セラミックハニカム体および製造方法
【課題】
さまざまなチャネルの大きさおよび壁厚を有するハニカム体を生産するための押出ダイ、および押出ダイを製造する方法。
【解決手段】
ハニカム体は、交差する内壁によって画成された複数のチャネルを含む。チャネルは、交互パターンで配列された不均等な断面寸法を有する。チャネルは、本体の外周壁に隣接した少なくとも1列のチャネルを含む第1の領域、および残りのチャネルを含む第2の領域に分けられる。第1の領域における内壁は、外周壁にまで及ぶ軸に沿って増大する厚さを有する。
さまざまなチャネルの大きさおよび壁厚を有するハニカム体を生産するための押出ダイ、および押出ダイを製造する方法。
【解決手段】
ハニカム体は、交差する内壁によって画成された複数のチャネルを含む。チャネルは、交互パターンで配列された不均等な断面寸法を有する。チャネルは、本体の外周壁に隣接した少なくとも1列のチャネルを含む第1の領域、および残りのチャネルを含む第2の領域に分けられる。第1の領域における内壁は、外周壁にまで及ぶ軸に沿って増大する厚さを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、セラミックハニカム体、およびこれらハニカム体の製造方法に関する。さらに具体的には、本開示は、チャネルの大きさが交互し、壁厚が変化しているハニカム体製造用のハニカム押出ダイを製造するための放電加工(EDM)法に関する。
【背景技術】
【0002】
触媒基板および微粒子ろ過用途に用いられるハニカム体は、長手方向の相互接続したウェブによって画成された、長手方向の平行なチャネルを有するモノリス体からなる。ハニカム体は、典型的には、焼成後にコージエライト、チタン酸アルミニウムまたは炭化ケイ素などのセラミック材料を形成する、可塑化バッチ材料を押出成形することによって作られる。ハニカム体の製造に用いられる押出ダイは、相互接続したスロットによって画成された縦ピンの配列を含む吐出端を備えたダイ本体を有する。縦ピンの配列は、触媒基板および微粒子ろ過用途に有用な、長方形、三角形、または六角形などの任意の幾何学的形状を有するピンを含みうる。ダイ本体の入口端には、ダイ本体の基部から、相互接続したスロットまで延在する、バッチ材料をスロットに供給するために用いられる、送り孔が備わっている。押出ダイを使用してハニカム体を製造するため、可塑化バッチ材料が送り孔に供給され、相互接続したスロットを通じて押出成形される。相互接続したスロットを通じて押出成形されたバッチ材料は、ハニカム体の相互接続したウェブを形成する。
【0003】
一部の実施の形態では、押出ダイ・ピンは、吐出端全体にわたって均一な断面形状および大きさを有するが、他の実施の形態では、吐出端全体にわたり異なる断面形状または大きさを有するピンを採用する。一部の実施の形態では、相互接続したスロットは、吐出端全体にわたり均一な幅を有するが、他の実施の形態では、吐出端全体にわたって異なるまたは変化する幅を有する相互接続したスロットを採用する。
【0004】
ハニカム押出ダイは、一般に、プランジEDM法を使用して作製される。典型的なプランジEDM法では、所望のピン/スロット・パターンを有する成形電極が、誘電性流体の浴中で、押出ダイとなるであろうワークピースに対し、近接した間隔をおいて配置される。成形電極とワークピースとの間の薄いギャップにおける一連の繰り返し放電によって、ピン/スロット・パターンが、ワークピースに形成される。放電は、ワークピースを溶融し、電極のピン/スロット・パターンをワークピースに転写するのに十分な熱を発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さまざまなチャネルの大きさおよび壁厚を有するハニカム構造の製造は、特有の課題を提示し、このような構造の効率的製造には革新的な方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの態様はハニカム体を含む。本明細書に記載する1つの実施の形態では、ハニカム体は、ハニカム体の両端の間に延在する交差する内壁によって画成された、複数の平行なチャネルを備える。チャネルは、交互パターンで配列された不均等な断面寸法を有する。外周壁は、チャネルを取り囲み、内壁と相互接続される。チャネルは、外周壁に隣接する少なくとも1列のチャネルを含む第1の領域と、残りのチャネルを含む第2の領域とに分けられる。第1の領域における内壁は、外周壁にまで及ぶ軸に沿って増大する厚さを有する。
【0007】
本開示のさらなる態様はハニカム押出ダイを含む。1つの実施の形態では、ハニカム押出ダイには、入口面および入口面と反対側の吐出面を有するダイ本体が備わっている。複数の送り孔は、入口面からダイ本体まで延在し、放出スロットの交差する配列は、吐出面からダイ本体まで延在する。放出スロットの配列は、ダイ本体内の送り孔/スロットの交差位置で、送り孔と接続している。放出スロットの交差する配列は、複数のピンの2つの異なる断面積を画成し、前記複数のピンは、断面積が交互になっているピンの市松模様のマトリクスを形成する。放出スロットの幅は、ダイの外周縁まで延在する軸に沿って増大する。
【0008】
本開示のさらなる態様は押出ダイを製造する方法を含む。1つの実施の形態では、押出ダイを製造する方法は、ダイ・ブランクを提供し、第1のEDM電極をダイ・ブランクに差し込むことによって、ダイ・ブランクの表面に均一幅の複数の交差する放出スロットを有するダイ・パターンを形成する、各工程を有してなる。交差する放出スロットは、2つの異なる断面積を有する複数のダイ・ピンの側面を形成し、複数のダイ・ピンは、大きさが交互するピンの市松模様のマトリクスを形成する。ダイ・パターンは、ダイの周囲に隣接したスロットおよびピンを含む第1の領域と、ダイ・パターン内の残りのスロットおよびピンを含む第2の領域とに分けられる。ダイ・パターンの第1の領域は、第2のEDM電極をダイ・パターンの第1の領域に差し込むことによって修正される。
【0009】
追加の特性および利点は、以下の詳細な説明に記載され、一部には、その説明から当業者にとって容易に明らかになるであろうし、あるいは、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、ならびに添付の図面を含めた本明細書に記載する実施の形態を実施することによって認識されよう。
【0010】
前述の概要および後述する詳細な説明は、単に典型例であって、本発明の性質および特徴を理解するための外観または枠組みを提供することが意図されていることが理解されるべきである。添付の図面は、さらなる理解を提供することが意図されており、本明細書に取り込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は1つ以上の実施の形態を例証し、その説明と共に、さまざまな実施の形態の原理および動作を説明する役割をする。
【0011】
次に説明する添付の図面は、本発明の典型的な実施の形態を例証するものであって、他の同様に効果的な実施の形態およびそれらの特性を説明する開示について、限定すると見なされるべきではない。図面は、必ずしも一定の比率の縮尺ではなく、図面のある特定の特徴およびある特定の表示は、明瞭かつ簡潔にするために、規模または図式化に誇張が見られる場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】大きさが交互する入口および出口チャネルを有するハニカム物品の実例。
【図2】大きさが交互する入口および出口チャネルの1つの実施の形態を例証する、図1のハニカム物品の入口面の拡大部分。
【図3】壁がハニカム物品の外周縁に近づくにつれて変化(増大)する壁厚を例証する、図1のハニカム物品の断面部分。
【図4A】ワークピース上にダイ・パターンを形成するための複数の相互接続するウェブを有するプランジ電極の概略図。
【図4B】ワークピース上にダイ・パターンを形成するための電極差し込み位置。
【図5】押出ダイの一部の断面。
【図6】押出ダイ上で二次的EDM加工を行うダイ修正電極の概略図。
【図7A】押出ダイ上で二次的EDM加工を行う1/4パターンのダイ修正電極の概略図。
【図7B】ピンの大きさが交互になった適切な配列のための互いにオフセットする隣接した差し込み位置を伴う、ダイの全周囲を修正する際に、単一の1/4パターン電極が占める4つの異なる位置を例証する図。
【図7C】隣接した差し込み位置にある電極のオフセットを例証する、図7Bの1/4パターンのダイ修正電極の拡大部分。
【図8】ハニカム体の周囲に隣接した壁厚の増大を提供するためのダイ修正電極の一部。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面に例証される典型的な実施の形態について、詳細に説明する。実施の形態の説明における多くの具体的詳細は、読み手に完全な理解を提供するために記載される。しかしながら、これらの具体的詳細の一部またはすべては、必ずしも必要ではないことは、当業者には明らかであろう。他の事例では、周知の特性および/または工程段階については、典型的な実施の形態の態様を不必要に不明瞭にしないために、詳細に説明していない。同一または類似の部分についての言及には、図面全体を通じて、できる限り、同一の参照番号を用いている。
【0014】
2つの異なる水力直径を提供する2つの異なる断面寸法を有するセルチャネルを備えた、末端塞栓されたハニカム構造の上面図が、図1に例証されている。ハニカム10は、前面または入口端12、および入口端12の反対側の出口端(図示せず)を有する。入口セルチャネル14と出口セルチャネル16に分けられる複数のセルチャネルが、入口端と出口端の間に延在している。セルチャネルは、一般に、内部の多孔質の壁18によって形成された正方形の断面を有する。内壁18は、ハニカム10の入口および出口端の間に、実質的に長手方向に延在する。セルチャネル14、16は、入口セルチャネル14と出口セルチャネル16を交互に繰り返すように配列されて、小さいサイズと大きいサイズの交互のセルチャネルパターンを生じる。例証される実施の形態では、各入口セルチャネル14は、すべての側面が出口セルチャネル16に接しており、逆もまた同様になっている。外周壁20は、セルチャネル14、16および内壁18を取り囲む。外周壁20はまた、一般にハニカム10の「表皮」と称されるものを形成する。
【0015】
入口セルチャネル14および出口セルチャネル16は、入口端12または出口端のいずれかにおいて、それらの長さの一部に沿って塞栓される。図1および2では、入口端12が例証されており、塞栓された出口セルチャネル16が見られる。すなわち、入口セルチャネル14は入口端12では開放され、出口端では塞栓されている。逆に、出口セルチャネル16は、入口端12で塞栓され、出口端で開放されている。この「市松模様」の塞栓構成は、流体流れと構造体の多孔質壁のさらに緊密な接触を可能にする。排ガスの流体流れは、入口セルチャネル14を通じてハニカム10に流入し、その後、多孔性のセル壁18を通過し、出口セルチャネル16を通じてハニカム10の外に流出する。当然ながら、図示したものとは異なる塞栓パターンも利用して差し支えなく、一部の実施の形態では、部分フィルタを形成することを目的として、チャネル14、16の一部は、完全に閉塞されていなくてもよい。
【0016】
図2は、図1の小断面100の拡大図を例証しており、ハニカム10のセルチャネル14、16の大きさが交互する構造をさらに分かりやすく示している。内壁18の第1の部分は、入口14および出口16の両方のセルに共通している。参照番号18aで表されるこの部分は、出口セル16の全長に渡って存在するが、入口セル14の一部だけに存在する。内壁18の部分18aは、動作中に、エンジン排ガスが入口通路14から出口通路16までそこを通じて流れることを意味する、ろ過活性であることが好ましい。内壁18の残りの部分18bは、出口通路16と連通せずに入口通路14の部分と係合する。内壁部分18bは、動作中に、排ガスが入口通路14からそこを通じて流れ、出口通路16に達することがあまりないことを意味する、ろ過不活性であって差し支えない。しかしながら、一部の炭素および灰微粒子はその中に捕捉され、収集されうることに留意しなければならない。1つの実施の形態では、入口セルチャネル14の断面または水力直径は、出口セルチャネル16の水力直径より約1.1〜2.0倍大きい。別の実施の形態では、入口セルチャネル14の断面または水力直径は、出口セルチャネル16の水力直径より約1.3〜1.6倍大きい。1つの実施の形態では、ハニカム10は、約100〜300セル/平方インチ(15.5〜46.5セル/cm2)のセル密度を有するが、その範囲より大きいまたは小さいセル密度も意図されている。1つの実施の形態では、ハニカム10は、約0.001〜0.025インチ(0.25〜0.64mm)の壁厚を有するが、その範囲より大きいまたは小さい壁厚も意図されている。説明のため、図示するハニカム10の一部の特徴の大きさおよび割合は、大幅に誇張されており、正確な縮尺ではないことに留意すべきである。
【0017】
再び図1を参照すると、仮想線23は、セルチャネル14、16を第1の領域22と第2の領域24に適切に分ける分け方の説明のための一例として描かれている。特に、第1の領域22は、外周壁20に隣接したセルチャネル14、16を含み、第2の領域24は、中心軸21の方向に残りのセルチャネル14、16を含む。図1では、ハニカム10の特徴の相対的な大きさは歪められている(特に、セルチャネル14、16の大きさおよび数)。しかしながら、1つの実施の形態では、第1の領域22は、外周壁20に隣接した、少なくとも1列のチャネル14、16を含むが、他の実施の形態では、第1の領域22は、外周壁20に隣接して、4列より多く、7列より多く、10列より多く、または20列より多くのチャネルを含んで差し支えない。
【0018】
図3を参照すると、外周壁20に隣接したハニカム10の大幅な拡大部分が概略的に例証されている。図3に見られるように、第1の領域22のセル14、16は、内壁18が外周壁20に近づくにつれて厚くなるように、矢印25が示す、外周壁20の方に伸びる軸に沿って増大する壁厚を有する。1つの実施の形態では、第1の領域22の壁18の厚さは、例えば軸21近くなどの第2の領域24の壁18の厚さの1.01〜4倍またはそれ以上増大する。外周壁20近くの壁18の厚みの増大は、ハニカム10の耐熱衝撃性に有害な影響を及ぼさずに、ハニカム10にアイソスタティック強度の増大をもたらし、また、圧力損失における最低効果も有することが分かった。
【0019】
1つの実施の形態では、図3に示すように、フィレット26は、セルチャネル14、16の第1の領域22の壁18どうしの少なくとも接合部または交差位置に形成される。フィレットは、第2の領域24の壁18の接合部、および外周壁20を有する壁18の接合部にも形成される。1つの実施の形態では、壁18の接合部におけるフィレットは、第1および第2の領域22、24のものと同一のままであるが、セルチャネル14のフィレットの半径は、セルチャネル16のものとは異なっていて差し支えない。別の実施の形態では、外周壁20に近いフィレットは、ハニカム10の中心軸21の近くのフィレットの半径より大きい半径を有していてもよい。
【0020】
上記のように、大きさが交互になっているチャネルおよび外周壁20の近くで増大する壁厚を有するハニカム10を作製する適切な方法は、粉末化した原料の可塑化混合物を形成し、これを、セルチャネルの大きさが交互になっており、壁厚が変化しているハニカム体へと、ダイを通じて押出成形し、次に、随意的に乾燥し、塞栓したハニカムフィルタを形成するための既知の装置および方法を使用して焼成および塞栓する各工程を有してなる。塞栓ハニカムフィルタは、典型的には、耐熱性の弾性マットがフィルタの側壁と筐体の壁の間に配置されたフィルタ筐体内に、フィルタをぴったりと配置することによって、取り付けられる(例えば車載など)。筐体の両端には、排ガスを、ハニカムフィルタの交互に塞栓されたチャネルおよび、多孔質の壁内に導き、通すための入口および出口コーンが備わっていて差し支えない。
【0021】
上記のように、大きさが交互になっているチャネルおよび外周壁20の近くで増大する壁厚を有するハニカム10を作製するための押出ダイは、放出スロットによって分けられた、大きさが交互するピンを含む対応するピン配列を有し、ここで、放出スロットは、ダイの外周縁まで延在する軸に沿った方向に、徐々に広がる。このようなダイを作製するための方法の1つにプランジEDM法がある。
【0022】
図4Aおよび4Bを参照すると、プランジEDM法では、特徴のパターンを有する成形電極108が、最終的にダイになるワークピース102(時にはダイ・ブランクとも称される)に、それらの特徴を加工するために用いられる。プランジEDM法を行うための適切な放電電極108は、当技術分野で既知のように、移動ワイヤー放電加工(ワイヤーEDM)を使用して、銅−タングステン合金素地から形成することができる。電極108のための他の適切な材料としては、例えば、銀−タングステン、グラファイト、および銅−グラファイトが挙げられる。使用時、電極108は、ワークピース102の近くに配置され、電極108とワークピース102との間のギャップに放出される反復的な電荷を通して、電極108の特徴がワークピース102内に加工される。例えば、図4Aに示すように、相互接続したウェブの格子を有するハニカム押出ダイでは、成形電極108は、ハニカムパターンまたはハニカムパターンの一部を形成する、相互接続したウェブの格子を備えている。成形電極108は、複数の特徴(例えば、ピンおよびスロットの複数の列および段)を一度に形成するように構成される。一般に、成形電極108は、任意の所望の形状の特徴を有するパターンを形成するように構成されて差し支えない。一例を挙げれば、電極108によってワークピース102に形成されるパターンは、均一幅のスロットによって分けられた、大きさが交互するピン配列である。
【0023】
図4Aおよび4Bでは、電極108は、完全なダイ・パターン400の一部分である長方形の形状に対応して、全般的な長方形の形状を有するように示されている(図4B)。最終的なダイの大きさに応じて、電極108の幅は、ダイ・パターン400の全幅、ダイ・パターンの半幅、または幾つかのより小さい部分に対応していてもよい。図4Bは、ワークピース102上の差し込み位置402a〜402k(集合的差し込み位置402)を有する、ワークピース102上の完全なダイ・パターン400を例証している。図4Bには、11の差し込み位置402が例証されているが、任意の他の数の差し込み位置402を使用してもよい。差し込み位置402の数は、例えば、完全なダイ・パターン400の大きさおよび電極108の大きさに応じて決まる。
【0024】
図5は、上記のように、プランジEDM法を使用してワークピース102にピン500およびスロット502を形成した後のワークピース102の断面の典型的な図を示している。押出ダイの形成を完了するため、送り孔504をワークピース102に形成することができ、最終的なダイ600は、ワークピースから、任意の所望の形状(例えば、円形、楕円形、長方形など)に切断されて差し支えない。ワークピース102から切断された円形のダイ600が図6に例証されている。送り孔504は、可塑化バッチ材料をスロット502に供給し、そこを通じて押出成形できるようにするため、典型的には、ワークピース102の基部506からスロット502まで延在する。ピン500、スロット502、および送り孔504を備えたワークピース102は、他のハニカム押出ダイの鋳型としての役割をする。例えば、ピン500は、特定の用途にさらに適した他の幾何学的形状を達成するために必要に応じて修正して差し支えない。
【0025】
上述のEDMダイの製造法は、ダイの吐出面全体にわたり均一な幅の放出スロットを有するピン配列を有するダイを提供する。したがって、外周壁20に近づくにつれて厚さが増大する壁18を有するハニカム10を提供するため、ハニカム10の第2の領域24に対応するダイ位置の放出スロット502の幅を、さらに修正する必要がある。このような修正は、ダイ修正電極700を用いて二次的なダイ修正プランジEDM法を行うことにより達成されうる。
【0026】
放出スロット502の一部(すなわち、第2の領域24に対応する部分)のみが修正を必要とすることから、二次的プランジEDM法に用いられるダイ修正電極700は、修正が行われるダイの領域を包含することのみを必要とする。特に、ダイの外周縁に隣接した放出スロット502の拡張には、ダイの第2の領域24(外周壁20に隣接した)の複数のピンがダイ修正電極によってさらに加工されることが必要とされる。
【0027】
図6および7Aは、ダイ600および、本開示に従ったダイ修正電極700の実施の形態を概略的に示している。ダイ600には、成形電極108によってすでに加工されたピン500および放出スロット502が備わっている。ダイ修正電極700には、交差するウェブ704の網状組織によって形成された開口部702が備わっている。ウェブ704は、電極700の内縁708の反対側にある、電極700の外縁706に近づくにつれて、増大する幅を有する。ウェブ704の幅は、連続的または段階的に、ダイ600の周囲に、放出スロット502の公称(元の)厚さから所望の厚さに至るまで増大される。例えば、1つの実施の形態では、ウェブ704の幅(および対応するスロット502の幅)は、それぞれのその後のピン位置において所定の量(例えば、0.5ミル(0.0125mm)、0.75ミル(0.01875mm)、1ミル(0.025mm)、または任意の他の選択量)だけ増大される。1つの実施の形態では、ウェブ704が電極700の外縁706に達するにつれて、幅の増大はさらに大きくなる。例えば、電極700が10列のピン500を修正するように構成される場合、ウェブ704の幅は、第1の4つのピンのそれぞれについて0.5ミル(0.0125mm)ずつ、次の4つのピンのそれぞれについて0.75ミル(0.01875mm)ずつ、最終的な2つのピンについて1ミル(0.025mm)ずつ増大させて構わない。当然ながら、異なる距離およびピン数を用いた他のこのような例は、無限に構成可能である。
【0028】
ダイ修正プランジEDM法の間、ダイ600を固定保持すると同時に、電極700をピン500の配列まで下げる。電極700がピン500の配列内に下げられるときに、既存のスロット502より厚くなっているウェブ704が、ピン500のすべての側面から材料を除去する。交差するウェブ704の隅々にフィレットが充填される場合、材料はピン500の隅々から取り除かれる。結果として、既存のスロット502は、取り囲むピン500を狭くすることによって、より幅広くなるように加工される。そのように提供される場合、押出したハニカムにフィレットが生じるように、ウェブ704のフィレット充填された隅々は、ピン500の隅々を内径とする。修正を必要とするピン列の数に応じて、電極700の大きさ、開口部702の数およびウェブ704の厚さは、然るべく変化する。
【0029】
ダイ修正プランジEDM法は、ダイ600の入口または送り孔部分を多少なりとも変化させない、すなわち、必要とされるダイの入口部分にはいずれの変化も存在しない。この設計の加工されたダイから生産された押出したハニカム10の幾何学的形状は、ハニカム10の外周壁20に隣接するセルの領域において連続的に増大する壁の厚みと共に、大きさが交互になったチャネルを有する。
【0030】
図6の実施の形態において、ダイ修正電極700は、ダイ600の周囲全体を制限する単一の構造を含む。しかしながら、当業者は、多くの精密な機械加工工程が必要とされることに起因した、このような電極の作製における複雑性および高コストを認識することができよう。全360°のパターンを包含する単一の電極の創出は、あまりにも費用がかかり過ぎる可能性があり、高い可変性の危険性、および電極の製造プロセスの間の工具破壊、停電などの思いがけない混乱、ならびに人的ミスに起因する廃棄の危険性を含む。
【0031】
これらの理由によって、図7A〜7Cに例証される別の実施の形態では、ダイ修正電極700は、ダイ600の周囲全体が加工されるまで、差し込み、取り出し、回転および再び差し込む、1/4パターンの電極720を含む(すなわち、電極720は、ダイ600の周囲に90°の弧を限局する)。1/4パターンのダイ修正電極720は、上述の問題に対する費用効率が高い解決法である。
【0032】
しかしながら、ダイ600の交互になっているピンの大きさの理由から、1/4パターン電極/4回転プランジEDMダイ修正法は、1つの差し込み位置から次へと移動するときに、ピン500の大きさが交互する1/4パターンのダイ修正電極720における開口部の大きさが交互する整列に特有の課題を提示する。特に、ダイ600の交互になっている大チャネル/小チャネルのパターンは、電極720が次の差し込み位置まで単純に90°回転する場合に、差し込み交差位置において、1/4パターン電極720との配列のずれを生じる。すなわち、交互になっているピンの大きさを加工するための1/4パターン電極720は、180°回転させる(よって、それらの間にある90°の弧を飛ばす)場合にのみ、適切に整列する。この問題を解決するための1つの選択肢は、2つの異なる電極がダイ周囲の2つの対向する90°の弧を覆うように成形された、2つの異なる1/4パターン電極を使用することである。2つの特有の1/4パターン電極の使用は、配列の問題を解決するが、その解決法は、複雑性および次の費用:1)第2の電極の作製;および2)追加の工具の切り替えおよび第2の1/4パターン電極に必要とされる設置に起因する加工時間の増大、を加えることになる。追加の工程は、その工程に取り込まれるエラーの機会を増大することにもなる。
【0033】
したがって、本開示は、上記のダイ修正電極の配列の問題に対する解決を提供し、単一の1/4パターン電極720の使用を可能にする。1/4パターン電極720とダイ600との適切な配列は、次の差し込み位置に配置するときに、1/4パターン電極720の位置をオフセットすることによって達成される。図7Bおよび7Cを参照すると、このようなオフセットの可能な例の1つが示されている。特に、電極720は、電極720のウェブ704がダイ600の放出スロット502と連携するように、隣接した差し込み位置710a、710b、710cおよび710dから、1列以上内側または外側に移動する。1つの実施の形態では、図7A〜7Cに示すように、差し込み位置710a、710b、710cおよび710dは、1/4パターン電極720の両端がダイ600のピン500およびスロット502の方向に対して45°の角度で配置されるように、位置している。隣接した差し込み位置の間のオフセットは、4つの位置710a、710b、710c、710dのすべてについて、同一の1/4パターン電極720の使用を可能にする。図7Cに見られるように、電極720の両端は、隣接した差し込み位置に適合されるように、「ジグザグ」の形状が備わっている。
【0034】
ピン500を修正するため、ダイ修正電極700/720を使用して、ピン500の両端から材料を取り除く。図8は、複数のピン500(破線の箱500aの内側)が、ダイ修正プランジEDM法および本明細書に記載のダイ修正電極700に従って加工されている、ダイ600の一部分を示している。修正したピン500は、小さい寸法を有し、この結果、参照番号502aで指定される矢印が示すように、徐々に広がった放出スロット502を生じる。放出スロット502は、ダイ600の外周縁にまで延在する軸25に沿った方向に徐々に広がる(線602で指定される)。
【0035】
これまで本発明を限られた数の実施の形態に関して説明してきたが、本開示の利益を有する当業者は、本明細書の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱せずに、他の実施の形態を考案できることを認識するであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるべきである。
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、セラミックハニカム体、およびこれらハニカム体の製造方法に関する。さらに具体的には、本開示は、チャネルの大きさが交互し、壁厚が変化しているハニカム体製造用のハニカム押出ダイを製造するための放電加工(EDM)法に関する。
【背景技術】
【0002】
触媒基板および微粒子ろ過用途に用いられるハニカム体は、長手方向の相互接続したウェブによって画成された、長手方向の平行なチャネルを有するモノリス体からなる。ハニカム体は、典型的には、焼成後にコージエライト、チタン酸アルミニウムまたは炭化ケイ素などのセラミック材料を形成する、可塑化バッチ材料を押出成形することによって作られる。ハニカム体の製造に用いられる押出ダイは、相互接続したスロットによって画成された縦ピンの配列を含む吐出端を備えたダイ本体を有する。縦ピンの配列は、触媒基板および微粒子ろ過用途に有用な、長方形、三角形、または六角形などの任意の幾何学的形状を有するピンを含みうる。ダイ本体の入口端には、ダイ本体の基部から、相互接続したスロットまで延在する、バッチ材料をスロットに供給するために用いられる、送り孔が備わっている。押出ダイを使用してハニカム体を製造するため、可塑化バッチ材料が送り孔に供給され、相互接続したスロットを通じて押出成形される。相互接続したスロットを通じて押出成形されたバッチ材料は、ハニカム体の相互接続したウェブを形成する。
【0003】
一部の実施の形態では、押出ダイ・ピンは、吐出端全体にわたって均一な断面形状および大きさを有するが、他の実施の形態では、吐出端全体にわたり異なる断面形状または大きさを有するピンを採用する。一部の実施の形態では、相互接続したスロットは、吐出端全体にわたり均一な幅を有するが、他の実施の形態では、吐出端全体にわたって異なるまたは変化する幅を有する相互接続したスロットを採用する。
【0004】
ハニカム押出ダイは、一般に、プランジEDM法を使用して作製される。典型的なプランジEDM法では、所望のピン/スロット・パターンを有する成形電極が、誘電性流体の浴中で、押出ダイとなるであろうワークピースに対し、近接した間隔をおいて配置される。成形電極とワークピースとの間の薄いギャップにおける一連の繰り返し放電によって、ピン/スロット・パターンが、ワークピースに形成される。放電は、ワークピースを溶融し、電極のピン/スロット・パターンをワークピースに転写するのに十分な熱を発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さまざまなチャネルの大きさおよび壁厚を有するハニカム構造の製造は、特有の課題を提示し、このような構造の効率的製造には革新的な方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの態様はハニカム体を含む。本明細書に記載する1つの実施の形態では、ハニカム体は、ハニカム体の両端の間に延在する交差する内壁によって画成された、複数の平行なチャネルを備える。チャネルは、交互パターンで配列された不均等な断面寸法を有する。外周壁は、チャネルを取り囲み、内壁と相互接続される。チャネルは、外周壁に隣接する少なくとも1列のチャネルを含む第1の領域と、残りのチャネルを含む第2の領域とに分けられる。第1の領域における内壁は、外周壁にまで及ぶ軸に沿って増大する厚さを有する。
【0007】
本開示のさらなる態様はハニカム押出ダイを含む。1つの実施の形態では、ハニカム押出ダイには、入口面および入口面と反対側の吐出面を有するダイ本体が備わっている。複数の送り孔は、入口面からダイ本体まで延在し、放出スロットの交差する配列は、吐出面からダイ本体まで延在する。放出スロットの配列は、ダイ本体内の送り孔/スロットの交差位置で、送り孔と接続している。放出スロットの交差する配列は、複数のピンの2つの異なる断面積を画成し、前記複数のピンは、断面積が交互になっているピンの市松模様のマトリクスを形成する。放出スロットの幅は、ダイの外周縁まで延在する軸に沿って増大する。
【0008】
本開示のさらなる態様は押出ダイを製造する方法を含む。1つの実施の形態では、押出ダイを製造する方法は、ダイ・ブランクを提供し、第1のEDM電極をダイ・ブランクに差し込むことによって、ダイ・ブランクの表面に均一幅の複数の交差する放出スロットを有するダイ・パターンを形成する、各工程を有してなる。交差する放出スロットは、2つの異なる断面積を有する複数のダイ・ピンの側面を形成し、複数のダイ・ピンは、大きさが交互するピンの市松模様のマトリクスを形成する。ダイ・パターンは、ダイの周囲に隣接したスロットおよびピンを含む第1の領域と、ダイ・パターン内の残りのスロットおよびピンを含む第2の領域とに分けられる。ダイ・パターンの第1の領域は、第2のEDM電極をダイ・パターンの第1の領域に差し込むことによって修正される。
【0009】
追加の特性および利点は、以下の詳細な説明に記載され、一部には、その説明から当業者にとって容易に明らかになるであろうし、あるいは、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、ならびに添付の図面を含めた本明細書に記載する実施の形態を実施することによって認識されよう。
【0010】
前述の概要および後述する詳細な説明は、単に典型例であって、本発明の性質および特徴を理解するための外観または枠組みを提供することが意図されていることが理解されるべきである。添付の図面は、さらなる理解を提供することが意図されており、本明細書に取り込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は1つ以上の実施の形態を例証し、その説明と共に、さまざまな実施の形態の原理および動作を説明する役割をする。
【0011】
次に説明する添付の図面は、本発明の典型的な実施の形態を例証するものであって、他の同様に効果的な実施の形態およびそれらの特性を説明する開示について、限定すると見なされるべきではない。図面は、必ずしも一定の比率の縮尺ではなく、図面のある特定の特徴およびある特定の表示は、明瞭かつ簡潔にするために、規模または図式化に誇張が見られる場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】大きさが交互する入口および出口チャネルを有するハニカム物品の実例。
【図2】大きさが交互する入口および出口チャネルの1つの実施の形態を例証する、図1のハニカム物品の入口面の拡大部分。
【図3】壁がハニカム物品の外周縁に近づくにつれて変化(増大)する壁厚を例証する、図1のハニカム物品の断面部分。
【図4A】ワークピース上にダイ・パターンを形成するための複数の相互接続するウェブを有するプランジ電極の概略図。
【図4B】ワークピース上にダイ・パターンを形成するための電極差し込み位置。
【図5】押出ダイの一部の断面。
【図6】押出ダイ上で二次的EDM加工を行うダイ修正電極の概略図。
【図7A】押出ダイ上で二次的EDM加工を行う1/4パターンのダイ修正電極の概略図。
【図7B】ピンの大きさが交互になった適切な配列のための互いにオフセットする隣接した差し込み位置を伴う、ダイの全周囲を修正する際に、単一の1/4パターン電極が占める4つの異なる位置を例証する図。
【図7C】隣接した差し込み位置にある電極のオフセットを例証する、図7Bの1/4パターンのダイ修正電極の拡大部分。
【図8】ハニカム体の周囲に隣接した壁厚の増大を提供するためのダイ修正電極の一部。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面に例証される典型的な実施の形態について、詳細に説明する。実施の形態の説明における多くの具体的詳細は、読み手に完全な理解を提供するために記載される。しかしながら、これらの具体的詳細の一部またはすべては、必ずしも必要ではないことは、当業者には明らかであろう。他の事例では、周知の特性および/または工程段階については、典型的な実施の形態の態様を不必要に不明瞭にしないために、詳細に説明していない。同一または類似の部分についての言及には、図面全体を通じて、できる限り、同一の参照番号を用いている。
【0014】
2つの異なる水力直径を提供する2つの異なる断面寸法を有するセルチャネルを備えた、末端塞栓されたハニカム構造の上面図が、図1に例証されている。ハニカム10は、前面または入口端12、および入口端12の反対側の出口端(図示せず)を有する。入口セルチャネル14と出口セルチャネル16に分けられる複数のセルチャネルが、入口端と出口端の間に延在している。セルチャネルは、一般に、内部の多孔質の壁18によって形成された正方形の断面を有する。内壁18は、ハニカム10の入口および出口端の間に、実質的に長手方向に延在する。セルチャネル14、16は、入口セルチャネル14と出口セルチャネル16を交互に繰り返すように配列されて、小さいサイズと大きいサイズの交互のセルチャネルパターンを生じる。例証される実施の形態では、各入口セルチャネル14は、すべての側面が出口セルチャネル16に接しており、逆もまた同様になっている。外周壁20は、セルチャネル14、16および内壁18を取り囲む。外周壁20はまた、一般にハニカム10の「表皮」と称されるものを形成する。
【0015】
入口セルチャネル14および出口セルチャネル16は、入口端12または出口端のいずれかにおいて、それらの長さの一部に沿って塞栓される。図1および2では、入口端12が例証されており、塞栓された出口セルチャネル16が見られる。すなわち、入口セルチャネル14は入口端12では開放され、出口端では塞栓されている。逆に、出口セルチャネル16は、入口端12で塞栓され、出口端で開放されている。この「市松模様」の塞栓構成は、流体流れと構造体の多孔質壁のさらに緊密な接触を可能にする。排ガスの流体流れは、入口セルチャネル14を通じてハニカム10に流入し、その後、多孔性のセル壁18を通過し、出口セルチャネル16を通じてハニカム10の外に流出する。当然ながら、図示したものとは異なる塞栓パターンも利用して差し支えなく、一部の実施の形態では、部分フィルタを形成することを目的として、チャネル14、16の一部は、完全に閉塞されていなくてもよい。
【0016】
図2は、図1の小断面100の拡大図を例証しており、ハニカム10のセルチャネル14、16の大きさが交互する構造をさらに分かりやすく示している。内壁18の第1の部分は、入口14および出口16の両方のセルに共通している。参照番号18aで表されるこの部分は、出口セル16の全長に渡って存在するが、入口セル14の一部だけに存在する。内壁18の部分18aは、動作中に、エンジン排ガスが入口通路14から出口通路16までそこを通じて流れることを意味する、ろ過活性であることが好ましい。内壁18の残りの部分18bは、出口通路16と連通せずに入口通路14の部分と係合する。内壁部分18bは、動作中に、排ガスが入口通路14からそこを通じて流れ、出口通路16に達することがあまりないことを意味する、ろ過不活性であって差し支えない。しかしながら、一部の炭素および灰微粒子はその中に捕捉され、収集されうることに留意しなければならない。1つの実施の形態では、入口セルチャネル14の断面または水力直径は、出口セルチャネル16の水力直径より約1.1〜2.0倍大きい。別の実施の形態では、入口セルチャネル14の断面または水力直径は、出口セルチャネル16の水力直径より約1.3〜1.6倍大きい。1つの実施の形態では、ハニカム10は、約100〜300セル/平方インチ(15.5〜46.5セル/cm2)のセル密度を有するが、その範囲より大きいまたは小さいセル密度も意図されている。1つの実施の形態では、ハニカム10は、約0.001〜0.025インチ(0.25〜0.64mm)の壁厚を有するが、その範囲より大きいまたは小さい壁厚も意図されている。説明のため、図示するハニカム10の一部の特徴の大きさおよび割合は、大幅に誇張されており、正確な縮尺ではないことに留意すべきである。
【0017】
再び図1を参照すると、仮想線23は、セルチャネル14、16を第1の領域22と第2の領域24に適切に分ける分け方の説明のための一例として描かれている。特に、第1の領域22は、外周壁20に隣接したセルチャネル14、16を含み、第2の領域24は、中心軸21の方向に残りのセルチャネル14、16を含む。図1では、ハニカム10の特徴の相対的な大きさは歪められている(特に、セルチャネル14、16の大きさおよび数)。しかしながら、1つの実施の形態では、第1の領域22は、外周壁20に隣接した、少なくとも1列のチャネル14、16を含むが、他の実施の形態では、第1の領域22は、外周壁20に隣接して、4列より多く、7列より多く、10列より多く、または20列より多くのチャネルを含んで差し支えない。
【0018】
図3を参照すると、外周壁20に隣接したハニカム10の大幅な拡大部分が概略的に例証されている。図3に見られるように、第1の領域22のセル14、16は、内壁18が外周壁20に近づくにつれて厚くなるように、矢印25が示す、外周壁20の方に伸びる軸に沿って増大する壁厚を有する。1つの実施の形態では、第1の領域22の壁18の厚さは、例えば軸21近くなどの第2の領域24の壁18の厚さの1.01〜4倍またはそれ以上増大する。外周壁20近くの壁18の厚みの増大は、ハニカム10の耐熱衝撃性に有害な影響を及ぼさずに、ハニカム10にアイソスタティック強度の増大をもたらし、また、圧力損失における最低効果も有することが分かった。
【0019】
1つの実施の形態では、図3に示すように、フィレット26は、セルチャネル14、16の第1の領域22の壁18どうしの少なくとも接合部または交差位置に形成される。フィレットは、第2の領域24の壁18の接合部、および外周壁20を有する壁18の接合部にも形成される。1つの実施の形態では、壁18の接合部におけるフィレットは、第1および第2の領域22、24のものと同一のままであるが、セルチャネル14のフィレットの半径は、セルチャネル16のものとは異なっていて差し支えない。別の実施の形態では、外周壁20に近いフィレットは、ハニカム10の中心軸21の近くのフィレットの半径より大きい半径を有していてもよい。
【0020】
上記のように、大きさが交互になっているチャネルおよび外周壁20の近くで増大する壁厚を有するハニカム10を作製する適切な方法は、粉末化した原料の可塑化混合物を形成し、これを、セルチャネルの大きさが交互になっており、壁厚が変化しているハニカム体へと、ダイを通じて押出成形し、次に、随意的に乾燥し、塞栓したハニカムフィルタを形成するための既知の装置および方法を使用して焼成および塞栓する各工程を有してなる。塞栓ハニカムフィルタは、典型的には、耐熱性の弾性マットがフィルタの側壁と筐体の壁の間に配置されたフィルタ筐体内に、フィルタをぴったりと配置することによって、取り付けられる(例えば車載など)。筐体の両端には、排ガスを、ハニカムフィルタの交互に塞栓されたチャネルおよび、多孔質の壁内に導き、通すための入口および出口コーンが備わっていて差し支えない。
【0021】
上記のように、大きさが交互になっているチャネルおよび外周壁20の近くで増大する壁厚を有するハニカム10を作製するための押出ダイは、放出スロットによって分けられた、大きさが交互するピンを含む対応するピン配列を有し、ここで、放出スロットは、ダイの外周縁まで延在する軸に沿った方向に、徐々に広がる。このようなダイを作製するための方法の1つにプランジEDM法がある。
【0022】
図4Aおよび4Bを参照すると、プランジEDM法では、特徴のパターンを有する成形電極108が、最終的にダイになるワークピース102(時にはダイ・ブランクとも称される)に、それらの特徴を加工するために用いられる。プランジEDM法を行うための適切な放電電極108は、当技術分野で既知のように、移動ワイヤー放電加工(ワイヤーEDM)を使用して、銅−タングステン合金素地から形成することができる。電極108のための他の適切な材料としては、例えば、銀−タングステン、グラファイト、および銅−グラファイトが挙げられる。使用時、電極108は、ワークピース102の近くに配置され、電極108とワークピース102との間のギャップに放出される反復的な電荷を通して、電極108の特徴がワークピース102内に加工される。例えば、図4Aに示すように、相互接続したウェブの格子を有するハニカム押出ダイでは、成形電極108は、ハニカムパターンまたはハニカムパターンの一部を形成する、相互接続したウェブの格子を備えている。成形電極108は、複数の特徴(例えば、ピンおよびスロットの複数の列および段)を一度に形成するように構成される。一般に、成形電極108は、任意の所望の形状の特徴を有するパターンを形成するように構成されて差し支えない。一例を挙げれば、電極108によってワークピース102に形成されるパターンは、均一幅のスロットによって分けられた、大きさが交互するピン配列である。
【0023】
図4Aおよび4Bでは、電極108は、完全なダイ・パターン400の一部分である長方形の形状に対応して、全般的な長方形の形状を有するように示されている(図4B)。最終的なダイの大きさに応じて、電極108の幅は、ダイ・パターン400の全幅、ダイ・パターンの半幅、または幾つかのより小さい部分に対応していてもよい。図4Bは、ワークピース102上の差し込み位置402a〜402k(集合的差し込み位置402)を有する、ワークピース102上の完全なダイ・パターン400を例証している。図4Bには、11の差し込み位置402が例証されているが、任意の他の数の差し込み位置402を使用してもよい。差し込み位置402の数は、例えば、完全なダイ・パターン400の大きさおよび電極108の大きさに応じて決まる。
【0024】
図5は、上記のように、プランジEDM法を使用してワークピース102にピン500およびスロット502を形成した後のワークピース102の断面の典型的な図を示している。押出ダイの形成を完了するため、送り孔504をワークピース102に形成することができ、最終的なダイ600は、ワークピースから、任意の所望の形状(例えば、円形、楕円形、長方形など)に切断されて差し支えない。ワークピース102から切断された円形のダイ600が図6に例証されている。送り孔504は、可塑化バッチ材料をスロット502に供給し、そこを通じて押出成形できるようにするため、典型的には、ワークピース102の基部506からスロット502まで延在する。ピン500、スロット502、および送り孔504を備えたワークピース102は、他のハニカム押出ダイの鋳型としての役割をする。例えば、ピン500は、特定の用途にさらに適した他の幾何学的形状を達成するために必要に応じて修正して差し支えない。
【0025】
上述のEDMダイの製造法は、ダイの吐出面全体にわたり均一な幅の放出スロットを有するピン配列を有するダイを提供する。したがって、外周壁20に近づくにつれて厚さが増大する壁18を有するハニカム10を提供するため、ハニカム10の第2の領域24に対応するダイ位置の放出スロット502の幅を、さらに修正する必要がある。このような修正は、ダイ修正電極700を用いて二次的なダイ修正プランジEDM法を行うことにより達成されうる。
【0026】
放出スロット502の一部(すなわち、第2の領域24に対応する部分)のみが修正を必要とすることから、二次的プランジEDM法に用いられるダイ修正電極700は、修正が行われるダイの領域を包含することのみを必要とする。特に、ダイの外周縁に隣接した放出スロット502の拡張には、ダイの第2の領域24(外周壁20に隣接した)の複数のピンがダイ修正電極によってさらに加工されることが必要とされる。
【0027】
図6および7Aは、ダイ600および、本開示に従ったダイ修正電極700の実施の形態を概略的に示している。ダイ600には、成形電極108によってすでに加工されたピン500および放出スロット502が備わっている。ダイ修正電極700には、交差するウェブ704の網状組織によって形成された開口部702が備わっている。ウェブ704は、電極700の内縁708の反対側にある、電極700の外縁706に近づくにつれて、増大する幅を有する。ウェブ704の幅は、連続的または段階的に、ダイ600の周囲に、放出スロット502の公称(元の)厚さから所望の厚さに至るまで増大される。例えば、1つの実施の形態では、ウェブ704の幅(および対応するスロット502の幅)は、それぞれのその後のピン位置において所定の量(例えば、0.5ミル(0.0125mm)、0.75ミル(0.01875mm)、1ミル(0.025mm)、または任意の他の選択量)だけ増大される。1つの実施の形態では、ウェブ704が電極700の外縁706に達するにつれて、幅の増大はさらに大きくなる。例えば、電極700が10列のピン500を修正するように構成される場合、ウェブ704の幅は、第1の4つのピンのそれぞれについて0.5ミル(0.0125mm)ずつ、次の4つのピンのそれぞれについて0.75ミル(0.01875mm)ずつ、最終的な2つのピンについて1ミル(0.025mm)ずつ増大させて構わない。当然ながら、異なる距離およびピン数を用いた他のこのような例は、無限に構成可能である。
【0028】
ダイ修正プランジEDM法の間、ダイ600を固定保持すると同時に、電極700をピン500の配列まで下げる。電極700がピン500の配列内に下げられるときに、既存のスロット502より厚くなっているウェブ704が、ピン500のすべての側面から材料を除去する。交差するウェブ704の隅々にフィレットが充填される場合、材料はピン500の隅々から取り除かれる。結果として、既存のスロット502は、取り囲むピン500を狭くすることによって、より幅広くなるように加工される。そのように提供される場合、押出したハニカムにフィレットが生じるように、ウェブ704のフィレット充填された隅々は、ピン500の隅々を内径とする。修正を必要とするピン列の数に応じて、電極700の大きさ、開口部702の数およびウェブ704の厚さは、然るべく変化する。
【0029】
ダイ修正プランジEDM法は、ダイ600の入口または送り孔部分を多少なりとも変化させない、すなわち、必要とされるダイの入口部分にはいずれの変化も存在しない。この設計の加工されたダイから生産された押出したハニカム10の幾何学的形状は、ハニカム10の外周壁20に隣接するセルの領域において連続的に増大する壁の厚みと共に、大きさが交互になったチャネルを有する。
【0030】
図6の実施の形態において、ダイ修正電極700は、ダイ600の周囲全体を制限する単一の構造を含む。しかしながら、当業者は、多くの精密な機械加工工程が必要とされることに起因した、このような電極の作製における複雑性および高コストを認識することができよう。全360°のパターンを包含する単一の電極の創出は、あまりにも費用がかかり過ぎる可能性があり、高い可変性の危険性、および電極の製造プロセスの間の工具破壊、停電などの思いがけない混乱、ならびに人的ミスに起因する廃棄の危険性を含む。
【0031】
これらの理由によって、図7A〜7Cに例証される別の実施の形態では、ダイ修正電極700は、ダイ600の周囲全体が加工されるまで、差し込み、取り出し、回転および再び差し込む、1/4パターンの電極720を含む(すなわち、電極720は、ダイ600の周囲に90°の弧を限局する)。1/4パターンのダイ修正電極720は、上述の問題に対する費用効率が高い解決法である。
【0032】
しかしながら、ダイ600の交互になっているピンの大きさの理由から、1/4パターン電極/4回転プランジEDMダイ修正法は、1つの差し込み位置から次へと移動するときに、ピン500の大きさが交互する1/4パターンのダイ修正電極720における開口部の大きさが交互する整列に特有の課題を提示する。特に、ダイ600の交互になっている大チャネル/小チャネルのパターンは、電極720が次の差し込み位置まで単純に90°回転する場合に、差し込み交差位置において、1/4パターン電極720との配列のずれを生じる。すなわち、交互になっているピンの大きさを加工するための1/4パターン電極720は、180°回転させる(よって、それらの間にある90°の弧を飛ばす)場合にのみ、適切に整列する。この問題を解決するための1つの選択肢は、2つの異なる電極がダイ周囲の2つの対向する90°の弧を覆うように成形された、2つの異なる1/4パターン電極を使用することである。2つの特有の1/4パターン電極の使用は、配列の問題を解決するが、その解決法は、複雑性および次の費用:1)第2の電極の作製;および2)追加の工具の切り替えおよび第2の1/4パターン電極に必要とされる設置に起因する加工時間の増大、を加えることになる。追加の工程は、その工程に取り込まれるエラーの機会を増大することにもなる。
【0033】
したがって、本開示は、上記のダイ修正電極の配列の問題に対する解決を提供し、単一の1/4パターン電極720の使用を可能にする。1/4パターン電極720とダイ600との適切な配列は、次の差し込み位置に配置するときに、1/4パターン電極720の位置をオフセットすることによって達成される。図7Bおよび7Cを参照すると、このようなオフセットの可能な例の1つが示されている。特に、電極720は、電極720のウェブ704がダイ600の放出スロット502と連携するように、隣接した差し込み位置710a、710b、710cおよび710dから、1列以上内側または外側に移動する。1つの実施の形態では、図7A〜7Cに示すように、差し込み位置710a、710b、710cおよび710dは、1/4パターン電極720の両端がダイ600のピン500およびスロット502の方向に対して45°の角度で配置されるように、位置している。隣接した差し込み位置の間のオフセットは、4つの位置710a、710b、710c、710dのすべてについて、同一の1/4パターン電極720の使用を可能にする。図7Cに見られるように、電極720の両端は、隣接した差し込み位置に適合されるように、「ジグザグ」の形状が備わっている。
【0034】
ピン500を修正するため、ダイ修正電極700/720を使用して、ピン500の両端から材料を取り除く。図8は、複数のピン500(破線の箱500aの内側)が、ダイ修正プランジEDM法および本明細書に記載のダイ修正電極700に従って加工されている、ダイ600の一部分を示している。修正したピン500は、小さい寸法を有し、この結果、参照番号502aで指定される矢印が示すように、徐々に広がった放出スロット502を生じる。放出スロット502は、ダイ600の外周縁にまで延在する軸25に沿った方向に徐々に広がる(線602で指定される)。
【0035】
これまで本発明を限られた数の実施の形態に関して説明してきたが、本開示の利益を有する当業者は、本明細書の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱せずに、他の実施の形態を考案できることを認識するであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハニカム体の両端の間に延在する交差する内壁によって画成され、かつ、交互パターンで配列された不均等な断面寸法を有する、複数の平行なチャネルと、
前記チャネルを取り囲み、さらに前記内壁と相互接続している外周壁と、
を備えたハニカム体であって、
前記チャネルが、前記外周壁に隣接するチャネルを少なくとも1列含む第1の領域と、残りのチャネルを含む第2の領域とに分けられ、
前記第1の領域における内壁が、前記外周壁にまで及ぶ軸に沿って増大する厚さを有する、
ハニカム体。
【請求項2】
前記第1の領域が、前記外周壁に隣接した少なくとも4列のチャネルを含むことを特徴とする請求項1記載のハニカム体。
【請求項3】
前記第1の領域における内壁が、前記第2の領域における内壁厚の1.01〜4倍の厚さを有することを特徴とする請求項1記載のハニカム体。
【請求項4】
前記チャネルが、第1の断面積を有する入口チャネルと、第2の断面積を有する出口チャネルとを含み、
前記第2の断面積が、前記第1の断面積より小さく、前記入口および出口チャネルが交互パターンで配列され、
前記入口チャネルが前記ハニカム体の出口端において塞栓され、前記出口チャネルが前記ハニカム体の入口端において塞栓されている
ことを特徴とする請求項1記載のハニカム体。
【請求項5】
前記入口のセルが、前記出口のセルより1.1〜2倍大きい水力直径を有することを特徴とする請求項4記載のハニカム体。
【請求項1】
ハニカム体の両端の間に延在する交差する内壁によって画成され、かつ、交互パターンで配列された不均等な断面寸法を有する、複数の平行なチャネルと、
前記チャネルを取り囲み、さらに前記内壁と相互接続している外周壁と、
を備えたハニカム体であって、
前記チャネルが、前記外周壁に隣接するチャネルを少なくとも1列含む第1の領域と、残りのチャネルを含む第2の領域とに分けられ、
前記第1の領域における内壁が、前記外周壁にまで及ぶ軸に沿って増大する厚さを有する、
ハニカム体。
【請求項2】
前記第1の領域が、前記外周壁に隣接した少なくとも4列のチャネルを含むことを特徴とする請求項1記載のハニカム体。
【請求項3】
前記第1の領域における内壁が、前記第2の領域における内壁厚の1.01〜4倍の厚さを有することを特徴とする請求項1記載のハニカム体。
【請求項4】
前記チャネルが、第1の断面積を有する入口チャネルと、第2の断面積を有する出口チャネルとを含み、
前記第2の断面積が、前記第1の断面積より小さく、前記入口および出口チャネルが交互パターンで配列され、
前記入口チャネルが前記ハニカム体の出口端において塞栓され、前記出口チャネルが前記ハニカム体の入口端において塞栓されている
ことを特徴とする請求項1記載のハニカム体。
【請求項5】
前記入口のセルが、前記出口のセルより1.1〜2倍大きい水力直径を有することを特徴とする請求項4記載のハニカム体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【公開番号】特開2011−173421(P2011−173421A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−39697(P2011−39697)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【復代理人】
【識別番号】100116540
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 香
【復代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39697(P2011−39697)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【復代理人】
【識別番号】100116540
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 香
【復代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
【Fターム(参考)】
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