説明

セレクタ装置

【課題】 リセット制御信号を変換手段に供給するためだけのマイコンを備えることなく、第1デジタル音声入力端子と第2デジタル入力端子との間で選択状態を切換える際に、必ず変換手段をリセット動作させる。
【解決手段】 スライドスイッチ2が、第1デジタル音声入力端子と第2デジタル音声入力端子との間で選択状態を切換える際に、必ず、アナログ音声入力端子を選択する状態を経由する。スライドスイッチがアナログ音声入力端子を選択すると、DIR3のリセット端子が接地電位に接続された状態になる。その結果、DIR3はリセット動作を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1デジタル音声入力端子、第2デジタル音声入力端子、アナログ音声入力端子のうちの1つを選択するセレクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図3に示すように、アンプ装置には、音声信号の入力をオプティカルデジタル音声入力端子とコアキシャルデジタル音声入力端子との間で切換えるスイッチが設けられている。オプティカルデジタル音声入力端子、又は、コアキシャルデジタル音声入力端子から入力されたデジタル音声信号は、DIRにおいてI2Sフォーマットのデジタル音声信号に変換され、DACにおいてアナログ音声信号に変換され、後段のボリューム回路やアンプ回路に供給される。ここで、スイッチをオプティカルデジタル音声入力端子とコアキシャルデジタル音声入力端子との間で切換えると、タイミングによっては、DIRにおいて、直前に入力されたデジタル音声信号が未だ残っていると、直前に入力されたデジタル音声信号に新たに入力されたデジタル音声信号が合わさってしまい、再生することのできない信号になり、ノイズが再生されてしまうことがある。
【0003】
これを防止するために、スイッチをオプティカルデジタル音声入力端子とコアキシャルデジタル音声入力端子との間で切換える際に、DIRをリセットさせ、直前に入力されたデジタル音声信号を消去する必要がある。従来では、図4に示すように、アンプ装置がマイコンを備え、スイッチをオプティカルデジタル音声入力端子とコアキシャルデジタル音声入力端子との間で切換える際に、マイコンがDIRにリセット制御信号を所定時間送信することによって、DIRをリセットさせている。しかし、マイコンを備える必要のないアンプ装置において、DIRにリセット制御信号を送信するためだけにマイコンを備えるのはコスト面で好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−177031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、リセット制御信号を変換手段に供給するためだけのマイコンを備えることなく、第1デジタル音声入力端子と第2デジタル入力端子との間で選択状態を切換える際に、変換手段をリセット動作させることができるセレクタ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の好ましい実施形態によるセレクタ装置は、第1デジタル音声入力端子と、第2デジタル音声入力端子と、アナログ音声入力端子と、前記第1デジタル音声入力端子と、前記第2デジタル音声入力端子と、前記アナログ音声入力端子とのうちの1つを選択し、その選択状態が、前記第1デジタル音声入力端子、前記アナログ音声入力端子、前記第2デジタル音声入力端子およびその逆の順番に切換えられるスライドスイッチと、前記スライドスイッチが、前記第1デジタル音声入力端子、又は、前記第2デジタル音声入力端子を選択しているとき、前記第1デジタル音声入力端子、又は、前記第2デジタル音声入力端子から前記スライドスイッチを経由して供給されるデジタル音声信号を所定規格デジタル音声信号に変換する変換手段と、前記スライドスイッチが、前記第1デジタル音声入力端子、又は、前記第2デジタル音声入力端子を選択しているとき、前記変換手段からの音声信号を後段に出力するように選択し、前記スライドスイッチが、前記アナログ音声入力端子を選択しているとき、前記アナログ音声入力端子からのアナログ音声信号を後段に出力するように選択する第2スイッチとを備え、前記スライドスイッチが、前記第1デジタル音声入力端子、又は、前記第2デジタル音声入力端子を選択しているとき、前記変換手段のリセット端子を前記スライドスイッチを介して第1レベルの電位に接続させないことによって、前記変換手段がリセット動作を実行せず、前記スライドスイッチが、前記アナログ音声入力端子を選択しているとき、前記変換手段のリセット端子を前記スライドスイッチを介して前記第1レベルの電位に接続させることによって、前記変換手段がリセット動作を実行する、セレクタ装置。
【0007】
スライドスイッチが、第1デジタル音声入力端子と第2デジタル音声入力端子との間で選択状態を切換える際に、必ず、アナログ音声入力端子を選択する状態を経由する。スライドスイッチがアナログ音声入力端子を選択すると、変換手段のリセット端子がスライドスイッチを介して第1レベルの電位に接続された状態になる。その結果、変換手段はリセット動作を実行する。第1レベルの電位は、特に限定されないが、接地電位でもよく、所定の電源電圧ラインでもよい。
【0008】
好ましい実施形態においては、前記変換手段をリセット動作させるリセット制御信号を前記変換手段に供給するリセット制御信号生成手段をさらに備え、前記スライドスイッチが、前記第1デジタル音声入力端子、又は、前記第2デジタル音声入力端子を選択しているとき、前記リセット制御信号生成手段を前記スライドスイッチを介して前記第1レベルの電位に接続させないことによって、前記リセット制御信号生成手段がリセット制御信号を前記変換手段に供給せず、前記変換手段がリセット動作を実行せず、前記スライドスイッチが、前記アナログ音声入力端子を選択しているとき、前記リセット制御信号生成手段を前記スライドスイッチを介して前記第1レベルの電位に接続させることによって、前記リセット制御信号生成手段がリセット制御信号を所定時間継続して前記変換手段に供給し、前記変換手段がリセット動作を実行する。
【0009】
この場合、第1デジタル音声入力端子からアナログ音声入力端子を経て第2デジタル音声入力端へ(またはその逆の順に)瞬間的に選択状態を切換えられた場合でも、リセット制御信号生成手段が、所定時間継続して、リセット制御信号を変換手段に供給する。従って、より確実に、変換手段がリセット動作を実行することができる。
【発明の効果】
【0010】
リセット制御信号を変換手段に供給するためだけのマイコンを備えることなく、第1デジタル音声入力端子と第2デジタル入力端子との間で選択状態を切換える際に、必ず変換手段をリセット動作させることができるセレクタ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】本発明の好ましい実施形態によるセレクタ装置を示す回路図である。
【図1B】本発明の好ましい実施形態によるセレクタ装置を示す回路図である。
【図1C】本発明の好ましい実施形態によるセレクタ装置を示す回路図である。
【図2A】本発明の好ましい実施形態によるセレクタ装置を示す回路図である。
【図2B】本発明の好ましい実施形態によるセレクタ装置を示す回路図である。
【図2C】本発明の好ましい実施形態によるセレクタ装置を示す回路図である。
【図3】従来のセレクタ装置を示すブロック図である。
【図4】従来のセレクタ装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施形態によるセレクタ装置1について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。セレクタ装置1は、アンプ装置やTV等に採用され得る。
【0013】
図1A〜図1Cは、セレクタ装置1を示す概略回路図である。セレクタ装置1は、スライドスイッチ2と、変換手段の一例であるDIR(Digital Audio Interface Receiver)3と、DAC(Digital Analog Converter/ Digital Audio Converter)4と、リレースイッチ5とを概略備える。セレクタ装置1は、音声入力端子として、少なくとも、複数のデジタル音声入力端子と、1つ以上のアナログ音声入力端子とを備える。本例では、デジタル音声入力端子は、オプティカルデジタル音声入力端子(第1デジタル音声入力端子)と、コアキシャルデジタル音声入力端子(第2デジタル音声入力端子)とを含むが、2つのオプティカルデジタル音声入力端子であってもよく、2つのコアキシャルデジタル音声入力端子であってもよい。
【0014】
スライドスイッチ2は、複数の音声信号の中から、アンプ装置が増幅してスピーカーに出力する音声信号を選択する。つまり、スライドスイッチ2は、複数の音声入力端子の中から、アンプ装置が増幅してスピーカーに出力する音声信号が入力される音声入力端子を選択する。スライドスイッチ2は、少なくもと3つの選択状態を有している。スライドスイッチ2の選択状態としては、左から順に、第1デジタル音声入力端子(オプティカルデジタル音声入力端子)、アナログ音声入力端子、第2デジタル音声入力端子(コアキシャルデジタル音声入力端子)の順番に並んでいる。すなわち、オプティカルデジタル音声入力端子と、コアキシャルデジタル音声入力端子との間で選択状態を切換える際に、必ず、アナログ音声入力端子の選択状態を経由する。
【0015】
スライドスイッチ2は、アナログ音声入力端子を選択する際に、後段のDIR3のリセット端子を第1レベルの電位(本例では接地電位)に接続させることにより、DIR3のリセット端子に対してリセット制御信号(ローレベルの信号)を供給するように構成されている。従って、オプティカルデジタル音声入力端子と、コアキシャルデジタル音声入力端子とを切換える際に、必ず、アナログ音声入力端子の選択状態を経由するので、必ず、DIR3のリセット端子に対してリセット制御信号を供給することができる。スライドスイッチ2がDIR3にリセット制御信号を供給するので、DIR3にリセット制御信号を供給するためのマイコンを別途設ける必要がない。
【0016】
スライドスイッチ2は、スイッチ本体21、22と、端子a〜jとを含む。スイッチ本体21、22は連動して図示左右方向にスライド移動可能である。スイッチ本体21は、端子f〜jのうちの2つの端子と接続することができ、選択された2つの端子を導通(電気的に接続)させることができる。スイッチ本体22は、端子a〜eのうちの2つの端子と接続することができ、選択された2つの端子を導通(電気的に接続)させることができる。
【0017】
端子bは、接地電位に接続されている。端子cは、端子dと、DIR3のリセット端子とに接続され、かつ、抵抗R2を介してリレースイッチ5を制御するためのpnp型トランジスタQ1のベースに接続されている。端子fは、オプティカルデジタル音声入力端子に接続されている。端子gは、抵抗R1を介して接地電位に接続されている。端子hは、端子iと、DIR3のデジタル音声入力端子RXとに接続されている。端子jは、コアキシャルデジタル音声入力端子に接続されている。
【0018】
図1Aは、スライドスイッチ2のスイッチ本体21,22が左側に位置する状態を示し、オプティカルデジタル音声入力端子が選択された状態を示す。このとき、スイッチ本体21は、端子fと端子hとを導通させる。従って、オプティカルデジタル音声入力端子からのデジタル音声信号が端子f、スイッチ本体21、端子hを介してDIR3のデジタル音声入力端子RXに供給される。また、スイッチ本体22は、端子aと端子cとを導通させる。従って、DIR3のリセット端子を接地電位に接続させず、DIR3のリセット端子にリセット制御信号(ローレベルの信号)を供給しない。
【0019】
図1Bは、スライドスイッチ2のスイッチ本体21,22が中央側に位置する状態を示し、アナログ音声入力端子が選択された状態を示す。このとき、スイッチ本体21は、端子gと端子iとを導通させる。従って、DIR3のデジタル音声入力端子RXは、端子i、スイッチ本体21、端子g、抵抗R1を介して接地電位に接続され、デジタル音声信号が入力されない。また、スイッチ本体22は、端子bと端子dとを導通させる。従って、DIR3のリセット端子は、端子d、スイッチ本体22、端子bを介して接地電位に接続され、リセット制御信号(ローレベルの信号)が供給される。
【0020】
図1Cは、スライドスイッチ2のスイッチ本体21、22が右側に位置する状態を示し、コアキシャルデジタル音声入力端子が選択された状態を示す。このとき、スイッチ本体21は、端子hと端子jとを導通させる。従って、コアキシャルデジタル音声入力端子からのデジタル音声信号が端子j、スイッチ本体21、端子hを介してDIR3のデジタル音声入力端子RXに供給される。また、スイッチ本体22は、端子cと端子eとを導通させる。従って、DIR3のリセット端子を接地電位に接続させず、DIR3のリセット端子にリセット制御信号(ローレベルの信号)を供給しない。
【0021】
DIR3は、デジタル音声入力端子RXと、リセット端子RESETと、デジタル音声出力端子DOUTとを含む。デジタル音声入力端子RXは、スライドスイッチ2の端子h、端子iに接続されている。リセット端子RESETは、5V電源電圧ラインと、スライドスイッチ2の端子c、端子dとに接続されている。デジタル音声出力端子DOUTは、DAC4のデジタル音声入力端子DATAに接続されている。
【0022】
DIR3は、デジタル音声入力端子RXに入力されたデジタル音声信号を所定規格のデジタル音声信号(特に限定されないが本例ではI2Sデジタル音声信号)に変換し、デジタル音声出力端子DOUTから出力する。DIR3は、スライドスイッチ2の選択状態がオプティカルデジタル音声入力端子とコアキシャルデジタル音声入力端子との間で切換えられる際に、リセット端子RESETにリセット制御信号(ローレベルの信号)が供給され、リセット動作を実行する必要がある。つまり、リセット端子RESETは、スライドスイッチ2がオプティカルデジタル音声入力端子又はコアキシャルデジタル音声入力端子を選択している状態では、スライドスイッチ2を介して接地電位に接続されず、5V電源電圧ラインに接続された状態になるので、ハイレベルの信号が入力されており(リセット制御信号が入力されておらず)、リセット動作を実行しない。また、リセット端子RESETは、スライドスイッチ2がアナログ音声入力端子を選択している状態では、スライドスイッチ2を介して接地電位に接続された状態になるので、ローレベルの信号(リセット制御信号)が入力されており、リセット動作を実行する。ここで、リセット動作とは、DIR3内に保持されているデジタル音声信号のデータ(情報)を消去することである。つまり、スライドスイッチ2が、オプティカルデジタル音声入力端子から、アナログ音声入力端子を経由して、コアキシャルデジタル音声入力端子を選択する場合、DIR3はリセット動作によって、オプティカルデジタル音声入力端子から入力されたデジタル音声信号のデータを全て消去する。
【0023】
DIR3としては、特に限定されないが、例えば、WOLFSON MICROELECTRONICS社製のWM8804GEDS/RVが採用されるとよい。
【0024】
DAC4は、デジタル音声入力端子DATAと、アナログ左音声出力端子LOUTと、アナログ右音声出力端子ROUTとを含む。デジタル音声入力端子DATAは、DIR3のデジタル音声出力端子DOUTに接続されている。アナログ左音声出力端子LOUTは、リレースイッチ5のスイッチSW1に接続されている。アナログ右音声出力端子ROUTは、リレースイッチ5のスイッチSW2に接続されている。DAC4は、デジタル音声入力端子DATAに入力されたI2Sデジタル音声信号をアナログ左音声信号およびアナログ右音声信号に変換し、リレースイッチ5に出力する。
【0025】
リレースイッチ5は、スライドスイッチ2の選択状態に応じて、トランジスタQ1によって切換制御され、後段のボリューム回路やアンプ回路等に出力するアナログ音声信号を、アナログ音声入力端子から入力されたアナログ音声信号と、DAC4から入力されたアナログ音声信号との間で切換える。つまり、スライドスイッチ2がオプティカルデジタル音声入力端子又はコアキシャルデジタル音声入力端子を選択している場合には、DAC4からのアナログ音声信号をボリューム回路やアンプ回路に出力するように切換え、スライドスイッチ2がアナログ音声入力端子を選択している場合には、アナログ音声入力端子からのアナログ音声信号をボリューム回路やアンプ回路に出力するように切換える。
【0026】
リレースイッチ5は、スイッチSW1、SW2と、コイルLとを含む。スイッチSW1の入力側の一方の端子はアナログ左音声入力端子に接続され、入力側の他方の端子はDAC4のアナログ左音声出力端子LOUTに接続され、出力側の端子はボリューム回路やアンプ回路等に接続されている。スイッチSW2の入力側の一方の端子はアナログ右音声入力端子に接続され、入力側の他方の端子はDAC4のアナログ右音声出力端子ROUTに接続され、出力側の端子はボリューム回路やアンプ回路等に接続されている。コイルLは、一端がトランジスタQ1のコレクタに接続され、他端が接地電位に接続されている。
【0027】
トランジスタQ1はリレースイッチ5を切換制御するためのものである。トランジスタQ1は、ベースが抵抗R2を介してスライドスイッチ2の端子c、端子dに接続され、コレクタがコイルLに接続され、エミッタが5V電源電圧ラインに接続されている。トランジスタQ1は、スライドスイッチ2が、オプティカルデジタル音声入力端子又はコアキシャルデジタル音声入力端子を選択している場合には、ベースがスライドスイッチ2を介して接地電位に接続されず、5V電源電圧ラインに接続された状態になり、オフ状態になる。従って、コイルLに電流が流れないので、スイッチSW1、SW2はDAC4を選択する。一方、トランジスタQ1は、スライドスイッチ2が、アナログ音声入力端子を選択している場合には、ベースがスライドスイッチ2を介して接地電位に接続された状態になり、オン状態になる。従って、コイルLに電流が流れ、スイッチSW1、SW2はアナログ音声入力端子側を選択する。
【0028】
以上の構成を有するセレクタ装置1についてその動作を説明する。
[スライドスイッチ2がオプティカルデジタル音声入力端子を選択している場合]
図1Aに示すように、スライドスイッチ2のスイッチ本体21、22は左側に位置する。スイッチ本体21は、端子fと端子hとを導通させるので、オプティカルデジタル音声入力端子からのデジタル音声信号がDIR3のデジタル音声入力端子RXに供給される。DIR3は、デジタル音声入力端子RXに供給されたデジタル音声信号をI2Sデジタル音声信号に変換し、DAC4に供給する。また、DIR3は、リセット端子RESETが5V電源電圧ラインに接続された状態であるので、リセット動作を実行しない。DAC4は、I2Sデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、リレースイッチ5に供給する。トランジスタQ1は、ベースが5V電源電圧ラインに接続され、オフ状態であり、コイルLに電流が流れない。従って、リレースイッチ5のスイッチSW1、SW2は、DAC4側を選択する。従って、オプティカルデジタル音声入力端子からのデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、ボリューム回路等に供給することができる。
【0029】
[スライドスイッチ2がアナログ音声入力端子を選択している場合]
図1Bに示すように、スライドスイッチ2のスイッチ本体21、22は中央側に位置する。スイッチ本体21は、端子gと端子iとを導通させるので、DIR3のデジタル音声入力端子RXにはデジタル音声信号が供給されない。スライドスイッチ2のスイッチ本体22は、端子bと端子dとを導通させるので、DIR3のリセット端子RESETは、接地電位に接続された状態であり、ローレベルの信号(リセット制御信号)が入力され、DIR3はリセット動作を実行する。トランジスタQ1は、ベースが接地電位に接続され、オン状態であり、コイルLに電流が流れる。従って、リレースイッチ5のスイッチSW1、SW2は、アナログ音声入力端子側を選択する。従って、アナログ音声入力端子からのアナログ音声信号を、ボリューム回路等に供給することができる。
【0030】
[スライドスイッチ2がコアキシャルデジタル音声入力端子を選択している場合]
図1Cに示すように、スライドスイッチ2のスイッチ本体21、22は右側に位置する。スイッチ本体21は、端子hと端子jとを導通させるので、コアキシャルデジタル音声入力端子からのデジタル音声信号がDIR3のデジタル音声入力端子RXに供給される。DIR3は、デジタル音声入力端子RXに供給されたデジタル音声信号をI2Sデジタル音声信号に変換し、DAC4に供給する。また、DIR3は、リセット端子RESETが5V電源電圧ラインに接続された状態であるので、リセット動作を実行しない。DAC4は、I2Sデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、リレースイッチ5に供給する。トランジスタQ1は、ベースが5V電源電圧ラインに接続され、オフ状態であり、コイルLに電流が流れない。従って、リレースイッチ5のスイッチSW1、SW2は、DAC4側を選択する。従って、コアキシャルデジタル音声入力端子からのデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、ボリューム回路等に供給することができる。
【0031】
以上のように、本実施形態によると、スライドスイッチ2の選択状態を、オプティカルデジタル音声入力端子とコアキシャルデジタル音声入力端子との間で切換える際に、必ず、アナログ音声入力端子を選択する状態を経由し、このときに、DIR3のリセット端子RESETを接地電位に接続させることで、リセット動作を実行させることができる。また、アナログ音声入力端子を選択しているときにDIR3がリセット動作を実行するので、リセット動作を実行するためだけの状態をセレクタスイッチ2に設ける必要がないので、ユーザにリセット動作を気づかれることがない。また、アナログ音声入力端子を選択しているときにDIR3がリセット動作を実行するので、デジタル系の回路からの輻射ノイズのアナログ音声信号への影響をなくすことができる。
【0032】
次に、本発明の別の好ましい実施形態によるセレクタ装置11を、図2A〜図2Cを参照して説明する。セレクタ装置11は、図1A〜図1Cのセレクタ装置1と比較して、リセットIC6を追加している点と、スライドスイッチ2がアナログ音声入力端子を選択している際に、接地電位ではなく、所定の電源電圧ライン(ここでは3.3V電源電圧ライン)をリセットIC6の入力とnpn型トランジスタQ2のベースに接続させることにより、ハイレベルの信号をリセットIC6とトランジスタQ2に出力する点で異なっている。
【0033】
スライドスイッチ2について説明する。端子bは、リセットICの入力端子に接続され、かつ、抵抗R2を介してトランジスタQ2のベースに接続されている。端子cは、端子dと、3.3V電源電圧ラインとに接続されている。端子fは、オプティカルデジタル音声入力端子に接続されている。端子gは、抵抗R1を介して接地電位に接続されている。端子hは、端子iと、DIR3のデジタル音声入力端子RXとに接続されている。端子jは、コアキシャルデジタル音声入力端子に接続されている。
【0034】
リセットIC6は、入力端子INがスライドスイッチ2の端子bに接続され、出力端子がDIR3のリセット端子RESETに接続されている。リセットIC6は、スライドスイッチ2がアナログ音声入力端子を選択する際に、入力端子がスライドスイッチ2を介して3.3Vの電源電圧ラインに接続され、ハイレベルの信号が入力されることにより、出力端子から、所定時間(例えば200ミリ秒)継続して、ローレベルの信号(リセット制御信号)をDIR3のリセット端子RESETに供給する。この所定時間は、DIR3がリセット制御信号が入力されたと判断することができる最低時間よりも長い時間に設定されている。従って、ユーザ操作によってスライドスイッチ2が瞬間的にオプティカルデジタル音声入力端子とコアキシャルデジタル音声入力端子との間で切換えられた場合であっても(つまり、アナログ音声入力端子が選択されている状態がわずかな時間しか存在しなくても)、リセットICが所定時間継続してリセット制御信号をDIR3に出力するので、DIR3は確実にリセット動作を実行することができる。
【0035】
次に、本実施形態の動作を説明する。
[スライドスイッチ2がオプティカルデジタル音声入力端子を選択している場合]
図2Aに示すように、スライドスイッチ2のスイッチ本体21、22は左側に位置する。スイッチ本体21は、端子fと端子hとを導通させるので、オプティカルデジタル音声入力端子からのデジタル音声信号がDIR3のデジタル音声入力端子RXに供給される。DIR3は、デジタル音声入力端子RXに供給されたデジタル音声信号をI2Sデジタル音声信号に変換し、DAC4に供給する。また、リセットIC6の入力端子は3.3V電源電圧ラインに接続されておらず、ハイレベルの信号が供給されないので、DIR3のリセット端子にローレベルの信号(リセット制御信号)を供給しない。従って、DIR3は、リセット動作を実行しない。DAC4は、I2Sデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、リレースイッチ5に供給する。トランジスタQ2は、ベースが3.3V電源電圧ラインに接続されず、抵抗R3を介して接地電位に接続された状態であるので、オフ状態であり、コイルLに電流が流れない。従って、リレースイッチ5のスイッチSW1、SW2は、DAC4側を選択する。従って、オプティカルデジタル音声入力端子からのデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、ボリューム回路等に供給することができる。
【0036】
[スライドスイッチ2がアナログ音声入力端子を選択している場合]
図2Bに示すように、スライドスイッチ2のスイッチ本体21、22は中央側に位置する。スイッチ本体21は、端子gと端子iとを導通させるので、DIR3のデジタル音声入力端子RXにはデジタル音声信号が供給されない。スライドスイッチ2のスイッチ本体22は、端子bと端子dとを導通させるので、リセットIC6の入力端子は、端子b、スイッチ本体22、端子dを介して3.3V電源電圧ラインに接続され、ハイレベルの信号が供給される。従って、リセットIC6は、ローレベルの信号(リセット制御信号)をDIR3のリセット端子RESETに所定時間(200ミリ秒間)継続的に供給する。これにより、DIR3はリセット動作を実行する。トランジスタQ2は、ベースが抵抗R2、端子b、スイッチ本体22、端子dを介して3.3V電源電圧ラインに接続され、オン状態であり、コイルLに電流が流れる。従って、リレースイッチ5のスイッチSW1、SW2は、アナログ音声入力端子側を選択する。従って、アナログ音声入力端子からのアナログ音声信号を、ボリューム回路等に供給することができる。
【0037】
[スライドスイッチ2がコアキシャルデジタル音声入力端子を選択している場合]
図2Cに示すように、スライドスイッチ2のスイッチ本体21、22は右側に位置する。スイッチ本体21は、端子hと端子jとを導通させるので、コアキシャルデジタル音声入力端子からのデジタル音声信号がDIR3のデジタル音声入力端子RXに供給される。DIR3は、デジタル音声入力端子RXに供給されたデジタル音声信号をI2Sデジタル音声信号に変換し、DAC4に供給する。また、リセットIC6の入力端子は3.3V電源電圧ラインに接続されておらず、ハイレベルの信号が供給されないので、DIR3のリセット端子にローレベルの信号(リセット制御信号)を供給しない。従って、DIR3は、リセット動作を実行しない。DAC4は、I2Sデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、リレースイッチ5に供給する。トランジスタQ2は、ベースが3.3V電源電圧ラインに接続されず、抵抗R3を介して接地電位に接続された状態であるので、オフ状態であり、コイルLに電流が流れない。従って、リレースイッチ5のスイッチSW1、SW2は、DAC4側を選択する。従って、オプティカルデジタル音声入力端子からのデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、ボリューム回路等に供給することができる。
【0038】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。スライドスイッチが4つの選択状態を有する場合、例えば、左から順番に、第1デジタル音声入力端子、第1アナログ音声入力端子、第2アナログ音声入力端子、第2デジタル音声入力端子の順番に選択されるとよい。スライドスイッチが5つの選択状態を有する場合、例えば、左から順番に、第1デジタル音声入力端子、第1アナログ音声入力端子、第2デジタル音声入力端子、第2アナログ音声入力端子、第3デジタル音声入力端子の順番に選択されるとよい。変換手段は、I2Sデジタル音声信号に変換するもの限定されず、例えばSPDIF等の他の規格に変換するものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、アンプ又はアンプ内蔵スピーカー等に好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0040】
1 リセット装置
2 スライドスイッチ
3 DIR
4 DAC
5 リレースイッチ
6 リセットIC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1デジタル音声入力端子と、第2デジタル音声入力端子と、アナログ音声入力端子と、
前記第1デジタル音声入力端子と、前記第2デジタル音声入力端子と、前記アナログ音声入力端子とのうちの1つを選択し、その選択状態が、前記第1デジタル音声入力端子、前記アナログ音声入力端子、前記第2デジタル音声入力端子およびその逆の順番に切換えられるスライドスイッチと、
前記スライドスイッチが、前記第1デジタル音声入力端子、又は、前記第2デジタル音声入力端子を選択しているとき、前記第1デジタル音声入力端子、又は、前記第2デジタル音声入力端子から前記スライドスイッチを経由して供給されるデジタル音声信号を所定規格デジタル音声信号に変換する変換手段と、
前記スライドスイッチが、前記第1デジタル音声入力端子、又は、前記第2デジタル音声入力端子を選択しているとき、前記変換手段からの音声信号を後段に出力するように選択し、前記スライドスイッチが、前記アナログ音声入力端子を選択しているとき、前記アナログ音声入力端子からのアナログ音声信号を後段に出力するように選択する第2スイッチとを備え、
前記スライドスイッチが、前記第1デジタル音声入力端子、又は、前記第2デジタル音声入力端子を選択しているとき、前記変換手段のリセット端子を前記スライドスイッチを介して第1レベルの電位に接続させないことによって、前記変換手段がリセット動作を実行せず、
前記スライドスイッチが、前記アナログ音声入力端子を選択しているとき、前記変換手段のリセット端子を前記スライドスイッチを介して前記第1レベルの電位に接続させることによって、前記変換手段がリセット動作を実行する、セレクタ装置。
【請求項2】
前記変換手段をリセット動作させるリセット制御信号を前記変換手段に供給するリセット制御信号生成手段をさらに備え、
前記スライドスイッチが、前記第1デジタル音声入力端子、又は、前記第2デジタル音声入力端子を選択しているとき、前記リセット制御信号生成手段を前記スライドスイッチを介して前記第1レベルの電位に接続させないことによって、前記リセット制御信号生成手段がリセット制御信号を前記変換手段に供給せず、前記変換手段がリセット動作を実行せず、
前記スライドスイッチが、前記アナログ音声入力端子を選択しているとき、前記リセット制御信号生成手段を前記スライドスイッチを介して前記第1レベルの電位に接続させることによって、前記リセット制御信号生成手段がリセット制御信号を所定時間継続して前記変換手段に供給し、前記変換手段がリセット動作を実行する、請求項1に記載のセレクタ装置。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−244353(P2011−244353A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116691(P2010−116691)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(710014351)オンキヨー株式会社 (226)
【Fターム(参考)】