説明

センサーを備えた液体分与および再循環システム

液体分与および再循環システムが開示される。このシステムは、口およびこの口と連結されるキャップを有するコンテナを含む。このシステムは、このキャップと連結するためのコネクターをさらに含む。このコネクターは、コネクターヘッドおよびこのコネクターヘッドから延びるプローブを含む。このプローブは、上記キャップを通り、そして上記口の中に挿入可能であり、そしてその中にプローブ先端部の近傍で終結する流れ通路を有する。ポンプは、コンテナ中の流体をプローブおよび流れ通路を通じてポンプ輸送する。流体戻りチャネルが、プローブ上に、再循環された流体をコンテナ中の流体に戻すために形成される。流体が、この流体戻りチャネルに沿って戻るとき、流体中の空気は、コンテナ中の流体の上に放出され、コンテナ内の流体への空気の注入を防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、液体の貯蔵および分与のための貯蔵および分与システムに関する。特に、本発明は、コンテナの口内に取り付けられたプローブを含む連結部材に関し、これは、流体がコンテナから引かれ、そして同時にその中に再循環されることを可能にする。
【背景技術】
【0002】
特定の製造プロセスは、酸、溶媒、塩基およびフォトレジストのような液体化学薬品の使用を必要とする。しばしば、これらのプロセスは、各特定のプロセスに特有の液体化学薬品を必要とする。さらに、各プロセスは、プロセスの種々のステージで特有の液体化学薬品を必要とし得る。貯蔵および分与システムは、代替のコンテナが指示された時間で製造プロセスに液体化学薬品を送達するために用いられることを可能にする。これらのプロセス液体は、通常、加圧された貯蔵および分与容器から、特有の分与ポンプによって分与される。
【0003】
この分与ポンプの下流の再循環ループは、通常、プロセス流体を、所望の流速で連続的流体運動に維持するために提供される。このような再循環ループは、分与ラインの内側の液体の凝固を減少し、このような液体の保存寿命を延長し、そして分与ラインから空気を追い出すための手段を提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
代表的には、高純度の流体の再循環は、コンテナの内部と連通する少なくとも2つのポートまたは口を有する特別のコンテナを必要とする。流体の再循環は、2つのポートを有する特別のコンテナを必要とするので、再循環または試験は高価である。さらに、コンテナの構造的一体性は、しばしば、コンテナへの第2のさらなる口またはポートの必要性によって損なわれる。さらに、再循環は、代表的には、コンテナの内部への2つのポートを必要としているので、外側ボトルまたはオーバーパック内の可撓性バッグまたはフィルムパウチを採用するコンテナシステムは、試験またはフィルター処理のための再循環流体には適切ではない。なぜなら、可撓性フィルムパウチは、一般に、単一のポートのみを含むからである。
【0005】
さらに、従来の再循環プローブの戻り流れ経路は、戻り流れ経路の内面面積を最小にするため、そして戻り流れ経路の内面の流れ抵抗によって生じる水頭損失を減少するために、コンテナの首部分の直ぐ下で終了する。しかし、この様な設計は、戻り流れ経路の端部と、コンテナ内の液体表面との間に自由空間を残し、そしてそれ故、再循環された液体は、自由に落ちる様式で戻り流れ経路からコンテナ中に滴り、コンテナ中に液体乱れおよび気泡の形成を引き起こす。多くの流体は、気泡の存在によって欠損するか、使用不能になる。本発明は、上記先行技術システムにともなうこれらの問題およびその他の問題を解決する液体分与および再循環システムである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、液体分与および再循環システムならびに方法である。このシステムは、口およびこの口と連結されるキャップを有するコンテナを含む。このシステムは、このキャップと連結するためのコネクターをさらに含む。このコネクターは、コネクターヘッドおよびこのコネクターヘッドから延びるプローブを含む。このプローブは、上記キャップを通り、そして上記口の中に挿入可能であり、そしてその中にプローブ先端部の近傍で終結する流れ通路を有する。ポンプは、コンテナ中の流体をプローブおよび流れ通路を通じてポンプ輸送する。流体戻りチャネルが、プローブ上に、再循環された流体をコンテナ中の流体に戻すために形成される。流体が、この流体戻りチャネルに沿って戻るとき、流体中の空気は、コンテナ中の流体の上に放出され、コンテナ内の流体への空気の注入を防ぐ。好ましい実施形態では、上記流体戻りチャネルは、上記コネクターヘッドにおいて上記プローブの先端部の周りにおける第2の深さより大きい第1の深さを有し、この第1の深さは上記チャネルに沿ってこの第2の深さまで均一に遷移する。別の好ましい実施形態では、上記流体戻りチャネルは、その長さに沿って均一な深さを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(詳細な説明)
図1は、本発明による液体分与および再循環システム10の好ましい実施形態を示す。分与および再循環システム10は、コンテナ11、外側コンテナ12、コネクター14、制御ユニット16、およびポンプ18を含む。コネクター14は、センサー20およびポートアダプター22を含む。センサーライン24は、センサー20を制御ユニット16に連結する。アダプターチューブ26は、ポートアダプター22をポンプ18に連結する。
【0008】
分与および再循環システム10の操作において、内側コンテナ11は、外側コンテナ12内に収容される。内側コンテナ11は可撓性材料から作製され、そして外側コンテナ12は剛直性材料から作製される。内側コンテナ11は、その内部に液体を含む。例えば、内側コンテナ11は、集積回路の製造における使用のためのフォトレジストのような液体化学薬品を含み得る。
【0009】
コネクター14は、外側コンテナ12上に取り付けられる。クリップ28は、コネクター14を外側コンテナ12に固定することを支援する。さらなるクリップが、外側コンテナ12上にコネクター14をさらに固定するために用いられ得る。アダプターチューブ26およびポートアダプター22は、内側コンテナ11の内部からホンプ18への流体経路を提供する。アダプターチューブ27およびポートアダプター23は、ポンプ18から内側コンテナ11の内部への流体経路を提供する。分与および再循環システム10が適正にアセンブルされるとき、ポンプ18は、内側コンテナ11中の液体を、ポンプアダプター22およびアダプターチューブ26を通り、集積回路の製造のような製造プロセスまでポンプ輸送し得、そして、液体を、製造プロセスから、ポートアダプター23およびアダプターチューブ27を通って内部コンテナ11まで戻し得る。
【0010】
内側コンテナ11は、その中に含まれる液体の非接触加圧化を可能にする。詳細には、内側コンテナ11は、代表的には、外側コンテナ12内に位置する可撓性裏打ち(例えば、バッグ)である。内側コンテナ11と外側コンテナ12との間には空間があり、その中に加圧ガスが導入され得る。内側コンテナ11は、比較的可撓性で、かつ変形可能な材料から作製されるので、この加圧ガスは、内側コンテナ11を通じて液体に圧力を間接的に付与し、液体との直接接触なしに液体を分与することを支援する(なぜなら、この加圧ガスは、内側コンテナ11によって液体から隔離されるからである)。この加圧ガスは、外部圧力供給源から、圧力支援ポート29を経由して外側コンテナ12中に導入され得る。外側コンテナ12上の圧力リリーフバルブ(図示せず)は、空気圧力が、上記液体を分与することを補助するために上記裏打ちに付与されているとき、ボトル内(または外側コンテナ12と内側コンテナ11との間)の過剰加圧を防ぐように機能する。液体の加圧分与は、ポンプ18に対する機械的負荷を減少し、そして液体の汚染のリスクを増加することなく、ポンプ18の有用寿命を延長する。
【0011】
ポンプ18の作動は、制御ユニット16によって制御される。制御ユニット16は、ポンプ18をスタートおよび停止することに関するオペレーターからの入力を受容し得る。例えば、内側コンテナ11中の液体化学薬品を、製造プロセスに、そしてそこからポンプ輸送を開始することを求めるオペレーターは、この情報を制御ユニット16に入力し得る。
【0012】
制御ユニット16はまた、センサーライン24を経由してセンサー20から信号を受けるような形態である。センサー20は、コネクター14の適正な連結が外側コンテナ12となされるとき感知する。適正な連結が感知されるとき、センサー20は、適正な連結の指標である第1の信号をセンサーライン24上の制御ユニット16に送る。不適正な連結が感知されるとき、センサー20は、不適正な連結の指標である第2の信号をセンサーライン24上の制御ユニット16に送る。制御ユニット16は、センサー20が適正な連結の指標である第1の信号を送るとき、ポンプ18を可能にするのみである。制御ユニット16がセンサー20から不適正な連結での指標である第2の信号を受けるとき、制御ユニット16はポンプ18を不能にする。
【0013】
結果として、分与および再循環システム10が適正にアセンブルされておらず、分与および再循環システム10が適正にアセンブルされていると考えるオペレーターが、ポンプをスタートする情報を入力するとき、ポンプ18は、作動しない。このようにして、分与および再循環システム10は、不適正にアセンブルされたシステムの偶発的な作動を防ぐ。
【0014】
図2〜4は、分与および再循環システム10の構成要素を組み立てる順序を示す。図2は、外側コンテナ12およびキャップ30を示す。外側コンテナ12は、コンテナ輸送ハンドル32およびコンテナ口34を含む。キャップ30は、取り外し可能なキャップハンドル36、磁石38およびキャップキー40を含む。コンテナ口34は外部にねじがある。キャップ30は、口34と内部でねじにより相互接続される。コンテナ輸送ハンドル32は、外側コンテナ12の輸送および取り扱いを支援する。
【0015】
キャップ30は、外側コンテナ12にねじで連結され、内側コンテナ11およびその内側を、内側コンテナ11の液体内容物が逃れ得ない様式で効率的にシールする。キャップ30を外側コンテナ12と連結することは、こぼすこと、および汚染のリスクなくして高純度の流体の輸送のための理想的な形態を提供する。取り外し可能なキャップハンドル36がキャップ30上に形成され、そしてキャップ30を除去することなく内側コンテナ11への接近を可能にするように除去され得る。キャップキー40は、キャップ30中に成形される溝である。磁石38およびキャップキー40は、以下により詳細に論議されるように、コネクター14の外側コンテナ12への適正な連結に重要である。
【0016】
図3は、分与および再循環システム10の構成要素を組み立てるさらなる順序を示す。図3は、外側コンテナ12、キャップ30、およびコネクター14を示す。コンテナ12は、コンテナ輸送ハンドル32およびコンテナ口34を含む。キャップ30は、取り外し可能キャップハンドル36(ハンドルバー37を備える)、磁石38、キャップキー40、破壊可能メンブレン42、およびメンブレンスコア44を含む。コネクター14は、センサー20、ポートアダプター22、センサーライン24、アダプターチューブ26、クリップ28、およびプローブ46を含む。プローブ46は、プローブ先端部49に隣接して位置する下部プローブポート48を含む。プローブ46はまた、プローブ46の外部に沿って長軸方向に延びる流体戻りチャネル50を含む。
【0017】
キャップ30は、外側コンテナ12の口34にねじにより連結される。キャップ30ともに外側コンテナ12が所望の位置に輸送された後、取り外し可能なキャップハンドル36がキャップ30からハンドルバー37を持ち上げることにより取り外される。キャップ30は、キャップ30からハンドル36を取り外すことがプローブ穴41およびベント穴43を開放するように予め切れ目が入れられる。破壊可能メンブレン42は、プローブ穴41を通って曝される。破壊可能なメンブレン42は、その表面内にメンブレンスコア44を有する。
【0018】
コネクター14は、キャップ30と相互連結されるような形態である。図3および4は、分与および再循環システム10の構成要素を組み立てるさらなる順序を示す。より詳細には、コネクター14は、キャップ30および外側コンテナ12と相互連結されて示される。プローブ先端部50は、プローブ穴41を通って挿入され、そしてメンブレンスコア44に近接する破壊可能なメンブレン42に対して押される。十分な圧力がコネクター14上に破壊可能なメンブレン42に向かって付与されるとき、プローブ先端部50は、メンブレン42をメンブレンスコア44に沿って破壊し、プローブ46がメンブメン42を通って挿入されることを可能にする。コネクター14に対する継続する圧力は、次いで、コネクター14がキャップ30に直ぐに隣接して移動されることを可能にする。プローブ46は、次いで、内側コンテナ11の内部と連通する。
【0019】
図1は、キャップ30および外側コンテナ12と完全に連結されたコネクター14を示す。プローブ46、ポートアダプター22、およびアダプターチューブ26は、流体が、内側コンテナ11の内部から、下部プローブポート48を通り、プローブ46を通り、ポートアダプター22を通り、そしてアダプターチューブ26を通り、ポンプ18までポンプ輸送されることを可能にする流体経路を規定する。アダプターチューブ27、ポートアダプター23、および流体戻りチャネル50は、流体が、再循環された流体を、アダプターチューブ27を通り、ポートアダプター23を通り、そして流体戻りチャネル50を通過させることにより内側コンテナ11の内部に戻ることを可能にする流体戻り経路を規定する。
【0020】
本発明の流体戻りチャネル50をより良好に示すために、図5aは、コネクター14から分離されたプローブ46の斜視図を示す。図5bおよび5cは、流体戻りチャネル50を含むプローブ46の2つの例示の実施形態の断面図を示す。流体戻りチャネル50は、好ましくは、プローブ46の外部に沿って形成され、そしてポートアダプター22(これは、ポート54に適合する)と下部プローブポート48との間に延びる流体経路52にほぼ平行であるプローブ46に沿って長軸方向に延びる。流体戻りチャネル50は、プローブ46を通って形成されるポート54およびボア55を経由してポートアダプター23(図1)と流体連通している。分与および再循環システム10の作動では、再循環された流体は、流体戻りチャネル50を経由して内側コンテナ11の内部に戻る。この戻り流体流れが流体戻りチャネル50に到達するとき、流体は、流体戻りチャネル50を内側コンテナ11内に含まれる流体中にボタボタ垂れる。この戻り流体流れは、流体戻りチャネル50をボタボタ垂れる流体が、内側コンテナ11内の流体中に円滑に流れるように調節される。これは、戻り流体経路の端部にある自由空間がこの再循環された液体を戻り流れ経路からコンテナ中に自由に落下させ、それによって流体中に混乱を生じる従来の流体再循環システムに対する改良である。
【0021】
この戻り流体流れはまた、時には、それがアダプターチューブ27に沿って内側コンテナ11に向かって製造プロセスから進行するとき、この流体で分散された空気のポケットを有する。いくつかの従来の流体再循環システムは、流体をコンテナに戻すための囲われた流れ経路を含む。これらの従来のシステムは、この戻り流れ経路中に含まれる空気のポケットを捕捉し、それがコンテナに戻されるとき、空気を容器中に含まれる流体中に注入させる。製造プロセスで用いられる多くの流体は、空気泡の存在によって欠損するか、または使用不能となる。
【0022】
分与および再循環システム10では、戻り流れ経路に沿った空気のポケットは、戻り流体流れが流体戻りチャネル50に到達するとき、内部コンテナ11中に含まれる流体の表面の上に放出される。これは、流体戻りチャネル50が内側コンテナ11の内部に開き、それによって、空気のポケットを、内側コンテナ11に侵入する際に即座に散逸させるからである。これは、内側コンテナ11内の流体中への空気の注入を防ぐ。
【0023】
流体戻りチャネル50は、ポート54およびボア55を経由してポートアダプター23と流体連通している。ボア55は、好ましくは、0.125インチより小さい直径を有し、これは、戻り流体流れが流体戻りチャネル50内に、それが内側コンテナ11内の流体に滴るようなままであるようにする。流体戻りチャネル50は、(コネクター14のコネクターヘッドに近接する)ボアからプローブ先端部49に近接する領域に延びる。好ましい実施形態では、図5bに示されるように、流体戻りチャネル50は、コネクター14からプローブ先端部49まで一定の深さdを有する。深さdは、好ましくは、約0.25インチである。別の好ましい実施形態では、図5cに示されるように、流体戻りチャネル50は、プローブ先端部49の周りにおける第2の深さdより大きなコネクターヘッドにおける第1の深さdを、第1の深さが流体戻りチャネル49の長さに沿って第2の深さへ均一に遷移するように有する。第1の深さdは、好ましくは約0.25インチであり、そして第2の深さdは、好ましくは、0.25インチより小さい。
【0024】
図6は、コネクター14の底面図である。コネクター14は、センサー20、クリップ28、クリップ29、下部プローブポート48、プローブ先端部49、流体戻りチャネル50(例示のために誇張されている)、およびコネクターキー60を含む。コネクターキー60は、コネクター14上に保持される突出部である。コネクターキー60およびキャップキー40は、それらが、コネクター14がキャップ30と適正に連結されるために適正に整列されなければならないように嵌合するための形態である。図4に示されるように、コネクターキー60とキャップキー40とが相互連結のために適正に整列されるとき、センサー20は磁石38と整列される。さらに、コネクター14がキャップ30に適正に連結されるとき、センサー20はまた、磁石38に直ぐ隣接している。
【0025】
センサー20は、センサー20が磁石38に直ぐ隣接し、そしてそれと整列されるとき、センサーライン24上の制御ユニット16に第1の信号を送るような形態である。この第1の信号は、コネクター14がキャップ30と適正に連結されていることを示す。センサー20は、センサー20が磁石38に隣接していないとき、センサーライン24上の制御ユニット16に第2の信号を送る。この第2の信号は、コネクター14がキャップ30と適正に連結されていないことを示す。
【0026】
制御ユニット16はセンサーラインも24をモニターし、コネクター14がキャップ30上に適正に連結されているか否かを決定する。制御ユニット16は、次いで、ポンプ18の作動を制御する。制御ユニット16は、オペレーターから、ポンプ18の作動に関する入力を受ける。制御ユニット16は、しかし、コネクター14とキャップ30との間の適正な連結がなされることを示す第1の信号がセンサー20から受容されなければ、ポンプ18の作動を可能にしない。結果として、たとえ、オペレーターがポンプ18の作動をスタートすることを試みて情報を制御ユニット16に入力するとしても、制御ユニット16は、第1の信号がセンサー20から受容されるまで、ポンプ18を可能にしない。従って、分与および再循環システム10は、適正な連結が存在しないとポンプ18の作動を可能にしない。
【0027】
キャップ30は、内側コンテナ11が最初に液体で満たされるとき、外側コンテナ12上に設置される。キャップ30は、内側コンテナ11中の特定の液体と対応する特有の形態のキャップキー40を有する。従って、各液体は、対応する特有の形態のキャップキー40とともに、その特有のキャップ30を有する。例えば、液体フォトレジスで満たされた内側コンテナ11は、2つが180゜分離されて位置決めされ、3つ目がこれら他の2つの間のほぼ半分にある3つのキャップキー40を備えるキャップ30を有し得る(おおまかに図2に示される)。分与および再循環システム10は、化学薬品を必要とする各製造プロセスステップについて1つ特定の液体化学薬品を利用する。従って、各プロセスステップは、特有の形態のコネクターキー60を備えたコネクター14と相関している。各特有の形態のコネクターキー60は、次いで、特有の形態のキャップキー40と対応し、そしてそれ故、各コネクター14は、このプロセス中のそのステップに用いられるべき特定の液体と対応している。このようにして、1つの特有のキャップ30および1つの特有の形態のキャップキー40のみが1つの特有のコネクター14および1つの特有の形態のコネクターキー60と適正に相互連結する。従って、1つの液体のみが製造プロセス中の1つのステップとともに用いられ得る。
【0028】
本発明は、分与および再循環システムならびに方法である。このシステムは、口およびこの口と連結されるキャップを有するコンテナを含む。このシステムは、キャップと連結するためのコネクターをさらに含む。このコネクターは、コネクターヘッドおよびこのコネクターヘッドから延びるプローブを含む。このプローブは、キャップを通じて上記の口に挿入可能であり、そしてその中にプローブ先端部近傍で終結する流れ通路を有する。ポンプは、コンテナ中の流体を、このプローブおよび流れ通路を通じてポンプ輸送する。流体戻りチャネルが、再循環される流体をコンテナ中の流体に戻すためのプローブ上に形成される。流体が、流体戻りチャネルに沿って戻るとき、流体中の空気は、コンテナ中の流体の上に解放され、コンテナ中の流体への空気の注入を防ぐ。好ましい実施形態では、上記流体戻りチャネルは、上記プローブの先端部の周りにおける第2の深さより大きいコネクターヘッドにおける第1の深さを有し、この第1の深さは、上記チャネルに沿って第2の深さまで均一に遷移する。別の好ましい実施形態では、この流体戻りチャネルは、その長さに沿って均一な深さを有する。
【0029】
流体がコンテナに戻るとき、この戻される流体は、流体戻りチャネルを内側コンテナ内に含まれる流体中に滴り落ちる。この戻り流体流れは、流体戻りチャネルを滴り落ちる流体が内側コンテナ中の液体中に円滑に流れるように調節される。さらに、この戻り流れ経路に沿った空気のポケットは、この戻り流体流れが流体戻りチャネルに到達するとき、内側コンテナ中に含まれる流体の表面の上に放出される。これは、流体戻りチャネルが内側コンテナの内部に開き、それによってこれら空気のポケットをこの内側コンテナに侵入する際に即座に散逸することを可能にするからである。これは、この内側コンテナ内の流体中への空気の注入を防ぐ。
【0030】
本発明を、好ましい実施形態を参照して説明しているが、当業者は、本発明の思想および範囲から逸脱することなく形態および詳細において変更がなされ得ることを認識する。例えば、これまで説明された流体戻りチャネルおよび再循環システムはまた、「電子的情報記憶をもつ液体取り扱いシステム」と題するO’Doughertyらによる米国特許出願公開番号2003/0004608 A1に記載される液体取り扱いシステム、または「電子的情報記憶をもつ液体取り扱いシステム」と題するO’Doughertyらによる米国特許出願公開番号2002/0189667 A1に記載される液体取り扱いシステムに取り込まれ得る。
【0031】
(センサーを備えた液体分与および再循環システム)
(開示の要約)
液体分与および再循環システムが開示される。このシステムは、口およびこの口と連結されるキャップを有するコンテナを含む。このシステムは、このキャップと連結するためのコネクターをさらに含む。このコネクターは、コネクターヘッドおよびこのコネクターヘッドから延びるプローブを含む。このプローブは、上記キャップを通り、そして上記口の中に挿入可能であり、そしてその中にプローブ先端部の近傍で終結する流れ通路を有する。ポンプは、コンテナ中の流体をプローブおよび流れ通路を通じてポンプ輸送する。流体戻りチャネルが、プローブ上に、再循環された流体をコンテナ中の流体に戻すために形成される。流体が、この流体戻りチャネルに沿って戻るとき、流体中の空気は、コンテナ中の流体の上に放出され、コンテナ内の流体への空気の注入を防ぐ。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明に従う液体化学薬品分与および再循環システムを示す。
【図2】図2は、外側コンテナおよびキャップの斜視図を示す。
【図3】図3は、外側コンテナ、キャップ、およびコネクターの斜視図を示す。
【図4】図4は、外側コンテナ、キャップ、およびコネクターの斜視図を示す。
【図5a】図5aは、流体戻りチャネルを含む斜視図を示す。
【図5b】図5bは、流体戻りチャネルを含む図5a中に示されるプローブの実施形態の断面図を示す。
【図5c】図5cは、流体戻りチャネルを含む図5a中に示されるプローブの別の実施形態の断面図を示す。
【図6】図6は、コネクターの底面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体分与および再循環システムであって:
口を有するコンテナ;
該口と連結するためのキャップ;
該キャップと連結するためのコネクターであって、さらに:
コネクターヘッド;および
該コネクターヘッドから延び、そして該キャップを通り、そして該口中に挿入可能であるプローブであって、その中にプローブ先端部の近傍で終結する流れ経路を有するプローブを備えるコネクター;
該プローブと、そして該コンテナ中の流体を該プローブおよび該流れ経路を通ってポンプ輸送するための流れ経路と連結されるポンプ手段;および
再循環された流体を、該コンテナ中の流体に、該流体中の空気が該コンテナ中の流体の上で放出され、該コンテナ内の流体中に空気の注入を防ぐように戻すために該プローブ上に形成された流体戻り手段、を備える、液体分与および再循環システム。
【請求項2】
前記流体戻り手段が、前記コネクターヘッドに近接する領域から、前記プローブ先端部に近接する領域まで前記プローブの外部に沿って形成される流体チャネルである、請求項1に記載の液体分与および再循環システム。
【請求項3】
前記流体チャネルが、前記コネクターヘッドにおいて、前記プローブ先端部の周りにおける第2の深さより大きい第1の深さを有し、該第1の深さが該チャネルに沿って該第2の深さまで均一に遷移する、請求項2に記載の液体分与および再循環システム。
【請求項4】
前記流体チャネルが均一な深さを有する、請求項2に記載の液体分与および再循環システム。
【請求項5】
前記流体チャネルが前記流体経路と実質的に平行である前記プローブに沿って延びる、請求項2に記載の液体分与および再循環システム。
【請求項6】
前記流体戻り手段が、前記再循環された流体を該流体戻り手段まで送達するために、前記コネクターヘッドに近接する領域に形成されたボアを含む、請求項1に記載の液体分与および再循環システム。
【請求項7】
前記ボアが、再循環された流体が、それが前記コンテナに戻されるとき、前記流体戻り手段内に残るようなサイズである、請求項6に記載の液体分与および再循環システム。
【請求項8】
前記キャップが第1のキー要素を含み、そして前記コネクターが該第1のキー要素と嵌合するような形態である第2のキー要素を含む、請求項1に記載の液体分与および再循環システム。
【請求項9】
前記第1のキー要素および第2のキー要素が嵌合されるときを感知するため、および該第1のキー要素および第2のキー要素が嵌合されないときを感知するためのセンサー手段をさらに備える、請求項8に記載の液体分与および再循環システム。
【請求項10】
前記センサー手段が、前記コネクター上に取り付けられた検出器および前記キャップ上に取り付けられた検出器影響要素を備え、該コネクター上に取り付けられた検出器が、前記第1のキーコードおよび第2のキーコードが嵌合され、そして該キャップおよびコネクターが所定の配向で連結されるとき1つの状態、および前記第1のキーコードおよび第2のキーコードが嵌合されず、そして該キャップおよびコネクターが所定の配向で連結されないとき第2の状態の2つの状態を有する、請求項9に記載の液体分与および再循環システム。
【請求項11】
前記センサー手段が、前記キャップ上に取り付けられた検出器および前記コネクター上に取り付けられた検出器影響要素を備え、該キャップ上に取り付けられた検出器が、前記第1のキーコードおよび第2のキーコードが嵌合され、そして該キャップおよびコネクターが所定の配向で連結されるとき1つの状態、および前記第1のキーコードおよび第2のキーコードが嵌合されず、そして該キャップおよびコネクターが所定の配向で連結されないとき第2の状態の2つの状態を有する、請求項9に記載の液体分与および再循環システム。
【請求項12】
制御手段であって、該制御手段が、前記センサー手段および前記ポンプ手段と、該センサー手段が前記第1および第2のキー要素が嵌合することを感知するとき該ポンプ手段を可能にし、そして該センサー手段が前記第1および第2のキー要素が嵌合しないことを感知するとき該ポンプ手段を不能にするように連結される制御手段をさらに備える、請求項9に記載の液体分与および再循環システム。
【請求項13】
加圧ガスを前記コンテナ中に導入し、該コンテナからの流体の流れを容易にするための外部圧力供給源に連結される圧力支援ポートをさらに備える、請求項1に記載の液体分与および再循環システム。
【請求項14】
コンテナから液体を分与し、かつそれに液体を戻すためのプローブであって:
該プローブの第1の端部から該プローブの第2の端部まで該プローブを通って延びる流れ経路;
流体戻りポート;および
ボアを経由して該流体戻りポートと流体連通する流体戻りチャネルであって、該ボアから該プローブの第2の端部の周りまで、該流体経路に実質的に平行にプローブの外部に沿って長軸方向に延びる流体戻りチャネル、を備える、プローブ。
【請求項15】
前記流体戻りチャネルが、前記ボアにおいて、前記プローブの第2の端部の周りにおける第2の深さより大きい第1の深さを有し、該第1の深さが、該流体戻りチャネルに沿って該第2の深さまで均一に遷移する、請求項14に記載のプロープ。
【請求項16】
前記戻りチャネルが均一な深さを有する、請求項14に記載のプローブ。
【請求項17】
液体を分与および再循環する方法であって:
コンテナの内部と連通する口を有するコンテナを提供する工程;
該口にキャップを取り付ける工程;
該キャップにコネクターを連結する工程であって、該コネクターが、プローブの先端部で該コンテナの内部内で終結する流体経路を規定するプローブを含む、工程;
該プローブ上に流体戻りチャネルを規定する工程;
該コンテナから該流体経路を通って流体を分与する工程;および
該コンテナ中に該流体戻りチャネルを通って、該流体中の空気が該コンテナ中の流体の上に放出され、該コンテナ中の流体中への空気の注入を防ぐように流体を再充填する工程、を包含する、方法。
【請求項18】
前記コンテナから流体を分与する工程および前記流体をコンテナ中に再充填する工程が同時に実施される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記流体をコンテナ中に再充填する工程が、
分与された前記液体を前記流体戻りチャネルを通じて前記コンテナ中の戻して再循環する工程を包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記流体戻りチャネルが、前記コネクターヘッドに近接する領域から、前記プローブの先端部に近接する領域まで該プローブの外部に沿って形成される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記流体戻りチャネルが、前記コネクターヘッドにおいて、前記プローブの先端部の周りにおける第2の深さより大きい第1の深さを有し、該第1の深さが該チャネルに沿って第2の深さまで均一に遷移する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記流体戻りチャネルが均一な深さを有する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記流体戻りチャネルが、前記流体経路と実質的に平行なプローブに沿って形成される、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記流体戻りチャネルが、前記流体を前記流体チャネルに送達するための前記コネクターヘッドに近接する領域に形成されたボアを含む、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5C】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−526179(P2007−526179A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538114(P2006−538114)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/034930
【国際公開番号】WO2005/044715
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(599006351)アドバンスド テクノロジー マテリアルズ,インコーポレイテッド (141)
【Fターム(参考)】