説明

セラミックス焼結成形用樹脂組成物

【課題】 低温分解性が良好でかつ分解速度が緩やかなセラミックス焼結成形用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 セラミックス焼結成形用樹脂組成物は、ポリエチレンカーボネート100質量部と(メタ)アクリレート樹脂40〜300質量部とを含んでいる。
前記(メタ)アクリレート樹脂は、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸n−プロピル)、ポリ(メタクリル酸イソプロピル)、ポリ(メタクリル酸n−ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸sec−ブチル)、ポリ(メタクリル酸n−ペンチル)、ポリ(メタクリル酸n−ヘキシル)およびポリ(メタクリル酸シクロヘキシル)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックスの焼結成形に用いられるバインダー樹脂に関する。さらに詳しくは、低温分解性が良好でかつ分解速度が緩やかなセラミックス焼結成形用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、易熱分解性の樹脂をバインダーとして含むセラミックス焼結用樹脂組成物を用いることで多層の積層物のセラミックスの製造が可能となっている。
【0003】
前記易熱分解性樹脂としては、種々検討されており、例えば、脂肪族ポリカーボネートが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
一方、セラミックス焼結用樹脂組成物に含まれるバインダー樹脂については揮散特性も重要であり、揮散挙動がクラックを誘発する報告例もある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−058747号公報
【特許文献2】特開2007−193992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2に記載の脂肪族ポリカーボネートは、熱分解性は良好であるが、その急激な分解速度から、分解の際、大量のガスを発生することでクラックが生じ易いという問題がある。
本発明の目的は、低温分解性が良好でかつ分解速度が緩やかなセラミックス焼結成形用樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかるセラミックス焼結成形用樹脂組成物は、ポリエチレンカーボネート100質量部と(メタ)アクリレート樹脂40〜300質量部とを含んでいる。
【0008】
ここで、(メタ)アクリレート樹脂は、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸n−プロピル)、ポリ(メタクリル酸イソプロピル)、ポリ(メタクリル酸n−ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸sec−ブチル)、ポリ(メタクリル酸n−ペンチル)、ポリ(メタクリル酸n−ヘキシル)およびポリ(メタクリル酸シクロヘキシル)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかるセラミックス焼結成形用樹脂組成物は、熱分解温度が低いポリエチレンカーボネートと、熱分解速度が緩やかな(メタ)アクリレート樹脂を特定の割合で含んでいるため、セラミックス焼結成形用樹脂として、低温分解性が良好でかつ熱分解速度を制御することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明にかかるセラミックス焼結成形用樹脂組成物に用いられるポリエチレンカーボネートとしては、特に限定されず、例えば、エチレンオキシドと二酸化炭素とを金属触媒の存在下で重合反応させて得られるものが挙げられる。
【0011】
前記金属触媒としては、例えば、アルミニウム触媒、亜鉛触媒等が挙げられる。これらの中でも、エチレンオキシドと二酸化炭素との重合反応において、高い重合活性を有することから、亜鉛触媒が好ましく用いられ、亜鉛触媒の中でも、有機亜鉛触媒が好ましく用いられる。
【0012】
前記有機亜鉛触媒としては、例えば、酢酸亜鉛、ジエチル亜鉛、ジブチル亜鉛等の有機亜鉛触媒;一級アミン、2価のフェノール、2価の芳香族カルボン酸、芳香族ヒドロキシ酸、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族モノカルボン酸等の化合物と亜鉛化合物とを反応させることにより得られる有機亜鉛触媒等が挙げられる。これらの有機亜鉛触媒の中でも、より高い重合活性を有することから、亜鉛化合物と、脂肪族ジカルボン酸と、脂肪族モノカルボン酸とを反応させて得られる有機亜鉛触媒であることが好ましい。
【0013】
重合反応に用いられる前記金属触媒の使用量は、エチレンオキシド100質量部に対して、0.001〜20質量部であることが好ましく、0.01〜10質量部であることがより好ましい。金属触媒の使用量が0.001質量部未満の場合、重合反応が進行しにくくなるおそれがある。また、金属触媒の使用量が20質量部を超える場合、使用量に見合う効果がなく経済的でなくなるおそれがある。
【0014】
前記重合反応において、エチレンオキシドと二酸化炭素とを金属触媒の存在下で反応させる方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、オートクレーブに、前記エチレンオキシド、金属触媒、および必要により反応溶媒を仕込み、混合した後、二酸化炭素を圧入して、反応させる方法が挙げられる。
【0015】
前記重合反応において必要に応じて用いられる反応溶媒としては、特に限定されるものではなく、種々の有機溶媒を用いることができる。前記有機溶媒としては、具体的には、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;クロロメタン、メチレンジクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、エチルクロリド、トリクロロエタン、1−クロロプロパン、2−クロロプロパン、1−クロロブタン、2−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、クロルベンゼン、ブロモベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒等が挙げられる。
【0016】
前記反応溶媒の使用量は、反応を円滑にさせる観点から、エチレンオキシド100質量部に対して、300〜10000質量部であることが好ましい。
【0017】
前記重合反応において用いられる二酸化炭素の使用圧力は、特に限定されないが、通常、0.1〜20MPaであることが好ましく、0.1〜10MPaであることがより好ましく、0.1〜5MPaであることがさらに好ましい。二酸化炭素の使用圧力が20MPaを超える場合、使用圧力に見合う効果がなく経済的でなくなるおそれがある。
【0018】
前記重合反応における重合反応温度は、特に限定されないが、30〜100℃であることが好ましく、40〜80℃であることがより好ましい。重合反応温度が30℃未満の場合、重合反応に長時間を要するおそれがある。また、重合反応温度が100℃を超える場合、副反応が起こり、収率が低下するおそれがある。重合反応時間は、重合反応温度により異なるために一概にはいえないが、通常、2〜40時間であることが好ましい。
【0019】
重合反応終了後は、ろ過等によりろ別し、必要により溶媒等で洗浄後、乾燥させることにより、ポリエチレンカーボネートを得ることができる。
【0020】
上記のようにして得られたポリエチエチレンカーボネートの数平均分子量は、好ましくは5,000〜1,000,000であり、より好ましくは10,000〜500,000である。ポリエチレンカーボネートの数平均分子量が5,000未満の場合、セラミックス焼結成形用樹脂組成物を用いて得られるグリーン皮膜の粘性が低くなり、形状保持が困難になるおそれがある。また、ポリエチレンカーボネートの数平均分子量が1,000,000を超える場合、得られるセラミックス焼結成形用樹脂組成物を溶剤へ溶解させた際、粘度が上昇し取り扱い性が悪くなるおそれがある。なお、数平均分子量は、後述の方法により測定した値である。
【0021】
本発明にかかるセラミックス焼結成形用樹脂組成物に用いられる(メタ)アクリレート樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸エチル)、ポリ(アクリル酸n−プロピル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸n−ブチル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、ポリ(アクリル酸sec−ブチル)、ポリ(アクリル酸n−ペンチル)、ポリ(アクリル酸n−ヘキシル)、ポリ(アクリル酸シクロヘキシル)等のアクリレート樹脂;ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸n−プロピル)、ポリ(メタクリル酸イソプロピル)、ポリ(メタクリル酸n−ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸sec−ブチル)、ポリ(メタクリル酸n−ペンチル)、ポリ(メタクリル酸n−ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸シクロヘキシル)等のメタクリレート樹脂等が挙げられる。これらの(メタ)アクリレート樹脂の中でも、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸n−プロピル)、ポリ(メタクリル酸イソプロピル)、ポリ(メタクリル酸n−ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸sec−ブチル)、ポリ(メタクリル酸n−ペンチル)、ポリ(メタクリル酸n−ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸シクロヘキシル)が好適に用いられ、安価で入手しやすいといった観点からポリ(メタクリル酸メチル)がとりわけ好適に用いられる。なお、これらの(メタ)アクリレート樹脂は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
前記(メタ)アクリレート樹脂の数平均分子量は好ましくは10,000〜2,500,000であり、より好ましくは100,000〜1,500,000である。数平均分子量が10,000未満の場合、セラミックス焼結成形用樹脂組成物を用いて得られるグリーン皮膜の粘性が低くなり、形状保持が困難になるおそれがある。一方、数平均分子量が2,500,000を超えると、得られるセラミックス焼結成形用樹脂組成物を溶剤へ溶解させた際、粘度が上昇し取り扱い性が悪くなるおそれがある。
【0023】
前記(メタ)アクリレート樹脂の使用量としては、低温分解性が良好でかつ分解速度が緩やかなセラミックス焼結成形用樹脂組成物が得られる観点から、前記ポリエチレンカーボネート100質量部に対して、40〜300質量部であり、60〜280質量部であることが好ましく、80〜260質量部であることがより好ましい。
【0024】
本発明にかかるセラミックス焼結成形用樹脂組成物の製造方法としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレンカーボネートと(メタ)アクリレート樹脂とを粉体同士で混合する方法、ポリエチレンカーボネートと(メタ)アクリレート樹脂とを溶融混練する方法、ポリエチレンカーボネートと(メタ)アクリレート樹脂とを溶媒等に溶解させた後、前記溶媒を除去する方法等が挙げられる。これらの製造方法の中でも、組成物の製造が容易で、かつ均一な組成物を得ることができるという観点から、ポリエチレンカーボネートと(メタ)アクリレート樹脂とを溶媒等に溶解させた後、前記溶媒を除去する方法が好適に用いられる。
【0025】
以下、ポリエチレンカーボネートと(メタ)アクリレート樹脂とを溶媒等に溶解させた後、前記溶媒を除去する方法についてより詳しく説明する。
【0026】
前記溶媒としては、アセトン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、トルエン、テトラヒドロフラン、ニトロトルエン、シクロヘキサノン等が挙げられる。これらの中でも、安価で溶媒除去が容易であるという観点から、アセトン、クロロホルムが好適に用いられる。なお、これらの溶媒は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
前記溶媒の使用量としては、ポリエチレンカーボネート100質量部に対して、好ましくは200〜10000質量部であり、より好ましくは500〜5000質量部である。溶媒の使用量が200質量部未満の場合、樹脂が完溶せず、不均一な組成物となるおそれがある。溶媒の使用量が10000質量部を超える場合、溶媒除去が困難になる。
【0028】
前記溶媒を除去する方法としては、蒸留、加熱乾燥、送風乾燥、凍結乾燥、減圧乾燥等が挙げられる。これらの中でも、操作が容易で残存溶媒が少ないといった観点から、減圧乾燥が好適に用いられる。
【0029】
ポリエチレンカーボネートと(メタ)アクリレート樹脂とを溶媒等に溶解や分散させた後、前記溶媒を除去する方法に用いられる装置としては、特に限定されず、溝型乾燥機、棚段乾燥機、コニカル乾燥機等があげられる。これらの中でも、操作が簡便で安価であるという観点から溝型乾燥機が好適に用いられる。
【0030】
上記のようにして本発明にかかるセラミックス焼結成形用樹脂組成物を得ることができる。本発明により得られたセラミックス焼結成形用樹脂組成物は、後述の測定方法で測定される分解開始温度が50〜220℃であることが好ましい。また、後述の測定方法で測定される熱分解速度が2.0〜50%/minであることが好ましい。
【0031】
本発明にかかるセラミックス焼結成形用樹脂組成物を用いて、セラミックス焼結体を製造することができる。
【0032】
すなわち、セラミック粉末、セラミックス焼結成形用樹脂組成物、分散媒および所望により分散剤、可塑剤、消泡剤、レベリング剤等を、セラミックボールが充填されたミル等の装置に充填し、当該装置を回転、振動等させることによりスラリーを調製する。得られたスラリーを、所望によりスプレードライヤー等の装置で顆粒体に造粒し、冷間静水圧加圧成形(CIP)、加圧成形、押し出し成形、テープ成形、射出成形、鋳込成形等を用いて成形する。得られた成形体を加熱することにより上記セラミックス焼結成形用樹脂組成物を分解させ、且つ上記セラミックス粉末を焼結させることによりセラミックス焼結体が得られる。
【0033】
以下に、製造例、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0034】
[評価]
製造例により得られたポリエチエチレンカーボネートの数平均分子量、実施例および比較例により得られたセラミックス焼結成形用樹脂組成物の熱分解挙動を以下の方法により測定し、評価した。
【0035】
(1)ポリエチレンカーボネートの数平均分子量
ポリエチレンカーボネート濃度が0.5質量%のクロロホルム溶液を調製し、高速液体クロマトグラフを用いて測定した。同一条件で測定した数平均分子量が既知のポリスチレンと比較することにより、分子量を算出した。なお、測定条件は、以下の通りである。
機種:HLC−8020
カラム:GPCカラム
(東ソー株式会社の商品名、TSK GEL Multipore HXL−M)
カラム温度:40℃
溶出液:クロロホルム
流速:1mL/分
【0036】
(2)セラミックス焼結成形用樹脂組成物の分解開始温度
セラミックス焼結成形用樹脂組成物について、TG/DTA測定装置(TG/DTA220U:Seiko Instruments株式会社製)を用いて、大気中、昇温速度:10℃/分、昇温範囲:30〜500℃の条件で、TG−DTA分析を行い、分解開始温度を測定した。本発明においては、分解開始温度は50〜220℃であることが好ましい。
【0037】
(3)セラミックス焼結成形用樹脂組成物の熱分解速度
セラミックス焼結成形用樹脂組成物0.001gを用いてTG−DTA分析を行った。分析結果から分解開始時間と測定試料の質量が50%に減少した時間を算出した。上記2点の傾きから1分間あたりの熱分解速度を算出した。本発明においては、熱分解速度は2.0〜50%/minであることが好ましい。
【0038】
[製造例1](有機亜鉛触媒の製造)
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計、還流冷却管を備えた300mL容の四つ口フラスコに、酸化亜鉛8.1g(100ミリモル)、グルタル酸12.7g(96ミリモル)、酢酸0.1g(2ミリモル)およびトルエン130g(150mL)を仕込んだ。次に、反応系内を窒素雰囲気に置換した後、55℃まで昇温し、同温度で4時間攪拌して反応させた。その後、110℃まで昇温し、さらに同温度で4時間攪拌して共沸脱水させ、水分のみを除去した後、室温まで冷却して、有機亜鉛触媒を含む反応液を得た。
この反応液の一部を分取し、ろ過して得た有機亜鉛触媒について、IRを測定(サーモニコレージャパン株式会社製、商品名:AVATAR360)した結果、カルボン酸基に基づくピークは認められなかった。
【0039】
[製造例2](ポリエチレンカーボネートの製造)
攪拌機、ガス導入管、温度計を備えた1L容のオートクレーブの系内をあらかじめ窒素雰囲気に置換した後、製造例1の方法により得られた有機亜鉛触媒を含む反応液8.0mL(有機亜鉛触媒を1.0g含む)、ヘキサン131g(200mL)、エチレンオキシド35.2g(0.80モル)を仕込んだ。次に、攪拌下、反応系内が1.5MPaとなるまで二酸化炭素を充填した。その後、60℃に昇温し、反応により消費される二酸化炭素を補給しながら6時間重合反応を行なった。
反応終了後、オートクレーブを冷却して脱圧し、ろ過した後、減圧乾燥してポリエチレンカーボネート68.4gを得た。
【0040】
得られたポリエチレンカーボネートは、下記の物性を有することから同定することができた。
IR(KBr):1740、1447、1386、1217、1029、785
(単位は全てcm−1
また、得られたポリエチレンカーボネートの数平均分子量は、52,000であった。
【0041】
[実施例1]
1,000mL容のガラス製ビーカー(直径100mm×高さ150mm)に、製造例2と同様の方法により得られたポリエチレンカーボネート50g、メタクリル酸メチル(アルドリッチ株式会社製、数平均分子量:120,000)50g、クロロホルム500gを仕込み、クロロホルムに溶解させた。その後、50℃、300Paの条件下で、ビーカー内のクロロホルムを留去し、白色のセラミックス焼結成形用樹脂組成物100gを得た。
得られたセラミックス焼結成形用樹脂組成物のTG−DTA分析結果から、分解開始温度は200℃、分解速度は6.3%/minであった。
【0042】
[実施例2]
実施例1において、メタクリル酸メチル50gに代えて、メタクリル酸メチル100gを用いた以外は実施例1と同様にして、セラミックス焼結成形用樹脂組成物150gを得た。
得られたセラミックス焼結成形用樹脂組成物のTG−DTA分結果から、分解開始温度は214℃、分解速度は3.1%/minであった。
【0043】
[実施例3]
実施例1において、メタクリル酸メチル50gに代えて、メタクリル酸メチル25gを用いた以外は実施例1と同様にして、セラミックス焼結成形用樹脂組成物75gを得た。
得られたセラミックス焼結成形用樹脂組成物のTG−DTA分結果から、分解開始温度は208℃、分解速度は43%/minであった。
【0044】
[比較例1]
製造例2と同様の方法により得られたポリエチレンカーボネート単独のTG−DTA分析を行った。TG−DTA分析の結果から、分解開始温度は210℃、分解速度は130%/minであった。
【0045】
[比較例2]
実施例1において、メタクリル酸メチル樹脂50gに代えて、メタクリル酸メチル5gを用いた以外は実施例1と同様にして、セラミックス焼結成形用樹脂組成物55gを得た。
得られたセラミックス焼結成形用樹脂組成物のTG−DTA分結果から、分解開始温度は213℃、分解速度は137%/minであった。
【0046】
[比較例3]
実施例1において、ポリエチレンカーボネート50gに代えて、ポリエチレンカーボネート10gを用いた以外は実施例1と同様にして、セラミックス焼結成形用樹脂組成物60gを得た。
得られたセラミックス焼結成形用樹脂組成物のTG−DTA分結果から、分解開始温度は261℃、分解速度は6.0%/minであった。
【0047】
[比較例4]
メタクリル酸メチル単独のTG−DTA分析結を行った。TG−DTA分析結果の結果から、分解開始温度は267℃、分解速度は6.2%/minであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンカーボネート100質量部と(メタ)アクリレート樹脂40〜300質量部とを含むセラミックス焼結成形用樹脂組成物。
【請求項2】
(メタ)アクリレート樹脂が、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸n−プロピル)、ポリ(メタクリル酸イソプロピル)、ポリ(メタクリル酸n−ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸sec−ブチル)、ポリ(メタクリル酸n−ペンチル)、ポリ(メタクリル酸n−ヘキシル)およびポリ(メタクリル酸シクロヘキシル)からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のセラミックス焼結成形用樹脂組成物。

【公開番号】特開2012−188297(P2012−188297A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50540(P2011−50540)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000195661)住友精化株式会社 (352)
【Fターム(参考)】