説明

センサ装置

【課題】回路基板に配置された少なくとも1つのセンサのカプセル化又はシール化を向上させることができるセンサ装置を提供する。
【解決手段】センサ装置(1)は、回路基板(2)上に配置された少なくとも1つのセンサ(3)と、そのセンサ(3)用のカバー(4)とを備える。カバー(4)は、回路基板(2)に面して開口していると共に、取り付けられた状態で回路基板(2)に接する。回路基板の下面(14)は、同時にシールの一部を形成する。少なくとも1つのセンサ(3)は、完全に気候カプセル化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板上に配置される共にセンサカバーを備える少なくとも1つのセンサを有するセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプのセンサ装置は、既知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この既知のセンサ装置は、相対湿度を測定するための湿度測定センサと気温を測定するための温度測定センサとを含む。ある絶対湿度を有する空気が冷却されると、相対湿度は100%の値に達するまで上昇する。相対湿度が100%に達する温度を、凝結点又は露点という。温度がさらに低下するか或いは絶対水分含有量が増加すると、水の凝結が起こる。露点は、測定した相対湿度と測定した気温から算出することができる。このタイプのセンサ装置は多数の技術分野で使用されているが、特に曇りよけとして使用されている。
【0004】
特許文献1によれば、環境の影響からセンサ装置を保護するために回路基板に気候カプセル化部を取り付けてもよい。この気候カプセル化部は、片側又は両側で大気を透過する材料で製造できる。気候カプセル化部の片側だけが大気を透過する場合、第2の保護要素は大気を透過しないいずれかの材料で製造される。
【特許文献1】国際公開第02/33395 A1号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、回路基板に配置された少なくとも1つのセンサのカプセル化又はシール化を向上させることができるセンサ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、回路基板上に配置され且つセンサカバーを備える少なくとも1つのセンサを有するセンサユニットによって達成され、このカバーは、回路基板に面して開口していると共に、回路基板上の載置されたときに回路基板に接し、回路基板の下面は、同時にシールの一部を形成する。回路基板は、シールの一部として利用され、少なくとも1つのセンサのカプセル化部に組み込まれる。その特別な構造的設計によって、回路基板の下面は、センサが完全に気候カプセル化されるようなシール機能を同時に果たす。本明細書においては、構造的設計という言葉は、任意の断面の穴、空洞又は盲穴を含む回路基板に関連している。湿度に影響されやすいセンサの素子がこの穴などの上に配置されるが、この穴などは貫通穴の形では実現されない。
【0007】
シールに応じてそのシール機能を最適化するのにシールリップを使用してもよい。具体的には、シールリップが前記カバーの周辺部に沿って伸びている場合に、そのシール機能をさらに向上させることができる。
【0008】
カバーの取り付けを簡単にするために、回路基板は、そのカバーの下縁を挿入するための周溝を備える。カバーの位置はこれによりあらかじめ決定され、カバーをこの位置で仮止めすることができる。
【0009】
センサ装置が相対湿度を測定することを目的とするとき、前記カバーは、壁部と、大気、特に、大気湿度を透過すると共にこの壁部に接続される膜とを含む。
【0010】
カバーの回路基板への取り付け及び/又は挿入を実現するために、カバーは脚を備えてもよく、回路基板は脚を挿入するための穴を備えてもよい。
【0011】
この目的に限定されるわけではないが、本発明は、湿度測定センサと温度測定センサとを備える露点測定用のセンサ装置に関しての使用に特に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のセンサユニットの実施の形態は図面に概略的に示され、以下図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係るセンサ装置の構成を模式的に示す図である。より具体的には、この図は、後述する図2のI−I線に沿うセンサ装置の断面図である。
【0014】
図1において、露点を測定するためのセンサ装置1は、載置台としての機能を果たす回路基板2と、湿度測定センサ3と、図1に不図示の温度測定センサと、これらのセンサを覆うカバー4とを基本的に備える。これらのセンサは、回路基板2のストリップ導電体を介して電気回路及び/又は電子回路に一体化される。回路基板2の熱伝導性コーティングは、さらに、これらのセンサ間で優れた熱伝達を実現し、温度測定センサの取り付け場所と湿度測定センサ3の取り付け場所の間に無視できないほどの温度の違いが生じるのを確実に防止する。湿度測定センサ3は、相対湿度を測定するために用いる。温度測定センサは、分析すべき空気の温度を測定するために用いる。全体像がよりよくつかめるように、載置台1に配置される他の部品は図示しない。
【0015】
湿度測定センサ3は、二つの導電性電極を備えており、その二つの電極間にポリマーの誘電体が配置される。そのポリマーの誘電特性は、相対湿度の影響を受ける。相対湿度とそのポリマーに分子吸着される水とは非常に相関性がある。温度測定センサは、温度依存抵抗器の形で実現される。したがって、湿度測定センサ3のキャパシタンス測定と温度測定センサの抵抗測定の結果に基づいて露点を算出することが可能である。
【0016】
湿度測定センサ3のアクティブ側は、回路基板2の凹部又は空洞5上に配置される。空洞5は、湿度センサ3の最大限の面、すなわち、基本的にアクティブ側全体を空気の混合物に均一にさらすのに役立つ。さらに、空洞5は、センサ装置の筐体内の対応するスロットと協働して空気流を改善する。これにより、分析する空気の流れを湿度測定センサ3の方に向けることができる。空洞の構造的設計は、回路基板の下面14がシールの一部として同時に利用されるようにすることで実現される。回路基板のシール領域内の条導体に必要な、いかなる両面間接続端子も部品はんだ付け工程においてはんだ付けで閉じられる。
【0017】
湿度測定センサ3と温度測定センサは、これらセンサの上に取り付け方向6からカバー4を置くことで、カバー4によって保護することができる。カバー4は、周壁部7と大気を透過すると共に、好ましくは自浄式面を有する膜8とを含む。壁部7と膜8の間の中空空間9はセンサを収容するのに役立つ。壁部7は、壁部7の下縁10を周溝11に挿入することができる厚さを有する。溝11は、取り付け位置を定めてこの位置にカバー4を仮止めすることができる。壁部7は、穴13に挿入可能な四本の脚12に接続される。挿入された状態で、脚12は回路基板12の下面14上にわずかに突出し、ホットプレスでさらに固定できる。壁部7上に形成された周辺シールリップ15はカバー4上で回路基板2方向にわずかに突出し、カバー4が上述のように取り付けられた状態のときに回路基板2に接する。この状態は、弾性プラスチック材料からなるシールリップ15を外側にまげ、その後、微小のプレストレスを与えた状態で回路基板にシールリップが接するようにすることで実現される。これにより、本発明のシールの気候適合性が保証される。したがって、カバー4は、気候カプセル化機能を果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図2のI−I線に沿うセンサ装置の断面図である。
【図2】図1によるセンサ装置の一部の上面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 センサ装置
2 回路基板
3 湿度測定センサ
4 カバー
5 空洞
6 取り付け方向
7 壁部
8 膜
9 中空空間
10 壁部の縁
11 溝
12 脚
13 穴
14 回路基板の下面
15 シールリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板(2)上に配置された少なくとも1つのセンサ(3)と、前記センサ(3)用のカバー(4)とを備えるセンサ装置(1)において、前記カバー(4)は、前記回路基板(2)に面して開口していると共に取り付けられた状態で前記回路基板(2)に接し、前記回路基板の下面(14)は、同時にシールの一部を形成することを特徴とするセンサ装置(1)。
【請求項2】
前記取り付け可能なカバー(4)は、上記取り付けられた状態で、ある一定のプレストレスにより前記回路基板(2)に接してシールするシールリップ(15)を含むことを特徴とする請求項1記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記回路基板(2)は、前記センサ(3)の下に凹部又は盲穴を含むことを特徴とする請求項1記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記シールリップ(15)は、前記カバー(4)の周辺部に沿って伸びていることを特徴とする請求項2又は3記載センサ装置。
【請求項5】
前記回路基板(2)は、前記カバー(4)の下縁(10)を挿入するための周溝(11)を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記カバー(4)は、壁部(7)と、大気を透過すると共に透過し前記壁部(7)に接続される膜(8)とを含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記カバー(4)は脚(12)を含み、前記回路基板(2)は前記脚(12)を挿入するための穴(13)を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載センサ装置。
【請求項8】
露点を測定するための湿度測定センサ(3)及び温度測定センサを有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のセンサ装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−502426(P2007−502426A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529566(P2006−529566)
【出願日】平成16年3月6日(2004.3.6)
【国際出願番号】PCT/DE2004/000445
【国際公開番号】WO2004/104523
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(503145110)シトリニック ゲス フュール エレクトロテクニッシュ オウスルゥスタング エム ベー ハー ウント コー カー ゲー (12)
【氏名又は名称原語表記】sitronic Ges.  fur elektrotechnische Ausrustung mbH & Co. KG