説明

センシングハンドルを有するロボット掃除機

ロボット掃除機は、掃除機の周囲の静止オブジェクトとの物理的接触を検出するためのセンサ手段を有する。当該掃除機は、手3で当該掃除機を持ち運ぶためのハンドル1を有する。前記ハンドル1は、前記ハンドル1が当該掃除機の本体4の近くに位置する第2の位置にあることを可能とし、掃除機の動作の間、前記センサ手段が前記ハンドル1に及ぼされた力を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除機の周囲の静止オブジェクトとの物理的接触を検出するためのセンサ手段を有するロボット掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
斯様なロボット掃除機は米国特許出願公開第2002/0174506号明細書で開示されている。この文献は、人が反復的で時間を消費する作業を行う必要性を除去する、日常の家事を自動化し得る技術を有する自律型掃除機について述べている。この掃除機は、部屋のフロアを動き回りながら部屋を自発的に掃除し得る。これにより、掃除機の経路は、カメラ又は音波センサ若しくは赤外線センサ等の他の観察手段によるその周囲の観察に基づいて制御され得る。加えて、センサ手段は、携帯デバイスと部屋のフロア上の静止オブジェクト(障害物)との間の物理的接触を検出するために、携帯デバイスの1又はそれ以上の側面に存在する。センサ手段は、掃除機の移動経路を制御するための適切な制御信号を生成する。米国特許出願公開第2002/0174506号明細書で述べられた掃除機は、2つのモジュール、即ち、真空ファン及びゴミ収集区分を有する主要モジュール、並びに、ホースにより主要モジュールに接続されたクリーニングヘッドモジュールからなり、ホースを介して、ゴミがクリーニングヘッドモジュールから主要モジュールに移送される。
【0003】
携帯型ロボット掃除機は、その周囲の静止オブジェクト間の移動経路を見つけ出す必要がある。移動中の掃除機が静止オブジェクトに接触したときには、その移動方向は、静止オブジェクトとの衝突が回避されるように変更されなければならない。それ故、斯様な静止オブジェクトとの物理的接触は、掃除機の移動方向を、例えば反対方向に、静止オブジェクトから離れるように適合させるために検出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、掃除機は、例えば掃除されるべき部屋に掃除機を持って行くために手で持ち運ばれることが望ましい。それ故、掃除機はヒンジング(hinging)ハンドルを備え得る。米国特許出願公開第2006/0137129号明細書は、第1の位置と第2の位置との間で枢動可能なハンドルを有する掃除機であって、前記第1の位置は、手で掃除機を運ぶためにハンドルが実質的に直立位置にあり、前記第2の位置は、ハンドルが掃除機本体の近くに位置する、掃除機について述べている。
【0005】
本発明の目的は、掃除されるべき部屋のフロアを動き回るときに周囲の静止オブジェクトとの物理的接触を検出するための効果的なセンサ手段を有する、手で持ち運び可能なロボット掃除機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本掃除機は、手で当該掃除機を持ち運ぶためのハンドルを有し、前記ハンドルは、第1の位置と第2の位置との間で枢動可能であり、前記第1の位置は、手で当該掃除機を運ぶために前記ハンドルが実質的に直立位置にあり、前記第2の位置は、前記ハンドルが当該掃除機の本体の近くに位置し、前記ハンドルが前記第2の位置にあるときに、センサ手段が前記ハンドルに及ぼされた力を検出可能である。これにより、検出された力は、掃除機の移動経路を制御するための適切な制御信号において解釈可能となる。
【0007】
前記第2の位置において、前記ハンドルは、当該掃除機がフロアを動き回るときに静止オブジェクトと物理的に接触する前記本体の一部の周りに検出部材として形成され得るように、当該掃除機の本体の外側に達する。それ故、これは、斯様な物理的接触を検知するための適切な手段である。
【0008】
前記センサ手段は、前記ハンドルの表面上に存在し得るが、好ましい実施形態においては、前記センサ手段は、前記ハンドルが前記第2の位置にあるときに前記ハンドルの動作を検出可能である。これにより、前記ハンドルは、スプリング又は他の弾性手段により前記第2の位置に維持され、前記スプリング又は他の弾性手段の力に抗して少し動かされ得る。斯様な移動は、前記センサ手段により検知され、掃除機の移動経路を制御するための適切な制御信号に変換される。
【0009】
好ましくは、前記センサ手段は、前記ハンドルが前記第2の位置にあるときに前記ハンドルの複数の動作を検出するための複数のマイクロスイッチを有する。より好ましくは、複数のマイクロスイッチは、前記ハンドルの異なる動作が測定され得る複数の位置に設けられ、これにより、複数の適切な信号が前記ハンドルの異なる動作のために生成され得る。
【0010】
好ましい実施形態において、当該掃除機の上方視点において、前記ハンドルの少なくとも一部が、当該掃除機の残りの部分の外側に延在する。テーブル、椅子、壁、ドア枠等のような、部屋中の静止オブジェクトのほとんどがフロアの垂直面の近くにあり、(上方視点において)掃除機の本体の側面を越えて延在する検出部材は、掃除機が斯様なオブジェクトとぶつかったときに接触するだろう。
【0011】
好ましい実施形態において、当該掃除機の側方視点において、前記ハンドルの一部は、前記ハンドルがその第2の位置にあるときに当該掃除機の最も高い部分を形成する。これにより、前記ハンドルは、移動している掃除機が非常に低いオブジェクトの下に達する場合に下向きに押され、従って、斯様なオブジェクトの存在及び位置が検出される。
【0012】
また、本発明は、ロボット掃除機の移動経路を制御するための方法であって、前記掃除機と前記掃除機の周囲の静止オブジェクトとの間の物理的接触がセンサ手段により検出されたときに、前記センサ手段により制御信号が生成され、前記掃除機は、手で前記掃除機を持ち運ぶためのハンドルを有し、前記ハンドルは、第1の位置と第2の位置との間で枢動可能であり、前記第1の位置は、前記掃除機を運ぶために前記ハンドルが実質的に直立位置にあり、前記第2の位置は、前記ハンドルが前記掃除機の本体の近くに位置し、前記ハンドルが前記第2の位置にあるときに、前記センサ手段が前記ハンドルに及ぼされた力を検出する、方法に関する。
【0013】
本発明は、4つの図面を参照するロボット掃除機の一実施形態の説明により更に明らかにされるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】持ち運び位置における掃除機を示す。
【図2】掃除機の斜視図である。
【図3】掃除機の他の斜視図を示す。
【図4】センサ手段の図式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜3は、本装置を持ち運ぶためのヒンジングハンドル1を有するロボット掃除機の一実施形態を示している。本掃除機は、本装置の両側に配置された2つの駆動ホイール2を有する(図面は、これらのホイールのうち一方のみを示している)。更に、本掃除機は、任意の方向に移動できるように縦軸の周りを回転可能なキャスタホイールを有し、このキャスタホイールは、掃除機の下側に配置され、図面では見えない。2つのホイール2を予め決められた速度で独立して駆動させることにより、掃除機は、その動作中に所望の変化する方向において部屋のフロアに渡って移動し得る。
【0016】
図1は、直立位置にあるハンドル1を示しており、従って、掃除機は、図面に示されるように、手3によって持ち運び可能である。図2は、ロボット掃除機の動作の間の位置である第2の位置にあるハンドルを示している。図3は、他の方向からの掃除機を示している。掃除機のハンドル1は、掃除機の動作の間、検出部材として機能し、従って、ハンドルは、図2及び3に示されるように、第2の位置にある。ハンドル1は、掃除機の本体4の外側に達し、従って、ハンドル1は、掃除機が掃除されるべき部屋のフロアを動き回るときに、その周囲の静止オブジェクトと物理的に接触し得る。
【0017】
図3中の矢印5,6,7,8は、掃除機がその動作の間にフロアを動き回るときに静止オブジェクトがハンドル1にぶつかる方向を示している。掃除機が非常に低いテーブルの下を移動するときには、ハンドル1は、矢印5で示されるように、下側へ押されるだろう。ハンドル1の下方動作は、後に明らかにされるように、マイクロスイッチにより検出され、これにより、本装置の移動方向を例えば反対方向に変えるために制御信号が生成される。掃除機が(図3において)左に移動しているときには、静止オブジェクトとの衝突は、矢印6により示された方向でハンドル1を押すだろう。ハンドル1の動作は、静止オブジェクトを避け得るように掃除機の移動方向を変えるための適切な制御信号を生成するために、1又はそれ以上のマイクロスイッチにより検出されるだろう。
【0018】
特に、掃除機が湾曲した経路をたどるときには、ハンドル1は、矢印7及び8により示されるように、静止オブジェクトにより側方から押され得る。掃除機の静止オブジェクトとの斯様な衝突は、ハンドル1の動作を測定するマイクロスイッチによっても検出され、従って、適切な制御信号は、本装置の移動方向の適応のために生成される。
【0019】
図4は、ハンドル1の動作を検出するためのセンサ手段の概略的な断面図を示している。ハンドル1は、シャフト10に取り付けられ、シャフト10の周りを回転可能である。シャフト10は、掃除機の本体4を介して延在し、これにより、シャフト10の2つの端部は、掃除機の本体4の外側に達する。ハンドル1の各端部は、シャフト10の一端に接続されており、従って、ハンドル1と掃除機の残りの部分との間の固い接続が実現される。シャフト10は、本体4の一部である部材11を介して掃除機の本体4と接続される。シャフト10は、部材11に対して(図4においては)左に移動可能であるが、螺旋バネにより右方向に押される。
【0020】
図4に示されるように、ハンドル1がその第2の位置にあるときには、ハンドル1は、バネ搭載ボール13によりその位置に保たれ、このボール13は、シャフト10中の対応する凹部と協働する。前記第2の位置において、螺旋バネ14は、ボール13をその凹部に押し込み、ハンドル1が前記第2の位置から少しだけ離れるように移動したときには、螺旋バネ14は、ハンドルを第2の位置に戻すための力を与える。図1に示されるように、ハンドル1がその直立位置にあるときには、ボール13は、シャフト10の高い側の円柱表面に支えられる。
【0021】
ロボット掃除機が動作中にあるとき、ハンドル1は、移動中の掃除機の周囲の静止オブジェクトとの物理的接触、即ち衝突を検出するための検出部として機能する。ハンドルに及ぼされる力がないときには、ハンドルは、シャフト10の両端及びハンドル1の近くに存在する螺旋バネ12及び14により第2の位置に保たれる。矢印15で(図3においては矢印5で)示されるように、下向きの力がハンドル1に及ぼされる動作では、ハンドル1は、螺旋バネ14の押圧力に抗して時計周りにシャフト10の周りを少しだけ回転するだろう。ハンドル1の斯様な動作は、掃除機の本体4のハウジング17に取り付けられたマイクロスイッチ16により検出される。マイクロスイッチ16が活性化されたときには、掃除機の移動方向を変えるための制御信号が生成される。
【0022】
矢印19で(図3においては矢印6,7,8で)示されるように、実質的な水平面におけるハンドル1の動作を検出するために、ハンドル1の各端部にマイクロスイッチ18が存在する。マイクロスイッチ18も、掃除機の本体4のハウジング17に取り付けられ、ハンドル1がその第2の位置にあるときに作動される。矢印19で示されるようなハンドル1の動作は、マイクロスイッチ18を非活性化し、これにより、ロボット掃除機の移動方向を変えるために制御信号が生成される。ハンドル1の各端部の2つのマイクロスイッチ18のうち一つだけがハンドル1の動作を検出しており、その後、ハンドル1の横向きの動作が存在する場合に、適切な制御信号が生成され得る。
【0023】
本発明は、図面及び前述した説明において述べられた一方で、斯様な図示及び説明は、例示又は単なる例であり、限定的ではないと見なされるべきである。即ち、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。請求項における任意の参照符号は、本発明の範囲を限定するものとして考慮されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機の周囲の静止オブジェクトとの物理的接触を検出するためのセンサ手段を有するロボット掃除機であって、
当該掃除機は、手で当該掃除機を持ち運ぶためのハンドルを有し、
前記ハンドルは、第1の位置と第2の位置との間で枢動可能であり、前記第1の位置は、当該掃除機を運ぶために前記ハンドルが実質的に直立位置にあり、前記第2の位置は、前記ハンドルが当該掃除機の本体の近くに位置し、
前記ハンドルが前記第2の位置にあるときに、前記センサ手段が前記ハンドルに及ぼされた力を検出可能である、ロボット掃除機。
【請求項2】
前記センサ手段は、前記ハンドルが前記第2の位置にあるときに前記ハンドルの動作を検出可能である、請求項1に記載のロボット掃除機。
【請求項3】
前記センサ手段は、前記ハンドルの複数の動作を検出するための複数のマイクロスイッチを有する、請求項2に記載のロボット掃除機。
【請求項4】
前記複数のマイクロスイッチは、前記ハンドルの異なる動作が測定され得る複数の位置に設けられる、請求項3に記載のロボット掃除機。
【請求項5】
当該掃除機の上方視点において、前記ハンドルの少なくとも一部が、当該掃除機の残りの部分の外側に延在する、請求項1〜4のうちいずれか一項に記載のロボット掃除機。
【請求項6】
当該掃除機の側方視点において、前記ハンドルの一部は、前記ハンドルが前記第2の位置にあるときに当該掃除機の最も高い部分を形成する、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載のロボット掃除機。
【請求項7】
ロボット掃除機と前記ロボット掃除機の周囲の静止オブジェクトとの間の物理的接触がセンサ手段により検出されたときに前記センサ手段により制御信号が生成されることにより、前記ロボット掃除機の移動経路を制御するための方法であって、
前記掃除機は、手で前記掃除機を持ち運ぶためのハンドルを有し、
前記ハンドルは、第1の位置と第2の位置との間で枢動可能であり、前記第1の位置は、前記掃除機を運ぶために前記ハンドルが実質的に直立位置にあり、前記第2の位置は、前記ハンドルが前記掃除機の本体の近くに位置し、
前記ハンドルが前記第2の位置にあるときに、前記センサ手段が前記ハンドルに及ぼされた力を検出する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−507328(P2012−507328A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533871(P2011−533871)
【出願日】平成21年10月26日(2009.10.26)
【国際出願番号】PCT/IB2009/054728
【国際公開番号】WO2010/061299
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】