説明

ズボンやスカートのすべり止め部材

【課題】ズボンやスカートの腰裏部分に固定するすべり止め部材であって、すべり止め以外の別の機能部材を着脱自在とする。
【解決手段】すべり止め部材1は、一定の厚みを有するすべり止め主体2と、すべり止め主体2の裏面に貼着する基布3と、基布3の裏面に形成する加熱接着剤層4とで形成する。すべり止め主体2に貫通孔5、5を穿設しておき、貫通孔5内において雄スナップ9aを基布3に装着しておく。ウエストサイズ調整部材のように、すべり止め以外の機能を有する機能部材に、前記雄スナップ9aに着脱できる雌スナップ9bを備えておくことによって、機能部材を自由に着脱することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ズボンやスカートのずり落ちを防止するすべり止め部材であって、別の機能部材を着脱することによって、例えばウエストサイズの調節といったすべり止め以外の機能を発揮することができるすべり止め部材に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
ズボンやスカートにおいて、腰裏部分に装着してすべり落ちを防止するすべり止め部材は、例えば特許文献1に開示されるように公知である。また、特許文献2や3に開示されるように、ウエストサイズを調整するために腰裏部分に配置した空気袋あるいは窩室に空気を入れることによって、該部分を膨らませズボンやスカートが着用者のウエストにフィットするようにウエストサイズの調整を行う思想が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11‐286805号公報
【特許文献2】実開平6−51231号公報
【特許文献3】実用新案登録第3092839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2や3に開示されているウエストサイズの調整手段は、いずれも空気を入れることによって膨らませてサイズを調整するようにしている。また、特許文献1に記載されたすべり止め部材は、単機能であってウエストサイズの調整を行うことができない。特許文献2や3に開示されているウエストサイズの調整手段は一々空気を入れなければならず、また空気を入れるための道具が必要であるといった不便であった。
【0005】
上記、従来技術の欠点に鑑み、本発明はズボンやスカートの腰裏部分に装着したすべり止め部材に、別の機能部材を着脱自在とすることによって、ウエストサイズの調整その他、すべり止め以外の機能を容易に付加することができるすべり止め部材を実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための請求項1記載のすべり止め部材1は、一定の厚みを有するシリコン樹脂などのすべり止め機能を有する材質で形成するすべり止め主体2と、すべり止め主体2の裏面に貼着する基布3と、基布3の裏面に形成する加熱接着剤層4とで形成する。すべり止め主体2には、雄又は雌のいずれか一方のスナップを配置することができる大きさの貫通孔5、5を穿設し、前記すべり止め主体の貫通孔5内において雄又は雌のいずれか一方のスナップを基布3に装着し、雌又は雄のいずれか他方のスナップを備えた機能部材を着脱自在とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、すべり止め主体2を横長とし横一列に貫通孔5、5を配置し、貫通孔5と貫通孔5の間に溝6を形成したことである。請求項3記載の発明は、すべり止め主体2の外周に沿って、狭い幅の外周リブ7を残して溝8を形成することである。
【0008】
請求項4記載の発明は、すべり止め部材1に装着する機能部材について、すべり止め部材1の複数位置に配置した雄又は雌のいずれか一方のスナップに嵌合する雄又は雌のいずれか他方のスナップを備えた平板部12に、スナップ位置以外の部分に一定の大きさに膨らんだ膨らみ部13を備え、スナップを利用してすべり止め部材1に装着することによってウエストサイズを調整することができるウエストサイズ調整部材11とすることである。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、ウエストサイズ調整部材11に形成する膨らみ部13の内部に空洞14を形成することである。
請求項6記載の発明は、すべり止め主体2の複数位置に膨らみ部13、13を形成し、該膨らみ部13と膨らみ部13の間に折れ曲がり防止リブ15を形成することである。
【0009】
請求項7記載の発明は、すべり止め部材1に装着する機能部材としてマグネット16を装着することである。すなわち、機能部材としてすべり止め部材1のスナップに対して着脱可能なスナップを備え、マグネット16を装着したマグネット取り付け部材17としたものである。
請求項8記載の発明は、すべり止め部材1に装着する機能部材が、すべり止め部材1のスナップに対して着脱可能なスナップを備え、指圧突起19を形成した指圧部材18であること、請求項9記載の発明は、すべり止め部材1に装着する機能部材として、すべり止め部材1のスナップに対して着脱可能なスナップを備え、消臭剤もしくは香料のカプセル収容部20を備えることである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、アイロンなどによる加熱接着で腰裏部分に簡単に取り付けることができるズボンやスカートのすべり止め部材1であって、すべり止め主体2の表面からスナップが突出しない状態で、ズボンやスカートのすべり止め機能を発揮させることができる。そして、すべり止め主体2の貫通孔5部分に配置したスナップに、適宜機能部材を装着することによってすべり止め以外の機能を発揮させることができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、溝6を形成することによって表面に凹凸条が表れるため、すべり止め効果が向上する。また、溝6の部分はすべり止め主体2の厚みが薄く熱伝導性が向上するため、すべり止め主体2と基布3の接合強度が増し、あるいはすべり止め部材1をズボンやスカートに強固に接着することができる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、溝8を設けることによって形成される外周リブ7の存在によって、すべり止め主体1の周縁に例えば引っ掛かるような力が作用した場合に、作用した力が外周リブ7の撓みや弾性によって吸収され、すべり止め主体2と基布3との剥離、あるいはすべり止め部材1をズボンやスカートから剥離させようとする力を少なくすることができる。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、機能部材として膨らみ部13を形成したウエストサイズ調整部材11をスナップによって装着することによって、ウエストサイズを小さくする調節を簡単に行うことができるとともに、ウエストサイズ調整部材11を取り外すことによってウエストサイズを大きくする調整を容易に行うことができる。ウエストサイズの調整に際し、従来技術に記載したように空気袋あるいは窩室に空気を入れるといった面倒な作業を必要とせず装着するウエストサイズ調整部材11の膨らみ部13の大きさに応じて安定したウエストサイズの変更を行うことができる。
【0014】
請求項5記載の発明によれば、請求項4記載のウエストサイズ調整部材11をすべり止め部材1に装着して実施する上において、空洞14の存在によって膨らみ部13の弾力性が増し、使用者のウエスト部分によりソフトにフィットし、使い心地のよいものとなる効果がある。また、空洞14の存在によって変形量が大きくなりウエストサイズの調整可能な範囲が大きくなる。
【0015】
請求項6記載の発明によれば、請求項4記載の発明を実施する上において、平板部12に複数の膨らみ部13、13を形成することによってウエストサイズ調整部材11が使用者のウエスト部分により自然にフィットし、膨らみ部13と膨らみ部13の間において平板部12が不自然に鋭角的に折曲されることがなく、装着感に優れたものとすることができる。
【0016】
請求項7記載の発明によれば、機能部材をマグネット取り付け部材16とすることによって、磁気治療の効果を発揮することができる。また、請求項8記載の発明によれば、機能部材を指圧部材18とすることによって指圧効果を発揮することができる。請求項7及び8のいずれの場合においても、普通にズボンやスカートをはいた状態で腰裏部分にマグネット17や指圧突起19が位置し、磁気治療効果や指圧効果を発揮させることができる。そして、これら機能部材は自由に取り外すことができ、必用なときにのみ装着して使用することができる。
【0017】
請求項9記載の発明によれば、従来ズボンに装着されることがなかった消臭剤や芳香剤のカプセル収容部20を、機能部材としてすべり止め部材1に装着することによって簡単に形成することができ、必要に応じて汗などの臭い対策を講じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明に係るすべり止め部材の分解斜視図、
【図2】図2は、すべり止め部材の正面図、
【図3】図3は、図2のIII‐III線断面図、
【図4】図4は、すべり止め部材に装着するウエストサイズ調整部材の分解斜視図、
【図5】図5は、ウエストサイズ調整部材の背面斜視図、
【図6】図6は、ウエストサイズ調整部材の正面図、
【図7】図7は、ウエストサイズ調整部材の背面図、
【図8】図8は、図6のVIII−VIII線断面図、
【図9】図9は、すべり止め部材とウエストサイズ調整部材を分離させた状態の平面図、
【図10】図10は、すべり止め部材とウエストサイズ調整部材を結合させた状態の平面図、
【図11】図11は、すべり止め主体の別の実施形態を示す斜視図、
【図12】図12は、図11の実施形態の正面図、
【図13】図13は、さらに別の実施形態を示す、すべり止め主体の正面図、
【図14】図14は、ウエストサイズ調整部材の膨らみ部と膨らみ部の間に折れ曲がり防止リブを形成した正面図、
【図15】図15は、膨らみ部と膨らみ部の間に折れ曲がり防止リブを形成したウエストサイズ調整部材の曲がり状態を示す平面図、
【図16】図16は、膨らみ部と膨らみ部の間に折れ曲がり防止リブを形成しないウエストサイズ調整部材の曲がり状態を示す平面図、
【図17】図17は、機能部材として一つのスナップに一つのマグネットを装着する実施形態の断面図、
【図18】図18は、機能部材としてすべり止め部材に装着する指圧部材の正面図、
【図19】図19は、カプセル収容部を形成したすべり止め部材に装着する機能部材の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るズボンやスカートのすべり止め部材の好ましい実施形態を添付の図面に基づいて説明する。
図1ないし図3に示すように、すべり止め部材1はすべり止め主体2と、基布3と加熱接着層4とで構成する。
【0020】
すべり止め主体2は、シリコン樹脂や合成ゴム、主としてシリコン樹脂などすべり止め機能を有する一定の厚みtの柔軟な材質によって成型する。すべり止め主体2は、その厚みtを雄又は雌のいずれか一方のスナップ、例えば雄スナップ9aの取り付け面からの突出寸法とほぼ等しい厚みとし、横長円形の平板状に形成し、等間隔に三つの貫通孔5、5を穿設している。基布3は、すべり止め主体2と同一平面形状であって、適度な強度を備えた布製(織布もしくは不織布)として両者を接着するとともに、基布3の裏面に加熱接着剤層4を形成する。
【0021】
すべり止め主体2は、シリコン樹脂を型に流し込んで成型する。このとき、型に流し込んだシリコン樹脂の上に基布3を配置し、シリコン樹脂製のすべり止め主体2と基布3の両者に熱を加えつつ加圧することによって、強固に熱接着させる。このようにして、シリコン樹脂製のすべり止め主体2が接着された基布3にホットメルトフィルムを重ねて熱を加えつつ加圧することによって熱接着し、加熱接着剤層4を形成する。加熱接着剤層4は、例えばホットメルト接着剤を塗布することによって形成することもできる。
【0022】
すべり止め主体2と基布3が加熱接着され、加熱接着剤層4が形成されたものに、雄又は雌のいずれか一方のスナップ、図示例の場合雄スナップ9aを取り付ける。雄スナップ9aは、すべり止め主体2に穿設した貫通孔5の中心位置において、基布3に固定している。雄スナップ9aを基布3に装着するには、図1に示すように、断面略T字状の固定ピン10を用いる。すなわち、裏面側から固定ピン10の脚10aを加熱接着剤層4、基布3、及び雄スナップ9aの基板部分を貫通させてカシメル。具体的には図3に拡大図で示すように、スナップ9(雄スナップ9a、雌スナップ9b)を合成樹脂製とし、固定ピン10の脚10aの先端部分を熱によって溶融させて抜け止めを形成する。しかして、図2、図3に示す、すべり止め部材1を完成させることができる。
【0023】
このようにして作られたすべり止め部材1は、加熱接着剤層4の面を腰裏に当接させ、アイロンなどによって加熱しながら加圧することによって接着することができる。このとき、雄スナップ9aの先端の高さをすべり止め主体2表面の高さをほぼ同一となるように、すなわち、すべり止め主体2の厚みをスナップの取り付け面からの突出寸法とほぼ等しくしておくと、すべり止め部材1を腰裏部分に熱接着する際、すべり止め主体全体になるべく均等に力を掛けることができ、強固に熱接着することができる。
【0024】
また、雄スナップ9aの先端が、すべり止め主体2の表面から突出しないようにしておくと、すべり止め部材1を使用するとき、表面に余分なものが突出せず安心して使用することができる。そして、本発明のすべり止め部材1には、すべり止め主体2の貫通孔5内に、雄スナップ9aが位置する。そのため、この雄スナップ9aに、別の機能を発揮する機能部材を装着することによって、すべり止め以外の機能を付加することができる。
【0025】
本発明者らは、代表的な機能部材として図4ないし図7に示す、ウエストサイズ調整部材11を発明した。図4ないし図7に示すウエストサイズ調整部材11は、すべり止め部材1と同一平面形状(長円形)の平板部12に、すべり止め部材1の雄スナップ9aと対応する位置に雌スナップ9bを配置し、すべり止め部材1に対して着脱自在としている。ウエストサイズ調整部材11に雌スナップ9bを取り付けるには、平板部12の背面において雌スナップ9bを背面方向に向けて配置し、平板部12の正面側から固定ピン10の脚10aを、雌スナップ9bの基板部分を貫通させ、脚10aの先端部分を熱によって溶融させて抜け止めを形成する。
図示実施形態においては、すべり止め部材1に雄スナップ9aを、ウエストサイズ調整部材11に雌スナップ9bを取り付けているが、逆に、ウエストサイズ調整部材11に雄スナップ9aを、すべり止め部材1に雌スナップ9bを取り付けるものであってもよい。
【0026】
ウエストサイズ調整部材11の平板部12には、雌スナップ9bと雌スナップ9bの間に膨らみ部13を形成している。この膨らみ部13は、平板部12の幅を直径とする、断面略半円状(かまぼこ状)に形成し、膨らみ部13の内部を空洞、換言すればドーム状に形成している。ただし、空洞14内には、仕切り壁21を設け強度を向上させている。これにより、適度な柔らかさと一定の形を維持する保形強度を兼ね備えたものとしている。
【0027】
ウエストサイズ調整部材11は、以上述べたように、平板部12に膨らみ部13を形成したものである。これを図9に示すように、腰裏部分に固定したすべり止め部材1の雄スナップ9aに、ウエストサイズ調整部材11の雌スナップ9bを係着させることによって、図10に示すようにウエストサイズ調整部材11をすべり止め部材1に簡単に装着することができる。図9に示すウエストサイズ調整部材11を装着する前の状態と、図10に示すウエストサイズ調整部材11を装着した状態とでは、主としてウエストサイズ調整部材11の膨らみ部13の存在によってウエストサイズを調整することができる。
【0028】
このように、ウエストサイズ調整部材11を装着することによって、ウエストサイズが大きなズボンやスカートを、フィットするように調節して着用することができる。ウエストサイズ調整部材11を装着した状態で、ウエストサイズが大きくなった場合にはウエストサイズ調整部材11を取り外すことによって調節することが可能である。
すべり止め部材1に設ける雄ホック9aと、ウエストサイズ調整部材11に設ける雌ホック9bは、装着時の高さがほぼすべり止め主体2の厚みに等しいものとしておくと、すべり止め部材とウエストサイズ調整部材11を隙間無く装着することができるので好ましい。このことは、ウエストサイズ調整部材11に限らず他の機能部材においても同じである。
【0029】
図示実施形態のウエストサイズ調整部材11は、膨らみ部13に適度な空洞14を形成したことによってソフトで使い心地が良いものとしている。そのため、ウエストサイズ調整部材11を常用するようにしておき、ウエストサイズが大きくなった場合に取り外すように使用することもできる。ウエストサイズの調整はダイエット対策や肥満対策に限らず、空腹時と満腹時(食前と食後)のいずれにおいてもズボンやスカートのウエストをフィットさせるように活用することもできる。
【0030】
複数の膨らみ部13、13を形成したウエストサイズ調整部材11は、着用したときに図16に示すように、膨らみ部13と膨らみ部13の間で折れ曲がるように作用する。これを防止するには、図14に示すように膨らみ部13と13の間を掛け渡す如く、平板部12の両側に折れ曲がり防止リブ15、15を形成する。折れ曲がり防止リブ15を設けることによって急激な折曲状態が解消され、図15に示すように着用したときに滑らかに湾曲し、ウエストサイズ調整部材11を装着したズボンやスカートを、履き心地のよいものとすることができる。
【0031】
ウエストサイズ調整部材11は、全体をすべり止め機能を有するシリコン樹脂とするのが好ましい。そして、平板部12は薄い板状に形成するが、例えば心材を配置するなどの手段によって、膨らみ部13よりも硬く高強度に成型するのが好ましい。それにより、スナップ(雌スナップ9b)の取り付け強度、ひいてはウエストサイズ調整部材11全体の強度を向上させることができる。
【0032】
図17は、別の機能部材としてマグネット17を装着したマグネット取り付け部材16を、すべり止め部材1の雄スナップ9aに装着する実施形態を示すものである。マグネット取り付け部材16は、すべり止め主体2の平面形状と同じ平面形状であって雌スナップ9bを備えた平板状に形成し、その表面に複数のマグネットを配置したものであってもよい。しかしながら、図示実施形態のマグネット取り付け部材16は、すべり止め主体2の貫通孔5に入り込む大きさでの受け皿状であって、背面に雌スナップ9bを備え、一つのマグネット17を固定したものとしている。すなわち、雄スナップ9a、9aの各々に独立したマグネット取り付け部材16を装着するものである。
【0033】
マグネット17を装着するには、先に述べたウエストサイズ調整部材11の膨らみ部13の内部、具体的には膨らみ部13の空洞14内に収容することもできる。この場合、ウエストサイズ調整部材11に、ウエストサイズ調整の効果併せて磁気治療の効果を発揮させることができる。さらに、空洞14を複数の部屋に仕切る仕切り壁21によって形成される小部屋にマグネットを嵌め込むようにすると、マグネットをしっかりと収容することができる。
【0034】
図18は、機能部材を指圧部材とした実施形態である。この実施形態は、すべり止め主体2の平面形状と同じ平面形状であって雌スナップ9bを備えた平板状に形成し、その表面に複数の指圧突起19、19を形成したものである。この指圧部材18は、全体をすべり止め効果のあるシリコン樹脂製であって、ある程度硬めの指圧突起19を形成するのが好ましい。指圧突起19はその大きさ、数、硬さを適度に選定することができる。そのため、指圧突起19を平板状の指圧部材18とは別の材質で別体として製造し、両者を接合することもできる。
【0035】
なお、ウエストサイズ調整部材11における膨らみ部13を指圧突起として機能させることができる。この場合、突起(膨らみ部)がある程度硬いことによって指圧効果を生じる。したがって、空洞のない膨らみ部、あるいは空洞14内にマグネットなどを装着して外部からある程度硬く感じるようにしておくのが好ましい。
【0036】
図19は、機能部材としてカプセル収容部20を備えたカプセル取り付け部材22とした実施形態である。カプセル収容部20には、消臭剤や香水入りのカプセル23を収容する。これによって、エチケットとして汗の臭い対策を講ずることができる。カプセル23は、先に述べたウエストサイズ調整部材11の膨らみ部13の内部に収容し、ウエストサイズの調整と併せて臭い対策を行うようにすることもできる。
【0037】
図1ないし図3に示す実施形態のすべり止め主体は、表面が平滑な平板状であって、三つの貫通孔5、5が穿設してある。これに対して、図11及び図12に示す実施形態のすべり止め部材1では、貫通孔5と貫通孔5の間を直線的に結ぶように、三つの溝6、6を形成している。貫通孔5、5間にそれぞれ三つの溝6を形成することによって、すべり止めの面となる表面に凹凸が形成され抵抗が大きくなり、すべり止め効果が増大する。また、溝6の部分の肉厚が薄くなるため、該部分における熱伝導率が向上し、すべり止め主体2と基布3、あるいはすべり止め部材1と腰裏部への熱接着強度が大きくなる。
【0038】
図13に示す実施形態のすべり止め部材1のすべり止め主体2には、すべり止め主体2の外周に沿って、狭い幅の外周リブ7を残して溝8を形成している。この実施形態では、すべり止め主体2の外周部分に、大きな力が掛かった場合に、外周リブ7にのみ力が作用し、外周リブ7部分の弾性変形によって外力を吸収するように作用する。したがって、すべり止め主体2の外周部分に外力が作用しても、すべり止め主体2と基布3が剥がれにくく丈夫なものとすることができる。ひいては、ズボンの腰裏に接着したすべり止め部材1が剥がれにくいものとなる。
なお、すべり止め主体2はすべりにくく摩擦抵抗の大きなものであることから、着用した状態においてすべり止め主体1の周縁部に大きな力が作用する可能性が高い。
【0039】
すべり止め部材1及びウエストサイズ調整部材11などの機能部材に装着するスナップは、両者を係合することができるものであればよく、材質や構造を特定するものではない。しかしながら、金属製ではなく、例えばポリエステル系の合成樹脂製とすれば、錆びないとともに検針器に対して反応しないので製造上有利である。
【0040】
本発明に係る、ズボンやスカートのすべり止め部材は、腰裏部分に固定して常時すべり止め部材として機能させ、腰裏部分に固定した状態で洗濯する。一方、すべり止め部材に装着する機能部材は、着脱自在であるため、取り外して洗濯をする。したがって、洗濯の邪魔になることがなく洗濯によって機能部材が損傷するのを防止することができる。
【符号の説明】
【0041】
1…すべり止め部材、 2…すべり止め主体、 3・・・基布、 4・・・加熱接着剤層、 5・・・貫通孔、 6・・・溝、 7・・・外周リブ、 8…溝、 9・・・スナップ、 9a…雄スナップ、 9b…雌スナップ、 10・・・固定ピン、 10a…脚、 11・・・ウエストサイズ調整部材、 12・・・平板部、 13…膨らみ部、 14・・・空洞、 15…折れ曲がり防止リブ、 16・・・マグネット取り付け部材、 17…マグネット、 18…指圧部材、 19…指圧突起、 20…カプセル収容部、 21…仕切り壁、 22…カプセル取り付け部材、 23…カプセル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の厚みを有するシリコン樹脂などのすべり止め機能を有する材質で形成するすべり止め主体の複数位置に、雄又は雌のいずれか一方のスナップを配置することができる大きさの貫通孔を穿設し、すべり止め主体の裏面に基布を貼着し該基布の裏面に加熱接着剤層を形成することによって腰の裏側に加熱接着を可能とするとともに、前記すべり止め主体の貫通孔内において雄又は雌のいずれか一方のスナップを基布に装着し、雌又は雄のいずれか他方のスナップを備えた機能部材を着脱自在としたことを特徴とするズボンやスカートのすべり止め部材。
【請求項2】
すべり止め主体は、横長で横一列に貫通孔を配置し、貫通孔と貫通孔の間に溝を形成したことを特徴とする請求項1記載のズボンやスカートのすべり止め部材。
【請求項3】
すべり止め主体の外周に沿って、狭い幅の外周リブを残して溝を形成したことを特徴とする請求項1記載のズボンやスカートのすべり止め部材。
【請求項4】
すべり止め部材に装着する機能部材は、すべり止め部材の複数位置に配置した雄又は雌のいずれか一方のスナップに嵌合する雄又は雌のいずれか他方のスナップを備えた平板部に、スナップとスナップの間にあって一定の大きさに膨らんだ膨らみ部を備え、装着することによってウエストサイズを調整することができるウエストサイズ調整部材である請求項1ないし3記載のズボンやスカートのすべり止め部材。
【請求項5】
ウエストサイズ調整部材に形成する膨らみ部の内部に空洞を形成することを特徴とする請求項4記載のズボンやスカートのすべり止め部材。
【請求項6】
ウエストサイズ調整部材は、平板部の複数位置に膨らみ部を形成し、該膨らみ部と膨らみ部の間に折れ曲がり防止リブを形成したことを特徴とする請求項4又は5記載のズボンやスカートのすべり止め部材。
【請求項7】
すべり止め部材に装着する機能部材は、すべり止め部材のスナップに対して着脱可能なスナップを備え、マグネットを装着したマグネット取り付け部材であることを特徴とする請求項1ないし3記載のズボンやスカートのすべり止め部材。
【請求項8】
すべり止め部材に装着する機能部材は、すべり止め部材のスナップに対して着脱可能なスナップを備え、指圧突起を形成した指圧部材であることを特徴とする請求項1ないし3記載のズボンやスカートのすべり止め部材。
【請求項9】
すべり止め部材に装着する機能部材は、すべり止め部材のスナップに対して着脱可能なスナップを備え、消臭剤もしくは香料のカプセル収容部を備えたことを特徴とする請求項1ないし3記載のズボンやスカートのすべり止め部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−26738(P2011−26738A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174267(P2009−174267)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(592024022)八商商事株式会社 (8)
【Fターム(参考)】