説明

セルロース粉末の調製における特別な篩の使用

本発明は、セルロース粉末調製方法における、メッシュまたは孔寸法の異なる少なくとも2つの層からなる篩の使用、ならびにセルロースパルプの粉砕および得られた粒子のふるい分けをオンラインで行なうことができる前記方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース粉末を調製する方法における、メッシュまたは孔寸法の異なる少なくとも2つの層からなる篩の使用に、ならびにセルロースパルプの粉砕と得られた粒子のふるい分けをオンラインで実行することができる前記方法に関する。
【背景技術】
【0002】
細かい粒子状のセルロースは、様々な用途において、例えばセルロースエーテルの製造に、使用されている。前記セルロース粒子の調製のために、一般に、乾燥したセルロースパルプがシート、ロールまたはベールの形態で供給され、セルロース粉砕機の取入口に供給され、セルロース粉末に粉砕される。多くの場合、粉砕機はカッティングミル(例えばナイフミル)である。得られた生成物の粒子寸法を調整するために、粉砕機は、通常、出口に篩(screen)またはふるい(sieve)を有している。多くの場合、細かい粒子寸法は製品性能特性に満たすのに、または効率的なさらなる処理(例えばセルロースの誘導体化)のために望ましい。細かい粒子寸法を得るために、数工程の粉砕および/または数工程のふるい分けを行なうか、または最初の粉砕工程直後に細かい篩を使用するかのいずれかを行なうことができるが、そのような細かい篩は、粗い篩よりも破れる傾向がはるかに大きい。したがって、セルロースのロール、シートまたはベールの粉砕直後に細かい粉末セルロースを得ることは、細かいメッシュ寸法を有する篩の容易な破損のために、困難または不可能である場合がある。
【0003】
従来、粉末を調製するプロセスにおいて、金属ワイヤーの織られた篩が使用され、それは250μmを超える篩寸法には信頼できる操作を可能にする。その寸法未満では、篩を張力下で支持体の上に固定する技術が適用されてもよく、それによって、篩の寿命が長くなる。しかしながら、210μmより下のメッシュ寸法を有する篩は、なお、この取付技術を用いてさえ、受け入れがたいほど頻繁に篩破損を示す。
【0004】
欧州特許出願公開第326939号明細書は、異なる層が異なる太さのワイヤーを有しそして異なるメッシュ寸法を提供する、いくつかの層を有する金属ワイヤーのウェブを使用した濾過によって、懸濁液からセルロースエーテルを分離しそしてきれいにする方法を提供する。濾過の後、セルロースエーテル粒子はウェブから回収される。
【0005】
金属ワイヤーウェブの2つの異なる層を含む、1つの商業上入手可能な焼結された篩のタイプが、「TOPMESH」の名称でシュペール社(Spoerl KG)(ドイツ国シグマリンゲンドルフ(Sigmaringendorf))によって提供されている。これらの製品は、濾過ケークがフィルターメッシュウェブの上に形成され、回収された濾過ケークから望まれない物質を分離することができることを意味する、濾過のためのウェブとして提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第326939号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、所望の粒子寸法を有するセルロース粉末の容易な取り扱いと高生産量を提供する、セルロース粉末の調製のための改善された方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、メッシュまたは孔寸法の異なる少なくとも2つの層を含む篩であって、少なくとも2つの層のメッシュまたは孔寸法の比が1.05:1〜30:1であり、そして少なくとも2つの層が全面にわたって互いに分離することができないような篩の、セルロース粉末を調製する方法における使用によって達成される。
【0009】
この目的は、また、次の工程を含む、決められた最大粒子寸法を有するセルロース粉末の製造方法によって達成される。
a.セルロースパルプを粉砕する工程、
b.孔またはメッシュ寸法の異なる少なくとも2つの層からなる篩(ただし、少なくとも2つの層のメッシュまたは孔寸法の比は1.05:1〜30:1であり、そして少なくとも2つの層は全面にわたって互いに分離することができない。)によって、所望の最大粒子寸法またはより小さな寸法を有する粒子を分離する工程、および
c.すべてのパルプ物質が所望の最大粒子寸法を有するようになるまで、篩を通過しない残留粒子をさらに粉砕する工程。
【0010】
本発明は、さらに、セルロース誘導体を調製する方法に関する。その方法は、次の工程を含む。
(i)前記の方法によってセルロース粉末を提供する工程、および
(ii)工程(i)のセルロース粉末を1種または2種以上の誘導体化剤と接触させ、セルロース誘導体を生成させる工程。
【発明を実施するための形態】
【0011】
層は、決められた寸法の目開きを提供する材料であれば、いかなる材料であってもよい。しかしながら、織られたウェブ、例えば、決められたメッシュまたは孔寸法を提供する金属ワイヤーウェブまたは類似のウェブが好ましい。そのような織られたウェブ(例えば金属ワイヤーで作られたウェブ)は、ウェブのメッシュまたは孔を通過する粒子寸法を選択するためにふるいとして使用することができる。金属ワイヤーは、好ましくは、ステンレス鋼のような耐食材料で作られる。
【0012】
本発明の好ましい態様によれば、セルロース粉末の調製に使用される篩は少なくとも2つの層を含み、それらの層の少なくとも2つは異なるメッシュまたは孔寸法を有し、そしてこれらの2つの層のメッシュまたは孔寸法の比は1.05:1〜30:1であり、一方の層はより小さな孔寸法を有するふるい分け層としての役目を果たし、そして他方の層はより大きな孔寸法を有しかつふるい分け層に機械的安定性を与える支持層としての役目を果たす。
【0013】
より好ましい実施態様において、ふるい分け層の孔寸法は、1000μm未満、好ましくは500μm未満、より好ましくは400μm未満、特に好ましくは250μm未満である。ふるい分け層の孔寸法は、確かに、後の処理において使用されるセルロース粉末の所望の粒子寸法に依存する。本発明による篩であれば、粉化工程の間に受け入れがたいほど頻繁な篩破損のない210μm未満の孔またはメッシュ寸法を有する篩を使用することが可能である。
【0014】
第二の層も同様に、例えば金属ワイヤーの織られたウェブのような、織られたウェブであってもよい。ただし、その織られたウェブの孔またはメッシュ寸法は、ふるい分け層のメッシュまたは孔寸法より大きいすなわち粗い。支持層のメッシュ寸法は、好ましくは250〜5000μm、より好ましくは300〜4000μm、最も好ましくは500〜3000μmの範囲にある。支持層は、好ましくは、ワイヤーが0.2〜0.6mm、好ましくは0.3〜0.5mmの太さを有する金属メッシュから調製される。
【0015】
ふるい分け層と支持層のメッシュまたは孔寸法の比は、1.05〜30の範囲、好ましくは2〜20の範囲、そして最も好ましくは4〜10の範囲にある。例えば、セルロースの最も細かい決定ふるいが150μmのメッシュ寸法を有する場合は、支持層の最も好ましいメッシュ寸法は600μm〜1500μmの範囲になるであろう。支持篩があまりにも大きなメッシュ寸法を有する場合は、頻繁にふるいが破損する(篩に穴があく)傾向があり、その結果、支持層の役割をする小さなメッシュ寸法を有するふるいは、開いた篩の領域を制限し、それによりセルロース粉砕機の処理能力を制限する。
【0016】
異なる孔またはメッシュ寸法を有する2つの層のこの配置は、所望の粒子寸法の粉末を調製するのに十分細かい篩を提供し、それにおいては、細かい篩は粒子寸法分離の責任を負うが、それ自体は数日間破れずに運転するために十分な機械的安定性を有しておらず、その細かい篩は十分な機械的安定性を与えるより強いワイヤーを有するより粗い篩によって支持されている。この配置によって、セルロースを粉砕する工程における篩の寿命は、かなり増加し、例えば2週間超に増加し得る。
【0017】
1つの好ましい実施態様において、セルロース粉末を調製する工程において使用される篩は、金属ワイヤークロスの少なくとも2つの層を含む。両方のふるいは、例えば焼結法によって、例えばいくつかまたはすべての接触点を連結することによって、全面にわたって互いに分離することができない。用語「全面について互いに分離することができない」とは、ここで用いるときは、少なくとも2つの層のいくつかのまたはすべての接触点が重力または機械的圧力以外の力によって連結され、重力または機械的圧力が存在しない状態でさえ少なくとも2つの層が接触したままであることを意味する。例えば、篩の2つの層を無傷のままにしておくことができないような力によってのみ篩の2つの層を分離することができる場合に、層は「互いに分離することができない」とここでは定義される。
【0018】
1つの特に好ましいタイプの篩は、焼結篩タイプであり、それは、必要とされるメッシュまたは孔寸法の比を満足するようにメッシュ寸法が適合されるならば、シュペール社(Spoerl KG Praezisionsdrahtweberei)(ドイツ国シグマリンゲンドルフ(Sigmaringendorf))によって「TOPMESH」の商品名で販売され、市場で入手可能である。しかしながら、セルロース粉末を調製する工程において使用される本発明に記述された特徴を満たすふるいまたはウェブの各タイプは、本件特許請求の範囲内に入ると見なされるべきである。
【0019】
例えば金属ワイヤー正方形ウェブのメッシュまたは孔寸法は、それぞれ2つの隣接したワイヤーの距離(間隔)によって定義される。これは、(ワイヤーから形成された)2つの隣接した正方形の中心の間の距離から、正方形に分割しているワイヤーの太さを差し引いた値を測定することによって決定することができる。(シュティース(Stiess)、機械プロセス工学(mechanische Verfahrenstechnik)、スプリンガー出版(Springer Verlag)、1995年)
【0020】
本発明によって、決められた最大粒子寸法を有するセルロース粉末の製造のための方法が提供され、その方法は次の工程を含む。
a)セルロースパルプを粉砕する工程、
b)孔またはメッシュ寸法の異なる少なくとも2つの層からなる篩(ただし、少なくとも2つの層のメッシュまたは孔寸法の比は1.05:1〜30:1であり、そして少なくとも2つの層は全面にわたって互いに分離することができない。)によって、所望の最大粒子寸法またはより小さな寸法を有する粒子を分離する工程、
c)すべてのパルプ物質が所望の最大粒子寸法を有するようになるまで、篩を通過しない残留粒子をさらに粉砕する工程。
【0021】
好ましくは、工程a)の粉砕は、一般に用いられているセルロース粉砕機において行なわれ、それは、テーブルローラーミルまたはカッティングミル(例えばナイフミル)であってもよい。その粉砕は、通常、乾燥状態で行なわれ、セルロースパルプはロールまたはシートの形態で供給され(必要ならば巻き出され)、セルロース粉砕機に供給され、セルロース粉末に粉砕される。
【0022】
所望の粒子寸法以下の粒子を分離する工程b)は、セルロースパルプの粉砕の直後に、「オンライン」で行なうことができる。セルロースの望ましい粒子寸法は後の工程に依存し、対応するメッシュまたは孔寸法を有する対応する篩(ふるい)の選択によって決めることができる。セルロース粉末の最大粒子寸法は、一般に、500μm以下、好ましくは210μm以下、より好ましくは150μm以下、最も好ましくは60μm以下である。上述したように、結果として生じるセルロース粉末の粒子寸法を選択するためのふるいまたは篩の層のメッシュまたは孔寸法は、支持層のメッシュまたは孔寸法より小さい。
【0023】
工程c)によれば、所望の粒子寸法を決める篩を通過しない粒子はさらに粉砕される。オンライン処理においては、残留粒子は粉砕機を出ないで、すべての物質が所望の最大粒子寸法を有し、篩(ふるい)を通過することができるようになるまで粉砕機の中にとどまる。
【0024】
メッシュまたは孔寸法の異なる少なくとも2つの層を有する篩(ただし、少なくとも2つの層のメッシュまたは孔寸法の比は1.05:1〜30:1であり、これらの2つの層は全面にわたって互いに分離することができない。)の使用によって、篩破損の頻度はかなり減らすことができる。上記のメッシュまたは孔寸法の比の細かいおよび粗い篩の層の組合わせは、より長い寿命のための鍵と見なすことができる。そして、その効果は、両方の層すなわち粗い篩の層と細かい篩の層を互いに強い融合プロセスによって連結することによってさらに増加させることができる。強い融合プロセスは、基本的に、例えば焼結法によって、より粗い支持体のマトリックスの上に細かい篩を「溶接」する。
【0025】
破損のないより長い篩の寿命は、修理を少なくし、かつ篩を交換する作業を少なくする。さらに、小さな破損点を通してさえ、粒子は通過することができ、所望の粒子寸法の要求を満たさない。そのような小さな点破損を回避することによって、不良品の生産は、210μm未満のメッシュまたは孔寸法を有する篩でさえ、かなり減らすことができる。これは、セルロースを非常に細かい(210μm未満の)粒子に粉砕することを可能にし、それは、新しい製品特性、例えば増加した流れ特性、増加したセルロースの反応性、セルロースの誘導体のより高い嵩密度、セルロース誘導体の改善された溶解特性および透明度をもたらす。セルロースが増加した流れ特性を提供するので、セルロースの誘導体化のための反応器の充填量は増加させることができ、それは反応器の能力を十分に使用することができるようにする。
【0026】
粉砕されたセルロースの粒子寸法は、任意の既知の方法、例えば、アルペン・エアー・ジェット・シーブ(Alpine air jet sieves)(アルペン(Alpine)(ホソカワ・アルペン(Hosokawa-Alpine))、ドイツ国アウクスブルク(Augsburg))で測定することができる。その分析は1つの試料当たり1つのふるいで行なわれる。分析を始める前に、空のふるいの質量を測定する。その後、ふるいをエアー・ジェット・シーブの上に置く。20.0gの試料をふるいの全面に広げ、6分間、ふるい分けの工程を実行する。ふるいの下の減圧は、300mm水柱減圧(2941Pa)である。ふるい分け工程の終了の後、再び、残留試料を含むふるいの重さを量る。
【0027】
上述したように、本発明においては、メッシュまたは孔寸法の異なる少なくとも2つの層からなる篩(ただし、少なくとも2つの層のメッシュまたは孔寸法の比は1.05:1〜30:1であり、そしてこれらの2つの層は全面にわたって互いに分離することができない。)を使用する。3つ以上の層を有する篩を使用してもよい。例えば、篩は、上記の2つの層と、上記の2つの層から分離することができる1つ以上の追加の層とを含むものであってもよい。しかしながら、この配置は好ましくない。本発明の好ましい実施態様によれば、メッシュまたは孔寸法が異なりかつ全面にわたって互いに分離することができない2〜3層の層を含む篩が使用される。3層篩の場合には、2つの隣接した層の、または1番目の層と3番目の層の、メッシュまたは孔寸法の比は、1.05:1〜30:1、好ましくは2〜20、そして最も好ましくは4〜10である。最も好ましくは、1番目の層と2番目の層のメッシュまたは孔寸法の比は、また2番目の層と3番目の層のメッシュまたは孔寸法の比も、1.05:1〜30:1、好ましくは2〜20、そして最も好ましくは4〜10である。
【0028】
本発明の方法によって調製されたセルロース粉末は、好ましくは、高品質セルロース誘導体の調製に使用することができる。セルロースの誘導体化のための方法は、当業者に知られており、例えば米国特許第4,410,693号明細書、米国特許第4,456,751号明細書および米国特許第4,650,863号明細書に記載され、そのような方法は、誘導体の特性と可能な用途とともに、例えば、「ウルマン工業化学百科事典(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry)」,第5版,第A5巻,ワインハイム(Weinheim),VCH出版社(VCH Verlagsgesellschaft),1986年,p.461−488に、または「有機化学の方法(Methoden der organischen Chemie)」,第4版,第E20巻,シュトゥットガルト(Stuttgart),ゲオルク・チーメ出版社(Georg Thieme Verlag),1987年,高分子材料(Makromolekulare Stoffe),第3章,p.2048−2076、またはエル・デンゲス(R. Doenges)著,「セルロースエーテルの調製方法および可能な用途の発展(Developments in preparation methods and possible uses of cellulose ethers)」,紙(Das Papier),ダルムシュタット(Darmstadt),ツェルヘミング協会(Verein Zellcheming)編,1997年,第12巻,p.653−660に記載されている。得られたセルロース誘導体は、英国特許出願公開第2262527号明細書に記載されたようなものに相当するかもしれず、その教示に従ってさらに処理することができる。
【0029】
好ましいセルロース誘導体は、セルロースエステルおよびセルロースエーテルであり、特にエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースである。
【0030】
好ましくは、当該誘導体はセルロースエーテルおよびエステルであり、次の工程からなる方法によって調製される。
(i)上記の方法によってセルロース粉末を用意する工程、および
(ii)工程(i)のセルロース粉末を1種または2種以上のエーテル化剤および/またはエステル化剤と反応させ、セルロースエーテルまたはエステルを得る工程。
【0031】
セルロース粉末の反応は、好ましくは、アルキル化剤(例えばクロロメタン、ブロモメタン、クロロエタン、ブロモエタンなど)またはヒドロキシル化剤(例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシドなど)のような、任意のエーテル化剤またはエステル化剤の使用を含む。
【0032】
好ましくは、セルロース粉末は、工程(ii)の前に、アルカリ性物質の使用によって、既知の方法で活性化される。当該活性化は、例えば、セルロースをNaOHで処理することによって行なうことができる。
【0033】
本発明は、次の実施例によってさらに説明されるが、それらの実施例は本発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。
【実施例】
【0034】
実験1
木材パルプセルロース(エゾマツ)のロールから非常に細かいセルロース粉末を得るために、生産規模のパルプ粉砕機に、ステンレス鋼で作られた180μmのメッシュ寸法の既知の単層の篩を取り付ける。非常に短時間(2時間)後に篩の破損が観察される。
【0035】
実験2
実施例1と同一のパルプ粉砕機に、全面にわたって焼結されたステンレス鋼で作られた2層篩を取り付ける。その篩は、ドイツ国シュペール社(Spoerl KG Praezisionsdrahtweberei)によって「TOPMESH」の商品名で販売されている。ふるい分け層のメッシュ寸法は150μmである。支持層のメッシュ寸法は630μmである。支持層のメッシュワイヤーの太さは0.4mmである。粉砕機は、18日間の全試験運転の間、篩の破損なしで、運転される。
【0036】
実験3
実施例1と同一のパルプ粉砕機に、ステンレス鋼で作られた315μmの既知の単層の篩を取り付け、木材パルプセルロース(エゾマツ)のロールを連続的に粉砕する。篩は3週間運転した後に破れて、新しいものと交換しなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッシュまたは孔寸法の異なる少なくとも2つの層からなる篩(ただし、少なくとも2つの層のメッシュまたは孔寸法の比は1.05:1〜30:1であり、そして少なくとも2つの層は全面にわたって互いに分離することができない。)の、セルロース粉末を調製する方法における使用。
【請求項2】
篩が、少なくとも1つのふるい分け層と、ふるい分け層に機械的安定性を与える少なくとも1つの支持層とを有することを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項3】
セルロースが乾燥状態でふるい分けされることを特徴とする請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
ふるい分け層のメッシュまたは孔寸法が1000μm未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
ふるい分け層のメッシュまたは孔寸法が500μm未満であることを特徴とする請求項4に記載の使用。
【請求項6】
ふるい分け層のメッシュまたは孔寸法が250μm未満であることを特徴とする請求項5に記載の使用。
【請求項7】
支持層がふるい分け層より粗いメッシュまたは孔寸法を有することを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
少なくともふるい分け層が支持層に焼結されていることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
(a)セルロースパルプを粉砕する工程、
(b)メッシュまたは孔寸法の異なる少なくとも2つの層からなる篩(ただし、少なくとも2つの層のメッシュまたは孔寸法の比は1.05:1〜30:1であり、そして少なくとも2つの層は全面にわたって互いに分離することができない。)によって、所望の最大粒子寸法またはより小さな寸法を有する粒子を分離する工程、および
(c)すべてのパルプ物質が所望の最大粒子寸法を有するようになるまで、篩を通過しない残留粒子をさらに粉砕する工程
を含む、決められた最大粒子寸法を有するセルロース粉末を製造する方法。
【請求項10】
セルロース粉末の粒子寸法が1000μm未満であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
セルロース粉末の粒子寸法が500μm未満であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
セルロース粉末の粒子寸法が250μm未満であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
セルロースが乾燥状態でふるい分けられることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
篩が、少なくとも1つのふるい分け層と、ふるい分け層に機械的安定性を与える少なくとも1つの支持層とを有することを特徴とする請求項9〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
ふるい分け層に安定性を与える層が、ふるい分け層より粗いメッシュまたは孔寸法を有することを特徴とする請求項9〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
少なくともふるい分け層が支持層に焼結されていることを特徴とする請求項9〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
(i)請求項9〜16のいずれか1項に記載の方法によってセルロース粉末を用意する工程、および
(ii)工程(i)のセルロース粉末を1種または2種以上の誘導体化剤と接触させ、セルロース誘導体を生成する工程
を含むセルロース誘導体を調製する方法。
【請求項18】
セルロース誘導体がセルロースエーテルまたはセルロースエステルであることを特徴とする請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2009−537309(P2009−537309A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510945(P2009−510945)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/009070
【国際公開番号】WO2007/136472
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】