説明

セメント硬化体用組成物,セメント硬化体及びセメント硬化体の製造方法

【課題】アルカリシリカ反応を抑制できる高品質のセメント硬化体を提供する。
【解決手段】細骨材の2〜3容積%をゼオライトで置換する。細骨材の2容積%以上をゼオライトで置換して製造したモルタル,コンクリート等のセメント硬化体は、アルカリシリカ反応性が低く、中性化も起し難い。ゼオライトによる細骨材の置換率を3容積%以下に抑えることによって、充分な圧縮強度を有し、ひび割れ,ポップアウト等を起し難く、かつワーカビリティの高いセメント硬化体が得られる。かかるセメント硬化体を得るためには、セメント,骨材,水等を混練する際にゼオライトを添加し、又は、細骨材とゼオライトとを事前に混合したものを混練に用いる。ゼオライトとしては、高いイオン交換容量を有し、硬度が高く、高純度で埋蔵量豊富な、島根県大田市仁摩町天河内で産出されたモルデナイトが好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント硬化体用組成物,セメント硬化体及びセメント硬化体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モルタル,コンクリート等のセメント硬化体は、材料として用いる骨材の性質によっては、アルカリシリカ反応を起こしてしまうことがある。アルカリシリカ反応は、セメント硬化体に含まれるアルカリ金属イオンと、骨材中のシリカとの反応を言う。アルカリシリカ反応によって生じた生成物は、吸水して異常に膨張し、ひび割れ,ゲルの染み出し,ポップアウト等を惹き起こす。
【0003】
我が国においては、アルカリシリカ反応性が低く「無害」と判定された骨材を用いること、並びに、モルタルバー法(JIS A 1146),化学法(JIS A 1145),及び迅速法(JIS A 1804)の何れかの方法でアルカリシリカ反応性を判定すべきことが定められている。しかし、これらのうち、迅速法は他2法とは異なる判定結果を与えることがあり、その信頼性に疑念を呈する報告がある(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
アルカリシリカ反応性について「無害」と判定される細骨材の多くは海砂又は川砂であり、それらの採取によって惹き起こされる、地形の変化,底生生物の個体数減少等の環境への悪影響が問題視されている。また、火山地帯を初め「無害でない」と判定される細骨材しか採取できない地域においては、細骨材の調達に多大な費用と時間を費やす問題もあった。そこで、「無害でない」と判定される細骨材を使用可能とする方法が検討され、ゼオライトの添加が有効であることが報告されている。
【0005】
例えば、多孔質吸着材と過酸化水素とを有効成分として含有するアルカリシリカ反応抑制剤が開示されている(例えば、特許文献1参照)。前記多孔質吸着剤としては、例えば、ゼオライトが用いられる。当該特許文献は、細骨材を多孔質吸着材に置換する置換率としては、1.0〜10.0質量%が好ましく、5.0〜10.0質量%が特に好ましいと結論付けている(特許文献1、段落0026参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−247686号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】高橋徹、渡邊康夫、“河川産骨材における迅速法によるアルカリ骨材反応判定に関する検証”、土木学会第60回年次学術講演会講演概要集 第5部、2005年、第60巻、p. 5-7
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載された知見は、何れも迅速法による試験結果から導出されたものである。上述の通り、迅速法によるアルカリシリカ反応性試験は信頼性に欠ける嫌いがあるため、特許文献1の示す結果は、俄かには受け入れ難いものである。
【0009】
また、上記特許文献1においては、アルカリシリカ反応性に偏った議論がされ、多孔質吸着剤がセメント硬化体の品質に与える悪影響が充分に検討されていない。したがって、特許文献1が、必ずしも適切な置換率の範囲を示しているとは言い難い。
【0010】
これらの問題点に鑑み、本発明は、的確かつ充分な試験で、ゼオライトの細骨材に対する置換率(以下、細骨材置換率と称する)の適切な範囲を定め、それにより、アルカリシリカ反応を抑制できる高品質のセメント硬化体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明者は、アルカリシリカ反応を抑制する添加物としてゼオライトに着目し、細骨材置換率の適切な範囲について検討した。アルカリシリカ反応性を正確に判定するために、実用に近い条件で試験を行う、モルタルバー法を採用した。また、セメント硬化体の諸性質やワーカビリティについても、ゼオライトの添加による影響を調べた。それらの結果から、適切な細骨材置換率の範囲を求めた。
【0012】
即ち、本発明は、以下(1)乃至(4)の通りである。
(1)細骨材とゼオライトとを含み、細骨材とゼオライトが容積比98:2乃至97:3で混合されてなるセメント硬化体用組成物である。
(2)ゼオライトが、島根県大田市仁摩町天河内で産出されたモルデナイトである、(1)のセメント硬化体用組成物である。
(3)少なくともセメント,細骨材,ゼオライト,及び水を混練して硬化させたセメント硬化体であって、細骨材とゼオライトが容積比98:2乃至97:3で含まれてなるセメント硬化体である。
(4)少なくともセメント,細骨材,ゼオライト,及び水を混練してセメント硬化体を得るセメント硬化体の製造方法であって、細骨材とゼオライトの使用量が、容積比98:2乃至97:3であるセメント硬化体の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、アルカリシリカ反応を抑制し、かつ充分な品質を有するセメント硬化体が得られる。アルカリシリカ反応を抑制する能力は細骨材置換率が2容積%以上の場合に現れ、細骨材置換率が3容積%を超える場合には、セメント硬化体の品質が低下してしまう。ここに言う品質低下とは、圧縮強度が低下することであり、また、静弾性係数の低下と乾燥収縮ひずみの増大のためにひび割れ,ポップアウト等を起し易くなることである。後者の場合、スランプが低値を示し、ワーカビリティも低下する。
【0014】
島根県大田市仁摩町天河内で産出されたモルデナイトは、高い陽イオン交換容量を有するから、アルカリ金属イオンを吸着する能力が高く、より効果的にアルカリシリカ反応を抑制できる。当該モルデナイトは硬度が高いから、それを混入したとしても、セメント硬化体の強度が低下し難い。また、当該モルデナイトは、高純度であり、埋蔵量が豊富で安定供給可能だから、本発明を継続して再現性高く実施することに適するし、セメント硬化体の品質も安定する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のセメント硬化体用組成物又は細骨材を用いて製造された、モルタルバーの材齢と膨張率の関係を示すグラフである。
【図2】本発明のコンクリートの圧縮強度を示すグラフである。
【図3】本発明のコンクリートの細骨材置換率と静弾性係数との関係を示すグラフである。
【図4】本発明のコンクリートの乾燥収縮ひずみの変化を示すグラフである。
【図5】本発明のコンクリートの中性化深さを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0017】
本発明のセメント硬化体用組成物は、細骨材とゼオライトとを含み、細骨材とゼオライトが容積比98:2乃至97:3で混合されてなるセメント硬化体用組成物である。該セメント硬化体用組成物は、セメント硬化体を製造するに際し、細骨材に代えて用いられる。
【0018】
本発明に係る細骨材は、川砂,海砂,浜砂,山砂等の天然骨材、人工骨材、再生骨材、又はそれらから選ばれる2種以上の混合物であれば良く、その採取場所や製造方法を特に限定するものではない。また、細骨材は、その粒径を特に限定するものでもない。アルカリシリカ反応性試験で「無害」と判定された細骨材ばかりでなく、「無害でない」と判定された細骨材を用いることもできる。
【0019】
本発明に係るゼオライトとしては、天然ゼオライト,人工ゼオライト,又はそれらから選ばれる2種以上の混合物を選び、それを砕いて用いる。モルデナイト,クリノプチロライト,ホウフッ石,フォージャサイト,エリオナイト等の、化学組成や結晶構造等の異なる多種のゼオライトが存在するが、本発明においてはその種類も限定されない。島根県大田市仁摩町天河内で産出されたモルデナイトが好適に用いられるが、それは、該モルデナイトが高い陽イオン交換容量を有し、硬度が高く高純度であり、埋蔵量が豊富で安定供給可能だからである。ゼオライトの粒径は、細骨材と同等であれば特に限定されないが、例えば10mm以下の連続粒度分布を持つものが用いられる。
【0020】
細骨材に混合されたゼオライトはセメント硬化体のアルカリシリカ反応を抑制するが、それは、ゼオライトの陽イオン交換材料としての機能によると解される。ゼオライトは、高い陽イオン交換容量(130〜150meq/100g)を有するアルミノケイ酸塩であり、そのイオン交換選択性はK>Na>Ca2+>Mg2+>Liの順である。セメント硬化体の製造過程で、セメント中のナトリウムイオン及びカリウムイオンがゼオライトに取り込まれ、元々ゼオライト中に含まれていたカルシウムイオン及びマグネシウムイオンが放出される。それによって、アルカリ金属イオン濃度が減少し、セメント硬化体のアルカリシリカ反応が抑制される。
【0021】
一方、ゼオライトは普通骨材に比べて、強度が低く、吸水率が高く、密度が小さい。したがって、細骨材置換率が大き過ぎると、圧縮強度,乾燥収縮ひずみその他の諸性質に悪影響を与えてセメント硬化体の品質を低下させ、また、ワーカビリティに悪影響を与える。そのため、細骨材置換率には、適切な範囲が存在する。
【0022】
本発明のセメント硬化体用組成物は、上記細骨材及びゼオライトをブレンダー等で混合して得られ、その混合比率は、細骨材とゼオライトの容積比98:2乃至97:3である。細骨材置換率が2容積%未満だとアルカリシリカ反応を抑制する能力が小さいからであり、また、3容積%を超えると、実用に足る品質のセメント硬化体が得られず、ワーカビリティも低下するからである。セメント硬化体用組成物は、少なくとも細骨材及びゼオライトを含むが、それ以外の成分を含むことを妨げるものではない。
【0023】
本発明のセメント硬化体は、セメント,細骨材,ゼオライト,水,及び所望により粗骨材,混和剤その他の成分を混練して硬化させたものであって、細骨材とゼオライトが容積比98:2乃至97:3で含まれる。
【0024】
換言すると、前記セメント硬化体は、2容積%以上3容積%以下の細骨材置換率で細骨材の一部をゼオライトに置換して製造されたセメント硬化体である。当該セメント硬化体は、上記した通り、アルカリシリカ反応を抑制する能力を有し、かつ、実用に足る充分な品質を有する。混練時の細骨材とゼオライトの量比が所定の範囲内にあれば良く、それぞれ個別に準備した細骨材及びゼオライトを用い、又は、事前に混合して得られた上記セメント硬化体用組成物を用いることもできる。
【0025】
本発明に係るセメントは特に限定されず、例えば、ポルトランドセメント,シリカセメント,アルミナセメント,フライアッシュセメント,エコセメント,又は高炉セメントを用いることができる。また、細骨材及びゼオライト又はセメント硬化体用組成物に対する、セメント,水,粗骨材,混和剤等の混合比率も特に限定されない。
【0026】
以下、実施例を記載するが、本発明は、これに限定されるものではない。
【実施例1】
【0027】
細骨材とゼオライトとを、ブレンダー(株式会社吹上工業製)で混合して、セメント硬化体用組成物を得た。細骨材としては、鹿児島県指宿市沖合で採取され除塩された海砂を用いた。ゼオライトとしては、島根県大田市仁摩町天河内で産出されたモルデナイト(株式会社イズカ製)を用い、それを10mm以下の連続粒度分布となる様に砕いて用いた。当該モルデナイトは、圧壊強度が6.15kgf,モース硬度が3〜4であり、天然ゼオライトの中では硬質である。したがって、それを混入してセメント硬化体を製造したとしても、該セメント硬化体の強度は低下し難い。また、当該モルデナイトの陽イオン交換容量は約151meq/100gでゼオライトの中でも高値であり、アルカリ金属イオンを吸着する能力が高く、アルカリシリカ反応を抑制する能力も高い。本実施例に用いた骨材及びゼオライトの物性を表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
(モルタルバー法によるアルカリシリカ反応性試験)
JIS A 1146に則って、上記セメント硬化体用組成物を用いてモルタルバーを製造し、その膨張率を測定した。セメントとしては普通ポルトランドセメントを用い、水としては一般の上水を用いた。膨張率が3ヶ月で0.05%未満かつ6ヶ月で0.1%未満のものを、アルカリシリカ反応性について「無害」と判定した。
【0030】
細骨材置換率3容積%のセメント硬化体用組成物を用いて製造したモルタルバーの膨張率を、細骨材のみを用いた場合(細骨材置換率0容積%)と比較して、図1に示す。細骨材の一部をゼオライトで置換するとモルタルバーの膨張率は低下し、材齢が大きいほど、両者の差は大きくなる。細骨材置換率3容積%で、細骨材に比べ格段に低い膨張率が得られることから、細骨材置換率2容積%でも充分な膨張抑制効果があるものと推測される。そして、「無害でない」と判定される細骨材を用いたとしても、ゼオライトを混入することにより、「無害」と判定されるセメント硬化体用組成物が得られることが分かった。
【実施例2】
【0031】
実施例1のセメント硬化体用組成物,普通ポルトランドセメント(三菱マテリアル株式会社製),粗骨材,水,及び混和剤を混練して硬化させ、表2に示す組成の土木用コンクリートP1〜P8及び建築用コンクリートB1〜B8を製造した。これらコンクリートは、細骨材率,水/セメント比(W/C),又は細骨材置換率が、相互に異なるものである。粗骨材としては、粒径の異なる2種の骨材(粗骨材2013及び粗骨材1305)を混合して用いた。これら粗骨材は、何れも、表1に示す物性を有する鹿児島県産の砂岩である。混和剤としては、B1〜B4については高性能AE減水剤(チューポール社製)を用い、その他のコンクリートについてはAE減水剤(チューポール社製)及びAE補助剤(チューポール社製)を用いた。水は、実施例1と同一物を用いた。これらのコンクリートで供試体を作製し、以下の各試験に供した。
【0032】
【表2】

【0033】
(スランプ試験)
JIS A 1101に則って、フレッシュコンクリートのスランプ試験を行った。練り上がり後の時間に対するスランプの変化を、表3(単位:cm)に示す。目標スランプは、土木用コンクリートP1〜P8については8cm±2.5cm、建築用コンクリートB1〜B8については18cm±2.5cmとした。
【0034】
表3に示される様に、細骨材置換率5容積%の土木用コンクリートP4及びP8は、時間0分からスランプが低値を示し、置換率0容積%と同様のスランプを得るためには大幅な配合補正が必要であることが分かった。W/C 55%の土木用コンクリートについては、細骨材置換率2容積%(P6)又は3容積%(P8)であれば、僅かな配合補正で足りる。一方、建築用コンクリートB1〜B8については、細骨材置換率によるスランプへの影響は認められなかった。これは、土木用コンクリートに比べて多量の練り混ぜ水を使用していることが影響しているためと考えられる。
【0035】
【表3】

【0036】
(空気量試験)
JIS A 1118に則って、フレッシュコンクリートの空気量試験を行った。コンクリートP1〜P8及びB1〜B8について、練り上がり後の時間に対する空気量の変化を、表4(単位:%)に示す。目標空気量は、何れも4.5±1.5%とした。
【0037】
表4に示される様に、土木用コンクリートの空気量は、W/Cが同一である限り細骨材置換率によって大きな差違を生じず、何れも時間経過に伴って減少する傾向を示した。ただし、W/C 55%で細骨材置換率5容積%の場合(P8)には、最初の空気量が小さい。一方、建築用コンクリートB1〜B8の空気量は、最初は低値を示すものの、一旦増加した後に減少する傾向を示した。この傾向はP5を除いて変わらず、ゼオライトの添加による影響は小さい。
【0038】
【表4】

【0039】
(圧縮強度試験)
JIS A 1108に則って、コンクリートP1〜P8及びB1〜B8の圧縮強度を測定した。その結果を図2に示す。W/C 55%の場合、製造後7日目及び28日目の何れにおいても、土木用コンクリートP5〜P8間及び建築用コンクリートB5〜B8間で、細骨材置換率の影響は殆ど認められなかった。ただし、細骨材置換率5容積%の土木用コンクリートP8は、7日目の強度がやや低値を示した。
【0040】
一方、W/Cが低い場合には、土木用コンクリートP5〜P8間及び建築用コンクリートB5〜B8間で、細骨材置換率の増加に伴って圧縮強度が低下する傾向を示した。細骨材置換率5容積%のコンクリートは、28日時点で細骨材置換率0容積%の場合に対して約85%又はそれ以下の圧縮強度しか示さず、強度が不足する虞がある。細骨材置換率3容積%以下であれば、圧縮強度の低下はさほど甚大ではない。
【0041】
(静弾性係数試験)
JIS A 1149に則って、コンクリートP1〜P8及びB1〜B8の、材齢28日目の静弾性係数を測定した。その結果を、図3に示す。W/C 55%の場合、土木用コンクリート及び建築用コンクリートの何れについても、細骨材の一部をゼオライトで置換すると、細骨材のみを用いた場合に比べて静弾性係数が低下するが、通常のコンクリートの値(25kN/mm)以上は確保されている。
【0042】
一方、W/Cが低い場合には、P1〜P4間及びB1〜B4間で細骨材置換率の増加に伴って静弾性係数が大きく低下する傾向があり、特に細骨材置換率5容積%ではその影響が大きい。細骨材置換率5容積%のとき、静弾性係数を維持するためには、セメント使用量を更に増やす必要があり、不経済である。
【0043】
(乾燥収縮ひずみの測定)
コンクリートP5〜P8及びB5〜B8の乾燥収縮ひずみを測定した。各コンクリートについて10×10×40cmのコンクリート角柱を作製し、室温20℃,相対湿度60%の恒温室内で、ひずみゲージを用いて指定材齢まで測定した。測定日毎のひずみ(単位:μm)を表5に示すと共に、土木用コンクリートP5〜P8のひずみの経時変化を図4に示す。図4に示される様に、細骨材置換率が増えるほど乾燥収縮が大きくなり、細骨材置換率5容積%では、コンクリート標準示方書(日本土木学会)の規定する限度値(1000μm)に近い乾燥収縮を与えた。
【0044】
【表5】

【0045】
(促進中性化試験)
JIS A 1153に則って、コンクリートP5〜P8及びB5〜B8に対して、促進中性化試験を行った。促進期間28日及び56日の中性化深さを図5に示す。土木用コンクリート及び建築用コンクリートの何れでも、促進期間に関わらず、細骨材置換率の増加に伴って中性化が抑制されることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細骨材とゼオライトとを含み、細骨材とゼオライトが容積比98:2乃至97:3で混合されてなることを特徴とするセメント硬化体用組成物。
【請求項2】
ゼオライトが、島根県大田市仁摩町天河内で産出されたモルデナイトであることを特徴とする請求項1に記載のセメント硬化体用組成物。
【請求項3】
少なくともセメント,細骨材,ゼオライト,及び水を混練して硬化させたセメント硬化体であって、細骨材とゼオライトが容積比98:2乃至97:3で含まれてなることを特徴とするセメント硬化体。
【請求項4】
少なくともセメント,細骨材,ゼオライト,及び水を混練してセメント硬化体を得るセメント硬化体の製造方法であって、細骨材とゼオライトの使用量が、容積比98:2乃至97:3であることを特徴とするセメント硬化体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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