説明

セルロース防音断熱材の製造方法及び新規のセルロース防音断熱材

【課題】セルロース防音断熱材(LFCI)の製造のための改善された方法を提供すること、特に質的に高い価値を有する製品を製造し、かつ現行の製品規格を満たす、経済的に行う方法と相応の装置を提供すること、更に、必要な添加剤の量及び/又は副生成物もしくは廃棄生成物の量をできる限り少なく保つこと、改善されたセルロース防音断熱材(LFCI)を提供すること、特に、現行の製品規格を満たす質的に高い価値を有する材料を提供すること、更に、必要な添加剤(例えば防火剤(BSM))の量をできる限り少なく保つこと。
【解決手段】セルロース防音断熱材(LFCI)であって、a.) 紙繊維及び木繊維の比率80/20〜20/80の混合物88〜97%と、b.) 添加剤3〜12%とからなるセルロース防音断熱材によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善されたセルロース防音断熱材(LFCI)、このセルロース防音断熱材(LFCI)を含有する吹込み防音断熱材(Einblasdaemmung)、この吹込み防音断熱材を有する建造物並びにセルロース防音断熱材(LFCI)の製造方法及びセルロース防音断熱材(LFCI)の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
セルロース防音断熱材(LFCI)は、ばら材料として製造されて、建築現場に届けられる。そこでは、前記材料は、断熱目的のために建築構造の中空室へと吹き込まれ、吹込み防音断熱材が形成される。選択的に、セルロース防音断熱材(LFCI)は、プレハブ部品工場でも、プレハブ建築部材の製造のために使用することもできる。セルロース防音断熱材(LFCI)及びそれから形成される吹込み防音断熱材は、従って防音断熱性、固化挙動、菌類被害に対する抵抗性、燃焼挙動などといった一連の基準を満たさねばならない。
【0003】
Willoc(DE19516186号)は、天然産物製の防音断熱材であって、ばらの防音断熱材として使用できるもの並びに相応の製造方法を記載している。この文献の目的は、防音断熱材中の紙の含有率を減らすことである。更に、開示された防音断熱材は、非常に高い含有率の添加剤を有する。結果的に製造方法は、多くの脱塵工程を行わねばならないため費用がかかる。
【0004】
Shutt(WO2010/040066号及びUS6025027号)は、紙繊維から製造された脱塵された防炎性のセルロース防音断熱材(LFCI)及び相応の製造方法を記載している。この方法の欠点は、とりわけ、大きな割合の塵が副生成物として生じることである。
【0005】
Loercher(EP1203845号)は、粒状の木繊維製の防音断熱材及び相応の製造方法を記載している;防炎剤を加えることについては、詳細な記載がなされていない。この方法での欠点は、とりわけ、造粒工程が追加で行われることである。
【0006】
Naegele(DE19829277号)は、防音断熱材の製造に際しての防火剤としての特定の水溶液の使用を記載している。この方法での欠点は、特定の防火剤への制限と、最終生成物中での添加剤の高い含有率である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】DE19516186号
【特許文献2】WO2010/040066号
【特許文献3】US6025027号
【特許文献4】EP1203845号
【特許文献5】DE19829277号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の課題は、セルロース防音断熱材(LFCI)の製造のための改善された方法を提供することである。特に重要なことは、質的に高い価値を有する製品を製造し、かつ現行の製品規格を満たす、経済的に行う方法と相応の装置を提供することである。更に、必要な添加剤の量及び/又は副生成物もしくは廃棄生成物の量をできる限り少なく保つことが好ましい。
【0009】
本発明の更なる課題は、改善されたセルロース防音断熱材(LFCI)を提供することである。特に重要なことは、現行の製品規格を満たす質的に高い価値を有する材料を提供することである。更に、必要な添加剤(例えば防火剤(BSM))の量をできる限り少なく保つことが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記概略の課題は、セルロース防音断熱材(LFCI)、特に繊維状のセルロース防音断熱材であって、
a.) 紙繊維及び木繊維の比率80/20〜20/80の混合物88〜97%と、
b.) 添加剤、特に防炎剤、殺真菌剤、バインダーを含む群から選択される添加剤3〜12%と
からなるセルロース防音断熱材により解決される。
【0011】
また、前記概略の課題は、繊維状のセルロース防音断熱材(LFCI)の連続的な製造方法であって、
a.) セルロース繊維を準備する工程;
b.) 防火剤溶液を準備する工程;
c.) 上記防火剤溶液を上記繊維に吹き付ける工程;
d.) こうして得られた材料を空気流中で乾燥させる工程;
e.) その際に生ずる排気流中に含まれるダストを、前記工程a.)へと再循環させる工程
を特徴とする前記方法により解決される。
【0012】
従属形式請求項は、好ましい実施形態を表す。
【0013】
直接的な文脈から他の意味が生まれない限り、以下の概念はここで示した意味を有する。
【0014】
本発明に関係して示される一般的な、好ましい、かつ特に好ましい実施形態、範囲などは、任意に互いに組み合わせることができる。同様に、個々の定義、実施形態などは省略でき、もしくは関連していなくてよい。
【0015】
パーセントの表記は、特段の記載がない限り、質量%として示される。
【0016】
概念"セルロース防音断熱材"("LFCI")は公知であり、かつ例えば規格FprEN15101−1及び−2(最終案)に記載されている。セルロース防音断熱材は、吹込み防音断熱材、ルースフィルセルロース防音断熱材(LFCI)とも呼ばれる。本発明によれば、セルロース防音断熱材(LFCI)は、繊維様(繊維状)の材料である;粒状物もしくは粒状の防音断熱材は、本発明には含まれない。
【0017】
以下に、本発明を、特に方法及び材料を、図面を引用しつつより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明によるセルロース防音断熱材(LFCI)の製造方法を概略的に示している。その際、上方の図面においては、中間収容所(Zwischenlager)を有さない1つのラインでの実施形態が示されており、かつ下方の図面においては、独立した紙繊維ラインと木繊維ラインとを有する実施形態及び中間収容所の使用が示されている。
【図2】図2は、それに対して、紙と木をベースとするセルロース防音断熱材(LFCI)の公知の製造方法を示している。
【0019】
図面において、は粉砕機を表し、は乾燥機を表し、は吹き付け装置を表し、は再循環導管を表し、は中間貯蔵所を表し、BSM(l)もしくはBSM(s)は防火剤(液状もしくは固体)を表す;破線の範囲は任意である;添え字のP及びHは紙と木を表す。
【0020】
本発明は、第一の態様においては、紙繊維及び木繊維からなる混合物(a)及び添加剤(b)を含む(すなわち、それらを含有する又はそれらからなる)改善されたセルロース防音断熱材(LFCI)、特に繊維状のセルロース防音断熱材に関する。
【0021】
セルロース防音断熱材(LFCI)は、原則的に、あらゆるセルロース含有の材料から製造できる。今まで、セルロース防音断熱材(LFCI)は、紙繊維又は木繊維のいずれかから製造されていた。新たに、紙繊維及び木繊維の混合物を含有するセルロース防音断熱材(LFCI)が特に良好な機械的特性を有することが新たに見出された。これらの新規のセルロース防音断熱材(LFCI)は、本発明による方法で製造できるが、公知の方法によっても製造できる。
【0022】
以下に、本発明によるセルロース防音断熱材(LFCI)、特にその個々の成分をより詳細に説明する。
【0023】
概念"紙繊維"は公知であり、主として屑紙(特に新聞紙)及び使用済み廃棄物(再生紙)であって、複数の製造工程で細かくされて繊維分離(auffasern)されるものの使用を含む。これらの紙繊維は、本発明によるセルロース防音断熱材(LFCI)との関係においては、該紙繊維が中空室の確実な充填を可能にする計算できる流動挙動を保証するので特に適している。
【0024】
概念"木繊維"は公知であり、主として針葉樹材(好ましくはトウヒ及びモミ)であって、複数の製造工程で細かくされて繊維分離されるものの使用を含む。本発明によるセルロース防音断熱材(LFCI)との関連において特に適しているのは、"支持機能"としての特性と紙繊維への補足である。
【0025】
概念"添加剤"は、セルロース防音断熱材(LFCI)との関連において公知であり、セルロース防音断熱材(LFCI)の特性にポジティブな影響を及ぼすあらゆる材料、特に防火防燃剤(Brand−Glimmschutzmittel)、殺真菌剤、バインダーを含む。
【0026】
概念"防火剤"("BSM"、防炎剤とも呼ぶ)は公知であり、液状のもしくは溶解された防火剤を含む。好ましい液状の防火剤(BSM)は、少なくとも50%のホウ素化合物、アルミニウム化合物又はリン化合物(典型的にはホウ酸誘導体、アルミン酸塩、リン酸塩)を含有する水溶液である。液状の防火剤(BSM)は、更なる添加剤成分を含有してよい。
【0027】
概念"殺真菌剤"は公知であり、その分野で公知の化合物、例えばアニオン系界面活性剤、有機金属化合物、ハロゲン化芳香族化合物などの化合物を含む。好適な殺真菌剤は、例えばNaegele(DE1982977号、特に第2頁の第2段落及び最後の段落)に挙げられる;この文献は、参照をもって全範囲について開示されたものとする。
【0028】
概念"バインダー"は公知であり、その分野で公知の化合物、例えばタル油ロジン(Tallharz)、ガムロジン又はリグニンスルホネートなどの化合物を含む。好適なバインダーは、例えばWilloc他(DE19516186号、特に第3段落)に挙げられる;この文献は、参照をもって全範囲について開示されたものとする。
【0029】
好ましい一実施形態において、本発明は、紙繊維/木繊維の比率が80/20〜20/80の範囲、好ましくは60/40〜40/60の範囲に調整されているセルロース防音断熱材(LFCI)に関する。この範囲において、最も少ない材料必要量で、中空室の陥没安定性の(setzungssicher)充填のための最適値が達成される。
【0030】
更なる好ましい一実施形態においては、本発明は、セルロース繊維/添加剤の比率が97/3〜88/12の範囲に、好ましくは91/9〜93/7の範囲に調整されているセルロース防音断熱材(LFCI)に関する。驚くべきことに、本発明による方法によって、そのような少量の添加剤が、セルロース防音断熱材(LFCI)についての規範的な基準値に達するために十分であることが示された。それらの添加剤は、本質的に、上述のセルロース繊維上又はその中に存在するが、付加的に個別の粒子としてセルロース防音断熱材(LFCI)中に存在していてもよい。
【0031】
概念"セルロース繊維"は公知であり、紙繊維及び木繊維を含む。セルロース繊維は、典型的には繊維分(すなわち約1/2mmの大きさを有する粒子)及び微細分(すなわち約0.2mmの大きさを有する粒子)を有する。概念"繊維"は、本発明の範囲では、ほぐすことから得られる、繊維束及び繊維集塊物(Agglomerate)も含む。繊維(繊維束及び繊維集塊物を含む)は、粒状物に対して、本質的に球状構造を有さない。
【0032】
既に述べたように、本発明によるセルロース防音断熱材(LFCI)は、特に吹込み防音断熱材として適している。かかる吹込み防音断熱材は、そのような材料について関連している規範的な目的を満たすか又はそれを上回る。従って、本発明は、同様に、本願に記載のセルロース防音断熱材(LFCI)を含む吹込み防音断熱材に関すると同時に、本願に記載のセルロース防音断熱材(LFCI)もしくは吹込み防音断熱材を含有する建造物に関する。吹込み防音断熱材は、屋根領域、壁部領域及び/又は床領域で使用できる。
【0033】
本発明は、第二の態様においては、セルロース防音断熱材(LFCI)の製造方法であって、
(a)セルロース繊維を準備し、
(b)防火剤溶液を準備し、
(c)上述の防火剤溶液を上述の繊維に吹き付け、
(d)こうして得られた材料を空気流中で乾燥させ、その際、セルロース防音断熱材(LFCI)が生じ、そして
(e)場合により、排気流に含まれるダストを(a)に再循環させる
ことを特徴とする方法に関する。
【0034】
以下に、本発明による方法、特に個々の部分工程並びにそれに適した装置をより詳細に説明する。図1において、本発明による方法(上方)及び公知の方法(下方)の大まかなプロセススキームが示されている。破線は、任意の追加事項を意味する。
【0035】
本発明による方法は、本願に記載のセルロース防音断熱材(LFCI)に使用できるが、前記の添加剤(例えば防火剤(BSM))を含有する場合は、自体公知のセルロース防音断熱材(LFCI)にも使用できる。所望の燃焼挙動の達成のために、セルロース防音断熱材(LFCI)には典型的には、防火剤(BSM)の群からの添加剤が添加される。できる限り少ない防火剤(BSM)を、例えば12%未満の、好ましくは10%以下の、特に5%以下の防火剤(BSM)を、完成した製品に添加することが望ましい。防火剤(BSM)の添加は、工業的な規模では困難であると見なされている。それというのも、一様な分配を保証せねばならず、かつ生産設備のスケーリングを避けねばならないからである。前記の問題は、本発明による方法によって回避される。
【0036】
本発明による方法は、連続的に行うことができる。すなわち工程(a)〜(e)は連続的に行われる。本願に記載の方法によるプロセス経路に典型的な生産速度("生産能力")は、3t(セルロース防音断熱材(LFCI))/時間(h)超である。本発明による方法の一実施形態においては、2t/h超(例えば3t/h)の紙繊維及び2t/h超(例えば3t/h)の木繊維が連続的に供給される。それは、4t/h超(例えば6t/h)の生産速度(生産能力)をもたらす。
【0037】
本発明による方法は、脱塵をせずに行うことができる。すなわち個々の工程で場合により形成される微細分は、該方法に悪影響を及ぼすことなく後続工程に連行することができる。微細分の除去が行われない場合に、工程(e)を行うことが好ましい。脱塵を行うかどうかは、とりわけ、投入材料(特に紙繊維)の品質と所望の生成物品質に依存する。
【0038】
工程(a): この工程の出発材料であるセルロース繊維(特に木繊維及び紙繊維)は公知であり、商業的に入手可能である。好ましくは、紙繊維と木繊維とからなる80/20〜20/80の比率の混合物であるセルロース繊維が使用される。セルロース繊維からなる混合物は、生産経路とは別個に製造できるか、又は個々のコンポーネントから直接、生産経路に供給できる。好ましくは、好適な出発材料、例えば細かくされた紙及び木片は、粉砕機Mへと連続的に供給され、そこで加工されてセルロース繊維からなる混合物となる。
【0039】
工程(b): この工程の出発材料である液状の防火剤(BSM)は公知であり、商業的に入手可能である。今までの方法では、防火剤(BSM)は典型的には固体として添加されていた。更に、その添加は、該方法のより早期の時点で、すなわち(製用)粉砕機の前で又はそこで行われていた。本発明によれば、前記の添加は、粉砕機の後に液体の形で行われ、引き続き乾燥工程が行われる。任意に、本発明による方法では付加的に固体の防火剤(BSM)を粉砕機(M)で又は粉砕機の前で計量供給することができる。この措置は、粉砕機における火災及び爆発の危険性に対して付加的な保護を提供する。
【0040】
工程(c): 溶液の吹き付けは自体公知であり、商業的に入手可能な装置をもって行われる。工程(c)で使用される添加剤溶液は、少なくとも1種の防火剤と、場合により更なる成分、例えば殺真菌剤を含有する。これらの成分は、前記のものである。
【0041】
工程(d): 好ましい一実施形態においては、乾燥は熱気を用いて行われる。その際に生ずる湿った排気は、典型的には連行された微細分を含有する。乾燥の終わりに、防火剤(BSM)と、場合により更なる添加剤とで変性されているセルロース防音断熱材(LFCI)が得られる。
【0042】
工程(e): 工程(d)の空気流中に連行される微細分は、好ましくは該方法の前方に位置する方法工程、例えば粉砕機へと再循環される。それは、好ましくは1つもしくは複数の再循環導管(R)で行われる。この措置は、生成物品質に悪影響を及ぼすことなく、添加剤の消費量を減らす。
【0043】
典型的には、低品質の紙から製造される紙繊維の場合には、より多くのダストが生じ、それは該プロセスから取り出すことができる。このダストは、高品質の紙から製造される紙繊維の場合か、あるいは望まれる第二の品質の場合のいずれかで、制御下にLCFIへと再び供給することができる。一実施形態においては、従って、本発明は、本願に記載の方法であって、工程(d)の空気流に連行された微細分が分離除去され、中間収容されて、必要に応じて該方法の前方に位置したプロセス工程へと再循環される前記方法に関する。この変法は、出発材料の品質の変動を埋め合わせることができ、かつ/又は製造されたセルロース防音断熱材(LFCI)の特性を厳密に調整することができるという利点を有する。
【0044】
該方法の更なる一実施形態において、独立した1ずつの紙繊維ラインと木繊維ラインとが設けられる。この実施形態においては、出発材料、つまり紙繊維及び木繊維は、工程a)、b)、c)及びd)へと並行して導かれ、次いで本発明によるセルロース防音断熱材(LFCI)に混合される。この実施形態は、本発明によるセルロース防音断熱材(LFCI)も、純粋な紙ベース及び/又は純粋な木ベースのものも製造できるという利点を有する。更に、個々のプロセス工程及び装置は、相応の出発材料に沿って最適化することができる。
【0045】
本発明による方法は、そのために特別に適合された装置で実施される。従って、本発明は、また、セルロース防音断熱材(LFCI)の連続的な製造装置であって、
(i)セルロース繊維を製造する粉砕機(M)と、
(ii)その後続に配置される、1もしくは複数の添加剤溶液をセルロース繊維に吹き付ける吹き付け装置(S)と、
(iii)その後続に配置される、熱気をもって作動され、製造されたセルロース防音断熱材(LFCI)の所望の乾燥度を調整する乾燥機(T)と
を含む前記装置において、乾燥機(T)のダストを含む排気が、1もしくは複数の再循環導管(R)を介して粉砕機(M)中に導かれることを特徴とする、セルロース防音断熱材(LFCI)の連続的な製造装置に関する。装置(M)、(S)、(T)の個々のモジュールは自体公知であり、場合により本願に記載の方法の要求に適合される。
【0046】
該装置は、1つ又は複数のラインで構成されていてよい。一実施形態において、本発明による装置は、紙繊維ライン(図1の添え字Pを参照のこと)及び木繊維ライン(図1の添え字Hを参照のこと)を有する。この実施形態では、複数の装置(M)、(S)、(T)並びに場合により(R)及び(Z)が存在する。
【0047】
該装置は、更に、再循環導管(R)で輸送される材料のための1もしくは複数の中間貯蔵所(Z)を有してよい。一実施形態において、本発明による装置は、各再循環導管(R)について1つの中間貯蔵所(Z)を有する。
【0048】
本発明による方法により製造されるセルロース防音断熱材(LFCI)は、上記規格を満たし、自体公知のようにして更に加工することができ、かつ低い含有率の添加剤、特に防火剤(BSM)を有する。一つの理論に縛られることなく、本発明による方法が、セルロース繊維の表面上で添加剤の特に一様な分配を保証することと、所望の作用(例えば防火、殺真菌作用)がより少ない全体濃度にもかかわらず観察されることから出発する。従って、本発明は、本願に記載の方法により製造されたセルロース防音断熱材(LFCI)にも関する。
【0049】
本発明は、第三の態様において、本発明によるセルロース防音断熱材(LFCI)を、建築構造の断熱のために(もしくは建築構造の防音断熱材として)用いる使用に関し、そして更に吹込み防音断熱材の製造方法にも関する。以下に、本発明のこの態様をより詳細に説明する。
【0050】
本発明によるセルロース防音断熱材(LFCI)は、自体公知の方法により、建築現場で又は工場において、更に加工して吹込み防音断熱材とすることができる。特に、このセルロース防音断熱材(LFCI)を建築現場で商慣習の機器(例えば吹込機)を用いて加工することができる。従って、本発明は、吹込み防音断熱材の製造方法であって、本願に記載のセルロース防音断熱材(LFCI)を建築構造の中空室に吹き込むことを特徴とする前記方法に関する。
【0051】
概念"建築構造の中空室"は、屋根領域、壁部領域及び床部領域における建築構造の種々の領域を含む;例えば(i)壁部の間(例えば外壁(例えばファッサードと支持構造との間)又は内壁に対して)、(ii)床部に対して、(iii)屋根構造に対して。従って、その概念は、特に最上のフロア床面の中空室、勾配屋根中の中空室、屋根裏(Drempelraum)、中空壁、木枠構造中の中空室、取付用垂直空間を含む。
【0052】
以下に挙げる実施例は、本発明の更なる説明に用いられる;それらの実施例は、本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0053】
セルロース防音断熱材(LFCI)の製造:
工業装置において、以下のセルロース防音断熱材(LFCI)は、液状の防火剤(BSM)溶液を使用して製造される。防火剤(BSM)溶液は、アンモニウム塩の混合物を含有する。公知の製造方法は、結晶形又は粉末形の乾式防火剤(BSM)を使用する;それらの試験は、粉末形の同じ骨材が、所望の防火と防かびを保証するためには、3〜6%多く計量供給せねばならないことを示している。
【0054】
【表1】

【0055】
測定:
上記のように製造された本発明によるセルロース防音断熱材(LFCI)を、商用セルロース防音断熱材(LFCI)と比較する;その際、密度及び相対復元力/陥没安定性が考慮される。紙繊維(マーケットシェア99%)は、約52kg/m3超の圧縮率以降からはじめて陥没安定性に取付けできることを示している。密度40〜42kg/m3での公知の木繊維は、陥没安定性ではなかった。50%の紙繊維と50%の木繊維とを有する本発明による混合物は、40〜42kgの吹込み密度で陥没安定性であり、かつ複数の試験において、きちんとした計算可能な充填を可能にした。
【0056】
【表2】

【0057】
*リスクの付加(Risiko Zuschlag)を伴わない測定値;実際には、約8〜12%高い吹込み密度が推奨される。
【符号の説明】
【0058】
M 粉砕機、 T 乾燥機、 S 吹き付け装置、 R 再循環導管、 Z 中間貯蔵所 、 BSM(l)もしくはBSM(s) 防火剤(液状もしくは固体)、 添え字の(P)及び(H) 紙と木

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース防音断熱材(LFCI)、特に繊維状のセルロース防音断熱材であって、
a.) 紙繊維及び木繊維の比率80/20〜20/80の混合物88〜97%と、
b.) 添加剤、特に防炎剤、殺真菌剤、バインダーを含む群から選択される添加剤3〜12%と
からなるセルロース防音断熱材。
【請求項2】
請求項1に記載のセルロース防音断熱材(LFCI)であって、
a.) 紙繊維及び木繊維の比率40/60〜60/40の混合物91〜93%と、
b.) 添加剤3〜9%と
からなるセルロース防音断熱材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のセルロース防音断熱材(LFCI)であって、前記紙繊維が新聞紙から製造されていることを特徴とする前記セルロース防音断熱材。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のセルロース防音断熱材(LFCI)であって、前記木繊維が針葉樹材から製造されていることを特徴とする前記セルロース防音断熱材。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のセルロース防音断熱材(LFCI)であって、前記添加剤が防炎剤の群から選択されていることを特徴とする前記セルロース防音断熱材。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載のセルロース防音断熱材(LFCI)を含む吹込み防音断熱材。
【請求項7】
請求項1から5までのいずれか1項に記載のセルロース防音断熱材(LFCI)及び/又は請求項6に記載の吹込み防音断熱材を含有する建造物。
【請求項8】
繊維状のセルロース防音断熱材(LFCI)の連続的な製造方法であって、
a.) セルロース繊維を準備する工程;
b.) 防火剤溶液を準備する工程;
c.) 上記防火剤溶液を上記繊維に吹き付ける工程;
d.) こうして得られた材料を空気流中で乾燥させる工程;
e.) その際に生ずる排気流中に含まれるダストを、前記工程a.)へと再循環させる工程
を特徴とする前記方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、少なくとも4t(セルロース防音断熱材(LFCI))/時間(h)の生産速度で行われる前記方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法であって、前記セルロース繊維が紙繊維及び木繊維からなる比率80/20%〜20/80%の混合物である前記方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記紙繊維及び木繊維を、工程a.)、b.)、c.)及びd.)に並行して導き、次いで混合するか、又は工程a.)で混合し、そして工程b.)、c.)及びd.)で混合物として更に加工するか、のいずれかを行う前記方法。
【請求項12】
請求項8から11までのいずれか1項に記載の方法により製造されるセルロース防音断熱材(LFCI)。
【請求項13】
請求項1から5までのいずれか1項に記載のセルロース防音断熱材(LFCI)を、建造物用の防音断熱材として用いる使用。
【請求項14】
吹込み防音断熱材の製造方法であって、請求項1から5までのいずれか1項に記載のセルロース防音断熱材(LFCI)を、建築構造の中空室に、特に建築構造の屋根領域、壁部領域及び/又は床部領域に吹き込むことを特徴とする前記方法。
【請求項15】
セルロース防音断熱材(LFCI)、特に請求項1から5までのいずれか1項に記載のセルロース防音断熱材(LFCI)の製造のための連続的な装置であって、
a.) セルロース繊維を生成する1もしくは複数の粉砕機(M)と、
b.) その後に配置された、1もしくは複数の添加剤溶液をセルロース繊維に吹き付ける1もしくは複数の吹き付け装置(S)と、
c.) その後に配置された、熱気をもって作動され、かつ製造されるセルロース防音断熱材(LFCI)の所望の乾燥度を調整する1もしくは複数の乾燥機(T)と
を含む前記装置において、乾燥機(T)のダストを含む排気が、1もしくは複数の再循環導管(R)を介して粉砕機(M)中に導かれ、そして場合により前記導管(R)が中間収容所(Z)と接続されていることを特徴とする前記装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−241908(P2012−241908A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−117655(P2012−117655)
【出願日】平成24年5月23日(2012.5.23)
【出願人】(512084639)パヴァテックス ソシエテ・アノニム (3)
【氏名又は名称原語表記】Pavatex SA
【住所又は居所原語表記】Route de la Pisciculture 37, CH−1701 Fribourg, Switzerland
【Fターム(参考)】