説明

センサ機器装着バンド

【課題】センサ機器を身体に装着するセンサ機器装着バンドであって、その装着力を複数段階に分けて指示することが可能なものの提供。
【解決手段】センサ機器装着バンド1は、センサ機器Sを支持するパッド2と、一端がパッド2の端部に固定され、他端に剛性のある部材からなる目印6aが付された環状部材6が取り付けられた伸縮性帯状部材4と、パッド2の伸縮性帯状部材4の固定端と反対側の端部に一端が固定され、他端に面ファスナーによる固定部分が形成された非伸縮性の面ファスナー帯状部材7と、該部材7の上記他端を環状部材6に通すことにより伸縮性帯状部材4と共に形成される身体に巻き回される輪の周長を調整する際に伸縮性帯状部材4の伸長量に応じて移動する環状部材6の目印6aに対向する位置に目盛線8aが形成された、非伸縮性の素材から成り、パッド2の上記端部に固定される補助パッド8と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型の機器、特に、身体の動きをセンシングする加速度センサなどのセンサ機器を身体へ装着するためのセンサ機器装着バンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、身体にバンドを巻き付けて、該バンドに取り付けられた脈拍センサや電極により脈拍や生体インピーダンスを測定することが行われており、バンドを用いた脈拍センサ等のセンサ機器の身体への装着技術に関し、様々なものが提案されている。
【0003】
図5に示すように、特許文献1に開示の指装着バンド100は、脈拍センサ取付け部101の近くの外表面に、バンド伸縮量に応じて伸び縮みする図形102が印刷されている。この図形102の形状が、例えば図形102の図5(A)の長円形状から図5(B)の真円形状へ変化したことが視認されるまで指装着バンド100を伸長して指に巻き付けて装着した時に、適正な圧力で脈拍センサが人体と接した状態で装着され適切な脈拍が測定できるようになっている。
しかし、形状視認は定性的であり、適切な状態で脈拍センサが挿着されているのかどうか作業者が判断し難い。
【0004】
一方、特許文献2に開示の生体インピーダンス測定用腹部装着バンドは、図6に示すように、装着状態において被験者の腹部に接触配置される電極202aを取り付けるとともに装着状態において被験者の身体の一部に巻き回される長尺状の帯状部材200から成り、該帯状部材200には、長尺方向に伸縮性を有する伸縮領域201と、長尺方向に伸縮性を有さない非伸縮領域202とが設けられ、それぞれの領域201,202にアライメントマーク201a,202bが設けられている。このアライメントマーク201a,202b同士が重なるまで帯状部材200を伸長して腹部に巻き付けて装着した時に、適正な圧力で電極202aが人体と接した状態で装着され適切な生体インピーダンスが測定できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−55517号公報
【特許文献2】特開2008−228996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、例えば、身体の動きをセンシングするための加速度センサなどのセンサ機器を取り付けたベルトを衣服の上から装着する場合、ナイロン素材など表面が滑り易い素材の衣服を着ていると、身体の動きによってベルトがズレ易いので普段より強くベルトを締付ける必要があるが、特許文献2のベルトではそのような微調整の具体的手法が不明である。
【0007】
本発明は、上述のような実情を鑑み、身体の状態をセンシングするセンサ機器を身体に固定するために装着するセンサ機器装着バンドであって、締め付け力すなわち装着力を複数段階に分けて指示することが可能なものを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、身体の状態をセンシングするセンサ機器を身体に装着するために身体に巻き付けるセンサ機器装着バンドであって、前記センサ機器を収容する収容部が設けられたパッドと、一端が前記パッドの端部に固定され、他端に剛性のある部材からなる目印が付された環状部材が取り付けられた伸縮性のある伸縮性帯状部材と、前記パッドの前記伸縮性帯状部材が固定された端部と反対側の端部に一端が固定され、他端に面ファスナーによる固定部分が形成された非伸縮性の面ファスナー帯状部材と、該面ファスナー帯状部材の前記他端を前記環状部材に通すことにより前記伸縮性帯状部材と共に形成される身体に巻き回される輪の周長を調整する際に前記伸縮性帯状部材の伸長量に応じて移動する前記環状部材の目印に対向する位置に目盛線が形成された、非伸縮性の素材から成り、前記パッドの前記端部に固定される補助パッドと、を備えることを特徴としたものである。
【0009】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、伸縮性のある帯状部材を介在させて前記面ファスナー帯状部材の前記一端が前記パッドの前記反対側の端部に固定されることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、例えば身体の動きをセンシングするセンサ機器等を身体に装着するためのセンサ機器装着バンドの締め付け力すなわち装着力を複数段階に分けて設定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のセンサ機器装着バンドの一例の全体構成図である。
【図2】図1のセンサ機器装着バンドの部分断面図である。
【図3】図1のセンサ機器装着バンドを人間の太腿に取り付けた時の様子を示す図である。
【図4】図3の要部のみを拡大して示した図である。
【図5】従来技術を説明する図である。
【図6】従来技術を説明する別の図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のセンサ機器装着バンドは、身体の状態、例えば身体の動きをセンシングする加速度センサやジャイロセンサなどのセンサ機器を身体に装着するために好適なものであり、その構成例を図1、図2を用いて説明する。図1は本発明のセンサ機器装着バンドの全体構成図であり、図2は同断面図である。
本発明のセンサ機器装着バンドは、図1及び図2の参照符号1で示すように、パッド2と、伸縮性帯状部材3,4と、環状部材5,6と、面ファスナー帯状部材7と、補助パッド8を備える。
【0013】
パッド2は、センサ機器Sが身体に直接当たったり伸縮性帯状部材が身体に喰い込んだりすることを防ぐと共にセンサ機器Sを支持するもので、センサ機器装着バンドの装着時に身体と接するパッド本体2aと、パッド本体2aの中央を覆うポケット部2bを有し、ポケット部2bにはセンサ機器Sが収容される。ポケット部2bは、本発明の「収容部」に相当する。パッド本体2aの幅方向の大きさは伸縮性帯状部材3,4より大きくなっている。
【0014】
伸縮性帯状部材3,4は、センサ機器装着バンド1の装着力を発生させるためのもので、その長さ方向に伸縮性を有しており、伸縮性帯状部材3,4の端部がポケット部2aを間に挟むようにパッド2の両端部に固定される。また、伸縮性帯状部材3,4は共に、パッド本体2に対して固定された端部と反対側の端部には環状部材5,6が取り付けられている。
【0015】
環状部材5,6は、例えば、剛性の高い金属から成り、補助パッド8側の伸縮性帯状部材4に取り付けられた環状部材6にのみ目印6aが刻まれている。また、上記目印がない環状部材5には、面ファスナー帯状部材7が連結されている。
【0016】
面ファスナー帯状部材7は、センサ機器装着バンド1の身体へ装着する際に端部を環状部材6に通して折り返して巻き回すもので、伸縮帯状部材3,4とは異なり、実質的にその長さ方向に伸縮性を有していない、すなわち非伸縮性である。また、面ファスナー帯状部材7の端部の正面側にはフック面7aが設けられており、フック面7aよりパッド2寄りの正面側にはループ面7bが設けられている。
【0017】
補助パッド8は、正面側に目盛線8aが設けられ、非伸縮性の素材から形成されており、目盛線8aは直接印刷することにより形成されている。この補助パッド8は、目盛線8aがセンサ機器装着バンド1の長尺方向に沿うような形態で、パッド本体2aに縫製固着される。
【0018】
図3は、センサ機器装着バンド1を人間の太腿に装着した時の様子を示す図、図4は、図3の要部のみを拡大して示した図である。
図3に示すように、センサ機器装着バンド1を人間の太腿Hに装着する際は、まず、太腿Hにパット本体2aと補助パッド8を接触させて面ファスナー帯状部材7を巻き回してから、目印6aが刻まれた環状部材6にフック面7a側の端部を通し、輪を形成する。そして、面ファスナー帯状部材7のフック面7a側の端部を伸縮性帯状部材4が伸びる方向に引っ張ることで、この輪の大きさすなわち太腿に巻き回す周長と、上記引っ張りによる伸縮性帯状部材3,4の伸縮量すなわちセンサ機器装着バンド1の装着力と、を調整する。この調整は、環状部材6の目印6aと補助パッド8の目盛線8aとを用いて行う。
【0019】
すなわち、通常の状態での適正な装着力が得られるまで伸縮性帯状部材3,4が伸びたときに補助パッド8の目盛線8aの目盛値「1.5」と環状部材6の目印6aとが一致するように設定しておき、補助パッド8の目盛線8aの目盛値「1.5」と環状部材6の目印6aとが一致するようにセンサ機器装着バンド1を巻きつけることで、通常の状態での適正な装着力が得られる。また、滑り易い素材の衣服を被装着者が着ているときなどに備えて、上記通常の状態での適正な装着力より大きい所定の装着力が得られるまで伸縮性帯状部材4,5が伸びたときに補助パッド8の目盛線8aの目盛値、例えば「2.5」と環状部材6の目印6aとが一致するように設定しておく。これにより、上記所定の装着力でセンサ機器装着バンド1を巻きつけることができる。
【0020】
センサ機器装着バンド1の装着力などの調整後、図3に示すように、面ファスナー帯状部材7を環状部材6の部分から折り返し、フック面7aとループ面7bとを互いに押し付けあうことで面ファスナー帯状部材7が固定され、センサ機器装着バンド1の装着が完了する。
【0021】
以上のように、本発明は、センサ機器装着バンド1の装着力を発生させる伸縮性帯状部材の伸長に合わせて移動する目印を、該目印と対向する位置に設けられた非伸縮性の目盛線の特定の目盛値と合わせることで適正な装着力が得られ、また、特定の目盛値の前後の目盛値に合わせることで、装着力の微調整が可能であり、上記の適正な装着量とは異なる所望の装着力を得ることができる。
【0022】
また、本発明のセンサ機器装着バンド1の構造では、被装着部分すなわち被巻き付け部分の太さによらず、適正な装着力が得られ、また、装着力の微調整が可能である。
【0023】
上記実施例では、伸縮性帯状部材3,4をパッド本体2aの両端部に設けたが、補助パッド8を設けた側の伸縮性帯状部材4のみとして、反該側の端部に伸縮性帯状部材3を省略し、面ファスナー帯状部材を直接パッド本体2aの端部に取り付けても、被装着部分すなわち非巻き付け部分の太さによらず、適正な装着力が得られ、また、装着力の微調整が可能である。
【0024】
以上の説明では、目盛線が補助パッド状に直接印刷することにより形成されているとしたが、これに限られず、別の部材に形成された目盛線を縫製や接着等の固定手段で補助パッドに固定するようにしてもよい。
また、上述では、パッドのパッド本体と補助パッドが同一素材で形成された別部材であり互いに縫製固着されているものとした。しかし、これに限られず、パッド本体と補助パッドが別の素材で形成されていてもよいし、接着等により互いに固着されてもよい。また、パッドのパッド本体と補助パッドとが同一部材で一体に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0025】
1…センサ機器装着バンド、2…パッド、3,4…伸縮性帯状部材、5,6…環状部材、6…目印、7…面ファスナー帯状部材、8…補助パッド、8a…目盛線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体の状態をセンシングするセンサ機器を身体に装着するために身体に巻き付けるセンサ機器装着バンドであって、
前記センサ機器を収容する収容部が設けられたパッドと、
一端が前記パッドの端部に固定され、他端に剛性のある部材からなる目印が付された環状部材が取り付けられた伸縮性のある伸縮性帯状部材と、
前記パッドの前記伸縮性帯状部材が固定された端部と反対側の端部に一端が固定され、他端に面ファスナーによる固定部分が形成された非伸縮性の面ファスナー帯状部材と、
該面ファスナー帯状部材の前記他端を前記環状部材に通すことにより前記伸縮性帯状部材と共に形成される身体に巻き回される輪の周長を調整する際に前記伸縮性帯状部材の伸長量に応じて移動する前記環状部材の目印に対向する位置に目盛線が形成された、非伸縮性の素材から成り、前記パッドの前記端部に固定される補助パッドと、を備えることを特徴とするセンサ機器装着バンド。
【請求項2】
伸縮性のある帯状部材を介在させて前記面ファスナー帯状部材の前記一端が前記パッドの前記反対側の端部に固定されることを特徴とする請求項1に記載のセンサ機器装着バンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−42908(P2013−42908A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182268(P2011−182268)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】