説明

セキュリティシール

【課題】従来のバッグ製造法において、バッグを縫製後、別途鍵を取り付けるのが一般的であるが、頑丈な鍵を付けようとすると作業上手間がかかる。また外観上も悪く、且つ重量があり、持運びが不便である。
【解決手段】蓋付きボックスやファスナーにより開閉をするバッグにおいて、鍵に代わる開閉器10を備え、前記開閉器10をなす上部架構16と下部架構18が噛み合い合体されて形をなす受け口20に、矢じりチップ25を差し込んで逆戻りしない封止法を実現する。矢じりチップの先端はサカトゲ26を備え、前記サカトゲ26をチップ面に垂直方向に湾曲して成型することで、受け口20内部で上下水平方向に変形し、受け口20を通過後元の形に戻るが、引っ掛かる力が倍増しているために逆戻りしない。また開封手段は矢じりチップを折って破壊する以外に方法がないために、チップ表面に予め番号や文字を印刷しておけば、チップすり替えが不可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボックスやバッグ等を部外者が秘密裏に開封するのを防止するものである。ボックスやファスナーにより開閉をするバッグにおいて、中身を見られたり、改ざんや盗難を防ぐために出入り口を封緘する手段として、プラスチックの上部架構と下部架構からなる開閉器が合体して形成する受け口に、非同一な番号を印刷した矢じりチップを差し込むと、矢じり先端のサカトゲが変形して逆行を妨げて、矢じりチップを破壊する以外には開封を不可能にする封止方法を提供するものである。また矢じりチップを破壊して別の矢じりチップと取替えても、番号が違うために開封されたことが直ぐに発見できる。更に材質をプラスチックとしたことでチップ製作コストが下がり、矢じりチップを使い捨てしても採算がとれる。
【背景技術】
【0002】
従来のボックスやバッグの封止方法においては、主として金属からなる錠前を備え鍵をかける方式が一般的だが、他人に鍵を盗まれたり合鍵を作られて、ボックスやバッグの中身を操作されても再び鍵がかかれば、外観上変化がないために、中身操作に気が付かないことがある。また金属からなる錠前は重く、大きく且つぶら下がっているので持ち運びに不便である。また錠前は高価なためコスト高となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ボックスやバッグ等の封止方法において、中身改ざんを防ぐために、小さく、軽く、安価で、且つ信頼性高い開閉器を取り付けた開封システムを考案する。開閉器は繰り返し利用可能とするために使い捨て可能なチップを封止に用い、部外者による秘密裏の開封を皆無とするために開閉器を開ける手段をチップ折れ破壊とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明では、信頼できる開閉部封止を実現するために、鍵に代わる封止方法として、プラスチックからなる開閉器の上部架構と下部架構が合体して形成される受け口に、特異的番号を印刷した矢じりチップを差し込むと、矢じり先端に設けたサカトゲが変形することで逆戻りが不可能となり、開閉器を開ける手段がチップ折れ破壊のみとなり、よって部外者による秘密裏の開封を防止できる
【0005】
第一の発明ではファスナー付バッグに取付けた開閉器おいて、開閉器が上部架構と下部架構からなり、スライダーの引手に固定された上部架構とエレメントの上止に固定された下部架構が噛み合い合体化されて生じる受け口に、矢じり先端にサカトゲを備え且つ特殊な番号を印刷した矢じりチップを受け口に差し込むと、受け口通過後にサカトゲが圧縮から開放されて元の形に戻って引っかかるために、開閉器を開けるにはチップを折って破壊するしかなく、よって部外者による秘密裏の開封を防止できる封止方法を構築した。
【0006】
第2の発明では、蓋付ボックスに取り付けた開閉器が上部架構と下部架構からなり、上部架構と下部架構が噛み合い合体されて形をなす受け口に、矢じりチップを差し込んで鍵の役目をなす封止手段において、矢じりチップの先端に備えるサカトゲをチップ面に垂直方向に湾曲して成型することで、受け口内部で壁圧の影響を受けて上下方向と水平方向に2重に変形するために、受け口を通過後サカトゲが元の形に戻り受け口に引っ掛かる力が倍増し、さらに矢じりチップの差し込みの確認もより確実になる封止方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の封止方法によるボックスやバッグを遠くに運搬しても、チップ外観に変化なければ中身に改ざん無きことが保障される。
【0008】
本発明では開閉器の上部架構はファスナー引手或いはボックスの蓋に直接取付けるため紛失することが無い。
【0009】
本発明では開閉器の下部架構は、バッグに縫いつけたファスナーの上止を上下に挟みカシメ圧着するのでバッグから外れない。
【0010】
本発明では開閉器の架構上下内側の凹凸が噛み合って固定されると、開閉器の水平方向強度があがり、外部からのすべり方向の力に耐えることができる。
【0011】
本発明では開閉器の上部架構と下上部架構が噛み合うと開閉器の外側表面には凹凸部がなくなり、こじ開ける道具が有効に働かない。
【0012】
本発明の矢じりチップはプラスチック成型で小さく、番号印刷は自動のため安価であるために、開閉器は繰り返し使用し、チップのみを折れ破壊で使い捨てとし、低コストの封止法が実現できる。
【0013】
本発明では、開閉器の受け口に矢じりチップを差し込むと、矢じり先端のサカトゲが水平方向に圧縮されながら押し込まれ、受け口通過後元の形に戻って逆行を妨げるために、矢じりチップを破壊する以外の開閉器の開封手段をなくした。
【0014】
本発明では、矢じり先端のサカトゲがチップ平面と直角方向に湾曲して成型されているために、受け口内部で上下に圧縮されて変形し、受け口通過後変形した矢じりが元の形に戻って受け口にひっかかり逆行を妨げる力が倍増する。
【0015】
本発明では、矢じりチップの裏面に凹型の溝を設け、且つ開閉器の下部架構のチップ滑り台面上にも凹型溝と同寸法の凸型突起を設けたために、矢じりチップが受け口をすぎると、凹型溝と凸型突起が完全に会合し、同時にチップ面とチップ滑り台面の隙間が消滅して平行となり、よって開閉器を完全に閉じたことを認識できる。
【0016】
本発明ではチップ表面に認識可能な番号や文字を印刷するために、チップのすり替えが不可能となり、よってボックスやバッグ内部が部外者により秘密裏に操作されることがない。
【0017】
本発明による封止法を使用するボックスやバッグの開閉器は、布やプラスチックの箱や袋以外に金属やセラミックのボックスにも使用可能である。
【0018】
本発明による封止法を使用するファスナー付バッグは構造が簡単であり、また開閉器のバッグへの装着が容易なので、低コストによる量産ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の開閉器付ボックスやバッグの入物において、ボックスの蓋やファスナーのスライダーの引手に取付けた上部架構とボックス本体やファスナーエレメントの上止に取付けた下部架構が噛合い合体化されて受け口を形成し、受け口に差し込む矢じりチップが先端にサカトゲを備え、前記サカトゲがチップ面に水平垂直方向に変形可能とし、且つサカトゲの形状をチップ面に垂直方向に曲げて成型することで、サカトゲが受け口を通過後に逆行を妨げる力が倍増し、よって矢じりチップを破壊する以外にファスナーを開ける手段を不可能とする。
【実施例】
【0020】
以下、この発明を添付図面にもとづき説明する。図1は本発明の請求項1により製作したファスナー付バッグの概略図である。開閉器10はバッグ13に縫製により縫い付けられたファスナーのエレメント11に取り付けられている。
【0021】
図2は開閉器10の断面図である。上部架構16はファスナーのスライダー12に付属する引手14に連結されており、エレメント11に沿って移動する。また開閉器10の下部架構18はエレメント11の上止15に金属カシメにより装着されている。開閉器10には矢じりチップ25を差し込む受け口20が上部架構16と下部架構18から形成されている。矢じりチップ25の先端は矢じりチップ25平面から垂直方向に曲げて成型されたサカトゲ26が設けられている。
図3は、本発明の請求項1の矢じりチップ25の平面図であり、矢じりチップ25は水平方向に変形可能なサカトゲ26を備えており、開閉器10の受け口20へ差し込む前の状態を表している。
【0022】
図4は請求項1の矢じりチップ25が開閉器10の受け口20を通過する途中状態を表している。サカトゲ26は受け口20内で上下方向に圧を受けて変形している。図5は請求項2の矢じりチップ25が開閉器10の受け口20を通過する途中の平面図を表している。サカトゲ26は受け口20で水平方向に圧を受けながら差し込まれる。
【0023】
図6は請求項1の矢じりチップ25が受け口20を通過後の断面を表している。図7は矢じりチップ25が受け口20を通過後の平面図を表している。サカトゲ26は受け口20通過完了すると上下水平方向で元の形に戻り逆行を不可能にする。
【0024】
図8は矢じりチップ25の裏面に凹型溝28を設け、且つ開閉器の下部架構18のチップ滑り台21にも凹型溝28と同寸法の凸型突起24を設けることで、矢じりチップが受け口20をすぎると、凹型溝28と凸型突起24が会合し、よって矢じりチップ25とチップ滑り台21スライド面が平行となり、封止が完了する。
【0025】
図9は矢じりチップ25の凹型溝28と凸型突起24が会合した状態の平面図である。
【0026】
図10は矢じりチップ25の表面であり認識用番号が印字される。
またサカトゲ26はチップ面と垂直方向に曲げて成型される。
図11は矢じりチップ25の裏面であり、凹型溝28が設けられている。
図12は矢じりチッップ25の裏面の平面図であり、図13は矢じりチップ25の表面の平面図である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の封止法による開閉器を擁した容器やバッグを用いると、いかなる遠方に運ばれ、またいかなる期間を経過しても、チップの形と番号に変化なければ中身を開けた部外者はいないという保障が得られる。従って部外者との非接触が望ましい非公開書類や薬品その他食品等の運搬や保管をより安全に行うことができる。また本発明の構造が簡単なため量産が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】請求項1により製作した開閉器とファスナー付バッグの概略図である。
【図2】請求項1の開閉器に矢じりチップを差し込む前の断面図である。
【図3】請求項1の開閉器に矢じりチップを差し込む前の平面図である。
【図4】請求項1の受け口に矢じりチップを差し込む途中の断面図である。
【図5】請求項1の受け口に矢じりチップを差し込む途中の平面図である。
【図6】請求項1の受け口に矢じりチップを差し込んだ断面図である。
【図7】請求項1の受け口に矢じりチップを差し込んだ平面図である。
【図8】矢じりチップの凹型溝と下部架構の凸型突起が合致した断面図である。
【図9】請求項1の受け口に矢じりチップの差込が完了した平面図である。
【図10】請求項2矢じりチップ表面概略図である。
【図11】請求項2矢じりチップ裏面概略図である。
【図12】請求項2矢じりチップ裏面平面図である。
【図13】請求項2矢じりチップ表面平面図である。
【図14】請求項2のボックス開閉器の封止前状態の概略図である。
【図15】請求項2のボックス開閉器の封止後状態の概略図である。
【符号の説明】
【0028】
10 開閉器 11 エレメント 12 スライダー 13 バッグ 14 引手
15 上止 16 上部架構 18 下部架構 20 受け口 21 チップ滑り台
24 凸型突起 25 矢じりチップ 26 サカトゲ 28 凹型溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファスナー付バッグに取付けた開閉器おいて、開閉器が上部架構と下部架構からなり、スライダーの引手に固定された上部架構とファスナーのエレメントの上止に固定された下部架構が噛み合い合体化されて生じる受け口に、先端にサカトゲを備え且つ特殊な番号を印刷した矢じりチップを差し込むと、受け口通過後にサカトゲが圧縮から開放されて元の形に戻って引っかかるために、開閉器を開けるにはチップを折って破壊するしかなく、よって部外者による秘密裏の開封を困難とする封止方法。
【請求項2】
蓋付ボックスに取り付けた開閉器が上部架構と下部架構からなり、上部架構と下部架構が噛み合い合体されて形をなす受け口に、矢じりチップを差し込んで鍵の役目をなす封止手段において、矢じりチップの先端に備えるサカトゲをチップ面に垂直方向に湾曲して成型することで、受け口内部で壁圧の影響を受けて上下方向と水平方向に2重に変形するために、受け口を通過後サカトゲが元の形に戻り受け口に引っ掛かる力が倍増し、さらに矢じりチップの差し込みの確認もより確実になる封止方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2011−78725(P2011−78725A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249495(P2009−249495)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(502212095)
【Fターム(参考)】