説明

セラミックフィルタの製造方法

【課題】多孔質基材表面上に成膜されたセラミック多孔質膜の膜厚が薄く、均一で、膜剥離が少なく、高分離能のセラミックフィルタの製造方法を提供する。
【解決手段】MF膜上に平均細孔径の小さいUF膜を備えた多孔質基材4上に、セラミック成分濃度・水分濃度・固形成分の適正管理を行ったセラミックゾル21を用い、焼成回数を減少することで、セラミック多孔質膜の剥離頻度が低く、高分離能のセラミックフィルタを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセラミック多孔質膜が成膜されたセラミックフィルタの製造方法に関し、更に詳しくは、欠陥が少なく、膜厚が薄く、均一なセラミック多孔質膜の成膜を行うセラミックフィルタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、多孔質基材上にセラミック多孔質膜を成膜する方法は種々の方法が知られている。例えば、ホットコート法が知られている(非特許文献1を参照)。この方法は、加熱したチューブ基材の外表面に、セラミックゾルを含む布を用いチューブ基材に擦りつけて塗布することにより多孔質膜を成膜する方法である。
【0003】
チューブ形状や、円筒レンコン状のモノリス形状の多孔質基材の内表面にろ過成膜法により多孔質膜を形成する方法も公知である(特許文献1〜2を参照)。この方法は、多孔質基材のゾル液が接触する内表面側より外表面側を低圧に保持することにより、多孔質基材の内表面に多孔質膜を成膜する方法である。
【0004】
【特許文献1】特開平3−267129号公報
【特許文献2】特開昭61−238315号公報
【非特許文献1】Journal of Membrane Science,149(1988),127−135
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ホットコート法は、チューブ基材の表面全体を均一に成膜できないという問題がある他、チューブ基材の外表面しか成膜できない。またモノリス型基材には、適用できない。一方、ろ過成膜法では、成膜後の乾燥時に多孔質基材の細孔内に存在する溶媒が膜側に流れ出て膜剥がれが発生することがあり、その結果、焼成後の多孔質基材の内表面に形成される多孔質膜に欠陥が生じるという問題がある。また、ディップコート法は、モノリス型基材への適用ができるが、成膜回数が多い。
【0006】
本発明の課題は、セラミックゾルの多孔質基材への少ない付着回数で成膜され、欠陥が少なく、膜厚が薄く、均一なセラミック多孔質膜を有するセラミックフィルタの製造方法を提供することにある。特に、平均細孔径が1nm以下のセラミック多孔質膜が成膜されたセラミックフィルタの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明によれば、多孔質基材上に、セラミック成分濃度・水分濃度・固形成分を適正化したセラミックゾルを付着させ、そのセラミックゾルを送風にて乾燥し、その後焼成してセラミック多孔質膜を成膜することにより、上記課題を解決することができることを見出した。すなわち、本発明によれば、以下のセラミック多孔質膜が成膜されたセラミックフィルタの製造方法が提供される。
【0008】
[1]セラミック成分濃度が0.05〜0.7質量%のセラミックゾルを、多孔質基材の表面上にかけ、一部の前記セラミックゾルが自重により落下して前記多孔質基材の前記表面上から除去され、除去されない残部の前記セラミックゾルを前記多孔質基材の前記表面上に付着させた後、前記多孔質基材に付着した前記セラミックゾルを送風乾燥し、次いで焼成を行ってセラミック多孔質膜を成膜するセラミックフィルタの製造方法。
【0009】
[2]前記セラミックゾルの溶媒がエタノールである前記[1]に記載のセラミックフィルタの製造方法。
【0010】
[3]前記セラミックゾルの水分濃度が0.03〜3質量%である前記[1]または[2]に記載のセラミックフィルタの製造方法。
【0011】
[4]目開き10μmの篩を通過できる前記セラミックゾルを用いた前記[1]〜[3]のいずれかに記載のセラミックフィルタの製造方法。
【0012】
[5]前記セラミックゾルの前記多孔質基材の前記表面上への付着および送風乾燥を行う工程を複数回行った後、焼成を行う前記[1]〜[4]のいずれかに記載のセラミックフィルタの製造方法。
【0013】
[6]前記セラミック成分が、シリカ、チタニア、またはジルコニアである前記[1]〜[5]のいずれかに記載のセラミックフィルタの製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明のセラミックフィルタの製造方法は、セラミック成分濃度が0.05〜0.7質量%のセラミックゾルを多孔質基材の表面上に付着させ、そのセラミックゾルを送風によって乾燥させ、その後焼成する。前記セラミックフィルタの製造方法では、セラミック多孔質膜が密になり、平均細孔径が小さく成膜できる。これにより、膜剥離が少ないセラミック多孔質膜が成膜され、高分離能のセラミックフィルタを製造できる。また、セラミックゾルの多孔質基材への付着の方法では、多孔質基材が長くなった場合であっても、多孔質基材の上下でセラミックゾルの付着量の差がつきにくく、長さ方向で均質な膜を得ることができる。さらに、前記セラミックゾルの多孔質基材表面への付着及び送風乾燥を行う工程を複数回行った後、焼成を行うことで、焼成回数が削減され、セラミック多孔質膜の熱履歴が減少する。これにより、親水性が高く、透過量の高いセラミックフィルタを製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
【0016】
セラミック多孔質膜について詳細に説明する。セラミック多孔質膜は、例えば、セラミック多孔質基材の表面に薄膜を成膜したセラミックフィルタの形で用いられ、フィルターのろ過機能の中枢をなす部分である。図1に本発明のセラミックフィルタの製造方法によって成膜されるセラミック多孔質膜1及び多孔質基材4の一実施形態を示す。ここでは本発明のセラミックフィルタの製造方法の一実施形態として、精密濾過膜(MF膜)3上に平均細孔径が0.5〜20nmの限外濾過膜であるUF膜2が形成された多孔質基材4を用いて説明する。UF膜2としては、例えば、チタニアを採用することができる。なお、本件においてセラミック多孔質膜1の成膜とは、図1において1aないし1dが重層した符号1の層全体の形成をいう。付着とは、1aないし1dの各層を形成するためにセラミックゾルを多孔質基材4もしくは以前の工程で形成されたセラミック多孔質膜の表面上に接触させて、必要量を定着させることをいう。
【0017】
次に図2を用いて、本発明のセラミックフィルタの製造方法によってセラミック多孔質膜が成膜されたセラミックフィルタ11の一実施形態を説明する。本発明のセラミックフィルタの製造方法によってセラミック多孔質膜が成膜されたセラミックフィルタ11は、隔壁12により画成され軸方向の流体通路を形成する複数のセル13を有するモノリス形状を成している。本実施形態では、セル13は円形断面を有し、その内壁面に、図1に示したようなセラミック多孔質膜1が成膜されている。セル13は、六角形断面や四角形断面を有するように形成してもよい。このような構造によれば、例えば、混合体(例えば、水と酢酸)を入口側端面14からセル13に導入すると、その混合体を構成する一方が、セル13の内壁面に形成されたセラミック多孔質膜において分離され、多孔質の隔壁12を透過してセラミックフィルタ11の最外壁から排出されるため、混合体を分離することができる。つまり、セラミックフィルタ11に成膜されたセラミック多孔質膜は、分離膜として利用することができ、例えば、水とアルコールあるいは水と酢酸に対して高い分離特性を有する。
【0018】
本発明のセラミック多孔質膜1は、多孔質基材4の内周面(内壁面)に対して成膜するため、長さが50cm以上である比較的長尺の筒状の多孔質基材、又はレンコン状の形状の多孔質基材を好適に用いることができる。
【0019】
多孔質基材4について説明する。多孔質基材4は、押し出し成形等により多孔質材料からなる円柱形状のモノリス型フィルターエレメントとして形成される。多孔質材料としては、耐食性と温度変化によるろ過部の平均細孔径の変化が少ない点や充分な強度が得られる点から、例えば、アルミナを用いることができるが、アルミナ以外にコーディエライト、ムライト、炭化珪素等のセラミックス材料を使用することもできる。多孔質基材4は、セラミック多孔質膜1を成膜する面(最表面層)の平均細孔径が、好ましくは0.5〜20nm、より好ましくは0.5〜10nmの、平均細孔径が小さく多数の細孔を有する多孔質体であっても良い(図1の実施形態においては、UF膜2が上記範囲の最表面層を形成している)。
【0020】
前記多孔質基材4の表面に形成された平均細孔径が0.5〜20nmの限外濾過膜であるUF膜2について説明する。UF膜2は、MF膜3と比較して、その表面の凹凸が少ないという特徴を有する。そのため、UF膜2上にセラミック多孔質膜1を成膜した場合、セラミック多孔質膜1は、膜表面が平滑で、欠陥も少なく、薄く均一な膜とすることができる。即ち、高分離能、高透過速度、低コストのセラミックフィルタが作製可能となる。対して、MF膜3上に直接セラミック多孔質膜1を成膜した場合、図3Aないし図3Eに示すように、凹凸の多いMF膜3の全表面上をセラミック多孔質膜1で被覆するためには、セラミック層を厚く成膜する必要が生じ、セラミック多孔質膜1は低透過速度となる。また、クラックの発生を防止するには、セラッミクゾルの多孔質基材への付着は一度に薄く行う必要ある。そのため、図3Eに示すように、厚いセラミック層の成膜を要するMF膜3を最表面層とした多孔質基材は、セラミックゾルの付着工程の回数が増加して高コストとなる。加えて、図3Eに示すように、MF膜3の表面の凸部分6では、セラミック多孔質膜1が薄く、MF膜3の表面の凹部分5では、セラミック多孔質膜1が厚い様式で成膜される。したがって、MF膜3の表面の凹凸は、セラミック多孔質膜1の不均質及びクラック等の欠陥の原因となる。以上から、UF膜2の表面を多孔質基材の最表面層としてセラミック多孔質膜1が成膜されることが望ましい。
【0021】
次に、セラミックゾルの調製方法について、以下、セラミックゾルのセラミック成分としてシリカを用いた場合の実施形態を具体的一例として説明する。ただし、シリカの代わりにチタニア、あるいはジルコニアをセラミック成分とするセラミックゾルを用いることもできる。
【0022】
まず、シリカゾルのシリカ成分濃度について説明する。シリカ多孔質膜を成膜するためのシリカゾルを用意する。シリカゾルは、金属アルコキシドと共に硝酸の存在下で、5〜100℃にて1〜12時間加水分解してゾルとし、そのゾルをエタノールで希釈する。エタノール希釈後のシリカゾルのエタノール濃度は96質量%であることが好ましい。エタノールで希釈する代わりに水で希釈することも可能ではあるが、エタノールで希釈する方が、多孔質基材の表面上に薄く付着することができ、高透過速度のシリカ多孔質膜とすることができる。シリカゾル中のシリカ成分濃度は0.05〜0.7質量%となるように調整し、好ましくは0.1〜0.4質量%で調整すると、シリカ多孔質膜及びUF膜の剥離等の欠陥を抑制して成膜することが可能となり、薄く高分離能のシリカ多孔質膜を成膜できる。
【0023】
続いて、シリカゾル中の固形成分について説明する。シリカゾルは、目開き10μm以下の篩を通過させた後、多孔質基材に付着させると、シリカ多孔質膜及びUF膜の剥離等の欠陥が少なく、高分離能のシリカ多孔質膜が成膜できる。なお、前記篩処理を経ない従来法で成膜したシリカ多孔質膜は、粒径50μm程度のシリカ凝集塊がシリカ多孔質膜の表面上及び膜内部に埋没する様式で多数存在する。前記シリカ凝集塊が頻繁に観察されるシリカ多孔質膜は、膜剥離が高頻度で発生する傾向がある。
【0024】
次に、シリカゾルの水分濃度について説明する。シリカゾルは、水分濃度が0.03〜3質量%で使用することが好ましく、さらに好ましくは水分の濃度が0.03〜1.5質量%、特に好ましくは水分濃度が0.03〜1.0質量%であると、シリカ多孔質膜及びUF膜の剥離等の欠陥が少なく、薄く、均一で高分離能のシリカ多孔質膜を成膜できる。なお、水分濃度が1.0質量%より少ないシリカゾルを調製する際、シリカゾルは多孔質基材への付着前に脱水を行うと良い。例えば種々の乾燥剤(モレキュラーシーブス、シリカゲル等)によってシリカゾルを脱水する。好ましくはシリカゾルを吸着してしまう懸念のない、硫酸カルシウム等の水和物形成による乾燥剤を用いる。
【0025】
次に、本発明のセラミックフィルタの製造方法におけるセラミックゾルの多孔質基材への付着を説明する。図4Aに示すように、本発明においてセラミックゾルの多孔質基材への付着は、セラミックゾル21を多孔質基材4の表面上にかけ、一部の前記セラミックゾル21が自重により落下して前記多孔質基材4の前記表面上から除去され、除去されない残部の前記セラミックゾル21を前記多孔質基材4の前記表面上に付着させることで行う。セラミックゾル21を多孔質基材4上側からかけることにより接触させて付着させる方法は以下の理由からも好ましい。前記方法によれば、多孔質基材4の成膜面に対し水圧がかからないため、毛細管力によるUF膜内へのセラミックゾル21の染込みに留まり、MF膜へのセラミックゾル21の浸透が抑えられる。また、多孔質基材4が長くなった場合であっても、多孔質基材4の上部と下部との間でセラミックゾル21の付着量の差がつきにくく、長さ方向で均質な膜を得ることができる。なお、出願人は、セラミックゾルの多孔質基材の表面上への付着の方法について、先述のセラミックゾルを多孔質基材上にかけて付着させる方法が、ディップコート法と比較して、より高い分離能のセラミックフィルタの製造を実現することを見出し、既に出願している(特願2006−284400参照)。
【0026】
前記のセラミックゾル21を多孔質基材4上側からかけることにより接触させて付着させる方法について詳細に説明する。図4Aに示すように、多孔質基材4の外周面をマスキングテープ22でマスクする。例えば、広口ロート下端に上記多孔質基材4を固定し(図示せず)、多孔質基材4上部から前述のセラミックゾル21を流し込み、セル13内を通過させる。言い換えると、セル13の表面上にセラミックゾル21を付着させる。この後に、多孔質基材4を数回手で振り、余剰のセラミックゾル21を飛ばし、除去するとより好ましい。
【0027】
多孔質基材4上に付着したセラミックゾル21の乾燥の方法について説明する。多孔質基材4上に付着したセラミックゾル21の乾燥は、図4Bに示すように、ドライヤ等によりセル13内に風を送って乾燥させる。風の温度は好ましくは10〜80℃である。10℃よりも低い温度の風を通過させると、セル13表面に付着したセラミックゾル21の乾燥が進展しないため、密な膜が得られず、平均細孔径が大きい膜となってしまう。また、80℃よりも高い温度で温風を通過させると、膜面にクラックが発生しやすく、好ましくない。乾燥のための風がセル13内を通過する速度は、0.1〜100m/秒で行うとよい。風がセル13内を通過する速度が0.1m/秒以下だと、乾燥に要する時間が長くなりすぎ、また、風がセル13内を通過する速度が100m/秒以上だと、膜面にクラックが発生しやすく、好ましくない。このように、送風により乾燥を行うことにより、UF膜へセラミック多孔質膜が密に膜化する構造とすることができる。膜表面から溶媒が乾燥することが重要と考えられるため、外周面をマスクすることにより、セラミックゾル21に含まれる溶媒の多孔質基材4側からの蒸発を防止してもよい。
【0028】
セラミック多孔質膜の成膜は、前記多孔質基材4表面上へのセラミックゾル21の付着後、続けて前記乾燥して行う。
【0029】
セラミック多孔質膜の成膜において、前記の付着の回数は、セラミックゾル21のセラミック成分濃度に依存する。セラミックゾル21のセラミック成分濃度が、0.5〜0.7質量%の時は3〜5回、0.3〜0.5質量%の時は6〜8回、0.05〜0.3質量%の時は9〜13回のセラミックゾルの付着を行う。
【0030】
その後、100℃/hrにて昇温し、500℃で1時間保持した後、100℃/hrで降温する(以下この操作を焼成ということにする)。
【0031】
従来法のセラミック多孔質膜の成膜は、セラミックゾルの多孔質基材への付着、乾燥、及び焼成の順に連続した工程で行う。前記工程に関しては、セラミックゾルの多孔質基材表面上への付着と乾燥の工程を複数回行った後、焼成を行う方が、焼成の回数を減少できる。前記の付着と乾燥の工程を複数回行った後焼成をする場合、前記従来法の工程の場合と比較して、セラミック多孔質膜及びUF膜の剥離等の欠陥を抑制したセラミック多孔質膜の成膜が実現し、高分離能のセラミックフィルタが製造できる。付着と乾燥の工程を3回行った後焼成する場合の方が、付着と乾燥の工程を2回行った後焼成するよりも、セラミック多孔質膜の多孔質基材表面上からの剥離等の欠陥が減少し、高分離能のセラミックフィルタが製造できるため好ましい。また、焼成回数が削減され、セラミック多孔質膜の熱履歴が減少することで、親水性が高く、透過量の高いセラミックフィルタを製造できる。
【0032】
まとめると、(ア)多孔質基材に付着させるセラミックゾルのセラミック成分濃度の適正化を施すことで、薄く、均一で、膜剥離が少ないセラミック多孔質膜が成膜され、高分離能のセラミックフィルタが製造できる。更に、前記(ア)に加えて、(イ)セラミックゾル中の水分濃度の減少、(ウ)セラミックゾル中の凝集粒子の除去、及び(エ)焼成回数の減少、を組み合わせて併用した場合は、薄く、均一で、より膜剥離が少なく、透過量の高いセラミック多孔質膜が成膜され、さらに高分離能のセラミックフィルタが製造できる。前記(ア)ないし(エ)の組み合わせに関しては、前記(ア)ないし(エ)のうち、2つよりも3つ、3つよりも4つ全てを併用した製造方法によるセラミックフィルタの方が、より高分離能を有する。
【実施例】
【0033】
以下、本発明の製造方法を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。まず、本実施例で使用した多孔質基材、セラミックゾル及び、成膜の方法等について説明する。
【0034】
(実施例1)
(1)多孔質基材
平均細孔径が0.5〜20nmのUF膜2が形成されているモノリス形状(外径30mm,セル内径3mm×37セル,長さ80mm)の多孔質基材を用いた。尚、多孔質基材両端部はガラスにてシールした。
【0035】
本発明では、セラミック多孔質膜の成膜において、多孔質基材表面に付着させるセラミックゾルの条件、ならびにセラミックゾルの付着、乾燥及び焼成の工程を適正化することを課題としている。凹凸が少ないUF膜を多孔質基材の最表面層とした実施形態は、多孔質基材の性状のばらつきがセラミック多孔質膜の成膜に及ぼす影響を可能な限り排除できる点を留意して採用した。
【0036】
(2)セラミックゾル
実施例1においてセラミックゾルはシリカゾルとした。シリカゾルは、金属アルコキシドと共に硝酸の存在下で5〜100℃にて1〜12時間加水分解して得た。得られたシリカゾルをエタノールで希釈し、シリカ成分濃度が0.7質量%となるように調製した。なお、調製直後のシリカゾルの水分濃度は1質量%であった(水分濃度の測定はカールフィッシャー法による。)。なお、チタニアゾル(実施例22、比較例3を参照)、及びジルコニアゾル(実施例23、比較例4を参照)も前記と同様に調製した。
【0037】
(3)多孔質基材へのシリカゾルの付着
図4Aに示すように、試料(多孔質基材4)の外周側面をマスキングテープ22でシールした。広口ロート下端に多孔質基材4を固定し、多孔質基材4上部から60mlのシリカゾル21を流し込みセル13内を通過させた。内側壁の全体にシリカゾル21が付着したことを確認した。
【0038】
(4)乾燥
図4Bに示すように、シリカゾルを流し込んだ多孔質基材4のセル13内を室温の風が通過するようにドライヤを用いて1時間乾燥させた。
【0039】
(5)焼成
試料を100℃/hrにて昇温し、500℃で1時間保持した後、100℃/hrで降温した。前記(3)〜(5)を4回行い、実施例1を得た。なお、(3)は、同一のシリカゾル21を繰り返し使用した。4回目の(3)終了後の残存シリカゾル21の水分濃度は5質量%であった。
【0040】
(実施例2及び3)
実施例1のセラミックフィルタ製造方法において、実施例2はシリカ成分濃度が0.35質量%のシリカゾル21を用いて(3)〜(5)を8回行った。実施例3は、実施例1のセラミックフィルタ製造方法において、シリカ成分濃度が0.05質量%のシリカゾル21を用いて(3)〜(5)を13回行った。なお、(3)は、同一のシリカゾル21を繰り返し使用した。実施例2及び3ともに8回目の(3)終了後の残存シリカゾル21の水分濃度は5質量%であった。
【0041】
(実施例4〜6)
実施例1のセラミックフィルタ製造方法において、毎回(3)前にシリカゾル21は、目開き50μmの篩を通過させ、前記篩を通過したシリカゾル21を(3)に用いて実施例4を得た。実施例5は目開き10μm、実施例6は目開き1μmの篩を前記実施例4のセラミックフィルタ製造方法と同様に用いて得た。前記実施例4〜6は、前記の篩処理以外の工程は実施例1と同様である。実施例4〜6全てにおいて4回目の(3)終了後の残存シリカゾル21の水分濃度は5質量%であった。
【0042】
(実施例7)
実施例1のセラミックフィルタ製造方法において、毎回(3)終了後に残存シリカゾル21の水分濃度を測定した。前記測定で水分濃度が3質量%を越える場合には、シリカゾル21を新規調製して以降の(3)に用いて実施例7を得た。その他の工程は実施例1と同様である。
【0043】
(実施例8)
実施例1のセラミックフィルタ製造方法において、新規に調製した水分濃度が1質量%のシリカゾル21を毎回(3)に用いて実施例8を得た。その他の工程は実施例1と同様である。
【0044】
(実施例9)
実施例1のセラミックフィルタ製造方法において、新規に調製し、かつ、硫酸カルシウムで脱水した水分濃度が0.03質量%のシリカゾル21を毎回(3)に用いて実施例9を得た。その他の工程は実施例1と同様である。
【0045】
(実施例10〜13)
実施例8のセラミックフィルタ製造方法において、新規調製した水分濃度が1質量%のシリカゾル21を目開き1μmの篩を通過させた後に(3)に用いて実施例10を得た。その他の工程は実施例8と同様である。前記実施例10によるセラミックフィルタ製造方法において、実施例11はシリカ成分濃度が0.35質量%のシリカゾル21を用いて(3)〜(5)を8回、実施例12はシリカ成分濃度が0.14質量%のシリカゾル21を用いて(3)〜(5)を8回、実施例13はシリカ成分濃度が0.05質量%のシリカゾル21を用いて(3)〜(5)を13回、行って得た。
【0046】
(実施例14)
実施例10のセラミックフィルタ製造方法において、(3)及び(4)を2回行った後に(5)を行う工程を2回行って実施例14を得た。
【0047】
(実施例15及び16)
実施例14のセラミックフィルタ製造方法において、シリカゾル21のシリカ成分濃度を0.14質量%、ならびに(3)及び(4)を2回行った後に(5)を行う工程を4回として実施例15を得た。実施例14のセラミックフィルタ製造方法において、前記濃度を0.05質量%、ならびに(3)及び(4)を2回行った後に(5)行う工程を5回として実施例16を得た。
【0048】
(実施例17)
実施例11のセラミックフィルタ製造方法において、(3)及び(4)を3回行った後(5)を行う工程を2回行い、その後(3)及び(4)を2回行った後(5)を行うことで実施例17を得た。
【0049】
(実施例18)
実施例15のセラミックフィルタ製造方法において、(3)及び(4)を3回行った後に(5)を行う工程を3回行うことで実施例18を得た。
【0050】
(実施例19)
実施例16のセラミックフィルタ製造方法において、(3)及び(4)を3回行った後に(5)を行う工程を4回行い実施例19を得た。
【0051】
(実施例20)
実施例18のセラミックフィルタ製造方法において、(3)に用いるシリカゾル21を篩にかける工程を除いた方法により実施例20を得た。
【0052】
(実施例21)
実施例18のセラミックフィルタ製造方法において、同一のシリカゾル21を(3)に繰り返し使用して実施例21を得た。
【0053】
(実施例22及び23)
実施例18のセラミックフィルタ製造方法において、チタニアゾル21を用いて実施例22を、ジルコニアゾル21を用いて実施例23を得た。
【0054】
(比較例1及び2)
実施例1のセラミックフィルタ製造方法において、シリカ成分濃度が1.0質量%のシリカゾル21を用いて比較例1を、前記濃度を0.8質量%として比較例2を得た。
【0055】
(比較例3及び4)
比較例1のセラミックフィルタ製造方法において、チタニアゾル21を用いて比較例3を、ジルコニアゾル21を用いて比較例4を得た。
【0056】
実施例1〜23ならびに比較例1〜4について、70℃、90質量%のエタノールを、液流速10L/minでモノリスセル内に循環させ、モノリスの外側を2〜10Paの範囲に真空引きすることによる浸透気化分離試験を2時間行った、サンプリングは30分おきに4回実施した。実施例1〜23ならびに比較例1〜4の工程の概要を表1に示し、分離係数値及び透過量(Flux)を表2に示す。なお、透過量は、以下に記載した方法にて算出した。
【0057】
[Flux(kg/m・h)]:前記浸透気化分離試験において基材側面からの透過液を液体窒素トラップで捕集し、捕集した透過液量の質量をサンプリング時間と膜面積0.028mで割ることで透過係数を算出した。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
表2に示すように、(ア)セラミックゾルのセラミック成分濃度の適正化(1群〜8群)により、従来法の比較例1〜4より分離係数値の向上がみられる。さらに、前記(ア)に加えて、(イ)篩処理による凝集粒子のセラミックゾルからの除去(2群、4群〜6群、7群(実施例21のみ)、8群)、(ウ)セラミックゾルの水分濃度の管理(3群〜6群、7群(実施例20のみ)、8群)、及び(エ)焼成回数の減少(5群〜8群)を併用することで、より高い分離係数値を示すセラミックフィルタを製造できる。また、上記(ア)〜(エ)を2つ、3つ、4つと併用することで、より高い分離係数値を示すセラミックフィルタを製造することができる。
【0061】
実施例1〜3(1群)は、シリカゾルのシリカ成分濃度を0.7質量%以下として検証した。実施例1〜3は、比較例1、2と比較して2〜3倍の分離係数値を示した。シリカ成分濃度が0.05質量%の実施例3は、前記濃度が0.35質量%の実施例2と比較して低い分離係数値を示した。実施例1〜3の各試料のシリカ多孔質膜の表面を電子顕微鏡で観察した結果、実施例1〜3より得た膜表面は、比較例1、2で得た膜表面と比較して平滑で膜剥離の少ないことが判明した。対して、比較例1、2では、幅10〜100μmのUF膜の剥離が確認された。電子プローブX線マイクロアナライザー(EPMA)による膜表面の元素定性分析より、膜表面上のUF膜の剥離部位の周辺でのシリカ偏析を観察した。
【0062】
実施例4〜6(2群)は、シリカゾルの(ア)シリカ成分濃度の管理に、(イ)シリカゾルの篩処理を加えて検証した。実施例4〜6は、比較例1、2と比較して2.2〜2.8倍、同一シリカ成分濃度の実施例1と比較して1.1〜1.4倍の分離係数値を示した。実施例4〜6の各試料のシリカ多孔質膜の表面を電子顕微鏡で観察した結果、実施例5、6で得られた膜表面は、実施例1で得られた膜表面と比較して膜剥離が少ないことが判明した。実施例1で得られたシリカ多孔質膜1では、粒径50μm程度のシリカ凝集粒子がシリカ多孔質膜の層に埋没し、その周辺部でシリカ偏析と膜剥離が観察された。
【0063】
実施例7〜9(3群)は、シリカゾルの(ア)シリカ成分濃度の管理に、(ウ)シリカゾルの水分濃度の管理を加えて検証した。実施例7〜9は、比較例1、2と比較して2.4〜2.8倍、同一シリカ成分濃度の実施例1に比較して1.2〜1.4倍の分離係数値を示した。実施例7〜9の各試料のシリカ多孔質膜の表面を電子顕微鏡で観察した結果、実施例7〜9で得られた膜表面は、実施例1で得られた膜表面と比較して、膜剥離が少ないことが判明した。シリカゾルの水分濃度を低下させるほど、シリカ多孔質膜表面上のシリカ偏析の頻度が減少した。
【0064】
実施例10〜13(4群)は、シリカゾルの(ア)シリカ成分濃度及び(ウ)水分濃度の管理、ならびに(イ)篩処理の併用による効果を検証した。実施例10〜13は、比較例1、2と比較して3〜4倍の分離係数値を示した。シリカゾルのシリカ成分濃度0.7質量%及び水分濃度1%ならびに目開き1μmの篩処理をした実施例10と各項目で前記数値が同一となる1〜3群の実施例1、6及び8との分離係数値を比較検証する。実施例10は、(ア)シリカ成分濃度の管理のみを施した実施例1と比較して1.5倍、(ア)シリカ成分濃度の管理と(イ)篩処理を施した実施例6と比較して1.07倍、(ア)シリカ成分濃度と(ウ)水分濃度の管理を施した実施例8と比較して1.15倍の分離係数値を示した。実施例10〜13の各試料のシリカ多孔質膜の表面を電子顕微鏡で観察した結果、実施例10〜13で得られた膜表面は、実施例1〜9で得られた膜表面に比較して、膜剥離が少ないことが判明した。
【0065】
実施例14〜19(5群、6群)は、シリカゾルの(ア)シリカ成分濃度、(イ)篩処理及び(ウ)水分濃度の管理の併用に、(エ)焼成回数の減少を加えて検証した。実施例14〜16(5群)は、付着と乾燥の工程を2回行った後に焼成し、実施例17〜19は、付着と乾燥の工程を3回行った後に焼成した。よって、6群の実施例は、5群の実施例よりも、焼成回数をさらに減じている。実施例14〜16は、比較例1、2と比較して3.0〜3.6倍の分離係数値を示した。実施例17〜19は、比較例1、2と比較して4.0〜7.0倍の分離係数値を示した。特に実施例18では、今回の実施例の中で最も高い離係数値を示した。実施例14〜19の各試料のシリカ多孔質膜の表面を電子顕微鏡で観察した結果、実施例14〜19で得られた膜表面は、実施例10〜13で得られた膜表面に比較して、膜剥離が少ないことが判明した。シリカゾルの付着毎に焼成を行った実施例10〜13(4群)と、付着と乾燥工程を2回行った後に焼成を行った実施例14〜16(5群)及び付着と乾燥工程を3回行った後に焼成を行った実施例17〜19(6群)との透過量値を比較検証する。実施例14〜16は実施例10〜13と比較して、1.4〜2.2倍の透過量を示した。また、実施例17〜19は実施例10〜13と比較して、1.8〜2.2倍の透過量を示した。
【0066】
実施例20、21(7群)は、実施例18の条件から、実施例20は(イ)篩処理を除いて、実施例21は(ウ)シリカゾルの水分濃度の適正化を除いて検証した。実施例20、21は、実施例18と比較して、低い分離係数値を示した。各試料のシリカ多孔質膜の表面を電子顕微鏡で観察した結果、実施例20、21で得られた膜表面は、実施例18で得られた膜表面と比較して、膜剥離が多く観察された。このことから、セラミックフィルタ製造において、(イ)篩処理及び(ウ)シリカゾルの水分濃度の管理は、分離係数値の改善に共に必要される。
【0067】
実施例22、23(8群)は、それぞれチタニアゾル、ジルコニアゾルについて、(ア)セラミックゾル成分濃度、(イ)篩処理及び(ウ)水分濃度の管理の併用に、(エ)焼成回数の減少を加えて検証した。実施例22、23は、比較例3、4と比較して約6倍の分離係数値を示した。実施例22、23の各試料のセラミック多孔質膜1の表面を電子顕微鏡で観察した結果、実施例22、23で得られた膜表面は、比較例3、4で得られた膜表面に比較して、膜剥離が少ないことが判明した。また、実施例22、23は、比較例3、4と比較して約1.75倍の透過量を示した。
【0068】
以上の実施例をまとめると、セラミック多孔質膜が成膜されたセラミックフィルタの製造方法において、(ア)セラミックゾルのセラミック成分濃度の適正化は、セラミック多孔質膜の剥離発生が抑制され、高分離能のセラミックフィルタの製造に適している。さらに、前記(ア)に加えて、(イ)篩処理による凝集粒子のセラミックゾルからの除去、(ウ)セラミックゾルの水分濃度の管理、及び(エ)焼成回数の減少、を併用した場合は、前記(ア)単独の場合と比較してセラミック多孔質膜の剥離発生を抑制する効果が向上し、より高分離能かつ高透過性のセラミックフィルタが製造できる。特に、(ア)〜(エ)の全てを併用したセラミックフィルタの製造方法が、最適な条件であり、セラミック多孔質膜の剥離が優位に抑制された、高分離能かつ高透過性のセラミックフィルタの製造が実現された。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明によれば、セラミック多孔質膜の成膜において、多孔質基材に付着させるセラミックゾルのセラミック成分濃度の適正化、前記セラミックゾル中の粒径の大きい固形成分の除去、前記セラミックゾルの水分濃度の管理、焼成回数の減少、をすることで、セラミック多孔質膜の膜表面上が平滑で高分離能かつ高透過性のセラミックフィルタを安定的に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】セラミックフィルタの一実施形態を示す断面図である。
【図2】セラミックフィルタの一実施形態を示す斜視図である。
【図3A】UF膜を説明する図である。
【図3B】UF膜の表面上にセラミックゾルを1回付着させた場合の説明図である。
【図3C】UF膜の表面上にセラミックゾルを2回付着させた場合の説明図である。
【図3D】UF膜の表面上にセラミックゾルを3回付着させた場合の説明図である。
【図3E】UF膜の表面上にセラミックゾルを4回付着させた場合の説明図である。
【図4A】多孔質基材にセラミックゾルを付着させる方法の一例を概略的に示す概略図である。
【図4B】多孔質基材に付着したセラミックゾルを乾燥する方法の一例を概略的に示す概略図である。
【符号の説明】
【0071】
1:セラミック多孔質膜、1a:1回目の付着層、1b:2回目の付着層、1c:3回目の付着層、1d:4回目の付着層、2:UF膜、3:MF膜、4:多孔質基材(UF膜+MF膜)、5:MF膜の表面の凹部分、6:MF膜の表面の凸部分、11:セラミックフィルタ、12:隔壁、13:セル、14:入口側端面、21:セラミックゾル(シリカゾル)、22:マスキングテープ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック成分濃度が0.05〜0.7質量%のセラミックゾルを、多孔質基材の表面上にかけ、
一部の前記セラミックゾルが自重により落下して前記多孔質基材の前記表面上から除去され、除去されない残部の前記セラミックゾルを前記多孔質基材の前記表面上に付着させた後、
前記多孔質基材に付着した前記セラミックゾルを送風乾燥し、次いで焼成を行ってセラミック多孔質膜を成膜するセラミックフィルタの製造方法。
【請求項2】
前記セラミックゾルの溶媒がエタノールである請求項1に記載のセラミックフィルタの製造方法。
【請求項3】
前記セラミックゾルの水分濃度が0.03〜3質量%である請求項1または2に記載のセラミックフィルタの製造方法。
【請求項4】
目開き10μmの篩を通過できる前記セラミックゾルを用いた請求項1〜3のいずれか1項に記載のセラミックフィルタの製造方法。
【請求項5】
前記セラミックゾルの前記多孔質基材の前記表面上への付着および送風乾燥を行う工程を複数回行った後、焼成を行う請求項1〜4のいずれか1項に記載のセラミックフィルタの製造方法。
【請求項6】
前記セラミック成分が、シリカ、チタニア、またはジルコニアである請求項1〜5のいずれか1項に記載のセラミックフィルタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2009−241054(P2009−241054A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271801(P2008−271801)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】