また、前述したビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)及びビッグボーナス(3)、レギュラーボーナス(1)及びレギュラーボーナス(2)をまてめて、単に「ボーナス」と呼ぶ場合があるものとする。
【0043】
JACINは、小役ゲームにおいて有効ライン(入賞ラインL1、L2、L2’、L3、L3’の5本)のいずれかに「スイカ−JAC−JAC」の組み合わせが揃ったときに入賞となるが、小役ゲーム以外の遊技状態では、この組み合わせが揃ったとしてもJACIN入賞とならない。JACIN入賞すると、ビッグボーナスの中で前述したレギュラーボーナスが提供されることとなり、ビッグボーナス中フラグに併せてレギュラーボーナス中フラグもメイン制御部41のRAMに設定される。ビッグボーナス中のレギュラーボーナスで当該ビッグボーナス中において遊技者に払い出したメダルの総数が465枚に達したときは、ビッグボーナスとともに当該レギュラーボーナスも終了する。
【0044】
JACは、レギュラーボーナスにおいて有効ライン(入賞ラインL1の1本)に「ベル−JAC−JAC」の組み合わせが揃ったときに入賞となるが、レギュラーボーナス以外の遊技状態では、この組み合わせが揃ったとしてもJAC入賞とならない。スイカは、いずれの遊技状態においても有効ライン(入賞ラインL1の1本または入賞ラインL1、L2、L2’、L3、L3’の5本)のいずれかに「スイカ−スイカ−スイカ」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。ベルは、いずれの遊技状態においても有効ライン(入賞ラインL1の1本または入賞ラインL1、L2、L2’、L3、L3’の5本)のいずれかに「ベル−ベル−ベル」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。チェリーは、いずれの遊技状態においても左のリール3Lについて有効ライン(入賞ラインL1の1本または入賞ラインL1、L2、L2’、L3、L3’の5本)のいずれかに「チェリー」の図柄が導出されたときに入賞となる。これらの小役が入賞したときのメダルの払い出しについては、後述する。
【0045】
リプレイは、通常遊技状態において有効ライン(入賞ラインL1、L2、L2’、L3、L3’の5本)のいずれかに「JAC−JAC−JAC」の組み合わせが揃ったときに入賞となるが、レギュラーボーナスやビッグボーナス(小役ゲーム及びレギュラーボーナス)では、この組み合わせが揃ったとしてもリプレイ入賞とならない。リプレイ入賞したときには、メダルの払い出しはないが次のゲームを改めて賭数を設定することなく開始できるので、次のゲームで設定不要となった賭数(レギュラーボーナスではリプレイ入賞しないので必ず3)に対応した3枚のメダルが払い出されるのと実質的には同じこととなる。
【0046】
以下、内部抽選について説明する。内部抽選は、上記した各役への入賞を許容するかどうかを、全てのリール2L、2C、2Rの表示結果が導出表示される以前に(実際には、スタートスイッチ7の検出時)、決定するものである。内部抽選では、まず、後述するように内部抽選用の乱数(0〜16383の整数)が取得される。そして、遊技状態に応じて定められた各役について、取得した内部抽選用の乱数と、遊技者が設定した賭数と、設定スイッチ37により設定された設定値に応じて定められた各役の判定値数に応じて行われる。本実施例において内部抽選における当選は、排他的なものであり、1ゲームにおいて複数が同時に当選することはない。
【0047】
遊技状態に応じた役の参照は、図5(a)に示した遊技状態別当選役テーブルに応じて行われる。すなわち、遊技状態がレギュラーボーナス(ビッグボーナス中に提供された場合を含む)にあるときには、JAC、スイカ、ベル、チェリーが内部抽選の対象役として順に読み出され、遊技状態がビッグボーナス中の小役ゲームにあるときには、レギュラーボーナス(2)、JACIN、スイカ、ベル、チェリーが内部抽選の対象役として順に読み出される。
【0048】
通常遊技状態にあるときには、レギュラーボーナス(1)、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、ビッグボーナス(3)、スイカ、ベル、チェリー、リプレイが内部抽選の対象役として順に読み出される。もっとも、前回以前のゲームでレギュラーボーナス当選フラグ(1)、レギュラー当選フラグ(2)、ビッグボーナス当選フラグ(1)、ビッグボーナス当選フラグ(2)またはビッグボーナス当選フラグ(3)が設定され、当該フラグに基づく入賞が発生しないで持ち越されているときには、レギュラーボーナス(1)及びビッグボーナス(1)〜(3)は、内部抽選の対象役とならない。また、小役ゲームのときには、レギュラーボーナス(2)、JACIN、スイカ、ベル、チェリー、リプレイが内部抽選の対象役として順に読み出されるが、前回以前のゲームでレギュラーボーナス当選フラグ(2)が設定され、当該フラグに基づく入賞が発生しないで持ち越されているときには、レギュラーボーナス(2)及びJACINは、内部抽選の対象役とならない。
【0049】
内部抽選では、内部抽選の対象役について定められた判定値数を、内部抽選用の乱数に順次加算し、加算の結果がオーバーフローしたときに、当該役に当選したものと判定される。当選と判定されると、当該役の当選フラグがメイン制御部41のRAMに設定される。判定値数は、メイン制御部41のROMに予め格納された役別テーブルに登録されている判定値数の格納アドレスに従って読み出されるものとなる。図5(b)は、役別テーブルの例を示す図である。判定値数は、その値が256以上のものとなるものもあり、1ワード分では記憶できないので、判定値数毎に2ワード分の記憶領域を用いて登録されるものとなる。
【0050】
各役の判定値数は、ゲームにおいて遊技者が設定する賭数(BET)に対応して登録されている。同一の役であっても、レギュラーボーナスにおける当選確率が他の役と異なっている場合があるからである。また、各役の賭数に応じた判定値数は、設定値に関わらずに共通になっているものと、設定値に応じて異なっているものとがある。判定値数が設定値に関わらずに共通である場合には、共通フラグが設定される(値が「1」とされる)。
【0051】
レギュラーボーナス(1)、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)及びビッグボーナス(3)は、通常遊技状態でのみ内部抽選の対象となる役であり、通常遊技状態での賭数3に対応する判定値数の格納アドレスが登録されている。これらの役については、共通フラグの値が0となっており、設定値に応じて個別に判定値数の格納アドレスが登録されている。レギュラーボーナス(2)及びJACINは、ビッグボーナス中の小役ゲームでのみ内部抽選の対象となる役であり、小役ゲームでの賭数に対応する判定値数の格納アドレスが登録されている。この役の共通フラグの値は1であり、設定値に関わらずに共通の判定値数の格納アドレスが登録されている。
【0052】
JACは、レギュラーボーナスでのみ内部抽選の対象となる役であり、レギュラーボーナスでの賭数1に対応する判定値数の格納アドレスが登録されている。この役の共通フラグは1であり、設定値に関わらず共通の判定値数の格納アドレスが登録されている。リプレイは、通常遊技状態でのみ内部抽選の対象となる役であり、通常遊技状態での賭数3に対応する判定値数の格納アドレスが登録されている。この役の共通フラグは1であり、設定値に関わらず共通の判定値数の格納アドレスが登録されている。
【0053】
スイカ、ベル、及びチェリーは、いずれの遊技状態でも内部抽選の対象となる役であり、レギュラーボーナスでの賭数1に対応する判定値数の格納アドレスと、通常遊技状態または小役ゲームでの賭数3に対応する判定値数の格納アドレスとが登録されている。スイカ及びチェリーについては、共通フラグが1となっており、それぞれの賭数に対応して設定値に関わらず共通の判定値数の格納アドレスが登録されている。ベルについては、共通フラグが0となっており、それぞれの賭数に対応して設定値に応じて個別に判定値数の格納アドレスが登録されている。
【0054】
役別テーブルには、各役に入賞したときに払い出されるメダルの払出枚数も登録されている。もっとも、入賞したときに賞球の払い出し対象となる役は、小役であるスイカ、ベル、チェリー、及びJACだけである。スイカ、ベル、チェリーは、賭数が1のとき(レギュラーボーナス)でも3のとき(レギュラーボーナス以外の遊技状態)でも入賞が発生可能であるが、ベルについては、賭数が1であるとき、すなわち遊技状態がレギュラーボーナスにあるときには、それ以外の8枚よりも多い15枚のメダルが払い出されるものとなる。
【0055】
レギュラーボーナス(1)、レギュラーボーナス(2)、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、ビッグボーナス(3)、及びJACINの入賞は、遊技状態の移行を伴うものであり、メダルの払い出し対象とはならない。リプレイでは、メダルの払い出しを伴わないが、次のゲームで賭数の設定に用いるメダルの投入が不要となるので実質的には3枚の払い出しと変わらない。
【0056】
図6は、役別テーブルに登録されたアドレスに基づいて取得される判定値数の記憶領域を示す図である。この判定値数の記憶領域は、開発用の機種ではメイン制御部41のRAMに、量産機種ではメイン制御部41のROMに割り当てられたアドレス領域に設けられている。
【0057】
例えばアドレスADDは、内部抽選の対象役がレギュラーボーナス(1)であって設定値が1のときに参照されるアドレスであり、このときには、ここに格納された値である31が判定値数として取得される。アドレスADD+2、ADD+4、ADD+6、ADD+8、ADD+10は、それぞれ内部抽選の対象役がレギュラーボーナス(1)であって設定値が2〜6のときに参照されるアドレスである。レギュラーボーナス(1)については、設定値に応じて個別に判定値数が記憶されているが、同一の判定値数が記憶されているので、いずれの設定値においてもレギュラーボーナス(1)の当選確率は同じとなっている。
【0058】
また、アドレスADD+14、ADD+16、ADD+18、ADD+20、ADD+22、ADD+24は、それぞれ内部抽選の対象役がビッグボーナス(1)であって設定値が1〜6のときに参照されるアドレスである。アドレスADD+26、ADD+28、ADD+30、ADD+32、ADD+34、ADD+36は、それぞれ内部抽選の対象役がビッグボーナス(2)であって設定値が1〜6のときに参照されるアドレスである。アドレスADD+38、ADD+40、ADD+42、ADD+44、ADD+46、ADD+48は、それぞれ内部抽選の対象役がビッグボーナス(3)であって設定値が1〜6のときに参照されるアドレスである。ビッグボーナス(1)、(2)、(3)については、設定値に応じて個別に判定値数が記憶され、しかも異なる判定値数が記憶されているので、設定値に応じてビッグボーナス(1)、(2)、(3)の当選確率が異なることとなる。
【0059】
また、アドレスADD+12、ADD+50、ADD+52、ADD+86は、それぞれ内部抽選の対象役がレギュラーボーナス(2)、JACIN、JAC、リプレイであるときに設定値に関わらずに参照されるアドレスであり、設定値に関わらずに、それぞれ32、4311、27、2245が判定値数として取得される。
【0060】
アドレスADD+54は、賭数が1のとき、すなわちレギュラーボーナスにおいて内部抽選の対象役がスイカであるときに設定値に関わらずに参照されるアドレスである。アドレスADD+56は、賭数が3のとき、すなわち通常遊技状態または小役ゲームにおいて内部抽選の対象役がスイカであるときに設定値に関わらず参照されるアドレスである。スイカについての判定値数は、賭数に応じて登録されているが、同じ値が登録されているので、いずれの遊技状態においてもスイカの当選確率は同じとなる。チェリーについても、アドレスADD+82、ADD+84に同様にして判定値数が登録されている。
【0061】
アドレスADD+58、ADD+60、ADD+62、ADD+64、ADD+66、ADD+68は、それぞれ賭数が1のとき、すなわちレギュラーボーナスにおいて内部抽選の対象役がベルであって設定値が1〜6のときに参照されるアドレスである。アドレスADD+58、ADD+60、ADD+62、ADD+64、ADD+66、ADD+68には、それぞれ同一の値が登録されているので、レギュラーボーナス時においては、設定値1と設定値2、設定値3と設定値4、設定値5と設定値6とで、ベルの当選確率が同一となる。
【0062】
アドレスADD+70、ADD+72、ADD+74、ADD+76、ADD+78、ADD+80は、それぞれ賭数が3のとき、すなわち通常遊技状態または小役ゲームにおいて内部抽選の対象役がベルであって設定値が1〜6のときに参照されるアドレスである。アドレスADD+70、ADD+72、ADD+74、ADD+76、ADD+78、ADD+80には、互いに異なる値が登録されているので、通常遊技状態または小役ゲームにおいては、設定値に応じてベルの当選確率が異なることとなる。
【0063】
図7(a)〜(c)は、内部抽選用の乱数の値及び各役の判定値数と、当選役との関係の例を示す図である。図7(a)では通常遊技状態にあるときの、図7(b)では小役ゲームにあるときの、図7(c)ではレギュラーボーナスにあるときの例を示している。図7(a)〜(c)のいずれも、設定値が6の場合の例を示しており、また、図7(a)では、レギュラーボーナス当選フラグとビッグボーナス当選フラグのいずれも設定されてない場合の例を示している。
【0064】
例えば、図7(a)に示すように、通常遊技状態では、内部抽選の対象役となる役は、レギュラーボーナス(1)、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、ビッグボーナス(3)、スイカ、ベル、チェリー、リプレイであり、設定値6においては、それぞれの判定値数は、31、20、20、20、68、3562、269、2245となる。最初に内部抽選の対象役となるレギュラーボーナス(1)は、判定値数の31を加算することで加算結果がオーバーフローすることとなる16353〜16383が内部抽選用の乱数として取得されたときに当選となる。
【0065】
次に内部抽選の対象役となるビッグボーナス(1)は、レギュラーボーナス(1)の判定値数31とビッグボーナス(1)の判定値数20とを合計した51を加算することで加算結果がオーバーフローすることとなる16333〜16352が内部抽選用の乱数として取得されたときに当選となる。同様に、ビッグボーナス(2)は、16313〜16332が内部抽選用の乱数として取得されたときに、ビッグボーナス(3)は、16293〜16312が内部抽選用の乱数として取得されたときに、スイカは、16225〜16292が内部抽選用の乱数として取得されたときに、ベルは、12663〜16224が内部抽選用の乱数として取得されたときに、チェリーは、12394〜12662が内部抽選用の乱数として取得されたときに、リプレイは、10149〜12393が内部抽選用の乱数として取得されたときに、それぞれ当選と判定される。
【0066】
これらの判定値数に基づいて算出される各役のおおよその当選確率は、レギュラーボーナス(1)、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、ビッグボーナス(3)、スイカ、ベル、チェリー、リプレイのそれぞれについて、1/528.5、1/819.2、1/819.2、1/819.2、1/273.1、1/240.9、1/4.6、1/60.9、1/7.3となる。尚、0〜10148が内部抽選用の乱数として取得されたときには、全ての役にハズレとなる。
【0067】
また、図7(b)に示すように、小役ゲームでは、レギュラーボーナス(2)、JACIN、スイカ、ベル、チェリーが内部抽選の対象役となり、それぞれの判定値数が32、4311、68、3562、269であるので、16352〜16383、12041〜16351、11973〜12040、8411〜11972、8142〜8410が内部抽選用の乱数として取得されたときに、当選と判定される。また、それぞれの役のおおよその当選確率は、1/512、1/3.8、1/240.9、1/4.6、1/60.9となる。尚、0〜8141が内部抽選用の乱数として取得されたときには、全ての役にハズレとなる。
【0068】
また、図7(c)に示すように、レギュラーボーナスでは、JAC、スイカ、ベル、チェリーが内部抽選の対象役となり、それぞれの判定値数が27、68、15919、269であるので、16357〜16383、16289〜16356、350〜16288、101〜369が内部抽選用の乱数として取得されたときに、当選と判定される。また、それぞれの役のおおよその当選確率は、1/606.8、1/240.9、1/1.03、1/60.9となる。尚、0〜100が内部抽選用の乱数として取得されたときには、全ての役にハズレとなる。
【0069】
次に、リール2L、2C、2Rの図柄の配列と、停止制御とについて説明する。前述したように、リール2L、2C、2Rの回転は、ストップスイッチ8L、8C、8Rを操作したときから4コマ以内の引き込み範囲で停止される。停止すべき図柄は、当選フラグの設定状況に応じて選択されるものであり、各ゲームにおいて設定された有効ライン上に4コマの引き込み範囲で当選している役の図柄を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる。当選していない役の図柄は、4コマの引き込み範囲でハズシて停止させる。
【0070】
ここで、図3に示すように、「スイカ」、「ベル」、「JAC」については、リール2L、2C、2Rのいずれについても5コマ以内の間隔で配置されており、4コマの引き込み範囲で必ず可変表示装置2の任意の位置に停止させることができる。つまり、スイカの小役、ベルの小役、リプレイ、JAC、JACINの当選フラグがそれぞれ設定されているときには、遊技者によるストップスイッチ8L、8C、8Rの操作タイミングに関わらずに、必ず当該役に入賞させることができる。
【0071】
次に、本実施例における遊技制御基板40に搭載されたメイン制御部41のCPUが実行する各種制御内容を、図11〜図15に基づいて以下に説明する。
【0072】
メイン制御部41は、リセット回路45からリセット信号が入力されて起動すると、図8のフローチャートに示す起動処理を行う。尚、リセット信号は、電源投入時及びメイン制御部41の動作が停滞した場合に出力される信号であるので、起動処理は、電源投入に伴うメイン制御部41の起動時及びメイン制御部41の不具合に伴う再起動時に行われる処理である。
【0073】
起動処理では、まず、内蔵デバイスや周辺IC、スタックポインタ等を初期化し(Sa1)、RAMアクセスを許可する(Sa2)。そして、設定キースイッチ37がonの状態か否かを判定し(Sa3)、設定キースイッチ37がonでなければ、RAMに記憶されているデータのうちパリティ格納領域を除く全てのデータに基づいてRAMパリティを計算し(Sa4)、パリティ格納領域に格納されているRAMパリティ、すなわち前回の電断時に計算して格納されたRAMパリティと比較し(Sa5)、双方のRAMパリティが一致したか否か、すなわちRAMに格納されているデータが正常か否かを判定する(Sa6)。尚、本実施例では、RAMパリティによるRAMのデータが正常か否かの判定が、起動処理においてのみ行われるようになっている。
【0074】
そしてSa6のステップにおいてRAMパリティが一致していなければ、RAMに格納されているデータが正常ではないので、図10に示すRAM異常エラー処理に移行する。RAM異常エラー処理では、図10に示すように、RAM異常エラーコードを遊技補助表示器16に表示した後(Sc1)、いずれの処理も行わないループ処理に移行する。
【0075】
また、Sa6のステップにおいてRAMパリティが一致していれば、RAMに格納されているデータが正常であるので、スタック領域に格納されているレジスタを復帰し(Sa7)、割込禁止を解除して(Sa8)、電断前の処理に戻る。
【0076】
また、Sa3のステップにおいて、設定キースイッチ37がonの状態であれば、スタック領域のうち使用中の領域を除きRAMに格納されているデータを全て初期化(設定値ワーク以外は0、設定値ワークは1に書き換える)し(Sa9)、割込禁止を解除して(Sa10)、図9に示す設定変更処理に移行し(Sa11)、設定変更処理の終了後、ゲーム制御処理に移行する。
【0077】
設定変更処理では、図9に示すように、設定変更モード中である旨を示す設定変更中フラグをセットし(Sb1)、RAMの設定値ワークに格納されている設定値(設定変更処理に移行する前に設定値ワークの値は1に書き換えられれているので、ここでは1である)を読み出す(Sb2)。
【0078】
その後、リセット/設定スイッチ36とスタートスイッチ7の操作の検出待ちの状態となり(Sb3、Sb4)、Sb3のステップにおいてリセット/設定スイッチ36の操作が検出されると、Sb2のステップにおいて読み出した設定値に1を加算し(Sb5)、加算後の設定値が7であるか否か、すなわち設定可能な範囲を超えたか否かを判定し(Sb6)、加算後の設定値が7でなければ、再びSb3、Sb4のステップにおけるリセット/設定スイッチ36とスタートスイッチ7の操作の検出待ちの状態に戻り、Sb6のステップにおいて加算後の設定値が7であれば設定値を1に補正した後(Sb7)、再びSb3、Sb4のステップにおけるリセット/設定スイッチ36とスタートスイッチ7の操作の検出待ちの状態に戻る。
【0079】
また、Sb4のステップにおいてスタートスイッチ7の操作が検出されると、その時点で選択されている変更後の設定値をRAMの設定値ワークに格納して、設定値を確定した後(Sb8)、設定キースイッチ37がoffの状態となるまで待機する(Sb9)。そして、Sb9のステップにおいて設定キースイッチのoffが判定されると、設定変更中フラグをクリアして(Sb10)、図8のフローチャートに復帰し、ゲーム制御処理に移行することとなる。
【0080】
このように起動処理においては、設定キースイッチ37がonの状態ではない場合に、電断時に計算したRAMパリティと起動時に計算したRAMパリティとを比較することで、RAMに記憶されているデータが正常か否かを判定し、RAM異常エラー処理に移行する。RAM異常エラー処理では、RAM異常エラーコードを遊技補助表示器16に表示させた後、いずれの処理も行わないループ処理に移行するので、ゲームの進行が不能化される。そして、RAMパリティが一致しなければ、割込が許可されることがないので、一度RAM異常エラー処理に移行すると、設定キースイッチ37がonの状態で起動し、割込禁止が解除されるまでは、電断しても電断割込処理は行われない。すなわち電断割込処理において新たにRAMパリティが計算されて格納されることはないので、メイン制御部41が再起動しても設定キースイッチ37がonの状態で起動した場合を除き、常にRAMパリティは一致することがないので、メイン制御部41を再起動させてもゲームを再開させることができないようになっている。
【0081】
そして、RAM異常エラー状態に一度移行すると、設定キースイッチ37がonの状態で起動し、設定変更処理が行われ、リセット/設定スイッチ36の操作により新たに設定値が選択・設定されるまで、ゲームの進行が不能な状態となる。すなわちRAM異常エラー状態に移行した状態では、リセット/設定スイッチ36の操作により新たに設定値が選択・設定されたことを条件に、ゲームの進行が不能な状態が解除され、ゲームを再開させることが可能となる。
【0082】
図11は、メイン制御部41のCPUが実行するゲーム制御処理の制御内容を示すフローチャートである。
【0083】
ゲーム制御処理では、BET処理(Sd1)、内部抽選処理(Sd2)、リール回転処理(Sd3)、リール停止処理(Sd4)、入賞判定処理(Sd5)、払出処理(Sd6)、遊技状態更新処理(Sd7)を順に実行し、遊技状態更新処理が終了すると、再びBET処理に戻る。
【0084】
Sd1のステップにおけるBET処理では、賭数を設定可能な状態で待機し、所定数の賭数が設定され、スタートスイッチ7が操作された時点で賭数を確定する処理を実行する。また、前回のゲームでリプレイ入賞が発生した場合には、前回のゲームと同じ賭数を設定する。
【0085】
Sd2のステップにおける内部抽選処理では、Sd1のステップにおけるスタートスイッチ7の検出によるゲームスタートと同時に内部抽選用の乱数を抽出し、抽出した乱数の値に基づいて上記した各役への入賞を許容するかどうかを決定する処理を行う。この内部抽選処理では、それぞれの抽選結果に基づいて、RAMに当選フラグが設定される。
【0086】
Sd3のステップにおけるリール回転処理では、各リール2L、2C、2Rを回転させる処理を実行する。このリール回転処理においては、全てのリール2L、2C、2Rが定速回転した時点でストップスイッチ8L、8C、8Rの操作を有効とする。
【0087】
Sd4のステップにおけるリール停止処理では、遊技者によるストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されるか、リール2L、2C、2Rが定速回転した時点から遊技者によるストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されることなく自動停止時間が経過したこと、すなわち各リール2L、2C、2Rの停止条件が成立したことに応じて対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させる処理を実行する。
【0088】
Sd5のステップにおける入賞判定処理では、Sd4のステップにおいて全てのリール2L、2C、2Rの回転が停止したと判定した時点で、各リール2L、2C、2Rに導出された表示結果に応じて入賞が発生したか否かを判定する処理を実行する。
【0089】
Sd6のステップにおける払出処理では、Sd5のステップにおいて入賞の発生が判定された場合に、その入賞に応じた払出枚数に基づきクレジットの加算並びにメダルの払出等の処理を行う。
【0090】
Sd7のステップにおける遊技状態更新処理では、次のゲームに備えて遊技状態を設定する処理を実行する。
【0091】
また、Sd7のステップにおける遊技状態更新処理では、RAMに記憶されているデータのうち次のゲームへ持ち越す必要のないデータ、例えば、次のゲームへ持ち越されない内部当選フラグ(入賞の発生を許容する旨のフラグ)等のデータを初期化する初期化処理を行う。
【0092】
図12は、メイン制御部41のCPUがSd2のステップにおいて実行する内部抽選処理の制御内容を示すフローチャートである。
【0093】
内部抽選処理では、まず、詳細を後述する乱数取得処理を行う(Se1)。この乱数取得処理においては、乱数発生回路(図示略)が発生する乱数に基づいて、内部抽選用の乱数の値が取得されることとなる。
【0094】
そして、RAMの設定値ワークに格納されている設定値を読み出し(Se2)、読み出した設定値が1〜6の範囲か否か、すなわち設定値ワークに格納されている設定値が適正な値か否かを判定し(Se3)、読み出した設定値が1〜6の範囲の値でなければ、図10に示すRAM異常エラー処理に移行する。
【0095】
また、Se3のステップにおいて読み出した設定値が1〜6の範囲であれば、現在の遊技状態に対応して、図5(a)の遊技状態別当選役テーブルに登録されている役を順番に読み出す(Se4)。ここで読み出した役の種類がレギュラーボーナス(レギュラーボーナス(1)(2))またはビッグボーナス(ビッグボーナス(1)〜(3))であるかどうかを判定する(Se5)。レギュラーボーナスまたはビッグボーナスである場合には、前回以前のゲームでRAMにレギュラーボーナス当選フラグまたはビッグボーナス当選フラグが既に設定され、当該当選フラグに基づいて入賞することなく持ち越されているかどうかを判定する(Se6)。読み出した役の種類がレギュラーボーナスでもレギュラーボーナスでもなければ、そのままSe7の処理に進む。
【0096】
レギュラーボーナス当選フラグまたはビッグボーナス当選フラグが既に設定されていれば、Se4の処理に戻り、更に遊技状態別当選役テーブルに次に登録されている役を読み出すものとなる(レギュラーボーナス及びビッグボーナスは、遊技状態別当選役テーブルにおいて最初に登録されているので、これで抽選処理が終了となることはないので)。読み出した役の種類がレギュラーボーナスまたはビッグボーナスであっても、レギュラーボーナス当選フラグもビッグボーナス当選フラグも設定されていなければ、Se7の処理に進む。
【0097】
Se7では、更にSa2のステップで設定されたBET数(賭数)を読み出し、当該役と読み出したBET数に対応する役について、図5(b)の役別テーブルに共通フラグの設定状況を取得する。この結果、当該役、当該BET数について共通フラグが設定されているかどうかを判定する(Se8)。
【0098】
共通フラグが設定されていれば、当該役、当該BET数について図5(b)の役別テーブルに登録されているアドレスに格納されている判定値数を取得する(Se9)。そして、Se11の処理に進む。共通フラグが設定されていなければ、当該役、当該BET数について読み出した設定値に対応して役別テーブルに登録されているアドレスに格納されている判定値数を取得する(Se10)。そして、Se11の処理に進む。
【0099】
Se11のステップでは、Se9またはSe10のステップにおいて取得した判定値数を内部抽選用の乱数の値に加算し、加算の結果を新たな内部抽選用の乱数の値とする。ここで、判定値数を内部抽選用の乱数の値に加算したときにオーバーフローが生じたかどうかを判定する(Se12)。オーバーフローが生じた場合には、当該役の当選フラグをRAMに設定する(Se13)。そして、内部抽選処理を終了して、図11のフローチャートに復帰する。
【0100】
オーバーフローが生じていない場合には、当該遊技状態について定められた役のうちで未だ処理対象としていない役があるかどうかを判定する(Se14)。未だ処理対象としていない役があれば、Se4の処理に戻り、遊技状態別当選役テーブルに登録されている次の役を処理対象として処理を継続する。処理対象としていない役がなければ、内部抽選処理を終了して、図11のフローチャートに復帰する。
【0101】
このように内部抽選処理においては、設定値ワークに格納されている設定値が適正な値であるか否かを確認し、設定値が適正な値でない場合には、前述したRAM異常エラー処理に移行し、起動時にRAMのデータが正常ではないと判定された場合と同様に、RAM異常エラー状態となり、ゲームの進行が不能化されるようになっている。
【0102】
図13は、メイン制御部41のCPUが電源監視用IC44からの電圧低下信号の出力に伴う外部割込の発生により実行する電断割込処理の制御内容を示すフローチャートである。
【0103】
電断割込処理においては、まず、割込禁止に設定する。すなわち、電断割込処理の開始にともなってその他の割込処理の実行を禁止する(Sf1)。次いで、使用している可能性がある全てのレジスタをRAMに退避し(Sf2)、電断復旧時に、元の処理に復帰できるようにする。
【0104】
次いで、全出力ポートを初期化した後(Sf3)、RAMに記憶されている全てのデータに基づいてRAMパリティを計算してパリティ格納領域にセットし(Sf4)、RAMアクセスを禁止する(Sh10)。そして何らの処理も行わないループ処理に入る。すなわち、そのまま電圧が低下すると内部的に動作停止状態になる。よって、電断時に確実にメイン制御部41は動作停止する。
【0105】
このように電断割込処理においては、その時点のRAMパリティを計算してパリティ格納領域に格納されるようになっており、次回起動時において計算したRAMパリティと比較することで、RAMに格納されているデータが正常か否かを確認できるようになっている。
【0106】
以上説明したように、本実施例のスロットマシン1では、メイン制御部41のRAMに記憶されているデータに異常が生じた場合には、RAM異常エラー状態に制御され、ゲームの進行が不能化されるとともに、設定変更モードに移行し、設定変更操作に基づいて設定値を新たに選択・設定しなければ、ゲームの進行が不能化された状態が解除されない。すなわち、メイン制御部41のRAMに記憶されているデータに異常が生じても、スロットマシンにより自動的に設定された設定値ではなく、設定変更操作に基づいて選択・設定された設定値(一般的に、設定変更操作は遊技店の従業員により行われるので、遊技店側が選択した設定値である)に基づいてゲームが行われることが担保されるので、ゲームの公平性を図ることができる。
【0107】
また、本実施例では、内部抽選処理において入賞の発生を許容するか否かを決定する際に、設定値ワークに格納されている設定値が適正な値(1〜6の範囲の値)でなければ、デフォルトの設定値(例えば設定1)に基づく確率で入賞の発生を許容するか否かを決定するのではなく、この場合にもRAM異常エラー状態に制御され、ゲームの進行が不能化され、設定変更モードに移行し、設定変更操作に基づいて設定値を新たに選択・設定しなければ、ゲームの進行が不能化された状態が解除されない。すなわ内部抽選処理において入賞の発生を許容するか否かの決定を適正に行うことができない場合にも、設定変更操作に基づいて選択・設定された設定値に基づいてゲームが行われることが担保されるので、ゲームの公平性を図ることができる。
【0108】
また、メイン制御部41のRAMに記憶されたデータに異常が生じるのは、停電時やメイン制御部41が暴走する等、制御に不具合が生じて制御を続行できないときがほとんどである。このため本実施例では、これらの状態から復旧してメイン制御部41が起動するときにおいてのみデータが正常か否かの判定を行うようになっているので、メイン制御部41のRAMに記憶されたデータが正常か否かの判定をデータに異常が生じている可能性が高い状況においてのみ行うことができる。すなわちデータに異常が生じている可能性の低い状況では、当該判定を行わずに済み、メイン制御部41の負荷を軽減させることができる。
【0109】
また、本実施例では、電断が検出された際に実行される電断割込処理においてメイン制御部41のRAMに記憶されている全てのデータに基づいてRAMパリティを計算してパリティ格納領域にセットし、次回起動時において、その際計算して得られたRAMパリティと比較することでRAMのデータが正常か否かを判定しており、電断時と起動時のRAMパリティを比較するのみでデータが正常か否かを判定できるので、当該判定を正確にかつ簡便に行うことができる。
【0110】
尚、本実施例では、電断時のパリティと起動時のパリティを比較してRAMのデータが正常か否かを判定しているが、その他の方法でRAMのデータが正常か否かを判定するようにしても良く、例えば、電断時にチェックサム(データ列を足し合わせた総和)を作成し、起動時に作成したチェックサムと比較することでRAMのデータが正常か否かを判定するようにしても良い。
【0111】
また、本実施例では、メイン制御部41のRAMのデータに異常が生じて、ゲームの進行が不能化された場合には、ゲームの進行が不能化された状態を解除する条件となる設定値の変更操作が有効となる設定変更モード(設定変更処理)へ移行することに伴って、RAMに記憶されているデータが初期化されるので、RAMのデータに異常が生じたことに伴うデータの初期化及び設定値の選択・設定に伴うデータの初期化を1度で行うことができ、無駄な処理を省くことができる。更に、メイン制御部41の起動時には、RAMのデータが正常か否かを判定する前に、設定キースイッチ37がonの状態であるか否かを判定し、その時点で設定キースイッチ37がonの状態であると判定した場合には、RAMのデータが正常か否かの判定は行わず、設定変更モードに移行し、新たに設定値が選択・設定されることとなり、この場合にも無駄な処理を省くことができる。
【0112】
尚、本実施例では、設定変更処理に移行する前に、RAMの初期化を行っているが、設定変更処理に移行することに伴ってRAMの初期化が行われれば良く、例えば、設定変更処理の終了後に行っても良いし、設定変更処理において設定値が確定した時点で行っても良い。
【0113】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれることは言うまでもない。
【0114】
例えば、前記実施例では、メイン制御部41とは別個に設けられたリセット回路45からのリセット信号に基づいてメイン制御部41が起動するようになっているが、リセット回路をメイン制御部41を構成するマイクロコンピュータが搭載していても良い。
【0115】
また、前記実施例では、メイン制御部41の起動時においてのみRAMのデータが正常か否かを判定しているが、その他の契機、例えば、1ゲーム毎に判定するようにしても良い。
【0116】
また、前記実施例では、メダル並びにクレジットを用いて賭数を設定するスロットマシンを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、パチンコ球を用いて賭数を設定するスロットマシンや、クレジットのみを使用して賭数を設定する完全クレジット式のスロットマシンであっても良い。
【0117】
前記実施例における各要素は、本発明に対して以下のように対応している。
【0118】
本発明の請求項1に記載のスロットマシンは、
1ゲームに対して所定数(3または1)の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の識別情報(図柄)を変動表示可能な可変表示装置(リール2L、2C、2R)の表示結果が導出表示されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置の表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシン1であって、
遊技の制御を行う遊技制御手段(メイン制御部41)を備え、
該遊技制御手段は、
前記可変表示装置の表示結果が導出される前に入賞の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段(内部抽選処理)と、
所定の設定操作手段(リセット/設定スイッチ36)の操作に基づいて、前記事前決定手段が入賞の発生を許容する旨を決定する割合が異なる複数種類の許容段階(設定値1〜6)のうちから、いずれかの許容段階を選択して設定する許容段階設定手段(設定変更処理)と、
前記許容段階設定手段により設定された許容段階を示すデータ(設定値ワークに格納されている設定値)を含む前記遊技制御手段が制御を行うためのデータを読み出し及び書き込みが可能に記憶するデータ記憶手段(メイン制御部41のRAM)と、
前記データ記憶手段に記憶されているデータが正常か否かを判定する記憶データ判定手段(起動処理におけるパリティチェック)と、
前記記憶データ判定手段により前記データ記憶手段に記憶されているデータが正常ではないと判定されたときに、ゲームの進行を不能化する不能化手段(RAM異常エラー処理)と、
前記不能化手段により前記ゲームの進行が不能化された状態(RAM異常エラー状態)において、前記設定操作手段の操作に基づいて前記許容段階設定手段により前記許容段階が新たに設定されたこと(設定変更処理により新たに設定値が選択・設定されたこと)を条件に、前記ゲームの進行が不能化された状態を解除し、ゲームの進行を可能とする不能化解除手段(設定変更処理の終了後、ゲーム制御処理へ移行させる処理)と、
を備えることを特徴としている。
【0119】
本発明の請求項2に記載のスロットマシンは、請求項1に記載のスロットマシンであって、
前記事前決定手段(内部抽選処理)は、入賞の発生を許容するか否かを決定する際に、前記データ記憶手段(メイン制御部41のRAM)に記憶されている許容段階(設定値)を示すデータ(設定値ワークに格納されている設定値)を読み出し、該読み出した許容段階を示すデータが前記許容段階設定手段により設定可能な許容段階を示す適正なデータ(1〜6の範囲)であるか否かを判定する許容段階データ判定手段(内部抽選処理におけるSe2、3)を含み、
前記不能化手段(RAM異常エラー処理)は、前記許容段階データ判定手段により前記データ記憶手段から読み出した許容段階を示すデータが適正なデータではないと判定されたときにも、ゲームの進行を不能化する、
ことを特徴としている。
【0120】
本発明の請求項3に記載のスロットマシンは、請求項1または2に記載のスロットマシンであって、
前記記憶データ判定手段(起動処理におけるパリティチェック)は、前記遊技制御手段(メイン制御部41)の起動時にのみ前記データ記憶手段(メイン制御部41のRAM)に記憶されているデータが正常か否かを判定する、
ことを特徴としている。
【0121】
本発明の請求項4に記載のスロットマシンは、請求項1〜3のいずれかに記載のスロットマシンであって、
前記スロットマシン1で用いられる所定の電力の状態を監視し、電力供給が断たれたことに関わる電断条件が成立しているときに前記遊技制御手段(メイン制御部41)に対して電断信号(電圧低下信号)を出力する電断検出手段(電源監視用IC44)を備え、
前記遊技制御手段は、
前記電断検出手段から出力された前記電断信号の入力を契機に、前記データ記憶手段(メイン制御部41のRAM)に記憶されているデータに基づいて破壊診断用データ(RAMパリティ)を算出し、該算出した破壊診断用データを前記データ記憶手段の特定領域(パリティ格納領域)に格納する電断処理を実行する電断処理手段(電断割込処理)を含み、
前記記憶データ判定手段は、前記遊技制御手段の起動時に、前記データ記憶手段の特定領域を除く記憶領域に記憶されているデータに基づいて破壊診断用データを算出し、該算出した破壊診断用データと前記データ記憶手段の特定領域に記憶されている破壊診断用データとを比較し、該比較結果が一致したときに、前記データ記憶手段に記憶されているデータが正常であると判定し、該比較結果が一致しなかったときに、前記データ記憶手段に記憶されているデータを正常ではないと判定する、
ことを特徴としている。
【0122】
本発明の請求項5に記載のスロットマシンは、請求項1〜4のいずれかに記載のスロットマシンであって、
前記遊技制御手段(メイン制御部41)は、
前記遊技制御手段の起動時に、前記設定操作手段(リセット/設定スイッチ36)による前記許容段階(設定値)の設定操作が有効となる設定操作有効状態(設定変更モード)へ移行させるための移行操作手段(設定キースイッチ37)の操作がなされているか否かを判定する移行操作判定手段(起動処理におけるSa3)と、
前記遊技制御手段の起動時において、前記移行操作判定手段により前記移行操作手段の操作がなされていると判定されたことを条件に、前記設定操作有効状態へ移行させる設定操作有効状態移行手段(設定変更処理)と、
前記遊技制御手段の起動時において、前記移行操作判定手段により前記移行操作手段の操作がなされていると判定され、前記設定操作有効状態移行手段が前記設定操作有効状態に移行させることに伴って、前記データ記憶手段(メイン制御部41のRAM)に記憶されているデータを初期化するデータ初期化手段(起動処理におけるSa9)と、
を含み、
前記移行操作判定手段は、前記遊技制御手段の起動時において、前記記憶データ判定手段が前記データ記憶手段に記憶されているデータが正常か否かを判定する前に、前記移行操作手段の操作がなされているか否かを判定し、
前記記憶データ判定手段(起動処理におけるパリティチェック)は、前記移行操作判定手段により前記移行操作手段の操作がなされていないと判定されたときに、前記データ記憶手段に記憶されているデータが正常か否かを判定する、
ことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明が適用された実施例のスロットマシンの正面図である。
【図2】リールの図柄配列を示す図である。
【図3】スロットマシンの構成を示すブロック図である。
【図4】図2に示すメイン制御部のRAMの格納領域を示す図である。
【図5】(a)は遊技状態別当選役テーブルを示す図であり、(b)は役別テーブルの例を示す図である。
【図6】役別テーブルに登録されたアドレスに基づいて取得される判定値数の記憶領域を示す図である。
【図7】(a)〜(c)は、内部抽選用の乱数の値及び各役の判定値数と、当選役との関係の例を示す図である。
【図8】メイン制御部のCPUが実行する起動処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図9】メイン制御部のCPUが実行する設定変更処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図10】メイン制御部のCPUが実行するRAM異常エラー処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図11】メイン制御部41のCPUが実行するゲーム制御処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図12】メイン制御部41のCPUがSd2のステップにおいて実行する内部抽選処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図13】遊技制御部41のCPUが電源監視用IC44からの電圧低下信号の出力に伴う外部割込の発生により実行する電断割込処理の制御内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0124】
1 スロットマシン
2L、2C、2R リール
8L、8C、8R ストップスイッチ
36 リセット/設定スイッチ
37 設定キースイッチ
41 メイン制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示装置の表示結果が導出表示されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置の表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンであって、
遊技の制御を行う遊技制御手段を備え、
該遊技制御手段は、
前記可変表示装置の表示結果が導出される前に入賞の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、
所定の設定操作手段の操作に基づいて、前記事前決定手段が入賞の発生を許容する旨を決定する割合が異なる複数種類の許容段階のうちから、いずれかの許容段階を選択して設定する許容段階設定手段と、
前記許容段階設定手段により設定された許容段階を示すデータを含む前記遊技制御手段が制御を行うためのデータを読み出し及び書き込みが可能に記憶するデータ記憶手段と、
前記データ記憶手段に記憶されているデータが正常か否かを判定する記憶データ判定手段と、
前記記憶データ判定手段により前記データ記憶手段に記憶されているデータが正常ではないと判定されたときに、ゲームの進行を不能化する不能化手段と、
前記不能化手段により前記ゲームの進行が不能化された状態において、前記設定操作手段の操作に基づいて前記許容段階設定手段により前記許容段階が新たに設定されたことを条件に、前記ゲームの進行が不能化された状態を解除し、ゲームの進行を可能とする不能化解除手段と、
を備えることを特徴とするスロットマシン。
【請求項1】
1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示装置の表示結果が導出表示されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置の表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンであって、
遊技の制御を行う遊技制御手段を備え、
該遊技制御手段は、
前記可変表示装置の表示結果が導出される前に入賞の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、
所定の設定操作手段の操作に基づいて、前記事前決定手段が入賞の発生を許容する旨を決定する割合が異なる複数種類の許容段階のうちから、いずれかの許容段階を選択して設定する許容段階設定手段と、
前記許容段階設定手段により設定された許容段階を示すデータを含む前記遊技制御手段が制御を行うためのデータを読み出し及び書き込みが可能に記憶するデータ記憶手段と、
前記データ記憶手段に記憶されているデータが正常か否かを判定する記憶データ判定手段と、
前記記憶データ判定手段により前記データ記憶手段に記憶されているデータが正常ではないと判定されたときに、ゲームの進行を不能化する不能化手段と、
前記不能化手段により前記ゲームの進行が不能化された状態において、前記設定操作手段の操作に基づいて前記許容段階設定手段により前記許容段階が新たに設定されたことを条件に、前記ゲームの進行が不能化された状態を解除し、ゲームの進行を可能とする不能化解除手段と、
を備えることを特徴とするスロットマシン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−209810(P2007−209810A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−139845(P2007−139845)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【分割の表示】特願2005−13408(P2005−13408)の分割
【原出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(000144153)株式会社三共 (5,148)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【分割の表示】特願2005−13408(P2005−13408)の分割
【原出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(000144153)株式会社三共 (5,148)
【Fターム(参考)】
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