説明

セラミックハニカム流通体の細孔中へ触媒被覆を導入するための方法

本発明は、キャリヤー液中で、固形分として及び/又は溶解型で触媒構成成分を含む、触媒懸濁液でセラミックハニカム体を被覆する方法に関する。並行流路は、ハニカム体を介して伸長する。流路の壁は、開放細孔構造を有する。流路を、及び特に細孔の内部表面も触媒懸濁液で被覆するために、垂直に指向させたハニカム体の入口及び出口の面は、それぞれ穴あきマスクと接触され、その際該穴あきマスクは、1つの面上の穴あきマスクの開いている領域が、他面上の穴あきマスクの閉じている面と向かい合って、及び反対に配置される。従って、該触媒懸濁液は、上方の面に出るまで、ハニカム体中の下からポンピングされ又は吸い上げられる。従って、過剰の懸濁液は吹分け又は減圧することによって減少され、穴あきマスクとの接触は解除され、前記ハニカム体は、被覆を固定するためにか焼される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、触媒被覆を、固形として及び/又はキャリヤー液中で溶解された形で、触媒構成成分を含有する触媒懸濁液を使用して、セラミック製の流通ハニカム体の細孔中へ導入することができる方法に関する。被覆されたハニカム体は、有利には自動車排気ガスの脱硫のために使用される。
【0002】
被覆の形でハニカム体に適用される触媒は、何十年もの間、自動車排気ガスの脱硫のために使用されている。排気ガスのための並行流路は、ハニカム体を貫流する。セラミックハニカム体は、耐火材料から製造される。該材料は、主にコージエライト、マグネシウム−アルミニウムシリケートである。さらに、従来のセラミック材料は、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、ジルコニア−ムライト、ムライト、窒化ケイ素、チタン酸アルミニウム、及び酸化チタンである。前記ハニカム体は、押出によってこれらの材料から製造され、かつ一般的に開放細孔構造を有する。
【0003】
前記の流路は、入口の端面から出口の端面へハニカム体を貫流する。一般的に該流路は、正方形の断面を有し、かつハニカム体のその断面を覆って稠密な格子パターンで配列される。単位断面積毎の流路の数は、セル密度と言われ、かつ10〜200cm-2の範囲であってよい。
【0004】
前記ハニカム体の触媒被覆は、大抵、触媒構成成分の水性懸濁液を使用してハニカム体に適用される分散剤被覆である。この被覆は、しばしば薄め塗膜とも言われる。
【0005】
前記の触媒構成成分は、例えば、触媒活性のある構成成分、通常、白金族、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、及びルテニウムの貴金属が適用される、高表面積を有する粉状の担持材料を含有する。触媒懸濁液中の固体は、一般的に、ハニカム体に適用される前に、湿式粉砕によって均一化される。粉砕後に、該懸濁液の固体は、3〜5μmの範囲で、平均粒子サイズd50を有する。
【0006】
担持材料の例は、単一な及び複合の酸化物、例えば活性のある酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化セリウム又は他の希土酸化物、酸化ケイ素、酸化チタン、又はケイ酸塩、例えばケイ酸アルミニウム、又はチタン酸塩、例えばバリウムもしくはチタン酸アルミニウム、及びゼオライトである。酸化ケイ素及び酸化ランタンでドープすることによって、並びに酸化ジルコニウム及び酸化セリウムによっても、安定化されうる活性のある遷移酸化アルミニウムの種々の相は、特に耐熱担持材料として有用であることが見出されている。
【0007】
完成した触媒の触媒活性及びエイジング安定性は、一般的に、ハニカム体に対する触媒組成物の濃度が増加するにつれて大きくなる。実際には、適用に依存して、10〜300g/lが、要求される。しかしながら、最大の達成されうる濃度は、種々の理由のために触媒的に要求される濃度未満でありうる。従って、被覆の接着は、増加した粘度で減少し、かつ従って層は薄い。さらに、高い層の厚さは、流路の水力直径を低減し、かつ従って、触媒を通して排気ガスの逆圧(バンキング−アップ(banking−up)圧力)を増加する。
【0008】
適用の分野、例えば、ハニカム体の体積の1リットル毎に100〜200gの範囲での触媒の比較的少ない質量のみが反応に必要である、ディーゼル排気ガスにおける炭化水素及び一酸化炭素の酸化("ディーゼル酸化触媒")がある。合計の貴金属含有量を維持する間の触媒の質量におけるさらなる増加は、この場合におけるあらゆる活性の利点と関連しない。他の触媒反応において、例えば、酸化窒素の貯蔵及び還元("酸化窒素貯蔵触媒")、又はアンモニアによる酸化窒素の選択的な触媒還元("SCR触媒")、一方で、活性量における増加が所望されうるが、しかし被覆の接着及び完成した触媒を通るバンキング−アップ圧力に関する前記の問題のために、制限された範囲内でのみ可能である。
【0009】
US 5,334,570号は、触媒被覆をセラミックハニカム体の細孔中へ再配置することによって、高いバンキング−アップ圧力を低減することを提案している。この特許において使用されるセラミックハニカム体は、開放細孔率30〜45%、及び平均細孔直径3〜10μmを有した。0.001〜0.1μm、有利には0.001〜0.05μmの範囲のコロイド状粒子の直径を有し、かつ該ハニカム体と、対応するコロイド状被覆懸濁液とを接触する際に該ハニカム体の細孔中を貫通する触媒材料は、従って、触媒被覆に関して選択された。前記特許によって、該ハニカム体は、それらを被覆懸濁液に浸すことによって被覆懸濁液と接触された。この方法において、コロイド状薄め塗膜粒子の90〜95%が、ハニカム体の細孔中へ導入されることができ、その結果、流路の断面は、被覆によってほとんど低減されず、かつ従ってバンキング−アップ圧力は、取るに足りないだけ増加された。
【0010】
近年、著しく増加された多孔率約60〜65%及び平均細孔直径10〜20μmを有するセラミックハニカム体が、開発されている。本明細書の目的は、触媒粒子に対して浸透可能な流路の壁を製造することであり、その結果、後者は、流路表面上の層だけでなく、その壁の細孔系においても沈着することができた。この方法において、比較できる触媒の質量でのより薄い層の厚さ又は、逆に、同様の触媒の層の厚さでのより高い装填濃度が、達せられうる[Tao et al.、SAE 2004−01−1293]。
【0011】
ハニカム体を被覆するために、触媒活性のある、水不溶性の、粉状構成成分は、通常、水又は無機液体中で懸濁され、粉砕され、かつその下地は、続いて、懸濁液に浸すことによって、下地を覆って該懸濁液を注ぐことによって、又は該懸濁液を引き込むもしくはポンピングすることよって被覆される。
【0012】
本明細書で、前記の、新たに開発された多孔質ハニカム体を使用する場合に、触媒活性のある物質の一部は、実際に、該ハニカム体の細孔系中へ貫通し、かつそれらに付着される。しかしながら、これは、ハニカム体上で小さい範囲のみに付着された触媒の量を増加する。
【0013】
本発明の目的は、流量チャネルの外面とチャネル壁の細孔との双方を触媒で被覆させる、多孔質ハニカム体を被覆するための方法を提供することである。この方法において、ハニカム体を通過するバンキング−アップ圧力が増加されることなしに、通常の方法によって可能であるよりも、該ハニカム体を多量の触媒材料で被覆することが可能であるべきである。
【0014】
その方法は、開放細孔構造を有する流路壁によって互いに分離された並行流路が入口の端面から出口の端面まで延びていることによって、セラミックハニカム体を使用する。被覆は、キャリヤー液体中で懸濁された固体を含有する触媒懸濁液を使用して実施される。本発明の目的を達成するための方法は、以下の加工工程:
a)ハニカム体の2つの端面と、それぞれの場合において開いている及び閉じている領域を有する穴あきマスクとを接触する工程、その際前記該穴あきマスクが、一方の端面上の穴あきマスクの開いている領域が、他方の端面上の穴あきマスクの閉じている領域と向かい合うように配置され、
b)触媒懸濁液を、ハニカム体の一方の端面上の穴あきマスクを介して、該懸濁液が他方の端面上の穴あきマスクを介して出るまで、導入する工程、
c)あらゆる過剰の触媒懸濁液を吹き出す又は吸い出す工程、
d)穴あきマスクとの接触を解除する工程、並びに
e)被覆されたハニカム体をか焼する工程
を有する。
【0015】
本発明の目的のために、ハニカム体という用語は、流路が双方の末端で開いている流通ハニカム体を言う。本発明によって、それらの流路は、交互に、被覆の目的のための入口及び出口の端面において一時的に閉じているだけである。これは、隣接する流路が、交互に入口及び出口の端面において常時閉じている、壁流ハニカム体と比較する。
【0016】
最初の加工工程において、入口及び出口の端面は、それぞれ穴あきマスクによって覆われる。本明細書で、一つの穴あきマスクの開いている領域(穴)は、他の穴あきマスクの閉じている領域を反対に位置させる。
【0017】
被覆操作中に、向かい合う穴あきマスク間のハニカム体の装置は、ディーゼルの排気ガスからすすを除去するための壁流フィルターに類似している。隣接した流路を端面で代わりに閉じる壁流フィルターの場合と違って、良好な被覆の結果を得るためにハニカム体の多数の流路を覆うことが、それぞれ穴あきマスクの開いている及び閉じている領域のために十分であることが見出されている。これは、30cm-2より多いセル密度を有する、多くのセルを有するハニカム体の場合において特に有利であり、それというのも、それが、穴あきマスクに対する要求を減らすからである。さらに、前記流路は、穴あきマスクが、流路のセルパターンを有しなければならない場合に、穴あきマスクの穴に正確に整列される必要はない。
【0018】
しかしながら、低いセル密度を有するハニカム体の場合において、端面上の流路のパターンに配列されることが、穴あきマスクの穴に有利でありうる。しかしながら、穴あきマスクとハニカム体の端面とを接触させる流路で穴のパターンの正確な配置を確実にする。すなわち、穴あきマスクの開いている及び閉じている領域が、この場合において、互いに関連して、調整された流路が被覆中に交互に閉じるように配置される。この場合において、従って、2つの穴あきマスクは、穴の逆パターンを有する。
【0019】
2つの穴あきマスクの開いている及び閉じている領域は、異なる、しかし互いからの格子間隔で周期的なパターンで配置される。前記の開いている領域は、円径、正方形、長方形、六角形又はスリット形でありうる。1つの穴あきマスク上の穴の断面積は、他の端面上の穴とは異なりうる。これは、当業者に関して、ハニカム体の流路壁を介する流れを最適化することを可能にさせる。
【0020】
第二の加工工程において、触媒懸濁液は、ハニカム体の一方の端面上の穴あきマスクを通って、該懸濁液が他方の端面上の穴あきマスクを通して出るまで、導入される。この方法において、該触媒懸濁液は、一方の端面から他方へ得るために多孔質流路壁を介して通過させる。ハニカム体の細孔は、この方法において、触媒組成物で被覆される。
【0021】
さらなる加工工程において、過剰な触媒懸濁液は、吹き出す又は吸い出しされる。従って、穴あきマスクとの接触は、解除され、かつそのハニカム体は、その被覆を固定するためにか焼され、そして触媒構成成分をそれらの触媒活性型に転換する。
【0022】
触媒懸濁液のハニカム体への導入中に、該ハニカム体は、有利には、その流路が垂直であるように配置され、かつ該懸濁液は、上方の端面上の穴あきマスクを介して排出されるまで、該ハニカム体に、下方の端面上の穴あきマスクを介して導入される。この目的のために、触媒懸濁液は、圧入され、ポンプ圧入され、又はハニカム体に吸収される。
【0023】
被覆中に、穴あきマスクは、ハニカム体の端面に接し、かつ従って、あらゆる多数の機械的応力を受けない。それらは、従って、有利には、プラスチックから作られ、ハニカム体に対する損傷の危険度も低減する。前記マスクと接触しているハニカム体の端面に対する意図しない損傷に対する改良された保護は、穴あきマスクが、それらがハニカム体の端面と接触されている側面上で弾塑性膜で積層されている場合に、得られる。弾塑性膜は、穴あきマスクと端面との間の密封も改良し、かつ従って、マスクとハニカム体の間の液体の意図しない排出を低減する。
【0024】
ハニカム体を被覆するための従来の方法と対照的に、前記の方法は、触媒懸濁液を、被覆操作中に、流路壁の細孔系を介して流れさせる。この方法において、細孔の表面が、特に被覆される。被覆懸濁液中の固体の粒子サイズ分布に、及びハニカム体のセラミック材料の平均細孔直径に依存して、多かれ少なかれ、被覆懸濁液の顕著な濾過が起こる。従って、粒子サイズ分布の適切な選択は、細孔中で付着された被覆懸濁液と、流路壁上で付着された被覆懸濁液との測定された質量比を調整することを可能にする。しかしながら、できるだけ少ない所望された被覆濃度で壁の表面の被覆を維持するために、触媒懸濁液の高い割合を流路壁の細孔中に導入することが好ましい。適切な低い被覆濃度で、細孔における触媒組成物の全てを適応することがさらに可能である。
【0025】
一般的に、本発明の方法に関する開放細孔率を有する全ての多孔質ハニカム体を使用することが可能である。平均細孔サイズに依存して、被覆分散液の固体分は、対応して小さい粒子直径を有するべきである。触媒懸濁液中の固体分は、有利には、d90の粒子直径が、ハニカム体の平均細孔直径よりも小さくなるように細かく粉砕される。
【0026】
3〜10μmの範囲の平均細孔サイズの場合において、コロイド範囲(<1μm)の平均粒子直径を有する固体を使用することが好ましい。しかしながら、3〜5μm又は1〜3μmの範囲の平均粒子サイズd50を有する固体が、好適でもある。広い粒子サイズの範囲を有する固体、又は多様な粒子サイズ分布を有する固体も、使用されうる。従って、濾過は、被覆中に行われる:小さい粒子直径を有する粒子は、ハニカム体の細孔中で付着され、一方でより大きい粒子は、流路壁上で付着される。
【0027】
しかしながら、30〜90%の範囲の多孔率、及び10〜50μmの範囲の平均細孔直径を有する非常に多孔質なハニカム体を使用することが好ましい。被覆懸濁液の固体分の広い割合は、d90の固体粒子の直径が、ハニカム体の細孔の平均孔直径よりも小さい場合に、それらの細孔中へ導入されうる。
【0028】
本発明の方法は、標準のハニカム体との比較において、より触媒活性のある組成物を、相当する層の厚さで流路壁に、又は流路の相当する水力直径で担持体に適用させることを可能にする。
【0029】
被覆法を実施するために、例えば、出願人によって、WO 2004/091786号において記載されているように、被覆プラントを使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】被覆法を実施するための被覆装置を示す図。
【図2】下方及び上方の加工物ホルダーを有するハニカム体を示す図。
【図3】実施例による下方の加工物ホルダーの穴あきマスクを示す図。
【図4】実施例による上方の加工物ホルダーの穴あきマスクを示す図。
【0031】
次の実施例及び図は、本発明を説明する。図において、
図1は、被覆法を実施するための被覆装置を示し、
図2は、下方及び上方の加工物ホルダーを有するハニカム体を示し、
図3は、実施例による下方の加工物ホルダーの穴あきマスクを示し、
図4は、実施例による上方の加工物ホルダーの穴あきマスクを示す。
【0032】
被覆法を実施するために、例えば、出願人によって、WO 2004/091786号において記載されているように、被覆プラントを使用することが可能である。図1は、この被覆プラントの被覆装置を示す。該被覆装置は、加工物ホルダー(11)を、上方の末端で装着する、管状の下方部分を含む。触媒懸濁液を、貯蔵器からの管(14)によって前記の下方部分に供給する。該下方部分は、触媒懸濁液の導入中に弁(16)によって底部で封鎖される。該弁の下に、前記下方部分を、低大気圧の貯蔵器及びデミスターに接続する。
【0033】
被覆されるべきハニカム体(1)を、例えば左から被覆装置にもたらされ、かつ加工物ホルダー(11)に配置する。そして、溢流(13)を有する第二の加工物ホルダー(12)を、ハニカム体の上方の端面上に配置する。該加工物ホルダーは、触媒懸濁液をハニカム体と加工物ホルダーとの間の漏れから防ぐために、穴あきマスク及び可膨張性ゴムスリーブを含む。加工物ホルダーの配置を、図2における実施例の方法によって示す。
【0034】
被覆を実施するために、触媒懸濁液を、ハニカム体中に下方の端面によって閉じられる及び押される弁(16)を有する被覆装置の下方部分に、懸濁液が上方の端面において出るまで、ポンピングする。懸濁液の出口は、センサー(15)によって測定され、そして懸濁液のポンピングを終える。その後すぐに、弁(16)を開き、そして触媒懸濁液を、低大気圧の適用によってハニカム体から吸い出す。そのハニカム体を、被覆装置から取り、そして触媒懸濁液を固定するために乾燥及びか焼する。
【0035】
図2は、ハニカム体及び加工物ホルダーを詳細に示す。下方の加工物ホルダー(11)は、穴(25)を有する穴あきマスク(23)を含む。被覆を実施するために、ハニカム体を穴あきマスク(23)上に設置する。ハニカム体を、可膨張性ゴムスリーブ(21)によって液体の出口を密封する。上方の加工物ホルダーは、完全に類似した構造を有する。参照番号(24)は、穴(26)を有する上方の穴あきマスクを意味する。上方の穴あきマスクの穴を、下方の穴あきマスクの閉じている領域が、上方の穴あきマスクにおける穴と反対に配置されるように、下方の穴あきマスクの穴に関して埋め合わせる。
【0036】
穴あきマスク(23)及び(24)における穴は、流路の断面よりも大きくてよく、かつ従って、位置の面で、ハニカム体の流路に整列する必要がない。
【0037】
比較例:
コージエライトからなり、かつPt/酸化アルミニウム酸化触媒を有するハニカム体を、従来の方法で被覆した。該ハニカム体は、次の性質を有した:
直径: 12cm
長さ: 7cm
セル密度: 62cm-2
平均細孔直径: 25μm
【0038】
その触媒懸濁液は、42質量%の固体含有率を有した。該懸濁液の固形分を、被覆する前に19μm未満のd90粒子サイズを有する、3〜5μmの範囲の平均粒子サイズd50まで粉砕した。
【0039】
被覆されたハニカム体は、か焼後に120g/lの被覆を有した。
【0040】
実施例:
比較例と同様の特性を有する他のハニカム体を、本発明の方法によって比較例の触媒懸濁液で被覆した。
【0041】
下方の端面のための穴あきマスクとして、図3において示されるような穴を有する穴あきマスクを使用した。その穴(25)は、直径6mmを有し、かつ12mmの格子間隔を有する正方形格子に配列させた。ハニカム体の直径を、点線で示された円によって示す。該ハニカム体の流路の格子を、穴あきマスクの1つの穴で示す。穴あきマスクに関して選択された穴は、約18個の流路を覆う。
【0042】
上方の端面のための穴あきマスクとして、図4において示されるような穴を有する穴あきマスクを使用した。このマスクの穴は、直径3mmを有した。
【0043】
か焼後に、ハニカム体を、比較例のハニカム体よりも20%多い固形分で被覆した。このハニカム体の200(標準)m3/hの流量でのバンキング−アップ圧力は、比較例のハニカム体のバンキング−アップ圧力と異なっていない。
【0044】
これらの結果は、本発明の方法が、ハニカム体の細孔における触媒組成物の付着を改良し、かつ従って、バンキング−アップ圧力を低下することなく増加されるべき被覆濃度を可能にすることを示す。
【符号の説明】
【0045】
1 ハニカム体、 11 加工物ホルダー、 12 加工物ホルダー、 13 溢流、 14 管、 15 センサー、 16 弁、 21 可膨張性ゴムスリーブ、 22 可膨張性ゴムスリーブ、 23 穴あきマスク、 24 穴あきマスク、 25 穴、 26 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放細孔構造を有する流路壁によって互いに分離された複数の並行流路が2つの端面間に延びているセラミック製の流通ハニカム体の細孔中に触媒被覆を導入する方法であって、前記被覆を、キャリヤー液中に懸濁させた固体を含む触媒懸濁液を使用して実施する方法において、
a)ハニカム体の2つの端面と、それぞれの場合において開いている及び閉じている領域を有する穴あきマスクとを接触する工程、その際前記該穴あきマスクは、一方の端面上の穴あきマスクの開いている領域が、他方の端面上の穴あきマスクの閉じている領域と向かい合うように配置され、
b)触媒懸濁液を、ハニカム体の一方の端面上の穴あきマスクを介して、該懸濁液が他方の端面上の穴あきマスクを介して出るまで、導入する工程、
c)あらゆる過剰の触媒懸濁液を吹き出す又は吸い出す工程、
d)穴あきマスクとの接触を解除する工程、並びに
e)被覆されたハニカム体をか焼する工程
によって特徴付けられる方法。
【請求項2】
前記の2つの穴あきマスクの開いている及び閉じている領域が、格子間隔を有する種々のパターンで配列されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の穴あきマスクの開いている及び閉じている領域の面が、多数の流路を覆うことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
該穴あきマスクの開いている領域が、円径、正方形、長方形、六角形又はスリット形であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
該穴あきマスクの開いている及び閉じている領域が、流路の断面積に匹敵し、かつ被覆中に該流路が交互に閉じられるように配置されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
該穴あきマスクが、プラスチックからなることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
該穴あきマスクが、該マスクとハニカム体との間の液体の流出を防ぐように、該マスクがハニカム体の端面と接触する側面上で、弾塑性膜で積層されていることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記ハニカム体が、平均細孔直径10〜50μmで30〜90%の範囲の多孔率を有することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記懸濁液の固体の粒子サイズd90が、前記ハニカム体の細孔の平均細孔直径より小さいことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記の触媒懸濁液が、工程b)における圧入、ポンプ圧入、又は吸引によってハニカム体中に導入されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−521305(P2010−521305A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500215(P2010−500215)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【国際出願番号】PCT/EP2008/053214
【国際公開番号】WO2008/113801
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(501399500)ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト (139)
【氏名又は名称原語表記】Umicore AG & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Rodenbacher Chaussee 4,D−63457 Hanau,Germany
【Fターム(参考)】