説明

セラミックメタルハライド光源用の一体型点火器ベース

【課題】バラストが高電圧を供給する必要のない光源組立体を提供する。
【解決手段】PAR38光源組立体は、バラスト電圧を発生させるためのバラスト回路に接続されるPAR38ソケットを有する固定具と共に使用するためのものである。電気的絶縁ハウジングは、PAR38ねじ込みベースを支持し、また、CMHランプ及び回路基板を取り囲む。回路基板は、CMHランプを点火もしくは再点火するために高電圧を供給する。ハウジングは、反射器及びレンズを支持する。レンズ、反射器及びハウジングは、PAR38 ねじ込みベースが唯一の導電性部分となるように電気的絶縁エンクロージャを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、セラミックメタルハライド光源に関し、特に、光源を起動及び再起動するための内部高電圧回路を有するそのような光源に関する。
【背景技術】
【0002】
光源内のセラミックメタルハライド(CMH)ランプ等の高輝度放電(HID)装置は、通常、該装置を受け入れるための固定具内に配置されるバラスト(安定器)に接続される。バラストは、約3kVまで上げられる適度なバラスト電圧を印加し、CMHランプ内の気体に点火してランプを点灯させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一旦ランプが作動すると、ガスは熱くなる。該装置が電源を遮断されると、バラスト電圧を用いてガスに再点火し該装置を再始動させることは難しい。一般に、25kVを超える高い電圧が必要とされる。そのような高電圧をバラストを介して供給することは、安全上の問題を引き起こす。バラストが高電圧を供給することを要しない再点火及び再始動可能な装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一形態において、本発明は、バラスト電圧を発生させるためのバラスト回路に接続される標準ソケットを有する固定具(もしくは付属品)と共に使用するための、PAR38等の標準光源組組立体を備える。電気的絶縁ハウジングがPAR38ねじ込みベースを支持し、CMHランプ及び回路基板とを取り囲み、回路基板は該ランプを高電圧で点火もしくは再点火させるために高電圧を供給する。上記ハウジングは、反射器及びレンズを支持し、該反射器及びハウジングは、PAR38ねじ込みベースが唯一の導電性部分となるように電気的絶縁エンクロージャ(囲包体)を形成する。ランプを作動もしくは再作動させるための高電圧は、電気的絶縁ハウジング内に封じ込められ(閉じ込められ)、光源組立体の外部には高電圧は全く存在しない。
【0005】
他の目的及び特徴は、以下で部分的に明らかとなり、また部分的に指摘される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に従う回路の概略図である。
【図2】図2は、本発明の組み立てられた光源組立体の一実施形態の斜視図であり、該組立体のCMHランプを作動もしくは再作動させるための高電圧は、電気的絶縁ハウジング内に封じ込まれ、光源組立体の外部には高電圧は全く存在しない。
【図3】図3は、ベース内に配置される回路基板を示す本発明の組立体の一実施形態の分解斜視図である。
【図4】図4は、本発明の回路基板の一側面の一実施形態の平面図である。
【図5】図5は、本発明の回路基板の一側面の一実施形態の平面図である。
【0007】
図面全体にわたって対応参照文字は対応部分を表す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、放物面アルミニウム処理反射器(PAR)基準(例えば、PAR38)に適合するねじ込みベース(ねじ込み口金)及びソケット等の標準ソケットを有する光源内で電気的に絶縁される表面実装型コンデンサ及び電圧ダブラ(倍電圧器)を使用する。その結果、すべての高電圧は、光源のベース内で発生しかつ該ベース内に保たれる。
【0009】
図面を参照して、本発明の一実施形態として固定具と共に使用されるPAR38光源組立体100が例示される。参照記号J1-1及びJ1-2は、約1kVのバラスト電圧を発生させるためのバラスト回路(図示せず)に接続されたPAR38ソケット(図示せず)に連結するためのPAR38ねじ込みベース102に接続される入力部である。ねじ込みベース102は、該ねじ込みベースが上記ソケットに連結した時にバラスト電圧を伝える。例示されるセラミックメタルハライド(CMH)ランプ104は、出力部J2−1及びJ2−2に接続される。そのため、本発明の一側面は、点火回路112及びランプ104を相互に接続するCMHランプ104に電圧を印加するための2端子出力部J2−1、J2−2を備える。
【0010】
図1は、ランプ104を選択的に起動(始動)もしくは再起動するための、回路基板108上の開回路高電圧点火回路106を例示する。点火回路106は、高電圧過渡電流を低減するため、入力部J1−1及びJ1−2に接続されるクランピングダイオード110を含む。入力部J1−1及びJ1−2を介してねじ込みベースに接続される電圧倍増回路112は、約150Vrmsのバラスト電圧を受けて、該電圧を約1kVの増大(増倍)電圧へと増大(増倍)させる。金属フィルムコンデンサ等の蓄積コンデンサ114が、上記約1kVの増加電圧を蓄積し、また、変圧器116に接続される。変圧器116は、コンデンサ114が蓄積した該電圧を約25kVへと高める。変圧器116は出力部J2−1に接続され、これにより、変圧器116は電圧倍増器112とランプ104との間に来て、上記高められた電圧をランプ104を作動(印加)もしくは再作動させるために供給する。火花ギャップ装置118が変圧器116のタップ117の一つに接続される。火花ギャップ装置118は、ランプ104を起動(点火、作動)もしくは再起動(再点火、再作動)すべく、変圧器116を介してコンデンサ114の上記蓄積された増加電圧を選択的に放電するために変圧器116とコンデンサ114との間に接続される。火花ギャップ装置118は、ランプ104の電源を切断する時に発生するあらかじめ設定した放電電圧もしくは点火(放電開始)電圧で放電する。
【0011】
ランプ104が電源を切られ、かつ点火回路106が通電されると、電圧がコンデンサ114で高まり、変圧器116に印加される電圧を高める。変圧器116のタップに加えられる電圧が火花ギャップ装置118の点火電圧に等しくなるか又はこれを超えると、火花ギャップ装置118は放電し、これが変圧器116とコンデンサ114間の回路を閉じる。これは、変圧器116を通じてのコンデンサ114の放電をもたらし、これは、1kVから25kVへと電圧を高める。この増大した電圧はランプ104に印加され、該ランプを作動又は再作動させる。ランプが点火すると、これが出力部J2−1及びJ2−2における電圧を火花ギャップ装置118の点火電圧より下に低下する。
【0012】
電気的絶縁反射器120は、ランプ104を囲むと共に電気的絶縁レンズ122を支持し、電気的絶縁レンズ122は反射器120に連結し、これにより、反射器120及びレンズ122がランプ104を取り囲む。電気的絶縁ハウジングは、PAR38ねじ込みベースを支持し、また、CMHランプ104及び回路基板108を取り囲む。ハウジング124はまた、反射器120及びレンズ122を支持する。レンズ122、反射器120及びハウジング124は、電気的絶縁エンクロージャを形成し、そのため、PAR38ねじ込みベース102が唯一の導電性部分である。
【0013】
図2は、本発明の組み立てられた光源組立体100の一実施形態の斜視図である。組立体100のCMHランプ104を作動もしくは再作動させるためのすべての高電圧は、電気的に絶縁されたハウジング124内に含められ(閉じ込められ/封じ込められ)、光源組立体100の外部に高電圧は全く無い。
【0014】
図3に示すように、一実施形態において、光源組立体100のハウジング124は、図1の回路を含む回路基板108及びその構成要素を受け入れるための円錐形非導電ベース130を含む。その結果、円錐形ベース130はエンクロージャを規定し、該エンクロージャ内で回路基板108及び回路基板108上の実質的にすべての構成要素が取り囲まれる。円錐形非導電ベース130は組立体100を支持するように構成され、これにより、回路基板108はベース130に連結する。
【0015】
光源組立体100の一実施形態において、ベース130は、回路基板108を支持する非導電プラスチックスリーブを備える。ディスク144は、該回路基板を反射器120に対し所定の位置に保持するために、反射器120と回路基板108との間に配置され得る。
【0016】
コンデンサ114及び変圧器116をランプ104に非常に近くに取り付けることは、電圧のロスを最小にすると共に、より高い再起動電圧が固定具内のバラストにより発生した場合にともすれば生じる可能性があるいかなるアークをも最小にする。一実施形態において、ランプ104は、回路基板108に物理的に連結しかつ電気的に接触し、コンデンサ114及び変圧器116を支持して電圧ロス及びアークを最小にする。
【0017】
次の表1は、回路基板108上に取り付けるための図1の回路のための部品表の好ましい一実施形態を例示する。
【0018】
【表1】

【0019】
図4及び5は、回路基板108の第一側面136及び第2側面142をそれぞれ例示する。第1側面136は変圧器116を含む。第2側面142は、蓄積コンデンサ114及び火花ギャップ装置118、並びに電圧倍増回路112のための構成要素を含む。変圧器116を除く全構成要素が第2側面142上に配置されて変圧器116のみが第1側面136上にあることが一実施形態において企図されるが、残りの構成要素(抵抗器及びダイオード等)はいずれの側面上にも配置され得る。
【0020】
本発明を詳細に説明したが、特許請求の範囲に定義した本発明の範囲から逸脱することなく変更及び変形が可能であることは明らかである。
【0021】
本発明又は本発明の好ましい実施形態の構成要素を導入する場合、「a」、「an」、「the」及び「said」は、一つ又は複数の構成要素が存在することを意味することが企図される。用語「備える(comprising)」、「含む(including)」及び「有する(having)」は、列記された構成要素以外に追加の構成要素があり得ることを意味することが企図される。
【0022】
上記から、本発明のいくつかの目的が成就し、他の有利の効果が得られることが理解される。
【0023】
本発明の範囲から逸脱することなく、上記構成、製品及び方法において種々の変更がなされ得るので、上記説明に含まれ図面に示されるすべての事項は、限定的な意味ではなく、例示として解釈される。
【符号の説明】
【0024】
100 PAR38光源組立体
102 PAR38ねじ込みベース
104 セラミックメタルハライド(CMH)ランプ
106 点火回路
108 回路基板
112 電圧倍増回路
114 コンデンサ
116 変圧器
118 火花ギャップ装置
120 電気的絶縁反射器
122 電気的絶縁レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バラスト電圧を発生させるためのバラスト回路に接続されるソケットを有する固定具と共に使用するための光源組立体であって、
セラミックメタルハライド(CMH)ランプと、
前記ソケットに連結するための、及びバラスト回路に電気的に接続するためのねじ込みベースにして、該ねじ込みベースが該ソケットに連結する時にバラスト電圧を伝えるためのねじ込みベースと、
バラスト電圧を受けるためにねじ込みベースに電気的に接続される点火回路が取り付けられた回路基板にして、該点火回路がCMHランプを高電圧で選択的に作動もしくは再作動させるために該CMHランプに電気的に接続される回路基板と、
CMHランプを受ける電気的絶縁反射器と、
電気的絶縁レンズにして、前記反射器及び該レンズがCMHランプを取り囲むように該反射器によって支持される電気的絶縁レンズと、
ねじ込みベースを支持すると共にCMHランプ及び回路基板を取り囲むための電気的絶縁ハウジングにして、該ハウジングが前記反射器及びレンズを支持し、ねじ込みベースが唯一の導電性部分となるように該レンズ、反射器及びハウジングが電気的絶縁エンクロージャを形成し、CMHランプを作動もしくは再作動させるための高電圧が電気的絶縁ハウジング内に封じ込められて、該光源組立体の外部に高電圧が存在しない電気的絶縁ハウジングとを備える光源組立体。
【請求項2】
前記点火回路は、
ねじ込みベースに接続されかつバラスト電圧を受ける電圧倍増回路にして、該バラスト電圧を増大電圧へと増大させるための電圧倍増回路と、
前記増大電圧を蓄積するため、電圧倍増回路に接続されるコンデンサと、
コンデンサが蓄積した前記増大電圧を昇圧すると共に、該昇圧した電圧をCMHランプに印加するため、電圧倍増回路とCMHランプとの間に接続される変圧器と、
コンデンサにおける蓄積された増大圧力を変圧器を介して選択的に放電してCMHランプに点火もしくは再点火するため、変圧器とコンデンサとの間に接続される火花ギャップ装置とを備える請求項1の光源組立体。
【請求項3】
前記回路基板は第1側面及び第2側面を有し、変圧器は回路基板の第1側面にあり、コンデンサ及び火花ギャップ装置は回路基板の第2側面にある請求項2の光源組立体。
【請求項4】
前記ハウジングは円錐形非導電ベースを備え、回路基板は該円錐形非導電ベース内に取り囲まれる請求項2の光源組立体。
【請求項5】
前記円錐形非導電ベースは、回路基板を支持するプラスチックハウジングスリーブを含む請求項4の光源組立体。
【請求項6】
前記回路基板は第1側面及び第2側面を有し、変圧器は回路基板の第1側面にあり、コンデンサ及び火花ギャップ装置は回路基板の第2側面にある請求項5の光源組立体。
【請求項7】
前記ハウジングは円錐形非導電ベースを備え、回路基板は該円錐形非導電ベース内に取り囲まれる請求項1の光源組立体。
【請求項8】
前記ねじ込みベース及びソケットは、放物面アルミニウム処理反射器(PAR)基準に適合するねじ込みベース及びソケットであり、二つの端子のみが点火回路とCMHランプとを相互接続する請求項1の光源組立体。
【請求項9】
前記ねじ込みベースはPAR38ねじ込みベースであり、前記ソケットはPAR38ソケットである請求項8の光源組立体。
【請求項10】
バラスト電圧を発生させるためのバラスト回路に接続されるソケットを有する固定具と共に使用するための光源組立体のための点火回路であって、
前記光源組立体は、
セラミックメタルハライド(CMH)ランプと、
前記ソケットに連結するための、及びバラスト回路に電気的に接続するためのねじ込みベースにして、該ねじ込みベースが該ソケットに連結する時にバラスト電圧を伝えるためのねじ込みベースとを含み、
該点火回路は回路基板を備え、該回路基板には、
ねじ込みベースとの接続のための、及びバラスト電圧を受けるため電圧倍増回路にして、該バラスト電圧を増大電圧へと増大させるための電圧倍増回路と、
前記増大電圧を蓄積するため、電圧倍増回路に接続されるコンデンサと、
電圧倍増回路に接続される変圧器にして、コンデンサが蓄積した前記増大電圧を昇圧すると共に、該昇圧した電圧をCMHランプに印加するため、CMHランプに接続するための変圧器と、
前記蓄積された増大圧力を選択的に放電してCMHランプに点火もしくは再点火するため、変圧器とコンデンサとの間に接続される火花ギャップ装置にして、CMHランプを作動もしくは再作動させるための高電圧が電気的絶縁ハウジング内に封じ込められて、前記光源組立体の外部に高電圧が存在しない火花ギャップ装置とが取り付けられる点火回路。
【請求項11】
前記回路基板は第1側面及び第2側面を有し、変圧器は回路基板の第1側面にあり、コンデンサ及び火花ギャップ装置は回路基板の第2側面にある請求項10の点火回路。
【請求項12】
前記ハウジングは円錐形非導電ベースを備え、回路基板は該円錐形非導電ベース内に取り囲まれる請求項11の点火回路。
【請求項13】
前記円錐形非導電ベースは、回路基板を支持するプラスチックハウジングスリーブを含む請求項12の点火回路。
【請求項14】
前記回路基板は第1側面及び第2側面を有し、変圧器は回路基板の第1側面にあり、コンデンサ及び火花ギャップ装置は回路基板の第2側面にある請求項13の点火回路。
【請求項15】
前記ハウジングは円錐形非導電ベースを備え、回路基板は該円錐形非導電ベース内に取り囲まれる請求項14の点火回路。
【請求項16】
前記ねじ込みベース及びソケットは、放物面アルミニウム処理反射器(PAR)基準に適合するねじ込みベース及びソケットであり、二つの端子のみが点火回路とCMHランプとを相互接続する請求項15の点火回路。
【請求項17】
前記ねじ込みベースはPAR38ねじ込みベースであり、前記ソケットはPAR38ソケットである請求項16の点火回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−67604(P2010−67604A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201584(P2009−201584)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(394001685)オスラム・シルバニア・インコーポレイテッド (68)
【Fターム(参考)】