説明

セルスタック、およびレドックスフロー電池

【課題】シャントカレントロスを低減することができるセルスタックを提供する。
【解決手段】セルスタック200は、セルフレーム120と正極電極104とイオン交換膜101と負極電極105とを複数積層してなる。セルフレームは、正極電解液および負極電解液の流路となる正極電解液用流路と負極電解液用流路とを有し、各電解液用流路は、それぞれ入口スリットおよび出口スリットからなる。そして、セルスタックは、中心側に位置するセルフレームと端部側に位置するセルフレームとを比較したとき、各々のセルフレームの電解液用流路の構造が異なり、中心に位置するセルフレームから端部に位置するセルフレームになるにつれて、電解液用流路における電気抵抗が、大きくなるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レドックスフロー電池の構成部品であるセルスタック、およびそのセルスタックを利用したレドックスフロー電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー発電の電力を蓄電する大容量の蓄電池の一つにレドックスフロー電池(RF電池)がある。RF電池は、正極電解液に含まれるイオンと負極電解液に含まれるイオンの酸化還元電位の差を利用して充放電を行う電池である。図9に、当該イオンとしてバナジウムイオンを用いたRF電池300の動作原理図を示す。
【0003】
図9に示すように、RF電池300は、水素イオンを透過させるイオン交換膜101で正極セル102と負極セル103とに分離されたセル100を備える。正極セル102には正極電極104が内蔵され、かつ正極電解液を貯留する正極電解液用タンク106が導管108,110を介して接続されている。同様に、負極セル103には負極電極105が内蔵され、かつ負極電解液を貯留する負極電解液用タンク107が導管109,111を介して接続されている。各タンク106,107に貯留される電解液は、ポンプ112,113によりセル102,103に循環される。
【0004】
上記RF電池300には、通常、複数のセル100を積層させたセルスタックと呼ばれる構成が利用されている(例えば、特許文献1、2参照)。図10は、セルスタックの概略構成図である。このセルスタック200は、枠体122に一体化された双極板121を備えるセルフレーム120、正極電極104、イオン交換膜101、および負極電極105を複数積層し、その積層体を2枚のエンドプレート210,220で挟み込んで締め付けることで形成されている。
【0005】
上記構造のセルスタック200では、隣接するセルフレーム120の間に一つのセルが形成されることになる。このセルスタック200における電解液の流通は、枠体122に形成される正極用給液マニホールド123、負極用給液マニホールド124、正極用排液マニホールド125、および負極用排液マニホールド126により行われる。具体的には、正極電解液は、正極用給液マニホールド123から枠体122の一面側(紙面表側)に形成されるスリットを介して正極電極104に供給され、枠体122の上部に形成されるスリットを介して正極用排液マニホールド125に排出される。同様に、負極電解液は、負極用給液マニホールド124から枠体122の他面側(紙面裏側)に形成されるスリットを介して負極電極105に供給され、枠体122の上部に形成されるスリットを介して負極用排液マニホールド126に排出される。なお、各セルフレーム120間にはOリングや平パッキンなどの環状のシール部材127が配置され、セルフレーム120間から電解液が漏れないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−237323号公報
【特許文献2】特開2004−319341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のRF電池300では、セルフレーム120に設けられる正負電解液の流路構造(マニホールドと正負電極(具体的には、各電極を内蔵する正負セル)とを繋ぐスリットの長さ、断面形状、断面積、スリットの本数など)が同じである。また、セルスタック200を構成する複数のセルフレーム120には同じものが利用され、各々のセルフレームにおける流路構造も同じである。
【0008】
RF電池においては、正負電解液を循環させ電池の充放電を行っている際、シャント電流による損失(シャントカレントロス)が生じることが知られており、エネルギー効率を向上するためには、シャントカレントロスを低減することが望まれる。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、シャントカレントロスを低減することができるセルスタックを提供することにある。また、本発明の別の目的は、本発明のセルスタックを用いたレドックスフロー電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らが従来のRF電池におけるセルスタックのシャントカレントについて検討した結果、次のような知見を得た。図11は、セルフレームの積層数がNであるセルスタックにおけるセルフレームの積層位置とシャントカレント(絶対値)との関係を示している。この図11に示すように、中心(N/2番目)に位置するセルフレームから端部(1番目およびN番目)に位置するセルフレームになるにつれてシャントカレントが大きくなることが分かった。そして、本発明者らは、このような知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明のセルスタックは、セルフレームと、正極電極と、イオン交換膜と、負極電極と、を複数積層してなる。セルフレームは、枠体とその枠体に一体化された双極板とを備え、枠体に貫通して設けられるマニホールドと、枠体の一面側に設けられる正極電解液用流路と、枠体の他面側に設けられる負極電解液用流路と、を有する。そして、セルスタックの中心側に位置するセルフレームと端部側に位置するセルフレームとを比較したとき、各々のセルフレームにおける正極電解液用流路および負極電解液用流路の少なくとも一方の電解液用流路の構造が異なり、中心に位置するセルフレームから端部に位置するセルフレームになるにつれて、電解液用流路における電気抵抗が、大きくなるように構成されていることを特徴とする。
【0012】
ここで、上記マニホールドには、正極電解液が流通する正極用給液マニホールドおよび正極用排液マニホールドと、負極電解液が流通する負極用給液マニホールドおよび負極用排液マニホールドと、がある。また、正極電解液用流路は、正極用給液マニホールドから双極板の一面側に配される正極電極に正極電解液を導入する正極側入口スリット、および正極電極から正極用排液マニホールドに正極電解液を排出する正極側出口スリットからなる。負極電解液用流路は、負極用給液マニホールドから双極板の他面側に配される負極電極に負極電解液を導入する負極側入口スリット、および負極電極から負極用排液マニホールドに負極電解液を排出する負極側出口スリットからなる。
【0013】
この構成によれば、中心側に位置するセルフレームと端部側に位置するセルフレームの電解液用流路の構造が異なり、中心に位置するセルフレームから端部に位置するセルフレームになるにつれて、電解液用流路における電気抵抗が大きくなる。換言すれば、端部に位置するセルフレームから中心に位置するセルフレームになるにつれて、電解液用流路における電気抵抗が小さくなる。これにより、端部側に位置するセルフレームにおいて、シャントカレントを抑制することができ、シャントカレントロスを低減することができる。
【0014】
以下、本発明のセルスタックの構成をより詳細に説明する。
【0015】
本発明のセルスタックにおいて、セルフレームの積層数が10枚以上であることが好ましい。
【0016】
セルスタックのシャントカレントは、セルフレームの積層数が増えるほど、中心から端部になるにつれて増大する傾向がある。セルフレームの積層数が10枚以上の場合は、端部に位置するセルフレームでのシャントカレントがある程度大きくなることから、シャントカレントロスを低減する効果を十分に発揮することができる。
【0017】
本発明のセルスタックにおいて、セルフレームの積層数のうち、2/3以上のセルフレームの電解液用流路における電気抵抗が中心に位置するセルフレームの電解液用流路における電気抵抗より大きいことが好ましい。
【0018】
セルフレームの積層数のうち、2/3以上のセルフレームにおいて、電解液用流路における電気抵抗が、中心に位置するセルフレームよりも大きいことで、シャントカレントロスを低減する効果が十分に得ることができる。
【0019】
本発明のセルスタックにおいて、中心に位置するセルフレームから端部に位置するセルフレームになるにつれて、電解液用流路における電気抵抗が連続的又は段階的に大きくなるように構成することが挙げられる。連続的に大きくする場合は、線形的(いわゆる1次関数的)又は非線形的に大きくすることが考えられる。非線形的に大きくする場合は、例えば2次関数的に大きくすることが挙げられる。
【0020】
セルスタックのシャントカレントは、中心から端部になるにつれて線形的(1次関数的)に増大することから(図11参照)、電解液用流路における電気抵抗がそれに従い線形的(1次関数的)に大きくなることで、シャントカレントロスを効果的に低減することができる。さらに、電解液用流路における電気抵抗が非線形的(例えば2次関数的)に大きくなることで、シャントカレントロスをより効果的に低減することができる。
【0021】
本発明のセルスタックにおいて、中心側に位置するセルフレームと端部側に位置するセルフレームの電解液用流路の構造を異ならせ、電解液用流路における電気抵抗を異ならせる場合、電解液用流路における入口スリットおよび出口スリットの少なくとも一方のスリットの構造を異ならせることが挙げられる。
【0022】
具体的には、流路を構成する入口スリットの構造のみを異ならせても良いし、出口スリットの構造のみを異ならせても良いし、両スリットの構造を異ならせても良い。ここで、入口スリットでは、常に電解液が満たされることから、シャントカレントロスが最も生じ易い箇所であり、入口スリットの構造を異ならせることで、シャントカレントロスを効果的に低減することができる。一方、出口スリットでは、充電時の電位が高くなることから、シャントカレントロスが大きくなる箇所であり、出口スリットの構造を異ならせることで、シャントカレントロスを効果的に低減することができる。また、両スリットの構造を異ならせることで、充電時と放電時とでシャントカレントを抑制することができ、シャントカレントロスをより低減することができる。
【0023】
本発明のセルスタックにおいて、中心側に位置するセルフレームと端部側に位置するセルフレームの電解液用流路の構造を異ならせ、電解液用流路における電気抵抗を異ならせる手法としては、電解液用流路のスリット長、スリット断面積およびスリット本数の少なくともいずれか一つを異ならせることが挙げられる。
【0024】
具体的には、電気抵抗を大きくする場合は、電解液用流路のスリット長を長くする、スリット断面積を小さくする、スリット本数を少なくすることで実現することができる。反対に、電気抵抗を小さくする場合は、電解液用流路のスリット長を短くする、スリット断面積を大きくする、スリット本数を多くすることで実現することができる。これらの手段を2つ以上組み合わせて電気抵抗を異ならせてもよい。
【0025】
なお、電解液用流路のスリットが複数本ある場合は、複数本のスリットと等価な電気抵抗をもたらす1本の等価スリットを求め、この等価スリットの長さを電解液用流路のスリット長として考える。例えば、入口側と出口側に3本の入口スリットと2本の出口スリットがある場合、3本の入口スリットと等価な電気抵抗をもたらす1本の等価スリットを計算により求めると共に、2本の出口スリットと等価な電気抵抗をもたらす1本の等価スリットを計算により求める。そして、これら入口側の等価スリットと出口側の等価スリットの合計長さを電解液用流路のスリット長とする。
【0026】
本発明のセルスタックは、少なくとも一つのセルフレームにおいて、正極電解液用流路の構造と、負極電解液用流路の構造と、が異なることが好ましい。
【0027】
上述したように、従来のRF電池では、セルフレームに設けられる正負電解液の流路構造が同じであり、そのことがRF電池の運用上、問題となる場合がある。
【0028】
RF電池では、大抵の場合、正極電解液の粘度と負極電解液の粘度とが異なる。そのため、正極電解液の流路構造と負極電解液の流路構造が同じであると、粘度の差異によってセル内のイオン交換膜、双極板などに偏った圧力が作用して、これらの部材が損傷する恐れがある。既に図10を参照して説明したように、RF電池300の双極板121とイオン交換膜101はその一面側に正極電解液が流通し、他面側に負極電解液が流通する。仮に負極電解液の方が正極電解液よりも高粘度であると、双極板121やイオン交換膜101に作用する負極電解液の圧力が正極電解液の圧力よりも高くなり、双極板121やイオン交換膜101が損傷する恐れがある。
【0029】
なお、RF電池の運用上、敢えて正極側と負極側とで圧力差を設けたい場合もある。しかし、その場合も単に圧力差を設ければ良いというわけではなく、所望の圧力差というものが存在する。これに対して、従来の正極側と負極側で同じ構造を持つ流路では、当該圧力差は両電解液の粘度に大きく依存するため、電解液を送り出すポンプの出力を調整しても、所望の圧力差を達成することができない場合がある。
【0030】
そこで、上記した構成に示すように、正極電解液の流路を構成する正極電解液用流路の構造と、負極電解液の流路を構成する負極電解液用流路の構造とを異ならせることで、各スリットを通過する各電解液の圧力損失を異ならせることができる。この圧力損失をどの程度とするかによって、双極板の位置(電極配置箇所)での正極電解液による圧力と負極電解液による圧力の圧力差を容易に調整することができる。例えば、正極電解液の粘度と負極電解液の粘度とが異なる場合に、当該圧力差を小さくすることができる。場合によっては、圧力差を殆ど無くすことができる。また、正負極間の圧力差を容易に調整できるため、敢えて正負極間に圧力差を形成する場合に、その圧力差を所望の値にすることも容易にできる。
【0031】
以下、少なくとも一つのセルフレームにおいて、正極電解液用流路の構造と、負極電解液用流路の構造と、が異なる場合の構成をより詳細に説明する。
【0032】
セルフレームにおいて、双極板の位置で、粘度の異なる正極電解液の圧力と負極電解液の圧力を同じにしたいのであれば、粘度が高い方の電解液の圧力損失を小さくする、あるいは粘度が低い方の電解液の圧力損失を大きくする、のいずれかを選択すると良い。セルを構成する部材への負担を考慮すれば、前者の構成が好ましい。
【0033】
セルフレームにおいて、正極電解液用流路の構造と負極電解液用流路の構造の異ならせる場合、以下に示すように、流路を構成する出口スリットの構造のみを異ならせても良いし、入口スリットの構造のみを異ならせても良いし、両スリットの構造を異ならせても良い。
(1)出口スリットのみの構造を変える
正極側入口スリットの構造=負極側入口スリットの構造
正極側出口スリットの構造≠負極側出口スリットの構造
(2)入口スリットのみの構造を変える
正極側入口スリットの構造≠負極側入口スリットの構造
正極側出口スリットの構造=負極側出口スリットの構造
(3)入口スリットと出口スリットの両方の構造を変える
正極側入口スリットの構造≠負極側入口スリットの構造
正極側出口スリットの構造≠負極側出口スリットの構造
【0034】
入口スリットと出口スリットからなる流路の構造を異ならせる具体的な手法としては、代表的に次の4つを挙げることができる。
(A)各電解液用流路のスリット長を異ならせる
(B)各電解液用流路の少なくとも一部の断面形状を異ならせる
(C)各電解液用流路の少なくとも一部の断面積を異ならせる
(D)各電解液用流路を構成するスリットの本数を異ならせる
なお、これら(A)〜(D)は組み合わせて行うことができる。
【0035】
上記(A)に記載のように各電解液用流路のスリット長(即ち、入口スリットと出口スリットの合計長さ)を異ならせる場合、スリット長を長くするほど、電解液の圧力損失が大きくなる。例えば、正極電解液による圧力を高くしたい場合、正極電解液用流路のスリット長を負極電解液用流路のスリット長よりも長くする。反対に、正極電解液による圧力を低くしたい場合、正極電解液用流路のスリット長を負極電解液用流路のスリット長よりも短くする。
【0036】
なお、後述する(D)に示すように、入口スリットや出口スリットを複数本とする場合、複数本のスリットと等価な圧力損失をもたらす1本の等価スリットを求め、正負のスリット長の長短を判断すると良い(等価スリットの断面積・断面形状は一定とする)。例えば、正負共に3本の入口スリットと2本の出口スリットを持つ場合、まず正極側の3本の入口スリットと等価な圧力損失をもたらす1本の等価スリットを計算により求め、2本の出口スリットと等価な圧力損失をもたらす1本の等価スリットを計算により求める。これら入口側の等価スリットと出口側の等価スリットの合計長さを正極電解液用流路のスリット長と考える。次いで、負極側についても、正極側の等価スリットと同じ断面積・断面形状となる等価スリット(つまり、長さ以外の条件が正極側と同じ等価スリット)を計算により求め、負極電解液用流路のスリット長を求める。そして、正負で等価スリットのスリット長を比較する。
【0037】
上記(B)に記載のように各電解液用流路の少なくとも一部の断面形状を異ならせる場合、断面形状を複雑にするほど、圧力損失が大きくなる。例えば、半円状断面のスリットと、矩形などの多角形状断面のスリットとを比較すれば、後者の圧力損失の方が前者よりも大きくなる。
【0038】
上記(C)に記載のように各電解液用流路の少なくとも一部の断面積を異ならせる場合、断面積を小さくするほど、圧力損失が大きくなる。但し、次に説明する(D)と組み合わせた場合、その限りではない。
【0039】
上記(D)に記載のように各電解液用流路を構成するスリットの本数を異ならせる場合、正極側と負極側でスリットの合計断面積が等しければ、スリットの本数が多い電解液用流路の圧力損失の方が、他方の電解液用流路の圧力損失よりも大きくなる。スリットの本数が多いほど、電解液に接触するスリットの面積が大きくなるからである。なお、正極側と負極側とでスリットの合計断面積が異なる場合、一概にスリットの本数が多くなるほど圧力損失が大きくなるとは限らない。
【0040】
ここで、上記(A)〜(D)に記載のように正極電解液用流路の構造と負極電解液用流路の構造とを異ならせるにあたり、正極電解液用流路(負極電解液用流路)を構成する入口スリットの構造と出口スリットの構造を同じにする必要はない。つまり、正極電解液用流路と負極電解液用流路の各々において、入口スリットと出口スリットの構造を異ならせても良い。例えば、シャントカレントによる発熱によって電解液の温度が上昇し、電解液の成分が析出することがある。充電時におけるシャントカレントを抑制する場合、入口スリットより出口スリットを長くすることが挙げられる。
【0041】
以上説明した(1)〜(3)、(A)〜(D)を適宜組み合わせて、各電解液の圧力損失を調節することができる。その中でも特に、正極側入口スリットの構造と負極側出口スリットの構造とを同じとし、正極側出口スリットの構造と負極側入口スリットの構造とを同じとすると、後述する実施形態5に示すように、双極板の位置での正極電解液の圧力と負極電解液の圧力を異ならせつつ、マニホールドの位置での正極側の圧力損失と負極側の圧力損失を同じにすることができる。
【0042】
一方、本発明のレドックスフロー電池は、セルスタックと、セルスタックに正極電解液を循環させる正極用循環機構と、セルスタックに負極電解液を循環させる負極用循環機構と、を備えるレドックスフロー電池であって、当該セルスタックは、上記した本発明のセルスタックであることを特徴とする。なお、各循環機構は、電解液を貯留するタンクと、タンクからセル(セルスタック)に電解液を送る導管と、セル(セルスタック)からタンクに電解液を戻す導管と、電解液を循環させるポンプと、を備える。
【0043】
この構成によれば、上記した本発明のセルスタックを用いたこで、シャントカレントロスを低減することができ、エネルギー効率の向上が期待できる。
【発明の効果】
【0044】
本発明のセルスタックによれば、中心側に位置するセルフレームと端部側に位置するセルフレームの電解液用流路の構造が異なり、中心に位置するセルフレームから端部に位置するセルフレームになるにつれて、電解液用流路における電気抵抗が大きくなる。これにより、端部側に位置するセルフレームにおいて、シャントカレントを抑制することができ、シャントカレントロスを低減することができる。また、本発明のレドックスフロー電池によれば、上記した本発明のセルスタックを用いたこで、シャントカレントロスを低減することができ、エネルギー効率の向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施形態1のセルスタックにおけるセルフレームの積層位置とその電解液用流路のスリット長との関係を示す図である。
【図2】実施形態1のセルスタックにおけるセルフレームの積層位置とシャントカレントとの関係との関係を示す図である。
【図3】実施形態1のセルスタックにおけるセルフレームの積層位置とシャントカレント抑制比との関係を示す図である。
【図4】実施形態2に示すセルフレームの概略正面図である。
【図5】実施形態3に示すセルフレームの概略正面図である。
【図6】実施形態4に示すセルフレームの概略正面図である。
【図7】実施形態5示すセルフレームの概略正面図である。
【図8】実施形態5に示すセルフレームを使用したときの入口スリットから出口スリットまでの間における正極電解液の圧力損失と負極電解液の圧力損失の関係を示すグラフである。
【図9】レドックスフロー電池の動作原理図である。
【図10】セルスタックの概略構成図である。
【図11】セルフレームの積層数がNであるセルスタックにおけるセルフレームの積層位置とシャントカレントとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
<実施形態1>
実施形態1では、中心側に位置するセルフレームと端部側に位置するセルフレームの電解液用流路の構造を異ならせ、中心に位置するセルフレームから端部に位置するセルフレームになるにつれて、電解液用流路における電気抵抗が大きくなるように構成された本発明のセルスタックをRF電池に利用した場合のシャントカレントロス低減効果について評価した。
【0047】
セルフレームに設けられた電解液用流路(正極電解液用流路および負極電解液用流路)の構造が同一であるセルフレームをN枚積層したセルスタックにおけるセルフレームの積層位置とシャントカレント(絶対値)との関係は、図11に示すようになる。図示するように、シャントカレントは、中心(N/2番目)に位置するセルフレームでは0となり、中心から端部になるにつれて一次関数的に増大し、両端部(1番目およびN番目)に位置するセルフレームでは最大となる。
【0048】
端部側に位置するセルフレームに生じるシャントカレントを抑制するために、中心から端部になるにつれて電解液用流路の構造を異ならせ、中心から端部になるにつれて電解液用流路における電気抵抗が大きくなるように設計したセルスタックを利用した場合のシャントカレントを計算した。ここでは、以下に示すような二つの方法で設計したそれぞれの場合について計算した。また、いずれの設計方法においても、中心から両方の端部になるにつれて同じように電解液用流路における電気抵抗が大きくなり、中心のセルフレームを挟んで電気抵抗の分布が対称となるようにした。
(I)中心から端部になるにつれて電解液用流路における電気抵抗が一次関数的に大きくなるように設計した場合
(II)中心から端部になるにつれて電解液用流路における電気抵抗が二次関数的に大きくなるように設計した場合
【0049】
電解液用流路における電気抵抗を大きくするには、(a)スリット長を長くする、(b)スリット断面積を小さくする、(c)スリット本数を少なくする、のうち少なくとも一つの手法により実現することができる。ここでは説明を簡単にするため、電解液用流路のスリット長のみを変更して電気抵抗を大きくした場合を例に挙げ説明する。また、各々のセルフレームにおいて、正極電解液用流路および負極電解液用流路の構造は同一とし、各電解液用流路における入口スリットおよび出口スリットの構造も同一とする。
【0050】
(計算条件)
セルフレームの積層数は21枚とし、一方の端部に位置するセルフレームから他方の端部に位置するセルフレームに向かって順に0番、1番、…、19番、20番というようにセルフレーム番号を付した(中心に位置するセルフレームの番号は10番)。また、中心に位置するセルフレームにおける電解液用流路のスリット長は500mm、端部に位置するセルフレームにおける電解液用流路のスリット長は1000mmと固定した。なお、中心に位置するセルフレーム(10番)を挟んで対称に位置するセルフレーム(0番と20番、1番と19番、…)の電解液用流路の構造は各々同一とし、対称性を考慮してセルスタックの1/2部分(中心の10番から端部の20番のセルフレーム)を計算対象とした。
【0051】
以上の条件に基づいて、上記した設計方法(I)により電気抵抗を1次関数的に大きくした場合と、上記した設計方法(II)により電気抵抗を2次関数的に大きくした場合のそれぞれのセルスタックにおけるセルフレームとスリット長との関係を図1に示す。また比較として、従来設計の場合のセルスタックにおけるセルフレームとスリット長との関係も併せて図1に示す。従来設計では、積層位置に関係なく各セルフレームにおける電解液用流路のスリット長が一定であり、ここでは500mmとした。
【0052】
そして、電解液の物性値などのその他のパラメータについて適宜設定し、電気抵抗を1次関数的に大きくした場合(設計方法(I))と、電気抵抗を2次関数的に大きくした場合(設計方法(II))のそれぞれのセルスタックのシャントカレントを計算した。また、従来設計の場合のセルスタックについてもシャントカレントを計算した。それぞれの場合のセルスタックにおけるセルフレームとシャントカレントとの関係を、図2に示す。
【0053】
さらに、電気抵抗を1次関数的に大きくした場合(設計方法(I))と、電気抵抗を2次関数的に大きくした場合(設計方法(II))の各セルフレームにおけるシャントカレントを、従来設計の場合の各セルフレームにおけるシャントカレントで規格化した。それぞれの場合のセルスタックにおけるセルフレームとシャントカレント抑制比との関係を、図3に示す。
【0054】
図2から明らかなように、中心から端部になるにつれて電解液用流路における電気抵抗が大きくなる(スリット長が長くなる)ように設計したセルスタックでは、従来設計の場合に比較して、端部側に位置するセルフレームにおいてシャントカレントが抑制されている。よって、シャントカレントロスの低減を図ることができる。また、図3に示すように、上記した設計方法(I),(II)により設計したセルスタックでは、端部に位置するセルフレームのスリット長が従来設計の場合に比較して2倍のため、端部に位置するセルフレームのシャントカレントが従来設計の場合よりも50%抑制されている。特に、電気抵抗を2次関数的に大きくした場合(設計方法(II))は、電気抵抗を1次関数的に大きくした場合(設計方法(I))に比較して、若干ではあるもののシャントカレントの総量が小さくなっており、シャントカレントロスをより低減できている。
【0055】
このように、中心側に位置するセルフレームと端部側に位置するセルフレームの電解液用流路の構造を異ならせ、中心に位置するセルフレームから端部に位置するセルフレームになるにつれて、電解液用流路における電気抵抗が大きくなるように構成されたセルスタックを利用することで、従来に比較して、シャントカレントロスを低減することが可能である。例えば、上記した例によれば、シャントカレントを総量で50%抑制することができ、シャントカレントロスを50%低減することが可能である。
【0056】
なお、上記の例では、電解液用流路のスリット長を長くして電解液用流路における電気抵抗を大きくしているが、電気抵抗を大きくするには、スリット断面積を小さくする又はスリット本数を少なくすることによっても実現することができ、これら手法を2つ以上組み合わせて用いてもよい。また、ポンプ損失を考慮して、シャントカレントロスが小さい中心側に位置するセルフレームでは、電解液用流路における電気抵抗をできるだけ小さくなるように設計することが好ましい。
【0057】
次に、少なくとも一つのセルフレームにおいて、正極電解液用流路の構造と、負極電解液用流路の構造が異なる実施形態を、図面に基づいて以下に説明する。以下の実施形態では、図10に示す従来のセルフレームとの相違点を中心に説明し、従来と同様の構成については、図10と同一の符号を付してその説明を省略する。なお、以下に説明する実施形態2〜4(実施形態5を除く)では、負極電解液の方が正極電解液よりも高粘度であることを前提に説明を行う。
【0058】
<実施形態2>
実施形態2では、正極側と負極側とで、マニホールド123〜126と双極板121との間に形成される電解液の流路長(スリット長)を異ならせることで、双極板121の位置(電極配置箇所)における正極電解液の圧力と負極電解液の圧力との圧力差を小さくする構成を図4に基づいて説明する。
【0059】
図4に示すように、本実施形態のセルフレーム1は、その表面側に正極電解液を流通させる正極電解液用流路8Aと、その裏面側に負極電解液を流通させる負極電解液用流路9Aとを備える。
【0060】
正極電解液用流路8Aは、正極用給液マニホールド123から双極板121の表面側における左側下端に向かって円弧状に伸びる正極側入口スリット23Aと、双極板121の表面側における右側上端から正極用排液マニホールド125に向かって円弧状に伸びる正極側出口スリット25Aと、からなる。
【0061】
一方、負極電解液用流路9Aは、負極用給液マニホールド124から双極板21の裏面側における右側下端に向かって直線状に伸びる負極側入口スリット24Aと、双極板21の裏面側における左側上端から負極用排液マニホールド126に向かって直線状に伸びる負極側出口スリット26Aと、からなる。
【0062】
以上説明した構成をまとめると次のようになる。
・正極側入口スリット23A≠負極側入口スリット24A
・正極側出口スリット25A≠負極側出口スリット26A
・正極電解液用流路8Aのスリット長>負極電解液用流路9Aのスリット長
【0063】
本実施形態では、負極電解液用流路9Aのスリット長が正極電解液用流路8Aのスリット長よりも短いため、負極電解液用流路9Aにおける圧力損失を正極電解液用流路8Aにおける圧力損失よりも小さくできる。その結果、双極板121の位置での負極電解液の圧力が小さくなり、当該位置での両電解液の圧力差も小さくなる。
【0064】
<変形実施形態2−1>
実施形態2の構成に加えて、スリットの断面積は同じであるが、断面形状を異ならせて、さらに各流路8A,9Aにおける圧力損失を調整しても良い。例えば、正極電解液用流路8Aの断面形状を矩形とし、負極電解液用流路9Aの断面形状を半円形とすれば、正極電解液用流路8Aにおける圧力損失と比較して、負極電解液用流路9Aにおける圧力損失をさらに小さくできる。
【0065】
なお、スリットの断面形状を異ならせる構成は、単独で適用することができるし、後述する実施形態3〜5の構成に組み合わせて適用することもできる。
【0066】
<実施形態3>
実施形態3では、正極側と負極側とで流路断面積を異ならせることで、双極板121の位置(電極配置箇所)における正極電解液の圧力と負極電解液の圧力との圧力差を小さくする構成を図5に基づいて説明する。
【0067】
図5に示す本実施形態のセルフレーム2は、実施形態2と同様に、その表面側に正極電解液用流路8Bを備え、かつその裏面側に負極電解液用流路9Bとを備える。
【0068】
正極電解液用流路8Bを構成する正極側入口スリット23Bと正極側出口スリット25Bは共に直線状とした。一方、負極電解液用流路9Bを構成する負極側入口スリット24Bと負極側出口スリット26Bも共に直線状とした。但し、負極側のスリット24B,26Bの幅を正極側のスリット23B,25Bの幅よりも大きくすることで、負極側のスリット24B,26Bの断面積を、正極側のスリット23B,25Bの断面積よりも大きくした。
【0069】
以上説明した構成をまとめると次のようになる。
・正極側入口スリット23B≠負極側入口スリット24B
・正極側出口スリット25B≠負極側出口スリット26B
・正極側入口スリット23Bの断面積<負極側入口スリット24Bの断面積
・正極側出口スリット25Bの断面積<負極側出口スリット26Bの断面積
【0070】
本実施形態では、負極電解液用流路9Bの断面積が正極電解液用流路8Bの断面積よりも大きいため、負極電解液用流路9Bにおける圧力損失を正極電解液用流路8Bにおける圧力損失よりも小さくできる。その結果、双極板121の位置での負極電解液の圧力が小さくなり、当該位置での両電解液の圧力差も小さくなる。
【0071】
なお、負極側のスリット24B,26Bの深さを正極側のスリット23B,25Bの深さよりも深くすることで、負極側のスリット24B,26Bの断面積を、正極側のスリット23B,25Bの断面積よりも大きくしても良い。もちろん、深さと幅の両方を異ならせることで、正負のスリットの断面積を異ならせても良い。
【0072】
<実施形態4>
実施形態4では、正極側と負極側とでスリットの数を異ならせることで、双極板121の位置(電極配置箇所)における正極電解液の圧力と負極電解液の圧力との圧力差を小さくする構成を図6に基づいて説明する。
【0073】
この実施形態4のセルフレーム3の表面側に設けられる正極電解液用流路8Cは、1本の直線状に伸びる正極側入口スリット23Cと、2本の円弧状に伸びる正極側入口スリット23Cと、4本の円弧状に伸びる正極側出口スリット25Cとからなる。一方、セルフレーム3の裏面側に設けられる負極電解液用流路9Cは、2本の円弧状に伸びる負極側入口スリット24Cと1本の直線状に伸びる負極側出口スリット26Cとからなる。なお、スリット23C〜26Cの断面形状はスリットの全長にわたって一様であり、3本の正極側入口スリット23Cの合計断面積=2本の負極側入口スリット24Cの合計断面積、4本の正極側出口スリット25Cの合計断面積=1本の負極側出口スリット26Cの断面積である。
【0074】
以上説明した構成をまとめると次のようになる。
・正極側入口スリット23C≠負極側入口スリット24C
・正極側出口スリット25C≠負極側出口スリット26C
・正極側入口スリット23Cの本数>負極側入口スリット24Cの本数
・正極側出口スリット25Cの本数>負極側出口スリット26Cの本数
・正極電解液用流路8Cのスリット長(等価スリットの長さ)>負極電解液用流路9Cのスリット長(等価スリットの長さ)
【0075】
本実施形態では、負極電解液用流路9Cを構成するスリットの本数が正極電解液用流路8Cを構成するスリットの本数よりも少ないため、負極電解液用流路9Cにおける圧力損失を正極電解液用流路8Cにおける圧力損失よりも小さくできる。その結果、双極板121の位置での負極電解液の圧力が小さくなり、当該位置での両電解液の圧力差も小さくなる。加えて、負極電解液用流路9Cのスリット長が正極電解液用流路8Cのスリット長よりも短いため、その分だけ、負極電解液用流路9Cにおける圧力損失を正極電解液用流路8Cにおける圧力損失よりも小さくできる。
【0076】
<実施形態5>
実施形態5では、正極電解液の粘度と負極電解液の粘度とが殆ど同じである場合に、双極板121の位置で敢えて正極電解液の圧力と負極電解液の圧力とに差を生じさせるための構成を図7に基づいて説明する。
【0077】
この実施形態5では、セルフレーム4において、正極側入口スリット23Dの構造=負極側出口スリット26Dの構造=2本の円弧状に伸びるスリット、負極側入口スリット24Dの構造=正極側出口スリット25D=1本の直線状に伸びるスリットとした。この場合も、図7を参照すれば明らかなように、正極電解液用流路8Dと負極電解液用流路9Dの構造は異なっている。
【0078】
以上説明したスリットを備えるセルフレーム4に粘度が同じ正負電解液を流通させた場合の入口スリットから出口スリットまでの間における正極電解液の圧力損失と負極電解液の圧力損失の関係を図8にグラフで示す。グラフの横軸は入口スリットの始端から出口スリットの終端までの位置を、縦軸は各位置での圧力損失の大きさを示す。また、グラフの実線は負極電解液の圧力損失を、点線は正極電解液の圧力損失を示す。なお、圧力損失は、電解液の粘度と各スリットの形状に基づいて計算により求めた。
【0079】
図8のグラフに示すように、入口スリットの始端(即ち、図7の給液マニホールド123,124の位置)では正負共に電解液の圧力損失は同じであるが、入口スリットの終端(即ち、図7の双極板121に連絡する位置)では正極電解液の圧力損失が負極電解液の圧力損失よりも大きくなっている。この圧力損失差は、正極側入口スリット23Dと負極側入口スリット24Dの構造の相違によって生じる(図7参照)。
【0080】
次に、双極板121(図7参照)の位置では正負の入口スリットにより形成された圧力損失の差が維持され、そして出口スリットを経るに従って正極電解液の圧力損失と負極電解液の圧力損失との差が小さくなる(グラフ上はほぼ同じ圧力損失となる)。これは、負極側出口スリット26Dと正極側出口スリット25Dの構造の相違(図7参照)によって、負極電解液の圧力損失が正極電解液の圧力損失よりも大きくなるからである。
【0081】
以上説明した構成によれば、正負の電解液の粘度がほぼ同じであっても、双極板121の位置で正極電解液の圧力と負極電解液の圧力との間に所望の圧力差を形成することができる。
【0082】
また、例えば、本構成であれば、正負の入口スリットの始端の位置(即ち、正負の給液マニホールドの位置)における正負の電解液の圧力を同じにでき、かつ正負の出口スリットの終端の位置(即ち、正負の排液マニホールドの位置)における正負の電解液の圧力を同じにできる。
【0083】
以上説明した実施形態1の構成と実施形態2〜5のうちいずれかの構成とを組み合わせることで、シャントカレントロスの低減と、双極板の位置での正極電解液と負極電解液の圧力差の調整を図ることができる。
【0084】
本発明は、上述した実施形態に限定されるわけではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して実施することができる。例えば、電解液に用いるイオンは、バナジウムイオンに限定されるわけではなく、正極電解液にFeイオン、負極電解液にCrイオンを用いる鉄−クロム系レドックスフロー電池であっても良い。その他、正極電解液にMnイオン、負極電解液にTiイオンを用いるマンガン−チタン系レドックスフロー電池とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明のセルスタックは、蓄電池に利用されるレドックスフロー電池に好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0086】
1,2,3,4 セルフレーム
8A,8B,8C,8D 正極電解液用流路
23A,23B,23C,23D 正極側入口スリット
25A,25B,25C,25D 正極側出口スリット
9A,9B,9C,9D 負極電解液用流路
24A,24B,24C,24D 負極側入口スリット
26A,26B,26C,26D 負極側出口スリット
100 セル
101 イオン交換膜
102 正極セル
104 正極電極
106 正極電解液用タンク 108,110 導管 112 ポンプ
103 負極セル
105 負極電極
107 負極電解液用タンク 109,111 導管 113 ポンプ
120 セルフレーム
121 双極板
122 枠体
123 正極用給液マニホールド 125 正極用排液マニホールド
124 負極用給液マニホールド 126 負極用排液マニホールド
127 シール部材
200 セルスタック
210,220 エンドプレート
300 レドックスフロー電池(RF電池)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルフレームと、正極電極と、イオン交換膜と、負極電極と、を複数積層してなるセルスタックであって、
前記セルフレームは、
枠体と、前記枠体に一体化された双極板と、を備え、
前記枠体に貫通して設けられ、正極電解液が流通する正極用給液マニホールド、および正極用排液マニホールドと、
前記枠体の一面側に設けられ、前記正極用給液マニホールドから前記双極板の一面側に配される前記正極電極に前記正極電解液を導入する正極側入口スリット、および前記正極電極から前記正極用排液マニホールドに前記正極電解液を排出する正極側出口スリットからなる正極電解液用流路と、
前記枠体に貫通して設けられ、負極電解液が流通する負極用給液マニホールド、および負極用排液マニホールドと、
前記枠体の他面側に設けられ、前記負極用給液マニホールドから前記双極板の他面側に配される前記負極電極に前記負極電解液を導入する負極側入口スリット、および前記負極電極から前記負極用排液マニホールドに前記負極電解液を排出する負極側出口スリットからなる負極電解液用流路と、を有し、
前記セルスタックの中心側に位置する前記セルフレームと端部側に位置する前記セルフレームとを比較したとき、各々の前記セルフレームにおける前記正極電解液用流路および前記負極電解液用流路の少なくとも一方の電解液用流路の構造が異なり、
中心に位置する前記セルフレームから端部に位置する前記セルフレームになるにつれて、前記電解液用流路における電気抵抗が、大きくなるように構成されていることを特徴とするセルスタック。
【請求項2】
前記セルフレームの積層数が、10枚以上であることを特徴とする請求項1に記載のセルスタック。
【請求項3】
前記セルフレームの積層数のうち、2/3以上の前記セルフレームの前記電解液用流路における電気抵抗が、中心に位置する前記セルフレームの前記電解液用流路における電気抵抗より大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載のセルスタック。
【請求項4】
前記電解液用流路における電気抵抗が、線形的に大きくなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のセルスタック。
【請求項5】
前記電解液用流路における電気抵抗が、非線形的に大きくなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のセルスタック。
【請求項6】
前記電解液用流路における入口スリットおよび出口スリットの少なくとも一方のスリットの構造が異なることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のセルスタック。
【請求項7】
前記電解液用流路のスリット長、スリット断面積およびスリット本数の少なくともいずれか一つが異なることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のセルスタック。
【請求項8】
少なくとも一つの前記セルフレームにおいて、前記正極電解液用流路の構造と、前記負極電解液用流路の構造と、が異なることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のセルスタック。
【請求項9】
少なくとも一つの前記セルフレームにおいて、前記正極電解液用流路と前記負極電解液用流路の各々における入口スリットと出口スリットの構造とが異なることを特徴とする請求項8に記載のセルスタック。
【請求項10】
少なくとも一つの前記セルフレームにおいて、前記正極電解液用流路のスリット長と、前記負極電解液用流路のスリット長と、が異なることを特徴とする請求項8又は9に記載のセルスタック。
【請求項11】
少なくとも一つの前記セルフレームにおいて、前記正極電解液用流路の少なくとも一部の断面形状と、前記負極電解液用流路の少なくとも一部の断面形状と、が異なることを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載のセルスタック。
【請求項12】
少なくとも一つの前記セルフレームにおいて、前記正極電解液用流路の少なくとも一部の断面積と、前記負極電解液用流路の少なくとも一部の断面積と、が異なることを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載のセルスタック。
【請求項13】
少なくとも一つの前記セルフレームにおいて、前記正極電解液用流路を構成するスリットの本数と、前記負極電解液用流路を構成するスリットの本数と、が異なることを特徴とする請求項8〜12のいずれか一項に記載のセルスタック。
【請求項14】
少なくとも一つの前記セルフレームにおいて、前記正極側入口スリットの構造と前記負極側出口スリットの構造とが同じで、前記正極側出口スリットの構造と前記負極側入口スリットの構造とが同じであることを特徴とする請求項9に記載のセルスタック。
【請求項15】
セルスタックと、前記セルスタックに正極電解液を循環させる正極用循環機構と、前記セルスタックに負極電解液を循環させる負極用循環機構と、を備えるレドックスフロー電池であって、
前記セルスタックは、請求項1〜14のいずれか一項に記載のセルスタックであることを特徴とするレドックスフロー電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−80611(P2013−80611A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219838(P2011−219838)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】