センサーユニット及びそれを用いた運動計測システム
【課題】 衝撃・振動吸収材の体積や材質だけで解決するのではなく、衝撃や振動を吸収し易い構造を備えたセンサーユニット及びそれを用いた運動計測システムを提供すること。
【解決手段】 測定対象物体1に取り付けられるセンサーユニットであって、外側壁32を含み、外側壁32が測定対象物体1に固定される第1緩衝部30と、第1緩衝部30の外側壁32の内側に配置され、かつ、第1緩衝部30よりも軟らかい第2緩衝部40と、第2緩衝部40内に保持されるセンサー部20と、を有する
【解決手段】 測定対象物体1に取り付けられるセンサーユニットであって、外側壁32を含み、外側壁32が測定対象物体1に固定される第1緩衝部30と、第1緩衝部30の外側壁32の内側に配置され、かつ、第1緩衝部30よりも軟らかい第2緩衝部40と、第2緩衝部40内に保持されるセンサー部20と、を有する
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサーユニット及びそれを用いた運動計測システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モーションセンサー等の計測機器を運動器具等の計測対象物に取り付ける際、計測機器と計測対象物との間に衝撃・振動吸収材を配置している。吸収材により、測定対象物から受ける衝撃や振動を減衰して、衝撃や振動の影響を受けずに正確な計測を行っている。
【0003】
特許文献1では、加速度センサーの外装パッケージの外面に緩衝材を取り付けて、搬送時の落下によって半導体センサーが破損することを防止している。加速度センサーは、緩衝材を介して車体に取り付け可能であることが開示されている。
【0004】
特許文献2では、加速度センサーの基板を支持する機械的強度の高い第1部材に、コネクター部と並設されて緩衝材が設けられる。コネクターを本体部に接続すると、加速度センサーと本体部との間に緩衝材が介在される。
【0005】
引用文献3では、加速度センサーのハウジングを衝撃吸収性の高い弾性覆体で被覆している。引用文献4では、加速度センサーと基板との間に緩衝材を介在させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平1−302169号公報
【特許文献2】特開平3−170065号公報
【特許文献3】実開平7−008775号公報
【特許文献4】特開平9−145738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1〜4には、運動器具に加速度センサー等のセンサー部を取り付ける具体的な構造については開示されていない。
【0008】
図1は、運動器具例えばテニスラケット1のグリップエンド1Aの取付面1Bにセンサー部2を取付けるに際して、特許文献1〜4のように衝撃・振動吸収材3を介在させる比較例を図示している。センサー部2によりテニスラケット1の動きを計測する場合、ボールを打撃した時に発生する衝撃・振動が直接センサー部2に伝達されないようにするために、図1の比較例のように衝撃・振動吸収材3を介在させることができる。
【0009】
ここで、衝撃・振動吸収材3が打撃時の高い衝撃・振動を吸収するためには、衝撃・振動吸収材3の体積を増やすか、衝撃・振動を吸収し易い材質に変更する必要がある。
【0010】
しかし、例えば図2に示すように衝撃・振動吸収材3の体積を増やすと、衝撃・振動吸収材3が重くなってラケット1全体を重くし、ラケット1の重量バランスも変化させてしまう。テニスラケット1のグリップを握るのに、図2のように突出した衝撃・振動吸収材3が邪魔になる。
【0011】
また、衝撃・振動吸収材3の材質を軟らかくして衝撃・振動を吸収し易くすると、図3に示すようにセンサー部2自体が揺らいでしまい、テニスラケット1の正確な動きを計測できなくなる。
【0012】
本発明の幾つかの態様によれば、衝撃・振動吸収材の体積や材質だけで解決するのではなく、衝撃や振動を吸収し易い構造を備えたセンサーユニット及びそれを用いた運動計測システムを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本発明の一態様は、測定対象物体に取り付けられるセンサーユニットであって、
外側壁を含み、前記外側壁が前記測定対象物体に固定される第1緩衝部と、
前記第1緩衝部の前記外側壁の内側に配置され、かつ、前記第1緩衝部よりも軟らかい第2緩衝部と、
前記第2緩衝部内に保持されるセンサー部と、
を有するセンサーユニットに関する。
【0014】
本発明の一態様では、衝撃・振動吸収構造を二重構造とし、外側を硬めの外側壁を備えた第1緩衝部とし、その第1緩衝部の外側壁の内側を軟らかめの第2緩衝部としている。外側を硬めの外側壁を備えた第1緩衝部が、その内側の第2緩衝部を押さえ込むことで、第2緩衝部が変形し易くなって衝撃・振動を抑える。第1緩衝部は、第2緩衝部が吸収し切れなかった衝撃・振動を吸収する。
【0015】
(2)本発明の一態様では、前記第2緩衝部と前記センサー部との間に介在される緩衝層をさらに有することができる。こうすると、第2緩衝部の衝撃・振動を吸収するための変形は緩衝層にて吸収できるので、センサー部への衝撃・振動の伝達がより少なくなる。
【0016】
(3)本発明の一態様では、前記緩衝層はエアーギャップとすることができる。第2緩衝部の変形はエアーギャップにて吸収して、センサー部に伝達されることを低減できる。
【0017】
(4)本発明の一態様では、前記緩衝層は、前記第2緩衝部と前記センサー部との隙間に充填されて固化された充填材にて形成することができる。第2緩衝部の変形は充填材にて吸収して、センサー部に伝達されることを低減できる。しかも、充填材はセンサー部を第2緩衝部と直接接触させずに中空状態で保持できるので、衝撃・振動の伝達を極小にすることができる。
【0018】
(5)本発明の一態様では、前記センサー部は基板を有し、前記第2緩衝部は、前記基板を境にして2つの緩衝部に分割することができる。こうすると、センサー部を第2緩衝部内に配置させる組み立て性が向上する。
【0019】
(6)本発明の一態様では、前記第2緩衝部は、前記2つの緩衝部によって前記基板を挟待することができる。こうして、第2緩衝部が基板を挟待することで、第2緩衝部とセンサー部との間にエアーギャップを形成でき、あるいはそのエアーギャップ内を充填材で満たすことができる。
【0020】
(7)本発明の一態様では、前記第1緩衝部は、前記測定対象物体に固定される面とは反対側の面に対向壁を含み、前記センサー部は、前記緩衝層を形成する充填材を介して前記対向壁に固定することができる。こうすると、第1緩衝部のうち最も変形が少ない対向壁に、緩衝層を形成する充填材を介してセンサー部を固定しているので、センサー部への衝撃・振動の伝達を低減することができる。
【0021】
(8)前記第1緩衝部の前記外側壁は、厚さ方向にて貫通するスリットを有し、前記第2緩衝部を前記スリット内に入り込んで配置することができる。こうすると、第2緩衝部はスリットからはみ出す方向に変形する自由度が増して、変形し易くなる。よって、第2緩衝部での衝撃・振動吸収量を増大できる。しかも、スリットにより第1,第2緩衝部の接触面積が増え、第1,第2緩衝部間で衝撃・振動が伝達し易くなり、衝撃・振動吸収効率が増大する。
【0022】
(9)本発明の一態様では、前記第2緩衝部の比重は前記第1緩衝部の比重よりも小さくすることができる。より多く衝撃・振動を吸収する第2緩衝部の体積を増やしても、比重が小さいので重量の増大を抑制できる。しかも、外側壁を備えた第1緩衝部が硬く比重が重いので、センサー部の揺らぎは防止される。
【0023】
(10)本発明の他の態様は、上述したセンサーユニットが取り付けられている運動器具を定義している。この運動器具は、例えば打撃時などによって発生する過大な衝撃・振動を第1,第2緩衝部が吸収するので、計測に不要な衝撃・振動を緩和させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】テニスラケットのグリップエンドに衝撃・振動吸収材を介してセンサー部を固定した比較例を示す図である。
【図2】図1に示す比較例にて衝撃・振動吸収材の体積を増やした態様を示す図である。
【図3】図1に示す比較例にて衝撃・振動吸収材の材質を軟らかくした態様を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態のセンサーユニットを示す断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態での衝撃・振動の伝達作用を示す図である。
【図6】図1に示す比較例での玉突き状態の衝撃・振動の伝達作用を示す図である。
【図7】図7(A)〜図7(C)は衝撃・振動吸収材なしの3軸加速度の計測データを示し、図7(A)はZ軸成分を、図7(B)はY軸成分を、図7(C)はX軸成分をそれぞれ示している。
【図8】図8(A)〜図8(C)は図1に示す比較例の3軸加速度の計測データを示し、図8(A)はZ軸成分を、図8(B)はY軸成分を、図8(C)はX軸成分をそれぞれ示している。
【図9】図9(A)〜図9(C)は本発明の第1実施形態の3軸加速度の計測データを示し、図9(A)はZ軸成分を、図9(B)はY軸成分を、図9(C)はX軸成分をそれぞれ示している。
【図10】本発明の第1実施形態での打撃衝撃時を含む角速度データを示す特性図である。
【図11】比較例での打撃衝撃時を含む角速度データを示す特性図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係るセンサーユニットの断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係るセンサーユニットの断面図である。
【図14】図13に示すセンサーユニットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して具体的に説明する。
【0026】
1.第1実施形態
図4は、本発明の第1実施形態に係るセンサーユニットを示す断面図である。図4において、このセンサーユニット10Aは、センサー部20と、第1緩衝部30と、第2緩衝部40とを有する。
【0027】
センサー部20は、基板22Aの例えば表裏面に、3軸加速度センサー及び3軸角速度センサーや、その駆動回路及び信号処理回路を搭載することができる。センサー部20を含む運動計測システムは、センサー部20の他、センサー部20からの信号出力に基づいて計測対象物の動きを出力する表示装置や印刷装置などの出力装置を含み、必要によりセンサー部20からの信号出力を演算して出力結果を得る演算回路などの処理回路を含むことができる。本実施形態では、センサー部20で計測できる最大加速度は例えば50Gである。
【0028】
第1緩衝部30は外側壁32を有する。第1緩衝部30はさらに、計測対象物である例えば図1のテニスラケット1の取付面1Bと対向する対向壁34を有することができる。第1緩衝部30は、組み立て性の便宜から、上蓋30Aと下蓋30Bとに分割しても良い。この場合、上蓋30Aは外側壁32Aと対向壁34を有し、下蓋30Bは外側壁32Bを有する。第1緩衝部30は、例えば樹脂にて形成される。第1緩衝部30の外側壁32の端面32Cが、テニスラケット1の取付面1Bに、両面テープ等により接合されて固定される。
【0029】
第2緩衝部40は、第1緩衝部30の内側に配置される。第2緩衝部40内にセンサー部20が保持される。第2緩衝部40は、第1緩衝部30よりも軟らかい材質で形成される。第1緩衝部30が樹脂製であれば、第2緩衝部40は例えばゴム製とすることができる。第2緩衝部40の比重は第1緩衝部30よりも小さい。
【0030】
本発明の第1実施形態では、衝撃・振動吸収構造を二重構造とし、外側を硬めの外側壁32を備えた第1緩衝部30とし、その第1緩衝部30の外側壁32の内側を軟らかめの第2緩衝部40としている。外側を硬めの外側壁32を備えた第1緩衝部30が、その内側の第2緩衝部40を押さえ込むことで、第2緩衝部40が変形し易くなって衝撃・振動を抑えることができる。第1緩衝部30は、第2緩衝部40が吸収し切れなかった衝撃・振動を吸収することができる。
【0031】
こうして、図1に示すテニスラケット1にてボールをヒットした打撃時などの衝撃・振動は、図5に示すようにセンサーユニット10Aの第1,第2緩衝部30,40にて吸収され、センサー部20には伝達されにくい構造となる。
【0032】
これに対して、図1〜図3に示す比較例では、テニスラケット1の打撃時などの衝撃・振動は、図6に示すように、衝撃・振動吸収材3で吸収されて緩和されるが、衝撃・振動吸収材3で吸収されなかった衝撃・振動の逃げ道の途上にセンサー部2が存在するので、過大な衝撃・振動はいわゆる玉突き状態となってセンサー部2に直接伝達されていた。
【0033】
図4では、第2緩衝部40とセンサー部20との間に介在される緩衝層50をさらに有することができる。こうすると、第2緩衝部40の変形は緩衝層50にて吸収できるので、センサー部20への衝撃・振動の伝達がより少なくなる。
【0034】
この緩衝層50はエアーギャップとすることができる。第2緩衝部40の変形はエアーギャップ50にて吸収して、センサー部20に伝達されることを低減できる。
【0035】
ここで、図4では、第2緩衝部40は、組み立て性の便宜から、上蓋40Aと下蓋40Bとに分割されている。しかも、第2緩衝部40は、センサー部20の基板22Aを境にして上蓋40Aと下蓋40Bとに分割されている。そして、センサー部20を第2緩衝部40内に配置させる組み立て性を向上させている。
【0036】
特に図4では、第2緩衝部40は、上蓋40Aと下蓋40Bとによって基板22Aを挟待している。こうして、第2緩衝部40が基板22Aを挟待することで、第2緩衝部40とセンサー部20との間にエアーギャップ50を形成できる。
【0037】
図7(A)〜図9(C)に、衝撃・振動試験結果のデータを示す。図7(A)〜図7(C)は図1に示すテニスラケット1の取付面1Bに取付治具を介してセンサー部2を取り付けて(衝撃・振動吸収材3なし)計測したデータを示す。図8(A)〜図8(C)は図1に示す比較例の方法により衝撃・振動吸収材3を介してセンサー部2を取り付けて計測したデータである。図9(A)〜図9(C)が図4に示す本実施形態のセンサーユニット10Aを図1に示すテニスラケット1の取付面1Bに取り付けて計測したデータである。
【0038】
図7(A)〜図9(C)は、同じ高さからテニスラケット1をZ軸方向に落下させた時に3軸(X,Y,Z軸)の加速度を計測したデータである。図7(A)、図8(A)及び図9(A)はそれぞれZ軸の加速度を示し、図7(B)、図8(B)及び図9(B)はそれぞれY軸の加速度を示し、図7(C)、図8(C)及び図9(C)はそれぞれX軸の加速度を示す。図7(A)〜図7(C)と図8(A)〜図8(C)とを比較すると、図8(A)ではZ軸方向の強い衝撃を受けている時間が短くなっているのは、図1の衝撃・振動吸収材3を挿入した効果であると認められる。その一方で、図8(B)(C)は図7(B)(C)よりもX,Y軸方向での変化が大きい。これは、図1の衝撃・振動吸収材3を挿入したことで、センサー部2自体の揺らぎが大きくなったからと考えられる。
【0039】
その点、本実施形態の測定データである図9(A)では、Z軸方向の強い衝撃を受けている時間が図8(A)よりもさらに短く、図9(B)(C)に示すようにX,Y軸を含めて、衝撃・振動の影響を受けている時間が短縮される等、高い効果が確認できる。
【0040】
本実施形態のセンサーユニット10Aでは、図1に示すテニスラケット1にてボールをヒットした打撃時の衝撃・振動の影響を低減できることも確認できた。図10は、3軸X,Y,Z軸周りの角速度のデータを示し、衝撃を受けた時刻T以降も、その衝撃の影響を受けずに各軸周りの角速度がテニスラケット1の姿勢に追従して計測されている。
【0041】
一方、図1の比較例では、図11に示すように、例えばY軸周りの角速度が矢印Aで示す通りに計測されてしまい、本来計測されるべき矢印Bのデータを計測することができなかった。
【0042】
2.第2実施形態
本発明の第2実施形態に係るセンサーユニット10Bを図12に示す。図12に示すセンサーユニット10Bが図4に示すセンサーユニット10Aと相違する点は、図4のエアーギャップで形成された緩衝層50を、図12では充填材60にて形成している。
【0043】
充填材60は、第2緩衝部40とセンサー部20との隙間に充填されて固化される。充填材60として、商品名TSE3051(株式会社タナック)または商品名1230G(スリーボンド)等のポッティング材を好適に使用することができる。
【0044】
充填材60を用いる利点として、図4に示すように第2緩衝部40の上蓋40Aと下蓋40Bにより基板22Aは挟待されたが、図12の基板22Bは挟待される必要はない。充填材60により第2緩衝部40内にてセンサー部20を保持することができるからである。こうすると、センサー部20は第2緩衝部40と直接接触しないので、第2緩衝部40の変形がセンサー部20に伝達されることがなくなる。これにより、センサー部20の揺らぎを低減することができる。
【0045】
なお、図12に示すセンサー部20は、緩衝層を形成する充填材60を介して、第1緩衝部30の対向壁34に固定することができる。こうすると、第1緩衝部30のうち最も変形が少ない対向壁34に、緩衝層を形成する充填材60を介してセンサー部20を固定しているので、センサー部20の揺らぎを低減することができる。
【0046】
3.第3実施形態
本発明の第3実施形態では、図13及び図14に示すように、第1緩衝部30の外側壁32は、厚さ方向にて貫通するスリット36を有する。第2緩衝部40は第1緩衝部30のスリット36内に入り込んで配置することができる。こうすると、第2緩衝部40はスリット36からはみ出す方向に変形する自由度が増して、変形し易くなる。よって、第2緩衝部40での衝撃・振動吸収量を増大できる。しかも、スリット36により第1,第2緩衝部30,40の接触面積が増える。このため、第1,第2緩衝部30,40間、特に内側の第2緩衝部40から外側の第1緩衝部30との間で衝撃・振動が伝達し易くなり、衝撃・振動吸収効率が増大する。
【0047】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、図13及び図14に示すスリット36は、図4及び図12に示すセンサーユニット10A,10Bに設けてもよい。また、第1緩衝部30よりも軟らかい第2緩衝部40の比重は、一般的に第1緩衝部30の比重よりも小さくすることができる。こうして、より多く衝撃・振動を吸収する第2緩衝部40の体積を増やしても、比重が小さいので重量の増大を抑制できる。しかも、外側壁32を備えた第1緩衝部30が硬く比重が重いので、センサー部20の揺らぎは防止される。
【0048】
また、図4、図12及び図13において、第2緩衝部40は第1緩衝部30の外側壁32の端面32C(図4参照)と面一でなく、テニスラケット1の取付面1Bと直接接触させない構造としても良い。こうすると、テニスラケット1からの衝撃・振動は第1緩衝部30を経由するか、または取付面1Bと第2緩衝部40との間の第2緩衝層(エアーギャップ)を経由することになるので、第2緩衝部40にテニスラケット1からの衝撃・振動が直接伝達されない構造とすることができる。
【0049】
また、本発明のセンサーユニットが装着される計測対象物は、特に打撃に用いるテニスラケットやゴルフクラブ等の運動器具に好適であるが、加速度及び/または角速度計測により動きや姿勢等の計測対象となる他の全ての器具例えば遊戯器具等も広く用いることができる。
【符号の説明】
【0050】
10A,10B,10C センサーユニット、20 センサー部、22A,22B 基板、30 第1緩衝部、30A 上蓋、30B 下蓋、32,32A,32B 外側壁、34 対向壁、40 第2緩衝部、40A 上蓋、40B 下蓋、50 緩衝層(エアーギャップ)、60 緩衝層(充填材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサーユニット及びそれを用いた運動計測システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モーションセンサー等の計測機器を運動器具等の計測対象物に取り付ける際、計測機器と計測対象物との間に衝撃・振動吸収材を配置している。吸収材により、測定対象物から受ける衝撃や振動を減衰して、衝撃や振動の影響を受けずに正確な計測を行っている。
【0003】
特許文献1では、加速度センサーの外装パッケージの外面に緩衝材を取り付けて、搬送時の落下によって半導体センサーが破損することを防止している。加速度センサーは、緩衝材を介して車体に取り付け可能であることが開示されている。
【0004】
特許文献2では、加速度センサーの基板を支持する機械的強度の高い第1部材に、コネクター部と並設されて緩衝材が設けられる。コネクターを本体部に接続すると、加速度センサーと本体部との間に緩衝材が介在される。
【0005】
引用文献3では、加速度センサーのハウジングを衝撃吸収性の高い弾性覆体で被覆している。引用文献4では、加速度センサーと基板との間に緩衝材を介在させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平1−302169号公報
【特許文献2】特開平3−170065号公報
【特許文献3】実開平7−008775号公報
【特許文献4】特開平9−145738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1〜4には、運動器具に加速度センサー等のセンサー部を取り付ける具体的な構造については開示されていない。
【0008】
図1は、運動器具例えばテニスラケット1のグリップエンド1Aの取付面1Bにセンサー部2を取付けるに際して、特許文献1〜4のように衝撃・振動吸収材3を介在させる比較例を図示している。センサー部2によりテニスラケット1の動きを計測する場合、ボールを打撃した時に発生する衝撃・振動が直接センサー部2に伝達されないようにするために、図1の比較例のように衝撃・振動吸収材3を介在させることができる。
【0009】
ここで、衝撃・振動吸収材3が打撃時の高い衝撃・振動を吸収するためには、衝撃・振動吸収材3の体積を増やすか、衝撃・振動を吸収し易い材質に変更する必要がある。
【0010】
しかし、例えば図2に示すように衝撃・振動吸収材3の体積を増やすと、衝撃・振動吸収材3が重くなってラケット1全体を重くし、ラケット1の重量バランスも変化させてしまう。テニスラケット1のグリップを握るのに、図2のように突出した衝撃・振動吸収材3が邪魔になる。
【0011】
また、衝撃・振動吸収材3の材質を軟らかくして衝撃・振動を吸収し易くすると、図3に示すようにセンサー部2自体が揺らいでしまい、テニスラケット1の正確な動きを計測できなくなる。
【0012】
本発明の幾つかの態様によれば、衝撃・振動吸収材の体積や材質だけで解決するのではなく、衝撃や振動を吸収し易い構造を備えたセンサーユニット及びそれを用いた運動計測システムを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本発明の一態様は、測定対象物体に取り付けられるセンサーユニットであって、
外側壁を含み、前記外側壁が前記測定対象物体に固定される第1緩衝部と、
前記第1緩衝部の前記外側壁の内側に配置され、かつ、前記第1緩衝部よりも軟らかい第2緩衝部と、
前記第2緩衝部内に保持されるセンサー部と、
を有するセンサーユニットに関する。
【0014】
本発明の一態様では、衝撃・振動吸収構造を二重構造とし、外側を硬めの外側壁を備えた第1緩衝部とし、その第1緩衝部の外側壁の内側を軟らかめの第2緩衝部としている。外側を硬めの外側壁を備えた第1緩衝部が、その内側の第2緩衝部を押さえ込むことで、第2緩衝部が変形し易くなって衝撃・振動を抑える。第1緩衝部は、第2緩衝部が吸収し切れなかった衝撃・振動を吸収する。
【0015】
(2)本発明の一態様では、前記第2緩衝部と前記センサー部との間に介在される緩衝層をさらに有することができる。こうすると、第2緩衝部の衝撃・振動を吸収するための変形は緩衝層にて吸収できるので、センサー部への衝撃・振動の伝達がより少なくなる。
【0016】
(3)本発明の一態様では、前記緩衝層はエアーギャップとすることができる。第2緩衝部の変形はエアーギャップにて吸収して、センサー部に伝達されることを低減できる。
【0017】
(4)本発明の一態様では、前記緩衝層は、前記第2緩衝部と前記センサー部との隙間に充填されて固化された充填材にて形成することができる。第2緩衝部の変形は充填材にて吸収して、センサー部に伝達されることを低減できる。しかも、充填材はセンサー部を第2緩衝部と直接接触させずに中空状態で保持できるので、衝撃・振動の伝達を極小にすることができる。
【0018】
(5)本発明の一態様では、前記センサー部は基板を有し、前記第2緩衝部は、前記基板を境にして2つの緩衝部に分割することができる。こうすると、センサー部を第2緩衝部内に配置させる組み立て性が向上する。
【0019】
(6)本発明の一態様では、前記第2緩衝部は、前記2つの緩衝部によって前記基板を挟待することができる。こうして、第2緩衝部が基板を挟待することで、第2緩衝部とセンサー部との間にエアーギャップを形成でき、あるいはそのエアーギャップ内を充填材で満たすことができる。
【0020】
(7)本発明の一態様では、前記第1緩衝部は、前記測定対象物体に固定される面とは反対側の面に対向壁を含み、前記センサー部は、前記緩衝層を形成する充填材を介して前記対向壁に固定することができる。こうすると、第1緩衝部のうち最も変形が少ない対向壁に、緩衝層を形成する充填材を介してセンサー部を固定しているので、センサー部への衝撃・振動の伝達を低減することができる。
【0021】
(8)前記第1緩衝部の前記外側壁は、厚さ方向にて貫通するスリットを有し、前記第2緩衝部を前記スリット内に入り込んで配置することができる。こうすると、第2緩衝部はスリットからはみ出す方向に変形する自由度が増して、変形し易くなる。よって、第2緩衝部での衝撃・振動吸収量を増大できる。しかも、スリットにより第1,第2緩衝部の接触面積が増え、第1,第2緩衝部間で衝撃・振動が伝達し易くなり、衝撃・振動吸収効率が増大する。
【0022】
(9)本発明の一態様では、前記第2緩衝部の比重は前記第1緩衝部の比重よりも小さくすることができる。より多く衝撃・振動を吸収する第2緩衝部の体積を増やしても、比重が小さいので重量の増大を抑制できる。しかも、外側壁を備えた第1緩衝部が硬く比重が重いので、センサー部の揺らぎは防止される。
【0023】
(10)本発明の他の態様は、上述したセンサーユニットが取り付けられている運動器具を定義している。この運動器具は、例えば打撃時などによって発生する過大な衝撃・振動を第1,第2緩衝部が吸収するので、計測に不要な衝撃・振動を緩和させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】テニスラケットのグリップエンドに衝撃・振動吸収材を介してセンサー部を固定した比較例を示す図である。
【図2】図1に示す比較例にて衝撃・振動吸収材の体積を増やした態様を示す図である。
【図3】図1に示す比較例にて衝撃・振動吸収材の材質を軟らかくした態様を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態のセンサーユニットを示す断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態での衝撃・振動の伝達作用を示す図である。
【図6】図1に示す比較例での玉突き状態の衝撃・振動の伝達作用を示す図である。
【図7】図7(A)〜図7(C)は衝撃・振動吸収材なしの3軸加速度の計測データを示し、図7(A)はZ軸成分を、図7(B)はY軸成分を、図7(C)はX軸成分をそれぞれ示している。
【図8】図8(A)〜図8(C)は図1に示す比較例の3軸加速度の計測データを示し、図8(A)はZ軸成分を、図8(B)はY軸成分を、図8(C)はX軸成分をそれぞれ示している。
【図9】図9(A)〜図9(C)は本発明の第1実施形態の3軸加速度の計測データを示し、図9(A)はZ軸成分を、図9(B)はY軸成分を、図9(C)はX軸成分をそれぞれ示している。
【図10】本発明の第1実施形態での打撃衝撃時を含む角速度データを示す特性図である。
【図11】比較例での打撃衝撃時を含む角速度データを示す特性図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係るセンサーユニットの断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係るセンサーユニットの断面図である。
【図14】図13に示すセンサーユニットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して具体的に説明する。
【0026】
1.第1実施形態
図4は、本発明の第1実施形態に係るセンサーユニットを示す断面図である。図4において、このセンサーユニット10Aは、センサー部20と、第1緩衝部30と、第2緩衝部40とを有する。
【0027】
センサー部20は、基板22Aの例えば表裏面に、3軸加速度センサー及び3軸角速度センサーや、その駆動回路及び信号処理回路を搭載することができる。センサー部20を含む運動計測システムは、センサー部20の他、センサー部20からの信号出力に基づいて計測対象物の動きを出力する表示装置や印刷装置などの出力装置を含み、必要によりセンサー部20からの信号出力を演算して出力結果を得る演算回路などの処理回路を含むことができる。本実施形態では、センサー部20で計測できる最大加速度は例えば50Gである。
【0028】
第1緩衝部30は外側壁32を有する。第1緩衝部30はさらに、計測対象物である例えば図1のテニスラケット1の取付面1Bと対向する対向壁34を有することができる。第1緩衝部30は、組み立て性の便宜から、上蓋30Aと下蓋30Bとに分割しても良い。この場合、上蓋30Aは外側壁32Aと対向壁34を有し、下蓋30Bは外側壁32Bを有する。第1緩衝部30は、例えば樹脂にて形成される。第1緩衝部30の外側壁32の端面32Cが、テニスラケット1の取付面1Bに、両面テープ等により接合されて固定される。
【0029】
第2緩衝部40は、第1緩衝部30の内側に配置される。第2緩衝部40内にセンサー部20が保持される。第2緩衝部40は、第1緩衝部30よりも軟らかい材質で形成される。第1緩衝部30が樹脂製であれば、第2緩衝部40は例えばゴム製とすることができる。第2緩衝部40の比重は第1緩衝部30よりも小さい。
【0030】
本発明の第1実施形態では、衝撃・振動吸収構造を二重構造とし、外側を硬めの外側壁32を備えた第1緩衝部30とし、その第1緩衝部30の外側壁32の内側を軟らかめの第2緩衝部40としている。外側を硬めの外側壁32を備えた第1緩衝部30が、その内側の第2緩衝部40を押さえ込むことで、第2緩衝部40が変形し易くなって衝撃・振動を抑えることができる。第1緩衝部30は、第2緩衝部40が吸収し切れなかった衝撃・振動を吸収することができる。
【0031】
こうして、図1に示すテニスラケット1にてボールをヒットした打撃時などの衝撃・振動は、図5に示すようにセンサーユニット10Aの第1,第2緩衝部30,40にて吸収され、センサー部20には伝達されにくい構造となる。
【0032】
これに対して、図1〜図3に示す比較例では、テニスラケット1の打撃時などの衝撃・振動は、図6に示すように、衝撃・振動吸収材3で吸収されて緩和されるが、衝撃・振動吸収材3で吸収されなかった衝撃・振動の逃げ道の途上にセンサー部2が存在するので、過大な衝撃・振動はいわゆる玉突き状態となってセンサー部2に直接伝達されていた。
【0033】
図4では、第2緩衝部40とセンサー部20との間に介在される緩衝層50をさらに有することができる。こうすると、第2緩衝部40の変形は緩衝層50にて吸収できるので、センサー部20への衝撃・振動の伝達がより少なくなる。
【0034】
この緩衝層50はエアーギャップとすることができる。第2緩衝部40の変形はエアーギャップ50にて吸収して、センサー部20に伝達されることを低減できる。
【0035】
ここで、図4では、第2緩衝部40は、組み立て性の便宜から、上蓋40Aと下蓋40Bとに分割されている。しかも、第2緩衝部40は、センサー部20の基板22Aを境にして上蓋40Aと下蓋40Bとに分割されている。そして、センサー部20を第2緩衝部40内に配置させる組み立て性を向上させている。
【0036】
特に図4では、第2緩衝部40は、上蓋40Aと下蓋40Bとによって基板22Aを挟待している。こうして、第2緩衝部40が基板22Aを挟待することで、第2緩衝部40とセンサー部20との間にエアーギャップ50を形成できる。
【0037】
図7(A)〜図9(C)に、衝撃・振動試験結果のデータを示す。図7(A)〜図7(C)は図1に示すテニスラケット1の取付面1Bに取付治具を介してセンサー部2を取り付けて(衝撃・振動吸収材3なし)計測したデータを示す。図8(A)〜図8(C)は図1に示す比較例の方法により衝撃・振動吸収材3を介してセンサー部2を取り付けて計測したデータである。図9(A)〜図9(C)が図4に示す本実施形態のセンサーユニット10Aを図1に示すテニスラケット1の取付面1Bに取り付けて計測したデータである。
【0038】
図7(A)〜図9(C)は、同じ高さからテニスラケット1をZ軸方向に落下させた時に3軸(X,Y,Z軸)の加速度を計測したデータである。図7(A)、図8(A)及び図9(A)はそれぞれZ軸の加速度を示し、図7(B)、図8(B)及び図9(B)はそれぞれY軸の加速度を示し、図7(C)、図8(C)及び図9(C)はそれぞれX軸の加速度を示す。図7(A)〜図7(C)と図8(A)〜図8(C)とを比較すると、図8(A)ではZ軸方向の強い衝撃を受けている時間が短くなっているのは、図1の衝撃・振動吸収材3を挿入した効果であると認められる。その一方で、図8(B)(C)は図7(B)(C)よりもX,Y軸方向での変化が大きい。これは、図1の衝撃・振動吸収材3を挿入したことで、センサー部2自体の揺らぎが大きくなったからと考えられる。
【0039】
その点、本実施形態の測定データである図9(A)では、Z軸方向の強い衝撃を受けている時間が図8(A)よりもさらに短く、図9(B)(C)に示すようにX,Y軸を含めて、衝撃・振動の影響を受けている時間が短縮される等、高い効果が確認できる。
【0040】
本実施形態のセンサーユニット10Aでは、図1に示すテニスラケット1にてボールをヒットした打撃時の衝撃・振動の影響を低減できることも確認できた。図10は、3軸X,Y,Z軸周りの角速度のデータを示し、衝撃を受けた時刻T以降も、その衝撃の影響を受けずに各軸周りの角速度がテニスラケット1の姿勢に追従して計測されている。
【0041】
一方、図1の比較例では、図11に示すように、例えばY軸周りの角速度が矢印Aで示す通りに計測されてしまい、本来計測されるべき矢印Bのデータを計測することができなかった。
【0042】
2.第2実施形態
本発明の第2実施形態に係るセンサーユニット10Bを図12に示す。図12に示すセンサーユニット10Bが図4に示すセンサーユニット10Aと相違する点は、図4のエアーギャップで形成された緩衝層50を、図12では充填材60にて形成している。
【0043】
充填材60は、第2緩衝部40とセンサー部20との隙間に充填されて固化される。充填材60として、商品名TSE3051(株式会社タナック)または商品名1230G(スリーボンド)等のポッティング材を好適に使用することができる。
【0044】
充填材60を用いる利点として、図4に示すように第2緩衝部40の上蓋40Aと下蓋40Bにより基板22Aは挟待されたが、図12の基板22Bは挟待される必要はない。充填材60により第2緩衝部40内にてセンサー部20を保持することができるからである。こうすると、センサー部20は第2緩衝部40と直接接触しないので、第2緩衝部40の変形がセンサー部20に伝達されることがなくなる。これにより、センサー部20の揺らぎを低減することができる。
【0045】
なお、図12に示すセンサー部20は、緩衝層を形成する充填材60を介して、第1緩衝部30の対向壁34に固定することができる。こうすると、第1緩衝部30のうち最も変形が少ない対向壁34に、緩衝層を形成する充填材60を介してセンサー部20を固定しているので、センサー部20の揺らぎを低減することができる。
【0046】
3.第3実施形態
本発明の第3実施形態では、図13及び図14に示すように、第1緩衝部30の外側壁32は、厚さ方向にて貫通するスリット36を有する。第2緩衝部40は第1緩衝部30のスリット36内に入り込んで配置することができる。こうすると、第2緩衝部40はスリット36からはみ出す方向に変形する自由度が増して、変形し易くなる。よって、第2緩衝部40での衝撃・振動吸収量を増大できる。しかも、スリット36により第1,第2緩衝部30,40の接触面積が増える。このため、第1,第2緩衝部30,40間、特に内側の第2緩衝部40から外側の第1緩衝部30との間で衝撃・振動が伝達し易くなり、衝撃・振動吸収効率が増大する。
【0047】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、図13及び図14に示すスリット36は、図4及び図12に示すセンサーユニット10A,10Bに設けてもよい。また、第1緩衝部30よりも軟らかい第2緩衝部40の比重は、一般的に第1緩衝部30の比重よりも小さくすることができる。こうして、より多く衝撃・振動を吸収する第2緩衝部40の体積を増やしても、比重が小さいので重量の増大を抑制できる。しかも、外側壁32を備えた第1緩衝部30が硬く比重が重いので、センサー部20の揺らぎは防止される。
【0048】
また、図4、図12及び図13において、第2緩衝部40は第1緩衝部30の外側壁32の端面32C(図4参照)と面一でなく、テニスラケット1の取付面1Bと直接接触させない構造としても良い。こうすると、テニスラケット1からの衝撃・振動は第1緩衝部30を経由するか、または取付面1Bと第2緩衝部40との間の第2緩衝層(エアーギャップ)を経由することになるので、第2緩衝部40にテニスラケット1からの衝撃・振動が直接伝達されない構造とすることができる。
【0049】
また、本発明のセンサーユニットが装着される計測対象物は、特に打撃に用いるテニスラケットやゴルフクラブ等の運動器具に好適であるが、加速度及び/または角速度計測により動きや姿勢等の計測対象となる他の全ての器具例えば遊戯器具等も広く用いることができる。
【符号の説明】
【0050】
10A,10B,10C センサーユニット、20 センサー部、22A,22B 基板、30 第1緩衝部、30A 上蓋、30B 下蓋、32,32A,32B 外側壁、34 対向壁、40 第2緩衝部、40A 上蓋、40B 下蓋、50 緩衝層(エアーギャップ)、60 緩衝層(充填材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物体に取り付けられるセンサーユニットであって、
外側壁を含み、前記外側壁が前記測定対象物体に固定される第1緩衝部と、
前記第1緩衝部の前記外側壁の内側に配置され、かつ、前記第1緩衝部よりも軟らかい第2緩衝部と、
前記第2緩衝部内に保持されるセンサー部と、
を有することを特徴とするセンサーユニット。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2緩衝部と前記センサー部との間に介在される緩衝層をさらに有することを特徴とするセンサーユニット。
【請求項3】
請求項2において、
前記緩衝層はエアーギャップであることを特徴とするセンサーユニット。
【請求項4】
請求項2において、
前記緩衝層は、前記第2緩衝部と前記センサー部との隙間に充填されて固化された充填材にて形成されていることを特徴とするセンサーユニット。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項において、
前記センサー部は基板を有し、
前記第2緩衝部は、前記基板を境にして2つの緩衝部に分割されていることを特徴とするセンサーユニット。
【請求項6】
請求項5において、
前記第2緩衝部は、前記2つの緩衝部によって前記基板を挟待することを特徴とするセンサーユニット。
【請求項7】
請求項4において、
前記第1緩衝部は、前記測定対象物体に固定される面とは反対側の面に対向壁を含み、
前記センサー部は、前記緩衝層を形成する充填材を介して前記対向壁に固定されることを特徴とするセンサーユニット。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項において、
前記第1緩衝部の前記外側壁は、厚さ方向にて貫通するスリットを有し、
前記第2緩衝部は前記スリット内に入り込んで配置されていることを特徴とするセンサーユニット。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項において
前記第2緩衝部の比重は前記第1緩衝部の比重よりも小さいことを特徴とするセンサーユニット。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のセンサーユニットが取り付けられていることを特徴とする運動計測システム。
【請求項1】
測定対象物体に取り付けられるセンサーユニットであって、
外側壁を含み、前記外側壁が前記測定対象物体に固定される第1緩衝部と、
前記第1緩衝部の前記外側壁の内側に配置され、かつ、前記第1緩衝部よりも軟らかい第2緩衝部と、
前記第2緩衝部内に保持されるセンサー部と、
を有することを特徴とするセンサーユニット。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2緩衝部と前記センサー部との間に介在される緩衝層をさらに有することを特徴とするセンサーユニット。
【請求項3】
請求項2において、
前記緩衝層はエアーギャップであることを特徴とするセンサーユニット。
【請求項4】
請求項2において、
前記緩衝層は、前記第2緩衝部と前記センサー部との隙間に充填されて固化された充填材にて形成されていることを特徴とするセンサーユニット。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項において、
前記センサー部は基板を有し、
前記第2緩衝部は、前記基板を境にして2つの緩衝部に分割されていることを特徴とするセンサーユニット。
【請求項6】
請求項5において、
前記第2緩衝部は、前記2つの緩衝部によって前記基板を挟待することを特徴とするセンサーユニット。
【請求項7】
請求項4において、
前記第1緩衝部は、前記測定対象物体に固定される面とは反対側の面に対向壁を含み、
前記センサー部は、前記緩衝層を形成する充填材を介して前記対向壁に固定されることを特徴とするセンサーユニット。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項において、
前記第1緩衝部の前記外側壁は、厚さ方向にて貫通するスリットを有し、
前記第2緩衝部は前記スリット内に入り込んで配置されていることを特徴とするセンサーユニット。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項において
前記第2緩衝部の比重は前記第1緩衝部の比重よりも小さいことを特徴とするセンサーユニット。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のセンサーユニットが取り付けられていることを特徴とする運動計測システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−108886(P2013−108886A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255015(P2011−255015)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
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