説明

セメント系材料

水和可能なセメント系材料の製造方法であって、本方法は、a)カルシウム、シリカ、マグネシウム、アルミニウム及び/または鉄を含む少なくとも1つの廃棄物を準備することと、b)各廃棄物を、表面に存在する水蒸気が実質的に除去されるように第1の温度で熱処理することと、c)処理された廃棄物を、最終的な混合物が混合重量で次のような範囲、即ち酸化カルシウム7.0乃至76%、アルミナ0.1乃至30%、酸化鉄0.4乃至19%、酸化シリカ1乃至36%、マグネシア0.1乃至2%の範囲の反応性酸化物の化学的/物理的組成を有するように混合することを含む。ステップc)からの最終混合物は、続いてポルトランドセメントと混合されることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、普通ポルトランドセメントの部分的な代替品として使用されることが可能なセメント系材料、及びセメント系材料の製造方法に関する。
【0002】
ポルトランドセメントはセメント系材料として十分に確立されたものであり、産業に広く使用されている。ポルトランドセメントは、製品(コンクリート/モルタル)に強力かつ耐久力のある成分を供給する。
【背景技術】
【0003】
ポルトランドセメントの主要な構成物質は、ポルトランドセメント・クリンカ(重量の3分の2を占めるケイ酸カルシウム((CaO)3SiO2(CaO)2SiO2)、残りのアルミン酸カルシウム(CaO3Al23)及び鉄アルミン酸カルシウム((CaO)4 Al2 3 Fe2 3)(及び他の酸化物)より成る水硬性材料)、粒状の高炉スラグ、天然ポゾラン、粉砕された燃料灰(フライアッシュまたはフィラ)、石膏等の副次的な追加的構成物質及び添加剤を含む。副次的な構成物質は5%まで添加されることが可能であり、それでもまだこのセメントは普通ポルトランドセメントとして類別される。高炉スラグ微粉末(BBGS)、粉砕された燃料灰(PFA)他を添加した後の最終製品セメントは、複合セメントとして類別される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらポルトランドセメントには、その製造が、高レベルの二酸化炭素及び他の温室効果ガスが生成されることに起因する環境に対する重大な被害を伴う高いエネルギー集約型プロセスである、という欠点がある。加えてポルトランドセメントは、コンクリート及びモルタルの最も高価な成分であるというさらなる欠点を有する。
【0005】
概して、産業関連の廃棄物及び副産物は重大な環境問題であるとされている。現時点でこれらの廃棄物/副産物の多くは、埋立地に投げ捨てられている。これらの産業廃棄物及び副産物の中には、セメント及びセメント代替品において発見されるものに共通する元素を含んでいるものがある。しかしながらこれらは、必ずしも必要な化学組成及び/または所望される物理的性質を含まない。
【0006】
従って、本発明の目的は、上述の欠点のうちの少なくとも幾つかを改善することにある。
【0007】
本発明のさらなる目的は、ポルトランドセメントの部分的代替品を供給することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、産業廃棄物及び/または産業副産物の使用法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って本発明の第1の態様によれば、セメント系材料の製造方法が提供されていて、本方法は、
1つまたは複数の廃棄物の混合物を準備することを含み、各廃棄物は鉄、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム及び/またはシリカの何れかを含み、
各廃棄物を少なくとも100℃の温度で熱処理することと、
上記熱処理された廃棄物を含む、セメント代用土、増量材または添加材を形成するための混合物を供給することと、
上記廃棄物の混合物をポルトランドセメントと混ぜて水和可能なセメント系材料を製造することを含む。
【0010】
本明細書で使用している用語「廃棄物」は、その後の使い道がほとんどない、または全くない、典型的には埋立地に投げ込まれる任意の物質(副産物を含む)である。また「廃棄物」という用語は、貯蔵されていてさらなる環境問題の原因となる産業廃棄物及び副産物を包含すべく意図されたものでもある。
【0011】
本発明のさらなる態様によれば、セメント系材料の製造方法が提供されていて、本方法は、
a)カルシウム、シリカ、マグネシウム、アルミニウム及び/または鉄を含む少なくとも1つの廃棄物を準備することと、
b)各廃棄物を、表面に存在する水蒸気が実質的に除去されるように第1の温度で熱処理することと、
c)上記処理された廃棄物を、最終的な混合物が混合重量で次のような範囲の遊離反応性酸化物含有率、即ち、
酸化カルシウム 7.0乃至76%、
アルミナ 0.1乃至30%、
酸化鉄 0.4乃至19%、
酸化シリカ 1乃至36%、
マグネシア 0.1乃至32%、
を有するように混合することを含む。
【0012】
好適には、本方法はさらに、
d)結果的に得られる混合物をポルトランドセメントと混合することを含む。
【0013】
c)に記載されている組成は、遊離反応性酸化物の含有率である。他の酸化物(または実際にはこれより多い酸化カルシウム、アルミナ、酸化鉄、酸化シリカ、マグネシア)が存在する可能性のあることが想定されるが、これらは拘束されており、よって反応し得ない。「遊離反応性酸化物」は、混合物内で最終的なセメント系材料の強度の発現を実質的に強化するように反応する酸化物を含む可能性がある。
【0014】
「熱処理」という用語は、廃棄物を、それを下回れば温室効果ガスの放出を抑えることが可能な温度で水分の合計含量を除去するように処理することを意味する。温室効果ガスには、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、過フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン及び六フッ化硫黄が含まれる。
【0015】
典型的には、本方法はさらに、
e)水和可能セメント系材料を水和させることを含む。
【0016】
カルシウム、シリカ、マグネシア、アルミナ及び鉄の値は、典型的には全て酸化物の形態で測定される。
【0017】
好適には、廃棄物はステップb)において別々に熱処理される。
【0018】
好適には、本方法はさらに、廃棄物を、実質的に廃棄物の化学的及び/または物理的組成を変えるために第2の温度で熱処理することを含む。
【0019】
また廃棄物は、ステップc)の後に、典型的にはステップd)より前に第3の温度で熱処理されることも可能である。廃棄物は、一旦混合された状態で熱処理され得ることも想定されるが、別々に熱処理されることが好適である。
【0020】
2種類以上の廃棄物が使用される場合、各廃棄物は、所望される化学的/物理的組成に依存して異なる温度で熱処理され得ることが想定される。
【0021】
第1の温度、第2の温度及び/または第3の温度は、各廃棄物及びエンドユーザの所望の化学的組成に固有のものである点に留意することは重要である。但し、各々の温度は約500℃を超えないことが特に好適であり、さらに好適には約200℃を超えないことに留意すべきである。環境に有害である温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、過フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン及び六フッ化硫黄等)は、約200℃で発生する。
【0022】
最終的に得られる混合物は、典型的には5以下の「強熱減量」値を有する。
【0023】
典型的な廃棄物は、オイル・シェルの燃焼の結果生成される発電所の灰、風化した高炉スラグ、切削/研磨(及びこれらの混合)の間に生じる大理石及び花崗岩、セラミック産業からの廃棄物、ステンレス鋼処理からの濾滓物、鋼スラグ、ペレット状の高炉スラグ、粒状高炉スラグ、アルミニウム・フルーダスト、シリカ製造からの廃棄物、消石灰、採石工程の除塵から得られるフィルタダスト、スレート回収プラントからの廃棄物、金属スクラップ産業の再生利用からの塵/残渣、ガラス製造/廃棄プラントから得られる廃棄物及び典型的には古紙スラッジ及び下水スラッジからの焼却炉灰を含む。但し、これらに限定されない。
【0024】
典型的には廃棄物は、好適には酸化物の形態で存在するカルシウム、シリカ、アルミニウム、マグネシウム及び/または鉄のうちの1つまたはそれ以上を含む可能性がある。
【0025】
典型的には、酸化カルシウムは、混合物内に混合物重量の約20%から約70%までの量で存在し、好適には30%から約60%までの範囲、さらに好適には35乃至55%の重量範囲で存在する。
【0026】
典型的には、シリカは、混合物内に混合物重量の約5%から約35%までの量で存在する。好適には、シリカは、混合物重量の約15%から約30%までの量で存在する。さらに好適には、シリカは、混合物重量の約18%から24%までの量で存在する。
【0027】
典型的には、マグネシアは、混合物内に混合物重量の約0.5%から約15%までの範囲で存在し、好適には1.0乃至10%の範囲、さらに好適には1.0乃至5%の重量範囲で存在する。
【0028】
典型的には、アルミナは、混合物内に混合物重量の約5.0%から約20%までの範囲で存在し、好適には8乃至18%の範囲、さらに好適には10乃至16%の重量範囲で存在する。
【0029】
典型的には、酸化鉄は、混合物内に同セメント系材料重量の約2.0乃至10%の範囲の量で存在し、好適には3%乃至8%、さらに好適には4乃至7%の同セメント系材料重量範囲で存在する。
【0030】
本混合物は、ポルトランドセメントとの混合より前に処理かつ/または安定化されることが特に好適である。処理及び/または安定化ステップは、混合物を典型的には約100℃を超える温度で、好適には約105℃を超える温度で熱処理することを含む可能性がある。効果的には、表面の水蒸気は100℃を超える温度で混合物から除去される。
【0031】
混合物内に2種類以上の廃棄物が存在する場合、各廃棄物は別々に処理される場合もあれば、一緒に処理される場合もあることが想定される。
【0032】
混合物は、その構成を決定するためにさらに分析されることが可能であり、この分析は、レーザ技術、誘導結合プラズマ技術、蛍光X線、結晶性に関する結果及び水和作用の間に形成される化合物を明らかにするX線回折(XRD)及び/または細孔を後方散乱電子画像として識別する走査電子顕微鏡(SEM)を使用する化学分析であることが可能である。
【0033】
廃棄物は、セメント系材料の最終要件に依存して、混合物の物理的組成を変えるように処理される。例えば廃棄物は、約450℃を超える温度で処理されることが可能である。但し廃棄物は、廃棄物の化学的組成及び/または物理的構造を所望される構造へ変えるために必要であれば、約1000℃を超える温度で処理される場合もあることが想定される。廃棄物に依存して、所望される構造は結晶、非結晶またはセミアモルファスであることが可能である。但し、先に述べたように、温室効果ガスは典型的には200℃を超えると発生することから、廃棄物は実質的に200℃を超えて熱処理されないことが特に望ましい。
【0034】
混合物は、ロータリ・キルン内で約100℃から約1000℃を超える範囲の温度で熱処理されることが可能である。或いは、ロータリ・キルン内での熱処理に適さない廃棄物(廃棄物の中心は湿ったままボール形になるより均質な物質等)は流動層乾燥機内で約100℃から約1000℃を超えるまでの温度範囲で熱処理されることが可能である。
【0035】
廃棄物は、直径が約10mmに満たない粒子サイズを有することが特に好適であり、ステップb)より前で直径が約5mmに満たないことがさらに好適である。粒子サイズは、約1mmが好適である。
【0036】
個々の物質にはセメント系材料にとって利点である重大な物理的及び化学的変化が起こる可能性があるために、熱処理プロセスの間に考慮されなければならない効果が多く存在する。
【0037】
セメント代替品としての利用の限界を決定する主要な要件は、強熱減量、遊離石灰、不溶残渣、塩化物及び硫酸塩(SO3等)の含量であり、最終的なセメント系材料は許容し得るこれらの限界値に適合するものでなければならない。混合物を熱処理する温度は、混合物内で使用される廃棄物に依存して変わる。
【0038】
さらに、元素によっては高温において、不揮発性物質(炭素等)が追い出される結果物質が純粋になることからその比率が増加するものがある。先に述べたように、混合物または廃棄物は、好適な構造(結晶、セミアモルファスまたは非結晶に関わらず)が達成される温度で熱処理される。
【0039】
効果的には、この熱処理段階は、混合物内に存在する痕跡元素の量を低減させる。痕跡元素は、典型的にはポルトランドセメントにおける痕跡元素の範囲と実質的に同じ、または好適にはそれより少ない範囲に、または普通ポルトランドセメント(OPC)、高炉スラグ微粉末(GGBS)及び微粉砕フライアッシュ(PFA)の産業上許容される混合物における痕跡元素の範囲にまで減少される。
【0040】
廃棄物は、細かく分割された微粒または粒状の形態であることが特に好適である。廃棄物は、業界で周知の技術を使用して粉砕または切削されることが可能である。
【0041】
典型的には、熱処理された廃棄物は直径約100um未満の粒子サイズを有し、好適にはポルトランドセメントとの混合前の直径40um未満等の50um未満である。効果的には、廃棄物は実質的に普通ポルトランドセメントの粒子サイズと同じサイズであるか、これより小さい。効果的には、廃棄物はOPCのそれよりグレードの高い曲りを有し、これにより、骨材/セメント界面及び強化部分周辺の不動態層におけるセメントの性能が向上される。
【0042】
ポルトランドセメントと廃棄物混合物とは、典型的には当業者に周知の標準的な方法に従って混合される。
【0043】
マグネシアは、反応性の遊離マグネシアとして存在することが特に好適である。効果的には、純粋な反応性マグネシアは強度利得を2日から28日以上へと大幅に向上させる。反応性は純度及び比表面積に関連することが決定されており、よってマグネシアは、典型的には実質上純粋である反応性の遊離マグネシアであることが特に好適である。マグネシアは、効果的には約42%乃至100%の純度を有する。但し、特に好適な純度は80%乃至98%であり、典型的には85%乃至95%である。適切なマグネシアは、CJC Chemicals and Magnesia社からCJC Mag Oxide 96/575、93/12F、9334F、P、Q及び/またはNの製品コードで市販されている。
【0044】
セメント系材料における先に同定した量のマグネシアの包含は、結果的に生じるセメント系材料の強度特性が大幅に拡大されることから特に効果的である。さらに、セメントの膨張は維持され、またはOPCより少ない。従って、本発明のさらに他の態様によれば、マグネシアは、1つまたはそれ以上の廃棄物の混合物に既に上記好適な量または所望される組成のマグネシアが含まれていなければ、同混合物に追加される。マグネシアは実質上、本明細書において先に述べた類のものである。
【0045】
水和可能セメント系材料内に存在する混合物の量は、セメント系材料の最終要件に依存して変わる。混合物の特徴は、例えば欧州規格との適合性に関する特定の試験に対応すべく変更されることが可能である。
【0046】
分析ステップは、レーザ技術、誘導結合プラズマ技術及び/または蛍光X線を使用する化学分析を含むことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
次に、単なる例示として本発明を説明する。
【0048】

以下の諸例では、表1に示す原料を使用した。
【0049】
【表1】

廃棄物RM3、RM7、RM8、RM9及びRM16を全て107℃で別々に熱処理した。各原料の痕跡元素、強熱減量、遊離石灰及び不溶残渣の限界値を、各々表2乃至6に示す。
【0050】
原料の評価は、OPC及びGGBSに関する限定値の組合わせに対して行っている。本発明による混合物に添加されることが可能な処理された各原料の合計量も、同定されている。混合物に添加されることが可能な各廃棄物の最大量は、表2乃至6の陰を付けた欄内に記されている。
【0051】
例えば、107℃で熱処理されたRM9について考察すると、混合物には僅か10%しか添加され得ず、混合物にそれ以上の量が添加されると存在する鉄の量は多くなりすぎて、許容限界を外れることになる。しかしながら、107℃で熱処理されたRM3について考察すると、その廃棄物の50%まで混合物に添加することが可能である。
【0052】
【表2】

【0053】
【表3】

【0054】
【表4】

【0055】
【表5】

【0056】
【表6】

表7乃至11は、廃棄物RM3、RM7、RM8、RM9及びRM16が温度109℃、480℃及び1000℃で熱処理される場合の酸化物比率の変化を示す。これらの図が示すように、酸化物の比率は廃棄物が処理される温度に依存して大幅に変わる。
【0057】
【表7】

【0058】
【表8】

【0059】
【表9】

【0060】
【表10】

【0061】
【表11】

例1
廃棄物RM3、RM7、RM8、RM9及びRM16を、直径約5mmの粒子サイズにまで個々に粉砕した。結果として得られた粉砕廃棄物を個々に、標準的なロータリ・キルンを使用して温度107℃で熱処理した。処理した廃棄物を続いて、直径約50μm未満の粒子サイズ(実質的にセメントの粒子サイズと同じ)にまで粉砕した。結果的に得られる処理済みの廃棄物は、ポルトランドセメントの部分的代替品として使用され得る表12に示す比率の混合物を生成するために使用する。結果的に生じる混合物を、ポルトランドセメントがアプリケーションに依存して20%乃至80%のレベルで、但し概して25%乃至50%で交換されるように、ポルトランドセメントと混合する。
【0062】
表12に示すように、最終的な混合セメントの化学的組成はEN196−02に記述された限界値内に存在するが、このセメントは強熱減量及び不溶残渣の試験には「不合格」である。
例2
廃棄物RM3、RM8及びRM9を、例1と同様に準備した。但し、RM7及びRM16は、107℃で熱処理した後、約50μmの粒子サイズにまで粉砕し、流動層における温度480℃での熱処理に続いてロータリ・キルン内で約1000℃の温度で熱処理し、直径約40μmの粒子サイズまで粉砕した。
【0063】
結果的に得られる粉砕されかつ熱処理された廃棄物は、セメントと部分的に交換する表13に示す比率の混合物を生成するために使用する。表13から分かるように、最終的な混合セメントの化学的組成はEN196−2に記述された限界値内に存在し、かつ所望される強熱減量及び不溶残渣の検査結果をも有する。
【0064】
従って、これらの例は、廃棄物が熱処理される温度及び混合物に添加されるべき熱処理された各廃棄物の比率を慎重に選択すれば、ポルトランドセメントの部分的代替品が生成され得ることを示している。
例3
MgO RM23は、CJCプロセスから直接ポルトランドセメントへ添加され、かつGGBS及びPFAへも強度性能の向上という同じ効果を伴って添加されることが可能であるが、強度利得は1日のうちに、その後は2日内に認められる。
【0065】
RM23の6サンプルを、上述のように準備した。但し、各サンプルが含有するMgO5%は、下記のように純度の異なるものであった。

サンプル MgO製品 化学分析

RM23A CJC 酸化マク゛ネシウム 93/12f CaO 0.99;SiO2 1.04;
Fe23 1.39 ; Al23 0.39;
MgO 93.6

RM23B CJC 酸化マク゛ネシウム 93/34f CaO 0.99;SiO2 1.00;
Fe23 0.20;Al23 0.39;
MgO 92.2

RM23C CJC 酸化マク゛ネシウム 96/575 CaO 1.50;SiO2 1.00;
Fe23 0.20 ; Al23 0.25;
MgO 93.8

RM23D CJC 酸化マク゛ネシウム Q CaO 1.50;SiO2 1.00;
Fe23 0.2;Al23 0.25;
MgO 90.0

RM23E CJC 酸化マク゛ネシウム N CaO 1.5;SiO2 1.00;
Fe23 0.2;Al23 0.25;
MgO 88.5

RM23F CJC 酸化マク゛ネシウム p CaO 0.99;SiO2 1.00;
Fe23 0.20;Al23 0.25;
MgO 91.0
次に、各サンプルの強度を84日間に渡って試験した。結果を図1に示す。図1から、RM23A、RM23B及びRM23Cは全てより強力なセメント系材料を生み出したことが分かる。
例4
RM7及びRM11のサンプルを使用して、本発明による混合物に使用される廃棄物の好適な粒子サイズを試験した。粒子サイズは、パンとベータ・ミルとの間で変更した。RM7の結果を図2に示し、RM11の結果を図3に示す。
【0066】
図2から、混合に先立つ廃棄物RM7のより粗い粒子サイズは経時的な強度性能を向上させることが分かる。しかしながら図3から、混合に先立つ廃棄物RM11のより細かい粒子サイズは強度性能を向上させることが明らかである。
【0067】
従って、混合に先立つ熱処理された廃棄物の粒子サイズは各廃棄物に固有のものであり、各廃棄物毎に個々に決定されるべきである。
例5
温室効果ガスの放出を決定するために、廃棄物RM18を900℃までの温度で熱処理した。図4aはサンプルRM18のTG/DTG及びグラム−シュミット法の結果を表示し、図4bは809℃でのIRスペクトル及びCO2のライブラリ・データとの比較を表示している。図4a及び4bから、800℃を超える温度ではCO2が放出され、環境にとって特に不都合であることが分かる。
【0068】
【表12】

【0069】
【表13】

【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】

【図2】

【図3】

【図4a】

【図4b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水和可能セメント系材料の製造方法であって、
a)カルシウム、シリカ、マグネシウム、アルミニウム及び/または鉄を含む少なくとも1種の廃棄物を準備することと、
b)各廃棄物を、表面に存在する水蒸気が実質的に除去されるように第1の温度で熱処理することと、
c)上記処理された廃棄物を、最終的な混合物が混合重量で次のような範囲の反応性酸化物の化学的/物理的組成、即ち、
酸化カルシウム 7.0乃至76%、
アルミナ 0.1乃至30%、
酸化鉄 0.4乃至19%、
酸化シリカ 1乃至36%、
マグネシア 0.1乃至32%、
を有するように混合することを含む方法。
【請求項2】
さらに、
d)ステップc)から結果的に得られる混合物をポルトランドセメントと混合すること、
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、
e)上記水和可能セメント系材料を水和させること、
を含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
上記廃棄物はステップb)において別々に熱処理される請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
上記第1の温度は100℃である先行する任意の請求項に記載の方法。
【請求項6】
上記廃棄物を、実質的に上記廃棄物の化学的及び/または物理的組成を変えるために、ステップc)に先行して第2の温度で熱処理することを含む先行する任意の請求項に記載の方法。
【請求項7】
上記廃棄物は上記第2の温度で別々に熱処理される請求項6に記載の方法。
【請求項8】
上記廃棄物は、ステップc)に先行して第3の温度で熱処理される請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
上記廃棄物は、オイル・シェルの燃焼の結果生成される発電所の灰、風化した高炉スラグ、切削/研磨(及びこれらの混合)の間に生じる大理石及び花崗岩、セラミック産業からの廃棄物、ステンレス鋼処理からの濾滓物、鋼スラグ、ペレット状の高炉スラグ、粒状高炉スラグ、アルミニウム・フルーダスト、シリカ製造からの廃棄物、消石灰、採石工程の除塵から得られるフィルタダスト、スレート回収プラントからの廃棄物、金属スクラップ産業の再生利用からの塵/残渣、ガラス製造/廃棄プラントから得られる廃棄物及び典型的には古紙スラッジ、化学プラントからのシリカ屑、化学プラントからのマグネシウム屑及び/または下水スラッジからの焼却炉灰を含む先行する任意の請求項に記載の方法。
【請求項10】
上記廃棄物は、酸化物の形態で存在するカルシウム、シリカ、アルミニウム、マグネシウム及び/または鉄のうちの1つまたはそれ以上を含む先行する任意の請求項に記載の方法。
【請求項11】
上記酸化カルシウムは、ステップc)における混合物内に混合物重量の約20.0%から約70%までの量で存在する先行する任意の請求項に記載の方法。
【請求項12】
上記酸化カルシウムは、ステップc)における混合物内に混合物重量の約30%から約60%までの量で存在する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
上記酸化シリカは、ステップc)における混合物内に混合物重量の約5%から約35%までの量で存在する先行する任意の請求項に記載の方法。
【請求項14】
上記酸化シリカは、ステップc)における混合物内に混合物重量の15%から30%までの量で存在する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
上記マグネシアは、混合物内に混合物重量の約0.5%から約15%までの範囲の量で存在する先行する任意の請求項に記載の方法。
【請求項16】
上記マグネシアは、ステップc)における混合物内に混合物重量の10%までの量、好適には1乃至4%の量で存在する請求項15に記載の方法。
【請求項17】
上記アルミナは、ステップc)における混合物内に混合物重量の約5%から約20%までの範囲の量で存在する先行する任意の請求項に記載の方法。
【請求項18】
上記アルミナは、ステップc)における混合物内に混合物重量の10乃至16%の量で存在する請求項17に記載の方法。
【請求項19】
上記酸化鉄は、混合物内に混合物重量の約2.0乃至10%の範囲の量で存在する先行する任意の請求項に記載の方法。
【請求項20】
上記酸化鉄は、混合物内に混合物重量の3乃至8%の量で存在する請求項19に記載の方法。
【請求項21】
上記混合物は、上記ポルトランドセメントとの混合より前に処理かつ/または安定化される先行する任意の請求項に記載の方法。
【請求項22】
上記処理及び/または安定化ステップは、上記混合物を典型的には約100℃を超える温度で、好適には約105℃を超える温度で熱処理することを含む可能性がある請求項21に記載の方法。
【請求項23】
上記ステップb)における熱処理は、ロータリ・キルン内で約100℃から約500℃を超える範囲の温度であり、または流動層乾燥機内で約100℃から約500℃までの範囲の温度である請求項21に記載の方法。
【請求項24】
上記混合物は500℃以下の温度で処理される請求項23に記載の方法。
【請求項25】
上記廃棄物は、温室効果ガスの放出を実質的に減らすように、約200℃以下の温度で熱処理される先行する任意の請求項に記載の方法。
【請求項26】
上記廃棄物は、ステップb)に先行して直径約10mm未満の粒子サイズを有する先行する任意の請求項に記載の方法。
【請求項27】
上記廃棄物は、ステップb)に先行して直径5mm未満(好適には約1mm)の粒子サイズを有する請求項26に記載の方法。
【請求項28】
上記熱処理された廃棄物は、混合に先行して直径約100um未満の粒子サイズを有する先行する任意の請求項に記載の方法。
【請求項29】
上記熱処理された廃棄物は50um未満の直径を有する請求項28に記載の方法。
【請求項30】
上記熱処理された廃棄物は、実質的に普通ポルトランドセメントの粒子サイズと同じサイズまたはそれより小さいサイズである先行する任意の請求項に記載の方法。
【請求項31】
MgOは反応性の遊離MgOとして存在する先行する任意の請求項に記載の方法。
【請求項32】
上記MgOは約42%乃至100%の純度を有する請求項31に記載の方法。
【請求項33】
上記純度は80%乃至98%である請求項32に記載の方法。

【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】RM23A、RM23B、RM23C、RM23D、RM23E、およびRM23Fの各サンプルの強度を84日間に渡って試験した結果を示すグラフ。
【図2】RM7の結果を示すグラフ。
【図3】RM11の結果を示すグラフ。
【図4a】サンプルRM18のTG/DTG及びグラム−シュミット法の結果を表示するグラフ。
【図4b】809℃でのIRスペクトル及びCO2のライブラリ・データとの比較を表示するグラフ。


【公表番号】特表2006−525217(P2006−525217A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506192(P2006−506192)
【出願日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001811
【国際公開番号】WO2004/096727
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(505401584)
【Fターム(参考)】