説明

セラミック製反響板を使用した管楽器用タンポ

【課題】 特にセラミック製反響板を使用した管楽器用タンポを提供する。
【解決手段】 本発明のセラミック製反響板を使用した管楽器用タンポは、フェルト(12)と、前記フェルト(12)の一側に貼り合わされる紙パッド(13)と、前記フェルト(12)と紙パッド(13)の外周縁にカバーされる皮カバー(14)と、前記皮カバー(14)上に取付けられる反響板(16)と、前記反響板(16)、皮カバー(14)、フェルト(12)及び紙パッド(13)を貫通し、各部材を固定する留め具(18)とを有する管楽器用タンポであって、前記反響板(16)がセラミック製であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にセラミック製反響板を使用した管楽器用タンポに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の管楽器は、一般に複数のトーンホールを有し、その1つ又は複数のトーンホールを塞ぐことにより、異なる音色を出すものである。
【0003】
図4及び図5に示すように、従来の管楽器は、トーンホール(22)と対応する複数のキーカップ(20)が設けられ、該各キーカップ(20)内にトーンホール(22)を塞ぐタンポ(40)が設けられる。故に、演奏者は、キーを押圧してキーカップ(20)のタンポ(40)によりトーンホール(22)を塞げば、音を出すことができる。
【0004】
また、図6に示すように、従来の管楽器に設けられるタンポ(40)は、羊毛などから製造されるフェルト(42)、紙パッド(43)、皮カバー(44)、金属或いはプラスチックから成る円形体の反響板(46)及び留め具(48)から成り、該フェルト(42)の一側に紙パッド(43)が貼り付けられ、該フェルト(42)と紙パッド(43)の外周縁に皮から成る皮カバー(44)がカバーされると共に、該皮カバー(44)上における、トーンホール(22)と対応する位置に留め具(48)により反響板(46)が取付けられる。故に、演奏者がキーを押圧してキーカップ(20)のタンポ(40)によりトーンホール(22)を塞ぐと、反響板(46)がトーンホール(22)中に進入し、空気の流れを変えることによって音程を作り出すことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の管楽器用タンポ(40)における金属製の反響板(46)は、酸化により錆び易く、若し金属製の反響板(46)が錆びてしまうと、反響板(46)においての空気の流れや共振効果に悪影響を及ぼし、管楽器特有の音色を出すことができなくなると同時に、皮カバー(44)が汚染或いは破損してタンポ(40)の寿命を縮めてしまうことになる。一方、プラスチック製の反響板(46)は、柔軟性を有する材質であるため、共振効果に優れないという欠点を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第1発明は、フェルト(12)と、前記フェルト(12)の一側に貼り合わされる紙パッド(13)と、前記フェルト(12)と紙パッド(13)の外周縁にカバーされる皮カバー(14)と、前記皮カバー(14)上に取付けられる反響板(16)と、前記反響板(16)、皮カバー(14)、フェルト(12)及び紙パッド(13)を貫通し、各部材を固定する留め具(18)とを有する管楽器用タンポであって、前記反響板(16)がセラミック製であることを特徴とするセラミック製反響板を使用した管楽器用タンポを提供する。
本願の第2発明は、前記反響板(16)の表面が弧状であることを特徴とする前記第1発明に記載のセラミック製反響板を使用した管楽器用タンポを提供する。
本願の第3発明は、前記反響板(16)の中央に凹部(162)が形成され、該凹部(162)の中央に留め具(18)を受入れるための貫通孔(164)が形成されると共に、該留め具(18)の一端に反響板(16)の凹部(162)内に収容され、反響板(16)における弧状の表面と組合わされる弧状のヘッド部(182)が設けられることを特徴とする前記第2発明に記載のセラミック製反響板を使用した管楽器用タンポを提供する。
【発明の効果】
【0007】
上述したように、本発明は、フェルトと、前記フェルトの一側に貼り合わされる紙パッドと、前記フェルトと紙パッドの外周縁にカバーされる皮カバーと、前記皮カバー上に取付けられるセラミック製の反響板と、前記反響板、皮カバー、フェルト及び紙パッドを貫通し、各部材を固定する留め具とから成るので、優れた共振効果により好ましい音色を出すことができると共に、セラミック製の反響板は酸化により錆びることがないことから、皮カバーが汚染或いは破損することがなく、好ましい空気の流れを作り出すことができるので、素晴らしい音色を得ることができると共に、使用寿命も延ばすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0009】
図1は本発明に係るセラミック製反響板を使用した管楽器用タンポの部分断面斜視図であり、図2は本発明に係るセラミック製反響板を使用した管楽器用タンポの分解斜視図であり、図3は本発明に係るセラミック製反響板を使用した管楽器用タンポの側面断面図である。
【0010】
図1乃至図3に示すように、本発明のセラミック製反響板を使用した管楽器用タンポ(10)は、フェルト(12)、紙パッド(13)、皮カバー(14)、反響板(16)及び留め具(18)を有し、その内フェルト(12)は、一般に羊毛などから製造される円形体であり、その中央に貫通孔(122)が形成され、前記紙パッド(13)は、円形体であると共に、フェルト(12)の一側に貼り付けられ、その中央に貫通孔(132)が形成され、前記皮カバー(14)は、皮製であると共に、フェルト(12)と紙パッド(13)の外周縁にカバーされ、その中央に貫通孔(142)が形成され、前記反響板(16)は、セラミック製であると共に、皮カバー(14)上における、楽器のトーンホール(22)と対応する位置に留め具(18)により取付けられる。
【0011】
更に、前記反響板(16)の表面は弧状を呈し、その中央に凹部(162)が形成され、該凹部(162)の中央に貫通孔(164)が形成されるので、タンポ(10)を組立てる時は、単に留め具(18)を反射板(16)、皮カバー(14)、フェルト(12)及び紙パッド(13)における凹部(162)、貫通孔(142,122,132)に貫通させて各部材を強固に結合させ、その後、楽器のトーンホール(22)を塞ぐためのタンポ(10)をキーカップ(20)に装着すればよい。
【0012】
上述したように、本発明の管楽器用タンポにおけるセラミック製の反響板(16)は、適当な硬さを有することから、優れた共振効果を得ることができるので、楽器から素晴らしい音色を出すことができると共に、セラミック製の反響板(16)は酸化により錆びることがないことから、皮カバー(14)が汚染或いは破損することがなく、好ましい空気の流れを維持することができるので、使用寿命も延ばすことができる。更に本発明によればタンポ(10)の空気の流れを好ましい状態にするために、留め具(18)の一端に反響板(16)の弧状の表面と対応し、且つ反響板(16)の凹部(162)内に収容される弧状のヘッド部(182)を設け、反響板(16)とヘッド部(182)との表面を同一面とすることから、空気の流れがスムーズに成るので、より素晴らしい音色を出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るセラミック製反響板を使用した管楽器用タンポの使用状態を示す部分断面斜視図である。
【図2】本発明に係るセラミック製反響板を使用した管楽器用タンポの分解斜視図である。
【図3】本発明に係るセラミック製反響板を使用した管楽器用タンポの使用状態を示す側面断面図である。
【図4】従来の管楽器の斜視図である。
【図5】従来の管楽器用タンポの使用状態を示す部分断面斜視図である。
【図6】従来の管楽器用タンポの使用状態を示す側面断面図である。
【符号の説明】
【0014】
10 タンポ
12 フェルト
122 貫通孔
13 紙パッド
132 貫通孔
14 皮カバー
142 貫通孔
16 反響板
162 凹部
164 貫通孔
18 留め具
182 ヘッド部
20 キーカップ
22 トーンホール
40 タンポ
42 フェルト
43 紙パッド
44 皮カバー
46 反響板
48 留め具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェルト(12)と、
前記フェルト(12)の一側に貼り合わされる紙パッド(13)と、
前記フェルト(12)と紙パッド(13)の外周縁にカバーされる皮カバー(14)と、
前記皮カバー(14)上に取付けられる反響板(16)と、
前記反響板(16)、皮カバー(14)、フェルト(12)及び紙パッド(13)を貫通し、各部材を固定する留め具(18)とを有する管楽器用タンポ(10)であって、
前記反響板(16)がセラミック製であることを特徴とするセラミック製反響板を使用した管楽器用タンポ。
【請求項2】
前記反響板(16)の表面が弧状であることを特徴とする請求項1に記載のセラミック製反響板を使用した管楽器用タンポ。
【請求項3】
前記反響板(16)の中央に凹部(162)が形成され、該凹部(162)の中央に留め具(18)を受入れるための貫通孔(164)が形成されると共に、該留め具(18)の一端に反響板(16)の凹部(162)内に収容され、反響板(16)における弧状の表面と組合わされる弧状のヘッド部(182)が設けられることを特徴とする請求項2に記載のセラミック製反響板を使用した管楽器用タンポ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−350036(P2006−350036A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−176982(P2005−176982)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(505227113)